特許拒絶査定不服審判
2016-004810
照明装置
- 審判番号
- 2016-004810
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-536002外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年04月01日
- 審決日
- 2017年04月21日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 分類
- P18 .121-WY (H05B) / P18 .537-WY (H05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-536002号「照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日国際公開、WO2011/055284、平成25年 3月21日国内公表、特表2013-510388号、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)10月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年11月6日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成26年7月25日付けで1回目の拒絶理由が通知され、同年10月27日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年3月26日付けで2回目の拒絶理由が通知され、同年6月19日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月30日付けで2回目の拒絶理由による拒絶査定がされ、これに対し、平成28年4月1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、その後当審において同年11月29日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年3月1日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~14に係る発明(以下「本願発明1」~「本願発明14」という。また、まとめて「本願発明」ということもある。)は、平成29年3月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定される次のとおりものと認められる。
「 【請求項1】
少なくとも1つのソリッドステート光源を有する照明装置であって、
分類電圧範囲内の分類電圧を受け取ると少なくとも1つの予め規定された分類電流範囲内の第1の予め規定された電流を前記ソリッドステート光源へ伝導する、及び
動作電圧を受け取ると第2の予め規定された電流を前記ソリッドステート光源へ伝導する、
第1のドライバ回路であって、
前記動作電圧を受け取るときに消費される電力は、少なくとも1つの予め規定された電力消費クラス内にあり、前記分類電流範囲は、前記電力消費クラスに関連している、
第1のドライバ回路を有し、
前記第1の予め規定された電流及び前記第2の予め規定された電流は、前記ソリッドステート光源の順方向電圧特性によって規定される、
照明装置。
【請求項2】
前記ソリッドステート光源と直列に接続される電圧降下装置を更に有し、前記第1の予め規定された電流及び前記第2の予め規定された電流が、更に、前記電圧降下装置の特性によって規定される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ソリッドステート光源と並列に接続される電流引出装置を更に有し、前記第1の予め規定された電流及び前記第2の予め規定された電流が、更に、前記電流引出装置の特性によって規定される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1のドライバ回路が、入力電圧とは異なる出力電圧を前記ソリッドステート光源に供給する電力コンバータを有し、前記第1の予め規定された電流及び前記第2の予め規定された電流が、更に、前記電力コンバータの特性によって規定される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記照明装置は、電源から電力を受け取り、前記少なくとも1つの予め規定された電力消費クラス及び前記少なくとも1つの予め規定された分類電流範囲は、前記ソリッドステート光源の特性により決定される、請求項1乃至4の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記電源が、パワー・オーバー・イーサネット電源装置である、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
選択的に電力を蓄積する及び前記第1のドライバ回路に電力を供給するエネルギ蓄積装置を更に有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
入力電力を出力電力に縮小する、及び
信号処理ユニットに、縮小された前記出力電力を供給する、
第2のドライバ回路を更に有し、
前記第1のドライバ回路が、
前記信号処理ユニットによって前記縮小された出力電力から読み出された前記ソリッドステート光源の電力レベルに関係している制御信号を、前記信号処理ユニットから受け取る、及び
前記制御信号に従って前記ソリッドステート光源に対する出力電力を適応化する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記制御信号が変調されたデータを有する、請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記データが前記ソリッドステート光源の調光値、色点又は電力レベルと関連する、請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記照明装置の少なくとも1つの特性の測定値を取得する、及び
前記信号処理ユニットに前記測定値を供給する、
第3のドライバ回路を更に有し、
前記第1のドライバ回路が、
前記信号処理ユニットによって前記測定値に基づいて生成された制御命令を、前記信号処理ユニットから受け取る、及び
前記制御命令に従って前記ソリッドステート光源に対する出力電力を適応化する、請求項8に記載の照明装置。
【請求項12】
前記照明装置に供給された電力を整流する整流器を更に有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記照明装置の前記ドライバ回路の少なくとも一部は、前記ソリッドステート光源と熱的に連通している、請求項1乃至12の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記照明装置が、パワー・オーバー・イーサネット規格との互換性を有する、請求項1乃至13の何れか一項に記載の照明装置。」
第3 原査定の理由について
1 原査定の理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.米国特許第7587289号明細書
引用文献2.特開2008-84614号公報
引用文献3.特表2008-521367号公報
引用文献4.特開2007-317573号公報
特に、本願発明1について、引用文献1記載のものはPoEを用いて給電を行うものであるところ、PoEを用いる際に、負荷装置が所定電圧を印加し、流れる電流量に応じて分類を行うこと、行われた分類に従った電力が供給されることは自明の事項であるから、引用文献1記載のものから当業者が容易に想到し得たものである。
2 原査定の理由の判断
(1)引用文献1に記載された発明
本願の優先日前に頒布された刊行物である上記引用文献1には、第4欄第21行~第5欄第20行及びFIG.2の記載によれば、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。なお、用語等は当審で翻訳した。
「複数のLED209を有する光アセンブリ211とセンサー208を有するセンサーアセンブリ210からなる単一器具212を有する電気回路201であって、
1つ以上の電源電圧を供給するためにDC-DCコンバータと接続して動作可能なPoE電力コントローラ205を有し、
PoE電力コントローラ205は、処理装置206、LEDドライバ207、センサー208に接続されている電気回路201。」
(2)本願発明1と引用発明との対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「複数のLED209を有する光アセンブリ211とセンサー208を有するセンサーアセンブリ210からなる単一器具212を有する電気回路201であって、」は、前者の「少なくとも1つのソリッドステート光源を有する照明装置であって、」を充足するといえる。
イ 一般に「PoE電力コントローラ」とは、分類電圧範囲内の分類電圧を受け取ると少なくとも1つの予め規定された分類電流範囲内の第1の予め規定された電流を接続機器に伝導し、動作電圧を受け取ると第2の予め規定された電流を接続機器に伝導するものであり、また、「回路」により構成されていることは明らかである。そうすると、後者の「1つ以上の電源電圧を供給するためにDC-DCコンバータと接続して動作可能なPoE電力コントローラ205を有し、PoE電力コントローラ205は、処理装置206、LEDドライバ207、センサー208に接続されている」と、前者の「分類電圧範囲内の分類電圧を受け取ると少なくとも1つの予め規定された分類電流範囲内の第1の予め規定された電流を前記ソリッドステート光源へ伝導する、及び動作電圧を受け取ると第2の予め規定された電流を前記ソリッドステート光源へ伝導する、第1のドライバ回路であって、前記動作電圧を受け取るときに消費される電力は、少なくとも1つの予め規定された電力消費クラス内にあり、前記分類電流範囲は、前記電力消費クラスに関連している、第1のドライバ回路を有し、」とは、「分類電圧範囲内の分類電圧を受け取ると少なくとも1つの予め規定された分類電流範囲内の第1の予め規定された電流を伝導する、及び動作電圧を受け取ると第2の予め規定された電流を伝導する、回路であって、前記動作電圧を受け取るときに消費される電力は、少なくとも1つの予め規定された電力消費クラス内にあり、前記分類電流範囲は、前記電力消費クラスに関連している、回路を有し、」の限度で一致するといえる。
ウ してみると、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。
[一致点]
「少なくとも1つのソリッドステート光源を有する照明装置であって、
分類電圧範囲内の分類電圧を受け取ると少なくとも1つの予め規定された分類電流範囲内の第1の予め規定された電流を伝導する、及び
動作電圧を受け取ると第2の予め規定された電流を伝導する、
回路であって、
前記動作電圧を受け取るときに消費される電力は、少なくとも1つの予め規定された電力消費クラス内にあり、前記分類電流範囲は、前記電力消費クラスに関連している、
回路を有する照明装置。」
[相違点1]
「分類電圧範囲内の分類電圧を受け取ると少なくとも1つの予め規定された分類電流範囲内の第1の予め規定された電流を伝導する、及び動作電圧を受け取ると第2の予め規定された電流を伝導する、回路であって、前記動作電圧を受け取るときに消費される電力は、少なくとも1つの予め規定された電力消費クラス内にあり、前記分類電流範囲は、前記電力消費クラスに関連している、回路」に関し、本願発明1が「第1のドライバ」であって、電流の伝導対象が「ソリッドステート光源」であるのに対し、引用発明は「LEDドライバ207」とは別の「PoE電力コントローラ205」であって、LED209に関する電流の伝導対象は「LEDドライバ207」である点。
[相違点2]
本願発明1が「前記第1の予め規定された電流及び前記第2の予め規定された電流は、前記ソリッドステート光源の順方向電圧特性によって規定される」ものであるのに対し、引用発明は当該事項を特定していない点。
(3)本願発明1の進歩性の判断
事案に鑑み、上記相違点1について検討する。
ア 本願明細書によれば、本願発明1は、段落【0002】に記載される「PDコントローラが、制御される前記照明装置の回路に対して費用、ボリューム及び損失を加えることである」との従来技術の問題点を解決するために発明されたものである。そして、照明装置のドライバに分類電圧等の機能を持たせることで、上記問題点を解決しているものである。
しかしながら、引用発明は「LEDドライバ207」とは、別の「PoE電力コントローラ205」が上記分類電圧等の機能を有しているものであり、当該機能を「LEDドライバ207」に持たせることの開示ないし示唆はなく、当業者が容易になし得たということもできない。特に引用発明の「PoE電力コントローラ205」は「処理装置206」と「センサー208」へも接続されるものであるから、「LEDドライバ207」に対するものだけ「PoE電力コントローラ205」から外して「LEDドライバ207」側に移す合理的な理由は見当たらず、また、PoE電力コントローラに関する機能を全て「LEDドライバ207」に移し、そこから「処理装置206」と「センサー208」へ接続するようにすることは、基本的な回路構造から大幅に変更することとなり、引用文献1の開示内容からそのような変更をすることは、当業者にとって容易になし得たとはいえない。
エ したがって、引用発明において、少なくとも上記相違点1に係る本願発明1の事項を有するものとすることは当業者にとって容易とはいえないことから、本願発明1は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(6)小活
以上検討したとおり、本願発明1は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本願発明2~14は、本願発明1をさらに限定したものであるので、同様に引用発明及び引用文献2~4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
この出願は、特許請求の範囲の記載について下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
(1)請求項1の記載では「第1の予め規定された電流」及び「第2の予め規定された電流」が、「ソリッドステート光源の順方向電圧特性によって規定される」ものであることは特定されているが、何に対して流す電流であるのか特定がなく、技術内容が不明確である。
(2)請求項5は請求項1に対しどのような事項をさらに特定しようとしているのか不明である。
2 当審拒絶理由の判断
平成29年3月1日に提出された手続補正書により、本願の請求項1~14の記載は、上記第2に示すとおりに補正され、指摘した特許請求の範囲の記載の不備はいずれも解消した。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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