特許拒絶査定不服審判
2016-001937
マンガー
- 審判番号
- 2016-001937
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-224095外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月08日
- 審決日
- 2017年02月20日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ドクター中松創研
- 分類
- P18 .121-WZ (G06T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-224095「マンガー」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日出願公開、特開2015- 87840〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯及び本願発明
1 手続の経緯
本件出願は、平成25年10月29日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
平成27年 7月28日:拒絶理由の通知
平成27年 9月30日:手続補正
平成27年10月22日:拒絶査定
平成27年11月10日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 2月 8日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 2月 8日:手続補正
平成28年10月26日:拒絶理由の通知(当審)
平成28年12月27日:手続補正
2 当審の拒絶理由の概要
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2001-13939号公報
引用文献2:特開2004-310342号公報
引用文献3:特開2005-174335号公報
引用文献4:特開2010-11381号公報
(記載不備については略)
3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年9月30日付け、平成28年2月8日付け、平成28年12月27日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであり、次のとおりのものと認められる。
(本願発明)
(A)漫画等原画が少ない場合、或いはコマ枠が無い場合には枠を作り、スマホ,パッド,パソコン,テレビ等機器画面のコマ枠画像毎に前記原画信号をデジタル信号に置き換える置換手段と、
(B)このデジタル信号にスマホ等機器機能を作動させる第1の画像処理手段と、
(C)該第1の画像処理手段の出力信号を左右、上下に移動,縮小,拡大させ、着色して前記デジタル信号を前記機器の画面で変化させる第2の画像処理手段と、
(D)吹き出しやナレーション,銃砲発射,叫び,走る音,擬音等の音声をメモリに記憶するデータ記憶手段と、
(E)該データ記憶手段に記憶されている音声データを読み出して前記第2の画像処理手段で再生し得るようにする第1の情報処理手段と、
(F)前記第1乃至第2の画像処理手段及び第1の情報処理手段の連動ソフトで前記機器をバイブレートして機器操作者に伝え臨場感を与える第2の情報処理手段とにより構成され、
(G)前記機器は前記コマ枠画像に添付された変換指示データに基づいて処理を行い、コマ数の変化や特に色に関して臨場感を出す制御を行うようにしたことを特徴とする
(F)情報処理機器。
((A)~(F)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)
第2 引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明
1 引用文献1の記載
当審の拒絶理由に引用された引用文献1(特開2001-13939号公報)には、「デジタル画像情報の制作表示方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。(下線は当審が付与した。)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は漫画本のような複数の場面(コマ)から構成される静止画像をもとにしたデジタル画像情報の制作表示方法に関する。」
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このアニメーションでは、視聴者が想像力を働かせる余地はないこともあって、マルチメデイア時代の現代において、視聴者にあっては、新規の刺激を提供する新しい視聴覚ソフトの出現が望まれており、アニメーションとは異なる新しい演出効果を実感できるデジタル画像情報の制作手段が待ち望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するため、漫画本のようなストーリーに従った複数の場面(コマ)から構成される静止画群を用いて、この静止画情報に対してシナリオに従った変換処理(色情報に関する付加・動きの付加・音響の付加)をおこなう。この変換処理による演出効果により、1場面を示す1枚のデジタル静止画像に立体感・色彩感・躍動感・臨場等を加味することができ、ストーリーやアクションを効果的に表現することが可能な紙芝居形式のデジタル画像情報の制作表示を実現した。
【0005】具体的には、以下の方式を採用した。すなわち、本発明によるデジタル画像情報の制作表示方法は、シナリオに従って順序を規定された個別の場面に対応するデジタル静止画像情報の集合からなるデジタル静止画像群から、個別のデジタル静止画像情報をシナリオに従って順次表示装置へ出力するにあたり、出力時間を場面毎に設定された時間間隔でおこなうとともに、特定場面に対応するデジタル静止画像情報について、その場面に応じたシナリオの演出プランに基づき、変換処理を施すことにより当該場面の演出効果を発揮させるようにした。
【0006】前記のデジタル静止画像群は、アナログ静止画像を光学的読取手段によりデジタル画像データとして読取るか、またはコンピュータの演算処理を用いてデジタル静止画像情報をコンピュータで作成することができる。
【0007】場面に応じたシナリオの演出プランに基づくデジタル静止画像情報に対する変換処理は、デジタル静止画像へ彩色・彩度・明度を付加する処理である。
【0008】場面に応じたシナリオの演出プランに基づくデジタル静止画像情報に対する変換処理は、所定場面に対応するデジタル静止画像情報に対して相対的に上下左右の運動、ゆれ運動、振動運動、前後運動またはズーミング、あおり運動、回転運動、画面背後への回り込み運動を付加する処理である。
【0009】場面に応じたシナリオの演出プランに基づくデジタル静止画像情報に対する変換処理は、場面に応じた音楽・効果音・台詞等の音響データを付加する処理である。」
「【0012】本発明のデジタル画像情報制作のシステム構成は、漫画本などのシナリオに従った複数の場面から構成されるアナログ静止原画像群をデジタル静止画像群としてパソコンに読取るためのイメージスキャナ・デジタルカメラ等の光学的読取装置1、光学的読取装置1で読取ったデジタル静止画像群に対して変換処理を実行するパソコン・ワークステーション等の変換装置2、変換処理後の画像を出力する表示装置3、変換後の画像を記録する記録装置4とから構成される。
【0013】光学的読取装置1によるアナログ静止原画像群の読取りは、シナリオに従った複数の場面から構成される静止原画像群をデジタル画像データとして読取った後、変換装置2において場面毎のデジタル静止画像情報に分割する。または、場面毎に分割した静止原画像群を1枚毎に光学的読取装置1で読取ることにより、シナリオに従って順序を規定された個別の場面に対応したデジタル静止画像情報を作製する。
【0014】変換装置2は、作成したデジタル静止画像情報に対して予め決められたシナリオに従って、順次表示装置3へ出力するにあたり、出力時間を場面毎に設定された時間で制御して表示出力を実行する。
【0015】表示にあたっては、特定の場面に対応するデジタル静止画像情報についは、予め決定されている場面に応じたシナリオの演出プランに基づき、場面に対応するデジタル静止画像情報に変換処理を行なった後、表示装置3へ出力を実行する。デジタル静止画像情報に変換処理は、後に詳しく説明するが、色の付加・運動の付加・音響の付加のいすれかの処理、またはその相互の組み合わせである。
【0016】変換処理を行うことにより、場面毎の演出効果を付加したデジタル情報は、処理装置2から出力され表示装置3に表示されるとともに、記録装置4において記録されることでマスターテープやマスターディスクが作成される。」
「【0026】所定場面に対応するデジタル静止画像情報に対して相対的に上下左右の平行運動の他に、ゆれ運動、振動運動、前後運動またはズーミング、あおり運動、回転運動、画面背後への回り込み運動をシナリオに基づいた効果として実現することが可能である。
【0027】例えば、主人公が交通事故を起こすといった場面を想定し、この場面のシナリオに従って衝突の瞬間(A)およびその次に連続する主人公の脳裏に過去の記憶が走馬灯のように浮かんでは消えいる死の直前(B)の各場面ABに対応する2枚の静止コマ漫画ABを各々スキャナーにより読取り、デジタル画像データaおよびbを作成した。
【0028】デジタル画像データaの背景の輝度を変更してフラッシング効果をもたらす変換処理1、衝突部分の色彩を他の部分より鮮やかな色に変更する変換処理2、デジタル画像データaに「ガシャン」といった衝突音、および「アー」といった運転手の悲鳴の台詞を付加する変換処理3、デジタル画像データaに上下・左右・前後・右回り回転と同時に細かい揺れの運動を付加する変換処理4、を同時に施した。これを事故瞬間場面情報とする。
【0029】次にデジタル画像データbに、ゆっくりとした揺れの運動・回転の運動を付加する変換処理5、デジタル画像データbにゆっくりとズーミングする運動を付加する変換処理6、ゆっくり画面全体を暗くしつつ、徐々に彩度を低下させ無彩色に近づける色彩を付加する変換処理7、スローテンポの音楽および風鈴の音を重畳して付加する変換処理8を同時に施した。これを臨死場面情報とする。
【0030】次に、前記の事故瞬間場面情報の表示装置への出力時刻を10分21秒00と設定し、出力時間を2秒00と設定する。また、臨死場面情報の表示装置への出力時刻を10分22秒00と設定し、出力時間を5秒00と設定する。臨死場面情報の表示装置への出力モードを画面の下方から上方に向けて臨死場面情報をその上端から漸次、事故瞬間場面を覆うように出現させるように設定した。
【0031】さらに、シナリオに従って順序を規定された前記2場面以外の個別の場面に対応する変換処理をおこなったデジタル静止画像情報と統合してデジタル画像群を構成し,これらを、当該シナリオに従って順次表示装置へ出力することにより、全シナリオを制作した。」
「【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、静止画像情報の変換処理(色情報に関する付加・動きの付加・音響の付加)による演出効果により、1枚のデジタル静止画像に立体感・色彩感・躍動感・臨場等を加味することができ、ストーリーやアクションを効果的に表現することが可能となる。これにより、従来のアニメーションとは全く異なる、マルチメデイア時代の現代にそくした新規の刺激を提供することが可能な視聴覚ソフトの制作表示方法が実現可能となった。
【0034】また、漫画等の静止画像の著作者が他界しているなどの事情により、新しく画像を創造できない場合であっても、本発明により、漫画本のようなすでに存在しているストーリーに従った複数の場面(コマ)から構成される静止画を用いることで、全く新規のデジタル画像情報の制作表示が可能となる。」
2 引用文献1に記載された発明
引用文献1には、デジタル画像情報制作のシステムが記載されている。
デジタル画像情報制作のシステムは、漫画本などのシナリオに従った複数の場面から構成されるアナログ静止原画像群をデジタル静止画像群として読取るための光学的読取装置、光学的読取装置で読取ったデジタル静止画像群に対して変換処理を実行するパソコン等の変換装置、変換処理後の画像を出力する表示装置、変換後の画像を記録する記録装置とから構成される(段落【0012】)。
(1)光学読取装置
光学的読取装置は、場面毎に分割した静止原画像群を1枚毎に読取ることにより、場面に対応したデジタル静止画像情報を作成する(段落【0013】)。ここで、「場面」は、「漫画本のような複数の場面(コマ)から構成される静止画像」(段落【0001】、【0004】)における「場面」である。
(2)変換装置
パソコン等の変換装置は、作成したデジタル静止画像情報に対して予め決められたシナリオに従って、順次表示装置へ出力するにあたり、出力時間を場面毎に設定された時間で制御して表示出力を実行する(段落【0014】)。
表示にあたっては、特定の場面に対応するデジタル静止画像情報については、予め決定されている場面に応じたシナリオの演出プランに基づき、場面に対応するデジタル静止画像情報に変換処理を行なった後、表示装置へ出力を実行する。ここで、デジタル静止画像情報に行なう変換処理は、色の付加・運動の付加・音響の付加のいすれかの処理、またはその相互の組み合わせである(段落【0015】)。
色の付加の処理は、デジタル静止画像へ彩色・彩度・明度を付加する処理であり(段落【0007】)、運動の付加の処理は、所定場面に対応するデジタル静止画像情報に対して相対的に上下左右の運動、ゆれ運動、振動運動、前後運動またはズーミング、あおり運動、回転運動、画面背後への回り込み運動を付加する処理であり(段落【0008】、【0026】)、音響の付加の処理は、場面に応じた音楽・効果音・台詞等の音響データを付加する処理である(段落【0009】)。
(3)臨場の加味
静止画像情報の変換処理(色情報に関する付加・動きの付加・音響の付加)による演出効果により、1枚のデジタル静止画像に立体感・色彩感・躍動感・臨場等を加味することができる(段落【0033】)。
(4)引用文献1に記載された発明
以上より、引用文献1に記載された発明として、表示装置、変換装置とにより構成されたデジタル画像情報制作システムを認定すると、次のとおりである(以下、この発明を「引用発明」という。)。
(引用発明)
(a)場面毎に分割した静止原画像群を1枚毎に読取ることにより、場面に対応したデジタル静止画像情報を作成する光学読取装置であって、ここで、場面は、漫画本のような複数の場面(コマ)から構成される静止画像における場面である、光学読取装置と、
(b)作成したデジタル静止画像情報に対して予め決められたシナリオに従って、順次表示装置へ出力するにあたり、出力時間を場面毎に設定された時間で制御して表示出力を実行するパソコン等の変換装置であって、
表示にあたっては、特定の場面に対応するデジタル静止画像情報については、予め決定されている場面に応じたシナリオの演出プランに基づき、場面に対応するデジタル静止画像情報に変換処理を行なった後、表示装置へ出力を実行し、ここで、デジタル静止画像情報に行なう変換処理は、色の付加・運動の付加・音響の付加のいすれかの処理、またはその相互の組み合わせであって、
(b-1)色の付加の処理は、デジタル静止画像へ彩色・彩度・明度を付加する処理であり、
(b-2)運動の付加の処理は、所定場面に対応するデジタル静止画像情報に対して相対的に上下左右の運動、ゆれ運動、振動運動、前後運動またはズーミング、あおり運動、回転運動、画面背後への回り込み運動を付加する処理であり、
(b-3)音響の付加の処理は、場面に応じた音楽・効果音・台詞等の音響データを付加する処理である、変換装置とにより構成され、
(c)静止画像情報の変換処理による演出効果により、1枚のデジタル静止画像に立体感・色彩感・躍動感・臨場等を加味することができることを特徴とする
(d)デジタル画像情報作成システム。
((a)~(d)は当審で付与した。以下各構成を「構成a」等という。)
第3 対比
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)構成要件Aと構成aとを対比する。
引用発明の「光学読取装置」は、「漫画本のような複数の場面(コマ)から構成される静止画像における場面」「毎に分割した静止原画像群を1枚毎に読取ることにより、場面に対応したデジタル静止画像情報を作成する」ものであり、ここで、場面(コマ)は漫画本のような複数の場面(コマ)であって、漫画の場面であるからコマ枠があるものと想定され、当該場面の静止原画像は「コマ枠画像」といえる。
また、引用発明の「光学読取装置」は、「場面毎に分割した静止原画像群を1枚毎に読取ることにより、場面に対応したデジタル静止画像情報を作成する」から、「コマ枠画像毎に前記原画信号をデジタル信号に置き換える置換手段」といえる。
さらに、引用発明における場面の静止原画像は、「光学読取装置」によりデジタル静止画情報が作成され、構成bにより処理され、表示装置に出力されるものであって、後記(7)のとおり、引用発明の「デジタル画像情報作成システム」は、本願発明の「情報処理機器」に相当し、「表示装置」は「情報処理機器」の一部であり、表示装置に出力される静止原画像は、「機器画面」に表示されるものといえるから、本願発明の「機器画面のコマ枠画像」に相当する。また、引用発明の「変換装置」は、「パソコン等の変換装置」であり、「機器画面」は、「パソコン等機器画面」といえる。
そして、引用発明は、「漫画本のような複数の場面(コマ)から構成される静止画像」を「光学読取装置」が読み取るものであり、「漫画等原画が少ない場合」といえる。
また、構成要件Aにおける「或いはコマ枠が無い場合には枠を作り」は、コマ枠が無い場合についての構成であり、しかも「或いは」としているから、この構成がない場合も構成要件Aに含まれると認められる。
以上まとめると、構成要件Aと構成aとは、「漫画等原画が少ない場合、或いはコマ枠が無い場合には枠を作り、スマホ,パッド,パソコン,テレビ等機器画面のコマ枠画像毎に前記原画信号をデジタル信号に置き換える置換手段」として一致する。
(2)構成要件Bと構成bとを対比する。
本願発明は、構成要件Bの「第1の画像処理手段」と構成要件Cの「第2の画像処理手段」とにより、構成要件Aの「置換手段」により置き換えられたデジタル信号を機器の画面で変化させるものである。そして、「第1の画像処理手段」は、構成要件Aの「置換手段」により置き換えられたデジタル信号に機器機能を作動させるものであって、機器機能を扱えるようにデジタル信号を変換するものと認められる。
一方、引用発明における「変換装置」は、作成したデジタル静止画像情報を変換処理を行った後に、表示装置に出力するものであって、デジタル静止画像情報は、変換装置において変換処理ができるような信号になるものと認められる。
また、引用発明の「デジタル静止画像情報」は、本願発明の「デジタル信号」に相当する。後記(7)のとおり、引用発明の「デジタル画像情報作成システム」は、本願発明の「情報処理機器」に相当し、引用発明の「変換装置」は、「デジタル画像情報作成システム」の一部であり、「変換装置」の機能は、「デジタル画像情報作成システム」の機能といえるから、「変換装置の機能」は「機器機能」といえる。さらに、引用発明の「変換装置」は「パソコン等の変換装置」であるから、「変換装置の機能」は、「スマホ等機器機能」に相当する。
そうすると、引用発明における「変換装置」は、「このデジタル信号にスマホ等機器機能を作動させる」点で、本願発明の「第1の画像処理手段」と共通する。
また、引用発明における「変換装置」は、作成したデジタル静止画像情報を変換処理を行った後に、表示装置に出力するものであるから、「画像処理手段」といえ、当該「画像処理手段」は、「第1の画像処理手段」といい得る。
したがって、本願発明と引用発明とは、「このデジタル信号にスマホ等機器機能を作動させる第1の画像処理手段」により構成される点で一致する。
(3)構成要件Cと構成b、b-1、b-2とを対比する。
引用発明の「変換装置」は、デジタル静止画像情報に色の付加の処理(構成b-1)を行い、「着色」し、運動の付加の処理(構成b-2)を行い、上下、左右の移動、縮小、拡大させ、表示装置へ出力を実行する。デジタル静止画像情報に色の付加の処理、運動の付加の処理を行い、表示装置へ出力を実行することは、表示装置において、デジタル静止画像が変化することになる。後記(7)のとおり、引用発明の「デジタル画像情報作成システム」は、本願発明の「情報処理機器」に相当し、「表示装置」は「情報処理機器」の一部といえるから、表示装置において、デジタル静止画像が変化することは、「デジタル信号を機器の画面で変化させる」といえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「信号を左右、上下に移動,縮小,拡大させ、着色して前記デジタル信号を前記機器の画面で変化させる画像処理手段」により構成される点で共通する。当該画像処置手段は「第2の画像処理手段」といい得る。
上記(2)のとおり、本願発明と引用発明とで一致する「第1の画像処理手段」は、機器機能を扱えるようにデジタル信号を変換するものであるから、「第2の画像処理手段」に入力される信号は、「第1の画像処理手段」からの信号となる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「該第1の画像処理手段の出力信号を左右、上下に移動,縮小,拡大させ、着色して前記デジタル信号を前記機器の画面で変化させる第2の画像処理手段」により構成される点で一致する。
(4)構成要件D、Eと構成b、b-3とを対比する。
引用発明の「音響データ」は、本願発明の「音声データ」に相当する。
引用発明の「変換装置」は、音響の付加の処理を行うものであり、音響の付加を行うためには、音響データを記憶しておく必要があることは明らかである。
したがって、引用発明は、「音声をメモリに記憶するデータ記憶手段」により構成されることは明らかである。
そして、「音響データ」は、音楽・効果音・台詞等であり、「吹き出しやナレーション,銃砲発射,叫び,走る音,擬音等音声」といえるから、本願発明と引用発明とは、「吹き出しやナレーション,銃砲発射,叫び,走る音,擬音等の音声をメモリに記憶するデータ記憶手段」により構成されている点で一致する(構成要件D)。
さらに、引用発明の「変換装置」は、音響の付加の処理を行うものであり、色の付加・運動の付加・音響の付加のその相互の組み合わせの変換処理(構成b)を行うものであって、引用発明は、上記のように「第2の画像処理手段」、「データ記憶手段」により構成されるといえるから、引用発明の「変換装置」は、「該データ記憶手段に記憶されている音声データを読み出して前記第2の画像処理手段で再生し得るようにする情報処理手段」といえる。
また、当該「情報処理手段」は「第1の情報処理手段」といい得る。
したがって、本願発明と引用発明とは、「吹き出しやナレーション,銃砲発射,叫び,走る音,擬音等の音声をメモリに記憶するデータ記憶手段」、「該データ記憶手段に記憶されている音声データを読み出して前記第2の画像処理手段で再生し得るようにする第1の情報処理手段」により構成されている点で一致する。
(5)構成要件E
引用発明は、「前記第1乃至第2の画像処理手段及び第1の情報処理手段の連動ソフトで前記機器をバイブレートして機器操作者に伝え臨場感を与える第2の情報処理手段」により構成されていない点で、本願発明と相違する。
(6)構成要件Gと構成b、cとを対比する。
引用発明の「変換装置」は、「予め決定されている場面に応じたシナリオの演出プランに基づき、場面に対応するデジタル静止画像情報に変換処理を行な」う(構成b)ものであって、引用発明の「シナリオの演出プラン」は、本願発明の「変換指示データ」に相当するから、「前記コマ枠画像に添付された変換指示データに基づいて処理を行」うといえる。
また、引用発明の「変換装置」は、「作成したデジタル静止画像情報に対して予め決められたシナリオに従って、順次表示装置へ出力するにあたり、出力時間を場面毎に設定された時間で制御して表示出力を実行する」ものであって、場面毎に設定された時間で制御するから、コマ数をどのようにするかも当然にシナリオにより設定されるものと想定される。そして、「変換装置」は、「デジタル画像情報作成システム」の一部であり、「デジタル画像情報作成システム」が「機器」といえることは下記(7)のとおりである。
さらに、引用発明は、変換処理による演出効果により臨場を加味するものである(構成c)。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記機器は前記コマ枠画像に添付された変換指示データに基づいて処理を行い、コマ数の変化や特に色に関して臨場感を出す制御を行うようにしたことを特徴とする」点で一致する。
(7)構成要件Fと構成dとを対比する。
引用発明の「デジタル画像情報作成システム」は、光学読取装置、変換装置により構成されており、情報を処理している機器といえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「情報処理機器」として一致する。
2 一致点、相違点
以上より、本願発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
(一致点)
漫画等原画が少ない場合、或いはコマ枠が無い場合には枠を作り、スマホ,パッド,パソコン,テレビ等機器画面のコマ枠画像毎に前記原画信号をデジタル信号に置き換える置換手段と、
このデジタル信号にスマホ等機器機能を作動させる第1の画像処理手段と、
該第1の画像処理手段の出力信号を左右、上下に移動,縮小,拡大させ、着色して前記デジタル信号を前記機器の画面で変化させる第2の画像処理手段と、
吹き出しやナレーション,銃砲発射,叫び,走る音,擬音等の音声をメモリに記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶されている音声データを読み出して前記第2の画像処理手段で再生し得るようにする第1の情報処理手段と、
前記機器は前記コマ枠画像に添付された変換指示データに基づいて処理を行い、コマ数の変化や特に色に関して臨場感を出す制御を行うようにしたことを特徴とする
情報処理機器。
(相違点)
本願発明は、「前記第1乃至第2の画像処理手段及び第1の情報処理手段の連動ソフトで前記機器をバイブレートして機器操作者に伝え臨場感を与える第2の情報処理手段」により構成されているのに対し、引用発明は当該第2の処理手段により構成されていない点
第4 判断
上記相違点について検討する。
機器を振動させて、見ている画像に臨場感を持たせることは、上記引用文献3の段落【0023】、【0038】、上記引用文献4の段落【0028】に記載されているように、公知の技術である。この技術は、画像を見る技術として、引用発明と同じ技術分野であるから、引用文献にこの技術を適用することは、当業者が容易に着想することである。
したがって、この技術を引用発明に適用して、引用発明を、「前記第1乃至第2の画像処理手段及び第1の情報処理手段の連動ソフトで前記機器をバイブレートして機器操作者に伝え臨場感を与える第2の情報処理手段」により構成するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。
第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1、3、4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-001937