特許拒絶査定不服審判
2016-007014
電子ゲーム機能を有するスポーツ用電子トレーニングシステム及びそのアプリケーション
- 審判番号
- 2016-007014
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-257323外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月12日
- 審決日
- 2017年12月05日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アディダス インターナショナル マーケティング ベー ヴェー
- 【請求人代理人】柳田 征史
- 【請求人代理人】佐久間 剛
- 分類
- P18 .121-WZ (A63B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-257323「電子ゲーム機能を有するスポーツ用電子トレーニングシステム及びそのアプリケーション」拒絶査定不服審判事件〔平成25年5月2日出願公開、特開2013-78593〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成20年8月14日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2007年8月17日 米国)を出願日とする出願である特願2008-208903号の一部を,平成24年11月26日に特願2012-257323号として出願したものであって,これまでの手続は次のとおりである
平成26年 2月25日 拒絶理由通知
平成26年 6月 2日 意見書
平成27年 2月13日 拒絶理由通知
平成27年 6月19日 意見書・手続補正書
平成27年 9月 3日 拒絶理由通知
平成27年12月14日 意見書
平成28年 1月 4日 拒絶査定
平成28年 5月12日 審判請求
平成29年 4月14日 拒絶理由通知
平成29年 7月18日 意見書
第2 当審の判断
1 補正内容
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成27年6月19日付けで補正された特許請求の範囲における,請求項1に記載された事項によって特定されるべきものであり,その記載は次のとおりである。
「運動モニタと,
前記運動モニタと無線通信する携帯型電子処理装置と
を備えるスポーツ用電子システムであって,
前記携帯型電子処理装置が,個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示し,
前記携帯型電子処理装置が,エクササイズ後に電子ゲームとのインタラクションを行うプログラムを備える
ことを特徴とするスポーツ用電子システム。」
2 刊行物に記載された事項
(1)刊行物1
平成29年4月14日付け拒絶の理由に引用し,本願の優先日前である平成8年4月23日に頒布された特開平8-103568号公報(以下「刊行物1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は,当審で付与した。他の下線についても同じ。)
ア「【0006】
【作用】以上の構成よりなる「請求1」記載の本発明によれば,歩いた距離や歩行速度などを演算して表示する万歩計などの運動量計測器からのデータを情報データとして入力する送・受信手段とその送・受信手段から送られたデータを入力するための受信手段を備え,この受信手段から入力された運動量のデータによりプログラミングされたキャラクタの中からそのデータに応じたレベルのキャラクタをリサーチし,ゲーム中のキャラクタのレベルをコントロールするコントロール手段とを備えてた構成で,歩いた距離や歩行速度などを演算して表示する万歩計などの運動量計測器からのデータによりゲーム中のキャラクタのレベルをコントロールすることができるため,レベルの高い面白いキャラクタを選択するためには,ゲームを始める前に所定の運動量をこなす必要があり,運動不足になりがちな現代の子供達や大人の運動不足を解消することが出来るとともに,運動したことにより反射神経も優れよりゲーム機の操作性が向上することでゲーム機の楽しみ方が多くなることになる。」
イ「【0007】
【実施例】以下,本発明に係る運動量入力機能付ゲーム機の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る運動量入力機能付ゲーム機の一実施例を示す斜視図,図2は本発明に係る運動量入力機能付ゲーム機の基本的回路構成を示す回路ブロック図,図3は図2で示したコントロール手段(CPU)のアルゴリズムを示すチャート図である。図1で示すように,万歩計Bには本体部1に表示部2及び送・受信機3が装着されている。また,本体部1は,万歩計Bを取りつけた人或いは,動物が動いた歩数や運動量を演算する演算手段が内蔵されていて,その演算手段に上記送・受信機3が連繋され,演算手段が演算した人或いは,動物が動いた歩数や運動量を後述する加速センサー8で入力し送・受信機3により,ゲーム器Aの送・受信機4に送信するように設定されている。図中5は,各動物のキャラクターがプログラムされたフロッピーで,6はゲーム器Aの本体ケース,7は操作用のマウスである。この場合のゲームソフトとしては,桃太郎のソフトを例にとる。図2で示すように,万歩計Bには,加速センサー8とカウンタ9及びCPU10,メモリ11が設けられている。更に,万歩計Bには,送・受信機3として用いられる受光センサー12及び発光素子13が取りつけられていて,内部の運動量計測器をつかさどる加速センサー8によって測定された運動量のデータを送信し,運動量のデータの送信が完了すると受信完了信号を受信するようになっている。このように構成された運動量入力機能付ゲーム機のアルゴリズムは,図3のとおりである。まず,ゲーム機Aによりゲームをスタートする。ステップ200では,プログラムソフトが指定されるとともに,万歩計Bの運動量データを入力するか否かが問われる。NOの場合には,ゲームの進行に従いゲーム機Aでプログラムされているプログラムソフトが指定され,ゲームを進めていく内に,例えばプログラムされているお供の動物(犬,猿,キジ)が登場し,更にゲームを進めるに従い主人公とお供の動物のレベルがあがる。そこで,ステップ201に移行すると,レベルアップした度合いに応じて主人公とお供の動物のレベルがあがる。このレベルが高いほど鬼ケ島に行ったときに鬼どもに対し有利に戦いが進められる。ステップ202では,例えば,ゲームを一時終了し,ゲーム機Aから離れねばならない時万歩計Bを自分の体に装着する。このとき,犬,猿,キジを飼っている家庭であればこれらの動物にも万歩計Bを取り付ける。また,それらの動物を飼っていない家庭であれば,家族をそれらの動物に見立てて万歩計Bを装着してもらう。万歩計Bを装着した本人や家族がそれぞれ活動する間,万歩計Bにステップ100からステップ103の順序で運動量データが蓄積されていく。そこで,ステップ203では,しばらくしてゲームを再開するとき装着した万歩計Bを回収し,得られたデータを対応するゲーム機A内にプログラムされているキャラクタに転送する。そこで,ゲーム機Aは,受信した万歩計Bのデータに従い,それぞれのキャラクタのレベルを上げるための確認が行われる。すなわち,万歩計Bで得られたデータによってレベルの上がった主人公は,やはり万歩計Bで得られたデータによりレベルの上がったお供を従え鬼ケ島へ乗り込み鬼を退治する。なお,ここで,ステップ204に移行し,ゲームを継続するか否かが問われ,ゲームを継続したい場合には,ステップ200に戻り,上述した要領でプレイが行われる。また,NOの場合には,ゲームは終了する。この際にも,プレイヤーは,ゲーム機を離れている間も万歩計Bによってゲームを終了させるためのデータの蓄積ができる。また,プレイヤー以外の人や動物までもがプレイヤーを手助けするためにデータの蓄積に協力したことは,これまでに無い楽しみを得られることになる。なお,ステップ200でYESの場合について述べると,ゲーム機Aでは,受信した万歩計Bのデータを入力し,そのデータに基づいてプログラムされている中でそれぞれのキャラクタのレベルを上げるための確認がステップ202で行われる。なお,万歩計Bは,スタートで初期設定=リセット(すなわち,リセット後24時間(=任意に設定可能)のデータが有効に活用できるように設定されていて,24時間を経過すると自動的にリセットされるか,あるいは転送できなくしてメモリ容量を節約するようになっている。)また,データ送信手段としては,光通信,電波,ケーブルなども考えられる。さらに,この実施例では,ゲームソフトが蓄積される記憶手段としてフロッピー5が用いられているが,ハードディスクやフラッシュメモリなど半導体メモリ装置を用いてもよいことは勿論説明するまでもない。このように,この実施例の本発明によれば,歩いた距離や歩行速度などを演算して表示する万歩計Bなどの運動量計測器からのデータによりゲーム中のキャラクタのレベルをコントロールすることができるため,レベルの高い面白いキャラクタを選択するためには,ゲームを始める前に所定の運動量をこなす必要があり,運動不足になりがちな現代の子供達や大人の運動不足を解消することが出来るとともに,運動したことにより反射神経も優れよりゲーム機の操作性が向上することでゲーム機の楽しみ方が多くなることになる。」
刊行物1の上記記載事項を含め,刊行物1の全記載を総合すると,刊行物1には以下の事項(以下,「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。
「加速センサー8,カウンタ9,CPU10,メモリ11,受光センサー12及び発光素子13が設けられた,歩いた距離や歩行速度などを演算して表示する万歩計Bであって,
万歩計Bの本体部1に表示部2及び送・受信機3が装着されるとともに,万歩計Bを取りつけた人或いは,動物が動いた歩数や運動量を演算する演算手段が内蔵され,
万歩計Bは,内部の運動量計測器をつかさどる加速センサー8によって測定された運動量のデータを受光センサー12及び発光素子13からなる送・受信機3により,ゲーム器Aの送・受信機4に送信し,運動量のデータの送信が完了すると受信完了信号を受信するようになっており,
ゲーム機Aによりゲームをスタートし,プログラムソフトが指定されると,万歩計Bの運動量データを入力するか否かが問われ,NOの場合には,ゲームの進行に従いゲーム機Aでプログラムされているプログラムソフトが指定され,ゲームを進めるに従い主人公とお供の動物のレベルがあがり,ゲームを一時終了し,ゲーム機Aから離れねばならない時,万歩計Bを自分の体,又は,犬,猿,キジを飼っている家庭であればこれらの動物,又は,家族に装着してもらい,万歩計Bを装着した本人や家族がそれぞれ活動する間,万歩計Bに運動量データが蓄積されていき,しばらくしてゲームを再開するとき装着した万歩計Bを回収し,万歩計Bの得られたデータを対応するゲーム機A内にプログラムされているキャラクタに転送し,ゲーム機Aは,受信した万歩計Bのデータに従い,それぞれのキャラクタのレベルを上げるための確認が行われる運動量入力機能付ゲーム機。」
(2)刊行物3
平成29年4月14日付け拒絶の理由に引用し,本願の優先日前である平成18年9月21日に頒布された特開2006-247219号公報(以下「刊行物3」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ウ「【0015】
図1は,本形態のペース調整装置において,特にその使用態様を図示したものである。このペース調整装置は,本体100とイヤーピース部200の2つのデバイスにより構成されている。本体100は使用者1の腰に取り付けることのできる程度の大きさを有し,ジョギング等の運動を行っている最中でもその位置がずれることの無いように固定されている。イヤーピース部200は利用者の耳に取り付けることのできる程度の大きさを有し,ジョギング等の運動を行っている使用者1の脈拍を測るように機能する。本体100とイヤーピース部200はブルートゥースによる通信システムを利用して互いに所定の情報を送受信することができる。
【0016】
図2は,本体100の構成を示したブロック図である。本体100は,電源投入ボタン101,スタートボタン102,操作部103,時計部104,GPS情報受信部105,無線受信部106,無線発信部107,表示部108,外部PC(personal computer) I/F部109,CPU(central processing unit)110,ROM(read only memory)111,バイオ情報格納部112,バイオ情報解析部113,コース情報格納部114,コース情報解析部115,ペースメーカ情報生成部116,音声情報生成部117,振動情報生成部118を有して構成されている。各部はバスにて接続されており,所定の情報を互いに送受信することができるようになっている。」
エ「【0019】
表示部108は使用者1が操作部103より入力した情報や,後述するトレーニングのペースの調整に関する情報であるペースメーカ情報を表示する機能を有する。外部PC I/F部109は所定のケーブルを接続することのできる構造を有しており,所定の情報を格納し,所定の情報処理を行うPCと情報の送受信を行う機能を有する。」
オ「【0021】
バイオ情報格納部112は使用者1の身体的特徴をあらわすバイオ情報を格納する機能を有する。使用者1の身体的特徴としては,例えば,使用者の身長,体重,年齢,基礎代謝能力,体脂肪率,運動中の脈拍・血圧・単位時間当たりの呼吸回数・血中酸素濃度などがある。バイオ情報解析部113は後述するイヤーピース部200から受信する使用者1の脈拍に関する情報,バイオ情報格納部112に格納されているバイオ情報に基づいて,トレーニングを行っている使用者の状態を解析する機能を有する。」
カ「【0023】
ペースメーカ情報生成部116はバイオ情報解析部113による解析結果とコース情報格納部114による解析結果に基づいて,ペースメーカ情報を生成する機能を有する。ペースメーカ情報に係るペースの調整の具体的なものは走行速度・ピッチ・ジョギングフォームなどがある。音声情報生成部117はペースメーカ情報を音声情報に変換して生成する機能を有する。振動情報生成部118はペースメーカ情報を振動情報に変換して生成する機能を有する。」
【0024】
図3は,イヤーピース部200の構成を示したブロック図である。イヤーピース部200は,電源投入ボタン201,脈拍センサ202,無線発信部203,無線受信部204,音声制御部205,イヤホン206,振動制御部207,モータ208を有して構成されている。
【0025】
電源投入ボタン201はイヤーピース部200の電源を投入または切断するボタンである。脈拍センサ202は使用者1の耳と接触しており,脈拍を測る機能を有する。無線発信部203,無線受信部204はそれぞれブルートゥースによる通信システムを利用して,本体100と所定の情報を送信,受信する機能を有する。無線発信部203は脈拍センサ202より受信する脈拍に係る情報である脈拍情報を本体100に送信する。
【0026】
音声制御部205は本体100より受信した音声情報をイヤホン206に出力させるように制御する機能を有する。イヤホン206は音声制御部205の制御のもと,音声を出力する。
【0027】
振動制御部207は本体100より受信した振動情報をモータ208に出力させるように制御する機能を有する。モータ208は振動制御部207の制御のもと,駆動してイヤーピース部200全体を振動させる。」
キ「【0035】
なお,ジョギングのペースにおいて,ペースメーカ情報生成部116が生成したペースメーカ情報(走行速度・ピッチ・ジョギングフォームなど)を絶えず表示部108に表示しておくようにすると良い。また,基準とするペースを予めPCのような外部端末にて,ペースメーカ情報として作成し,それらを所定の記憶素子に記憶させるようにすると良い。その基準とずれたペースでジョギングしていたらアラームを通知する形態を採ると良い。」
刊行物3の上記記載事項を含め,刊行物3の全記載を総合すると,刊行物3には以下の事項(以下,「刊行物3発明」という。)が記載されていると認められる。
「本体100とイヤーピース部200の2つのデバイスにより構成されるペース調整装置であって,
使用者1の腰に取り付ける本体100と,利用者の耳に取り付けるイヤーピース部200はブルートゥースによる通信システムを利用して互いに所定の情報を送受信することができ,
本体100は,電源投入ボタン101,スタートボタン102,操作部103,時計部104,GPS情報受信部105,無線受信部106,無線発信部107,表示部108,外部PC(personal computer) I/F部109,CPU(central processing unit)110,ROM(read only memory)111,バイオ情報格納部112,バイオ情報解析部113,コース情報格納部114,コース情報解析部115,ペースメーカ情報生成部116,音声情報生成部117,振動情報生成部118を有するものであって,
上記表示部108は使用者1が操作部103より入力した情報や,後述するトレーニングのペースの調整に関する情報であるペースメーカ情報を表示する機能を有し,
上記バイオ情報解析部113は後述するイヤーピース部200から受信する使用者1の脈拍に関する情報,バイオ情報格納部112に格納されているバイオ情報に基づいて,トレーニングを行っている使用者の状態を解析する機能を有し,
上記ペースメーカ情報生成部116はバイオ情報解析部113による解析結果とコース情報格納部114による解析結果に基づいて,走行速度・ピッチ・ジョギングフォームなどのペースメーカ情報を生成する機能を有し,
イヤーピース部200は,電源投入ボタン201,脈拍センサ202,無線発信部203,無線受信部204,音声制御部205,イヤホン206,振動制御部207,モータ208を有するものであって,
無線発信部203,無線受信部204はそれぞれブルートゥースによる通信システムを利用して,本体100と所定の情報を送信,受信する機能を有し,
音声制御部205は本体100より受信した音声情報をイヤホン206に出力させるように制御する機能を有し,
ペースメーカ情報生成部116が生成したペースメーカ情報(走行速度・ピッチ・ジョギングフォームなど)を絶えず表示部108に表示することができ,
基準とするペースを予めPCのような外部端末にて,ペースメーカ情報として作成し,それらを所定の記憶素子に記憶させて,その基準とずれたペースでジョギングしていたらアラームを通知するペース調整装置。」
(3)刊行物4
平成29年4月14日付け拒絶の理由に引用し,本願の優先日前である平成17年8月25日に頒布された特開2005-224318号公報(以下「刊行物4」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ク「【0028】
図1に,本発明の実施の形態によるペースメーカーの構成例を模式的に示す。ペースメーカー1は,走者の運動及び体調に関する諸情報を検出するためのセンサを有するセンサ部2,センサ部2で検出された諸情報に基づいて演算処理を行い,タイミング信号を生成する本体部3,本体部3で生成されたタイミング信号に基づいて走者が認識可能な誘導信号を生成する刺激発生部4を備える。また,本体部3にはペースメーカー1全体を制御して,走者6の運動及び体調に関する諸情報から走者に誘導信号を送信させる制御アルゴリズム5が格納されている(図2参照)。
【0029】
走者6は,例えば,手首や足首等にセンサ部2をそれぞれバンドで装着し,腰に本体部3をベルトで装着し,頭に刺激発生部4としてのヘッドホンを装着する。また,本体部3は無線によりパーソナルコンピュータ(PC)7と通信可能に構成することも可能である。この場合,パーソナルコンピュータ7は本体部3から運動及び体調に関する諸情報を受信し,分析して,分析結果に基づき適宜指示を送信することも可能であり,分析に多数の走者6の運動及び体調に関する諸情報を収録したデータベース(DB)8を参照することも可能である。以下,センサ部2,本体部3,刺激発生部4について順次説明する。」
ケ「【0031】
図2に本実施の形態によるペースメーカー1内部の構成例を示す。センサ部2は走者の運動及び体調に関する諸情報を検出するためのセンサを有するもので,運動検出部21,距離検出部22,生理情報検出部23および信号出力部24を有する。」
コ「【0035】
信号出力部24では,運動検出部21,距離検出部22および生理情報検出部23で検出した情報に,必要ならノイズ除去などの適切な前処理を施し,本体部3に送出する。この信号の送出には,各センサの装着位置などに応じて有線あるいは無線を用いる。特にセンサ部を脚や腕に装着する場合は,無線接続することによって,センサの装着性および安全性を改善できる。さらに無線接続の場合には,複数のセンサを同一走者の様々な身体部位に装着したり,複数の走者に装着したりすることが可能になり多種の情報の検出に便宜である。」
サ「【0036】
図3に本実施の形態による本体部の構成例を示す。本体部3は,センサ部2で検出された諸情報に基づいて演算処理を行い,タイミング信号を生成する。すなわち,センサ部2で検出された運動情報や生理情報に基づいて,目標とする走行ピッチ,走行距離,スピード,運動負荷を実現するためのタイミング制御を行ない,刺激発生部4にリズム音又は音楽等のリズム刺激による誘導信号を発生させ,走者の走行をコントロールする。本体部3は,入力部31,インタフェース部32,メモリ部33,目標設定部34,演算部35,タイミング生成部36,出力部37および制御部38を有する。」
シ「【0058】
刺激発生部4は,本体部3から出力されたタイミング信号に従ってリズム音などの誘導信号を発生し,イヤホン,ヘッドホンやスピーカなどを用いて走者に提示する。走者には,リズム音以外にも,音楽によるリズム刺激を用いても提示しても良く,LED(発光ダイオード)等を用いた視覚へのリズム刺激の提示も可能である。また,走者に,走行距離,スピードなどのデータや,気温,風力などの気象情報,目印などの地理情報を,手首にバンドで小型ディスプレイを取り付けて表示したり,イヤホンなどから音声出力したりすることも可能である。このようにすると,走者は走行中のデータをリアルタイムに見ることができ,走行中のランニングに直ぐにフィードバックできる。」
ス「【0067】
(e)一般トレーニングであれば,例えば,その時のトレーニングについて,天候,体調を考慮し,過去のデータを参照して,走行距離及びスピードの目標値を時間の関数として設定する。そして,走行距離データ又はスピードデータの目標値と測定値とに差異が生じた場合には,現在のピッチ及び走行距離又はスピードの測定値から,現在のピッチを所定のピッチに変えれば目標の走行距離又はスピードになるように(走行距離の場合は所定時間後に),所定のピッチを演算し,そのピッチのタイミング信号を生成し,出力部37から刺激発生部4に送信する。走行距離データとスピードデータのいずれを用いるか,又はいかなる割合で用いるかは,走者の意思により,また状況に応じて自由に選択できる。例えば,走行距離:スピードをα:βの比率で重視すれば,ピッチの増加分をΔp,走行距離の測定値との目標値との差をΔr,スピードの測定値との目標値との差をΔv,比例係数をkとして,Δp=-k(αΔd+βΔv)/(α+β)のように演算式を作成できる。演算部35では走行距離及びスピードの測定値との目標値との差を演算式に代入して,ピッチの増加分を算出し,現在のピッチにピッチの増加分を加算した値に対応するタイミング信号を生成し,出力部37から刺激発生部4に送信する。」
刊行物4の上記記載事項を含め,刊行物4の全記載を総合すると,刊行物4には以下の事項(以下,「刊行物4発明」という。)が記載されていると認められる。
「走者の運動及び体調に関する諸情報を検出するためのセンサを有するセンサ部2,センサ部2で検出された諸情報に基づいて演算処理を行い,タイミング信号を生成する本体部3,本体部3で生成されたタイミング信号に基づいて走者が認識可能な誘導信号を生成する刺激発生部4からなるペースメーカー1であって,
走者6は,例えば,手首や足首等にセンサ部2をそれぞれバンドで装着し,腰に本体部3をベルトで装着し,頭に刺激発生部4としてのヘッドホンを装着し,
センサ部2の信号出力部24は,運動検出部21,距離検出部22および生理情報検出部23で検出した情報を,無線で本体部3に送出し,
本体部3は,センサ部2で検出された運動情報や生理情報に基づいて,目標とする走行ピッチ,走行距離,スピード,運動負荷を実現するためのタイミング制御を行ない,刺激発生部4にリズム音又は音楽等のリズム刺激による誘導信号を発生させ,走者の走行をコントロールするものであって,
刺激発生部4は,本体部3から出力されたタイミング信号に従ってリズム音などの誘導信号を発生し,イヤホン,ヘッドホンやスピーカなどを用いて走者に提示するものであって,走行距離,スピードなどのデータや,気温,風力などの気象情報,目印などの地理情報を,手首にバンドで小型ディスプレイを取り付けて表示することが可能であり,
本体部3は,天候,体調を考慮し,過去のデータを参照して,走行距離及びスピードの目標値を時間の関数として設定し,走行距離データ又はスピードデータの目標値と測定値とに差異が生じた場合には,現在のピッチ及び走行距離又はスピードの測定値から,現在のピッチを所定のピッチに変えれば目標の走行距離又はスピードになるように,所定のピッチを演算し,そのピッチのタイミング信号を生成し,出力部37から刺激発生部4に送信するペースメーカー1。」
3 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比する。
後者の「万歩計B」は,「運動量計測器をつかさどる加速センサー8」,「人或いは,動物が動いた歩数や運動量を演算する演算手段」,及び「ゲーム機Aと送受信を行う送・受信機3」を有していること,万歩計Bを装着した本人や家族や動物がそれぞれ活動する間万歩計Bに蓄積された運動量データを対応するゲーム機A内にプログラムされているキャラクタに転送し,ゲーム機Aは,受信した万歩計Bのデータに従い,それぞれのキャラクタのレベルを上げているものである。
したがって,後者の「万歩計B」は,運動量のデータを測定する加速センサー8を有する点において,前者の「運動モニタ」に相当する機能部分を有していることは自明であるから、両者は運動モニタ機能との概念で共通する。
また,後者の「万歩計B」は,万歩計Bによって得られた運動量データを対応するゲーム機A内にプログラムされているキャラクタに転送し,ゲーム機Aは受信した万歩計Bのデータに従い,それぞれのキャラクタのレベルを上げている点,及び,万歩計Bを取りつけた人或いは,動物が動いた歩数や運動量を演算する点において,前者の「携帯型電子処理装置」に相当する機能を有することは自明であり,万歩計Bによって得られたデータを対応するゲーム機A内にプログラムされているキャラクタに転送する際に必要な「プログラム」を備えることも自明である。
したがって,後者の「万歩計B」は,前者の「携帯型電子処理装置」に相当する機能部分を有していることは自明であるから、両者は携帯型電子処理装置機能との概念で共通する。
後者の「万歩計B」において,「運動モニタ」に相当する機能を有する構成と,「携帯型電子処理装置」に相当する機能を有する構成が協働していることは明らかであって,これを踏まえると,後者の「万歩計B」は,前者の「スポーツ用電子システム」に相当するといえる。
後者の「万歩計B」は,歩いた距離や歩行速度などを演算して表示しており,万歩計の技術常識を踏まえると,「歩いた距離や歩行速度などの表示」は,個人のエクササイズ中においても,個人のパフォーマンスとして示していることは,自明である。
以上のことより,両者は,
〈一致点〉
「運動モニタ機能と,
携帯型電子処理装置機能と
を備えるスポーツ用電子システムであって,
個人のエクササイズ中に前記個人のパフォーマンスを示し,
エクササイズ後に電子ゲームとのインタラクションを行うプログラムを備えるスポーツ用電子システム。」
である点で一致し,以下の点で相違している。
<相違点>
相違点1
本願発明は「運動モニタ」と「携帯型電子処理装置」が無線通信を行っており,無線通信を行っている以上「運動モニタ」と「携帯型電子処理装置」とは別体であると考えられるが,刊行物1発明の「運動モニタに相当する機能部分」は運動量のデータを測定し,「携帯型電子処理装置に相当する機能部分」は該運動量のデータを演算するのであるから,両者の間に何らかのデータの通信が行われていることは自明であるが,無線通信であるかについては不明であり,「運動モニタに相当する機能部分」と「携帯型電子処理装置に相当する機能部分」とが一体となった万歩計である点。
相違点2
本願発明は,携帯型電子処理装置において,「個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」しているのに対して,刊行物1発明では,万歩計Bにおいて,個人のエクササイズ中に当該個人のパフォーマンスを示しているものの,「携帯型電子処理装置に相当する機能部分」において表示しているかについては不明であり,「個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」すものではない点。
4.判断
上記相違点について検討する。
(1)刊行物1発明と刊行物3発明
ア 相違点1について
刊行物3発明における「本体100」,「イヤーピース部200」,及び「ペース調整装置」は,本願発明の「携帯型電子処理装置」,「運動モニタ」,及び「スポーツ用電子システム」に,それぞれ相当し,「本体100」と「イヤーピース部200」とは「ブルートゥースによる通信システムを利用して,所定の情報を送信,受信する機能」を有しているから,刊行物3発明は「運動モニタと携帯型電子処理装置とが無線通信」しており,「運動モニタ」と「携帯型電子処理装置」とは別体であるといえる。
したがって,刊行物3発明には相違点1に係る本願発明の発明特定事項が記載されている。
ここで,刊行物1発明も刊行物3発明も,本願発明と同じ「スポーツ用電子システム」に関する発明であって,刊行物1発明の「スポーツ用電子システム」に,刊行物3発明に記載の無線通信によって結ばれた別体の「運動モニタ」と「携帯型電子処理装置」を適用して,相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすること何ら技術的困難性はなく,本願発明において格別の作用,効果を奏するものではない。
よって,相違点1に係る本願発明の構成は,刊行物1発明と刊行物3発明とから,当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点2について
刊行物3発明は,イヤーピース部200から受信する使用者1の脈拍に関する情報,バイオ情報格納部112に格納されているバイオ情報に基づいて,トレーニングを行っている使用者の状態を解析し,ペースメーカ情報生成部116はバイオ情報解析部113による解析結果とコース情報格納部114による解析結果に基づいて,走行速度・ピッチ・ジョギングフォームなどのペースメーカ情報を生成し,ペースメーカ情報生成部116が生成したペースメーカ情報(走行速度・ピッチ・ジョギングフォームなど)を絶えず,本体100に設けられた表示部108に表示し,基準とするペースを予めPCのような外部端末にて,ペースメーカ情報として作成し,それらを所定の記憶素子に記憶させて,その基準とずれたペースでジョギングしていたらアラームを通知するものである。
したがって,刊行物3発明は「携帯型電子処理装置」において,「個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」しているといえ,刊行物3発明には相違点2に係る本願発明の発明特定事項が記載されている。
ここで,刊行物1発明も刊行物3発明も,本願発明と同じ「スポーツ用電子システム」に関する発明であることは,「ア 相違点1について」で述べたとおりである。
そして,刊行物1発明の「エクササイズ後に電子ゲームとのインタラクションを行うプログラムを備える携帯型電子処理装置」において,刊行物3発明の「個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」すことを適用した場合,該適用したものの作用効果からみて,格別の作用効果,つまりそれぞれの発明が有する作用効果の総和以上の作用効果を奏するものではない。
よって,刊行物1発明の「携帯型電子処理装置」に,「個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」す刊行物3発明を用いて,相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすること何ら技術的困難性はなく,相違点2に係る本願発明の構成は,刊行物1発明と刊行物3発明とから,当業者が容易に想到し得たものである。
また,本願発明の発明特定事項全体によって奏される作用効果も,刊行物1及び3発明から,当業者が予測しうる程度のものである。
(2)刊行物1発明と刊行物4発明
ア 相違点1について
刊行物4発明における「本体部3」,「刺激発生部4」及び「センサ部2」からなる「ペースメーカー1」は,本願発明の「スポーツ用電子システム」に相当する。
刊行物4発明における「「センサ部2」は,走者の運動及び体調に関する諸情報を検出するためのセンサであるから,本願発明の「運動モニタ」に相当する。
刊行物4発明における「本体部3」は,センサ部2で検出された諸情報に基づいて演算処理するものであり,「刺激発生部4」は,本体部3で生成されたタイミング信号に基づいて走者が認識可能な誘導信号を生成し,走行距離,スピードなどのデータや,気温,風力などの気象情報,目印などの地理情報を,手首にバンドで小型ディスプレイを取り付けて表示することも可能としているから,刊行物4発明における「本体部3」及び「刺激発生部4」は,本願発明の「携帯型電子処理装置」に相当する。
そして,刊行物4発明における「センサ部2」は「無線を利用して,運動検出部21,距離検出部22および生理情報検出部23で検出した情報を本体部3に送信する機能」を有しているから,刊行物4発明は「運動モニタと携帯型電子処理装置とが無線通信」しており,「運動モニタ」と「携帯型電子処理装置」とは別体であるといえる。
したがって,刊行物4発明には相違点1に係る本願発明の発明特定事項が記載されている。
ここで,刊行物1発明も刊行物4発明も,本願発明と同じ「スポーツ用電子システム」に関する発明であって,刊行物1発明の「スポーツ用電子システム」に,刊行物4発明のような無線通信によって結ばれた別体の「運動モニタ」と「携帯型電子処理装置」を適用して,相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすること何ら技術的困難性はなく,本願発明において格別の作用,効果を奏するものではない。
よって,相違点1に係る本願発明の構成は,刊行物1発明と刊行物4発明とから,当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点2について
刊行物4発明は,センサ部2で検出された運動情報や生理情報に基づいて,目標とする走行ピッチ,走行距離,スピード,運動負荷を実現するためのタイミング制御を行ない,本願発明の「携帯型電子処理装置」の一部に相当する刺激発生部4にリズム音又は音楽等のリズム刺激による誘導信号を発生させ,走者の走行をコントロールするものであって,走行距離,スピードなどのデータを表示することも可能である。
したがって,刊行物4発明は「携帯型電子処理装置」において,「個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」しているといえ,刊行物4発明には相違点2に係る本願発明の発明特定事項が記載されている。
ここで,刊行物1発明も刊行物4発明も,本願発明と同じ「スポーツ用電子システム」に関する発明であることは,「ア 相違点1について」で述べたとおりである。
そして,刊行物1発明の「エクササイズ後に電子ゲームとのインタラクションを行うプログラムを備える携帯型電子処理装置」において,刊行物4発明の「個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」すことを適用した場合,該適用したものの作用効果からみて,格別の作用効果,つまりそれぞれの発明が有する作用効果の総和以上の作用効果を奏するものではない。
よって,刊行物1発明の「携帯型電子処理装置」に,「個人のエクササイズ中に個人にフィードバックを提供する仮想トレーナーを備え,該フィードバックがパフォーマンス目標と比較して前記個人のパフォーマンスを示」す刊行物3発明を用いて,相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすること何ら技術的困難性はなく,相違点2に係る本願発明の構成は,刊行物1発明と刊行物4発明とから,当業者が容易に想到し得たものである。
また,本願発明の発明特定事項全体によって奏される作用効果も,刊行物1及び4発明から,当業者が予測しうる程度のものである。
第3 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1及び3発明,又は刊行物1及び4発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-007014