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特許拒絶査定不服審判

2016-014032

分散型無線通信ネットワークの方法及びシステム

審判番号
2016-014032
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-545023外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年09月20日
審決日
2018年04月24日
公報発行日
2018年10月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-545023「分散型無線通信ネットワークの方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 5日国際公開、WO2014/084865、平成28年 2月25日国内公表、特表2016-506122〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)12月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年11月30日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年12月24日付けで拒絶理由が通知され、平成28年4月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月9日付けで拒絶査定されたところ、同年9月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成29年10月18日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年1月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成30年1月24日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-22に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「 分散型無線通信ネットワークを提供するためのシステムであって、 複数の地理的に分散した複数のノードのうち第1ノードから無線送信されるデータの被変調信号の第1の少なくとも一部を受信する第1ゲートウェイであって、アナログ・デジタル(A/D)変換を実行して前記被変調信号の前記第1の少なくとも一部の第1サンプルを生成し、該第1サンプルをサーバに送信する、第1ゲートウェイと、 前記第1ノードから無線送信される前記データの前記被変調信号の第2の少なくとも一部を受信する第2ゲートウェイであって、アナログ・デジタル(A/D)変換を実行して前記被変調信号の前記第2の少なくとも一部の第2サンプルを生成し、該第2サンプルを前記サーバに送信する、第2ゲートウェイと、 前記第1ゲートウェイから送信された前記第1サンプルと、前記第2ゲートウェイから送信された前記第2サンプルとをそれぞれ別個に受信する前記サーバとを含み、 前記サーバが、前記第1ゲートウェイから受信した第1サンプルと前記第2ゲートウェイから受信した第2サンプルとを組み合わせて、前記データの前記被変調信号を復元するとともに、復元された前記被変調信号を復調して、前記データを復元するソフトウェア無線(SDR)ソフトウェアによって構成された、システム。」 第3 拒絶の理由 当審拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。 本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.桑野茂、外6名、広域ユビキタスネットワーク用ダイバーシチ技術(1) -デジタル光ファイバ無線を用いたダイバーシチ構成-、電子情報通信学会2008年総合大会講演論文集 通信1、日本、2008.03.05発行、S-35~S-36 2.特開2011-188497号公報 第4 引用発明及び公知技術 1 引用発明 当審拒絶理由で引用した、桑野茂、外6名、広域ユビキタスネットワーク用ダイバーシチ技術(1) -デジタル光ファイバ無線を用いたダイバーシチ構成-、電子情報通信学会2008年総合大会講演論文集 通信1、2008年(平成20年)3月5日発行、S-35~S-36(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。(下線は、強調のために当審が付与した。) (1)「1.はじめに 広域ユビキタスネットワークは、広域に分布するセンサやアクチュエータに無線通信機能を具備した小型端末とそれらに対するサーバ、データベースを収容するためのネットワークインフラストラクチャであり、実用化に向けて現在検討が進められている[1]。(後略)」 (2)「2.無線アクセスへの要求条件 広域ユビキタスネットワークで目標としている無線アクセスシステムでは、半径最大5kmのセル内に遍在する数万個の無線端末との低速(9,600bps)通信を実現する。(中略)下り方向については、無線基地局からの電波を効率よく無線端末へ届けるための送信技術が必要であり、上り方向については、無線基地局で受信される電波から効率よく信号を抽出する技術が必要であり、デジタル信号処理技術を活用した無線基地局における無線物理レイヤの高性能化が必須である。(後略)」 (3)「3.ダイバーシチ構成 半径数kmのセル内に遍在する無線端末を収容するためには、高い場所率の実現が重要である。無線基地局アンテナの配置について、セルの中心にアンテナを配置するセクタセル構成よりも、セルの外縁部に複数のアンテナを配置するオムニセル構成の方が、複数のアンテナにより相補的にカバーできる領域があるため有利であると考えられる。 これら互いに数km離れた複数のアンテナを用いることによるサイトダイバーシチとともに、それぞれのサイトに複数のアンテナを配置した空間ダイバーシチ構成と組み合わせることにより、シャドウイングだけではなくフェージングの影響も軽減することが可能となる。ダイバーシチの種別として、(中略)上り方向については、受信された電力を最大限活用できる最大比合成の受信ダイバーシチとする。 最大比合成ダイバーシチを実現するためには、複数のアンテナで受信された信号を一箇所に集約して復調処理する必要があるため、無線信号を低コストかつ高精度に伝送する手段が必要となる。(後略)」 (4)「4.デジタル光ファイバ無線(DROF) 図1にDROFを用いたダイバーシチ構成を示す。変復調機能はマスタ側に集約され、リモート側はアナログ-デジタル間の変換機能および周波数変換機能の簡易な構成となる。(中略)上り方向については、リモートで受信された無線信号を、低雑音増幅、ダウンコンバージョンおよびAD変換してベースバンドまたは低中間周波数のデジタルデータに変換する。このデジタルデータをパケット化し、パケット網上に伝送させる。マスタでは、ベースバンドデジタルデータを取り出し遅延制御を行った後に復調処理を行う。ここで、各リモートで同時にサンプリングしたデータで信号処理できるよう遅延処理を行うことにより、最大比合成の受信ダイバーシチを実現する。(後略)」 (5)「図1 DROFを用いたサイトダイバーシチ構成 」 上記摘記事項の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 ア 上記摘記事項(1)、(2)によれば、「広域に分布する」「無線端末」を含む「広域ユビキタスネットワーク」のための「無線アクセスシステム」であって、上記摘記事項(3)、(4)及び(5)によれば、「無線アクセスシステム」は、セルの外縁部に配置された複数の「リモート」と「マスタ」とをデジタル光ファイバ無線(DROF)を用いた「パケット網」で接続した「サイトダイバーシチ構成」であるといえる。 イ 上記摘記事項(3)によれば、「半径数kmのセル内に遍在する無線端末を収容するために」「セルの外縁部に複数のアンテナを配置」し、「これら互いに数km離れた複数のアンテナを用いる」「サイトダイバーシチ」構成であって、「ダイバーシチの種別」は、「上り方向については」「複数のアンテナで受信された信号を一箇所に集約して復調処理する」「最大比合成の受信ダイバーシチ」である。そして、セルの外縁部に配置された複数の「リモート」の各々は、「半径数kmのセル内に遍在する無線端末」の1つから送信された無線信号の一部を受信し、各リモートによって受信された信号が「マスタ」に集約されて「最大比合成の受信ダイバーシチ」を行うものといえる。 また、上記摘記事項(4)によれば、セルの外縁部に配置された複数の「リモート」の各々は、「リモートで受信された無線信号を、低雑音増幅、ダウンコンバージョンおよびAD変換してベースバンドまたは低中間周波数のデジタルデータに変換」し、「このデジタルデータをパケット化し、パケット網上に伝送」させ、「マスタ」では、「ベースバンドデジタルデータを取り出し遅延制御を行った後に復調処理を行う」。ここで、「各リモートで同時にサンプリングしたデータで信号処理できるよう遅延処理を行うことにより、最大比合成の受信ダイバーシチを実現」する。 そうすると、セルの外縁部に配置された複数のリモートの各々は、半径数kmのセル内に遍在する無線端末の1つから送信された無線信号の一部を受信し、受信した無線信号をAD変換してデジタルデータに変換し、このデジタルデータをパケット化し、デジタル光ファイバ無線(DROF)を用いたパケット網上に伝送させるものといえる。 また、パケット網で接続されるマスタは、上記複数のリモートの各々からパケット化されたデジタルデータを受け取り、各リモートで同時にサンプリングしたデータで信号処理できるよう遅延処理を行うことにより、最大比合成の受信ダイバーシチを行った後に復調処理を行うものといえる。 上記ア、イを総合すると、引用例1には、最大比合成ダイバーシチを適用したサイトダイバーシチ構成の以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明) 「広域に分布する無線端末を含む広域ユビキタスネットワークのための無線アクセスシステムであって、 セルの外縁部に配置された複数のリモートとマスタとをデジタル光ファイバ無線(DROF)を用いたパケット網で接続したサイトダイバーシチ構成であり、 セルの外縁部に配置された複数のリモートの各々は、半径数kmのセル内に遍在する無線端末の1つから送信された無線信号の一部を受信し、受信した無線信号をAD変換してデジタルデータに変換し、このデジタルデータをパケット化し、パケット網上に伝送させる、リモートであり、 マスタは、上記複数のリモートの各々からパケット化されたデジタルデータを受け取り、各リモートで同時にサンプリングしたデータで信号処理できるよう遅延処理を行うことにより、最大比合成の受信ダイバーシチを行った後に復調処理を行う、システム。」 2.公知技術 当審拒絶理由で引用した特開2011-188497号公報(平成23年9月22日出願公開。以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。(下線は、強調のために当審が付与した。) (1)「【背景技術】 【0002】 分散アンテナシステムは、1つの基地局(無線エレメント制御部又はベースバンド装置としても知られる)と、1つ以上のリモートトランシーバ(無線エレメント又は遠隔無線ヘッドとしても知られる)とからなる。これらの構成要素はエンドポイントに無線ネットワークアクセスを提供する。」 (2)「【0009】 図1は、特定の一実施形態に係る基地局と複数のリモートトランシーバとを有する分散アンテナシステムを例示している。分散アンテナシステム100は、基地局110と複数のリモートトランシーバ120とを有している。 (中略) 【0010】 分散アンテナシステム100は、基地局110を介してネットワーク130に結合され得る。分散アンテナシステム100は、エンドポイント140に対して、広い地理的領域に及ぶ無線カバレッジを提供する。 (中略) 【0011】 実施形態に応じて、分散アンテナシステム100は、リモートトランシーバ120とエンドポイント140との間での通信に、多様な無線技術又はプロトコル(例えば、IEEE 802.16m若しくは802.16e、又はロング・ターム・エボリューション(LTE))のうちの何れを用いてもよい。複数のリモートトランシーバ120は、エンドポイント140に対して、基地局110の拡張である単一のエンティティとして現れる。故に、各リモートトランシーバ120は、同一のコアデータをエンドポイント140に送信しようとするとともに、潜在的に、同一のデータをエンドポイント140から受信し得る。送信あるいは受信されるデータにおける差異は、特定のエンドポイントから各リモートトランシーバ120までのそれぞれの距離と、更に詳細に後述するように、各リモートトランシーバで各副搬送波に与えられる電力量とに由来し得る。」 (3)「【0020】 図2は、特定の一実施形態に係る分散アンテナシステム内の基地局及びリモートトランシーバを詳細に示すブロック図である。 (中略) 【0021】 分散アンテナシステム200は、基地局210とリモートトランシーバ220とを含んでいる。基地局210及びリモートトランシーバ220は各々、1つ以上のコンピュータシステムの1つ以上の部分を含み得る。特定の実施形態において、これらのコンピュータシステムのうちの1つ以上が、ここに記載あるいは図示する1つ以上の方法の1つ以上のステップを実行し得る。特定の実施形態において、1つ以上のコンピュータシステムが、ここに記載あるいは図示する機能を提供し得る。特定の実施形態において、1つ以上のコンピュータシステム上で起動される符号化ソフトウェアが、ここに記載あるいは図示する1つ以上の方法の1つ以上のステップを実行してもよいし、ここに記載あるいは図示する機能を提供してもよい。 【0022】 基地局210及びリモートトランシーバ220の構成要素は、如何なる好適な物理形態、構成、数、種類及び/又はレイアウトを有していてもよい。一例として、限定としてではなく、基地局210及び/又はリモートトランシーバ220は、組込型コンピュータシステム、システム・オン・チップ(SOC)、シングルボード・コンピュータシステム(SBC)(例えば、コンピュータ・オン・モジュール(COM)若しくはシステム・オン・モジュール(SOM)など)、デスクトップコンピュータシステム、ラップトップ型又はノート型のコンピュータシステム、対話式キオスク端末、メインフレーム、メッシュ状コンピュータシステム、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、サーバ、又はこれらの2つ以上の組み合わせを有し得る。必要に応じて、基地局210及び/又はリモートトランシーバ220は、単一あるいは分散型の;複数の位置にまたがる;複数の機械にまたがる;あるいはクラウド(1つ以上のネットワーク内に1つ以上のクラウド要素を含み得る)内の;1つ以上のコンピュータシステムを含んでいてもよい。(中略) 【0024】 図示した実施形態において、基地局210及びリモートトランシーバ220は各々、それぞれ、それ自身のプロセッサ211及び221、メモリ213及び223、ストレージ215及び225、インタフェース217及び227、及びバス212及び222を含んでいる。(中略) 【0025】 プロセッサ211(及び/又は221)は、単独で、あるいはその他の構成要素(例えば、メモリ213(及び/又は223))とともに、の何れかで無線ネットワーク機能を提供するよう動作可能な、マイクロプロセッサ、コントローラ、又はその他の好適な演算装置、リソースとし得る。プロセッサ211(及び/又は221)はまた、そのように動作可能な、ハードウェア、ソフトウェア及び/又は符号化ロジックとし得る。該機能は、ここで説明する様々な無線機能を提供することを含み得る。例えば、プロセッサ211は、各リモートトランシーバ220における各副搬送波にどのようにパワーを割り当てるかを決定し得る。少なくとも部分的にプロセッサ211(及び/又は221)によって提供される更なる例及び機能を、以下にて説明する。」 (4)「【0048】 特定の実施形態において、基地局210は、最大比合成(MRC)法を介してアップリンク容量を増大させ得る。これは、部分的に、各エンドポイントに割り当てられた副搬送波の受信信号パワーを決定することによって達成され得る。基地局210は更に、複数のリモートトランシーバ220の各々から送られた各I/Qサンプルを処理する際にMRCを用いてもよい。これは、複数のリモートトランシーバ220の複数の受信エンティティに関するアレイ利得を向上させ得る。」 (5)「【0066】 (中略) (付記7) ソフトウェアを格納したコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、前記ソフトウェアは、プロセッサによって実行されるときにプロセッサに: 基地局と複数のリモートトランシーバとの間に接続を構築させ、 前記複数のリモートトランシーバのうちの1つ以上を介して、複数のエンドポイントとの複数の無線接続を構築させ、 前記複数のリモートトランシーバの各々に関して、該リモートトランシーバが無線信号を受信することができるエンドポイントごとに信号品質インジケーションを決定させ、且つ 前記複数のリモートトランシーバの各々に関して決定された信号品質インジケーションに基づいて、前記複数のリモートトランシーバに関する電力分配を決定させ、該電力分配 は、各リモートトランシーバが無線通信を送信するときに各エンドポイントに対して使用すべき電力量を表す、 コンピュータ読み取り可能記憶媒体。 (中略) (付記11) 前記ソフトウェアは実行されたときにプロセッサに更に: 前記複数のリモートトランシーバの各々から、前記信号品質インジケーションを決定するために使用される同相/直交(I/Q)データを受信させ、且つ 前記I/Qデータに最大比合成(MRC)を適用して、前記複数のエンドポイントから送信されたコアデータを決定させる、 付記7乃至10の何れか一に記載のコンピュータ読み取り可能記憶媒体。 (後略)」 (6)「図1 」 (7)「図2 」 上記摘記事項の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 ア 上記摘記事項(1)、(2)、(6)によれば、「分散アンテナシステム」は、「基地局」と「複数のリモートトランシーバ」からなり、「エンドポイント」に対して「広い地理的領域に及ぶ無線カバレッジを提供する」ものといえる。 イ 上記摘記事項(3)の段落0022によれば、「基地局」の「物理形態」として、「サーバ」が例示されている。 そして、上記摘記事項(3)の段落0020、0021、0024、0025、上記摘記事項(7)によれば、「基地局」は「プロセッサ」を含み、当該「プロセッサ」は、引用例2で説明する「様々な無線機能を提供」するように「動作可能な、ハードウウェア、ソフトウェア及び/又は符号化ロジックとし得る」。 さらに、上記摘記事項(5)によれば、「基地局」は、「ソフトウェアは実行されたときにプロセッサに更に」、「複数のリモートトランシーバの各々から」受信した「I/Qデータに最大比合成(MRC)を適用」して、「エンドポイントから送信されたコアデータを決定」させるものであり、上記摘記事項(4)によれば、「複数のリモートトランシーバの各々から送られたI/Qサンプルを処理する際にMRCを用い」ることで、「複数のリモートトランシーバの複数の受信エンティティに関するアレイ利得を向上」させているといえる。 そうすると、「基地局」は、様々な無線機能をソフトウェアで実現する「ソフトウェア無線(SDR)」のソフトウェアによって構成されたサーバといえ、また、当該ソフトウエアが実行されたときにプロセッサによって提供される様々な無線機能の一つとして、複数のリモートトランシーバの各々から送られた各サンプルに最大比合成を適用して、エンドポイントから送信されたコアデータを決定するものといえる。 上記ア、イを総合すると、引用例2には、以下の技術(以下、「公知技術」という。)が記載されているものと認められる。 (公知技術) 「エンドポイントに対して広い地理的領域に及ぶ無線カバレッジを提供する分散アンテナシステムにおける、複数のリモートトランシーバの各々から送られた各サンプルに最大比合成を適用して、エンドポイントから送信されたコアデータを決定する処理を、ソフトウェア無線(SDR)ソフトウェアによって構成されたサーバ。」 第5 対比 1 引用発明の「半径数kmのセル内に遍在する無線端末」は、本願発明の「複数の地理的に分散した複数のノード」に相当し、そのうちの1つを「第1のノード」ということは任意である。そして、引用発明の、「マスタ」で「復調処理」が施される、「無線端末の1つ」から「送信された無線信号」は、本願発明の「第1ノードから無線送信されるデータの被変調信号」に相当する。 2 引用発明の「複数のリモートの各々」は、「無線端末の1つ」から「送信された無線信号」の一部を受信し、AD変換してデジタルデータに変換し、パケット化して、パケット網上に伝送する。また、引用発明の「マスタ」は、上記複数のリモートの各々からパケット化されたデジタルデータを受け取り、各リモートで同時にサンプリングしたデータで信号処理できるよう遅延処理を行うことにより、最大比合成の受信ダイバーシチを行う。 そうすると、引用発明の「パケット化されたデジタルデータ」は、最大比合成の受信ダイバーシチを行うための「サンプル」ということができ、引用発明の「複数のリモートの各々」は、前記「サンプル」をパケット網上に伝送させる「ゲートウェイ」といえ、「マスタ」は、前記「複数のリモートの各々」から「パケット化されたデジタルデータを受け取る」ので、本願発明の「サーバ」と引用発明の「マスタ」とは、いずれもゲートウェイの「後段装置」という点で共通する。 ここで、本願発明の「第1ノードから無線送信されるデータの被変調信号」は、「第1ノード」から無線送信され、自由空間を伝播し、各「ゲートウェイ」に至るものといえ、本願発明の各「ゲートウェイ」が受信する「第1ノードから無線送信されるデータの被変調信号」の「少なくとも一部」が、「全部」を含み得ないことは技術常識であるから、本願発明にいう「少なくとも一部」は、「一部」と実質的に同義であるといえる。 よって、引用発明の「半径数kmのセル内に遍在する無線端末の1つから送信された無線信号の一部を受信し、受信した無線信号をAD変換してデジタルデータに変換し、このデジタルデータをパケット化し、パケット網上に伝送させる、」「複数のリモートの各々」は、本願発明にいう「複数の地理的に分散した複数のノードのうち第1ノードから無線送信されるデータの被変調信号」の「少なくとも一部を受信する」「ゲートウェイ」であって、「アナログ・デジタル(A/D)変換を実行して前記被変調信号の前記少なくとも一部」の「サンプルを生成し」、該「サンプル」を「後段装置」に「送信する」「ゲートウェイ」に対応する。そして、引用発明の「複数のリモートの各々」を、それぞれ「第1ゲートウェイ」及び「第2ゲートウェイ」といい、各リモートが受信する無線信号の「少なくとも一部」を、それぞれ「第1の少なくとも一部」及び「第2の少なくとも一部」といい、各リモートから伝送される「サンプル」を、それぞれ「第1サンプル」及び「第2サンプル」ということは任意である。 3 引用発明の「マスタ」が「各リモートで同時にサンプリングしたデータで信号処理できるよう遅延処理を行うことにより最大比合成の受信ダイバーシチを行」うことは、本願発明にいう「前記第1ゲートウェイから受信した第1サンプルと前記第2ゲートウェイから受信した第2サンプルとを組み合わせて」、第1ノードから無線送信される「データの被変調信号を復元する」ことに対応し、引用発明の「マスタ」が「最大比合成の受信ダイバーシチを行った後に復調処理を行う」ことは、本願発明にいう「復元された前記被変調信号を復調して、前記データを復元する」ことに対応する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、「前記第1ゲートウェイから送信された前記第1サンプルと、前記第2ゲートウェイから送信された前記第2サンプルとをそれぞれ別個に受信する」「後段装置」を含み、前記「後段装置」が、「前記第1ゲートウェイから受信した第1サンプルと前記第2ゲートウェイから受信した第2サンプルとを組み合わせて、前記データの前記被変調信号を復元するとともに、復元された前記被変調信号を復調して、前記データを復元する」点で共通する。 4 引用発明の「広域に分布する無線端末を含む広域ユビキタスネットワークのための無線アクセスシステム」は、広域に分布する無線端末を対象とするものであるから、本願発明の「分散型無線通信ネットワークを提供するためのシステム」に対応する。 したがって、本願発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「 分散型無線通信ネットワークを提供するためのシステムであって、 複数の地理的に分散した複数のノードのうち第1ノードから無線送信されるデータの被変調信号の第1の少なくとも一部を受信する第1ゲートウェイであって、アナログ・デジタル(A/D)変換を実行して前記被変調信号の前記第1の少なくとも一部の第1サンプルを生成し、該第1サンプルを後段装置に送信する、第1ゲートウェイと、 前記第1ノードから無線送信される前記データの前記被変調信号の第2の少なくとも一部を受信する第2ゲートウェイであって、アナログ・デジタル(A/D)変換を実行して前記被変調信号の前記第2の少なくとも一部の第2サンプルを生成し、該第2サンプルを前記後段装置に送信する、第2ゲートウェイと、 前記第1ゲートウェイから送信された前記第1サンプルと、前記第2ゲートウェイから送信された前記第2サンプルとをそれぞれ別個に受信する前記後段装置とを含み、 前記後段装置が、前記第1ゲートウェイから受信した第1サンプルと前記第2ゲートウェイから受信した第2サンプルとを組み合わせて、前記データの前記被変調信号を復元するとともに、復元された前記被変調信号を復調して、前記データを復元する、システム。」 (相違点) 一致点とした、「第1ゲートウェイから受信した第1サンプルと第2ゲートウェイから受信した第2サンプルとを組み合わせて、第1ノードから無線送信されるデータの被変調信号を復元するとともに、復元された前記被変調信号を復調して、前記データを復元する」「後段装置」が、本願発明では、「ソフトウェア無線(SDR)ソフトウェアによって構成された」「サーバ」であるのに対し、引用発明では、そのような特定がない点。 第6 判断 上記相違点について検討する。 上記「第4」の「2.公知技術」のとおり、エンドポイントに対して広い地理的領域に及ぶ無線カバレッジを提供する分散アンテナシステム(「分散型無線通信ネットワークを提供するためのシステム」に相当)における、複数のリモートトランシーバの各々から送られた各サンプル(「第1ゲートウェイから受信した第1サンプルと第2ゲートウェイから受信した第2サンプルと」に相当)に最大比合成を適用して、エンドポイントから送信されたコアデータを決定する(「第1ノードから無線送信されるデータを復元する」に相当)処理を、ソフトウェア無線(SDR)ソフトウェアによって構成されたサーバによって実行する技術は、公知技術である。 そして、無線基地局の機能を、専用の機器、もしくは、ソフトウェアを実行するコンピュータ製品といった種々の機器、構成のうち、何をどのように用いて実現するかは、当業者が適宜選択し得ることであるから、引用発明に上記公知技術を適用して、引用発明の「マスタ」を、「ソフトウェア無線(SDR)ソフトウェアによって構成された」「サーバ」とすることは、当業者が容易に想到し得る。 そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び公知技術から想定できる程度のものにすぎず、格別なものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、引用発明及び公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-014032

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  • 2022-013498拒絶査定不服審判 / 2023-06-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)PUCCH伝送方法、端末およびネットワーク側機器
    共通の審決分類: 121・H04J

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