審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2016-005524

コンロ

審判番号
2016-005524
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-159443外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年04月14日
審決日
2017年01月31日
公報発行日
2017年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F24C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-159443号「コンロ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月 4日出願公開、特開2013- 24475号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成23年7月21日の出願であって、平成27年6月24日付けで拒絶理由が通知され、平成27年9月15日に意見書及び補正書が提出され、平成28年2月1日付けで拒絶査定がされた。これに対し、平成28年4月14日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成28年4月14日付けの手続補正の補正却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成28年4月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1について、平成27年9月15日付けの補正書の特許請求の範囲の請求項1の 「加熱用位置に位置する被加熱物を加熱するバーナと、 前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、 前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御する燃焼制御手段とが設けられたコンロであって、 前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において前記温度検出手段が検出する温度を設定温度に維持するように前記バーナの火力を制御する自動温度調節制御を実行し、前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が検出した温度の低下に伴い前記バーナの火力を大火力側に変更する場合に、前記バーナの火力を大火力側に変更する前に自動温度調節火力増加報知を行うように構成されており、さらに、 前記加熱用位置に被加熱物が存在するか否かを検出する被加熱物検出手段を備え、 前記燃焼制御手段は、前記被加熱物検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御し、 前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において、前記被加熱物検出手段が被加熱物の不存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を不存在時燃焼量に低下させる不存在時燃焼量低下処理を実行し、前記被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を前記不存在時燃焼量から増加させる燃焼量増加処理を実行するように構成されており、前記燃焼量増加処理の実行の前に燃焼量増加報知を行うこと を特徴とするコンロ。」は、 「加熱用位置に位置する被加熱物を加熱するバーナと、 前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、 前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御する燃焼制御手段とが設けられたコンロであって、 前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において前記温度検出手段が検出する温度を設定温度に維持するように前記バーナの火力を制御する自動温度調節制御を実行し、前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が検出した温度の低下に伴い前記バーナの火力を大火力側に変更する場合に、前記バーナの火力を大火力側に変更する前に自動温度調節火力増加報知を行うように構成されており、さらに、 前記加熱用位置に被加熱物が存在するか否かを検出する被加熱物検出手段を備え、 前記燃焼制御手段は、前記被加熱物検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御し、 前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において、前記被加熱物を前記加熱用位置から移動させた場合に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の不存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を不存在時燃焼量に低下させる不存在時燃焼量低下処理を実行し、前記被加熱物を前記加熱用位置に位置させた後に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を前記不存在時燃焼量から増加させる燃焼量増加処理を実行するように構成されており、前記燃焼量増加処理の実行の前に燃焼量増加報知を行うこと を特徴とするコンロ。」へと補正された。(下線は、補正された箇所を示す。) そして、この補正は、特許請求の範囲に記載した発明を特定するために必要な事項である、被加熱物検出手段が被加熱物の不存在を検出すると、不存在時燃焼量低下処理を実行するのが、「前記被加熱物を前記加熱用位置から移動させた場合」であること、及び被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、バーナの燃焼量を不存在時燃焼量から増加させる燃焼量増加処理を実行するのが、「前記被加熱物を前記加熱用位置に位置させた後」であることの限定を付加するものであり、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでもないことは明らかである。 よって、本件補正における請求項1に係る発明の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的とするものである。 2 独立特許要件についての検討 (1)そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものか)について検討する。 (2)引用例 ア 引用例1 原査定の拒絶の理由に「引用文献1」として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-332151号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 ガスバーナと、調理容器の温度を検出する温度センサと、ガスバーナへのガス通路に介設されたガス弁と、該ガス弁を迂回するバイパス通路とを有し、前記温度センサの検出値に基付いて前記ガス弁を制御し、ガスバーナの燃焼を強火と弱火に交互に切り換えて調理容器の温度を規制するガスこんろにおいて、一旦燃焼を開始したのち弱火から強火へ切り換える際に、該切り換えに応じて作動する警報器を設けたことを特徴とするガスこんろ。 【請求項2】 請求項1において、弱火から強火へ切り換える前に作動する警報器を設けたことを特徴とするガスこんろ。」 (イ)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガスこんろに点火したのちに、ガス弁を制御して火力を強弱に交互に切り換えたり、強火の発生と消火を交互に繰り返してガスバーナから発生する熱量を調節し、この調節によって調理容器を略一定の温度に維持するようにしたガスこんろに関する。」 (ウ)「【0003】しかし、前記温度調節機能付きのガスこんろでは、弱火から強火への切り換えや消火からの再点火は、温度調節装置が自動的に行なうものであり、この機能を特に前記の大熱量のガスこんろに適用すると、突然に大きい強火の燃焼が発生することから、使用者にとっては不意に発生する強い火力又は再燃焼によってその度に驚かされるおそれがある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガスこんろが、温度調節機能の作用によって弱火から不意に強火の燃焼を発生し、又は消火状態から不意に強火の再燃焼が生じても、使用者が驚かないようにすることを課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための手段のうち、第1の手段は,請求項1に記載したとおり、ガスバーナと、調理容器の温度を検出する温度センサと、ガスバーナへのガス通路に介設されたガス弁と、該ガス弁を迂回するバイパス通路とを有し、前記温度センサの検出値に基付いて前記ガス弁を制御し、ガスバーナの燃焼を強火と弱火に交互に切り換えて調理容器の温度を規制するガスこんろにおいて、一旦燃焼を開始したのち弱火から強火へ切り換える際に、該切り換えに応じて作動する警報器を設けたことを特徴とする。 【0006】この手段によれば、調理中にガスバーナが弱火から強火へ切り換わるとき警報が出されるので、炎が大きくなることに対する心構えができる。 【0007】また第2の手段は、請求項2に記載したとおり、請求項1において、弱火から強火へ切り換える前に作動する警報器を設けたことを特徴とする。 【0008】この手段によれば、弱火から強火へ切り換わる前に警報が出されるので、炎が大きくなることに対する心構えが十分にできる。」 (エ)「【0014】11は制御器で、該制御器11は、鍋Pに収容された調理物の温度を所定温度に保つために、温度センサ9で検出した鍋Pの温度に対応する信号を、あらかじめ設定した基準レベルと比較して、電磁ガス弁5を開閉制御し、更に警報器12を制御する。」 イ 引用例1に記載された発明 引用例1の請求項2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「ガスバーナと、調理容器の温度を検出する温度センサと、ガスバーナへのガス通路に介設されたガス弁と、該ガス弁を迂回するバイパス通路とを有し、前記温度センサの検出値に基付いて前記ガス弁を制御し、ガスバーナの燃焼を強火と弱火に交互に切り換えて調理容器の温度を規制するガスこんろにおいて、一旦燃焼を開始したのち弱火から強火へ切り換える際に、弱火から強火へ切り換える前に作動する警報器を設けたことを特徴とするガスこんろ。」 ウ 引用例2 原査定の拒絶の理由に「引用文献3」として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-14573号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。(「・・・」は省略を意味する。) (ア)「【請求項1】 加熱される調理具類の荷重を測定する荷重測定手段と、 加熱中の温度を測定する温度測定手段と、 測定された荷重と温度に応じて加熱量を調整する調整手段と、 を具備する加熱調理装置。 ・・・ 【請求項4】 前記調整手段は、荷重が存在しない場合で、温度が所定の閾値を越えた場合、加熱量を小さくし、再び荷重が存在するようになると、加熱量を元に戻すことを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。」 (イ)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、一般に使用されるガステーブルや電気コンロなどの加熱調理装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の加熱調理装置として、加熱調理装置の上に置いた鍋等の温度を測定して、危険温度に達したらガスを遮断する機能を有するものがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、このような従来の加熱調理装置を用いて調理を行なう場合、加熱調理装置上から一時的に鍋等を取り去り、別の場所で鍋内に調理品等を入れて、再び鍋を加熱調理装置に載せて加熱するようなことがある。 【0004】しかしながら、一時的に鍋を加熱調理装置から取り去ると、温度が急上昇し、ガスが自動的に遮断されてしまい、再び鍋を加熱する場合、再び点火しなければならず操作が煩わしいという問題点があった。 【0005】本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、操作の簡単な加熱調理装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために本発明は、加熱される調理具類の荷重を測定する荷重測定手段と、加熱中の温度を測定する温度測定手段と、測定された荷重と温度に応じて加熱量を調整する調整手段と、を具備する加熱調理装置である。 【0007】 【作用】本発明では、加熱される調理具類の荷重を測定し、加熱中の温度を測定し、測定された荷重と温度に応じて加熱量を調整する。」 (ウ)「【0009】図1は、本発明の1実施例に係るガス加熱調理装置1の概略構成図である。ガス加熱調理装置1の本体3の上部には五徳5とバーナー7が設けられる。本体3の中央部分には、支持棒9が設けられ、この支持棒9の上端に温度センサ11が設けられている。支持棒9の下方にはバネ13が設けられる。」 (エ)「【0013】まず、手動によってガス加熱調理装置1を点火し(ステップ201)、温度センサ11によって温度を測定し(ステップ202)、荷重センサ15によって荷重を測定し(ステップ203)、荷重が0(ゼロ)であるか否かを判定する(ステップ204)。 ・・・ 【0016】ステップ204で荷重が0(ゼロ)の場合は、ガス加熱調理装置1上に何も載せられていない状態であり、この場合、温度が閾値Aを越えているか否かを判定する(ステップ206)。温度が閾値Aを越えていない場合には、ステップ202からステップ206までを繰り返して加熱し続ける。 【0017】調理中に鍋等を一時的に、ガス加熱調理装置1から取り去ったような場合、ステップ206で温度が閾値Aを越えることがあるが、この場合、制御部17は、現状のガス供給量Cを記憶し(ステップ207)、その後、ガス量調節装置19によってガスの供給量を下げ、弱火にする(ステップ208)。したがって一旦取り去った鍋等を再びガス加熱調理装置1で加熱させるような場合の再点火の操作の必要がなくなる。 【0018】次に、制御部17は、再度、荷重が0(ゼロ)であるか否かを判定する(ステップ209)。ステップ209で荷重が検出された場合には、一時的に移動された鍋等が五徳5の上に戻されたとみなして、元のガス供給量Cに戻し(ステップ210)、ステップ205に移行する。したがって、一旦取り去った鍋等を再びガス加熱調理装置1で加熱させる場合、再度加熱量を調節したりする必要がない。 ステップ209で荷重が検出されない場合には、温度が閾値Dを越えているか否かを判定し(ステップ211)、温度が閾値Dを越えた場合には、制御部17はガス量調節装置19によりガスを遮断する(ステップ212)。これは、ガス加熱調理装置1上に何も載せられていない状態が長時間続いて次第に温度が上昇することによる火災等の事故を防ぐためである。 【0019】このように、本実施例によれば、ガス加熱調理装置1上に鍋が載置されている場合、温度が閾値Bを越えれば空炊き等であるとみなし、ガスを遮断する。 【0020】また、加熱中の鍋を一時的にガス加熱調理装置1から取り去った場合に弱火にし、再び鍋が載せられると、元の加熱量に戻す。したがって、再点火の操作および加熱量の再調整の操作が不要となる。また、ガス加熱調理装置1上に何も載置されておらず、かつ温度が閾値Dを越えた場合には、危険と判定してガスを遮断する。」 エ 引用例2に記載された事項 上記ウ(ア)~(エ)の記載を総合すると、引用例2には、次の事項が記載されている。 「バーナーが設けられたガス加熱調理装置において、加熱中の調理具類を一時的にガス加熱調理装置から取り去った場合にバーナーを弱火にし、再び調理具類が載せられると、元の加熱量に戻すために、 加熱される調理具類の荷重を測定する荷重測定手段と、 加熱中の温度を測定する温度測定手段と、 測定された荷重と温度に応じて加熱量を調整する調整手段と、 を具備し、 荷重が存在しない場合で、温度が所定の閾値を越えた場合、加熱量を小さくし、再び荷重が存在するようになると、加熱量を元に戻すこと」 (3)本願補正発明と引用発明の対比 ア 対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「ガスバーナ」は、その構造及び作用から、本願補正発明の「加熱用位置に位置する被加熱物を加熱するバーナ」に相当し、同様に、「調理容器の温度を検出する温度センサ」は「被加熱物の温度を検出する温度検出手段」に、「ガスこんろ」は「コンロ」に相当する。 (イ)引用発明の「前記温度センサの検出値に基付いて前記ガス弁を制御し、ガスバーナの燃焼を強火と弱火に交互に切り換えて調理容器の温度を規制する」ことは、【0014】の記載を参酌すると、調理容器である鍋に収容された調理物の温度を所定温度に保つために、温度センサの検出値に基づいてガス弁を制御し、ガスバーナの燃焼を制御する制御器を有することであるから、本願補正発明の「前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御する燃焼制御手段」、及び「前記バーナの燃焼中において前記温度検出手段が検出する温度を設定温度に維持するように前記バーナの火力を制御する自動温度調節制御を実行する」「燃焼制御手段」を有することに相当する。 (ウ)引用発明の「一旦燃焼を開始したのち弱火から強火へ切り換える際に、弱火から強火へ切り換える前に作動する警報器を設けたこと」は、「前記温度センサの検出値に基付いて前記ガス弁を制御し、ガスバーナの燃焼を強火と弱火に交互に切り換えて調理容器の温度を規制する」際に行われ、温度センサの検出値が低下した際に、弱火から強火へ切り換えられるものであるから、本願補正発明の「前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が検出した温度の低下に伴い前記バーナの火力を大火力側に変更する場合に、前記バーナの火力を大火力側に変更する前に自動温度調節火力増加報知を行うように構成されて」いることに相当する。 イ 一致点 したがって、両者は、 「加熱用位置に位置する被加熱物を加熱するバーナと、 前記被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、 前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御する燃焼制御手段とが設けられたコンロであって、 前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において前記温度検出手段が検出する温度を設定温度に維持するように前記バーナの火力を制御する自動温度調節制御を実行し、前記自動温度調節制御の実行中において前記温度検出手段が検出した温度の低下に伴い前記バーナの火力を大火力側に変更する場合に、前記バーナの火力を大火力側に変更する前に自動温度調節火力増加報知を行うように構成されている、 コンロ。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 ウ 相違点 <相違点> 本願補正発明は、「前記加熱用位置に被加熱物が存在するか否かを検出する被加熱物検出手段を備え、前記燃焼制御手段は、前記被加熱物検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御し、前記燃焼制御手段は、前記バーナの燃焼中において、前記被加熱物を前記加熱用位置から移動させた場合に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の不存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を不存在時燃焼量に低下させる不存在時燃焼量低下処理を実行し、前記被加熱物を前記加熱用位置に位置させた後に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を前記不存在時燃焼量から増加させる燃焼量増加処理を実行するように構成されており、前記燃焼量増加処理の実行の前に燃焼量増加報知を行う」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 (4)当審の判断 ア 相違点の検討 上記相違点について以下検討する。 引用例2の「ガス加熱調理装置」は本願補正発明の「コンロ」に相当し、同様に「調理具類」は「被加熱物」に、「加熱量」は「燃焼量」に、「加熱される調理具類の荷重を測定する荷重測定手段」は「加熱用位置に被加熱物が存在するか否かを検出する被加熱物検出手段」に、「バーナー」は「バーナ」に相当する。 また、引用例2の「測定された荷重と温度に応じて加熱量を調整する調整手段」は、加熱量の調整はバーナーを制御することによって行われるといえるから、本願補正発明の「被加熱物検出手段の検出情報に基づいて前記バーナの作動を制御」することに相当する。 引用例2の「加熱中の調理具類を一時的にガス加熱調理装置から取り去った場合に弱火にし、再び調理具類が載せられると、元の加熱量に戻す」こと、及び「荷重が存在しない場合で、温度が所定の閾値を越えた場合、加熱量を小さくし、再び荷重が存在するようになると、加熱量を元に戻すこと」は、「加熱中の調理具類を一時的にガス加熱調理装置から取り去った場合」、すなわち「荷重が存在しない場合で、温度が所定の閾値を越えた場合」に「加熱量を小さくし」、「再び調理具類が載せられ」た場合、すなわち「再び荷重が存在するようにな」った場合、「加熱量を元に戻すこと」であるから、本願補正発明の「前記バーナの燃焼中において、前記被加熱物を前記加熱用位置から移動させた場合に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の不存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を不存在時燃焼量に低下させる不存在時燃焼量低下処理を実行し、前記被加熱物を前記加熱用位置に位置させた後に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を前記不存在時燃焼量から増加させる燃焼量増加処理を実行するように構成されて」いることに相当する。 そうすると、引用例2には、本願補正発明の「コンロにおいて、加熱中の被加熱物を一時的にバーナから取り去った場合に弱火にし、再び被加熱物が載せられると、元の燃焼量に戻すために、加熱用位置に被加熱物が存在するか否かを検出する被加熱物検出手段を備え、被加熱物検出手段の検出情報に基づいてバーナの作動を制御し、バーナの燃焼中において、前記被加熱物を前記加熱用位置から移動させた場合に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の不存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を不存在時燃焼量に低下させる不存在時燃焼量低下処理を実行し、前記被加熱物を前記加熱用位置に位置させた後に、前記被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、前記バーナの燃焼量を前記不存在時燃焼量から増加させる燃焼量増加処理を実行するように構成する」点に相当する構成が記載されているといえる。 そして、引用発明のコンロにおいても、ガスバーナ上から一時的に被加熱物を取り去り、別の場所で被加熱物内に調理品等を入れて、再び被加熱物をガスバーナに載せて加熱することは、普通に行われる調理態様であるから、その際の利便性を向上させるために、引用発明に引用例2に記載された事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 さらに、引用発明は、温度調節装置により、自動的に、突然に大きい強火の燃焼が発生し、使用者が不意に発生する強い火力又は再燃焼によってその度に驚かないようにするために、弱火から強火へ切り換わる前に警報を出し、炎が大きくなることに対する心構えが十分にできるようにするものであるところ(【0004】、【0008】)、引用発明に引用例2に記載された事項を適用した場合、再び被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、ガスバーナの燃焼量が増加し、自動的に強い火力となることは明らかであるから、その際にも使用者が驚かないように警報を出すことは、当業者が容易に想到し得たことである。 この点に関して、請求人は、審判請求書において、「引用例1の発明は、「温度センサの検出値に基づいて、弱火から強火へ切り換わる前に警報が出される」ように構成されており、使用者の意志によらずに、燃焼量の増加処理が行われる場合には、「燃焼量増加報知」を行う一方で、使用者が、自らの意志で被加熱物を加熱用位置においた場合には、使用者には燃焼量増加に対する心構えができているので報知は不要であるとの考え方に基づいています。」と主張する。 しかし、引用例2において、バーナー上から一時的に被加熱物を取り去り、別の場所で被加熱物内に調理品等を入れて、再び被加熱物をバーナーに載せること自体は、使用者が自らの意志で行うものであっても、バーナーの燃焼量の増加は、使用者が火力を直接調整することなく、自動的に行われるものであるから、それにより、使用者が驚くことは十分に想定される。よって、請求人の上記主張は採用できない。 したがって、引用発明において、引用例2に記載された事項を適用し、本願補正発明の上記相違点に係る事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 本願補正発明の奏する作用効果 本願補正発明により奏される効果は、引用発明及び引用例2に記載の事項から予測し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。 ウ まとめ したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)小括 したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 むすび 以上のとおり、本願補正発明は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年9月15日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。(上記「第2 平成28年4月14日付けの手続補正の補正却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。) 2 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及び2の記載事項並びに引用発明及び引用例2に記載された事項については、上記「第2 平成28年4月14日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、本願補正発明から、被加熱物検出手段が被加熱物の不存在を検出すると、不存在時燃焼量低下処理を実行するのが、「前記被加熱物を前記加熱用位置から移動させた場合」であること、及び被加熱物検出手段が被加熱物の存在を検出すると、バーナの燃焼量を不存在時燃焼量から増加させる燃焼量増加処理を実行するのが、「前記被加熱物を前記加熱用位置に位置させた後」であることの限定を省いたものである。 そうすると、本願発明を特定するための事項をすべて含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 平成28年4月14日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明の対比」及び「(4)当審の判断」に記載したとおり、引用発明及び引用例2に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び引用例2に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 まとめ 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができない。よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2016-005524

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決5件(株式会社ハーマン)
  • 2020-012952拒絶査定不服審判 / 2021-10-29 / 請求不成立加熱調理器
    同じ当事者: 株式会社ハーマン
  • 2020-014600拒絶査定不服審判 / 2021-07-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)ガスコンロ
    同じ当事者: 株式会社ハーマン
  • 2020-000461拒絶査定不服審判 / 2020-06-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)加熱調理器
    同じ当事者: 株式会社ハーマン
  • 2019-007928拒絶査定不服審判 / 2020-02-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)ガスこんろ
    同じ当事者: 株式会社ハーマン
  • 2023-701040異議申立 / 2024-02-08 / 維持調理器具、加熱調理器、及び調理網
    同じ当事者: 株式会社ハーマン
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2023-005631拒絶査定不服審判 / 2025-06-18 / 請求不成立オーブンレンジ
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2020-016839拒絶査定不服審判 / 2022-01-05 / 請求不成立加熱装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2015-013491拒絶査定不服審判 / 2016-12-19 / 請求不成立ガラス-セラミック・プレート、その製造方法及びそれを備えた料理用レンジ
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2018-390036訂正審判 / 2018-08-27 / 請求不成立加熱調理器
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2026-007075拒絶査定不服審判 / 2026-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)遊技機
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)39件(121・F24C)
  • 2023-019502拒絶査定不服審判 / 2025-09-08 / 請求不成立電子レンジ、単一入力スタート・ボタンを用いて同レンジを制御するシステム及び方法
    共通の審決分類: 121・F24C
  • 2023-014594拒絶査定不服審判 / 2025-06-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)加熱調理器
    共通の審決分類: 121・F24C
  • 2023-005631拒絶査定不服審判 / 2025-06-18 / 請求不成立オーブンレンジ
    共通の審決分類: 121・F24C
  • 2023-014626拒絶査定不服審判 / 2025-01-27 / 請求不成立加熱調理器
    共通の審決分類: 121・F24C
  • 2023-016274拒絶査定不服審判 / 2024-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)調理器用トッププレート及び調理器
    共通の審決分類: 121・F24C

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存