特許拒絶査定不服審判
2016-002269
コーヒーメーカ及びその操作方法
- 審判番号
- 2016-002269
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-555985外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月15日
- 審決日
- 2017年09月26日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヴェーエムエフ・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
- 【請求人代理人】特許業務法人前田特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A47J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-555985号「コーヒーメーカ及びその操作方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年8月15日国際公開,WO2013/117362,平成27年7月2日国内公表,特表2015-518381号〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2013年1月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年2月8日,スイス(CH))を国際出願日とする出願であって,平成27年12月2日付けで拒絶査定された後の手続は以下のとおりである。
平成28年 2月15日付け 拒絶査定不服審判の請求
〃 手続補正書提出
平成29年 2月28日付け 拒絶理由通知
平成29年 5月30日付け 意見書提出
〃 手続補正書提出
第2 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成29年5月30日に補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(下線は補正箇所を示す。)
「【請求項1】
抽出を行うために,この用途に提供されたコーヒーメーカ(10)のホルダ(12)に嵌め込み可能で,少なくとも1つの脱着可能なポータフィルタ(11)と,
加圧下で熱水を生成し供給する第1手段(28,…,31)と,
少なくとも1つのコーヒーミル(19)と,
前記ホルダ(12)に嵌め込まれた前記ポータフィルタ(11)に対して密封及び開放を繰り返すように設けられた第2手段(33;33a-e;41)と,
前記コーヒーミル(19)から,前記ホルダ(12)に嵌め込まれ開放状態の前記ポータフィルタ(11)にコーヒー粉(16)を導入するように設けられた第3手段(23)とを備え,
前記第2手段(33;33a-e;41)は,分配フィルタエレメント(33;33a-e)を有し,前記ポータフィルタ(11)が開放状態にあってコーヒー粉を充填できる第1の位置と,前記分配フィルタエレメント(33;33a-e)が前記ポータフィルタを気密に閉鎖した第2の位置とを行ったり来たりすることができ,抽出ごとに前記ポータフィルタ(11)が手動で取り外されてその内部を空にされる半自動のコーヒーメーカであって,
前記第2手段(33;33a-e;41)は,前記ポータフィルタ(11)内に配されたコーヒー粉(16)にタンパリングを行い,
電気的又は液圧応用的に操作する駆動ユニット(32)は,前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記分配フィルタエレメント(33;33a-d)が動くように設けられており,
前記分配フィルタエレメント(33;33a-e)は,前記ポータフィルタ(11)内の分配フィルタ(34)によって抽出チャンバ(15)を規制し,
中央制御器(24)は,前記コーヒーミル(19),前記第1手段(28,…,31),及び前記第2手段(33;33a-d)のうち少なくとも前記コーヒーミル(19)及び前記第1手段(28,…,31)を制御するように設けられていることを特徴とするコーヒーメーカ。」
第3 引用発明
1 引用例A
当審による平成29年2月28日付け拒絶理由に引用された,本願優先日前に頒布された刊行物である中国実用新案第201578093号明細書(以下「引用例A」という。)には,以下の各事項が記載されている。(和訳は当審による仮訳で,下線は当審が付した。)
(A1)請求項1
(1.半自動コーヒーメーカーは,コーヒー豆を挽くシステムとコーヒーを抽出するシステム,ポンプ及びヒーターからなり,その特徴は以下である。すなわち,コーヒーを抽出するシステムは垂直に前に置かれ,コーヒー豆を挽くシステムは垂直に後ろに置かれ,コーヒー豆を挽くシステムが挽いたコーヒー粉は粉出口(11)と粉受け(13)を通ってドリッパー(20)に入り,ピストン(26)はテフロンチューブ(28)によってヒーターと連結している。)
(A2)請求項3
(3.請求項1に述べる半自動コーヒーメーカーの特徴は以下である。すなわち,コーヒーを抽出するシステムは左支柱(15),右支柱(29),ピストンバー連結装置(39),固定装置(16),ドリッパーセット(40),左スライド溝連結器(17),右スライド溝連結器(31),バックシャフト(18),粉漏れ防止ふた(19)からなる。)
(A3)請求項5
(5.請求項3に述べる半自動コーヒーメーカーの特徴は以下である。すなわち,コーヒーを抽出するシステムの組み立ては,左支柱(15)と右支柱(29)の2つの部分が1つの固定支柱を構成し,垂直に置かれ,固定支柱の上,中,下の位置にピストンバー連結装置(39),バックシャフト(18),粉漏れ防止ふた(19)がそれぞれ取り付けられ,ピストンバー連結装置(39)は左右の支柱の頂部の回転軸穴とスライド溝の中に取り付けられ,上下にスライドできる。ドリッパーセット(40)は左右支柱の底部のスライド溝の中に水平に置かれ,粉漏れ防止ふた(19)の真下に位置し,投入し取り出すことができる。左支柱(15)の外側には2組の固定装置(16)と左スライド溝連結器(17)がそれぞれ取り付けられ,左スライド溝連結器(17)は左支柱の上の連結部の回転軸に沿って回転し,左スライド溝連結器(17)は同時にピストン(26)の楕円形の支柱上にはまり,右支柱(29)には2組の固定装置(16)と右スライド溝連結器(31)がそれぞれ組み込まれ,右スライド溝連結器(31)は右支柱の上の連結部の回転軸の周りを回転し,右スライド溝連結器(31)は同時にピストン(26)の楕円形の支柱上にはまる。)
(A4)請求項6
(6.請求項3に述べる半自動コーヒーメーカーの特徴は以下である。すなわち,コーヒーを抽出するシステムのピストンバー連結装置(39)は,プレスハンドル(22),回転支柱(23),ピストン連結器(24),ピストン連結器シャフト(25),ピストン(26),密封リング(27),テフロンチューブ(28),ピストンネット(35)からなり,回転支柱(23)はプレスハンドル(22)と固く連結され,回転支柱(23)はピストン連結器(24)とピストン連結器シャフト(25)によりヒンジ機構連結を構成し,密封リング(27)とピストンネット(35)はピストン(26)の上に取り付けられている。)
(A5)請求項10
(10.請求項3に述べる半自動コーヒーメーカーの特徴は以下である。すなわち,コーヒーを抽出するシステムのドリッパーセット(40)はドリッパー(20)とドリッパーシャフト(21)からなる。)
(A6)段落[0001]
(本実用新案はコーヒー豆を挽いてからコーヒーを抽出するまでの半自動化を実現する機械装置に関するものであり,半自動コーヒーメーカーが自動で豆を挽き,挽いた粉を自動で投入し,コーヒー粉を手動でプレスし,自動でエスプレッソを作り,手動でコーヒーかすを排出することが実現できる。)
(A7)段落[0006]
(2.本実用新案のコーヒーを抽出するシステムに採用される技術設計は以下のとおりである。すなわち,コーヒーを抽出するシステムは左支柱15,右支柱29,ピストンバー連結装置39,固定装置16,ドリッパーセット40,左スライド溝連結器17,右スライド溝連結器31,バックシャフト18,粉漏れ防止ふた19からなり,その組み立ては以下のとおりである。すなわち,左支柱15と右支柱29の2つの部分が1つの固定支柱を構成し,垂直に置かれ,固定支柱の上,中,下にピストンバー連結装置39,バックシャフト18,粉漏れ防止ふた19がそれぞれ取り付けられ,ピストンバー連結装置39のピストン26はテフロンチューブ28でヒーターと連結され,バックシャフト18はコーヒーを抽出するピストンバー連結装置39から伝わる圧力を支え,粉漏れ防止ふた19が粉を受ける時,コーヒーを完全にドリッパー20内に入れてコーヒー粉の飛散を防ぎ,ピストンバー連結装置39は左右の支柱の頂部の回転軸穴とスライド溝の中に取り付けられ,上下にスライドできる。ドリッパーセット40は左右支柱の底部のスライド溝の中に水平に置かれ,粉漏れ防止ふた19の真下に位置し,投入と取り出しができる。ピストンバー連結装置39は上に向かって豆を挽く位置までスライドし,豆を挽き,下に向かってスライドし,ドリッパー20内に入れてプレスと抽出を行い,左支柱15の外側には2組の固定装置16と左スライド溝連結器17がそれぞれネジで取り付けられ,左スライド溝連結器17は左支柱の上の連結部の回転軸の周りを回転し,左スライド溝連結器17は同時にピストン26の楕円形の支柱上にはまり,右支柱29は2組の固定装置16と右スライド溝連結器31にそれぞれネジで組み込まれ,右スライド溝連結器31は右支柱の上の連結部の回転軸の周りを回転し,右スライド溝連結器31は同時にピストン26の楕円形の支柱上にはまり,ピストンバー連結装置39は上下にスライドし,左右のスライド溝連結器が同時に前または後ろに向けて回転するのを促し,左右の支柱の上の1組の固定装置16はピストンバー連結装置39が作動していない時に勝手に滑り落ちるのを防ぎ,左右の支柱の上のもう1組の固定装置16はドリッパーセット40がコーヒー粉を受ける位置に来るのを正確に確定する。コーヒーを抽出するシステムの概略図は,図5,図6,図7,図8,図9,図10に示すとおりである。ピストンバー連結装置39は,プレスハンドル22,回転支柱23,ピストン連結器24,ピストン連結器シャフト25,ピストン26,密封リング27,テフロンチューブ28,ピストンネット35からなり,回転支柱23はプレスハンドル22と固く連結し,回転支柱23はピストン連結器24とピストン連結器シャフト25によりヒンジ機構連結を構成し,密封リング27とピストンネット35はピストン26の上に取り付けられている。固定装置16はパッキン押さえ36,固定ばね37,ガイド38からなる。組み立ては図8のとおりである。ドリッパーセット40はドリッパー20とドリッパーシャフト21からなる。)
(A8)段落[0029]
(本実用新案の手動の位置センサー機能は,以下のようにして実現する。すなわち,右支柱29上に,グラインダースイッチ30,コーヒー抽出スイッチ32及びドリッパースイッチ33がそれぞれ取り付けられ,ドリッパーセット40がコーヒーを抽出するシステムの固定支柱スライド溝の中に差し込まれ,ドリッパースイッチ33にスイッチが投入されると,この時コーヒー豆を挽く状態になり,ピストンバー連結装置39がグラインダーの位置まで上に向かってスライドし,ピストンバー連結装置39のピストン26の楕円形の支柱上が動いてグラインダースイッチが入ることで,グラインダーの粉を挽く動作が可能になる。この時,コーヒー抽出スイッチにはスイッチが入らないため,コーヒーを抽出する操作が行えない。ピストンバー連結装置39がドリッパーセット40のドリップ20内までスライドしてコーヒー粉をプレスし,ピストンバー連結装置39上のピストン26の楕円形の支柱上が動いてコーヒー抽出スイッチ32が入った時に,コーヒーを抽出する操作が行える。この時,グラインダースイッチ30はスイッチが入っていないため,コーヒー豆を挽く操作はできない。豆を挽く操作とコーヒーを抽出する操作は同時に行えず,一意性がある。これは図6,図13に示すとおりである。)
以上の記載によれば,引用例Aには,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「自動で豆を挽き,挽いた粉を自動で投入し,コーヒー粉を手動でプレスし,自動でエスプレッソを作り,手動でコーヒーかすを排出する半自動コーヒーメーカーであって,
半自動コーヒーメーカーは,コーヒー豆を挽くシステムとコーヒーを抽出するシステム,ポンプ及びヒーターからなり,
コーヒー豆を挽くシステムが挽いたコーヒー粉は,粉出口(11)と粉受け(13)を通ってドリッパー(20)に入り,
コーヒーを抽出するシステムは,左支柱(15),右支柱(29),ピストンバー連結装置(39),固定装置(16),ドリッパーセット(40),左スライド溝連結器(17),右スライド溝連結器(31),バックシャフト(18),粉漏れ防止ふた(19)からなり,
ドリッパーセット(40)は,ドリッパー(20)とドリッパーシャフト(21)からなるとともに,左右支柱の底部のスライド溝の中に水平に置かれ,粉漏れ防止ふた(19)の真下に位置し,投入し取り出すことができ,
ピストンバー連結装置(39)は,プレスハンドル(22),回転支柱(23),ピストン連結器(24),ピストン連結器シャフト(25),ピストン(26),密封リング(27),テフロンチューブ(28),ピストンネット(35)からなり,左右の支柱の頂部の回転軸穴とスライド溝の中に取り付けられ,上下にスライドでき,
密封リング(27)とピストンネット(35)は,ピストン(26)の上に取り付けられ,
ドリッパーセット(40)がコーヒーを抽出するシステムの固定支柱スライド溝の中に差し込まれ,ドリッパースイッチ(33)にスイッチが投入されると,この時コーヒー豆を挽く状態になり,ピストンバー連結装置(39)がグラインダーの位置まで上に向かってスライドし,ピストンバー連結装置(39)のピストン(26)の楕円形の支柱上が動いてグラインダースイッチが入ることで,グラインダーの粉を挽く動作が可能になり,ピストンバー連結装置(39)がドリッパーセット(40)のドリップ(20)内までスライドしてコーヒー粉をプレスし,ピストンバー連結装置(39)上のピストン(26)の楕円形の支柱上が動いてコーヒー抽出スイッチ(32)が入った時に,コーヒーを抽出する操作が行える,
半自動コーヒーメーカー。」
2 引用例B
上記拒絶理由に引用された,本願優先日前に頒布された刊行物である中国特許出願公開第101232829号明細書(以下「引用例B」という。)には,以下の各事項が記載されている。(和訳は当審による仮訳。)
(B1)18ページ3~6行
(図2と図3を参照して,圧縮部品60にピストン部品70が含まれ,実例ではピストン70が減速ギア構造72を通して,電機71によって駆動される。実例では設備20には充填ステーション40にあるコーヒー挽き機73もあり,その挽き機はコーヒー豆を精度が選択できるコーヒー作った。)
(B2)図14
(B3)24ページ1~15行
(図14の四角形の概略図で,図1のエスプレッソマシーン20で使用される各種入力と出力構造をまとめた。この実例では,コントロール機械140,ポンプ34,メーカー55,流量計56,ピストン電機71および挽き機56と接合し合う。流量計56からコントロール機械140に使う流量出力信号が出る。温度検測電路141はコントロール機械140の温度入力信号より生まれた。電流感知器142は制限電路143に電流電波を提供する。制限電路はユニット144をコントロールする為に出た2つのなかの1つである。1つ目の出力は電力1検測器145によって,圧縮部品60が粉を適切な程度まで圧縮すると電流が出てくる。電力2検測器146は更に高いレベルに設置され,圧縮プロジェクトの後半調理に反対電波を提供する。水位感知器147は操作をコントロールする為に水が足りるかを指示する。
上部制限スイッチ100下部制限スイッチ101はコントロール機械140の他に2つのコントロール入力を提供する。ほかのコントロール入力が醸造室部品32ステーション33における正しいロッカー構造64によって提供される。ロッカー構造68は醸造室部品32に充填ステーション40における適切な位置を指示する。他の入力に電源スイッチ42,1杯と2杯スイッチ43と44,調理スイッチ47,挽きスイッチ136も含まれる。)
3 引用例C
上記拒絶理由に引用された,本願優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2010/0080886号明細書(以下「引用例C」という。)には,以下の各事項が記載されている。(和訳は当審による仮訳。)
(C1)段落[0047]
「[0047] The upper piston 3 compresses ground coffee against the lower piston 7 with a force of about 30 to 40 pounds. The upper piston 3 is driven by the piston block 8 which is in turn driven by gearbox motor 15 . Alternatively, the upper piston 3 may be driven by other mechanism. For example, the upper piston 3 may be driven manually. If driven manually, the required force should be between 35 and 45 pounds. To output brewed coffee, pressurized, hot water is passed through the ground coffee. The water may be heated by an immersion heater, heat exchanger, or other heat sources.
(上部ピストン3は,約30~40ポンドの力で下部ピストン7に挽いたコーヒーを圧縮する。上部ピストン3は,ギアボックスのモータ15により駆動されるピストンブロック8によって駆動される。あるいは,上部ピストン3は他の機構によって駆動してもよい。例えば上部ピストン3を手動で駆動してもよい。マニュアルで駆動される場合,必要とされる力は35~45ポンドであるべきである。コーヒーを出力するために,加圧された熱湯が挽いたコーヒーを通過する。水は浸漬ヒーター,熱交換器,または他の熱源により加熱することができる。」
(C2)段落[0050]
「[0050] Moving forward, the coffee dispensing apparatus according to the instant application may be programmable. To this end, the coffee dispensing apparatus may include a programmable element 100 as shown in FIG. 4 . In one example, the programmable element 100 is configured to selectively determine a quantity of ground coffee that is transferred to the brewing chamber 2 along with the amount of hot water that is forced to go through the ground coffee. For another example, the coffee dispensing apparatus may control the coarseness or fitness of the ground coffee produced by grinders 24 ; the temperature, pressure, and amount of the produced hot water; the amount of force exerted by the upper piston 3 ; the amount of coffee that dispenses from the brewing chamber; and the number of brewing cycles. The programming may be carried out by a processor or may be carried out by turning a nub or an adjustable screw. In one example, the processor is configured to receive, from a user, an input regarding for example, the quantity of ground coffee and the quantity of water to be combined with each other, via a panel 100 a. The panel 100 a may be a touch screen implementing sensors or may have a manual buttons for receiving inputs.」
(本出願に係るコーヒー調合装置はプログラム可能であってもよい。この目的のために,コーヒー分注装置は,図4に示すように,プログラマブル素子100を含むことができる。一例では,プログラマブル素子100は,挽いたコーヒーを通過せざるを得ない貯湯量と共に抽出チャンバ2に移送された挽いたコーヒーの量を決定するために選択的に構成されている。別の例として,コーヒー分注装置は研削装置24によって生成された挽いたコーヒーの粗さまたは適合度,温度,圧力及び生成された温水の量,上部ピストン3によって加えられる力の大きさと,製造チャンバーから分配するコーヒーの量,抽出サイクルの数を制御することができる。プログラミングは,プロセッサが行っても,ナッブ部(nub)または調整ネジを回転させることにより行うことができる。一例では,プロセッサは,例えば,挽いたコーヒーの量及び水の量は,互いに結合して,パネル100aを介しての入力をユーザから受け取るように構成される。パネル100aは,センサを実装するタッチスクリーンであってもよいし,入力の受け付けを行うためのマニュアル釦であってもよい。)
第4 対比
引用発明と本願発明とを対比すると,以下のとおりである。
1 引用発明は,上記(A6)によれば,コーヒー豆を挽いてからコーヒーを抽出するまでの半自動化を実現する機械装置に関するものであり,引用発明の「半自動コーヒーメーカー」は,本願発明の「コーヒーメーカ」及び「半自動コーヒーメーカ」に相当する。
2 引用発明の「左右支柱の底部のスライド溝」,「ドリッパーセット(40)」はそれぞれ,本願発明の「ホルダ(12)」,「ポータフィルタ(11)」に相当する。よって,引用発明Aの「左右支柱の底部のスライド溝の中に水平に置かれ,粉漏れ防止ふた(19)の真下に位置し,投入し取り出すことができる」「ドリッパーセット(40)」は,本願発明の「抽出を行うために,この用途に提供されたコーヒーメーカ(10)のホルダ(12)に嵌め込み可能で,少なくとも1つの脱着可能なポータフィルタ(11)」に相当する。
3 引用発明の「ポンプ」及び「ヒーター」は,本願発明の「加圧下で熱水を生成し供給する第1手段(28,…,31)」に相当する。
4 引用発明の「コーヒー豆を挽くシステム」は,本願発明の「少なくとも1つのコーヒーミル(19)」に相当する。
5 引用発明の「粉出口(11)」及び「粉受け(13)」は,本願発明の「第3手段(23)」に相当する。よって,引用発明の「コーヒー豆を挽くシステムが挽いたコーヒー粉は粉出口(11)と粉受け(13)を通ってドリッパー(20)に入り」という事項は,本願発明の「前記コーヒーミル(19)から,前記ホルダ(12)に嵌め込まれ開放状態の前記ポータフィルタ(11)にコーヒー粉(16)を導入するように設けられた第3手段(23)」に相当する。
6 引用発明の「ピストン(26)」は,本願発明の「第2手段(33;33a-e;41)」,「分配フィルタエレメント(33;33a-e)」のそれぞれに相当する。そして,ピストン(26)は,ピストンバー連結装置(39)を構成する一部材で,ピストンバー連結装置(39)が「上下にスライドでき」ることは,ピストン(26)が上下にスライドできることであり,さらに,ピストン(26)は,その上に密封リング(27)が取り付けられることから,図10を参酌すれば,ピストンバー連結装置(39)が下に向かってスライドしドリッパー(20)内でコーヒー粉をプレスする際に,ドリッパーセット(40)を密封又は気密に閉鎖することは明らかである。よって,引用発明の「ピストンバー連結装置(39)がグラインダーの位置まで上に向かってスライドし,ピストンバー連結装置(39)のピストン(26)の楕円形の支柱上が動いてグラインダースイッチが入ることで,グラインダーの粉を挽く動作が可能になり,ピストンバー連結装置(39)がドリッパーセット(40)のドリップ(20)内までスライドしてコーヒー粉をプレスし」という事項は,本願発明の「前記ホルダ(12)に嵌め込まれた前記ポータフィルタ(11)に対して密封及び開放を繰り返すように設けられた第2手段(33;33a-e;41)」,及び,「前記第2手段(33;33a-e;41)は,分配フィルタエレメント(33;33a-e)を有し,前記ポータフィルタ(11)が開放状態にあってコーヒー粉を充填できる第1の位置と,前記分配フィルタエレメント(33;33a-e)が前記ポータフィルタを気密に閉鎖した第2の位置とを行ったり来たりすることができ」に相当する。
さらに,引用発明の「自動でエスプレッソを作り,手動でコーヒーかすを排出することが実現できる」という事項は,本願発明の「抽出ごとに前記ポータフィルタ(11)が手動で取り外されてその内部を空にされる」に相当する。
7 本願発明の「タンパリング」というのは,明細書によれば,「挽かれた材料をポータフィルタ内に押し詰めること」(【0003】),「圧縮(タンパリング)」(【0011】)のことであるから,引用発明の「ピストンバー連結装置(39)がドリッパーセット(40)のドリップ(20)内までスライドしてコーヒー粉をプレスし」という事項は,本願発明の「前記第2手段(33;33a-e;41)は,前記ポータフィルタ(11)内に配されたコーヒー粉(16)にタンパリングを行い」に相当する。
8 引用発明の「ピストンネット(35)」は,本願発明の「分配フィルタ(24)」に相当する。そして,ピストンネット(35)は,ピストン(26)の上に取り付けられるものであり,図12の記載等によれば,ピストン(26)が下に向かってスライドした際に,ドリッパー(20)内の空間を規制することは明らかである。よって,引用発明の「ピストンバー連結装置(39)がドリッパーセット(40)のドリップ(20)内までスライドしてコーヒー粉をプレスし」という事項は,本願発明の「前記分配フィルタエレメント(33;33a-e)は,前記ポータフィルタ(11)内の分配フィルタ(34)によって抽出チャンバ(15)を規制し」に相当する。
9 引用発明の「プレスハンドル(22)」,「回転支柱(23)」及び「ピストン連結器(24)」は,ピストン(26)を上下にスライドさせるものであるから,本願発明の「駆動ユニット(32)」と,「前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記分配フィルタエレメント(33;33a-d)が動くように設けられており」という限りで一致する。
そうすると,本願発明と引用発明とは,
「抽出を行うために,この用途に提供されたコーヒーメーカのホルダに嵌め込み可能で,少なくとも1つの脱着可能なポータフィルタと,
加圧下で熱水を生成し供給する第1手段と,
少なくとも1つのコーヒーミルと,
前記ホルダに嵌め込まれた前記ポータフィルタに対して密封及び開放を繰り返すように設けられた第2手段と,
前記コーヒーミルから,前記ホルダに嵌め込まれ開放状態の前記ポータフィルタにコーヒー粉を導入するように設けられた第3手段とを備え,
前記第2手段は,分配フィルタエレメントを有し,前記ポータフィルタが開放状態にあってコーヒー粉を充填できる第1の位置と,前記分配フィルタエレメントが前記ポータフィルタを気密に閉鎖した第2の位置とを行ったり来たりすることができ,抽出ごとに前記ポータフィルタが手動で取り外されてその内部を空にされる半自動のコーヒーメーカであって,
前記第2手段は,前記ポータフィルタ内に配されたコーヒー粉にタンパリングを行い,
駆動ユニットは,前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記分配フィルタエレメントが動くように設けられており,
前記分配フィルタエレメントは,前記ポータフィルタ内の分配フィルタによって抽出チャンバを規制するコーヒーメーカ。」
である点で一致し,次の2点で相違する。
[相違点1]
分配フィルタユニットを第1の位置と第2の位置との間で動かすにあたって,本願発明では,駆動ユニット(32)を,電気的又は液圧応用的に操作するのに対して,引用発明では,プレスハンドル(22)等を人手で操作する点。
[相違点2]
本願発明では,中央制御器(24)を備え,当該中央制御器(24)が,コーヒーミル(19),第1手段(28,…,31),及び第2手段(33;33a-d)のうち少なくともコーヒーミル(19)及び第1手段(28,…,31)を制御するのに対して,引用発明では,そのような中央制御器を備えない点。
第5 判断
上記相違点について検討する。
1 相違点1について
コーヒーメーカの技術分野において,分配フィルタエレメントの駆動ユニットを,電気的又は液圧応用的に操作することは,従来周知の技術である。(例えば,上記引用例B,Cにはいずれもコーヒーメーカに係る技術的事項が記載されており,上記(B1)の「ピストン70」や上記(C1)の「上部ピストン3」は,本願発明の「分配フィルタエレメント(33;33a-d)」に相当するところ,上記(B1)の「電機71」や上記(C1)の「ギアボックスのモータ15」はともに,本願発明の「電気的又は液圧応用的に操作する駆動ユニット(32)」に相当する。)
そして,コーヒーメーカは,半自動から全自動まですでに様々な内部機器の自動化が知られており,所望の内部機器の駆動について自動化を図ることは,当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず,また,引用発明において,ピストン(26)を第1の位置と第2の位置との間で動かすにあたって,電気的又は液圧応用的に操作する駆動ユニットを用いることに特段の阻害要因は見出せない。
よって,引用発明に上記周知技術を適用し,上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
2 相違点2について
コーヒーメーカの技術分野において,コーヒーミル及び加圧下で熱水を生成し供給する第1手段を制御する中央制御器を設けることは,従来周知の技術である。(例えば,引用例Bにおいて,上記(B3)の「挽き機56」は本願発明の「コーヒーミル(19)」に,同「ポンプ54」,「メーカー55」等は,本願発明の「第1手段」に相当するところ,上記(B2)を参酌すると,同「コントロール機械140」又は「ユニット144」は,本願発明の「中央制御器(24)」に相当するものである。また,引用例Cにおいて,上記(C2)の「コーヒー分注装置は研削装置24によって生成された挽いたコーヒーの粗さまたは適合度,温度,圧力及び生成された温水の量,上部ピストン3によって加えられる力の大きさと,製造チャンバーから分配するコーヒーの量,抽出サイクルの数を制御することができる。」という記載は,本願発明の「中央制御器(24)」に相当するものの存在を示唆している。)
そして,上記「相違点1について」で述べたように,コーヒーメーカの自動化は一般的な課題であって,引用発明においても当該課題は内在しており,また,引用発明に上記中央制御器を設けることに特段の阻害要因は見出せない。
よって,引用発明に上記周知技術を適用し,上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
3 効果について
そして,本願発明の奏する作用効果についてみても、引用発明及び上記周知技術の奏する作用効果から予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
第6 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-002269