特許拒絶査定不服審判
2015-003252
LTE-A無線通信におけるPHICHまたはPDCCHに基づく再送信のための復調基準信号(DM-RS)
- 審判番号
- 2015-003252
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-518661外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年02月20日
- 審決日
- 2016年10月03日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クゥアルコム・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】福原 淑弘
- 【請求人代理人】井関 守三
- 【請求人代理人】奥村 元宏
- 分類
- P18 .121-WZ (H04J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-518661「LTE-A無線通信におけるPHICHまたはPDCCHに基づく再送信のための復調基準信号(DM-RS)」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月 5日国際公開,WO2012/003226,平成25年10月 3日国内公表,特表2013-537734〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯・本願発明
本願は,2011年6月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年6月29日 米国,2011年6月28日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成26年10月8日付けで拒絶査定がされ,これに対し,平成27年2月20日に拒絶査定不服審判が請求され,その後,当審において同年11月2日付けで拒絶理由が通知され,平成28年2月4日付けで手続補正がされ,同年2月29日付けで拒絶理由が通知され,同年6月27日付けで手続補正がされたものである。
その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成28年6月27日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「無線通信のための方法であって,
初期送信ランクにしたがって第1のコードワードと第2のコードワードとを送信することと,
ダウンリンク送信を受信することと,前記ダウンリンク送信は,前記第1のコードワードと前記第2のコードワードとのうち,再送信されるべき少なくとも1つのコードワードを示す物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)許可と,1または複数の物理ハイブリッド自動再送信要求インジケータ・チャネル(PHICH)とを含み,
前記再送信されるべき少なくとも1つのコードワードとともに送信されるべき再送信のための復調基準信号(DM-RS)を構築することと,ここで,前記DM-RSは,前記ダウンリンク送信における情報に少なくとも部分的に基づいて構築され,
再送信ランクにしたがって,前記DM-RSとともに,前記少なくとも1つのコードワードを再送信することと,前記再送信ランクは,前記再送信されるべき少なくとも1つのコードワードのそれぞれに関する送信ランクを示し,
を備える方法。」
2 引用発明
当審から通知した拒絶の理由に引用されたSamsung,HARQ handling in UL MIMO([当審仮訳]:UL MIMOにおけるHARQハンドリング),3GPP TSG RAN WG1 Meeting #60bis R1-102209, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_60b/Docs/R1-102209.zip>,利用可能となった日:2010年4月6日(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
(1)「
」(1~2葉)
([当審仮訳]:
2 LTEにおけるUL HARQ
LTE物理層は,リンク・アダプテーションを補完するために,HARQを明記している。各リンクのための変調及び符号化スキームは,目標エラー率を満たす一方,リンク・スループットを最大化するよう,決定される。しかしながら,eNBにおけるチャネル状態に関する知識が不完全であるため,理想的なリンク・アダプテーションは現実的でない。HARQは,受信機が送信機に対してNACKを送信することにより再送信を要求するツールである。他方,受信機は早期に終了するために送信機にACKを知らせる。
HARQ動作は,いつ再送信がなされるかによって,同期HARQと非同期HARQとに分類される。同期HARQは予め決められた定期的な再送信タイミングを有している。他方,非同期HARQ動作では,PDCCH上でのダウンリンク制御シグナリングが再送信をトリガする,すなわち,再送信タイミングはいつPDCCHが受信されたかにより定義される。同期HARQは,初送のためのDCIを有するPDCCHが受信されるサブフレームのインデックスから暗黙的に得ることができるため,PDCCH上でHARQプロセス識別をシグナリングすることを必要としない。他方,非同期HARQは,再送信はACK/NACK信号の受信後いつでも起こり得るので,PDCCH上の情報要素としてHARQプロセス識別の定義を必要とする。
HARQ動作はまた,再送信の送信プロパティがどのように決定されるかによって,適応HARQと非適応HARQとに分類される。適応HARQは,各再送信のためのMCSのような送信プロパティを変更することができ,一方,非適応HARQは,再送信のための送信プロパティをいつも初送と同一にしておく。適応HARQでは,PDCCHが,送信プロパティにおける変更をシグナリングするために使用される。
LTE UL及びDLは,それぞれ,同期HARQ及び非同期HARQを採用する。LTE UL HARQは同期なので,典型的な場合,再送信を要求するためにPDCCHは送信される必要はない。ACK/NACKを含むPHICHが,再送信が必要とされているか否かをUEに知らせる。LTE ULはまた,PDCCHを送信することにより,eNBが,RB割当,DM-RSサイクリック・シフト,MCSレベル,冗長バージョン,新データ識別子(NDI)等のような送信プロパティのセットを変更することができるように,適応HARQも採用する。LTE Rel-10はUL SU-MIMOのサポートを開始するので,UL SU-MIMO許可のためのPDCCHは,二次トランスポートブロックのための送信プロパティ上の追加的な情報及びそのプリコーダ表示も有するべきである。
(図1は省略。)
図1は,LTE ULにおけるHARQ動作を示している。図1(a)に示されるように,同期HARQであるため,PDCCHは初めにPUSCH許可のために送信されるが,PHICHはPDCCHシグナリングすることなく再送信をトリガするのに使用されることができる。PHICHによりトリガされる再送信に加えて,eNBは,PDCCHシグナリングのオーバーヘッドをかけて送信プロパティを変更することを望む場合には,図1(b)に示されるように,PUSCHの再送信のためにPDCCHを送信することができる。PDCCHはPHICHよりもより多くの情報を含むことができることを考えると,PHICHのみを送信する場合に比べて,eNBはPDCCH送信により多くのDL資源を消費する。)
(2)「
(中略)
(中略)
」(2~3葉)
([当審仮訳]:
3 代替案のレビュー
(中略)
代替案2
代替案2は,PDCCH上に2つのNDIを定義する一方,PHICH上に単一HARQ-ACK信号を提供する。PHICHでのみ,空間的にバンドル化されたHARQ動作がサポートされる。しかしながら,PDCCH上の複数のNDIは,個別のHARQ再送信を可能とするために使用されることができる。
初送許可により複数ランクPUSCH送信が割り当てられているUEが,最初のPUSCHの応答として,PHICHのみを検知しPDCCHを検知しない場合,代替案1と同様にどちらのトランスポートブロックが再送信を必要としているかが分からない。そのため,UEは再送信段階で双方のトランスポートブロックを送信する。
他方,もしもUEが成功裏にPDCCHを検知すると,UEは各トランスポートブロックに対応するNDIビットをチェックすることができる。UEは,eNBはトグルされたNDIと関連するトランスポートブロックを前回のPUSCHの受信の間に成功裏にデコードすることができ,eNBは前回のトランスポートブロックによって占められたレイヤ上で新しいトランスポートブロックを許可している,と仮定する。もしも双方のNDIがトグルされると,PDCCHは初送許可とみなされる。Rel-8仕様によれば,UL許可のためのPDCCHを検知したUEは,PHICH上のHARQ情報を無視する。要約すると,PDCCH上のNDIは,各トランスポートブロックの再送信を取り扱う。
代替案2は,PDCCH無しでは,各トランスポートブロックの個別のHARQ動作を取り扱うことができない。eNBが双方のトランスポートブロックのデコードに失敗したとき,eNBは,UEに前にPDCCHによりシグナリングしたのと同じ送信プロパティを用いてPUSCHを再送信させるため,PDCCH無しでPHICHを送信することができる。しかしながら,もしもeNBが1つのトランスポートブロックは成功裏にデコードできたがもう1つのデコードに失敗すると,2つの選択肢がある。ひとつは,NACKをシグナリングするPHICHを送信することである。この場合,UEはNACK信号に応答して双方のトランスポートブロックを送信し,そのため,2HARQ-ACKsからの利得は達成できない。もうひとつは,どちらのトランスポートブロックが再送信を必要としているかを明示的に示すPDCCHを送信することである。この場合,2HARQ-ACKsからの利得は達成し得るが,eNBはPDCCH送信のためにDL資源を消費する。ここで,当該DL資源は,信号送信のための必要なリソース・エレメント(REs)のみならず,送信エネルギーも含んでいる。個別のHARQハンドリングはPDCCHシグナリングによってのみ可能であるため,他の代替案との公平な比較のために,資源オーバーヘッドが評価されなければならない。オーバーヘッド分析は,6節で検討される。
(中略)
典型的なトラフィックは,フルバッファ・ケースとしてモデル化されることはない。このため,eNBは,図2に例示されるような方法でPUSCHを許可することは,望まないかもしれない。さらに,スケジューリングにおける公平性を考慮すると,eNBは,できるだけ早く他のUEにUL資源を使うチャンスを与えようと望むかもしれない。したがって,よりありそうなケースは,eNBは,デコードできなかったコードワードのみの再送信を要求することである。図3はこの例を示している。初送は,双方のコードワードのために複数のトグルされたNDIを設定したPDCCHによりシグナリングされる。UEは,PUSCH上で,CW0及びCW1を送信する。eNBは,CW1を成功裏にデコードできたので,もう一つのコードワードを割り当てることなくCW0の再送信を要求することを望む。これは,UEにHARQ動作を終了させる。もしもeNBがCW0のもう一つの冗長の受信により成功裏にCW0をデコードすると,eNBはPHICH上でACKを送信し,UEはPUSCHの送信を止めて割り当てられたUL資源を解放する。この動作を可能とするために,PDCCHは,たった1つのコードワードが再送信を必要としていることをシグナリングすることが可能であるべきである。
(図2,図3は省略。) )
上記(1),(2)の記載及び図面並びに当業者の技術常識を考慮すると,
a 引用例は,3GPP TSG RAN WG1(3GPPの無線アクセスネットワークの無線レイヤ1の仕様について検討しているグループ)における提案文書であり,無線通信のための方法について提案されているものであることは当業者に明らかである。
b 上記(2)の最終段落の記載,図2,図3によれば,UEはアップリンクでeNBにコードワードCW0とコードワードCW1とを送信していることが見てとれる。そして,上記(2)の第2段落の記載によれば,初送許可による複数ランクPUSCH送信でコードワードCW0とコードワードCW1とを送信しているといえる。
c 上記(1)の第2段落,第4段落,第5段落,上記(2)の第1段落,第3段落の記載,図1(b)によれば,UEはeNBからのダウンリンクの送信を受信しており,当該ダウンリンクの送信は,少なくとも,コードワードCW0とコードワードCW1とのうち,再送信されるべき少なくとも1つのコードワードを示すPDCCH上の複数のNDIと,PHICHとを含んでいることが見てとれる。そして,上記(2)の最終段落,図3によれば,NDIは必ずしも複数必要ではないことは明らかである。
d 引用例はLTEに基づく提案であるところ,LTEでは,アップリンクにてコードワードとともにDM-RSを送信すること,DM-RSがDM-RSサイクリック・シフト等に基づいて構築されること,は技術常識である。そして,再送信としてコードワードCW0及び/又はCW1が送信される場合にも,当該再送信に係るコードワードを復調するためのDM-RSがコードワードともに送信されなければならないことは,当業者における技術常識である。
そして,上記(1)の第3段落,第4段落には,適応HARQでは,PDCCHを送信することにより,eNBは,RB割当,DM-RSサイクリック・シフト,MCSレベル,冗長バージョン,新データ識別子(NDI)等のような,再送信における送信プロパティのセットを変更することができることが記載されており,この場合,再送信のためのDM-RSがDM-RSサイクリック・シフト等に基づいて構築されることは,上記技術常識に照らして明らかである。そして,PDCCHはダウンリンクの送信における情報の一部であるから,DM-RSはダウンリンクの送信における情報に少なくとも部分的に基づいて構築されるといえる。
e 上記(2)の第1段落,第3~5段落の記載,図2,3によれば,UEは少なくとも1つのコードワードを再送信しており,上記dのとおり技術常識に照らせば当該再送信はDM-RSとともなされていることは明らかである。
以上を総合すると,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「無線通信のための方法であって,
初送許可による複数ランクPUSCH送信でコードワードCW0とコードワードCW1とを送信することと,
ダウンリンクの送信を受信することと,前記ダウンリンクの送信は,前記コードワードCW0と前記コードワードCW1とのうち,再送信されるべき少なくとも1つのコードワードを示すPDCCH上のNDIと,PHICHとを含み,
前記再送信されるべき少なくとも1つのコードワードとともに送信されるべき再送信のためのDM-RSを構築することと,ここで,前記DM-RSは,前記ダウンリンクの送信における情報に少なくとも部分的に基づいて構築され,
前記DM-RSとともに,前記少なくとも1つのコードワードを再送信することと,
を備える方法。」
3 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,
引用発明の「コードワードCW0」,「コードワードCW1」を,それぞれ「第1のコードワード」,「第2のコードワード」と称することは任意である。そして,引用発明の「初送許可による複数ランクPUSCH送信でコードワードCW0とコードワードCW1とを送信すること」は,明らかに本願発明の「初期送信ランクにしたがって第1のコードワードと第2のコードワードとを送信すること」に相当する。
また,引用発明の「ダウンリンクの送信」,「PDCCH」,「PHICH」,「DM-RS」は,それぞれ本願発明の「ダウンリンク送信」,「物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)許可」,「物理ハイブリッド自動再送信要求インジケータ・チャネル(PHICH)」,「復調基準信号(DM-RS)」に相当する。
また,本願発明は,「1または複数の物理ハイブリッド自動再送信要求インジケータ・チャネル(PHICH)」との択一的な構成を有しており,本願発明と引用発明とは「1の物理ハイブリッド自動再送信要求インジケータ・チャネル(PHICH)」を含む点では差異が無い。
したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「無線通信のための方法であって,
初期送信ランクにしたがって第1のコードワードと第2のコードワードとを送信することと,
ダウンリンク送信を受信することと,前記ダウンリンク送信は,前記第1のコードワードと前記第2のコードワードとのうち,再送信されるべき少なくとも1つのコードワードを示す物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)許可と,1の物理ハイブリッド自動再送信要求インジケータ・チャネル(PHICH)とを含み,
前記再送信されるべき少なくとも1つのコードワードとともに送信されるべき再送信のための復調基準信号(DM-RS)を構築することと,ここで,前記DM-RSは,前記ダウンリンク送信における情報に少なくとも部分的に基づいて構築され,
前記DM-RSとともに,前記少なくとも1つのコードワードを再送信することと,
を備える方法。」
(相違点)
一致点の「前記DM-RSとともに,前記少なくとも1つのコードワードを再送信すること」に関し,本願発明は「再送信ランクにしたがって,前記DM-RSとともに,前記少なくとも1つのコードワードを再送信すること」であり,これに伴い「前記再送信ランクは,前記再送信されるべき少なくとも1つのコードワードのそれぞれに関する送信ランクを示し」との事項を含むのに対し,引用発明は「再送信ランク」について明らかにしていない点。
以下,上記相違点について検討する。
引用発明は,初送許可により複数ランクPUSCH送信をするものであるところ,再送信においても複数ランクPUSCH送信がなされ得ると解することは自然である。そして,本願明細書の【0032】にも記載されているように,技術常識といえるLTE Rel-8では,DLではあるが,ランク-2送信の場合,CW0はレイヤ0へマップされ,CW1はレイヤ1へマップされ,ランク-3送信の場合,CW0はレイヤ0へマップされ,CW1はレイヤ1およびレイヤ2へマップされ,ランク-4送信の場合,CW0はレイヤ0およびレイヤ1へマップされ,CW1はレイヤ2およびレイヤ3へマップされうるものであることに鑑みれば,引用発明の再送信においても,再送信されるコードワードのそれぞれに関する送信ランクが存在し,当該送信ランクにしたがって再送信がなされることは明らかである。
そして,引用発明は,PDCCHによるシグナリングに基づいて再送信の送信プロパティが変更可能なものであり,引用例は,UL SU-MIMO許可のためのPDCCHは,二次トランスポートブロックのための送信プロパティ上の追加的な情報及びそのプリコーダ表示も有するべきであることも言及している(上記2(1)の第3段落,第4段落参照。)ところ,再送時にランクが変わることも当然にあり得るから,再送信の際の送信ランクにしたがった送信プロパティで再送信を行うようにすることは格別困難なことではない。したがって,上記相違点は当業者が容易になし得ることである。
4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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