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特許拒絶査定不服審判

2016-006946

核酸の配列特異的な精製及び多重分析のための方法及び組成物

審判番号
2016-006946
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-511335外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年05月12日
審決日
2017年09月20日
公報発行日
2018年03月30日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (C12Q) / P18 .537-WZ (C12Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-511335「核酸の配列特異的な精製及び多重分析のための方法及び組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月24日国際公開、WO2011/146629、平成25年 7月 8日国内公表、特表2013-528049〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この出願は、平成23年(2011年)5月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年5月19日、アメリカ)を国際出願日とする出願であって、以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。 平成27年 5月25日付け 拒絶理由通知書 平成27年10月15日   意見書・手続補正書 平成28年 2月12日付け 拒絶査定 平成28年 5月12日   審判請求書・手続補正書 平成29年 1月12日   上申書 平成29年 4月25日付け 当審の拒絶理由通知書 平成29年 6月16日   意見書・手続補正書 第2 本願発明の認定 この出願の請求項1~15に係る発明は、平成29年6月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 【請求項1】 サンプルにおける少なくとも1つの標的核酸を検出する方法であって、 A.該少なくとも1つの標的核酸を精製することであって、 A1.該少なくとも1つの標的核酸を該少なくとも1つの標的核酸に特異的な少なくとも第1の核酸プローブを含むハイブリッドプローブセットとハイブリダイズすることにより、該少なくとも1つの標的核酸の二本鎖核酸ハイブリッドを生成すること、及び、 A2.該サンプルから該二本鎖核酸ハイブリッドを分離し、少なくとも1つの精製された核酸を生成する、分離すること、 により、該少なくとも1つの標的核酸を精製することであって、 二本鎖核酸ハイブリッドが、該二本鎖核酸ハイブリッドをハイブリッド特異的な分子と接触させることにより該サンプルから分離され、ハイブリッド特異的な分子との結合により、該標的核酸が固相に固定されることを特徴とし、 B.該少なくとも1つの精製された核酸の少なくとも一部分を増幅し、増幅された核酸を生成し、増幅することと、 C.該標的核酸を検出することであって、 C1.該増幅された核酸を少なくとも4つの核酸検出プローブの検出プローブセットと接触させ、少なくとも1つのハイブリッド複合体を形成させることであって、 該検出プローブセットが、A型呼吸器合胞体ウイルス、B型呼吸器合胞体ウイルス、B型アデノウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、1型~3型パラインフルエンザウイルス、ライノウイルスからなる群から選択される病原体から誘導される核酸に特異的な検出プローブを含み、 C1(a).該検出プローブセットの各検出プローブが検出可能な蛍光標識を有し、 C1(b).該検出プローブセットの少なくとも3つの検出プローブが同じ検出可能な蛍光標識を保有し、 C1(c).該検出プローブセットの同じ検出可能な蛍光標識を保有する各プローブは異なる融解温度(Tm)を有し、かつ、該検出プローブセットの同じTmを持つ各プローブは異なる蛍光標識を保有し、 C1(d).該検出プローブセットの各検出プローブが異なる標的核酸配列にハイブリダイズする、 C2.該増幅された核酸とハイブリダイズした検出プローブの該検出可能な蛍光標識を検出及び特定すること、並びに、 C3.該検出プローブセットの各検出プローブが該増幅された核酸から解離する温度を検出することであって、検出プローブセットの各検出プローブの検出可能な蛍光標識、及び、少なくとも1つのハイブリッド複合体の対応するハイブリッド複合体から解離する温度に基いて、該標的核酸を検出することと、 を含む、方法。 第3 刊行物に記載された事項 平成29年4月25日付け当審の拒絶理由通知で引用した、この出願の優先日前に頒布された下記の刊行物について、以下「引用文献1」、「引用文献2」という。 引用文献1:国際公開第09/135832号 引用文献2:J. Virol. Methods、2008、Vol.154、p.76-81 また、下記の刊行物について、以下「引用文献3」~「引用文献5」という。 引用文献3:特表2007-508824号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特表2007-523594号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5:特表2003-502059号公報(周知技術を示す文献) 1.引用文献1:国際公開第09/135832号 引用文献1には、以下の記載がある(原文は英語のため、当審による翻訳文で示す)。 なお、下線は当審が付したものである。 (1)「1.反応において、核酸配列を同時に増幅し検出する方法であって、 (i)少なくとも一つの核酸分子を含む試料を準備する工程、 (ii)増幅反応を行うための試薬を準備する工程、ここで、試薬は、少なくとも4つのプローブを含み、さらに、 a.各プローブは、核酸配列に特異的であり、 b.少なくとも2つのプローブは、同じ標識を有し、そして c.同じ標識を持つ各プローブの融解温度(Tm)は、同じ標識を持つ他のプローブの融解温度に対して、加熱によりプローブが標的の核酸配列から解離する際には、2℃より大きい差を有する、 (iii)反応中の核酸配列を増幅する工程、 (iv)標識されたプローブが核酸配列に結合したかを決定することにより増幅された核酸を検出する工程、及び (v)所与の標識された各プローブが、それが結合した核酸配列から解離する温度を検出する工程、 を含む方法。」(特許請求の範囲) (2)「2.プローブの標識が蛍光標識である請求項1に記載の方法。」(特許請求の範囲) (3)「本発明は、試料中のある種の核酸配列を同定する分野に関する。特に、本発明は、反応において、核酸配列を同時に増幅および検出する分野に関する。本発明は、試料中の核酸配列を検出するための方法、キット及び系に関する。」(第1頁7~11行) (4)「本発明の方法の他の好ましい実施態様では、試薬は、少なくとも4つのプローブを含み、ここで少なくとも3つのプローブは同じ標識を持つ。」(第5頁2~3行) (5)「プローブの標識は、好ましくは蛍光標識である。 2またはそれ以上の蛍光標識は、それらの最大発光波長が10nm以内、好ましくは5nm以内である場合は、同じ標識と仮定する。最も好ましくは、同じ蛍光標識は、同じ蛍光色素である。 同じ蛍光標識を持つプローブは、それらが融解点によって区別できるように、異なった融解温度(Tm)を有するのが好ましい。」(第6頁7~14行) (6)「本発明をより明瞭に説明するために、図1を参照する。本発明に従ったプローブセットは、少なくとも3つのプローブを含む。あるプローブセットは、すべてのプローブが共通の標識を共有しているとして見えるが、また、すべてのプローブが共通の融解温度(Tm)を有しているとして見える。理想的には、プローブセット中のプローブは、同じ標識または異なった融解温度をもつ他のプローブと区別できない標識を持つ。同一または非常に似ている融解温度を持つプローブセット中のプローブは、異なった標識を持つべきである。」(第7頁7~13行) (7)「発明者は、例えば20のテンプレートを用いた、多重増幅反応を実施できる方法を開発した。一つの実施態様において、5つの異なった標識が用いられ、共通の標識を共有するすべてのプローブは、僅かに異なった融解温度を持つ。一方、共通の融解温度を共有するすべてのプローブは、異なった標識を持つ。増幅中または増幅後に、標識及び融解温度を検出することにより、発明者は、一つのチューブ中で、例えば、20テンプレートを分析できる手段を初めて提供した。」(第7頁19~26行) (8)「図1 図1は、本発明の原理を示している。例えば行1中のプローブを用いて行う反応は、すべて共通の標識を共有する。しかし、プローブの融解温度は異なる。従って、異なる融解温度により、各プローブを同定することができる。例えば、列D中のプローブは、すべて同じ融解温度を持つが、異なった標識を持つ。従って、異なった標識により各プローブを同定できる。」(第22頁3~9行) (9)「本明細書で用いられる「核酸配列」なる語は、本発明の文脈において、核酸上の配列を意味する。核酸は、とりわけ、RNA、DNA、cDNA(相補的DNA)、LNA(ロックド核酸)、mRNA(メッセンジャーRNA)、mtRNA(ミトコンドリアRNA)、rRNA(リボソームRNA)、tRNA(トランスファーRNA)、nRAN(核内RNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、snRNA(低分子核内RNA)、snoRNA(核小体低分子RNA)、scaRNA(カハール体低分子RNA)、マイクロRNA、dsRNA(二本鎖RNA)、リボザイム、リボスイッチ、ウィルスRNA,dsDNA(二本鎖DNA)、ssDNA(一本鎖DNA)、プラスミッドDNA、コスミドDNA、染色体DNA、ウィルスDNA、mtDNA(ミトコンドリアDNA)、nDNA(核内DNA)、snDNA(低分子核内DNA)等、または試料中のバルク核酸と区別されうる他のクラス或いはサブクラスの核酸である。」(第3頁18~28行) (10)「開始核酸は、同一または異なる、1より大きい所望のターゲット核酸配列を含みうる。従って、本発明の方法は、同一または異なる核酸分子上の位置する複数のターゲット核酸配列を同時に増幅するために有用である。核酸は、いずれの供給源からもうることができ、プラスミド、クローン化DNA、及びバクテリア、酵母、ウィルス、及び植物や動物等の高等生物を含むいずれかの供給源から得られるDNAを含む。」(第9頁21~27行) (11)「いずれの起源の核酸も、もし、それが所望のターゲット核酸配列を含んでいるかまたは含んでいると考えられれば、精製したまたは非精製の形態で、開始核酸として用いることができる。」(第9頁8~10行)。 (12)「 」(図1) 2.引用文献2:J. Virol. Methods、2008、Vol.154、p.76-81 引用文献2には、以下の記載がある(原文は英語のため、当審による翻訳文で示す)。 (1)「GP5+/6+ PCRおよびLuminex XMAP上での多重検出と組み合わせたHybrid Captureサンプル調製法を用いたHPV遺伝子型解析の新しい方法」(タイトル) (2)「標的特異的サンプル調製は、Hybrid Capture(HC)抗体と結合された磁気ビースを用いて行われた。DNA-RNAハイブリッドは、DNA標的とRNAプローブの間で形成され、HC-ビーズ上に捕捉された。磁気ビース上のDNAは溶離されずに共通GP5+/6+ PCRを用いて増幅され、その後、17のハイリスクHPVタイプ16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、73、82および内部標準用のハイブリダイゼーションプローブを用いてLuminexビーズ上で遺伝子型解析された。」(要約3~8行) 3.引用文献3:特表2007-508824号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3には、以下の記載がある。 なお、下線は当審が付したものである。 (1)「【請求項1】 多重プライマーに基づく増幅のための方法であって、 前記増幅を、標的富化プライマーの少なくとも第一対及び第二対並びに標的増幅プライマー(前記標的増幅プライマーはFSP及びRSPを含む。)の少なくとも第一対を含む反応混合物中にて行うことを含み、並びに a.第一増幅反応[前記第一増幅反応は、 i)鋳型としての、少なくとも1つの病原因子からの核酸(前記核酸は前記病原因子からの少なくとも1つの標的配列を含む。); ii)前記核酸にハイブリダイズし、前記少なくとも1つの標的配列を囲う前記標的富化プライマーの第一対; iii)前記核酸にハイブリダイズし、前記少なくとも1つの標的配列を囲う前記標的富化プライマーの第二対(前記標的富化プライマーの第二対は少なくとも1つの標的配列に近接して位置し、前記標的富化プライマーの第二対の各々は5’末端に標的増幅プライマーの1つの配列に対応するスーパープライマー結合タグを含む。);及び iv)第一増幅反応が複数の第一増幅産物を生産するような、第一増幅反応のための増幅試薬と条件(前記第一増幅産物の少なくとも部分はスーパープライマー結合タグの少なくとも1つの相補物を含み、これにより少なくとも1つのスーパープライマー結合部位を形成する。) を使用する。]、及び b.第二増幅反応[前記第二増幅反応は、 i)鋳型としての、前記少なくとも1つのスーパープライマー結合部位を含む第一増幅産物の前記部分; ii)第一増幅産物の前記部分上の前記スーパープライマー結合部位に結合する、前記標的増幅プライマーの第一対;及び iii)第二増幅反応が少なくとも1つの標的配列を含む複数の第二増幅産物を生産するような、第二増幅反応のための増幅試薬と条件 を使用する。] を含む、前記方法。」(特許請求の範囲) (2)「【請求項25】 前記病原因子が、アデノウイルス、インフルエンザA型、インフルエンザB型、パラインフルエンザ1型、パラインフルエンザ3型及び呼吸器合胞体ウイルス、SARS、及び(コクサッキーウイルスA型、コクサッキーウイルスB型、ライノウイルス及びエコーウイルスを含む)エンテロウイルスから成る群より選択されるウイルスである、請求項24に記載の方法。」(特許請求の範囲) 4.引用文献4:特表2007-523594号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4には、以下の記載がある。 なお、下線は当審が付したものである。 (1)「【請求項31】 サンプル中のSARS-CoVおよび非SARS-CoV感染性生物をアッセイする方法であって、前記方法は、 a) 請求項1に記載のチップを提供すること; b) 前記チップを、核酸のハイブリダイゼーションに適切な条件下で、SARS-CoVおよび非SARS-CoV感染性生物のヌクレオチド配列を含有するかまたは含有する疑いのあるサンプルと接触させること;ならびに c) 前記サンプルに存在する場合、前記SARS-CoVまたは前記非SARS-CoV感染性生物の前記ヌクレオチド配列と、前記SARS-CoVゲノムノヌクレオチド配列に相補的な前記オリゴヌクレオチドプローブまたは前記非SARS-CoV感染性生物ゲノムのヌクレオチド配列に相補的な前記オリゴヌクレオチドプローブとの間に形成されるハイブリッドを評価することを含んでなり、 これにより、前記ハイブリッドの一方または両方の検出が、前記サンプル中の前記SARS-CoVおよび/または前記非SARS-CoV感染性生物の存在を示す、方法。」(特許請求の範囲) (2)「【請求項40】 SARS様症状が、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスOC43、ヒト腸内コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、肺炎マイコプラスマ、肺炎クラミジア、麻疹ウイルスおよび風疹ウイルスからなる群より選択される非SARS-CoV感染性生物により引き起される、請求項39に記載の方法。」(特許請求の範囲) 5.引用文献5:特表2003-502059号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5には、以下の記載がある。 なお、下線は当審が付したものである。 (1)「【請求項1】 標的核酸分子を含む可能性のある生物学的試料から遺伝情報を得る方法であり: a)(i)試料中の標的核酸分子、又は(ii)該試料中の標的核酸分子にハイブリダイズするプローブ、又は(iii)(i)もしくは(ii)の増幅産物、又は(iv)(i)のゲノム提示であるような核酸分子を提供する段階;並びに b)(a)の核酸分子を、5種より多い最小ゲノム派生物を有しかつ標的核酸分子を検出することができる検出配列を含むような検出アンサンブルと、接触又は比較することによる、標的核酸分子を検出する段階を含む、方法。」(特許請求の範囲) (2)「【請求項17】 生物学的試料が、気道試料であり、かつ遺伝情報が、ジフテリア菌(Cornybacterium diphtheriae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、レジオネラ菌(Legionella spp.)、ノカルジア菌(Nocardia spp.)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ヒストプラスマ・カプシェラタム(Histoplasma capsulatum)、コクシドイデス・イミティス(Coccidoides immitis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Crptococcus neofornans)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、ニューモシティス・カリニ(Pneumocystis carinni)、呼吸器合胞体ウイルス(Respiratory Syncytial Virus)、アデノウイルス(Adenovirus)、単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、パラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)、及びライノウイルス(Rhinovirus)の6種またはそれ以上からの該試料中の核酸分子の同定である、請求項1記載の方法。」(特許請求の範囲) 第4 当審の判断 1.引用文献1に記載された発明 第3 1.(5)~(8)の記載から、引用文献1に記載された発明においては、同じ蛍光標識を有するプローブは、異なる融解温度を持ち、同じ融解温度を有するプローブは、異なる蛍光標識を持つと認められる。そして、第3 1.(8)の記載から、融解温度および標識を検出することにより各プローブ、つまり、標的核酸を特定すると認められる。 また、第3 1.(7)、(10)の記載から、引用文献1に記載された発明においては、複数の異なる標的核酸を同時に増幅、検出していると認められ、その際には、それぞれの核酸に特異的にハイブリダイズするプローブが用いられていることは明らかである。 そうすると、第3 1.(1)~(12)の記載から、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されていると認められる。 「試料中の複数の異なる標的核酸を同時に増幅し検出する方法であって、 精製された標的核酸を準備し、 該標的核酸を同時に増幅し検出することであって、該標的核酸を、少なくとも4つのプローブを含む試薬と接触させ、ここで、該プローブがウイルスに特異的であり、 (a)該プローブが蛍光標識を有し、 (b)少なくとも3つのプローブは同じ蛍光標識を持ち、 (c)同じ蛍光標識を持つプローブは、それらが融解点によって区別できるように、異なった融解温度(Tm)を有し、かつ、同じ融解温度(Tm)を有するプローブは、異なる蛍光標識を有し、 (d)各プローブは、それぞれ異なる標的核酸にハイブリダイスし、 蛍光標識されたプローブが標的核酸に結合したかを決定することにより増幅された核酸を検出すること、及び 蛍光標識された各プローブがそれが結合した標的核酸から解離する温度、および、該プローブの蛍光標識を検出することにより標的核酸を特定すること を含む、 試料中の標的核酸を検出する方法。」(以下、「引用発明1」という。) 2.本願発明と引用発明1の対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 本願の請求項13には、「増幅と検出とを同時に行う、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。」と記載されているから、本願発明は、増幅と検出とを同時に行う場合を包含するものである。したがって、引用発明1の「標的核酸を同時に増幅し検出する方法」は、本願発明において、標的核酸の増幅と検出とを同時に行う場合に相当する。 また、引用発明1の「精製された標的核酸を準備し」は、本願発明の「A.該少なくとも1つの標的核酸を精製すること」に相当する。 そうすると、両者は、 「サンプルにおける少なくとも1つの標的核酸を検出する方法であって、 A.該少なくとも1つの標的核酸を精製すること、 B.該少なくとも1つの精製された核酸の少なくとも一部分を増幅し、増幅された核酸を生成し、増幅することと、 C.該標的核酸を検出することであって、 C1.該増幅された核酸を少なくとも4つの核酸検出プローブの検出プローブセットと接触させ、少なくとも1つのハイブリッド複合体を形成させることであって、 該検出プローブセットが、ウイルスから誘導される核酸に特異的な検出プローブを含み、 C1(a).該検出プローブセットの各検出プローブが検出可能な蛍光標識を有し、 C1(b).該検出プローブセットの少なくとも3つの検出プローブが同じ検出可能な蛍光標識を保有し、 C1(c).該検出プローブセットの同じ検出可能な蛍光標識を保有する各プローブは異なる融解温度(Tm)を有し、かつ、該検出プローブセットの同じTmを持つ各プローブは異なる蛍光標識を保有し、 C1(d).該検出プローブセットの各検出プローブが異なる標的核酸配列にハイブリダイズする、 C2.該増幅された核酸とハイブリダイズした検出プローブの該検出可能な蛍光標識を検出及び特定すること、並びに、 C3.該検出プローブセットの各検出プローブが該増幅された核酸から解離する温度を検出することであって、検出プローブセットの各検出プローブの検出可能な蛍光標識、及び、少なくとも1つのハイブリッド複合体の対応するハイブリッド複合体から解離する温度に基いて、該標的核酸を検出することと、 を含む、方法。」である点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1) 本願発明は、工程A.が、「A1.該少なくとも1つの標的核酸を該少なくとも1つの標的核酸に特異的な少なくとも第1の核酸プローブを含むハイブリッドプローブセットとハイブリダイズすることにより、該少なくとも1つの標的核酸の二本鎖核酸ハイブリッドを生成すること、及び、 A2.該サンプルから該二本鎖核酸ハイブリッドを分離し、少なくとも1つの精製された核酸を生成する、分離すること、 により、該少なくとも1つの標的核酸を精製することであって、 二本鎖核酸ハイブリッドが、該二本鎖核酸ハイブリッドをハイブリッド特異的な分子と接触させることにより該サンプルから分離され、ハイブリッド特異的な分子との結合により、該標的核酸が固相に固定されること」を特徴とすると特定されているのに対し、引用発明1は、工程A.については具体的に特定されていない点。 (相違点2) 本願発明は、検出プローブセットが、A型呼吸器合胞体ウイルス、B型呼吸器合胞体ウイルス、B型アデノウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス1型~3型パラインフルエンザウイルス、ライノウイルスからなる群から選択される病原菌から誘導される核酸に特異的な検出プローブを含むと特定されているのに対し、引用発明1は、ウイルスから誘導される核酸に特異的な検出用プローブを含むと特定されている点。 3.判断 (1)相違点1について 引用文献2には、第3 2.(1)、(2)に記載したように、標的DNAとRNAプローブのハイブリッドを形成させ、該ハイブリッドを、磁気ビーズ上に固定したDNA-RNAハイブリッド特異的抗体を用いて分離することにより精製する工程を含む、標的DNAの検出方法が記載されている。 引用文献1、2に記載された発明は、いずれも試料中の標的核酸の検出方法に関するものであるから、引用発明1において、精製された複数の異なる標的核酸を準備する際に、引用文献2に記載された精製方法、すなわち、複数の標的核酸と複数のRNAプローブのセットをハイブリダイズさせて複数の二本鎖ハイブリッドを形成し、該ハイブリッドを、磁気ビーズ、すなわち固相に固定したハイブリッド特異的抗体、すなわちハイブリッド特異的な分子に接触させることにより試料から該ハイブリッドを分離、精製する方法を用いることは、当業者が容易になし得ることである。 (2)相違点2について 本願優先日前、増幅やプローブを用いて試料中のウイルスを検出する際に、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス等を検出対象とすることは、引用文献3~5に記載されているように周知技術であったから、これらのウイルスの核酸を標的核酸として用いることは、当業者が容易になし得ることである。 そして、本願発明の効果についても、当業者が予測し得る程度のものである。 4.審判請求人の主張について 審判請求人は、平成29年6月16日付け意見書において、「本願発明は、補正により、「検出プローブセットの同じTmを持つ各プローブは異なる蛍光標識を保有すること」及び「検出プローブセットの各検出プローブが異なる標的核酸配列にハイブリダイズすること」、そして、「検出プローブセットの各検出プローブの検出可能な蛍光標識、及び、少なくとも1つのハイブリッド複合体の対応するハイブリッド複合体から解離する温度に基いて、該標的核酸を検出すること」を構成要件に含むものです。これらの構成は、引用発明1の構成にはないものです。」と主張している。 しかしながら、上記1.で述べたとおり、引用文献1には、同じ蛍光標識を有するプローブは、異なる融解温度を持ち、同じ融解温度を有するプローブは、異なる蛍光標識を持つことが記載されているから、「検出プローブセットの同じTmを持つ各プローブは異なる蛍光標識を保有すること」が引用発明1の構成にないとする審判請求人の主張は、採用できない。 また、上記1.で述べたとおり、引用文献1に記載された発明においては、複数の異なる核酸を標的として増幅、検出が行われていると認められ、その際には、それぞれの核酸に特異的にハイブリダイズするプローブが用いられていることは明らかであるから、「検出プローブセットの各検出プローブが異なる標的核酸配列にハイブリダイズすること」が引用発明1の構成にないとする審判請求人の主張も、採用できない。 また、上記1.で述べたとおり、引用文献1には、融解温度および標識を検出することにより各プローブ、つまり、標的核酸を特定することが記載されているから、「検出プローブセットの各検出プローブの検出可能な蛍光標識、及び、少なくとも1つのハイブリッド複合体の対応するハイブリッド複合体から解離する温度に基いて、該標的核酸を検出すること」が引用発明1の構成にないとする審判請求人の主張も、採用できない。 5.まとめ したがって、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、引用文献1、2に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-006946

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