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特許拒絶査定不服審判

2015-022657

ボトル

審判番号
2015-022657
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-163103外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年12月24日
審決日
2017年11月20日
公報発行日
2018年02月23日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B65D) / P18 .536-WZ (B65D) / P18 .537-WZ (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-163103「ボトル」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月 4日出願公開、特開2013- 23278〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は、平成23年7月26日の出願であって、平成27年9月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年12月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲及び明細書が補正されたものである。 その後、当審において平成29年5月9日付けで拒絶の理由を通知したところ、平成29年7月14日に手続補正書及び意見書の提出がなされた。 第2.平成29年5月9日付け当審拒絶理由通知の理由1の概要 理由1)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物1:特表2008-539141号公報 刊行物2:実公平7-47293号公報 第3.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年7月14日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトルであって、 底部の底壁部は、 外周縁部に位置する接地部と、 該接地部にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、 該立ち上がり周壁部の上端部に、上方に向けて突の曲面部を介して連結され、前記曲面部からボトル径方向の内側に向かうに従い漸次下方に向けて延在する環状の可動壁部と、 該可動壁部のボトル径方向の内端部から上方に向けて延びる陥没周壁部と、を備え、 前記可動壁部は、前記陥没周壁部を上方に向けて移動させるように、前記曲面部を中心に回動自在に配設され、 前記立ち上がり周壁部は、前記接地部から前記曲面部に向かうに従い漸次ボトル径方向の内側に向けて傾斜するように延在すると共に、その傾斜角度がボトル軸に対して10度以下とされ、 前記接地部から前記曲面部までの高さが、7.5mmを超える高さとされ、 前記立ち上がり周壁部は、前記傾斜によって前記立ち上がり周壁部の前記曲面部側がボトル径方向の内側に移動することを抑制することで、前記可動壁部が前記曲面部を中心として下方に回動することを抑制することを特徴とするボトル。」 第4.引用例 1.刊行物1について (1)刊行物1の記載事項 刊行物1には、次の事項が記載されている。 ア.「【請求項1】 プラスチック容器であって、 上記容器の開口部を形成する口状部を有する上部と、 上記上部から伸びる首状部と、 上記首状部から底部へと伸びる胴体部とを備え、 上記底部は、上記容器の末端部をふさぎ、 上記上部と、上記首状部と、上記胴体部と、上記底部とによって、中に製品を充填できる貯蔵空間が上記容器内に形成され、 上記底部は、上記胴体部から、上記容器を支える面を形成する接触リングまで延びる出縁を備え、 上記底部は、 断面がほぼ円錐台形状をし、上記容器の縦軸上に位置している上げ底部によって少なくともその一部が形成される中心部と、 断面がほぼS字型であって、上記上げ底部を取り囲む反転リングと、をさらに備え、 上記円錐台は、上記底部の全径の最大30%である全径と、支持面とほぼ平行な上面と、を有することを特徴とする容器。」 イ.「【0041】 胴体部18から内部に延びるプラスチック容器10の底部20は、一般的に、出縁32、接触リング34、および中心部36を備えている。… 【0042】 …一般的に、底部20の中心部36には、中心上げ底部40および反転リング42が備えられている。反転リング42は、上部54および下部58を含む。断面図で見ると(図5、7、および10参照)、反転リング42は、ほぼ“S”字型の形状である。さらに底部20は、反転リング42と接触リング34との境を形成している直立する周辺壁または縁44を備えている。 【0043】 図1~8、10および12に示すように、中心上げ底部40は、断面で見るとほぼ円錐台形状であり、支持面38とほぼ平行な上面46を有する。側面48は、断面がほぼ平面であり、容器10の中心縦軸50に向かって上方に傾斜している。…」 ウ.「【0045】 接触リング34と反転リング42との境を構成している周辺壁または縁44は、断面が実質的に直線の起立壁であり、長さ約0.030インチ(0.76mm)から約0.325インチ(8.26mm)である。好ましくは、周辺壁または縁44は、直径2.64インチ(67.06mm)の底部を有する容器の場合は、長さ約0.140インチから約0.145インチ(3.56mmから3.68mm)である。直径5インチ(127mm)の底部を有する容器の場合、周辺壁または縁44は長さ約0.325インチ(8.26mm)である。周辺壁または縁44は、一般的に、中心縦軸50に対して角度64をなしており、約0°から約20°であり、好ましくは約15°である。したがって、周辺壁または縁44は、中心縦軸50に厳密に平行である必要はない。周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との間において、はっきりと識別可能な構成である。周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との境に強度を与えている。上記境は、局部強度を最大にし、かつ構造的に強固な構造を形成するために、急でなければならない。この結果として得られる局所強度は、底部20における折れ曲がりに対する耐性を増加させる。… 【0046】 初期形成時において、中心上げ底部40および反転リング42は、前述したような、そして図1、3、5、7および10に示すような状態になっている。従って、成型時において、反転リング42の上部54と支持面38との間の寸法52は、反転リング42の下部58と支持面38との間の寸法56より大きいか、または等しい。充填時、製品の温度条件下および重量下において、底部20の中心部36および反転リング42はわずかに沈下するか、または支持面38に向かって下方にたわむ。その結果、寸法56はほぼゼロになる。つまり、反転リング42の下部58は、支持面38に実質的に接触する。 【0047】 図2、4、6,8および12に示すように、容器10の充填、キャッピング、密封、および冷却時において、真空に関連した力が生じる結果、中心上げ底部40および反転リング42は、持ち上がるか、または上方に引っ張られ、それによって容積が縮小する。…」 エ.「【0072】 発明者は、“S”字型の構造をした反転リング42は、歪曲することで性能がより向上すると確信している(図7参照)。つまり、反転リング42の上部54が、その断面において、下部58の隣り合う曲線の半径78よりも格段に小さい半径76を有する曲線を備えていることを特徴とする場合に性能がより向上する。…」 オ.図3から、反転リング42は環状であることが看取できる。 カ.図7、10から、接触リング34は外周縁部に位置すること、及び、周辺壁または縁44は接触リング34にボトル径方向の内側から連なると共に、接触リング34から上部54に向かうに従い漸次ボトル径方向の内側に向けて傾斜するように延在していることが看取できる。 (2)引用発明 ア.上記(1)の記載事項アの「プラスチック容器であって…底部は、上記容器の末端部をふさぎ」との記載及び図1から、「プラスチックで有底筒状に形成されたプラスチック容器10」が記載されていると認められる。 イ.上記(1)の記載事項イ、カから、底部20は「外周縁部に位置する接触リング34」を備えることが記載されていると認められる。 ウ.上記(1)の記載事項イ、ウ、カから、底部20は「接触リング34にボトル径方向の内側から連なり断面が実質的に直線の起立壁である周辺壁または縁44」を備えることが記載されていると認められる。 エ.上記(1)の記載事項アの「断面がほぼS字型であって、上記上げ底部を取り囲む反転リング」との記載、記載事項イ、オ及び図7、10から、底部20は「周辺壁または縁44の上端部に、上方に向けて突の上部54を介して連結され、上部54からボトル径方向の内側に向かうに従い漸次下方に向けて延在する環状の反転リング42(上部54を除く)」を備えることが記載されていると認められる。 オ.上記(1)の記載事項アの「上記上げ底部を取り囲む反転リング」との記載、記載事項イ及び図7、10から、底部20は「反転リング42(上部54を除く)のボトル径方向の内端部から上方に向けて延びる中心上げ底部40の側面48」を備えることが記載されていると認められる。 カ.上記(1)の記載事項ウ、図7及び図10(変形前)の形状から図8及び図12(変形後)の形状への変化及び技術常識からみて、反転リング42(上部54を除く)と周辺壁または縁44とのなす角度が変化するように上部54が変形していることが明らかである。したがって、「反転リング42(上部54を除く)は、中心上げ底部40の側面48を持ち上げるように、上部54を中心に回動自在に配設されている」といえる。 なお、刊行物1の図7に示された底部20の構造と、本願発明の実施例である図3に示された底壁部19の構造との間には、格別の差異はない。構造が同様であれば構造に由来する動きも同様となるという一般的な技術常識に基くと、本願発明と同様の構造を有する刊行物1に記載された発明が、図7(変形前)の形状から図8(変形後)の形状へと変化する過程で、本願発明と同様の回動を呈さないとは考え難い。このことからも、「反転リング42(上部54を除く)は、中心上げ底部40の側面48を持ち上げるように、上部54を中心に回動自在に配設され」ているといえる。 キ.上記(1)の記載事項ウ、カから、「前記周辺壁または縁44は、前記接触リング34から前記上部54に向かうに従い漸次ボトル径方向の内側に向けて傾斜するように延在すると共に、その角度64が中心縦軸50に対して約0°から約20°とされ」ているといえる。 ク.上記(1)の記載事項ウの周辺壁または縁44の長さが8.26mmの場合について、接触リング34から周辺壁または縁44の上端までの高さを計算すると、角度64が15°であれば約7.98mm、20°であっても約7.76mmとなる。したがって、接触リング34から周辺壁または縁44の上端までの高さは7.5mmを超えるといえる。そして、上部54は、周辺壁または縁44の上端の上に位置するから、「接触リング34から上部54までの高さが、7.5mmを超える高さとされ」ていると認められる。 ケ.上記(1)の記載事項ウから、「周辺壁または縁44が構成している接触リング34と反転リング42との境は、局部強度を最大にし、かつ構造的に強固な構造を形成するために、急でなければならず、この結果として得られる局所強度は、底部20における折れ曲がりに対する耐性を増加させており」、そのような構成のプラスチック容器への「充填時、製品の温度条件下および重量下において、底部20の中心部36および反転リング42はわずかに沈下するか、または支持面38に向かって下方にたわむ結果、反転リング42の下部58と支持面38との間の寸法56はほぼゼロになり、反転リング42の下部58は支持面38に実質的に接触する」ことが記載されていると認められる。 コ.これらの事項を、本願発明に照らして整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「プラスチックで有底筒状に形成されたプラスチック容器10であって、 底部20は、 外周縁部に位置する接触リング34と、 該接触リング34にボトル径方向の内側から連なり断面が実質的に直線の起立壁である周辺壁または縁44と、 該周辺壁または縁44の上端部に、上方に向けて突の断面において曲線を備えている上部54を介して連結され、前記上部54からボトル径方向の内側に向かうに従い漸次下方に向けて延在する環状の反転リング42(上部54を除く)と、 該反転リング42(上部54を除く)のボトル径方向の内端部から上方に向けて延びる中心上げ底部40の側面48と、を備え、 前記反転リング42(上部54を除く)は、前記中心上げ底部40の側面48を持ち上げるように、前記上部54を中心に回動自在に配設され、 前記周辺壁または縁44は、前記接触リング34から前記上部54に向かうに従い漸次ボトル径方向の内側に向けて傾斜するように延在すると共に、その角度64が中心縦軸50に対して約0°から約20°とされ、 前記接触リング34から前記上部54までの高さが、7.5mmを超える高さとされ、 周辺壁または縁44が構成している接触リング34と反転リング42との境は、局部強度を最大にし、かつ構造的に強固な構造を形成するために、急でなければならず、この結果として得られる局所強度は、底部20における折れ曲がりに対する耐性を増加させており、充填時、製品の温度条件下および重量下において、底部20の中心部36および反転リング42はわずかに沈下するか、または支持面38に向かって下方にたわむ結果、反転リング42の下部58と支持面38との間の寸法56はほぼゼロになり、反転リング42の下部58は支持面38に実質的に接触するプラスチック容器。」 2.刊行物2について 刊行物2には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】樹脂製容器1の底部2に、環状の屈曲部を形成した樹脂製容器の底部構造において、 底部2の外周部の近くに接地部となる水平平板状の環状平面部3を形成し、この環状平面部3の内周縁から立ち上がる平板状の第1環状傾斜部4を形成し、この第1環状傾斜部4の上端から径方向内側に進むにしたがって下方に傾斜する平板状の第2環状傾斜部5を形成し、前記第1環状傾斜部4と前記環状平面部3とがなす角度を80~100度の間に設定したことを特徴とする樹脂製容器の底部構造。」 (第4欄第17~25行) 「この構成の樹脂製容器1においては、容器1内が加圧状態になった時にも、中央底板6が環状平面部3よりも下方に突出変形して容器1の自立性を不安定にすることはない。これは、第1環状傾斜部4を環状平面部3から垂直に立ち上げたことによるもので、第1環状傾斜部4は、第2環状傾斜部5及び中央底板6を下方に突出変形しにくくするのである。その結果、容器1は常に環状平面部3が接地部としての機能を果たし、安定した自立性が達成される。」 すなわち、刊行物2には、第1環状傾斜部4の傾斜角度をボトル軸に対して-10度~10度の間に設定することで、加圧状態になった時にも第2環状傾斜部5及び中央底板6を下方に突出変形しにくくして安定した自立性を達成することが記載されていると認められる。 第5.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「プラスチック」は本願発明の「合成樹脂材料」に相当する。以下同様に、「プラスチック容器10」は「ボトル」に、「底部20」は「底部の底壁部」に、「接触リング34」は「接地部」に、「断面が実質的に直線の起立壁である」は「上方に向けて延びる」に、「周辺壁または縁44」は「立ち上がり周壁部」に、「断面において曲線を備えている上部54」は「曲面部」に、「反転リング42(上部54を除く)」は「可動壁部」に、「中心上げ底部40の側面48」は「陥没周壁部」に、「持ち上げる」は「上方に向けて移動させる」に、「角度64」は「傾斜角度」に、「中心縦軸50」は「ボトル軸」に、それぞれ相当する。 したがって、両者の間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトルであって、 底部の底壁部は、 外周縁部に位置する接地部と、 該接地部にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、 該立ち上がり周壁部の上端部に、上方に向けて突の曲面部を介して連結され、前記曲面部からボトル径方向の内側に向かうに従い漸次下方に向けて延在する環状の可動壁部と、 該可動壁部のボトル径方向の内端部から上方に向けて延びる陥没周壁部と、を備え、 前記可動壁部は、前記陥没周壁部を上方に向けて移動させるように、前記曲面部を中心に回動自在に配設され、 前記立ち上がり周壁部は、前記接地部から前記曲面部に向かうに従い漸次ボトル径方向の内側に向けて傾斜するように延在とされ、 前記接地部から前記曲面部までの高さが、7.5mmを超える高さとされているボトル」 (相違点) 立ち上がり周壁部が、本願発明では「傾斜角度がボトル軸に対して10度以下」であり、この「傾斜によって立ち上がり周壁部の曲面部側がボトル径方向の内側に移動することを抑制することで、可動壁部が曲面部を中心として下方に回動することを抑制する」のに対して、引用発明では傾斜角度が中心縦軸50に対して約0°から約20°であり、周辺壁または縁44が構成している接触リング34と反転リング42との境は、局部強度を最大にし、かつ構造的に強固な構造を形成するために、急でなければならず、この結果として得られる局所強度は、底部20における折れ曲がりに対する耐性を増加させており、充填時、製品の温度条件下および重量下において、底部20の中心部36および反転リング42はわずかに沈下するか、または支持面38に向かって下方にたわむ結果、反転リング42の下部58と支持面38との間の寸法56はほぼゼロになり、反転リング42の下部58は支持面38に実質的に接触する点 第6.判断 1.相違点について (1)本願発明において、立ち上がり周壁部の傾斜角度を10度以下とすることの技術的な意義は、立ち上がり周壁部を垂直に立ち上がった形に近い状態とし、立ち上がり周壁部の上端部側(曲面部側)がボトル径方向に容易に動いてしまうことを抑制し、内容物の充填時等に可動壁部が曲面部を中心として下方に回動して可動壁部の一部が接地部の配設位置に到達したり接地部よりも下方に突出したりして接地安定性の不具合を招くことを抑制することと認められる(本願明細書【0004】、【0007】参照)。 (2)それに対し、引用発明は、周辺壁または縁44の傾斜角度を0~20度とすることで、周辺壁または縁44(接触リング34と反転リング42との境)を急なものとし、局部強度を最大にしかつ構造的に強固な構造を形成し、充填時に反転リング42の沈下がわずかであるか下方にたわんでも支持面との間の寸法がほぼゼロになるにとどめているから、可動壁部が下方に突出変形しにくく、曲面部を中心として下方に回動することをある程度抑制しているといえる。そうすると、本願発明も引用発明も、立ち上がり周壁部の傾斜角度を垂直に立ち上がった形に近い状態とし、可動壁部が下方に突出変形しにくく、曲面部を中心として下方に回動することを抑制するという点において軌を一にしている。 (3)そのような引用発明において、傾斜角度0~20度のうちのより急な範囲を使用して確実に強固な構造とすることは何ら阻害されないところ、同じ容器の技術分野に属する刊行物2の記載事項を参酌して、0~20度のうちの10度以下の範囲を使用することで、下方に突出変形しにくく、曲面部を中心とした下方への回動が抑制されるのを確実なものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 また、立ち上がり周壁部は垂直に近いほど製品重量による下向きの力を受け難いから内側へ倒れ込む移動が自ずと抑制されるところ、その結果として可動壁部は外径が縮まらず伸張されたままで下方にたわむような回動が抑制されることは当業者にとって自明である。したがって、引用発明の傾斜角度0~20度のうちのより急な範囲を使用して刊行物2のように垂直に近づけることで、相違点に係る移動・回動がより抑制されることは、当業者ならば予見し得たことである。 2.請求人の意見について (1)接地安定性の不具合を招く旨の記載がない刊行物1に、刊行物2の記載事項を適用する動機付けはないとの主張について(平成29年7月14日付け意見書の3.(e)) 上記1.に示したように、引用発明は充填時、可動壁部は下方に突出変形しにくく、曲面部を中心として下方に回動することがある程度抑制されているといえる。よって、引用発明と刊行物2の樹脂製容器とは、容器という共通の技術分野に属することに加えて、可動壁部が下方に突出変形しにくいという機能においても密接な関連を有するといえる。そうすると、刊行物2の記載事項を参酌して、引用発明の傾斜角度0~20度のうちの10度以下の範囲を使用することで、上記機能を確実なものとすることに、何らの動機付けもないということはできない。 なお、請求人は上記のように接地安定性について主張するが、「可動壁部の一部が接地部の配設位置に到達したり接地部よりも下方に突出したり」(本願明細書【0004】)するか否かは、接地部から曲面部までの高さ及び傾斜角度のみではなく、例えば、可動壁部の長さ(ボトル直径が大きく可動壁部のボトル径方向が長いと、わずかな回動でも、可動壁部のボトル径方向の内端部は大きく下降する)や、可動壁部の具体的形状(可動壁部が下方に向けて大きく湾曲していると、可動壁部の下部と支持面との間の寸法(刊行物1でいうところの寸法56)が小さくなり、わずかな回動でも、該寸法がゼロ以下になり得る)など、ボトル全体の構造で決まるから、ボトル全体の構造までは特定されない本願発明が、良好な接地安定性を確保するとまでは、必ずしもいうことができない。 したがって、請求人の主張は当を得たものとはいえず、採用することはできない。 (2)刊行物1の一部分が先行する反転変形は「曲面部を中心に回動」に該当しないとの主張について(平成29年7月14日付け意見書の4.) 本願発明の「回動」がどのような動きなのかは本願明細書に記載がなく、可動壁部の一部分が先行する反転変形をしない旨の記載もない。また、「回動」が可動壁部の一部分が先行する反転変形を伴わないとの技術常識があったともいうことはできない。 むしろ、本願明細書の【0022】「このように構成されたボトル1内が減圧すると、底壁部19の曲面部25を中心にして可動壁部22が上方に向かって回動することで、可動壁部22は陥没周壁部23を上方に向けて持ち上げるように移動する。即ち、減圧時にボトル1の底壁部19を積極的に変形させることで、ボトル1の内圧変化(減圧)を吸収することができる。」との記載や、【0002】~【0003】の特許文献1(特開2010-126184号公報。その【0025】には「反転壁部13の反転変形は全周に亘って均一に進行することなく、いくつもの折れ目18を形成しながら、凹凸状に不均一に進行し、最終的には図2(b)の底面図に示されるような状態となる。」と記載されている。)に示される構成は可動壁部が接続部分を中心に回動する構成である旨の記載に接した当業者であれば、一部分が先行して反転変形したものも「回動」と認識するといえる。 したがって、請求人の主張は当を得たものとはいえず、採用することはできない。 第7.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-022657

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    共通の審決分類: 121・B65D、536・B65D、537・B65D

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