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特許拒絶査定不服審判

2023-005631

オーブンレンジ

審判番号
2023-005631
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-041102
請求日
2023年04月07日
審決日
2025年06月18日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】東芝ホームテクノ株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人牛木国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 正木 裕也
  • 審判官 水野 治彦
分類
P18 .121-WZ (F24C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-41102「オーブンレンジ」拒絶査定不服審判事件〔令和2年9月10日出願公開、特開2020-143847〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 9月14日付け :拒絶理由通知書 令和4年11月22日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年12月23日付け :拒絶査定 令和5年 4月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和6年 4月26日付け :拒絶理由通知書 令和6年 7月 3日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年10月31日付け :拒絶理由通知書(最後)(以下、「当審拒絶理由」という。) 令和7年 1月 6日 :意見書、手続補正書の提出 第2 令和7年1月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の結論] 令和7年1月6日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 本件補正前の令和6年7月3日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 調理室において被調理物を載置する金属製の角皿と、 前記被調理物を熱風コンベクション加熱するオーブン加熱手段と、 前記被調理物をスチーム加熱するスチーム加熱手段と、 前記被調理物を輻射加熱するグリル加熱手段と、 複数のメニューの中から、特定のメニューを選択的に設定可能にするメニュー選択設定手段と、 前記設定された特定のメニューに従う所定の手順で被調理物を加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する加熱調理制御部と、を備え、 前記角皿は保持部を有し、前記保持部が前記調理室の左右の側壁に設けられた支え部に載せられることで前記角皿が吊設状態で保持され、前記保持部には通気孔が形成され、 前記特定のメニューには、少なくともハンバーグを含む複数の被調理物に応じた複数のハイブリッド調理メニューを含み、 前記メニュー選択設定手段により、前記ハイブリッド調理メニューを設定すると、前記加熱調理制御部は、マイクロ波によるレンジ加熱をすることなく、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を輻射加熱する第1行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を熱風コンベクション加熱する第2行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物をスチーム加熱する第3行程、の順に連続で加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御することを特徴とするオーブンレンジ。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、以下のとおり補正された(下線は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 扉により開閉される調理室において被調理物を載置する金属製の角皿と、 前記被調理物を熱風コンベクション加熱するオーブン加熱手段と、 前記被調理物をスチーム加熱するスチーム加熱手段と、 前記被調理物を輻射加熱するグリル加熱手段と、 複数のメニューの中から、特定のメニューを選択的に設定可能にするメニュー選択設定手段と、 前記設定された特定のメニューに従う所定の手順で被調理物を加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する加熱調理制御部と、 前記調理室の温度を検出する庫内温度検出手段と、を備え、 前記スチーム加熱手段は、蒸発容器を加熱するヒータと、前記蒸発容器内の温度を検出する容器温度検出手段とを有し、 前記角皿は保持部を有し、前記保持部が前記調理室の左右の側壁に設けられた支え部に載せられることで前記角皿が吊設状態で保持され、前記保持部には通気孔が形成され、 前記特定のメニューには、少なくともハンバーグを含む複数の被調理物に応じた複数のハイブリッド調理メニューを含み、 前記メニュー選択設定手段により、前記ハイブリッド調理メニューを設定すると、前記加熱調理制御部は、マイクロ波によるレンジ加熱をすることなく、かつ、前記被調理物を載置した前記角皿が前記支え部に載せられて前記扉が閉められた後は前記扉が開閉されることなく、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を輻射加熱する第1行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで、前記庫内温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、前記被調理物を熱風コンベクション加熱する第2行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで、前記庫内温度検出手段および前記容器温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、前記被調理物をスチーム加熱する第3行程、の順に連続で加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御することを特徴とするオーブンレンジ。」 2.補正の適否 本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものであって、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「調理室」について、「扉により開閉される」するとの限定、及び「前記調理室の温度を検出する庫内温度検出手段」を備えるとの限定を付加するとともに、「スチーム加熱手段」について、「蒸発容器を加熱するヒータと、前記蒸発容器内の温度を検出する容器温度検出手段とを有」するとの限定を付加し、そして、「加熱調理制御部」について、「かつ、前記被調理物を載置した前記角皿が前記支え部に載せられて前記扉が閉められた後は前記扉が開閉されることなく」との限定を付加するとともに、「第2行程」において、「前記庫内温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、」前記被調理物を熱風コンベクション加熱するとの限定、及び「第3工程」において、「前記庫内温度検出手段および前記容器温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、」前記被調理物をスチーム加熱するとの限定、を付加するものである。 また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下、「本件補正発明」という。)が、同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1.(2)に記載されたとおりのものである。 (2) 引用文献 ア 引用文献1 当審拒絶理由で引用された、特開2006-22998号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は当審が付した。以下同様。)。 (ア)「【0001】 本発明は、食品を収納した調理室内に所用温度の気体を循環させ、解凍や蒸し、焼き等の食品の調理加工を行う加熱調理器に関するものである。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、前記従来のオーブン調理器では、庫内雰囲気を通常の空気を加熱して循環させる場合や、水蒸気を発生混合させて過熱蒸気の雰囲気で調理に供する場合のいずれかの選択は可能であるものの、被加熱物である食材や調理済み食品の種類によって異なる最適加熱条件を必ずしも満足するものではなく、前記いずれの操作条件を用いても固有の風味や食感を損なう場合があるという課題は否めないものであった。すなわち、高温空気雰囲気での調理では食品表面からの水分蒸散による乾燥と、酸化反応による成分分解(ビタミンや香気成分など)や炭化が進行し、パサついた食感となったり苦みやえぐみを生じたりする場合が避けられない。また過熱蒸気を用いた場合には、温度条件の選定により焼く・蒸す・煮込む・炊く・茹でる等の各種調理操作も可能とはなるが、逆に表面を乾燥させたパリッとした食感や、表皮を酸化させることによって生ずる独特の香ばしさが得られないという欠点は避けられない。これらを解消するためには、上記両者を用いて「本操作+仕上げ操作」の使い分けが必要で、煩雑な調理操作を強いられるものであった。 【0004】 本発明は、前記従来の課題である調理物への最適な加熱操作を、加熱工程内の雰囲気条件を適宜変更する制御手段を備えることで課題を解決するもので、調理操作の加熱効率を維持確保しつつ、簡便操作で調理物の風味や食感を向上できる加熱調理器を提供することを目的とする。」 (ウ)「【課題を解決するための手段】 【0005】 前記従来の課題を解決するために本発明は、食品を収納する調理室内に高温気流を発生する加熱循環手段と、ここに水蒸気を生成して混合する蒸気発生手段と、これらの動作を制御する制御手段と、制御手段内に用意された制御工程から1つを選択して動作させる操作選択部を備え、制御工程の1つには1調理工程内で蒸気発生手段を動作させる時間帯と動作させない時間帯を設けるよう構成したものである。これにより、水蒸気発生での無酸素状態で凝縮伝熱を生ずる調理時間帯と、水蒸気発生なしでの有酸素乾燥状態で接触伝熱する時間帯を1調理工程内に配置することで、食品の調理処理に最適な条件を選択操作することができ、適度な保水と適度な乾燥、および適度な表面酸化を確保可能とし、食品の風味や食感をより好ましく実現できるものである。 【0006】 前記の制御工程で、蒸気発生手段の動作を選択された調理工程制御の初期段階に行うことができる。こうすることによって、凝縮伝熱による高速加熱を維持し、食品内部までの加熱を速やかに行った上で、有酸素乾燥気流で仕上げの加熱を行い、適度な表面の酸化と乾燥を処置することができ、表皮内部は十分に湿潤を確保しつつ、表皮はパリッとした食感と酸化風味を得ることができる。 【0007】 一方、前記の制御工程で、蒸気発生手段の動作を選択された調理工程制御の最終段階に行うことができる。こうすれば、有酸素乾燥気流で食品を焼き上げた後に加湿気流で表面を覆い、表皮をしっとりとした食感に仕上げることが可能となる。」 (エ)「【発明の効果】 【0012】 以上のように本発明の加熱調理器は、高温気流を循環させて加熱調理する1つの調理工程内で、水蒸気を発生せさせ混合する手段を動作させる時間帯と動作させない時間帯とを設ける制御工程を選択可能にすることにより、食品特性と嗜好に応じた希望の調理仕上がりを1操作で簡易に良好に実現可能な加熱調理器を提供できる。そして水蒸気発生手段の動作時期を、加熱初期段階にする制御工程、同じく最終段階に設定する制御工程、あるいは蒸気発生手段の動作と停止を複数回繰り返す制御工程をそれぞれ選択可能にすることにより、調理された食品の外観、風味、食感等のそれぞれに特徴がある仕上がりを選択可能になる。」 (オ)「【0025】 (実施の形態1) 図1は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の側面断面図、図2はその操作工程説明図、図3はその調理結果の評価比較図である。加熱調理器1は、食品を出し入れする扉2を備えた調理室3を有し、調理室3内には食品を載置するスタンド4が配置される。調理室3の下部側壁に開設された排気口5と上部側壁に開設された給気口を結んで、バイパス状の流路で加熱循環部7が備えられているが、その内部にはヒータ8、循環ファン9と、蒸発皿10が配備されている。蒸発皿10には、ポンプ11を介して水タンク12から給水されるように構成されている。また13は耐熱性多孔体を折り曲げてなるフィルターである。14は調理室3の内圧に感応して外気と連通するよう配置された排気弁である。15は食品に応じた調理工程を選択して操作できるよう各種の制御メニューを内蔵した操作部である。 【0026】 上記構成で、次に作用動作について説明する。まず、操作部15で「予熱」を選択して操作すれば、循環ファン9が回転すると同時にヒータ8に通電され、調理室3内の空気は排気口5-加熱循環部7-給気口6-調理室の順に循環されて調理室3内を予熱する。次に扉2を開けて調理室3内のスタンド4に食品を載置し、操作部15で任意の「調理」メニューを選択すると、ヒータ8と循環ファン9は動作を継続したままで、当該メニューで指定する時間帯だけポンプ11が動作する。ポンプ11によって水タンク12から汲み上げられた水は、ヒータ8と接触して十分に加熱された蒸発皿10内に注入されて一気に蒸発し、発生した水蒸気は加熱循環部7内を流れる高温気流と混合され過熱蒸気となって給気口6から調理室3へ供給され、スタンド4上の食品を加熱する。調理室3は完全密閉構造ではないから、余剰の気流は適宜外部へ放散されるが、蒸発皿10での水蒸気発生により調理室3内の圧力が急上昇した場合には、排気弁14から循環気流の一部が排出されて安全は保たれる。かくして調理室3内の循環気流は大部分が水蒸気となって酸素希薄となり、こうして生成されたいわゆる過熱蒸気による食品の加熱が、凝縮伝熱による高速加熱性と、低酸素雰囲気である故の酸化反応抑制効果でビタミン等の有効成分維持、油脂の酸化変質防止、さらには食品からの脱水抑制作用による乾燥防止などの効果が得られることになる。所定時間経過後にポンプ11の動作を中止し、再度ヒータ8による循環気流の加熱のみの操作に戻れば、徐々に調理室3内の水蒸気は外部へ排出され、代わって乾燥空気が補填されて低湿度高温空気に変化することになる。」 (カ)「【0027】 選択した調理工程内にこうした条件変化を生ぜしめる操作を用いて、実際に調理操作を行った例を図2および図3より説明する。循環気流の温度を300℃とし、給気口6からの気流噴出流速を約2m/秒とし、総調理時間を10分間として魚(塩サンマ)の加熱調理を行った。操作のメニューは図2に示すように、操作A:全域乾燥空気のみ(ポンプ11による注水なし)、操作B:加熱初期1分の間、または2分の間注水、操作C:加熱中段の4~6分の間の2分間のみ注水、操作D:加熱最終の1分の間、または2分間のみ注水の4種類とした。ここで、操作B:加熱初期1分の間、または2分の間注水としたが、余熱後1分の間、または2分の間注水するとしてもよい。また、操作D:加熱最終の1分の間、または2分間のみ注水としたが、加熱終了前1分の間、または2分の間注水するとしてもよい。また得られた調理物の評価は複数のパネラーによる官能検査とし、姿形や色、ムラなどの「外観」、生臭さや焦げ臭さおよび芳香などの「臭気・香り」、実際に食べた場合の食感や味などの「食味・食感」の3項目を比較した。その結果を図3に示す。 【0028】 乾燥空気加熱(操作A)を基準として相対指数で表した時、初期に注水した操作Bでは全体にプラスの効果が現れているが、中段で注水の操作Cでは外観がややマイナス評価だが「食味・食感」はプラス効果、最終域で注水の操作Dでは、「外観」がプラスとなった半面「臭気・香り」と「食味・食感」がマイナス効果となった。この結果は、食品の特性と加熱調理に求められる性状変化との間のバランスに対し、加熱雰囲気条件が寄与する加熱速度や内部浸透性、保水または脱水性能、油脂の酸化状態などがどういったタイミングで関わるかに起因するもので、図3の結果では次のように解釈できる。すなわち、操作Bでは初期に低酸素急速加熱が行われ、表面脱水を抑えて形を崩すことなく加熱し、その後表面層を適度に脱水しつつ酸化して焼き色、焼き魚の香り、表面の乾燥感を発現することで、全体にプラスの効果をもたらしている。逆に操作Dでは、全体に焼きあがりつつある終段で注水しての急速加熱があるために、焼きムラを解消して焼き色を強める効果はあるが、前段ですでに乾燥が進んでいることから、最終段階での加湿が逆に表面の香気を消し、表面はしっとりしているが内部は乾燥気味という風味や食感の違和感が生ずる結果となった。両者の中間の操作Cでは、中段で注水しているものの大きな作用効果は得られず、標準と類似の状況になっている。 【0029】 この結果は、使用した食材に特有のものであり、例えば同じ焼き魚も白身魚、一夜干し、干物など素材が異なれば作用効果が異なり、最適な操作メニューが変化することは言うまでもない。それらを考慮しつつ、また使用者の嗜好にも合致した仕上がりを選択できるよう、操作部15に予め幾つかの工程パターンを記憶保存させることで、調理器具を交換して調理することはもとより、都度の条件調製や追加操作の必要もなく、1ボタン操作で好みのメニューを適宜選択しながら簡便調理できるものである。」 (キ)「【0031】 (実施の形態2) 本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、基本的な構成および操作、制御方法等は実施の形態1と同様であるが、加熱循環部7下流域での循環気流の流路構成とその操作方法に特徴がある。したがって、この相違点を中心に説明する。なお実施の形態1と同一の構成要素には同一番号を付与している。 【0032】 図4は、本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の側面断面図、図5はその操作工程説明図である。図4において、ヒータ8下流の給気口6に対向する位置に、加熱調理器1の筐体外に連通開口する掃気口16が配設され、また給気口6出口部分には給気弁17が、掃気口16の出口部分には掃気弁18が、それぞれ開閉動作可能に備えられている。 【0033】 上記構成において、その動作を図5に基づき説明する。ここでは加熱調理操作の初期にのみ注水工程を設けたメニューを示しているが、予熱の工程ではヒータ8と循環ファン9が通電され、同時に給気弁17が開放となって、ヒータ8の発熱で調理室3-排気口5-加熱循環部7-給気口6と循環する空気が徐々に加熱される。次に扉2を開けて食品を調理室3へ入れ、操作部15で所定のメニュー選択スイッチを押すと、ポンプ11が動作して水タンク12より汲み上げた水を蒸発皿10に注水する。蒸発皿10はヒータ8により十分に加熱されているから、水は蒸発して加熱循環部7を流れる高温気流に混合され、過熱上記の状態となって調理室へ供給される。 【0034】 次に、所定の蒸気加熱の時間が経過するとポンプ11が停止され(実際にはそのわずか前の段階で動作停止しても可)、掃気の工程に入る。ここでは循環ファン9は動作させたままで、給気弁17を閉じて掃気弁18を開き、調理室3に充満されていた過熱蒸気を掃気口16から外部へ排出する。代替の空気は系内各部から流入し、調理室3内は短時間で水蒸気を含有した気流は排出され、乾燥空気に置換される。ここで再び掃気弁18が閉じられて給気弁17が開かれ、ヒータ8で加熱された乾燥空気で加熱調理する乾気加熱の工程に入って調理は完了まで続けられる。かくして、蒸気加熱と乾気加熱の条件切替を高速かつ明確に行うことで、両者の作用効果の違いを有効に活用することができ、食品種によって微妙に異なる最適条件をきめ細かく実現可能となる。」 (ク)「【0036】 (実施の形態3) 本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、基本的な構成および操作、制御方法等は実施の形態2と同様であるが、調理室3内に食品を直接放射加熱できる高温熱源を設置した構成に特徴がある。したがって、この相違点を中心に説明する。なお実施の形態1および2と同一の構成要素には同一番号を付与している。 【0037】 図6は本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の側面断面図、図7はその操作工程説明図である。図6において、19は調理室内の天面に備えられたシーズ式の放射ヒータで、食品を載置するスタンド4に対向した位置に配されている。 【0038】 上記構成において、その動作を図7に基づき説明する。ここでは加熱調理操作の初期にのみ注水工程を設け、かつ最終仕上げ段階で放射加熱を追加するメニューを示しているが、予熱から蒸気加熱、掃気の後の乾気加熱までは実施の形態2と同様である。乾気加熱が終わった段階でヒータ8は通電を止め、代わって放射ヒータ19に通電される。放射ヒータからは放射熱が発せられて直接食品を照射し、表面を高温にする。この放射加熱は、放射ヒータ19に対向する面のみしか行われないが、開きの魚など上下や表裏の方向性がある食品には片面でも有効、もしくは片面加熱がより効果的でもあり、ここに循環気流では得られない高温状態を実現することで、特有の焼き色や焦げ目といった外観のみならず、高温変成による香ばしさやパリッとした食感などを確保することが可能になる。こういった仕上げの加熱処理は、最終段階に用いるのが一般的ではあるが、食品種によっては、例えば初期に表面を急速加熱して保護膜を形成し、その後全体をゆっくり加熱する調理が好ましい焼き鳥のような食品もあり、適宜選択して使用することができる。さらに放射ヒータ19とヒータ8を同時に使用することにより、放射ヒータ19による輻射と高温気流により、食品表面での熱交換を向上させ、焦げ目をはやくつけさせることもできる。」 (ケ)「【図2】 [図:0001424935000001.jpg] 」 (コ)「【図3】 [図:0001424935000002.jpg] 」 (サ)「【図6】 [図:0001424935000003.jpg] 」 (シ)「【図7】 [図:0001424935000004.jpg] 」 (ス)上記(オ)、(ク)、(サ)及び(シ)から、加熱調理器1は、循環ファン9が回転すると同時にヒータ8に通電して食品を乾気加熱する手段を有することが把握できる。 (セ)上記(オ)及び(サ)から、加熱調理器1は、ポンプ11によって水タンク12から汲み上げられた水が十分に加熱された蒸発皿10内に注入されて一気に蒸発し、食品を蒸気加熱する手段を有することが把握できる。 (ソ)上記(ク)、(サ)及び(シ)から、加熱調理器1は、調理室内の天面に備えられたシーズ式の放射ヒータ19によって食品を放射加熱する手段を有することが把握できる。 (タ)上記(オ)から、加熱調理器1は、食品に応じた調理工程を選択して操作できるよう各種の制御メニューを内蔵した操作部15を有することが把握できる。 (チ)上記(ウ)及び(オ)から、加熱調理器1は、食品に応じた調理メニューの動作を制御する制御手段を有することが把握できる。 (ツ)上記(オ)、(ク)及び(シ)から、上記調理メニューは、焼き鳥を含む食品に応じた複数の調理工程を含むものであることが把握できる。 (テ)上記(ア)ないし(シ)から、加熱調理器1はマイクロ波によるレンジ加熱をする構成を有しないものであることが把握できる。 (ト)上記(オ)、(カ)、(ク)及び(シ)から、操作部15で任意の調理メニューを選択すると、所定の時間予熱したあと、調理メニューに従って所定の時間が経過するまで蒸気加熱する工程、さらに調理メニューに従って所定の時間が経過するまで乾気加熱する工程、さらに調理メニューに従って所定の時間が経過するまで放射加熱する工程を有することが把握できる。 (ナ)上記(オ)、(カ)、(ク)及び(シ)から、蒸気加熱する工程、乾気加熱する工程、放射加熱する工程は、蒸気加熱と乾気加熱の間に掃気を介して順に連続で加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御していることが把握できる。 (ニ)上記(カ)及び(ケ)から、蒸気による加熱と乾燥空気による加熱は、食材や使用者の嗜好に応じて適宜変更できることが記載されており、蒸気による過熱を最後にすることもその範ちゅうの一つとして示唆されていることが把握できる。 これら記載事項、図示事項及び認定事項を総合し、整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「食品を出し入れする扉2を備えた調理室3内に配置される食品を載置するスタンド4と、 循環ファン9が回転すると同時にヒータ8に通電して食品を乾気加熱する手段と、 ポンプ11によって水タンク12から汲み上げられた水が十分に加熱された蒸発皿10内に注入されて一気に蒸発し、食品を蒸気加熱する手段と、 調理室内の天面に備えられたシーズ式の放射ヒータ19によって食品を放射加熱する手段と、 食品に応じた調理工程を選択して操作できるよう各種の制御メニューを内蔵した操作部15と、 食品に応じた調理メニューの動作を制御する制御手段と、を備え、 調理メニューは、焼き鳥を含む食品に応じた複数の調理工程を含むものであり、 マイクロ波によるレンジ加熱をする構成を有しないものであり、 扉2を開けて調理室3内のスタンド4に食品を載置し、操作部15で任意の調理メニューを選択すると、所定の時間予熱したあと、調理メニューに従って所定の時間が経過するまで蒸気加熱する工程、 さらに調理メニューに従って所定の時間が経過するまで乾気加熱する工程、 さらに調理メニューに従って所定の時間が経過するまで放射加熱する工程、の順に、蒸気加熱と乾気加熱の間に掃気を介して連続で加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する加熱調理器1。」 イ 引用文献2 当審拒絶理由で引用された、特開2018-50832号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載事項及び図示事項がある。 (ア)「【0014】 図1~図15は、本発明の加熱調理器をオーブンレンジに適用した一実施形態を示している。先ず図1~図5に基いて、オーブンレンジの全体構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。」 (イ)「【0017】 本体1の左右側面と上面を形成するキャビネット2は、本体1ひいては加熱調理器の底面を形成するオーブン底板11を覆うように、本体1の前面を形成するオーブン前板12と、本体1の後面を形成するオーブン後板13との間に設けられる。また本体1には、加熱調理すべき被調理物Sを内部に収容する調理室14と、調理室14の温度を検出する温度検出素子たるサーミスタ15が設けられる。調理室14の前面はオーブン前板12に達していて、被調理物Sを出し入れするのに開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。またサーミスタ15は、調理室14内部において、扉3の近傍に配置される。 【0018】 調理室14を形成する周壁は、天井壁14aと、底壁14bと、左側壁14cと、右側壁14dと、奥壁14eとからなる。調理室14の奥壁14eは、その中央に吸込み口16を備えており、吸込み口16の周囲には複数の吹出し口17を備えている。また、調理室14の上壁面となるドーム状の天井壁14aに対向して、本体1の上部には、調理室14の上方から被調理物Sを輻射加熱するグリル用の上ヒータ18が設けられ、本体1の底部には、調理室14内に電波であるマイクロ波を供給するために、マグネトロンやアンテナを含むマイクロ波発生装置19が設けられる。これにより、上ヒータ18への通電に伴う熱放射によって、調理室14内に収容した被調理物Sを上方向からグリル加熱し、またマイクロ波発生装置19への通電動作により、調理室14内に収容した被調理物Sにマイクロ波を放射して、被調理物Sをレンジ加熱する構成となっている。 【0019】 調理室14の左側壁14cと右側壁14dには、調理室14の内部に金属製の角皿21を吊設状態で収納保持するために、左右一対の棚支え22を上下二段に備えている。ここで使用する角皿21は、上面を開口した有底凹状で、その他は無孔に形成される収容部21Aと、収容部21Aの上端より外側水平方向に延設するフランジ部21Bとにより構成される。またフランジ部21Bには、角皿21を通して熱風の流通を可能にする通気孔21Cが開口形成される。図2では、調理室14の内部で下段の棚支え22に角皿21のフランジ部21Bを載せて、収容部21Aに被調理物Sを載せた状態を示しているが、調理に応じて角皿21を上段の棚支え22にだけ載せたり、2枚の角皿21を上段と下段の棚支え22に各々載せたりしてもよい。」 (ウ)「【図2】 [図:0001424935000005.jpg] 」 これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されている。 「調理室14は、内部に金属製の角皿21を吊設状態で保持し、角皿21は、収容部21Aと角皿21を通して熱風の流通を可能にする通気口21Cが開口形成されるフランジ部21Bにより構成され、調理室14の内部で下段の棚支え22に角皿21のフランジ部21Bを載せて、収容部21Aに被調理物Sを載せるオーブンレンジ。」 ウ 文献3 本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2014-219144号公報(以下、「文献3」という。)には、次の記載事項がある。 (ア)「【0040】 図4において、貯水室28の高さ方向に対して中央付近に略水平方向に貯水室28のアルミダイキャストに鋳込まれ貯水室28内の水を加熱して蒸気を発生させる出力650Wの直線状のシーズヒータで構成された加熱手段である第1の蒸気発生ヒータ50と、第1の蒸気発生ヒータ50の上方に略水平方向に設けられ同様に貯水室28のアルミダイキャストに鋳込まれ貯水室28内の水を加熱して蒸気を発生させる出力350Wの直線状のシーズヒータで構成された加熱手段である第2の蒸気発生ヒータ51が設けられている。」 (イ)「【0043】 貯水室28の中央で第1の蒸気発生ヒータ50と第2の蒸気発生ヒータ51の間に貯水室28の温度を検知する温度検知手段である貯水室サーミスタ33が熱伝導グリスを塗布されて貯水室28と接触して設けられている。」 (ウ)「【0069】 ユーザによってタッチパネル57でオーブン加熱モードを選択され、操作部58のスタートを押されると、加熱室ヒータ15またはコンベクションヒータ17が通電されて発熱し、循環ファン16によって加熱室10内を熱風が循環し食品11を加熱する。そして、主に自動加熱時は赤外線センサ21や庫内サーミスタ22を用いて、食品や庫内の状態を検知し、その状態に応じて加熱室ヒータ15とコンベクションヒータ17、循環ファン16の切り替えや、出力の制御を制御手段34が行う。」 (エ)「【0082】 その後、蒸発を続けると、貯水室28及び排水路43の水位が下がり、貯水室28の温度が上昇する。そして、貯水室サーミスタ33が給水タイミングである110℃を超えたことを検知すると(S21)、制御手段34が給水ポンプ41に給水命令を出して給水ポンプ41を1.5秒間動作させ(S22)約9mlの給水タンク42の水が、給水ポンプ41から給水路40、給水口38を通じて貯水室28に給水され、その後10秒間給水判定マスクされ(S20)この間給水はされない。給水を行うと、貯水室28の温度が下がり、蒸発を続けて水位が下がり温度が上昇するまで次の給水は行わない。そのため、貯水室28の水位が一定の水位より下がらないように制御でき、直接的に水位を検出する水位センサなしで貯水室サーミスタ33により水位を検出することができる。」 (オ)「【0087】 主に自動加熱時は赤外線センサ21や庫内サーミスタ22を用いて、食品や庫内の状態を検知し、その状態に応じて第1の蒸気発生ヒータ50と第2の蒸気発生ヒータ51を同時に通電したり、どちらか一方のヒータを単独で通電したりする出力の切り替えや、給水ポンプ41の制御を制御手段34が行う。」 (カ)「【0140】 以上のように本発明にかかる蒸気発生装置は、蒸気を使用する調理器具としての電子レンジ、オーブン電子レンジ、電気オーブン、炊飯器、業務用の解凍装置等の用途に適用できる。」 これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、文献3には、以下の事項(以下、「文献3の技術事項」という。)が記載されている。 「貯水室28の第1の蒸気発生ヒータ50と第2の蒸気発生ヒータ51の間に貯水室28の温度を検知する貯水室サーミスタ33が設けられ、制御手段34は、赤外線センサ21や庫内サーミスタ22を用いて、食品や庫内の状態を検知して、加熱室ヒータ15、コンベクションヒータ17、循環ファン16、第1の蒸気発生ヒータ50と第2の蒸気発生ヒータ51のヒータの出力の切り替えを行い、貯水室サーミスタ33が110℃を超えたことを検知すると、給水ポンプ41に給水命令を出すこと。」 エ 文献4 本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2017-203561号公報(以下、「文献4」という。)には、次の記載事項がある。 (ア)「【0028】 図7~図9は、調理室14の左側壁14c外方に装備される蒸発器ユニット49を示している。蒸気生成部となる蒸発器ユニット49は、何れも熱伝導性に優れたアルミダイカスト製のケース51とカバー52とにより中空状に構成される。ケース51は凹状の気化室53を有し、この気化室53を加熱するための蒸発用ヒータとして、棒状のシーズヒータ54がケース51に埋設される。またケース51には、給水カセット8に貯留した水を気化室53に導く取入口55が設けられる。板状のカバー52はケース51の開口面を覆うもので、このカバー52には、気化室53に連通して各蒸気噴出孔34に蒸気を導く複数の導出口56が開口形成される。 【0029】 調理室14内に蒸気を送り込む蒸気発生装置33は、上述した給水カセット8や、蒸発器ユニット49や、シーズヒータ54の他に、給水カセット8に貯留した水を蒸発器ユニット49に圧送する電動のポンプ(図示せず)や、蒸発器ユニット49内における気化室53の温度を検出するサーミスタなどの気化室温度検出手段59(図10を参照)を備えている。これにより蒸気発生装置33の動作中には、給水カセット8からの水をポンプで蒸発器ユニット49内の気化室53に送り込み、シーズヒータ54への通電により気化室53を所定の温度にまで加熱することで、蒸気噴出孔34から調理室14の内部に飽和蒸気や過熱蒸気が供給され、調理室14内に入れられた被調理物Sのスチーム調理を行なう構成となっている。また本実施形態では、ポンプに与えられる駆動信号によって、ポンプからの吐出流量を調整することで、蒸発発生装置33の蒸気噴出孔34から調理室14内に噴出する蒸気量を可変する構成となっている。 【0030】 図10は、オーブンレンジの主な電気的構成を示している。同図において、61はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段61は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマや、入出力デバイスなどを備えている。 【0031】 制御手段61の入力ポートには、前述したキーやタッチパネルによる操作手段7や、気化室温度検出手段59の他に、赤外線センサにスイング機構を装備して構成され、調理室14内全体の温度分布を検出することで、そこに収容された被加熱物Sの温度を検出可能にする庫内温度分布検出手段63と、調理室14内の温度を検出するサーミスタ15などの庫内温度検出手段64と、熱風モータ29の回転を検出する熱風モータ回転検出手段65と、扉3の開閉状態を検出する扉開閉検出手段66と、マイクロ波発生装置19を構成するアンテナの原点位置を検出するアンテナ位置検出手段67が、それぞれ電気的に接続される。 【0032】 制御手段61の出力ポートには、前述した表示手段6の他に、マイクロ波発生装置19のマグネトロンやその駆動手段を含むマイクロ波加熱手段71と、グリル加熱用の上ヒータ18や、オーブン加熱用の熱風ヒータ27や、スチーム加熱用のシーズヒータ54をそれぞれ通断電させるリレーなどのヒータ駆動手段72と、調理室14内にマイクロ波を放射するアンテナを回転駆動させるためのアンテナ駆動手段73と、熱風モータ29を回転駆動させるための熱風モータ駆動手段74と、蒸気発生装置33のポンプを動作させるためのポンプ駆動手段75が、それぞれ電気的に接続される。 【0033】 制御手段61は、操作手段7からの操作信号と、気化室温度検出手段59や、庫内温度分布検出手段63や、庫内温度検出手段64や、熱風モータ回転検出手段65や、扉開閉検出手段66や、アンテナ位置検出手段67からの各検出信号を受けて、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、マイクロ波加熱手段71と、ヒータ駆動手段72と、アンテナ駆動手段73と、熱風モータ駆動手段74と、ポンプ駆動手段75に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段6に表示用の制御信号を出力する機能を有する。」 (イ)「【0035】 次に、上記構成のオーブンレンジについてその作用を説明すると、予め調理室14内に被調理物Sを入れた状態で、ハンドル4を手で握りながら扉3を閉め、操作手段7により調理メニューを選択操作した後に調理開始を指示すると、制御手段61の記憶部に組み込まれた制御プログラムに従って、選択した調理メニューに対応して生成された制御信号が所定のタイミングで出力され、被調理物Sが加熱調理される。 【0036】 ここで、例えばオーブン加熱の調理メニューを選択した場合、制御手段61からの制御信号がヒータ駆動手段72と熱風モータ駆動手段74に送出されて、熱風ヒータ27と熱風モータ29が各々通電され、熱風モータ29に発生した回転力が伝達機構30を通して熱風ファン28に伝達する。それにより熱風ファン28は加熱室31の内部で一方向に回転し、その速度は熱風モータ回転検出手段65により制御手段61に取り込まれると共に、調理室14から吸込み口16を通して加熱室31に吸込んだ空気を、通電した熱風ヒータ27側に送り出し、ここで加熱された空気が熱風吹出し口17を通して調理室14に熱風として供給されることで、調理室14内の被調理物Sが熱風コンベクション加熱される。」 これら記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、文献4には、以下の事項(以下、「文献4の技術事項」という。)が記載されている。 「調理室14内に蒸気を送り込む蒸気発生装置33は、凹状の気化室53を有する蒸発器ユニット49、蒸発器ユニット49内における気化室53の温度を検出する気化室温度検出手段59を備え、制御手段61は、入力ポートには気化室温度検出手段59、庫内温度分布検出手段63、調理室14内の温度を検出する庫内温度検出手段64が接続され、出力ポートにグリル加熱用の上ヒータ18、オーブン加熱用の熱風ヒータ27、スチーム加熱用のシーズヒータ54をそれぞれ通断電させるヒータ駆動手段72、熱風モータ駆動手段74、蒸気発生装置33のポンプを動作させるためのポンプ駆動手段75が接続され、ヒータ駆動手段72、熱風モータ駆動手段74、ポンプ駆動手段75に制御信号を送出して、種々の加熱調理を制御すること。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「食品を出し入れする扉2」は、本件補正発明の「扉」に相当し、以下同様に、「調理室3」は「調理室」に、「配置される食品を載置する」ことは「被調理物を載置する」ことに相当する。「扉」が開閉することは、技術常識であるから、引用発明の「食品を出し入れする扉2」も開閉するものである。 そうすると、引用発明の「食品を出し入れする扉2を備えた調理室3内に配置される食品を載置するスタンド4」と、本件補正発明の「扉により開閉される調理室において被調理物を載置する金属製の角皿」とは、「扉により開閉される調理室において被調理物を載置する部材」という限りにおいて一致する。 イ 引用発明の「循環ファン9が回転すると同時にヒータ8に通電して食品を乾気加熱する手段」は、被調理物を熱風によって加熱するものであるから、本件補正発明の「被調理物を熱風コンベクション加熱するオーブン加熱手段」に相当する。 ウ 引用発明の「ポンプ11によって水タンク12から汲み上げられた水が十分に加熱された蒸発皿10内に注入されて一気に蒸発し、食品を蒸気加熱する手段」は、被調理物をスチーム加熱するものであるから、本件補正発明の「前記被調理物をスチーム加熱するスチーム加熱手段」に相当する。 エ 引用発明の「調理室内の天面に備えられたシーズ式の放射ヒータ19によって食品を放射加熱する手段」は、被調理物を輻射加熱するものであるから、本件補正発明の「前記被調理物を輻射加熱するグリル加熱手段」に相当する。 オ 引用発明の「食品に応じた調理工程を選択して操作できるよう各種の制御メニューを内蔵した操作部15」は、複数のメニューの中から特定のメニューを選択的に設定可能にするものであるから、本件補正発明の「複数のメニューの中から、特定のメニューを選択的に設定可能にするメニュー選択設定手段」に相当する。 カ 引用発明の「食品に応じた調理メニュー」は、本件補正発明の「特定のメニュー」に相当する。 してみると、引用発明の「食品に応じた調理メニューの動作を制御する制御手段」は、食品に応じた調理メニューごとに所定の手順で被調理物を加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御するものといえるから、本件補正発明の「前記設定された特定のメニューに従う所定の手順で被調理物を加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する加熱調理制御部」に相当する。 キ 引用発明の「食品に応じた複数の調理工程」は、食品ごとに複数の調理工程を組み合わせるものであるから、本件補正発明の「ハイブリッド調理」に相当する。また、引用発明の「食品に応じた複数の調理工程」は、食品に応じて用意されるものであるから、複数存在するものと解される。 してみると、引用発明の「調理メニューは、焼き鳥を含む食品に応じた複数の調理工程を含むものであり」と、本件補正発明の「前記特定のメニューには、少なくともハンバーグを含む複数の被調理物に応じた複数のハイブリッド調理メニューを含み」とは、「前記特定のメニューには、複数の被調理物に応じた複数のハイブリッド調理メニューを含み」である限りにおいて一致する。 ク 引用発明は、「マイクロ波によるレンジ加熱をする構成を有しないもの」であるから、調理メニューを設定しても、制御手段は、マイクロ波によるレンジ加熱をすることがないものである。 また、引用発明の「扉2を開けて調理室3内のスタンド4に食品を載置し、操作部15で任意の調理メニューを選択する」ことは、これにより、「蒸気過熱する工程」、「乾気加熱する工程」及び「放射加熱する工程」の順に「連続で加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する」ことになるから、食品を載置したスタンドが調理室に置かれ、扉が閉められた後は、当該扉が開閉されないことといえる。 そうすると、引用発明の「マイクロ波によるレンジ加熱をする構成を有しないものであり」、「扉2を開けて調理室3内のスタンド4に食品を載置し、操作部15で任意の調理メニューを選択する」ことと、本件補正発明の「前記メニュー選択設定手段により、前記ハイブリッド調理メニューを設定すると、前記加熱調理制御部は、マイクロ波によるレンジ加熱をすることなく、かつ、前記被調理物を載置した前記角皿が前記支え部に載せられて前記扉が閉められた後は前記扉が開閉されることなく」とは、「前記メニュー選択設定手段により、前記ハイブリッド調理メニューを設定すると、前記加熱調理制御部は、マイクロ波によるレンジ加熱をすることなく、かつ、前記被調理物が載置された部材が置かれて前記扉が閉められた後は前記扉が開閉されることなく」という限りにおいて一致する。 ケ 引用発明の「乾気加熱する」ことは、本件補正発明の「熱風コンベクション加熱する」ことに相当する。 そうすると、引用発明の「操作部15で任意の調理メニューを選択すると、所定の時間予熱したあと、調理メニューに従って所定の時間が経過するまで蒸気加熱する工程、 さらに調理メニューに従って所定の時間が経過するまで乾気加熱する工程、 さらに調理メニューに従って所定の時間が経過するまで放射加熱する工程、の順に、蒸気加熱と乾気加熱の間に掃気を介して連続で加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する」ことと、本件補正発明の「選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を輻射加熱する第1行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで、前記庫内温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、前記被調理物を熱風コンベクション加熱する第2行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで、前記庫内温度検出手段および前記容器温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、前記被調理物をスチーム加熱する第3行程、の順に連続で加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する」こととは、「選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を加熱する第1行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を熱風コンベクション加熱する第2行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を加熱する第3行程、の順に加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する」ことという限りにおいて一致する。 コ 引用発明の「加熱調理器1」と、本件補正発明の「オーブンレンジ」とは、「オーブンを備えた加熱調理器」という限りにおいて一致する。 以上まとめると、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。 [一致点] 「扉により開閉される調理室において被調理物を載置する部材と、 被調理物を熱風コンベクション加熱するオーブン加熱手段と、 前記被調理物をスチーム加熱するスチーム加熱手段と、 前記被調理物を輻射加熱するグリル加熱手段と、 複数のメニューの中から、特定のメニューを選択的に設定可能にするメニュー選択設定手段と、 前記設定された特定のメニューに従う所定の手順で被調理物を加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御する加熱調理制御部と、を備え、 前記特定のメニューには、複数の被調理物に応じた複数のハイブリッド調理メニューを含み、 前記メニュー選択設定手段により、前記ハイブリッド調理メニューを設定すると、前記加熱調理制御部は、マイクロ波によるレンジ加熱をすることなく、かつ、前記被調理物が載置された部材が置かれて扉が閉められた後は前記扉が開閉されることなく、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を加熱する第1行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を熱風コンベクション加熱する第2行程、 選択された前記ハイブリッド調理メニューに応じた所定の時間が経過するまで前記被調理物を加熱する第3行程、の順に加熱調理するようにそれぞれの加熱手段を制御するオーブンを備えた加熱調理器。」 [相違点] (相違点1) 被調理物を載置する「部材」について、本件補正発明は、「金属製の角皿」であって、該角皿は、「保持部を有し、保持部が調理室の左右の側壁に設けられた支え部に載せられることで前記角皿が吊設状態で保持され、保持部には通気孔が形成され」ており、「被調理物が載置された前記角皿が前記支え部に載せられ」るのに対し、引用発明は、「スタンド4」である点。 (相違点2) 本件補正発明は、「前記調理室の温度を検出する庫内温度検出手段」を備え、「スチーム加熱手段は、蒸発容器を加熱するヒータと、前記蒸発容器内の温度を検出する容器温度検出手段とを有し」、「庫内温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように」熱風コンベクション加熱を行い、「庫内温度検出手段および前記容器温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように」スチーム加熱を行うのに対し、引用発明は、かかる事項を備えるか不明な点。 (相違点3) 被調理物について、本件補正発明は、「少なくともハンバーグを含む」のに対し、引用発明は、「焼き鳥を含む」ものの、ハンバーグを含むか否か明かではない点。 (相違点4) 「オーブンを備えた加熱調理器」について、本件補正発明は、「オーブンレンジ」であるのに対し、引用発明は、「加熱調理器1」であってマイクロ波によるレンジ加熱をする構成を有しない点。 (相違点5) 本件補正発明は、第1工程が「輻射」加熱であり、第3工程が「スチーム」加熱であって、第1工程、第2工程、第3工程の順に「連続で」加熱調理するのに対し、引用発明は、第1工程、第2工程、第3工程の順に加熱調理するものの、第1工程が蒸気加熱であり、第3工程が輻射加熱であって、蒸気加熱と乾気加熱の間に掃気を介して連続で加熱調理する点。 (4)判断 ア 相違点1について 引用文献2の技術事項は、オーブンレンジの調理室に、通気口が形成された保持部を有し、該保持部が調理室の左右の側壁に設けられた支え部に載せられることで吊設状態で保持される、被調理物を載置する金属製の角皿を備えることを開示する。そして、引用発明と引用文献2の技術事項とは、加熱調理器とオーブンレンジという関連する技術分野に属し、被調理物を載置する機能を備える点でも共通するから、引用発明のスタンド4に替えて引用文献2の技術事項を採用する動機を備えている。 そして、被調理物を載置した金属製の角皿を調理室に保持して加熱調理を行う場合、被調理物及び金属製の角皿はいずれも加熱されることになるから、加熱により生じた金属製の角皿の熱により、角皿と接する側の被調理物が加熱されることが自明である以上、引用発明のスタンドに替えて引用文献2の技術事項を適用して、上記相違点1に係る本件補正発明の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2について 調理用の調理室を備えた加熱装置において、該調理室の温度を検出する庫内温度検出手段、蒸発容器を加熱するヒータと、前記蒸発容器内の温度を検出する容器温度検出手段とを有するスチーム加熱手段を備え、庫内温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるよう熱風コンベクション加熱を行い、さらに庫内温度検出手段および前記容器温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるようにスチーム加熱を行うよう制御することは、文献3の技術事項及び文献4の技術事項に見られるとおり、周知技術にすぎない。 そして、引用発明と周知技術とは、加熱調理器とオーブンレンジという関連する技術分野に属し、調理室の加熱制御を行うという機能を備える点でも共通するから、引用発明に周知技術を適用する動機を備えている。 してみると、引用発明に周知技術を適用して、上記相違点2に係る本件補正発明の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 相違点3について オーブン又はオーブンレンジにおいて、ハンバーグを被調理物として加熱調理することは、広く行われている慣用手段であって、引用発明の被調理物として「ハンバーグを含む」ようにすることを妨げる技術的な障害もない以上、引用発明の被調理物としてハンバーグを含むようにすることにより、上記相違点3に係る本件補正発明の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 エ 相違点4について マイクロ波によるレンジ加熱をする構成を有するオーブンレンジは、例を挙げるまでもなく周知であり、引用発明の加熱調理器1に用いられている加熱手段を周知のオーブンレンジに適用することに格別の工夫を要することもないから、引用発明の加熱手段を周知のオーブンレンジに適用して、上記相違点4に係る本件補正発明の構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 オ 相違点5について 一般に、調理の手順として、輻射加熱、熱風コンベクション加熱及びスチーム加熱の順で加熱したり、スチーム加熱、熱風コンベクション加熱及び輻射加熱の順で加熱したりすることは、被調理物の特性あるいは被調理物に求められる風味等を踏まえ当業者が適宜決定しうることであり、このことは、特定の被調理物に対して加熱の順を変更して比較した引用文献1の段落【0027】や【図2】にも裏付けられている。さらに、引用文献1には、放射ヒータ19による「仕上げの加熱処理は、最終段階に用いるのが一般的ではあるが、食品種によっては、例えば初期に表面を急速加熱して保護膜を形成し、その後全体をゆっくり加熱する調理が好ましい焼き鳥のような食品もあり、適宜選択して使用することができる。」(同段落【0038】)ことも記載されている。そして、図2にスチーム加熱を最後にしてもいいことが示唆されているから、引用発明において、加熱調理の順として、第1工程を輻射加熱、第2工程を熱風コンベクション加熱、第3工程をスチーム加熱とすることに何らかの困難があるものとは認められない。 さらに、引用発明が「掃気」の工程を設けているのは、「蒸気加熱と乾気加熱の条件切替を高速かつ明確に行う」(同段落【0034】)ためであり、掃気の工程を設けるか否かは被調理物や調理メニューに応じて適宜決定できることである。 してみると、上記加熱調理において、第1工程を輻射加熱、第2工程を熱風コンベクション加熱、第3工程をスチーム加熱として、掃気の工程を設けることなく、第1工程、第2工程、第3工程の順に「連続で」加熱調理するようにして、上記相違点5に係る本件補正発明の構成を得ることは当業者が容易になし得たことである。 カ 作用効果について 本件補正発明が奏する作用効果は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術から予測されないような顕著なものとは認められない。 キ まとめ したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.審判請求人の主張について 審判請求人は、令和7年1月6日に提出した意見書において、次のとおり主張している。 (1)「・・・従来のオーブンレンジのレシピと比較しても美味しいハンバーグを加熱調理できるという知見を有する本願発明とは異なり、引用文献1には前述のように加熱の最終に蒸気加熱を行なう操作Dは「風味や食感の違和感が生ずる結果となった」というマイナス効果になっている知見しか開示されていないことを考慮すると、引用文献1の発明では、単に加熱調理の順番を入れ替えれば調理物の風味や食感を向上できるというものではないものと思料します。 そのため、「引用発明において、加熱調理の順として、第1工程を輻射加熱、第2工程を熱風コンベクション加熱、第3工程をスチーム加熱とすることに何らかの困難があるものとは認められない」という貴審判官殿のご指摘には同意できません。」 (2)「・・・引用文献1には「蒸気加熱と乾気加熱の条件切替を高速かつ明確に行うことで、両者の作用効果の違いを有効に活用することができ、食品種によって微妙に異なる最適条件をきめ細かく実現可能となる」(引用文献1の段落[0034]を参照)との記載も確認でき、掃気の工程を設けなかった場合は食品種によって異なる最適条件をきめ細かく実現できなくなってしまいます。また引用文献1の加熱調理器において蒸気加熱の後に掃気の工程を設けなかった場合は、加湿がさらに増加して前述の違和感をさらに増加させてしまうものと想定されるため、前述した「調理物の風味や食感を向上できる」という引用文献1の発明の目的とは反してしまいます。したがいまして「掃気の工程を設けるか否かは被調理物や調理メニューに応じて適宜決定できること」という貴審判官殿のご指摘には同意できません。」 (1)に係る主張について検討する。 2.(2)ア(カ)のとおり、引用文献1の段落【0029】には、「この結果は、使用した食材に特有のものであり、例えば同じ焼き魚も白身魚、一夜干し、干物など素材が異なれば作用効果が異なり、最適な操作メニューが変化することは言うまでもない。」と記載されている。すなわち、審判請求人が指摘する操作Dを含む段落【0027】の操作Aないし操作Dによる結果は食材特有のものであり、引用文献1は、段落【0029】に記載されるとおり、こうした結果を考慮しつつ、使用者の嗜好に合致した仕上がりを選択できるよう、操作部15に予め幾つかの工程パターンを記憶保存させることを開示するものといえる。そして、使用者の嗜好に合致した仕上がりとなる工程パターンとするために、加熱調理の順番に係る工程パターンを入れ替え、使用者の嗜好に合致した調理物の風味や食感とすることは記載又は示唆されている。 そうすると、相違点5の判断において述べたとおり、引用発明において、加熱調理の順として、第1工程を輻射加熱、第2工程を熱風コンベクション加熱、第3工程をスチーム加熱とすることに何らかの困難があるものとは認められないから、審判請求人の(1)に係る主張は当を得ない。 (2)に係る主張について検討する。 2.(2)ア(キ)のとおり、引用文献1の段落【0034】に記載される「掃気」工程は、「蒸気加熱」工程の後に「乾気加熱」工程を行う場合において、「蒸気加熱と乾気加熱の条件切替を高速かつ明確に行うことで、両者の作用効果の違いを有効に活用する」ための工程といえる。そうすると、相違点5の判断において述べたとおり、引用発明において、加熱調理の順として、第1工程を輻射加熱、第2工程を熱風コンベクション加熱、第3工程をスチーム加熱とする場合、掃気工程を設けることなく熱風コンベクション加熱と蒸気加熱との条件切替は高速かつ明確に行い得るのであるから、掃気工程を設けることなく、輻射加熱、熱風コンベクション加熱及びスチーム加熱を連続で行うようにすることは、当業者であれば容易に想到しうることである。したがって、審判請求人の(2)に係る主張は当を得ない。 4.むすび 上記2.のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和7年1月6日にされた手続補正は、上記の通り却下されたので、本願の請求項1ないし請求項3に係る発明は、令和6年7月3日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2 1.(1)の記載のとおりのものである。 2.当審拒絶理由 当審拒絶理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前に発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2006-22998号公報 引用文献2:特開2018-50832号公報 3.引用文献 当審拒絶理由において引用された引用文献1及び引用文献2並びにその記載は、前記第2[理由]2.(2)のとおりである。 4.対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]2.(2)の本件補正発明から、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「調理室」についての「扉により開閉される」するとの限定及び「前記調理室の温度を検出する庫内温度検出手段」を備えるとの限定、「スチーム加熱手段」について、「蒸発容器を加熱するヒータと、前記蒸発容器内の温度を検出する容器温度検出手段とを有」するとの限定、並びに「加熱調理制御部」についての「かつ、前記被調理物を載置した前記角皿が前記支え部に載せられて前記扉が閉められた後は前記扉が開閉されることなく」との限定、「第2行程」についての「前記庫内温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、」前記被調理物を熱風コンベクション加熱するとの限定、及び「第3工程」についての「前記庫内温度検出手段および前記容器温度検出手段からの検出信号を受けて、前記調理室が設定した温度に加熱されるように、」前記被調理物をスチーム加熱するとの限定、を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2.(4)に記載したとおり、引用発明、引用文献2の技術事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-005631

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