特許拒絶査定不服審判
2016-005216
車両乗員支持体
- 審判番号
- 2016-005216
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2010-539946外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月08日
- 審決日
- 2018年01月29日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .536-WZ (B60N) / P18 .537-WZ (B60N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2010-539946「車両乗員支持体」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 6月25日国際公開、WO2009/079668、平成23年 3月31日国内公表、特表2011-509858〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、2009年1月21日(パリ条約による優先権主張 2008年1月23日:米国、2008年2月20日:米国、2008年3月28日:米国、2008年3月31日:米国、2008年4月8日:米国、2008年5月7日:米国、2008年8月7日:米国、2008年9月8日:米国、2008年11月6日:米国)を国際出願日とする特許出願であって、平成24年1月23日付け、平成26年2月18日付け、及び同年12月17日付けで手続補正がなされた後、平成27年11月27日付けで拒絶査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年12月8日)、これに対して、平成28年4月8日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成29年2月21日付けで拒絶理由が通知され、3回の期間延長請求後、同年8月29日付けで手続補正がなされたものである。
第2.本願の発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成29年8月29日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項によって特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
固有に高い質量中心を備える、通路からのアクセスを有する少なくとも第一階層と第二階層とを含む多階層内の乗員支持体内の乗員の支持のための、運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、
当該支持構造は、前記航空機のフロアにおいて複数のフット/フレームを含み、
前記フット/フレームの各々は、前記乗員支持体の少なくとも1つに取り付けられ、
各乗員支持体は、前記複数のフット/フレームのうちの少なくとも1つ、及び、少なくとも1つの他の乗員支持体への取付部、のうちの一方又は両方によって支持され、
前記乗員支持体の各々は、客室、シート底部、シート背部、及び、前記乗員の面する方向における軸を更に含み、
互いに隣接して取り付けられた乗員支持体の対は、前記航空機の運動の軸に沿って互いに対して移動させられ、それによって、衝撃条件の間に、前記航空機の前方に向かう下向き荷重及び前記航空機の後方に向かう上向き荷重を前記取付部に対して加える当該支持構造内の各乗員支持体によって生成されるトルクを部分的に低減することによって、前記シートトラック上の正味荷重を減少させ、それによって、前記取付部が、前記シートトラックに対する残余の荷重を減少させ、前記取付部は、当該支持構造が前記航空機の軸に沿う前記航空機の急激な減速からの慣性荷重に耐えることを可能にする、
支持構造。
【請求項2】
前記複数のフット/フレームは、フットを含み、該フット/フレームは、前記シートトラックに係止するラッチを備える前記航空機の前記シートトラック及び隣接するフット/フレームの両方と係合するよう構成され、
前記フット/フレームは、フット及び支持フレームを含み、
該支持フレームは、
a)少なくとも2つの垂直に相互接続される剪断平面、及び
b)少なくとも2つの垂直フレーム、の一方を含み、
各剪断平面は、前記シートトラックの1つの上に実質的に垂直に配置され、前記剪断平面の各々は、内部の選択的な開口と、少なくとも1つの乗員支持体に取り付けられる上方縁部とを含み、且つ前記シートトラックに沿って延びる縁部を選択的に含み、各剪断平面は、前記航空機の方向に関する横方向剛性を維持するクロスリンクを備える前記1つ又はそれよりも多くの他の剪断平面に取り付けられ、
各垂直フレームは、前記航空機の前記フロア上の前記シートトラックの1つの実質的に垂直に上にあり、前記垂直フレームの各々は、回動する直線部材を含み、前記シートトラックの上で前記航空機と共に隣接する長方形の配列の側部を構成し、且つ、前記シートトラックに回動可能に取り付けられ、前記回動する直線部材は、長方形フレームが前記航空機の運動の方向における荷重の下で衝撃吸収素子によって制約される平行四辺形になるよう、実質的に前記長方形の少なくとも1つの対向する頂点間に配置される少なくとも1つの衝撃吸収素子を更に含み、前記垂直フレームは、前記航空機の方向に関する横方向剛性を維持するよう、クロスリンクで一体に取り付けられ、
前記フットは、前記乗員支持体に対する前記ラッチの間におけるに剛的なリンクを含むか、又は、前記ラッチと前記乗員支持体との間の衝撃緩衝器との接続を含み、前記衝撃緩衝器は、前記航空機の急減速条件の下で、前記航空機の運動の方向における衝撃を吸収するよう構成され、それによって、急減速条件の下で、前記乗員及び前記トラックに対するピーク力を減少させる、
請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
各階層の各乗員は、前記乗員支持体内に着座位置を有し、前記乗員の足支持体が全て前記通路に隣接し、全ての前記乗員支持体の前記シート底部及びシート背部は、常に前記フット/フレームより上に位置するよう構成され、それによって、各乗員に通路アクセスを可能にすると同時に、前記航空機の前記フロアに係合するよう構成され且つ前記乗員支持体に取り付けられる前記フット/フレームの前記相互接続を可能にする、請求項2に記載の支持構造。
【請求項4】
前記乗員の面する方向の軸は、前記航空機の軸に対して非ゼロ角度にあり、且つ前記通路に向かって面し、前記第一階層内の乗員支持体は、前記航空機の運動の軸の方向において前記第一階層上の少なくとも1つの隣接する乗員支持体に、並びに前記支持フレームにそれぞれ接続され、
前記第二階層内の乗員支持体は、前記航空機の運動の軸の方向において前記第二階層上の隣接する乗員支持体に、並びに、前記フット/フレーム、及び、前記第一階層内の少なくとも1つの乗員支持体のうちの1つに接続され、
それによって、急減速中の前記航空機に対する軸方向荷重に耐える筋交い格子をもたらす、
請求項1乃至3のうちの何れか1項に記載の支持構造。
【請求項5】
前記第二階層の乗員支持体の軸は、前記第一階層の乗員支持体の軸から前記乗員支持体の軸に対して実質的に直交して水平に偏心し、前記第二階層内の前記乗員支持体は、前記第一階層内の前記乗員支持体の頂部の下に脚空間をそれぞれ有する乗員のための着座位置を可能にし、且つ/或いは、前記第二階層内の前記乗員支持体の底部は、前記第一階層内の前記乗員支持体の頂部の下にあることを可能にし、それによって、前記第二階層からの出入りを容易化する、請求項4に記載の支持構造。
【請求項6】
請求項1に記載の乗員支持体内の乗員の支持のための運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、前記乗員の軸は、前記航空機の運動の軸に対して非ゼロ角度にあり、少なくとも1つの乗員支持体の前記シート背部は、実質的にフラットベッド位置及び実質的に直立位置に方向付けられることが可能とされ、前記シート背部は、衝撃荷重条件下で前記航空機の運動の方向において前記乗員を支持するよう構成される、支持構造。
【請求項7】
請求項1に記載の乗員支持体内の乗員の支持のための運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、当該支持構造は、乗員支持体を含み、
中央の脊柱部が、シート背部を主に支持し、前記乗員支持体のシート底部に取り付けられており、
前記中央の脊柱部は、快適性のために前記乗員による裁量的な制御下において、その傾斜を変更することが可能となっており、
前記中央の脊柱部は、一定の断面を有する部分を含み、
前記中央の脊柱部は、複数の椎骨部を支持し、
該複数の椎骨部の各々は、前記脊柱部の一定の断面を有する前記部分に対して摺動可能に取り付けられ、
前記中央の脊柱部の一定の断面を有する前記部分は、該脊柱部に沿った軸の周りに回動させないようにしており、
複数の椎骨部の各々は、前記乗員を支持するように設けられた少なくとも1つの翼部を支持し、
前記乗員は、前記乗員支持体を使用している間、快適性のために前記複数の椎骨部を移動させることが可能である、支持構造。
【請求項8】
請求項7に記載の乗員支持体内の乗員の支持のための運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、
前記複数の椎骨部の位置の制御は、該複数の椎骨部の各々の第1端部において取り付けられ該複数の椎骨部の各々を作動させることが可能なケーブルを用いて可能にされ、
該ケーブルの各々は、前記複数の椎骨部の対応する第2端部において複数の半径に対応する複数の円周における地点に取り付けられ、
スプールのセグメントは、所定角度を通じての回転により、前記ケーブルの各々に取り付けられた前記椎骨部の所要動作によって、前記ケーブルの各々の解放をもたらすよう構成され、それによって、前記乗員によって制御される前記スプールを用いて、前記脊柱部上の前記複数の椎骨部の各々の位置を個別に修正する手段をもたらす、支持構造。
【請求項9】
請求項3~8のいずれかに記載の支持構造であって、
少なくとも1つの乗員支持体の前記シート背部は、前記客室に旋回的に取り付けられ、
前記シート背部の下方縁部は、前記シート底部の後方縁部に旋回軸によって旋回的に取り付けられ、
この旋回軸は、前記シート背部が実質的に直立位置から実質的にフラットベッド位置に再配向されるとき、前記客室に対して上昇し、これにより、結果として生ずるフラットベッドを前記直立位置における前記シート底部の後方に対して上昇させ、
前記シート背部が実質的に直立位置から実質的にフラットベッド位置に再配向されるとき、前記支持構造に対して前方に或いは前記支持構造に対して後方に移動する、支持構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の支持構造であって、
前記支持フレームは、開口を有し、
当該支持構造は、さらに、
格納ビンであって、該格納ビンの前方及び前記格納ビンの後部の頂部の一方又は両方からの格納へのアクセスを備える前記第一階層内の前記乗員支持体より下の前記格納ビン、を具備し、
前記格納ビンの後部の頂部へのアクセスは、前記乗員支持体の前記シート背部を前方へ折り畳むこと、及び、ドア又は摺動パネルであるよう構成される前記シート背部上の少なくとも1つのパネルを開放することの一方又は両方によって可能にされる、支持構造。
【請求項11】
前記乗員支持体は、空気供給、酸素、電力供給、娯楽システムプログラミング、及び乗員間通信のうちの少なくとも1つのための、モジュール供給接続を含む、請求項1~9のいずれかに記載の支持構造。
【請求項12】
請求項1に記載の支持構造であって、客室内に多階層の乗員支持体を備え、フロアは、前記第一階層の乗員の足のための井戸部を備える凹部を有する、支持構造。」
第3.当審で通知した拒絶理由
当審において平成29年2月21日付けで通知した拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「理由
1.本件出願に係る平成28年4月8日付けでした、特許請求の範囲の請求項7についての手続補正は、下記の点で、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2.本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
3.本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
4.本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
[理由1について]
平成28年4月8日付けの手続補正において、請求項7の末尾の記載を、「前記複数の椎骨部は、前記中央の脊柱部に関して1自由度の直動を有する(支持構造。)」とする補正がなされた。
上記の記載のうち、「中央の脊柱部に関して1自由度の直動を有する」点は、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面の翻訳文(図面の中の説明に限る。)、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)に記載した事項の範囲内のものではない。
[理由2について]
・請求項1に係る発明との関連
請求項1の発明は、航空機内の支持構造であって、「航空機のフロアにおいて複数のフット/フレームを含み、
前記フット/フレームの各々は、前記乗員支持体の少なくとも1つに取り付けられ、
各乗員支持体は、前記複数のフット/フレームのうちの少なくとも1つ、及び、少なくとも1つの他の乗員支持体への取付部、のうちの一方又は両方によって支持され」るという、「支持構造」に係る発明である。
しかし、発明の詳細な説明や図面には、乗員支持体とフット/フレームとが、具体的にどのように配置されて、どのような状態で取り付けられる支持構造であるのかが明確に説明されていない。したがって、発明の詳細な説明の記載は、上記請求項1に係る発明を当業者が容易に実施できる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
更に具体的にいうと、上記の「支持構造」に関する説明は、主として、発明の詳細な説明の段落【0015】~【0031】、【0225】~【0231】及び、図23~36の記載であると思われるが、これらの段落の記載や図面をみても、乗員支持体(空気スリーパ)が、「(支持フット/フレームの)バネ/制動体荷重支持レール」や「重力合成器(シンセサイザ)」に対して、どのように配置されて、どのように取り付けられるのかが全く説明されていない。
また、上記の重力合成器(シンセサイザ)は、「2つの部分を備える」(【0020】)とされているが、2つの部分とは、図27~32に示されているどの部分とどの部分をいうのかが明確ではないし、図33~36がどのようなことを意味するのかも明確には説明されていないから、重力合成器(シンセサイザ)の構成も明りょうではない。
しかも、上記のほかにも、段落【0015】~【0031】、【0225】~【0231】には、以下のとおり、意味不明の記載や、具体的な構成を理解することが困難な記載が多く存在しており、請求項1の発明が明確かつ十分に説明されているとはいえない。
意味不明の記載や、具体的な構成を理解することが困難な記載は次のとおりである。(特に、下線部の記載。)
【0015】「これらは支持フレームの頂部に沿って摺動し、孔内の案内ピンが図面において可視的であり、間隙内のバネ制動体が図面中に示されている。」
【0016】「支持レールの頂部は、上の空気スリーパに取り付けられる。一部の実施態様では、衝撃条件中に2つ(又はそれよりも多くの)支持レールの異なる動作に適合するために、この付着は旋回的であり得る。一部の実施態様において、23B-バネ/制動体荷重支持レールは、上のスリーパを支持する。スリーパのピーク加速及びシートトラックのピーク荷重を減少するためにバネの圧縮荷重の下で、それは支持フレームに沿って摺動し得る。」
【0017】「そのような係止は、垂直荷重、及び、選択的に、水平荷重を移転し、その結果、衝撃条件中の隣接する空気スリーパの荷重に起因する対向する力のモーメントは相殺するので、レールに対する衝撃力の影響を低減し、さらに、選択的に、レール及び客室フロアの突っ張り作用を低減する。(フロアレール/トラックへのラッチを用いてそれらの足部と係止されるとき、それらはビームのフロアレールに対する強化効果を有し、それは激突の事態において有用であり得る。)24A-複数の係止支持フレームが示されている。スリーパ荷重は連結の結果として分配され、足部及びトラック取付部のピーク引っ張り荷重及び圧縮荷重は結果的に減少される。」
【0018】「図25は、摺動支持レールに付着するバネ/制動体のための案内ピンのための孔を示している。25A-圧縮バネのための案内シャフトのための孔である。」
【0019】「図26は、傾斜した頂部縁部を備える支持フレームを示している。摺動支持レールは、前と同様に、この上を摺動する。衝撃直後、支持レールは支持フレームの頂部縁部に沿って摺動し、角度を伴って上がり、従って、空気スリーパから出る可能性を減少するために、乗客に対する慣性荷重を垂直方向に推し進める。空気スリーパが水平であることを保証するために、空気スリーパは逆の角度を有する。26A-航空機の前部に向かってより高い頂部縁部である。衝撃直後、各スリーパは上がり、水平激突荷重を伴うときでさえ、就寝する乗員に対する下向きの力を創成する。噛合するスライダは、スリーパを水平にするためにスリーパに付着するその表面上に逆の角度を有する。」
【0020】「 図27は、2つの部分を備える重力合成器(シンセサイザ)の実施態様であり、第1の部分は、シート底部に直接的又は間接的に取り付けられ、第2の部分は、支持構造に取り付けられる。それは車両の方向における衝撃又は急加速の間に慣性荷重を使用するよう設計される。」
【0021】「ここでは、中心リングがシートに接続される。ピンがトラックの開始にある。膝端部及び後縁トラックがピンを下に移動する。バックレスト(背もたれ)及び前縁が衝撃直後にピンを上に移動する。この機構のためのバネ制動体及び端部ストップは図示されていないが、慣性荷重を伴う回転を制御する。他の実施態様は、トラックを偏心することによって、この位置において水平な内部リングを有し得る。他の実施態様は、トラックを偏心することによって、この位置において水平な内部リングを有し得る。さらに、全てのトラックを同じレベルに配置し且つピンを係合するために内部リング上のピンを偏心することによって、(この実施態様における支持構造に接続される)外部リングは、より小さい高さを有し得る。」「もし素子1が局所的にほぼ線形であるならば、素子2はより広くあり得る。」「膝及び後縁トラックは、ピンを下に移動する。バックレスト及び前縁トラックは、衝撃直後に、ピンを上に移動する。この機構のためのバネ制動体及び端部ストップは、図示されていないが、慣性荷重を伴う回転を制御する。27A-トラックである。内部リングがピンのために回転するときの異なる軸方向運動に留意のこと。」
【0022】「図28は、重力シンセサイザの通常位置を示している。ガイドの形状は、衝撃中の空気スリーパ上の異なる地点で乗員の垂直加速を決定する。この加速は水平激突加速パルス形状にも依存し得る。トラック上のピンの位置を示す。28Aは、航空機/車両の運動の方向である。28B-フラットベッド位置にあるときのシート背部場所である(頭部端部が頂部にある)。」
【0023】~【0030】、【0225】~【0231】のほぼ全文が、意味不明の記載や、具体的な構成を理解することが困難な記載である。
・請求項2に係る発明との関連
請求項2の発明は、「前記複数のフット/フレームは、フットを含み、該フット/フレームは、前記シートトラックに係止するラッチを備える前記航空機の前記シートトラック及び隣接するフットフレームの両方と係合するよう構成され」る、請求項1に記載の支持構造に係る発明である。
しかし、発明の詳細な説明や図面には、(フット/フレームの)フットと、シートトラックと、ラッチとが、航空機に対して具体的にどのように配置されて、これらが乗員支持体に対してどのような状態で利用されるのかが明確に説明されていない。したがって、発明の詳細な説明の記載は、上記請求項2に係る発明を当業者が容易に実施できる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
更に具体的にいうと、上記の請求項2の発明に関する説明は、主として、発明の詳細な説明の段落【0068】~【0070】、【0110】、【0113】及び【0278】、図66、67、102の記載であると思われる。しかし、これらの段落には、以下のとおり、意味不明の記載や具体的な構成を理解することが困難な記載が多く存在しているし、図面の記載も明りょうなものではなく、上記段落や図面の記載によって請求項2の発明が明確かつ十分に説明されているとはいえない。
上記段落中の意味不明な記載や、具体的な構成を理解することがが困難な記載は次のとおりである。(特に、下線部の記載。)
【0068】「図66は、ラッチ構造を示しており、空気スリーパ構造を支持するために、ラッチ構造を下方シートトラック又は上方ビントラックのために使用し得る。」
【0069】「ここでは、係止スタッド(66A)がトラック内の孔に滑り込み、トラック内の溝に沿って摺動する。交差誤差の故に完全な整列からの他のラッチの移動を許容するために、各フレーム上の1つのラッチ(他の図面を参照)は、それを水平に係止するピンを有する。トラックはスタッドを挿入する孔を有する。次に、引張荷重がトラックによって支持されることを可能にするために、スタッドは孔の間の中心地点に摺動する。ラッチを係止し且つ剪断荷重を支持するためのピン(66B)が示されている。この実施態様は、トラック内の円形スロットの底部に向かってピンを荷重するためのバネを収容する陥凹付き肩部を有する。ピンはトラックに沿って剪断荷重を支持する。高い圧縮荷重を受けるならば、特に、ピンが荷重の結果として屈曲するならば、足部/フレーム(図67)は、ラッチ本体上のノッチ上に位置し得る(66C)。トラックはスタッドを挿入する孔を有する。次に、引張荷重がトラックによって支持されることを可能にするために、スタッドは孔の間の中心地点に摺動する。」
【0070】「図67は、空気スリーパ用のフレーム/足部のための取付地点を示している。垂直スロット(67A)が例えば、隣接するフレーム/足部の位置の交差内の誤差を許容するよう延長されて示されている。従って、連結ノッチ上の水平表面は、何らかの摺動性を有するよう設計される。しかしながら、これらのフレーム/足部を含む構造の剛性を増大し且つ多くの場合において車両の急加速条件下のシートトラックの引張加重及び圧縮加重を減少するために、殆どの実施態様における係止ノッチは互いからの垂直力を支持する。フレーム底部にある孔は、ラッチ孔と係合する。この実施態様では、取付けのために、ピン(図示せず)が使用される。シートトラック間隔の公差内の誤差を許容するために、フレームは伸縮シリンダ(67C)を有し得る。トラックラッチ(67B)は突起と係合し、所定位置にピン止めされる。ラッチのノッチ内の突起の底部表面によって、垂直荷重も支持し得る。」
【0110】「図102は、2つの構造を備える空気スリーパのための支持足部を示している。重量を節約するために、設計において足部の底部横木を排除し得る。しかしながら、これはより大きなトルクをシートトラックに移転する。より保守的な設計は底部横木を使用する。両方の場合において、隅部は接合され得るし、対角衝撃吸収体が激突荷重のために導入される。しかしながら、これはさもなければ格納庫として使用し得る各足部内の空間も閉塞する。
【0113】「図102は、足部フレームのための設計の代替的な変形を示している。102A-開放プロファイル支持足部。垂直トラック剛性(又は圧縮及び引張荷重を中性化するラッチ設計)に依存して、閉塞プロファイルにおけるよりも多いが、重量を節約する。閉塞プロファイルにおけるように、垂直荷重は連結構造を備える支持足部を横断して移転される。ここでは、底部にあるラッチ地点でトルクを生成する引張圧縮荷重は、タッチ上で或いはトラックの区域上で中性化される。102B-ここでは、底部水平滑車を備える閉塞プロファイル支持足部は、剪断荷重によるトラック上の荷重を減少する。この場合には、支持足部の上方縁部の剪断荷重によって生成されるより少ないトルクは、トラックに移転される。いずれの場合においても、対角衝撃吸収体を取り付け得るし、激突荷重に適合するよう支持足部の隅部を旋回し得る。」
【0278】「この発明は、航空機のシートトラックに対する荷重を低減し得る空気スリーパの支持のための係止格子構造を含む。各シートのために生成されるトルクは、トラック上の航空機の前方に向かう圧縮荷重と、トラック上の航空機の背部に向かう剪断荷重とを有する。係止格子構造はこれらの力を中和し、それによって、衝撃条件下のトラック上の正味荷重を減少する。従来的な構造では、前方対向シートを備える航空機の軸に沿う激突荷重の慣性荷重は、前方脚部に圧縮荷重を創成し、後方脚部に対して引張荷重を創成する。同じトラック上の多くのシートでのこの効果は、シートトラックに対する正弦引張及び圧縮交互加重を創成する。普通、シートトラックに対する重大な荷重は、トラックの舌部を切り離し得る引張荷重である。本発明において、足部/フレームによって創成される係止格子(参照を見よ)は、交互の圧縮荷重及び引張荷重を平均化する。下方水平ビームの剛性化は、この平均化の効果を増大する。これらの構造は、本発明の他の特徴である。頂部又は側部で空気スリーパの支持構造も使用するために、天井上のビントラック及びモニュメント支持トラック又は地点を使用し得る。これらはそれらの性能に対する制限を許容する荷重リミッタを有し得る。」
・請求項8の発明に関連して
請求項8の発明は、「前記複数の椎骨部の位置の制御は、該複数の椎骨部の各々の第1端部において取り付けられ該複数の椎骨部の各々を作動させることが可能なケーブルを用いて可能にされ」る、請求項7に記載の支持構造に係る発明である。
しかし、発明の詳細な説明発明の詳細な説明や図面には、上記のケーブルを用いた複数の椎骨部の位置の制御が、具体的にどのように行われるのかが明確に説明されていない。したがって、発明の詳細な説明の記載は、上記請求項8に係る発明を当業者が容易に実施できる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
更に具体的にいうと、上記の請求項8の発明に関する説明は、主として、発明の詳細な説明の段落【0126】~【0139】、及び、図103、113、114の記載であると思われる。しかし、これらの段落には、以下のとおり、意味不明の記載や具体的な構成を理解することが困難な記載が多く存在しているし、図面の記載も明りょうなものではなく、上記の段落や図面の記載によって請求項8の発明が明確かつ十分に説明されているとはいえない。
上記段落中の意味不明な記載や、具体的な構成を理解することがが困難な記載は次のとおりである。(特に、下線部の記載。)
【0126】「図103乃至111において並びに図112の展開図において示されるように、椎骨部が脊柱部に沿って制御された方法で摺動し得るよう、背部翼部を脊柱部に取り付ける椎骨部を、脊柱部に摺動可能に取り付け得る。椎骨部の夫々に取り付けられるケーブルを巻く異なる直径の同軸スプールを有することによって、そのような制御を達成し得る。図112、113、114を参照。よって、それは異なる高さの乗員の快適性のために翼部の調節のために必要とされる椎骨部の差動を達成する、即ち、より短い乗員の胸廓及び肩部はケーブル内のスプーリングによって適合される(底部椎骨部よりも頂部椎骨部、従って、スプールの差動直径のために必要とされるより大きい動作がある)。より高い乗員のためにケーブルが巻き出されるときにケーブルを解放するために、椎骨部は脊柱部に対する或いは単に椎骨間のバネ荷重を有し得る。角変位に亘ってスプールを移動するレバーを用いてスプールを制御し得るし、所望の位置にケーブルを維持するために、摩擦係止又は他の機構を使用し得る。」
【0128】「図112は、椎骨部を引っ込めるために異なる直径を備えるスプールの型も示している。」
【0129】「図113は、1つの可能な実施態様におけるシート背部高さ調節及び旋回機構のためのスプールの構成を示している。」
【0130】「113A-孔はスプールからリブの夫々へのケーブル取付けを可能にする。リブの差動のためのスプールの異なる半径が提供される。113B-スプライン付きシリンダである。113C-ピン用のキー溝を備える心棒である。113D-心棒内のキー溝内に乗るピンである。113E-スプールハウジング及び背部旋回軸組立体をカプセル化する一般ハウジングである。構造的機能を有し得る。113F-リブ位置を制御するケーブルを引き込み或いは出すよう90度を通じて回転する2つの対称的なスプールである。113G-この実施態様において、スプール用のハウジングは、アームレストのための支持体も有する。113H-背部旋回軸角度調節のための機構である。キー内でピンを引っ込めることは、スプライン付き又はギア付きシリンダを引っ込め、スプライン付き又はギア付きシリンダは、シート背部に固定され且つスプライン付き又はギア付きシリンダと同軸である区域と係合し、それによって、ある角度に亘って移動するようピンを解放する。ピンを解放することは、スプライン又はギアをシート背部に取り付けられる同軸区域と係合し、それによって、シート背部を新たな角度位置に係止する。113I-リブの夫々のために異なる半径を備えるスプールの位置を示すスプールハウジングである。113J-レバーを取り付けるハウジングへの拡張部であり、レバーは、この地点で旋回可能であり、その端部でピンに取り付け可能であり、それによって、レバーの押し下げによるピンの作動を可能にする。113K-スプールの軸は、長い腕部及び乗員側のレバーによって作動され得る。113L-脊柱部のための切欠き。この実施態様では、それは衝撃撓み特性のための角度付き構造である。
【0131】「図114は、スプールの分解図である。」
【0132】「114A-ピンのためのキー溝を備える心棒である。この心棒も、シリンダに並びに移動するシート背部に取り付けられる部分にスプライン結合され得る。」
【0133】「114B-ギア付き端部を備える心棒と係合するスプライン付き(又はキー付き)シリンダであり、ギア付き端部は、シート背部に取り付けられるハウジング上の空洞の端部と係合する。」
【0134】「114C-スプールハウジングと置換し或いはカプセル化し得る並びに(シート背部動作のための)背部旋回軸組立体をカプセル化し得る一般ハウジングである。それは構造的機能も有し得る。」
【0135】「114D-この実施態様において、スプール用のハウジングは、アームレスト用の支持体も有する。」
【0136】「114E-スプール用の軸は、長い腕部及び乗員側のレバーによって作動され得る。」
【0137】「114F-約90度だけ回転する2つの対称的な「スプール」は、リブ位置を制御するケーブルを引き込み或いは出す。」
【0138】「114G-キーに旋回的に取り付けられるレバーを旋回するために、ハウジングへの拡張部を使用することができ、それによって、出し入れするためにキーを残し、それによって、シリンダとシート背部に取り付けられるハウジングの空洞との間のギアの係合及び分離をもたらす。それによって、乗員は、レバーを押し下げ且つシート背部を上下に回転することによってシート背部の角度向きを制御し得る。多くの実施態様において、シート背部の重量に対するバネ荷重がある。」
【0139】「114H-シリンダのギア付き端部をシート底部に取り付けられる部分に向かって押すバネ荷重を備えるシリンダ用の空洞である。空洞は、その他端部に、心棒を受け入れ且つ心棒上におけると同様な対応するキー溝を有する短い直径を有する。」
[理由3について]
上記の[理由1について]で指摘したように、請求項7の「(前記複数の椎骨部は、)前記中央の脊柱部に関して1自由度の直動を有する、」という発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書には記載されておらず、当該明細書に記載されている「発明の詳細な説明」は、上記発明特定事項と関連しない段落【0011】を除いて、これまで補正されていない。
したがって、請求項7の発明は、発明の詳細な説明に記載した発明とは認められない。
[理由4について]
・請求項1に係る発明は、次のとおりである。
「固有に高い質量中心を備える、通路からのアクセスを有する少なくとも第一階層と第二階層とを含む多階層内の乗員支持体内の乗員の支持のための、運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、
当該支持構造は、前記航空機のフロアにおいて複数のフット/フレームを含み、
前記フット/フレームの各々は、前記乗員支持体の少なくとも1つに取り付けられ、
各乗員支持体は、前記複数のフット/フレームのうちの少なくとも1つ、及び、少なくとも1つの他の乗員支持体への取付部、のうちの一方又は両方によって支持され、
前記乗員支持体の各々は、客室、シート底部、シート背部、及び、前記乗員の面する方向における軸を更に含み、
互いに隣接して取り付けられた乗員支持体の対は、前記航空機の運動の軸に沿って互いに移動されており、それによって、衝撃条件の間に、前記航空機の前方に向かう下向き荷重及び前記航空機の後方に向かう上向き荷重を前記取付部に対して加える当該支持構造内の各乗員支持体によって生成されるトルクを部分的に低減することによって、前記シートトラック上の正味荷重を減少させ、それによって、前記取付部が、前記シートトラックに対する残余の荷重を減少させ、前記取付部は、当該支持構造が前記航空機の軸に沿う前記航空機の急激な減速からの慣性荷重に耐えることを可能にする、
支持構造。」
そして、以下のとおり、請求項1における上記下線部の記載は意味が不明であり、請求項1に係る発明は明確ではない。
上記の「運動の軸を備える航空機内の支持構造」という記載において、「運動の軸」が何を意味するのか明りょうではなく、「運動の軸を備える」という記載の意味が不明であるし、「運動の軸を備える」のが、航空機であるのか支持構造であるのかも不明である。
上記の「乗員支持体への取付部」がどのような部分を意味しているのかが明確ではない。したがって、「衝撃条件の間に、前記航空機の前方に向かう下向き荷重及び前記航空機の後方に向かう上向き荷重を前記取付部に対して加える」というのが、どのような状態をいっているのか不明である。
同じく「乗員の面する方向における軸」を「含」むという記載の意味が不明である。
また、同じく「互いに隣接して取り付けられた乗員支持体の対は、前記航空機の運動の軸に沿って互いに移動されており」という記載において、「航空機の運動の軸に沿って」、「互いに移動」が、どのようなことをいっているのか不明であり、この記載全体が不明りょうなものとなっている。
上記の「シートトラック」が何を意味しているのか、そして、シートトラックと「支持構造」とがどのように関係しているのかが不明である。また、「衝撃条件の間に、前記航空機の前方に向かう下向き荷重及び前記航空機の後方に向かう上向き荷重を前記取付部に対して加える当該支持構造内の各乗員支持体によって生成されるトルクを部分的に低減することによって、前記シートトラック上の正味荷重を減少させ、それによって、前記取付部が、前記シートトラックに対する残余の荷重を減少させ」という記載の意味も明りょうではない。
なお、審判請求書の請求の理由(平成28年4月27日付けの手続補正書)では、「乗員支持体によって生成されるトルク」という記載に関連して、発明の詳細な説明の段落【0278】の記載をもとに、「このトルクとは、簡単にいいますと、減速の間に、航空機の軸方向の荷重に関する物理的な性質をいいます。」とする説明を試みているが、この説明文自体が意味不明であるし、前述したとおり、段落【0278】の記載も明りょうなものではない。即ち、審判請求書の請求の理由における上記の説明に係る記載は、請求項1に係る発明を理解するための何の助けにもなっていない。
・請求項2に係る発明は、次のとおりである。
「前記複数のフット/フレームは、フットを含み、該フット/フレームは、前記シートトラックに係止するラッチを備える前記航空機の前記シートトラック及び隣接するフットフレームの両方と係合するよう構成され、
前記フットフレームは、足部及び支持フレームを含み、
該支持フレームは、
a)少なくとも2つの垂直に相互接続される剪断平面、及び
b)少なくとも2つの垂直フレーム、の一方を含み、
各剪断平面は、前記シートトラックの1つの上に実質的に垂直に配置され、前記剪断平面の各々は、内部の選択的な開口と、少なくとも1つの乗員支持体に取り付けられる上方縁部とを含み、且つ前記シートトラックに沿って延びる縁部を選択的に含み、各剪断平面は、前記航空機の方向に関する横方向剛性を維持するクロスリンクを備える前記1つ又はそれよりも多くの他の剪断平面に取り付けられ、
各垂直フレームは、前記航空機の前記フロア上の前記シートトラックの1つの実質的に垂直に上にあり、前記垂直フレームの各々は、旋回される直線部材を含み、前記シートトラックの上で前記航空機と共に隣接する長方形の配列の側部を構成し、且つ、前記シートトラックに旋回的に取り付けられ、前記旋回される直線部材は、長方形フレームが前記航空機の運動の方向における荷重の下で衝撃吸収素子によって制約される平行四辺形になるよう、実質的に前記長方形の少なくとも1つの対向する頂点間に配置される少なくとも1つの衝撃吸収素子を更に含み、前記垂直フレームは、前記航空機の方向に関する横方向剛性を維持するよう、クロスリンクで一体に取り付けられ、
前記フットフレームは、前記乗員支持体に対する前記ラッチの間におけるに剛的なリンク、又は、前記ラッチと前記乗員支持体との間の衝撃緩衝器との接続を含むかのいずれかであり、前記衝撃緩衝器は、前記航空機の急減速条件の下で、前記航空機の運動の方向における衝撃を吸収するよう構成され、それによって、急減速条件の下で、前記乗員及び前記トラックに対するピーク力を減少させる、
請求項1に記載の支持構造。」
請求項2に係る発明は、明確ではない請求項1に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、以下のとおり、請求項2における上記下線部の記載は意味が不明であり、請求項2に係る発明は明確ではない。
上記の「フット」と「足部」との異同関係が不明であるし、「フット/フレーム」と「フットフレーム」との異同関係も明確ではない。また、「前記シートトラックに係止するラッチを備える前記航空機の前記シートトラック」という記載では、「シートトラック」と「ラッチ」との関係が明確ではない。
「垂直に相互接続される剪断平面」「を含み」という記載について、「剪断平面」がどのようなものを意味するのかが不明であるし、平面が「相互接続」される、平面を「含」むとは、どのような状態をいうのかも不明である。また、「各剪断平面は、前記シートトラックの1つの上に実質的に垂直に配置され、前記剪断平面の各々は、内部の選択的な開口」を含むという記載について、平面が「配置」されるとはどのような状態をいうのか不明であり、「内部の選択的な開口」が何を意味するのかも不明である。
「各剪断平面は、前記航空機の方向に関する横方向剛性を維持するクロスリンクを備える前記1つ又はそれよりも多くの他の剪断平面に取り付けられ」という記載について、「航空機の方向に関する横方向」がどの方向を意味するのかが不明であり、また、平面が他の平面に「取り付けられ」るとは、どのような状態をいうのかも不明である。
「旋回される直線部材」とは、どのような部材をいうのか不明である。
「前記シートトラックの上で前記航空機と共に隣接する長方形の配列の側部を構成」するという記載の意味が不明である。
「旋回される直線部材は、長方形フレームが前記航空機の運動の方向における荷重の下で衝撃吸収素子によって制約される平行四辺形になるよう、実質的に前記長方形の少なくとも1つの対向する頂点間に配置される少なくとも1つの衝撃吸収素子を更に含み」という記載の意味が不明である。
「前記フットフレームは、前記乗員支持体に対する前記ラッチの間におけるに剛的なリンク、又は、前記ラッチと前記乗員支持体との間の衝撃緩衝器との接続を含むかのいずれかであり、」という記載では、何と何との「いずれか」であるのか不明であるし、この記載自体の意味も明りょうではない。
「前記乗員及び前記トラックに対するピーク力」という記載の意味も明りょうではない。
・請求項3に係る発明は、次のとおりである。
「各階層の各乗員は、前記乗員支持体内に着座位置を有し、前記乗員の足支持体が全て前記通路に隣接し、全ての前記乗員支持体の前記シート底部及びシート背部は、常に前記フットフレームより上に位置するよう構成され、それによって、各乗員に通路アクセスを可能にすると同時に、前記航空機の前記フロアに係合するよう構成され且つ前記乗員支持体に取り付けられる前記フットフレームの前記相互接続を可能にする、請求項2に記載の支持構造。」
請求項3に係る発明は、明確ではない請求項1、2に係る発明を直接または間接的に引用する発明であることにとどまらず、請求項3における上記の下線部の記載では、何がフロアに係合するよう構成されるのかが不明であるし、何がフットフレームの相互接続を可能にするのかも不明である。したがって、請求項3に係る発明も明確ではない。
・請求項4に係る発明は、次のとおりである。
「前記乗員の面する方向の軸は、前記航空機の軸に対して非ゼロ角度にあり、且つ前記通路に向かって面し、前記第一階層内の乗員支持体は、前記航空機の運動の軸の方向において前記第一階層上の少なくとも1つの隣接する乗員支持体に、並びに前記支持フレームにそれぞれ接続され、
前記第二階層内の乗員支持体は、前記航空機の運動の軸の方向において前記第二階層上の隣接する乗員支持体に、並びに、前記フット/フレーム、及び、前記第一階層内の少なくとも1つの乗員支持体のうちの1つに接続され、
それによって、急減速中の前記航空機に対する軸方向荷重に耐える筋交い格子をもたらす、
請求項1乃至3のうちの何れか1項に記載の支持構造。」
請求項4に係る発明は、明確ではない請求項1ないし3に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、以下のとおり、請求項4における上記下線部の記載は意味が不明であり、請求項4に係る発明は明確ではない。
上記の「前記乗員の面する方向の軸は、前記航空機の軸に対して非ゼロ角度にあり」という記載の意味が明りょうではない。
「航空機の運動の軸の方向」とはどのような方向をいうのか不明であるため、「隣接する乗員支持体」がどの乗員支持体を指すのかが明確ではなく、どのような筋交い格子がもたらされるのかが不明である。
・請求項5に係る発明は、次のとおりである。
「前記第二階層の乗員支持体の軸は、前記第一階層の乗員支持体の軸から前記乗員支持体の軸に対して実質的に直交して水平に偏心し、前記第二階層内の前記乗員支持体は、前記第一階層内の前記乗員支持体の頂部の下に脚空間をそれぞれ有する乗員のための着座位置を可能にし、且つ/或いは、前記第二階層内の前記乗員支持体の底部は、前記第一階層内の前記乗員支持体の頂部の下にあることを可能にし、それによって、前記第二階層からの出入りを容易化する、請求項4に記載の支持構造。」
請求項5に係る発明は、明確ではない請求項1ないし4に係る発明を直接または間接的に引用する発明であることにとどまらず、以下のとおり、請求項5における上記下線部の記載は意味が不明である。したがって、請求項5に係る発明は明確ではない。
「前記第二階層の乗員支持体の軸は、前記第一階層の乗員支持体の軸から前記乗員支持体の軸に対して実質的に直交して水平に偏心し」という記載において、「乗員支持体の軸」とは何を意味するのか不明であるし、「実質的に直交して水平に偏心」するというのがどのような状態をいうのかも不明である。
「前記第一階層内の前記乗員支持体の頂部の下に脚空間をそれぞれ有する乗員のための着座位置を可能にし、」という記載において、「頂部の下」とはどの部分をいうのかが不明であるし、「脚空間をそれぞれ有する乗員のための着座位置を可能」にするというのがどういうことかも不明である。したがって、どのようなことが「前記第二階層からの出入りを容易化する」のかも不明である。
・請求項6に係る発明は、次のとおりである。
「請求項1に記載の乗員支持体内の乗員の支持のための運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、前記乗員の軸は、前記航空機の運動の軸に対して非ゼロ角度にあり、少なくとも1つの乗員支持体の前記シート背部は、実質的にフラットベッド位置及び実質的に直立位置に方向付けられることが可能とされ、前記シート背部は、衝撃荷重条件下で前記航空機の運動の方向において前記乗員を支持するよう構成される、支持構造。」
請求項6に係る発明は、明確ではない請求項1に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、以下のとおり、請求項6における上記下線部の記載は意味が不明であり、請求項6に係る発明は明確ではない。
「運動の軸」、「乗員の軸」がそれぞれ何を意味するのかが不明であり、「乗員の軸は、前記航空機の運動の軸に対して非ゼロ角度にあり」という記載が、どのようなことをいっているのかも不明である。
「衝撃荷重条件下で前記航空機の運動の方向において前記乗員を支持する」という記載は明りょうではない。
・請求項7に係る発明は、次のとおりである。
「請求項1に記載の乗員支持体内の乗員の支持のための運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、当該支持構造は、乗員支持体を含み、
中央の脊柱部が、シート背部を主に支持し、前記乗員支持体のシート底部に取り付けられており、
前記中央の脊柱部は、快適性のために前記乗員による裁量的な制御下において、その傾斜を変更することが可能となっており、
前記中央の脊柱部は、一定の断面を有する部分を含み、
前記中央の脊柱部は、複数の椎骨部を支持し、
該複数の椎骨部の各々は、前記脊柱部の一定の断面を有する前記部分に対して摺動可能に取り付けられ、
前記中央の脊柱部の一定の断面を有する前記部分は、該脊柱部に沿った軸の周りに回動させないようにしており、
複数の椎骨部の各々は、前記乗員を支持するように設けられた少なくとも1つの翼部を支持し、
前記乗員は、前記乗員支持体を使用している間、快適性のために前記複数の椎骨部を移動させることが可能であり、
前記複数の椎骨部は、前記中央の脊柱部に関して1自由度の直動を有する、
支持構造。」
請求項7に係る発明は、明確ではない請求項1に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、上記の下線部の記載は、意味が不明であり、請求項7に係る発明は明確ではない。
・請求項8に係る発明は、次のとおりである。
「請求項7に記載の乗員支持体内の乗員の支持のための運動の軸を備える航空機内の支持構造であって、
前記複数の椎骨部の位置の制御は、該複数の椎骨部の各々の第1端部において取り付けられ該複数の椎骨部の各々を作動させることが可能なケーブルを用いて可能にされ、
該ケーブルの各々は、前記複数の椎骨部の対応する第2端部において複数の半径に対応する複数の円周における地点に取り付けられ、
スプールのセグメントは、所定角度を通じての回転により、前記ケーブルの各々に取り付けられた前記椎骨部の所要動作によって、前記ケーブルの各々の解放をもたらすよう構成され、それによって、前記乗員によって制御される前記スプールを用いて、前記脊柱部上の前記複数の椎骨部の各々の位置を個別に修正する手段をもたらす、支持構造。」
請求項8に係る発明は、明確ではない請求項1、7に係る発明を直接または間接的に引用する発明であることにとどまらず、請求項8における上記下線部の記載は、意味が不明であり、請求項8に係る発明は明確ではない。
・請求項9に係る発明は、次のとおりである。
「請求項3~8のいずれかに記載の支持構造であって、
少なくとも1つの乗員支持体の前記シート背部は、前記客室に旋回的に取り付けられ、
前記シート背部の下方縁部は、前記シート底部の後方縁部に旋回軸によって旋回的に取り付けられ、
この旋回軸は、前記シート背部が実質的に直立位置から実質的にフラットベッド位置に再配向されるとき、前記客室に対して上昇し、これにより、結果として生ずるフラットベッドを前記直立位置における前記シート底部の後方に対して上昇させ、
前記シート背部が実質的に直立位置から実質的にフラットベッド位置に再配向されるとき、前記支持構造に対して前方に或いは前記支持構造に対して後方に移動する、支持構造。」
請求項9に係る発明は、明確ではない請求項1ないし8に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、以下のとおり、請求項9における上記下線部の記載は意味が明りょうではなく、請求項9に係る発明は明確なものではない。
旋回軸が「客室に対して上昇」するとは、どのようなことをいうのか不明であるし、旋回軸を客室に対して上昇させる手段も不明である。
また、何が「前記支持構造に対して前方に或いは前記支持構造に対して後方に移動する」のかが不明である。
・請求項10に係る発明は、次のとおりである。
「請求項1~9のいずれかに記載の支持構造であって、
前記支持フレームは、開口を有し、
当該支持構造は、さらに、
格納ビンであって、該格納ビンの前方及び前記格納ビンの後部の頂部の一方又は両方からの格納へのアクセスを備える前記第一階層内の前記乗員支持体より下の前記格納ビン、を具備し、
前記格納ビンの後部の頂部へのアクセスは、前記乗員支持体の前記シート背部を前方へ折り畳むこと、及び、ドア又は摺動パネルであるよう構成される前記シート背部上の少なくとも1つのパネルを開放することの一方又は両方によって可能にされる、支持構造。」
請求項10に係る発明は、明確ではない請求項1ないし9に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、上記の記載では、「支持フレーム」と「支持構造」と「格納ビン」との関係が明りょうではない。また、「ドア又は摺動パネルであるよう構成される前記シート背部上の少なくとも1つのパネルを開放する」という記載の意味も明確とはいえない。したがって、請求項10に係る発明は明確ではない。
・請求項11に係る発明は、次のとおりである。
「前記乗員支持体は、空気供給、酸素、電力供給、娯楽システムプログラミング、及び乗員間通信のうちの少なくとも1つのための、モジュール供給接続を含む、請求項1~10のいずれかに記載の支持構造。」
請求項11に係る発明は、明確ではない請求項1ないし10に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、上記下線部の記載の意味が明りょうでなく、請求項11に係る発明は明確ではない。
・請求項12に係る発明は、次のとおりである。
「請求項1に記載の支持構造であって、客室内に多階層の乗員支持体を備え、前記フロアは、前記第一階層の乗員の足のための井戸部を備える凹部である、支持構造。」
請求項12に係る発明は、明確ではない請求項1に係る発明を引用する発明であることにとどまらず、上記下線部の記載の意味が明りょうではなく、請求項12に係る発明は明確ではない。(「井戸部」と「凹部」とは同じものであり、上記下線部の記載は、フロアが、第一階層の乗員の足のための凹部を備えることをいおうとしたものではないのか。)」
第4.平成29年8月29日付けの手続補正
当審で通知した上記の拒絶理由に対して、請求人は次のとおりの手続補正をした。なお、手続補正は、特許請求の範囲についてのみされた。(下線は審決で付した。)
1.請求項1について、補正前の「互いに隣接して取り付けられた乗員支持体の対は、前記航空機の運動の軸に沿って互いに移動されており、」という記載を、「互いに隣接して取り付けられた乗員支持体の対は、前記航空機の運動の軸に沿って互いに対して移動させられ、」という記載に補正する。
2.請求項2について、補正前の「隣接するフットフレーム」という記載を、「隣接するフット/フレーム」という記載に補正する。
同じく「前記フットフレームは、足部及び支持フレームを含み、」という記載を、「前記フット/フレームは、フット及び支持フレームを含み、」という記載に補正する。
同じく「旋回される直線部材」という記載(2個所)を、「回動する直線部材」という記載(2個所)に補正する。
同じく「シートトラックに旋回的に取り付けられ、」という記載を、「シートトラックに回動可能に取り付けられ、」という記載に補正する。
同じく「前記フットフレームは、前記乗員支持体に対する前記ラッチの間におけるに剛的なリンク、又は、前記ラッチと前記乗員支持体との間の衝撃緩衝器との接続を含むかのいずれかであり、」という記載を、「前記フットは、前記乗員支持体に対する前記ラッチの間におけるに剛的なリンクを含むか、又は、前記ラッチと前記乗員支持体との間の衝撃緩衝器との接続を含み、」という記載に補正する。
3.請求項3について、補正前の「前記フットフレーム」という記載(2個所)を、「前記フット/フレーム」という記載(2個所)に補正する。
4.請求項7について、補正前の「前記複数の椎骨部を移動させることが可能であり、前記複数の椎骨部は、前記中央の脊柱部に関して1自由度の直動を有する、支持構造。」という記載を、「前記複数の椎骨部を移動させることが可能である、支持構造。」という記載に補正する。
5.請求項11について、補正前の「請求項1~10のいずれかに記載の支持構造。」という記載を、「請求項1~9のいずれかに記載の支持構造。」という記載に補正する。
6.請求項12について、補正前の「乗員支持体を備え、前記フロアは、前記第一階層の乗員の足のための井戸部を備える凹部である、支持構造。」という記載を、「乗員支持体を備え、フロアは、前記第一階層の乗員の足のための井戸部を備える凹部を有する、支持構造。」という記載に補正する。
第5.当審の判断
1.拒絶理由2(特許法第36条第4項第1号に係る要件の不備)について
(1)請求項1に係る発明との関連
上記「第3.」のとおり、当審では、「発明の詳細な説明や図面には、乗員支持体とフット/フレームとが、具体的にどのように配置されて、どのような状態で取り付けられる支持構造であるのかが明確に説明されていない。」として、請求項1に係る発明を説明していると思われる、段落【0015】~【0031】、【0225】~【0231】には、意味不明の記載や、具体的な構成を理解することが困難な記載が多く存在していることを詳細に指し示した上で、発明の詳細な説明の記載は、請求項1の発明を明確かつ十分に説明したものとはいえない旨を指摘した。
これに対して、請求人は、上記「第2.」、及び「第4.1.」において示した手続補正によって請求項1の記載を一部補正したが、発明特定事項の実質的な変更はなく、また、発明の詳細な説明や図面については全く補正がされていない。
したがって、上記の拒絶理由のとおり、発明の詳細な説明の記載では、請求項1の発明が明確かつ十分に説明されていない。
なお、請求人は、平成29年8月29日付けの意見書において、「図21は、各乗員支持体が、この乗員支持体の下方にある1又はそれ以上のフットフレームによって、及び、この乗員支持体の両側にある乗員支持体によって、支持される実施形態を示しています。」旨主張する(1頁下10~8行)からと共に、図14~図16、図21、図27、図57、図58、図60~図65、図77、図79~図81に言及している(1頁下8~5行)が、先の拒絶理由で指摘したところはこれらの図面もみた上のものであって、図21をはじめとして、請求人が指摘する上記の図面をみても、乗員支持体とフット/フレームとが、具体的にどのように配置されて、どのような状態で取り付けられているのかが理解できない。
なお、当審の拒絶理由通知では指摘していないが、段落【0120】の記載、及びこの段落で言及している図111も、請求項1に係る発明に関連したものともみられるが、乗員支持体(空気スリーパ)とフット/フレーム(足部フレーム)とが、どのように配置されて、どのように取り付けられるのかが明確に説明されていないのは、他の段落や図面と同様である。
(2)請求項2に係る発明との関連
当審の拒絶理由通知では、上記「第3.」のとおり、「発明の詳細な説明や図面には、(フット/フレームの)フットと、シートトラックと、ラッチとが、航空機に対して具体的にどのように配置されて、これらが乗員支持体に対してどのような状態で利用されるのかが明確に説明されていない。」として、請求項2に係る発明を説明していると思われる段落【0068】~【0070】、【0110】、【0113】及び【0278】には、意味不明の記載や、具体的な構成を理解することが困難な記載が多く存在していることを詳細に指し示した上で、発明の詳細な説明の記載は、請求項2の発明を明確かつ十分に説明したものではない旨を指摘した。
これに対して、請求人は、上記「第2.」、及び「第4.1.」において示した手続補正によって請求項2の記載を一部補正したが、発明特定事項の実質的な変更はなく、また、発明の詳細な説明や図面については全く補正がされていない。
したがって、上記の拒絶理由のとおり、発明の詳細な説明の記載では、請求項2の発明が明確かつ十分に説明されていない。
(3)請求項8に係る発明との関連
当審の拒絶理由通知では、上記「第3.」のとおり、「発明の詳細な説明や図面には、上記の(複数の椎骨部の各々を作動させることが可能な)ケーブルを用いた複数の椎骨部の位置の制御が、具体的にどのように行われるのかが明確に説明されていない。」として、請求項8に係る発明を説明していると思われる、段落【0126】~【0139】、及び、図103、113、114に関して、これらの段落には、意味不明の記載や具体的な構成を理解することが困難な記載が多く存在しているし、図面の記載も明りょうなものではなく、上記段落や図面の記載によって請求項8の発明が明確かつ十分に説明されているとはいえない旨を指摘した。
これに対して、請求人は請求項8の記載を補正することなく、また、発明の詳細な説明や図面についても全く補正はなされていない。
したがって、上記の拒絶理由のとおり、発明の詳細な説明の記載では、請求項8の発明が明確かつ十分に説明されていない。
(4)小括
よって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.拒絶理由4(特許法第36条第6項第2号に係る要件の不備)について
(1)上記「第3.」のとおり、当審で通知した拒絶理由4では、請求項1ないし12のそれぞれについて、意味が不明な記載を詳細に指し示して、請求項1ないし12に係る発明は、いずれも明確なものではない旨を指摘した。
これに対して、請求人は、請求項1、2、3、7、11、12について、上記「第2.」、及び「第4.1.」において示したとおりの補正をしたが、当該補正によって、各請求項の発明が明確になったとはいえない。
(2)請求項1について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項1の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「運動の軸を備える航空機内の支持構造」という記載において、「運動の軸」が何を意味するのか明りょうではなく、「運動の軸を備える」という記載の意味が不明であるし、「運動の軸を備える」のが、航空機であるのか支持構造であるのかも不明である。
また、「乗員支持体への取付部」がどのような部分を意味しているのかが明確ではない。したがって、「衝撃条件の間に、前記航空機の前方に向かう下向き荷重及び前記航空機の後方に向かう上向き荷重を前記取付部に対して加える」というのが、どのような状態をいっているのか不明である。
同じく「乗員の面する方向における軸」を「含」むという記載の意味が不明である。
また、同じく「互いに隣接して取り付けられた乗員支持体の対は、前記航空機の運動の軸に沿って互いに対して移動させられ」という記載において、「航空機の運動の軸に沿って」、「互いに対して移動させる」ことが、どのようなことをいっているのか不明であり、この記載全体が不明りょうなものとなっている。
「シートトラック」が何を意味しているのか、そして、シートトラックと「支持構造」とがどのように関係しているのかが不明である。また、「衝撃条件の間に、前記航空機の前方に向かう下向き荷重及び前記航空機の後方に向かう上向き荷重を前記取付部に対して加える当該支持構造内の各乗員支持体によって生成されるトルクを部分的に低減することによって、前記シートトラック上の正味荷重を減少させ、それによって、前記取付部が、前記シートトラックに対する残余の荷重を減少させ」という記載の意味も明りょうではない。
(3)請求項2について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項2の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「前記シートトラックに係止するラッチを備える前記航空機の前記シートトラック」という記載では、「シートトラック」と「ラッチ」との関係が明確ではない。
また、「垂直に相互接続される剪断平面」「を含み」という記載について、「剪断平面」がどのようなものを意味するのかが不明であるし、平面が「相互接続」される、平面を「含」むとは、どのような状態をいうのかも不明である。また、「各剪断平面は、前記シートトラックの1つの上に実質的に垂直に配置され、前記剪断平面の各々は、内部の選択的な開口」を含むという記載について、平面が「配置」されるとはどのような状態をいうのか不明であり、「内部の選択的な開口」が何を意味するのかも不明である。
また、「各剪断平面は、前記航空機の方向に関する横方向剛性を維持するクロスリンクを備える前記1つ又はそれよりも多くの他の剪断平面に取り付けられ」という記載について、「航空機の方向に関する横方向」がどの方向を意味するのかが不明であり、また、平面が他の平面に「取り付けられ」るとは、どのような状態をいうのかも不明である。
また、「回動する直線部材」とは、どのような部材をいうのか不明である。
また、「前記シートトラックの上で前記航空機と共に隣接する長方形の配列の側部を構成」するという記載の意味が不明である。
また、「回動する直線部材は、長方形フレームが前記航空機の運動の方向における荷重の下で衝撃吸収素子によって制約される平行四辺形になるよう、実質的に前記長方形の少なくとも1つの対向する頂点間に配置される少なくとも1つの衝撃吸収素子を更に含み」という記載の意味が不明である。
また、「前記フットは、前記乗員支持体に対する前記ラッチの間におけるに剛的なリンクを含むか、又は、前記ラッチと前記乗員支持体との間の衝撃緩衝器との接続を含み、」という記載の意味が不明である。
また、「前記乗員及び前記トラックに対するピーク力」という記載の意味も明りょうではない。
(4)請求項3について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項3の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「前記航空機の前記フロアに係合するよう構成され」との記載では、何がフロアに係合するよう構成されるのかが不明であるし、また、前記フット/フレームの前記相互接続を可能にす」との記載では、何がフットフレームの相互接続を可能にするのかも不明である。
(5)請求項4について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおり、請求項4の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「前記乗員の面する方向の軸は、前記航空機の軸に対して非ゼロ角度にあり」という記載の意味が明りょうではない。
また、「航空機の運動の軸の方向」とはどのような方向をいうのか不明であるため、「隣接する乗員支持体」がどの乗員支持体を指すのかが明確ではなく、どのような筋交い格子がもたらされるのかが不明である
(6)請求項5について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項5の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「前記第二階層の乗員支持体の軸は、前記第一階層の乗員支持体の軸から前記乗員支持体の軸に対して実質的に直交して水平に偏心し」という記載において、「乗員支持体の軸」とは何を意味するのか不明であるし、「実質的に直交して水平に偏心」するというのがどのような状態をいうのかも不明である。
また、「前記第一階層内の前記乗員支持体の頂部の下に脚空間をそれぞれ有する乗員のための着座位置を可能にし、」という記載において、「頂部の下」とはどの部分をいうのかが不明であるし、「脚空間をそれぞれ有する乗員のための着座位置を可能」にするというのがどういうことかも不明である。そして、どのようなことが「前記第二階層からの出入りを容易化する」のかも不明である
(7)請求項6について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項6の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「運動の軸」、「乗員の軸」がそれぞれ何を意味するのかが不明であり、「乗員の軸は、前記航空機の運動の軸に対して非ゼロ角度にあり」という記載が、どのようなことをいっているのかも不明である。
また、「衝撃荷重条件下で前記航空機の運動の方向において前記乗員を支持する」という記載は、その意味が明りょうではない。
(8)請求項7について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項7の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
脊柱部は、「一定の断面を有する部分」を含み、前記脊柱部の「一定の断面を有する前記部分」、及び脊柱部の「一定の断面を有する前記部分は、該脊柱部に沿った軸の周りに回動させないようにしており」との記載は、意味が不明である。
(9)請求項8について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項8の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「運動の軸を備える」、「該複数の椎骨部の・・・第1端部」、及び「前記複数の椎骨部の対応する第2端部において複数の半径に対応する複数の円周における地点に取り付けられ、スプールのセグメントは、所定角度を通じての回転により、前記ケーブルの各々に取り付けられた前記椎骨部の所要動作によって、前記ケーブルの各々の解放をもたらすよう構成され」との記載は、 意味が不明である。
(10)請求項9について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項9の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
旋回軸が「客室に対して上昇」するとは、どのようなことをいうのか不明であるし、旋回軸を客室に対して上昇させる手段も不明である。
また、何が「前記支持構造に対して前方に或いは前記支持構造に対して後方に移動する」のかが不明である。
(11)請求項10について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項10の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
請求項10の記載では、「支持フレーム」と「支持構造」と「格納ビン」との関係が明りょうではない。
また、「ドア又は摺動パネルであるよう構成される前記シート背部上の少なくとも1つのパネルを開放する」という記載の意味も明確とはいえない。
(12)請求項11について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項11の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「モジュール供給接続」との記載の意味が明りょうでない。
(13)請求項12について
上記「第3.[理由4について]」の拒絶理由のとおりであって、請求項12の記載は、以下のとおり、意味が不明である。
「井戸部を備える凹部」との記載の意味が明りょうでない。
(14)小括
よって、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第6.むすび
上記のとおりであるから、本件出願は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、本件出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-005216