特許無効審判
2014-800049
細隙ノズル組立体により空気を吹き込むための装置
- 審判番号
- 2014-800049
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2013-511526外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2014年03月31日
- 審決日
- 2016年02月03日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P1113.121-ZDA(F04F) / P1113.54 -ZDA(F04F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項2号特許法123条1項5号特許法135条特許法169条2項特許法184条の18民事訴訟法64条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第29条第2項、特許法第184条の18、特許法第123条第1項第5号、特許法第36条第6項第1号、特許法第123条第1項第2号、特許法第184条の4第1項、特許法第135条、特許法第134条の2第6項、特許法第123条第1項第4号、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
上記当事者間の特許第5442166号発明「細隙ノズル組立体により空気を吹き込むための装置」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5442166号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第5442166号の請求項1,3ないし14,18ないし20,23ないし25に係る発明についての特許を無効とする。
特許第5442166号の請求項2に係る発明についての審判請求は,成り立たない。
審判費用は,その20分の1を請求人の負担とし,20分の19を被請求人の負担とする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5442166号(以下,「本件特許」という。)は,2011年(平成23年)5月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年5月27日,中国 2010年6月12日,中国 2010年9月7日,中国 2010年9月20日,中国)を国際出願日とする特許出願(以下,「本件出願」という。)であって,平成25年12月27日に特許権の設定登録(請求項の数25)がなされたものである。
そして,その後の手続の経緯の概要は,以下のとおりである。
平成26年 3月28日付け 審判請求書の提出(請求人)
平成26年 5月 2日付け 補正書(審判請求書に係る)の提出
(請求人)
平成26年 8月25日付け 審判事件答弁書,訂正請求書の提出
(被請求人)
平成26年12月24日付け 回答書の提出(被請求人)
平成27年 2月26日付け 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成27年 3月12日付け 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成27年 3月26日 第1回口頭審理
平成27年 3月26日付け 口頭審理陳述要領書(2)の提出
(被請求人)
平成27年 3月27日付け 口頭審理陳述要領書の補足の提出
(請求人)
平成27年 4月17日付け 上申書(陳述内容の補足)の提出
(請求人)
平成27年 4月17日付け 上申書の提出(請求人)
平成27年 4月17日付け 上申書の提出(被請求人)
平成27年 6月19日 審決の予告
平成27年 9月24日付け 訂正請求書の提出(被請求人)
平成27年11月26日付け 審判事件弁駁書の提出(請求人)
なお,特許第5442166号の明細書を,以下「特許明細書」ということとする。
第2 訂正請求について
1 本件訂正請求
被請求人は,平成27年9月24日付け(受付日:9月25日)の訂正請求書を提出し特許明細書及び特許請求の範囲について訂正することを請求した(以下,「本件訂正請求」という。)。
本件訂正請求の内容は次のとおりである(下線部が訂正部分である。)。
なお,平成26年8月25日付け(受付日:8月26日)の訂正請求は,特許法第134条の2第6項の規定により取り下げられたものとみなす。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の,「回転可能である、」の記載を,「回転可能であり、前記ノズル組立体は、前記基部台座の周囲で横になるように回転されたとき、前記基部台座内の前記インペラ及び前記電気モータの周囲を取り囲むように配置される、」と訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の記載を,請求項1の記載を引用しない記載に訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の独立形式に訂正された請求項2において,「空気を吹き込むための細隙形状の開口」の記載を,「空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口」と訂正する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2において,「前記基部台座上に回転可能に固定される、」の記載を,「前記基部台座上に回転可能に固定され、前記インペラ及び前記電気モータの回転軸は、前記基部台座の載置面に対して平行且つ前後方向に配置され、前記ノズル組立体の前記取り入れ端部は、前記基部台座の前部に位置する、」と訂正する。
(5) 訂正事項5
請求項15を削除する。
(6) 訂正事項6
請求項16を削除する。
(7) 訂正事項7
請求項17を削除する。
(8) 訂正事項8
請求項21を削除する。
(9) 訂正事項9
請求項22を削除する。
2 本件訂正請求についての被請求人の主張の概要
(1) 訂正事項1は,請求項1において,ノズル組立体が基部台座の周囲で横になるように回転されたときに,基部台座内のインペラ及び電気モータの周囲を取り囲むように配置されることを限定することにより,特許請求の範囲の限縮を図るものであり,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「願書に添付した明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であって,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合し,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2は,請求項2の記載を,請求項1の記載を引用しない記載に訂正することにより,他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであって,特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合し,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項3は,請求項2において,特許請求の範囲の限縮を図るものであり,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合し,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(4) 訂正事項4は,請求項2において,特許請求の範囲の限縮を図るものであり,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合し,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
(5) 訂正事項5ないし9は,それぞれ請求項を削除するものであるから,全ての訂正要件に適合する。
3 本件訂正請求の適否について
(1) 訂正事項1
訂正事項1は,請求項1において,特許請求の範囲の限縮を図るものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項1は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項1は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項1は,訂正要件を充足する。
(2) 訂正事項2
訂正事項2は,請求項2の記載を,請求項1の記載を引用しない記載に訂正することにより,他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして,訂正事項2は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項2は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項2は,訂正要件を充足する。
(3) 訂正事項3
訂正事項3は,請求項2において,特許請求の範囲の限縮を図るものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項3は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項3は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項3は,訂正要件を充足する。
(4) 訂正事項4
訂正事項4は,請求項2において,特許請求の範囲の限縮を図るものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項4は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項4は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項4は,訂正要件を充足する。
(5) 訂正事項5
訂正事項5は,請求項15を削除するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項5は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項5は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項5は,訂正要件を充足する。
(6) 訂正事項6
訂正事項6は,請求項16を削除するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項6は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項6は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項6は,訂正要件を充足する。
(7) 訂正事項7
訂正事項7は,請求項17を削除するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項7は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項7は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項7は,訂正要件を充足する。
(8) 訂正事項8
訂正事項8は,請求項21を削除するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項8は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項8は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項8は,訂正要件を充足する。
(9) 訂正事項9
訂正事項9は,請求項22を削除するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,訂正事項9は,願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。また,訂正事項9は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないから,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
よって,訂正事項9は,訂正要件を充足する。
4 まとめ
したがって,本件訂正請求は,特許法第134条の2第1項ただし書き,及び同条第9項において準用する同法第126条第5項,第6項の規定に適合するので,適法なものと認める。
第3 本件特許発明
本件特許に係る発明は,訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし14,18ないし20,23ないし25に記載された次のとおりのものである(以下,「本件特許発明1」ないし「本件特許発明14」,「本件特許発明18」ないし「本件特許発明20」,「本件特許発明23」ないし「本件特許発明25」という。また,それらを総合して「本件特許発明」という。なお,請求項15ないし17,21及び22項は削除され,すでに述べたようにかかる訂正は認められる。)。
【請求項1】
ノズル組立体により空気を吹き込むための装置であって、
気流を発生させて空気流を供給するための基部台座と、
前記基部台座によって支持されたノズル組立体と、
を備え、
前記ノズル組立体は、空気を吹き込むための細隙形状の開口を備え、
空気流通路が、前記基部台座と前記ノズル組立体との間に結合され、前記空気流通路の取り入れ端部が、前記基部台座の外面上に開放され、前記空気流通路の出力端部が、ピボット構成要素により前記ノズル組立体に結合され、
前記ノズル組立体の取り入れ端部が、前記ピボット構成要素により前記基部台座の出力端部に結合され、
インペラ及び該インペラを回転させるための電気モータが、前記基部台座内に設けられ、前記ノズル組立体は、前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され、これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であり、
前記ノズル組立体は、前記基部台座の周囲で横になるように回転されたとき、前記基部台座内の前記インペラ及び前記電気モータの周囲を取り囲むように配置される、
空気を吹き込むための装置。
【請求項2】
ノズル組立体により空気を吹き込むための装置であって、
気流を発生させて空気流を供給するための基部台座と、
前記基部台座によって支持されたノズル組立体と、
を備え、
前記ノズル組立体は、空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口を備え、
空気流通路が、前記基部台座と前記ノズル組立体との間に結合され、前記空気流通路の取り入れ端部が、前記基部台座の外面上に開放され、前記空気流通路の出力端部が、ピボット構成要素により前記ノズル組立体に結合され、
前記ノズル組立体の取り入れ端部が、前記ピボット構成要素により前記基部台座の出力端部に結合され、
インペラ及び該インペラを回転させるための電気モータが、前記基部台座内に設けられ、前記ノズル組立体は、前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され、これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であり、
前記ノズル組立体は、任意の方向で前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され、
前記インペラ及び前記電気モータの回転軸は、前記基部台座の載置面に対して平行且つ前後方向に配置され、
前記ノズル組立体の前記取り入れ端部は、前記基部台座の前部に位置する、
空気を吹き込むための装置。
【請求項3】
前記ノズル組立体は、0°-360°の仰角で前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定される、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項4】
空気フィルタ組立体が、前記基部台座の表面上の空気流通路の取り入れ端部の開口部に配置される、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項5】
前記インペラ及び前記電気モータは、前記基部台座内のケーシングに同軸に収容され、気流を発生させるための空気供給組立体を構成し、空気フィルタ組立体が、前記ケーシング上の空気流通路の取り入れ端部の開口部に設置される、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項6】
前記空気フィルタ組立体は、前記空気流通路の各々の取り入れ端部の開口部に着脱可能に設置される、請求項4又は請求項5に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項7】
空気フィルタ組立体は、前記基部台座の表面上の空気流通路の取り入れ端部の開口部と前記空気供給組立体のケーシングとの間に設けられる、請求項5に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項8】
前記空気フィルタ組立体は、メッシュフィルタ、フィルタ積層体、又は該フィルタ積層体に基づくフィルタカートリッジである、請求項4から請求項7の何れかに記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項9】
増速伝達機構が、前記基部台座において前記インペラを回転させるための電気モータの出力軸に取り付けられ、プーリ駆動部及び歯車対伝達機構を含む、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項10】
前記ノズル組立体は、円形又は長円形リングのような全体形状に成形され、前記組立体の内側キャビティにおいて前記気流を受け入れるための整流リングと、外側リングの周囲又は長円形の周囲に配置され空気を吹き込むための細隙形状ノズルとを含む、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項11】
前記整流リングは、次第に狭くなる先細区域を含み、前記空気を吹き込むための細隙形状ノズルは、前記先細区域の先端に位置する、請求項10に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項12】
空気を吹き込むための前記細隙形状ノズルの幅を定める2つの対向面の間の距離は、0.2mm-15.0mmであり、前記ノズルの空気供給部品の空気吹き込み方向と前記整流リングの中心軸線との間に形成される角度は、0.2°-20.0°であり、前記空気吹き込み方向の前記空気供給部品の長さは、0.2mm-30.0mmである、請求項11に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項13】
前記空気を吹き込むための細隙形状ノズルの幅を定める2つの対向面は、前記ノズルに沿って延びる少なくとも1つの仕切り板によって分離され、該仕切り板は、固定部材によって前記2つの対向面に結合されて、前記ノズルに沿って延びる複数列の空気供給出口を形成し、空気供給出口の2つの隣接する列は、整列して又は千鳥配列で配置され、各空気供給出口は、各空気供給出口を定める対向面を含み、各ペアの対向面の間の距離の合計は、0.2mm-15mmであり、前記ノズルの空気供給部品の空気吹き込み方向と前記整流リングの中心軸線との間に形成される角度は、0.2°-20.0°であり、前記空気吹き込み方向の空気供給部品の長さは、0.2mm-30.0mmである、請求項11に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項14】
前記ピボット構成要素は、前記基部台座内に取り付けられるT字形中空パイプを含み、前記T字形中空パイプの水平パイプの2つの端部は、前記ノズル組立体の取り入れ端部と連通状態にあり、前記T字形中空パイプの垂直パイプは、前記基部台座の前記出口端部と連通状態にあり、前記水平パイプの前記2つの端部は、前記水平パイプの周りで回転可能なフランジにはめ込まれ、前記フランジ及び前記ノズル組立体は、前記ノズル組立体及び前記フランジが前記水平パイプの周りを共に回転するように一緒に固定される、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項15】(削除)
【請求項16】(削除)
【請求項17】(削除)
【請求項18】
前記ピボット構成要素は、前記ノズル組立体の滑らかな回転を可能にする組立体に結合され、前記基部台座の前記ケーシングに固定されるバネ及び該バネ上に配置されるローラーボールを含み、円形鋸歯状結合部分が、前記各フランジの外周上に配置され、前記各ローラーボールは、各鋸歯状結合部分の凹形部分に支えられ、結果的に前記水平パイプの周りで前記ノズル組立体の滑らかな回転が可能になる、請求項14に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項19】
前記ピボット構成要素は、前記ノズル組立体の滑らかな回転を可能にするプラスチック部品と結合され、突起部が、前記フランジの円形鋸歯状結合部分に対応する前記プラスチック部品に配置され、前記突起部は、前記鋸歯状結合部分の各凹形部分に支えられ、結果的に前記水平パイプの周りで前記ノズル組立体の滑らかな回転が可能になる、請求項14に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項20】
前記ノズル組立体のピッチ回転を制御するための第2の電気モータ、及び前記第2の電気モータの出力軸に結合される少なくとも1つの駆動ホイールが、前記基部台座内のケーシングに設けられ、駆動ホイールの前記ピボット構成要素との係合により、前記ノズル組立体が滑らかに回転する、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項21】(削除)
【請求項22】(削除)
【請求項23】
前記ノズル組立体を前記水平方向に回転させて方位角を調節するために前記基部台座内に配置される旋回モータを更に含み、前記旋回モータは、伝達アームに結合され、それにより前記伝達アームに結合される回転軸を回転させ、結果的に、前記ノズル組立体を固定する前記基部台座の上部と一緒にノズル組立体を水平平面上で回転させる、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項24】
前記基部台座は、所定位置に空気を吹き込むための装置を固定するための連結部材を備える、請求項1に記載の空気を吹き込むための装置。
【請求項25】
前記基部台座のハウジングが、所定位置に空気を吹き込むための装置を固定するための固定部品を備える、請求項23に記載の空気を吹き込むための装置。
第4 無効理由についての当事者の主張
1 請求人の主張の概要
1-1 審判請求書における無効理由
請求人は,審判請求書とともに甲第1ないし14号証(写し)を証拠方法として提出した。
請求人は,審判請求書において,本件特許に係る無効理由1(進歩性欠如1:特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。),無効理由2(進歩性欠如2:特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は特許法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。),無効理由3(原文新規事項の追加:願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項が,特許法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないものであるから,その特許は特許法第184条の18において読み替えて準用する特許法第123条第1項第5号に該当し,無効とすべきである。),無効理由4(サポート要件違反:本件出願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから,その特許は特許法第123条第1項第4号に該当し,無効とすべきである。)を主張した。
各無効理由の内容は概略以下のとおり。
(無効理由1)
(1) 請求項1,2,3,10,11,12及び13に係る特許発明は,甲第1号証に基き進歩性を欠如している。
(2) 請求項4ないし8に係る特許発明は,甲第1号証及び甲第2号証に基き進歩性を欠如している。
(3) 請求項9,14ないし25に係る特許発明は,甲第1号証及び周知技術に基き進歩性を欠如している。
(無効理由2)
本件出願の優先権主張は無効であるから,
(1) 請求項1,2,3,10,11,12及び13に係る特許発明は,甲第4号証及び甲第1号証に基き進歩性を欠如している。
(2) 請求項4ないし8に係る特許発明は,甲第4号証,甲第1号証及び甲第2号証に基き進歩性を欠如している。
(3) 請求項9,14ないし25に係る特許発明は,甲第4号証,甲第1号証及び周知技術に基き進歩性を欠如している。
(無効理由3)
「ピボット構成要素」は原文「枢軸部件(「軸」は簡体字)」の翻訳であることろ,「枢軸部材(「軸」は簡体字)」の翻訳は「ピボット部材」が正しいから,原文新規事項に該当する。
(無効理由4)
請求項21及び請求項22で特定する実施形態に関し,請求項1を引用していることと併せた態様は特許明細書に開示がないから,特許法第36条第6項第1号に違反する。
1-2 平成27年2月26日付け口頭審理陳述要領書における無効理由の補足
請求人は,平成27年2月26日付け口頭審理陳述要領書とともに甲第15ないし24号証(写し)を証拠方法として提出し,審判請求書に記載した無効理由1及び無効理由3に関し,概ね以下の補足を述べた。
(1) 無効理由1について
・本件特許発明1について,甲第1号証中の「俯仰角」とは水平を基準とした上下方向の角度である。つまり,甲第1号証には,吐風環13が水平方向(真横)から上方向または下方向に角度を調整することができるように回動可能に基台1に支持されていることが開示されている。また,甲第1号証の扇風機のハウジングは,基台1及びネツクヒース10により構成されているから,「基台1及びネツクピース10」が,本件特許発明1の「基部台座」に相当し,「ネツクピース10」は「基部台座(ハウジング)」の一部に相当し,ピボット(旋回軸)構成要素を成すものでもある。
・本件特許発明3について,甲第1号証の吐風環13の径を大きくすることは,甲第1号証の図3に示すように吐風環13の形状を四角形の環状を成すものに変更することと同レベルの変更であり,発明の要旨を逸脱しない範囲内での変更であるから,当業者が,甲第1号証に記載された吐風環13を,仰角が0°-360°となるように形成することに特に困難性はない。
・本件特許発明4,5及び7について,フィルタは空気流から汚染物質等を除去するために用いられる部材であるから,扇風機の吸気部分(羽根と吸気口の間)にフィルタを設置することは,当業者であれば,当然に行うべきものである。
・本件特許発明6について,フィルタは所定期間使用後に交換することが前提となる部材であるから,フィルタを着脱可能に設置することは,当業者であれば,当然に行うべきものであるし,甲第15号証には,扇風機のフィルタを脱着部材により着脱可能に取り付けること,及び,脱着部材として面ファスナーテープを用いても良いことが記載されている。
・本件特許発明9について,相対的に径の大きいプーリを駆動軸に取り付け,相対的に径の小さいプーリを従動軸に取り付け,2つのプーリにベルトを巻き掛ければ、駆動軸の回転を従動軸に増速して伝達することができることは,当業者にとって常識であり,周知技術であり,甲第16号証,甲第17号証等,先行文献も多数存在する。
・本件特許発明11について,ノズルは先端の細孔から流体を噴出するための部材であるから,ノズル部分に,次第に狭くなる先細区域を設けることは,当業者であれば,当然に行うべきものであり,甲第18号証(甲第19号証)には,先端部の環状出口(annular outlet)17’に向かって次第に狭くなる先細区域を含むノズル13が記載されている。
・本件特許発明12及び13について,甲第1号証に記載された発明に基いて,甲第18号証を考慮して設計変更及び数値範囲の最適化により当業者が容易に発明することができたものである。
・本件特許発明18及び19について,コイルバネの付勢によりボールを波状面(鋸歯状面)の凹み部に押し当てて係合させることにより,可動体を所定の位置に停止させる機構は,周知なものであり,甲第20号証,甲第21号証等,先行文献も多数存在する。
・本件特許発明20について,モータの出力軸に駆動ホイール(歯車)を取り付け,出力軸の回転を伝達することは,周知技術であり,甲第17号証等,先行文献も多数存在する。
・本件特許発明23について,電気モータ及び伝達アームを設置することは周知技術であり,甲第4号証(甲第5号証)には,羽根なし扇風機が,基部台座1内に配置されるステッピングモータ(旋回モータ)11を含み,ステッピングモータ11は,歯車部材12に結合され,それにより歯車部材12に結合されるカバー14を回転軸を中心に回転させる構成が開示されている。
・本件特許発明24及び25について,扇風機を連結部材(固定部材)により壁に取り付けることは周知技術であり,甲第22号証等,先行文献も多数存在する。
(2) 無効理由3について
中国語原語における「部件」の第1の意味は,「組み立て部品(コンポーネント)」である。また,本件の明細書等では,ノズル組立体が基部台座の周囲で横になる場合の「ピボット構成要素」として,「T宇型中空パイプとフランジを含む構成」のみが記載されていることから,「構成要素」は,「部件」の本来の意味である「組み立て部品」や「部品」の意味で用いられている。したがって,中国語の「部件」の日本語訳の「構成要素」は,本件においては実際の物としての「組み立て部品」や「部品」の意味に限定されるものであるが,「機能」的なものの意味を含む。
よって,本件特許発明は,原文新規事項の追加により特許を受けることができない。
1-3 平成27年3月27日付け口頭審理陳述要領書の補足における無効理由の補足
請求人は,平成27年3月27日付け口頭審理陳述要領書の補足とともに甲第25ないし27号証(写し)を証拠方法として提出し,審判請求書に記載した無効理由1に関し,概ね以下の補足を述べた。
・本件特許発明1について,甲第1号証中の「俯仰角」とは「俯角と仰角」のことであることは,言わば当業者の常識であり,「俯角(伏角)」とは「水平を基準とした下向きの角度」であり,「仰角」とは「水平を基準とした上向きの角度」である。
1-4 平成27年4月17日付け上申書における無効理由の補足
請求人は,平成27年4月17日付け上申書(陳述内容の補足)を提出し,審判請求書に記載した無効理由1に関し,概ね以下の補足を述べた。
・甲第1号証のネツクピース10について,吐風環13の両端部との結合部分でピボット(旋回軸)を構成する点で,本件特許発明1のピボット構成要素の一部に相当し,T字型の内部断面を有する点で,本件特許発明14のT字形中空パイプに相当し,さらに,扇風機の外殻部分の一部である点で,本件特許発明1及び本件特許発明23の基部台座の一部にも相当する。
1-5 平成27年11月26日付け審判事件弁駁書における無効理由の補足
請求人は,平成27年11月26日付け審判事件弁駁書を提出し,審判請求書に記載した無効理由1に関し,概ね以下の補足を述べた。
・訂正後の請求項1に係る発明は,甲第1号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
・訂正後の請求項2に係る発明は,「前方」,「前後方向」,「前部」及び「基部台座の載置面」は必ずしも明確ではないものの,甲第1号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
<証拠方法>
甲第1号証:特開昭56-167897号公報
甲第2号証:国際公開第2010/046691号
甲第3号証:特表2012-506515号公報
甲第4号証:中国実用新案第201568346号明細書
甲第5号証:請求人作成甲第4号証の翻訳文
甲第6号証:特許第5442166号公報
甲第7号証:国際公開第2011/147318号
甲第8号証:請求人作成甲第7号証の翻訳文
甲第9号証:中国実用新案第201739198号明細書
甲第10号証:請求人作成甲第9号証の翻訳文
甲第11号証:中国実用新案第201739199号明細書
甲第12号証:請求人作成甲第11号証の翻訳文
甲第13号証:中国実用新案第201771875号明細書
甲第14号証:中国実用新案第201786778号明細書
甲第15号証:特開2008-63948号公報
甲第16号証:特開平5-99290号公報
甲第17号証:特開平9-326163号公報
甲第18号証:米国特許第2488467号明細書
甲第19号証:請求人作成甲第18号証の翻訳文
甲第20号証:特開2000-148371号公報
甲第21号証:特開2004-36779号公報
甲第22号証:特開2008-128026号公報
甲第23号証:「新華詞典(簡体字)」,商務印書館,p.87
甲第24号証:請求人作成甲第23号証の翻訳文
甲第25号証:J-PlatPat特許情報プラットフォーム「特許・実用新案テキスト検索 検索結果」
甲第26号証:特開平7-151094号公報
甲第27号証:新村出編,「広辞苑」,第五版,株式会社岩波書店,1998年11月11日,p.2297
2 被請求人の主張の概要
被請求人は,平成26年8月25日付けの答弁書とともに乙第1ないし3号証(写し)を証拠方法として提出し,平成27年3月12日付け口頭審理陳述要領書とともに乙第4ないし9号証(写し)を証拠方法として提出し,平成27年3月26日付け口頭審理陳述要領書(2)とともに乙第10ないし13号証(写し)を証拠方法として提出した。
そして,平成27年4月17日付けの上申書を提出した。
さらに,平成27年9月24日付けの訂正請求書を提出した。
(1) 本件特許発明1の進歩性についての主張の概要
ア 答弁書における主張の概要
・甲第1号証に記載の発明は,少なくとも,本件特許発明1の「前記ノズル組立体は、前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され、これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で、横になるように該基部台座に対して回転可能である」という構成を有していない。甲第1号証の「ネツクピース10」は本件特許発明1の「基部台座」に相当しない。
・仮に,甲第1号証において,吐風環13を横にすることができたとしても,吐風環13は,横方向に突出するので,占有空間を節約するという作用効果を奏しない。
・仮に本件特許発明1の特許性を現実の出願日である平成23年5月25日を基準にして判断するものとし,仮に,甲第4号証が先行技術文献として認められるとしても,甲第4号証に記載の羽根なし扇風機では,送風口格子部材19を横方向になる位置まで回転させても,送風口格子部材19が基部台座の周囲で横にはならない。
イ 平成27年3月12日付け口頭審理陳述要領書における主張の概要
・「俯仰角」は「俯角」「仰角」なる技術的意味を有しておらず,「俯仰」は「下を向くことと上をあおぐこと」を意味するから,甲第1号証の「吐風環13は・・・基台1に俯仰角調整可能に・・・支持された」という記載は,吐風環13は・・・基台1に下に向けたり上に向けたりするように角度調整可能に支持されている,ことを意味するものである。
・甲第1号証の出願時である昭和55年頃において,使用者に風が向かないほど,扇風機の送風部(送風用羽根を有する部分)を,例えば,天井や床に向けることは,乙第5ないし7号証において送風部を天井に向けたり床に向けたりできるとは記載されていないように,一般的に行われていなかった。
・甲第1号証に記載の発明においては,基台1が本件特許発明1の「基部台座」に相当し,ネツクピース10は「ピボット構成要素」の一部を構成する。
ウ 平成27年3月26日付け口頭審理陳述要領書(2)における主張の概要
・現在の時点で販売している扇風機を参照すると,乙第11号証の扇風機の送風の上下角度調整(俯仰角度)は,上方向が20°,下方向が15°とされており,乙第12号証の扇風機では使用時の送風の上下角度調整は,上方向が20°,下方向が16°とされており,昭和55年頃もそれ以降も大きな変更はないと考えるから,甲第1号証の記載に接した当業者は,甲第1号証の扇風機の送風部の上下方向の角度調整可能範囲は,例えば,上方向に約20°,下方向に約16°程度と考えるし,それ以上,送風の角度調整可能とは考えない。
エ 平成27年4月17日付け上申書における主張の概要
・甲第1号証には,吐風環13が垂直位置にある状態を第1図に基本の位置として示されており,明細書においても第1図を参照しつつ,「俯仰角調整可能」と説明しているから,「俯仰角」,すなわち,吐風環13を下に向けたり,上を仰ぐように角度調整する基準は,甲第1号証の第1図に示された垂直位置であるといえる。
オ 平成27年9月24日付け訂正請求書における主張の概要
・甲第1号証には,占有空間の節約を図るための具体的手段の開示や示唆がなく,その他公知の文献を参照しても,ノズル組立体を基部台座の周囲で横になるように回転させることによって占有空間の節約を図るという技術的思想を開示するものではないから,仮に甲第1号証に記載の扇風機において占有空間の節約を図ろうと考えたとしても,そのために扇風機の吐風環13を横になるように回転させようとは到底思わない。また,甲第1号証に記載の扇風機は,仮に吐風環13を横になるように回転させたとしても,空気を吹き込むための装置の未使用時に,大きな占有空間を必要とするインペラ及び電気モータを収容する基部台座の周囲を取り囲むようにノズル組立体を配置することで,全体をフラットな状態にして占有空間を節約することができるという作用効果を奏するものではない。
(2) 本件特許発明2の進歩性についての主張の概要
・「固定」は「ノズル組立体は、・・・基部台座上に・・・固定される」ことを意味するのであって,その固定の態様は「回転可能に」であることを規定しており,請求項2が追加で要件としているのは,ノズル組立体が「任意の方向で」基部台座上に回転可能に固定されることである。つまり,ノズル組立体の回転の「固定」は誤解であって,任意の方向まで回転させ,その位置で固定させることができることではない。(平成27年3月12日付け口頭審理陳述要領書14ページ下から11行~15ページ16行)
・本件特許発明1の進歩性についての主張に加え,甲第1号証に記載の扇風機において,モータ2及び送風羽根5の回転軸は,基台1の載置面に対して垂直方向に配置され,吐風環13の取り入れ端部は,ネックピース10を介して基台1の上方に位置しているから,基部台座の高さを低くすることができるという作用効果を奏しないし,仮に吐風環13を横になるように回転させたとしても,ノズル組立体が基部台座の前側から後側にわたって周囲を取り囲む形とはならないから,全体をフラットな状態にして占有空間を節約することができるという作用効果を奏しない。(平成27年9月24日付け訂正請求書16ページ下から17~2行)
(3) 本件特許発明3ないし14,18ないし20,23ないし25の進歩性についての主張の概要
・本件特許発明3ないし14,18ないし20,23ないし25について,甲第1号証には,これらに係る請求項に特定する事項はいずれも開示されていない。
・本件特許発明9,11,13ないし20,23ないし25について,甲第4号証には,これらに係る請求項に特定する事項はいずれも開示されていない。
・本件特許発明3について,甲第1号証の第1図の吐風環13は,下方まで回動させた場合,基台1に当たってしまい,0°-360°の角度にわたって回動させることができない。
・本件特許発明4,5及び7について,甲第2(3)号証に示されたフィルタ26を,甲第1号証の基台1の底面に形成された吸気口8を覆うために適用することは困難であり,甲第1号証に記載の扇風機の吸気ロ8に甲第2号証に記載のフィルタ26を容易に取り付けることはできない。
・本件特許発明6について,甲第2(3)号証に記載のフィルタ26は,空気流通路の各々の取り入れ端部の開口部に着脱可能に設置されていない。
・本件特許発明8について,甲第2(3)号証には,少なくとも前記空気フィルタ組立体は,フィルタ積層体,又は該フィルタ積層体に基づくフィルタカートリッジである構成は開示されていない。
・本件特許発明9について,甲第16号証及び甲第17号証の文献は,本件特許発明9とは分野が全く異なるものであって,請求項9の構成は,ノズル組立体により空気を吹き込むための装置の分野において周知技術であったとはいえない。
・本件特許発明11について,甲第1号証の吐風環13を,次第に細くなる先細区域を含むように形成する改変は,多大な設計変更を伴うものであり,当業者は新たな発明行為なくしてそのような構造を到底考えられない。甲第18(19)号証に記載のノズル13は,扁平の涙型の断面形状となっているため,ノズル13の両端部をネツクピース10に対して回動可能となるようにネツクピース10の吐気口12に嵌着することは困難であり,甲第18(19)号証に記載のノズル13を甲第1号証に記載の扇風機に容易に適用することができたとは考えられない。
・本件特許発明18について,甲第20号証及び甲第21号証の文献は,本件特許発明18とは分野が全く異なるものであって,請求項18の構成は,ノズル組立体により空気を吹き込むための装置の分野において周知技術であったとはいえない。
・本件特許発明19について,甲第20号証及び甲第21号証には,本件特許発明19の構成が開示されておらず周知技術であったとはいえない。
・本件特許発明20について,甲第17号証の文献は,本件特許発明20とは分野が全く異なるものであって,請求項20の構成は,ノズル組立体により空気を吹き込むための装置の分野において周知技術であったとはいえないし,甲第17号証のみをもってそこに開示された技術が周知技術であるとはいえない。
・本件特許発明23について,甲第4(5)号証には,ステッピングモータ11及び歯車部材12を有する構造が記載されているが,「伝達アーム」に相当する構成が開示されていないから,請求項23に記載の「前記旋回モータは、伝達アームに結合され、それにより前記伝達アームに結合される回転軸を回転させ」る構成が開示されていない。
・本件特許発明24及び25について,甲第22号証のみをもってそこに開示された技術が周知技術であるとはいえない。
(3) 無効理由3について
原文の中国語の用語である「枢軸部件」の「部件」が日本語訳で「構成要素」の意味を有することも,乙第3号証の辞書に記載されているとおりであるから,この中国語の用語の日本語訳は正しい。
(4) 無効理由4について
訂正請求書により,請求項21及び22を削除し,請求項21及び22に係る発明は存在しないから,無効理由4も存在しない。
<証拠方法>
乙第1号証:新村出編,「広辞苑」,第四版,株式会社岩波書店,1991年11月15日,p.1207
乙第2号証:インターネット検索結果印刷物[weblio日中・中日「枢軸(軸は簡体字)」のウェブページ]
乙第3号証:インターネット検索結果印刷物[weblio日中・中日「部件」のウェブページ]
乙第4号証:新村出編,「広辞苑」,第六版,株式会社岩波書店,2008年1月11日,p.2435
乙第5号証:実願昭53-132480号(実開昭55-49045号)のマイクロフィルム
乙第6号証:実願昭53-138671号(実開昭55-54588号)のマイクロフィルム
乙第7号証:実願昭53-93313号(実開昭55-9884号)のマイクロフィルム
乙第8号証:小川伸著,「プラスチック工業辞典」,4版,株式会社工業調査会,1985年6月10日,p.357
乙第9号証:マグローヒル科学技術用語大辞典編集委員会編,「マグローヒル 科学技術用語大辞典 第3版」,第3版,株式会社日刊工業新聞社,1996年,9月30日,p.1539
乙第10号証:インターネット検索結果印刷物[「パナソニックエコシステムズ株式会社」の「歴史博物館」のウェブページ]
乙第11号証:インターネット検索結果印刷物[「パナソニック株式会社」の「スタンド扇F-KD401P」のウェブページ]
乙第12号証:インターネット検索結果印刷物[「株式会社東芝」の「F-DLS1000機能一覧」のウェブページ]
乙第13号証:インターネット検索結果印刷物[「Wikipedia」の「パナソニックエコシステムズ株式会社」のウェブページ]
第5 当審の判断
1 提出された証拠方法について
1-1 甲第1号証の記載事項並びに甲1発明及び甲1発明2
本件出願の優先日前に頒布された甲第1号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「2 特許請求の範囲
1 送風羽根及びこれを駆動するモータを収めた基台と、この基台に支持され該基台から前記送風羽根が起こす風を受ける中空状を成して該部からその風を吐出せしめる環状スリットを有する吐風環とを具備してなる扇風機。
2 吐風環が基台に俯仰角調整可能に支持されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の扇風機。
3 吐風環が基台に首振調整可能に支持されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の扇風機。」(1頁左下欄3~14行)
・「本発明は専ら安全性の向上を図った扇風機に関する。
従来、扇風機は、基本的に、基台及び該基台によつてその上方に支持されたモータ部並びにそのモータ部により回転駆動される送風羽根により構成されており、そしてその送風羽根は、回転中に子供等が触れたりせぬようガードによつて覆われている。しかしながら、扇風機としての機能上、その送風羽根を送風に支障を生じるほど完全に覆い切ることもできず、従つて子供等が手を入れる危険性は依然として残り、安全性の点では未だ完全とは言えない問題点があった。又、重量あるモータ部が基台の上方部にある為全体の安定性が悪く、而してその安定性を良くするためだけならば基台をたゞ大きくすれば良いが、それでは体裁が損われ、よつてそれらの折合から設計が困難になる欠点もあつた。
本発明は、上述の如き事情に鑑みてなされたものであり、従つてその目的は、安全性の向上を基本として、更に安定性の向上、又、設計の容易化等を充分に図り得る扇風機を提供するにある。
以下本発明の一実施例につき図面を参照して説明する。先ず第1図に於いて、1は基台であり、この基台1は、下部に大円筒部1aを、上部に小円筒部1bを夫々有し、それらの間をテーパ状円筒部1cにより繋いだ形状のもので、その下面の開口部から内部にモータ2を下向きにして収め、而してこのモータ2を、上記テーパ状円筒部1cの内面から下方に向けて突設したボス3・・の端部にねじ4・・によって固着している。そして5は上記モータ2に続いて基台1内殊にその大円筒部1a内に収めた送風羽根であり、この送風羽根5を上記モータ2の回転軸2a端にボルト6等によつて固着している。尚7は基台1の上記下面の開口部に固着した底板で、8は該底板7の中央部に形成した吸気口、9は吸気口8周りの底板7周縁部に固着した脚である。一方、10は前記基台1の小円筒部1b上に回動可能に嵌着したキヤツプ状のネツクピースで、基台1内と連通すべく下面に開口部11を有する他、該基台上に突出した蓋部10aの両側部に夫々吐気口12を有し、この吐気口12の夫々に円形の環状を成す吐風環13の両端部を各々ネツクピース10の回動方向と直交する方向の上下方向に回動可能に嵌着している。従つて、吐風環13は上記ネツクピース10を介して基台1に俯仰角調整可能に且つ首振調整可能に支持されたものであり、又、該吐風環13は詳細には第2図に示す前半部品13aとこれより内径の小なる後半部品13bとによつて前記ネツクピース10の殊に吐気口12を介して前記基台1内と連通する中空状に形成したものにて、その内周部分には上述の前半部品13aと後半部品13bとの内径の差により前向きで該吐風環13の全周にわたる環状の吐風用スリツト14を形設している。
次に上記の様な構成とした本実施例の作用を述べる。先ずモータ2に通電すると、そのモータ2が起動することにより送風羽根5が回転する。この送風羽根5の回転によつて吸気口8から基台1外の空気が基台1内に吸入され、そしてその吸入された空気は基台1の内部を上方に向かつて流され、ネツクピース10の両吐気口12に分岐されて吐風環13内に流される。而して吐風環13内に流された空気は、その後吐風環13の全周にわたる環状の吐風用スリツト14から吐出される。尚、この様に吐風環13の吐風用スリツト14から吐出される空気即ち風は、該スリツト14が細くかなり強い風速となる為、この風に連られて吐風環13内方の空気も動かされ、この結果、吐風環13が囲む空間の全体から風を吐出する感じを与え、実際に風量もスリツト14から直接吐出される量よりかなり多くなる。
以上の様に本実施例によれば、送風羽根5を基台1内に収めた構造にて扇風機としての機能も充分に得ることができるもので、その基台1内に収めた送風羽根5にはもはや子供等が触れたりすることはなく、又、その送風羽根5に代わつて基台1外に突出した吐風環13も、これが送風羽根5の様に回転するわけではないから、触れても安全で、総じて従来に比し使用上の安全性を飛躍的に向上させ得る。一方、本実施例に於いては、重量あるモータ2も上記送風羽根5と共に基台1内に収めており、従つて全体の安定性も同様に向上させ得、又、斯かる安定性の確保に無理がないから、美観上からも従来よりかなり自由に形状を決めることができ、よつて設計を容易化することができる。
尚、特に本実施例にあつては上述の他に下記の効果を得ることができる。
その1. 吐風環13を基台1に俯仰角調整可能に支持したから、風向きを上下所望の向きに定めることができる。
その2. 吐風環13を基台1に首振調整可能に支持したから、風向きを左右所望の向きに定めることができる。
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、殊に吐風環13は円形に限らず第3図に示す様に四角形の環状を成すものでも良いのであり、その他ネツクピース10の有無等についても要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
以上要するに本発明は、送風羽根及びこれを駆動するモータを収めた基台と、この基台に支持され該基台から前記送風羽根が起こす風を受ける中空状を成して該部からその風を吐出せしめる環状スリツトを有する吐風環とを具備して成ることを特徴とするものであり、以て安全性の向上を基本として、更に安定性の向上、又、設計の容易化等を充分に図り得るという優れた効果を奏する扇風機を提供することができる。」(1頁左下欄16行~3頁左上欄6行)
・「第1図は本発明の一実施例を示した全体の縦断面図、第2図は同実施例の吐風環の横断面図、第3図は本発明の異なる実施例を示した吐風環部分の正面図である。
図中1は基台、2はモータ、5は送風羽根、13は吐風環、14はスリツトである。」(3頁左上欄8~13行)
第1図の図示内容からすると,吐風環13を上下方向に自由に回転させた場合,吐風環13と基台1の大きさからすると,基台1に接することがみてとれる。
以上の事項からして,吐風環13は,ネツクピース10を介して基台1に俯仰角調整可能に支持され,第1図の図示内容を参照すると,基台1及びネツクピース10上に回動可能に支持されたものであるから,何らかの回動機構を構成して吐風環13がネツクピース10の吐気口12に嵌着されており,また,空気は底板7の吸気口8から吸入され基台1の内部を流されネツクピース10の両吐気口12に分岐されて流れさらに吐風環13内に流れるから,扇風機は空気が流通する吸気口8から吐気口12に至る「空気流通部」と呼べる構造を備え,吸気口8は底板7の外面上に開放されて形成されることが理解できる。さらに,第1図の図示内容を参照すると,送風羽根5をモータ2の回転軸2a端にボルト6等によって固着していることから,回転軸2aは送風羽根5の回転軸ともいえる。そして,送風羽根5及びモータ2の回転軸2aは,基台1に固着した底板7に対して垂直且つ上下方向に配置されるといえる。また,吐風環13の両端部は基台1の小円筒部1b上に嵌着したネツクピースに嵌着していることから,基台1及びネツクピース10の上部に位置するといえる。
これらの事項を総合すると,甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「吐風環13により空気を吐出するための扇風機であって,
空気を流すための基台1及びネツクピース10と,
前記基台1及びネツクピース10によって支持された吐風環13と,
を有し,
前記吐風環13は,空気を吐出するための細いスリット14を有し,
空気流通部が,前記ネツクピース10と前記吐風環13との間に結合され,前記空気流通部の吸気口8が,底板7の外面上に開放され,前記空気流通部の端部である吐気口12が,回動機構により前記吐風環13に連通され,
前記吐風環13の両端部が,前記回動機構により前記ネツクピース10の吐気口12に嵌着され,
送風羽根5及び該送風羽根5を回転させるためのモータ2が,前記基台1内部に収められ,前記吐風環13は,前記回動機構により前記基台1及びネツクピース10上に回動可能に支持され,これによって該吐風環13は俯仰角調整可能に該基台1及びネツクピース10に対して回動可能である,
空気を吐出するための扇風機。」
さらに,甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明2」という。)も記載されていると認められる。
「吐風環13により空気を吐出するための扇風機であって,
空気を流すための基台1及びネツクピース10と,
前記基台1及びネツクピース10によって支持された吐風環13と,
を有し,
前記吐風環13は,空気を吐出するための細いスリット14を有し,
空気流通部が,前記ネツクピース10と前記吐風環13との間に結合され,前記空気流通部の吸気口8が,底板7の外面上に開放され,前記空気流通部の端部である吐気口12が,回動機構により前記吐風環13に連通され,
前記吐風環13の両端部が,前記回動機構により前記ネツクピース10の吐気口12に嵌着され,
送風羽根5及び該送風羽根5を回転させるためのモータ2が,前記基台1内部に収められ,前記吐風環13は,前記回動機構により前記基台1及びネツクピース10上に回動可能に支持され,これによって該吐風環13は俯仰角調整可能に該基台1及びネツクピース10に対して回動可能であり,
前記送風羽根5及び前記モータ2の回転軸2aは,前記基台1に固着した底板7に対して垂直且つ上下方向に配置され,
吐風環13の両端部は,前記基台1及びネツクピース10の上部に位置する,
空気を吐出するための扇風機。」
また,以下の技術的事項が記載されていると認められる。
・「吐風環13は,円形又は四角形の環状リングのような全体形状に成形され,前記吐風環の内に中空状に形成した空気を流す部分と,吐風環の全周にわたり形設され空気を吐出するためのスリット14とを含むこと。」
・「ネツクピース10の2つの吐気口12は,吐風環13の両端部と連通状態にあり,ネツクピース10の下面の開口部11は,基台1と連通状態にあり,ネツクピース10の2つの吐気口12には,フランジあるいは鍔状のものが形成された吐風環13の両端部(特に,第1図の図示内容参照。)が,ネツクピース10に回動可能に嵌着していること。」
・「ネツクピース10を上下方向に直交する方向に回動できること,したがって,吐風環13を水平方向に回動できること。」
1-2 甲第4(5)号証の記載事項並びに甲4発明及び甲4発明2
本件出願の4つある優先日のうちの1つである2010年9月20日及び他の1つである2010年9月7日の前に頒布された甲第4号証には,図面とともに以下の事項が記載されている(翻訳文である甲第5号証の記載のみを示す。)。
・「【0004】 本考案が提供する技術的解決手段によれば、基部台座には、電源プラグの電線と電気的に接続するコントローラが装着されている。筒状本体上端の外部にはカバーが配置されている。カバーには風道支持部材が固定して装着されており、内部に羽根が取り付けられた吸気カバーが風道支持部材の下端に挿通して連結している。筒状本体にはモータ取付支持部材が内装されており、モータ取付支持部材には、コントローラと電気的に接続するメインモータが取り付けられている。筒状本体には吸気口が開口しており、吸気口の内部には吸気口ろ過装置が設けられている。筒状本体の内壁にはステッピングモーターが固定して装着されている。カバーの中には、ステッピングモーターにより駆動されてカバーを回転させる歯車部材が固定されている。風道支持部材には送風口支持部材が取り付けられており、送風口支持部材上では、送風口格子部材が送風角度コントローラにより回転可能に連結されている。吸気カバーと風道支持部材と送風角度コントローラと送風口格子部材は空気通路が連通している。」(段落【0004】)
・「【0006】 本考案のメインモータと羽根とはカバーケース内に覆い隠され、かつフィルタにより隔てられているため、安全性が向上している。また、送風が穏やかで、送風環境を適切に変更することが可能である。さらに、風向を任意の角度に回転可能で、操作性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】 図1は本考案の正面図である。
【0008】 図2は本考案の右側面図である。
【0009】 図3は本考案の動作の概略図である。
【実用新案を実施するための最良の形態】
【0010】 以下、具体的な図面と実施例を組み合わせて、本考案についてさらに説明する。
【0011】 図に示すように、本考案は、基部台座1、コードリール2、コントローラ3、電源ソケット4、吸気口ろ過装置5、吸気口6、モータ取付支持部材7、メインモータ8、羽根9、吸気カバー10、ステッピングモーター11、歯車部材12、筒状本体13、カバー14、風道支持部材15、芳香添加器支持部材16、芳香添加器トレー17、送風口支持部材18、送風口格子部材19、送風角度コントローラ20等を有する。
【0012】 基部台座1には、電源プラグの電線と電気的に接続するコントローラ3と、筒状本体13とが固定して装着されている。筒状本体13上端の外部にはカバー14が配置されている。カバー14には風道支持部材15が固定して装着されており、内部に羽根9が取り付けられた吸気カバー10が風道支持部材15の下端に挿通して連結している。筒状本体13にはモータ取付支持部材7が内装されており、モータ取付支持部材7には、コントローラ3と電気的に接続するメインモータ8が取り付けられている。筒状本体13には吸気口6が開口しており、吸気口6の内部には吸気口ろ過装置5が設けられている。筒状本体の内壁にはステッピングモーター11が固定して装着されている。カバー14の中には、ステッピングモーター11により駆動されてカバー14を回転させる歯車部材12が固定されている。風道支持部材15には送風口支持部材18が取り付けられており、送風口支持部材18上では、送風口格子部材19が送風角度コントローラ20により回転可能に連結されている。吸気カバー10と風道支持部材15と送風角度コントローラ20と送風口格子部材19は空気通路が連通している。
【0013】 風道支持部材15の下端部の内部には、芳香添加器トレー17が装着された芳香添加器支持部材16が装着されている。基部台座1には電源プラグの電線用のコードリール2が装着されており、基部台座1にはさらに、電源プラグに適合する電源ソケット4が固定されている。筒状本体13とカバー14との間、および風道支持部材15と吸気カバー10との間は、嵌合により連結される。
【0014】 本考案と従来技術とは、いずれも空気を流動媒体としている。筒状本体13内に装着されたメインモータ8は、コントローラ3でオンが選択された場合に羽根9を帯動して回転する。これにより、風が吸気口6から吸気口ろ過装置5を経てろ過された後に集風カバー10に到達し、風道支持部材15を経て送風口支持部材18に移り、最終的に送風口格子部材19から外に向かって吹き出す。このようにして、温度降下の目的を達成する。
【0015】 送風口格子部材19には2mm×3mmの裂け目が均等に配置されており、吸気口6の面積と送風口の面積の間には一定の比例関係が存在する。メインモータ8の電力および羽根9の設計も加わって、発生した高速の風は送風口全体に緩やかに分布する。また、中空の設計により、扇風機の周囲の風を帯動して受動風から従動風へ変化させることも可能となる。
【0016】 送風方向を制御する点については、送風口支持部材18が中軸を円心として、風道支持部材15に取り付けられた送風角度コントローラ20により送風口の全方位の角度を制御する。また、風向を変えるために、筒状本体13に取り付けられたステッピングモーター11が、カバー14に取り付けられて風道支持部材15を連結するための歯車部材12を帯動し、筒状本体13の垂直中心線を円心として、全方位に制御可能に回転するように駆動する。」(段落【0006】~【0016】)
・「【0019】 本考案の羽根なし扇風機において、一般的な扇風機では整理の際に電線を筺体や本体に巻きつけることで全体的な美観を損ねていることを考慮して、基部台座1にコードリール2を装着し、筒状本体13に電源ソケット4を装着した。本扇風機を使用しないときは、電線を外側に引けば、電線全体がコードリール2によって筒状本体13内に収納され、電源プラグは電源ソケット4に差し込まれるため、清潔で見た目もよい。カバー14と筒状本体13、および吸気カバー10と風道支持部材15との連結には二重嵌合方式が用いられ、着脱が簡便で確実である。」(段落【0019】)
上記段落【0016】の記載と図1~図3の図示内容とから,送風角度コントローラ20を円心として送風口支持部材18・送風口格子部材19は風道支持部材15の内側で横になるように風道支持部材15に対して回転可能であることが理解できる。また,羽根9及びメインモータ8は上下方向に並んで配置されること,および,送風口支持部材18・送風口格子部材19の送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置は,基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15の上部に位置することが理解できる。
これらの事項を総合すると,甲第4号証には,次の発明(以下,「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「送風口支持部材18・送風口格子部材19により空気を吹き出すための羽根なし扇風機であって,
空気の風を発生させて送風するための基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15と,
前記風道支持部材15によって支持された送風口支持部材18・送風口格子部材19と,
を有し,
前記送風口支持部材18・送風口格子部材19は,空気を吹き出すための2mm×3mmの裂け目の送風口を有し,
空気通路が,前記筒状本体13・カバー14・風道支持部材15と前記送風口支持部材18・送風口格子部材19との間に連通され,前記空気通路の吸気口6が,前記筒状本体13に開口され,前記空気通路の端部が,送風角度コントローラ20により前記送風口支持部材18に連通され,
前記送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置が,前記送風角度コントローラ20により前記風道支持部材15の取付け位置に取り付けられ,
羽根9及び該羽根9を回転させるためのメインモータ8が,前記筒状本体13内に収められ,前記送風口支持部材18・送風口格子部材19は,前記送風角度コントローラ20により前記基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15上に回動可能に支持され,これによって該送風口支持部材18・送風口格子部材19は送風方向を制御するため送風口の全方位の角度を制御し風道支持部材15の内側で横になるように該基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15に対して回転可能である,
空気を吹き出すための羽根なし扇風機。」
さらに,甲第4号証には,次の発明(以下,「甲4発明2」という。)も記載されていると認められる。
「送風口支持部材18・送風口格子部材19により空気を吹き出すための羽根なし扇風機であって,
空気の風を発生させて送風するための基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15と,
前記風道支持部材15によって支持された送風口支持部材18・送風口格子部材19と,
を有し,
前記送風口支持部材18・送風口格子部材19は,空気を吹き出すための2mm×3mmの裂け目の送風口を有し,
空気通路が,前記筒状本体13・カバー14・風道支持部材15と前記送風口支持部材18・送風口格子部材19との間に連通され,前記空気通路の吸気口6が,前記筒状本体13に開口され,前記空気通路の端部が,送風角度コントローラ20により前記送風口支持部材18に連通され,
前記送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置が,前記送風角度コントローラ20により前記風道支持部材15の取付け位置に取り付けられ,
羽根9及び該羽根9を回転させるためのメインモータ8が,前記筒状本体13内に収められ,前記送風口支持部材18・送風口格子部材19は,前記送風角度コントローラ20により前記基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15上に回動可能に支持され,これによって該送風口支持部材18・送風口格子部材19は送風方向を制御するため送風口の全方位の角度を制御し風道支持部材15の内側で横になるように該基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15に対して回転可能であり,
羽根9及びメインモータ8は,上下方向に配置され,
送風口支持部材18・送風口格子部材19の前記送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置は,前記基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15の上部に位置する,
空気を吹き出すための羽根なし扇風機。」
また,以下の技術的事項が記載されている。
・「羽根なし扇風機が,基部台座1内に配置されるステッピングモータ11を含み,ステッピングモータ11は,歯車部材12に結合され,それにより歯車部材12に結合されるカバー14を回転軸を中心に回転させる機構。」
1-3 甲第2(3),7,9(10),11(12),13~17,18(19),20~22,26号証,及び乙第5,7号証の記載事項
(1) 甲第2(3)号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第2号証には,図面とともに以下の事項が記載されている(翻訳文である甲第3号証の記載のみを示す。)。
・「【0012】
本発明により、ノズル、ノズルを通して空気流を作り出すための手段、及び空気流から微粒子を除去するためのフィルタを含む空気の流れを作り出すための扇風機組立体を提供し、ノズルは、内部通路、内部通路から空気流を受け取るための口部、及び口部に隣接して位置するコアンダ表面を含み、口部は、コアンダ表面の上に配置されて空気流を誘導する。
【0013】
有利な態様においては、この配置により、濾過された空気流が発生し、扇風機から放出されてユーザに送出することができる。
【0014】
フィルタは、扇風機組立体内の1つ又はそれよりも多くの場所の1つ又はあらゆる数のフィルタ又はフィルタ組立体を含むことができる。フィルタ材料は、例えば、発泡体材料、炭素、紙、HEPA(高性能粒子捕捉器)濾材、織物又は開放セルポリウレタン発泡体のような濾材を含むことができる。フィルタは、扇風機組立体の基部の周囲に位置するメッシュ又は多孔質材料を含むことができ、外側ケーシングの一部を形成することができ、又は外側ケーシングに装着することができる。フィルタは、空気流からの特定の汚染物質又は微粒子の除去に適し、かつ化学的除去又は除臭のために使用することができる。イオン化又はUV処理のような他の濾過手法又は処理システムは、フィルタ内及び扇風機組立体内であらゆる組合せで使用することができると考えられる。
【0015】
フィルタは、空気流を作り出すための手段の上流に位置することができる。この配置の恩典は、空気流を作り出すための手段が、電気器具に吸い込まれる可能性があって扇風機組立体に損傷を与える場合がある塵及びほこりから確実に保護される点である。フィルタは、扇風機組立体の空気入口と空気流を作り出すための手段との間に位置することができる。代替的に、フィルタは、空気入口の上流に位置することができる。例えば、フィルタは、空気入口が位置する扇風機組立体の一部を取り囲み又はそうでなければ一部の周りに延びることができる。この部分は、ノズルが接続した扇風機組立体の基部である場合がある。」(段落【0012】~【0015】)
・「【0036】
図3、4、及び5は、扇風機組立体100の更なる具体的な詳細を示している。ノズル1を通して空気流を作り出すためのモータ22は、基部16の内側に位置する。基部16は、外側ケーシング18に形成された空気入口24a、24bを更に含み、それによって空気は、基部16に吸い込まれる。モータ22のためのモータハウジング28も、基部16の内側に位置する。モータ22は、モータハウジング28によって支持され、基部16内の安全な位置に保持されるか又は固定される。
【0037】
図示の実施形態では、モータ22は、DCブラシレスモータである。羽根車30は、モータ22から外向きに延びる回転軸に接続され、拡散器32は、羽根車30の下流に位置決めされる。拡散器32は、螺旋状のブレードを有する固定された静止ディスクを含む。
【0038】
羽根車30への入口34は、基部16の外側ケーシング18に形成された入口24a、24bと連通する。拡散器32の出口36及び羽根車30からの放出口は、羽根車30からノズル1の内部通路10までの空気流を確立するために基部16の内側に位置する中空通路部分又はダクトと連通する。モータ22は、電気接続部及び電源に接続され、コントローラ(図示せず)によって制御される。コントローラと複数の選択ボタン20の間の通信は、ユーザが扇風機組立体100を作動させることを可能にする。」(段落【0036】~【0038】)
・「【0045】
扇風機組立体100に対する第1のフィルタ配置は、図3及び5に示されている。第1のフィルタ配置は、濾材50を含むフィルタ26を含む。このフィルタ配置では、フィルタ26は、扇風機組立体100のモータ22及び羽根車30の上流、並びに空気入口24a、24bの下流に置かれる。結果的に、空気入口24aを通って基部16に吸い込まれた空気流は、モータハウジング28に入る前にフィルタ26及び濾材50を通過する。空気流は、空気流がフィルタ26に入って濾材50を通過する時に圧縮される。フィルタ26は、扇風機組立体100にモータ前フィルタをもたらし、モータは、それによってデバイスに吸い込まれる可能性がある汚れ、ほこり、及び塵から確実に保護される。
【0046】
図示の配置では、フィルタ26は、空気入口24a、24bに隣接して位置決めされる。フィルタ26は、フィルタ26が軸線Xに対して垂直な軸線Yの周りに円筒形に延びるように位置する。扇風機組立体100は、フィルタ26を受け取る凹部又は他の成形部を含むことになる。凹部は、好ましくは、フィルタ26をぴったり収容するように設計される。更に、フィルタ26は、好ましくは、空気入口24a、24bに吸い込まれた空気流の全てが濾材50を通過することになるように凹部内に装着されて固定され、気密シールを確立する。フィルタ26は、好ましくは、ネジ山付き部分、ファスナ、密封部材、又は他の同等の手段のような適切な取付具によって扇風機組立体100内に固定的に接続かつ固定される。
【0047】
扇風機組立体100に対する第2のフィルタ配置は、図6に示されている。第2のフィルタ配置は、濾材150を含むフィルタ126を含む。図6に示す扇風機組立体100は、空気入口25a、25bが外側ケーシング18の円筒側壁ではなくて外側ケーシング18の下面に形成されるという点で、図3及び5に示す扇風機組立体100とは異なる。フィルタ126は、下部空気入口25a、25bに隣接して位置決めされ、基部16の下面を実質的に覆うように成形される。フィルタ126は、好ましくは、空気入口25a、25bに吸い込まれる空気流の全てが濾材150を通過することになるように、基部16内の固定配置に装着されて固定され、気密シールを確立する。フィルタ126は、好ましくは、適切な取付具によって扇風機組立体100に固定的に接続かつ固定される。上述のように、フィルタ126は、従って、扇風機組立体100にモータ前フィルタをもたらし、モータは、それによってデバイスに吸い込まれる可能性がある汚れ、ほこり、及び塵から確実に保護される。」(段落【0045】~【0047】)
・「【0051】
上記フィルタ配置のいずれにおいても、フィルタは、扇風機組立体内の1つ又はそれよりも多くの場所の1つ又はあらゆる数のフィルタ又はフィルタ組立体を含むことができる。例えば、フィルタの形状及び大きさ、並びにフィルタ材料のタイプは、変更することができる。フィルタ材料は、例えば、発泡体材料、炭素、紙、HEPA(高性能粒子捕捉器)濾材、織物又は開放セルポリウレタン発泡体のような濾材を含むことができる。フィルタ材料は、上述して図示したものと異なる密度及び厚みを有する材料とすることができる。フィルタは、基部の周囲に位置するメッシュ又は多孔質材料を含むことができ、外側ケーシングの一部を形成することができ又は外側ケーシングに装着することができる。フィルタは、空気流からの特定の汚染物質及び微粒子の除去に適し、化学的除去又は除臭のために使用することができる。イオン化又はUV処理のような他の濾過手法又は処理システムは、フィルタ内及び扇風機組立体内であらゆる組合せで使用することができる。
【0052】
また、フィルタ配置を電気器具内に受け取って配置する方式は、本発明に対して重要ではなく、熟練した読者は、その場所は、対応する表面の嵌合、押し込み又はスナップ固定、又は他の同等の手段によって形成することができることを認めるであろう。フィルタは、扇風機組立体のいずれか部分に位置決めされるか又はその周囲に形成することができ、フィルタは、空気入口に隣接して又はこれに近接して位置することができ、フィルタは、基部、モータ、又はモータハウジングの周囲又は境界全体を取り囲むことができる。フィルタを収容する扇風機組立体の部分の形状及び大きさは、修正することができる。」(段落【0051】~【0052】)
以上の記載事項から,以下の技術的事項が記載されていると認められる。
・「フィルタ26は,扇風機組立体100の空気入口24a,24bに隣接して位置決めされること。」(特に段落【0046】の記載事項参照。)
・「空気流を作り出すためのモータ22は,基部16の内側に位置し,モータハウジング28によって支持され,羽根車30は,モータ22から外向きに延びる回転軸に接続されており,モータハウジング28は羽根車30への入口34を備えること。」(特に段落【0036】~【0038】の記載事項及び図3の図示内容参照。)
・「扇風機組立体のフィルタ配置を電気器具内に配置する方式は,対応する表面の嵌合,押し込み又はスナップ固定,又は他の同等の手段によって形成することができること。」(特に段落【0052】の記載事項参照。)
・「空気入口24aを通って基部16に吸い込まれた空気流は,モータハウジング28に入る前にフィルタ26を通過するように,フィルタ26は,扇風機組立体100のモータ22及び羽根車30の上流,並びに空気入口24a,24bの下流に置かれること。」(特に段落【0045】の記載事項及び図3,図5の図示内容参照。)
・「扇風機組立体のフィルタは,基部の周囲に位置するメッシュ又は多孔質材料を含むことができ,外側ケーシングの一部を形成することができ又は外側ケーシングに装着することができること。」(特に段落【0051】の記載事項参照。)
(2) 甲第7号証
甲第7号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「枢軸部件21(「軸」は簡体字)」(7頁14行,等)
(3) 甲第9(10)号証
本件出願の優先権主張の基礎となる出願に係る甲第9号証には,図面とともに以下の事項が記載されている(INIDコードの部分を除き,翻訳文である甲第10号証の対応箇所の記載のみを示す。)。
・「(21)申請号(「請」は簡体字) 201020205107.7
(22)申請日(「請」は簡体字) 2010.05.27」(1頁左上。なお,INIDコード(21)は「出願に付与される番号」を意味し,(22)は「出願の日」を意味する。また,INIDコード(30)代の「パリ条約に基づく優先権のデータ」は記載されていない。)
・「【0030】 本考案の目的、技術的解決手段および長所をより明確にするために、以下では図面と実施例を組み合わせて、本考案についてより詳細に説明する。ここで述べる具体的な実施例は本考案を限定するためのものではなく、本考案を説明するものに過ぎないことを理解すべきである。
【0031】 図1-図5に示すように、本考案はブレードレスファン100であり、当該ブレードレスファン100は、気流を発生させるための基部台座10と、気流を噴出するためのループ状のノズル20を有し、基部台座10はノズル20と連結し、基部台座10とノズル20の内部には気流通路が形成され、ノズル20は基部台座10上に支持されて設けられ、ノズル20は軸線Xを囲むように延伸して開口部30を規定し、基部台座10には吸気口11が設けられており、吸気口11には空気ろ過装置12が設けられている。本考案の動作時には、気体は空気ろ過装置12を経てろ過された後に、吸気口11から基部台座10内部に進入し、基部台座10とノズル20により形成された気流通路を通ってノズル20に進入し、最終的にノズル20から噴出されて、ノズル20により規定される開口部30から前方に発射される気流を生じ、扇風機としての効果を達成する。
【0032】 基部台座10にはさらに、ブレードレスファン100の運転を制御するための複数の選択ボタン13と、回路板(図示せず)が設けられている。空気ろ過装置12は、空気フィルタであることが好ましいが、空気をろ過して埃の扇風機100内部への侵入を減少させる効果を有する他のろ過装置もまた本考案の保護範囲内にあることは明らかである。これにより、本考案は吸気口11に空気ろ過装置12を設けて空気中の埃が扇風機内部に侵入しないことを保証し、埃がインペラ16、送風通路17、整流ループ21および送風口22に付着することを回避して、扇風機内部の気流通路の通りやすさを保っており、扇風機内部を清潔に保つことにより、ブレードレスフファン100の使用寿命をより長くする。
【0033】 図2、図3、図5に示すように、本考案の一実施例によれば、吸気ロ11は、基部台座10の底部に位置する主吸気口111と、基部台座10の側壁に位置する副吸気口112を含む。主吸気口111および副吸気口112にはそれぞれ空気フィルタ12が設けられており、主吸気ロ111における空気フィルタ12は外部に露出し、副吸気口112における空気フィルタ12は基部台座10の内部に設けられ、空気フィルタ12は、空気フィルタ12に付着した埃が多い場合に適時洗浄および交換できるように、吸気口11に着脱可能に連結されている。主吸気口111および副吸気ロ112は、具体的な状況に応じて主吸気口111のみ、または副吸気ロ112のみを有することを選択して設置してもよいということは明らかである。
【0034】 ノズル20は基部台座10に着脱可能に連結されて、ブレードレスファン100を使用しない場合には、収納に便利なようにノズル20と基部台座10を取り外すことが可能である。ノズル20は、気流を受けるための整流ループ21と、気流を発射するための送風口22を有する。図4に示すように、整流ループ21は徐々に狭くなるテーパ状領域211を有し、送風口22はテーパ状領域211の端部に位置する。
【0035】 基部台座10内にはノズル20と連結するモータケーシング14が設けられており、モータケーシング14は収容チャンバを有し、収容チャンバ内にはモータ15およびインペラ16が固定して設けられ、インペラ16は、モータ15がインペラ16を伴なって回転できるように、モータ15の外側に伸びた回転軸に接続している。収容チャンバは送風通路17を有し、送風通路17は整流ループ21に連通する。インペラ16は吸気部分および送風部分を有し、吸気部分は基部台座10の吸気口11に連通し、送風部分は収容チャンバの送風通路17に連通し、インペラ16の送風部分と収容チャンバの送風通路17の間には拡散部材18が設けられている。これにより、吸気口11と、インペラ16の吸気部分および送風部分と、送風通路17と、整流ループ21と、送風口22とが気流通路を形成し、気体はインペラ16によって吸引されて吸気口11から扇風機100内部に進入し、送風口22から噴出される。
【0036】 図3および図4に示すように、ノズル20はループ状であり、整流ループ21と送風口22を有し、整流ループ21は徐々に狭くなるテーパ状領域211を有し、送風口22はテーパ状領域211の端部に位置し、送風口22は軸線Xを囲むように延伸し、送風口22は少なくとも一部がループ状である。本実施例において、送風口22の長さは0.5mm-25mmであり、幅Dは0.4mm-6mmであり、送風口22と軸線Xのなす角は6°-21°であり、送風口22の噴射気流はガイドを経てX軸線上に集中する。
【0037】 本考案の一実施例によれば、使用者が複数の選択ボタン13からブレードレスファン100の起動を選択したときは、モータ15が回転してインペラ16を駆動し、気体は外部から図5の矢印Fに示す経路に沿って基部台座10に進入し、空気ろ過装置12によりろ過された後に、インペラ16の吸気部分に進入し、このとき、気体の気圧が増大して高速気流が形成され、この高速気流はさらに拡散部材18および送風通路17を通り、相反する方向に沿って整流ループ21を通過する二方向の気流に分けられ、整流ループ21はこの高速気流を整流し、整流後の高速気流はテーパ状領域211およびループ状の送風口22に進入した際に制限を受けて送風口22からブレードレスファン100外に噴出し、主気流を形成する。この主気流は送風口22から噴出する際に周囲の空気を巻き込んで巻込気流(副次気流)を形成し、巻込気流は主にノズル20で規定された開口部30を通り、送風口22から噴出される主気流と巻込気流が融合して、ノズル20で規定された開口部30から前方に発射される総気流を形成し、この総気流はノズル20の直径範囲内で近似した平均速度分布を有する。これにより、使用者が均一な気流を感じ、冷却効果が達成される。
【0038】 図3および図5に示すように、基部台座10にはさらにノズル20の気流の噴射方向を調節するためのピボット機構19が設けられており、モータケーシング14はピボット機構19により基部台座10内部に可動的に設置される。ループ状のノズル20はモータケーシング14に連結し、モータケーシング14がピボット機構19を介して回動する場合は、ノズル20を伴なって一体的に回り、ノズル20が前傾または後傾している際は、モータケーシング14は基部台座10内の範囲のみで回動し、基部台座10外の物体に影響することはない。
【0039】 好ましくは、主吸気口111はインペラ16の吸気部分に対応して同一軸線上に設置され、主吸気口111の直径はインペラ16の吸気部分の直径よりも大きい。インペラ16が気体を吸引する際は、外部の気体は、図5の矢印Fで示す経路のように、基部台座10の底部の周囲からアーチ状に、比較的低い速度で主吸気口111に進入して気流の緩衝を形成し、気流の方向を急激に変化させることがないため、ブレードレスファン100の動作時に大きな騒音が発生するのを回避する。
【0040】 好ましくは、基部台座10の底部にはさらに、振動を減少させ、基部台座10を支持する支持部材40を有し、支持部材40の高さは5mm-35mmであり、ブレードレスファン100を卓上に設置した際の吸気をより円滑にして、より大きな気流を得る。
【0041】 本考案のブレードレスファン100はさらに、ノズル20を左右に揺動させるための左右首振装置50を有し、左右首振装置50は基部台座10内に設けられ、ノズル20を駆動して左右に揺動させるための左右首振モータ51と、左右首振モータ51を支持するための左右首振モータスタンド52を有する。
【0042】 以上のように、本考案のブレードレスファンは、気流を発生させるための基部台座と気流を噴出するためのノズルを有し、前記基部台座は前記ノズルと連結して気流通路を形成し、前記基部台座には吸気口が設けられており、前記吸気口には空気ろ過装置が設けられており、本考案は吸気口上に空気ろ過装置を設けることにより、扇風機内部に侵入する埃を減少させ、埃がインペラ、送風通路、整流ループおよび送風口に付着することを回避して、扇風機内部の気流通路の通りやすさを保証しており、扇風機内部を清潔に保ち、これにより、ブレードレスファンの使用寿命をより長くする。
【0043】 本考案はさらに他の各種実施例を有し、当業者であれば、本考案の精神および本質から外れることなしに、本考案に基づいて各種の変更や変形を行いうることはもちろんであるが、これらの変更や変形はいずれも本考案に添付の「請求の範囲」の保護範囲に属するべきである。」(段落【0030】~【0043】)
(4) 甲第11(12)号証
本件出願の優先権主張の基礎となる出願に係る甲第11号証には,図面とともに以下の事項が記載されている(INIDコードの部分を除き,翻訳文である甲第12号証の対応箇所の記載のみを示す。)。
・「(21)申請号(「請」は簡体字) 201020224739.8
(22)申請日(「請」は簡体字) 2010.06.12」(1頁左上。なお,INIDコード(21)は「出願に付与される番号」を意味し,(22)は「出願の日」を意味する。また,INIDコード(30)代の「パリ条約に基づく優先権のデータ」は記載されていない。)
・「【0023】 本考案の目的、技術的解決手段及び長所をより明確にするために、以下では図面と実施例を組み合わせて、本考案についてより詳細に説明する。ここで述べる具体的な実施例は本考案を限定するためのものではなく、本考案を説明するものに過ぎないことを理解すべきである。
【0024】 図1に示すように、本考案はUSB電源によるブレードレスファン100であり、当該ブレードレスファン100は、気流を発生させるための基部台座10と、気流を噴出するためのノズル20を有し、基部台座10はノズル20と連結して気流通路を形成し、ノズル20は軸線を囲むように延伸して開口部30を規定し、基部台座10には吸気口11が設けられており、基部台座10は、電源を供給するための少なくとも一つのUSBポート12と電線を介して接続し、扇風機100はUSBポート12を介してコンピュータと接続できる。基部台座10にはさらに、ブレードレスファン100の運転を制御するためのスイッチ17と、スイッチ17に接続する回路板(図示せず)が設けられている。電線にはさらに、扇風機の風速を線形に調節できるように、風速を制御するための風速調節器18が設けられている。
【0025】 本考案のUSB電源によるブレードレスファンは、USBポートを介してコンピュータまたはUSBポートに適合する他の電子機器と接続し、コンピュータまたは他の電子機器によりブレードレスファンに電源を供給し、USBポートはプラグアンドプレイであって、より便利である。これにより、基部台座は電源を供給するための少なくとも一つのUSBポートと電線を介して接続し、プラグアンドプレイでより便利である。
【0026】 基部台座10は吸気口11により気体を吸引し、気体は気流通路を流れて、最終的にノズル20から噴出されて主気流を形成する;主気流は周囲の空気を巻き込んで巻込気流(副次気流)を形成し、巻込気流は主にノズルで規定された開口部を通る。主気流と巻込気流が融合して、ノズル20で規定された開口部30から前方に発射される総気流を形成し、この総気流はノズル20の直径範囲内において、近似した平均速度分布を有する。これにより、本考案が使用者に送る気流には乱れがより少なく、使用者はより均一な気流を感じることが可能である。また、本考案が提供する扇風機は羽根がなく、室内の明るさを低下させることがない。
【0027】 好ましくは、基部台座10の内部にはさらに、USBポート12と接続するUSBアダプター(図示せず)が設けられている。基部台座10の内部にはさらに、電気エネルギーを蓄積するための蓄電池(図示せず)が設けられており、前記蓄電池は、外部電力が不足する場合に扇風機100に給電できるように、USBポート12に接続する。
【0028】 図3-図5はさらに、USB電源によるブレードレスファン100の詳細な構造を示し、ノズル20は、気流を受けるための整流ループ21と、気流を発射するための送風口22を有し、整流ループ21は略ループ形状で、かつノズル20内の連続環状通路または通路として形成されている。送風口22は整流ループ21の前端及び後端に位置する。図4に示す実施例においては、送風口22は整流ループ21の前端に位置しており、好ましくは、送風口22の長さは0.5mm-8mm、かつ幅Dは0.4mm-3mm、送風口22と軸線Xのなす角は3゜-16゜であり、送風口22の噴射気流は誘導されてX軸線上に集中する。図5に示す実施例においては、送風口22は整流ループ21の後端に位置しており、好ましくは、送風口22の長さは0.5mm-8mm、幅Dは0.4mm-3mm、送風口22と軸線Xのなす角は3゜-16゜であり、送風口22の噴射気流は誘導されてX軸線上に集中する。
【0029】 基部台座10内にはノズル20と連結するモータケーシング13が設けられており、モータケーシング13は収容チャンバを有し、モータ14は収容チャンバ内に位置し、モータケーシング13によって支持されてラバーマットまたはシール部材により堅固な位置に保持され、モータ14はスイッチ17及び風速調節器18によりオンオフ及び回転速度を制御される。収容チャンバ内にはさらに、モータ14の外側に伸びた回転軸に接続したインペラ15が設けられており、収容チャンバは送風通路(図示せず)を有し、前記送風通路はノズル20の整流ループ21に連通する。本実施例において、モータ14は直流ブラシレスモータである。
【0030】 インペラ15は吸気部分及び送風部分を有し、吸気部分は基部台座10の吸気口11に連通し;インペラ15の送風部分は収容チャンバの送風通路に連通して、吸気口11からインペラ15、送風通路、整流ループ21、送風口22に至る気流通路を形成している。インペラ15の送風部分と収容チャンバの送風通路の間には拡散部材16が設けられている。好ましくは、インペラ15はターボチャージャーとジェットインペラが結合した混流インペラである。
【0031】 基部台座10の底部には支持フレーム40が設けられており、支持フレーム40にはノズルの噴射方向を制御するためのピボット機構41が設けられており、基部台座10はピボット機構41を介して支持フレーム40に連結し、当該支持フレーム40により支持される。
【0032】 吸気ロ11は基部台座10の底部に位置し、吸気口11には空気ろ過装置19が設けられている。吸気口11に空気ろ過装置19を設けることにより扇風機100内部に侵入する埃を減少させ、埃がインペラ15、整流ループ21及び送風口22に付着することを回避して、扇風機内部の気流通路の通りやすさを保っており、扇風機内部を清潔に保つことにより、USB電源によるブレードレスファン100の使用寿命をより長くする。空気ろ過装置19は、空気フィルタであることが好ましいが、空気をろ過して埃の扇風機100内部への侵入を減少させる効果を有する他のろ過装置もまた本考案の保護範囲内にあることは明らかである。
【0033】 USB電源によるブレードレスファン100は以下の方式により運転される:使用者がスイッチ17によりUSB電源によるブレードレスファン100を起動した際には、回路板が信号を伝送してモータ14を駆動し、モータ14が回転してインペラ15を帯動し、気流は外部からインペラ15の吸気部分に進入し、このとき、気体の気圧が増大して高速気流が形成され、この高速気流はさらに拡散部材16及び送風通路を通り、相反する方向に沿って整流ループ21を通過する二方向の気流に分けられ、整流ループ21はこの高速気流を整流し、整流後の高速気流はループ状の送風口22に進入した際に制限を受けて、送風口22から扇風機100外に噴出し、主気流を形成する。
【0034】 この主気流の出力と噴出は送風口22において低圧領域を生じ、これにより、主気流は送風口22周囲の空気を巻き込んで巻込気流(副次気流)を形成し、巻込気流は主にノズル20で規定された開口部30を通る。
【0035】 送風口22から噴出される主気流と巻込気流が融合して、ノズル20で規定された開口部30から前方に発射される総気流を形成し、この総気流はノズル20の直径範囲内において、近似した平均速度分布を有する。これにより、使用者が均一な気流を感じ、冷却効果が達成される。
【0036】 以上のように、本考案は、気流を発生させるための基部台座と気流を噴出するためのループ状のノズルを有し、前記ループ状のノズルは開口部を規定し、前記基部台座は前記ノズルと連結して気流通路を形成し、基部台座には吸気ロが設けられており、前記基部台座は電源を供給するための、少なくとも一つのUSBポートと電線を介して接続する。本考案はUSBポートを介してコンピュータまたはUSBポートに適合する他の電子機器と接続し、コンピュータまたは他の電子機器によりブレードレスファンに電源を供給し、USBポートはプラグアンドプレイであって、より便利である。これにより、基部台座は電源を供給するための少なくとも一つのUSBポートと電線を介して接続し、プラグアンドプレイでより便利である。
【0037】 本考案の基部台座は吸気口により気体を吸引し、気体は気流通路を流れて、最終的にノズルから噴出されて主気流を形成する;主気流は周囲の空気を巻き込んで巻込気流(副次気流)を形成し、巻込気流は主にノズルで規定された開口部を通る。主気流と巻込気流が融合して、ノズルで規定された開口部から前方に発射される総気流を形成し、この総気流はノズルの直径範囲内において、近似した平均速度分布を有する。これにより、本考案が使用者に送る気流には乱れがより少なく、使用者はより均一な気流を感じることが可能である。また、本考案が提供する扇風機は羽根がなく、室内の明るさを低下させることがない。
【0038】 好ましくは、前記電線にはさらに、扇風機の風速を線形に調節できるように、風速を制御するための風速調節器が設けられている。
【0039】 本考案はさらに他の各種実施例を有し、当業者であれば、本考案の精神及び本質から外れることなしに、本考案に基づいて各種の変更や変形を行いうることはもちろんであるが、これらの変更や変形はいずれも本考案に添付の「請求の範囲」の保護範囲に属するべきである。」(段落【0023】~【0039】)
(5) 甲第13号証
本件出願の優先権主張の基礎となる出願に係る甲第13号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「(21)申請号(「請」は簡体字) 201020519265.X
(22)申請日(「請」は簡体字) 2010.09.07」(1頁左上。なお,INIDコード(21)は「出願に付与される番号」を意味し,(22)は「出願の日」を意味する。また,INIDコード(30)代の「パリ条約に基づく優先権のデータ」は記載されていない。)
(6) 甲第14号証
本件出願の優先権主張の基礎となる出願に係る甲第14号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「(21)申請号(「請」は簡体字) 201020536812.5
(22)申請日(「請」は簡体字) 2010.09.20」(1頁右上。なお,INIDコード(21)は「出願に付与される番号」を意味し,(22)は「出願の日」を意味する。また,INIDコード(30)代の「パリ条約に基づく優先権のデータ」は記載されていない。)
(7) 甲第15号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第15号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0020】
フィルタ8は、塵埃類を吸着濾過するための、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエステル、ウレタン、セルロース、ナイロンあるいはエレクトレット化処理したポリオレフィン類などの不織布層やスポンジ状の多孔質層のみで構成されるものや、これらを外層8aとし、該外層8aと、内層8bとから形成され、内層8bには、抗菌性の作用を有する素材として、銀,銅などの金属イオンを溶出する無機化合物や、銀,銅などの金属微粒子、フェノール類,過酸化水素などの薬剤や、リゾチームなどの酵素製剤、カテキン類などの天然成分抽出物などの抗菌成分があり、これらの素材から選択したものが外層8aを構成する材質に添着される図4のような構成であってもよい。
【0021】
また、フィルタ8の保護ガード4側装着面上であって、フィルタ8の外縁部近傍および切込部9の各切込線両側部には、例えばポリウレタンの両面にアクリル型粘着剤を塗布した両面粘着テープ10(脱着部材)が貼り付けられる。」(段落【0020】~【0021】)
・「【0025】
そして、フィルタ8に埃やごみが吸着され、目詰まりが生じ、送風や浄化機能が低下する前もしくは低下してきたときには、保護ガード4の外縁部および駆動モータ3前部の周囲から両面粘着テープ10をはがすことでフィルタ8を保護ガード4の背面4aから取り外し、容易に交換可能とすることができる。」(段落【0025】)
・「【0031】
なお、フィルタ8の脱着部材は、両面粘着テープ10に限られず、例えば表面にポリプロピレンあるいはポリエチレンなどからなるループ部を有する図示しない面ファスナーテープの、裏面粘着部を、保護ガード4の外縁部および駆動モータ3前部の周囲に貼り付けて、フィルタ8を保護ガード4の背面に着脱させてもよい。この場合、フィルタ8の外層8aを構成する材質がフック部となり、このフック部が面ファスナーテープの表面に有するループ部に結合および脱離することでフィルタ8を保護ガード4の背面4aに容易に着脱することができる。
【0032】
以上詳述したように、この例の扇風機1のフィルタ8は、回転ファン2に覆設した保護ガード4の背面4aに不織布またはポリオレフィン類による多孔質から成るフィルタ8を面ファスナーテープ(脱着部材)により着脱可能に備えるものである。加えて、フィルタ8に、芳香成分を添着し、フィルタ8の内周面に、複数の同心円8cをミシン目状に備える。」(段落【0031】~【0032】)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「扇風機において,フィルタを着脱可能に備えること。」
(8) 甲第16号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第16号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0033】一方、上記従動軸2上には従動プーリ8が設けられている。この従動プーリ8は、上記駆動プーリ3と同様の構成であり、従動軸2にキー9により回転一体にかつ摺動不能に固定されたフランジ状の固定シーブ10と、該固定シーブ10に上記駆動軸1上の駆動プーリ3における固定シーブ5に対する可動シーブ6の対向方向と逆方向でもって対向するように従動軸2にボス部11aにて摺動可能にかつ回転一体にキー12により結合されたフランジ状の可動シーブ11とからなり、両シーブ10,11間にはベルト溝13が形成されている。そして、上記駆動プーリ3のベルト溝7と従動プーリ8のベルト溝13との間にはVベルトBが巻き掛けられており、駆動及び従動プーリ3,8の各可動シーブ6,11をそれぞれ固定シーブ5,10に対して接離させて各プーリ3,8のプーリ径(VベルトBに対する有効半径)を変更する。例えば駆動プーリ3の可動シーブ6を固定シーブ5に接近させ、かつ従動プーリ8の可動シーブ11を固定シーブ10から離隔させたときには、駆動プーリ3のプーリ径を従動プーリ8よりも大きくすることにより、駆動軸1の回転を従動軸2に増速して伝達する。一方、逆に、駆動プーリ3の可動シーブ6を固定シーブ5から離隔させ、かつ従動プーリ8の可動シーブ11を固定シーブ10に接近させたときには、駆動プーリ3のプーリ径を小にし、従動プーリ8のプーリ径を大きくすることにより、駆動軸1の回転を減速して従動軸2に伝えるようになされている。」(段落【0033】)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「駆動及び従動プーリを含む増速伝達機構とすること。」
(9) 甲第17号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第17号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0012】また、スピンドルモータからの動力をギヤによりターンテーブルの回転軸に伝達するようにしてもよい。
【0013】更に、モータを複数個用いてターンテーブル間との回転動力伝達をベルトまたはギヤにより行う構成としてもよい。」(段落【0012】~【0013】)
・「【0023】そこで本発明では、ターンテーブルの軸と、スピンドルモータの回転軸とをずらした構成とし、2つのプーリ径の設定を任意に設計することにより、ターンテーブルの回転数の増速、減速が容易に設計でき、大型のモータを用いる必要もなく、所要の高回転数を実現するを可能とした。また、ディスク最内周位置での信号のやり取りの際でも、ピックアップとスピンドルモータが位置的に干渉しない構成のため、ピックアップがディスク最内周に近付けることはもとより、駆動装置設計の自由度が広がると云う特長がある。」(段落【0023】)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「モータを用いる増速駆動装置において,プーリを含むこと,及びギヤにより行う構成としてもよいこと。」
(10) 甲第18(19)号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第18号証には,図面とともに以下の事項が記載されている(翻訳文である甲第19号証の対応箇所の記載のみを示す。)。
・「本発明は、電動送風機に関し、本発明の目的は、動作時に騒音を出さず、電動機の速度を変更することなく調整できる均一な空気流を発生させ、換気扇として使用される場合にルーバーを必要とせず、可動要素が囲まれており、したがって従来の送風機には見られない安全性を提供する、送風機、を提供することである。」(1頁1欄1~9行)
・「本発明およびその基礎をなす原理をより充分に開示するために選択された特定の図面において、10は、脚部11によって支持されている中空の基部であり、この基部の底面は大気に開いており、上部は、基部とノズル13,14,15との間の管路を提供する管状部12に通じている。ノズル13,14,15は、この場合には3つの同心環状ノズルとして示してあるが、当然ながら、本発明は図示したノズルの数や形状に制限されないことを理解されたい。
基部の中には電動機16が格納されており、電動機16は、管路を通りノズルに達して放出される空気流を形成するためのブロワ、ファン、インペラ、またはその他の適切な手段17を駆動する。
好ましくは、各ノズルは、ほぼ図示した断面形状、すなわち、前方端部または放出端部においていくらか平坦化された楕円形を有し、先端部は環状出口(annular outlet)17’となっている。この環状出口は、管路の軸線に実質的に直角な平面に配置されており、ノズルの後方部の断面積と比較して小さい断面積を有する。言い換えれば、ノズルの断面積が後端部から出口の方に次第に減少するように、ノズルの内側側壁が前方に向かって収束している。図示した形状にノズルを形成する理由は、ノズルからの空気流の速度を高めて、管状部12によって提供される管路内の空気流の速度よりも大きい速度を有する空気ジェットを確保するためである。」(1頁1欄18~51行)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「送風機において,ノズルの断面積が後端部から出口の方に次第に減少するように,ノズルの内側側壁が前方に向かって収束している形状とすること。」
また,図示内容から次のように認められる。
・「Fig.2,Fig.3にあるように,先端部の環状出口(annular outlet)17’に向かって次第に狭くなる先細区域を含むノズル13が図示される。」
(11) 甲第20号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第20号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0092】次に、文字入力キー33のクリック回転のためのクリック機構について説明する。図37に示すように、クリック機構は、文字入力キー33の下面に形成された波状面部283と、波状面部283に係合するクリックボール284と、装置ケース2に形成されクリックボール284を出没自在に収容するボール溝285と、クリックボール284を付勢すべくボール溝285に設けたコイルばね286とで構成されている。波状面部283は、文字入力キー33の周方向に環状に形成された、連続する54個の凹凸部位で構成されている。クリックボール284は、コイルばね286により上方に付勢されて、波状面部283に係合している。
【0093】文字入力キー33を回転させると、クリックボール284が波状面部283の凸部位を乗り越えながら凹部位に次々に係合してゆき、1回転を54に分割した間欠回転、すなわちクリック回転が行われる。このように、文字入力キー33の波状面部283と、クリックボール284との係合によりクリック回転が行われるため、波状面部284とクリックボール284との間に生ずる摩擦でクリックボール284は適宜回転する。このため、文字入力キー33の回転に伴う摺動抵抗が小さくなり、且つ停止位置が安定する。したがって、操作が円滑にかつ規律よく行われ、操作感覚が良好になる。また、波状面部283とクリックボール284との間の摩耗を極力少なくすることができるため、この部分の耐久性を向上させることができる。さらに、コイルばね286を用いているため、付勢力を調整することが容易となり、操作感覚における軽重の調整を簡単に行うことができる。」(段落【0092】~【0093】)
・図37には,クリック機構が示されている。
以上の事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「周方向に環状に形成された連続する54個の凹凸部位で構成されている波状面部283に,コイルばね286の付勢によりクリックボール284を係合させるクリック機構であって,回転させるとクリックボール284が波状面部283の凸部位を乗り越えながら凹部位に次々に係合してゆき,1回転を54に分割した間欠回転,すなわちクリック回転が行われ,且つ停止位置が安定するクリック機構。」
(12) 甲第21号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第21号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0010】
(1)ボールラチェット
本発明のテンショナーにはボールラチェットが備わっている。所定のスプライン歯には一定間隔で切欠き溝を軸方向に設け、該切欠き溝にはバネ力が付勢されたボールの一部が係合している。そこで、プランジャーが突出する場合、及び後退する場合には、ボールは付勢されているバネ力に対抗して切欠き溝から外れなくてはならないが、従来のラチェットとは異なり、チェーンに過張力が作用しないようにボールは切欠き溝から外れる。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。」(段落【0010】)
・「【0016】
上記スプライン型プランジャー2の所定の歯8には切欠き溝9,9…が等間隔で形成され、この切欠き溝9にはボール10の一部が係合している。ボールにはコイルバネ11のバネ力が付勢し、後方のネジ12を調整することでコイルバネ11の圧縮度を増減して付勢されるバネ力の調整が出来る。勿論、バネ係数が適合するコイルバネ11に変更することもある。
【0017】
上記切欠き溝9はその縦断面が台形を成していて、両側面は傾斜している。この傾斜した側面にボール10の一部が係合しているが、スプライン型プランジャー2が突出する場合、逆に後退する場合にはボール10は切欠き溝9から外れることになる。すなわちボール10はバネ力に対抗してコイルバネ11を圧縮してスプライン型プランジャー2は突出したり、後退動を行なうことが出来る。」(段落【0016】~【0017】)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「コイルバネ11の付勢によりボール10を切欠き溝9に係合させるボールラチェット。」
(13) 甲第22号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第22号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0001】
本発明は、壁面に取付けられた壁掛金具に基台を取り付けて壁面に扇風機を掛ける壁掛型扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁掛型扇風機の一例として取付金具と基台を固定ねじで固定する壁掛用扇風機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その壁掛型扇風機について図12を参照にしながら説明する。
【0004】
図に示すように、電動機101の回転軸102には羽根103が設けられ、羽根103は保護網104に囲まれ、電動機101は受部材105に枢支され、受部材105は基台106には引掛用孔107が設けられ、ねじ108で壁に取付けられた取付金具109により取付けられ、基台106と取付金具109にはねじ孔110が設けられ、固定用ねじ111によりねじ締め固定されている。」(段落【0001】~【0004】)
・「【0011】
本発明の壁掛型扇風機は上記目的を達成するために、羽根を回転するモータと、このモータを枢支するように設けられる合成樹脂製のスタンドの裏面に金属製の底板を付設した基台と、この基台の底板に設けた挿入口から前記スタンドの裏面側の上端部に設けた押出口に至る連通部を設け、前記連通部に嵌入される形状で前記基台を着脱可能に固定する壁面に設けた壁掛金具とを備え、前記壁掛金具の上端部に設けたねじ孔に、前記スタンドの上方に近接して規制ねじを螺合可能に設けたものである。」(段落【0011】)
・「【0056】
(実施の形態1)
図1~図4に示すように、羽根1を回転するモータ2を枢支するように基台5を設け、基台5は合成樹脂製のスタンド3の裏面に金属製の底板4を付設したものである。基台5内には底板4に設けた挿入口6からスタンド3の壁面7側の上端面8に設けた押出口9に至る連通部10を設けている。壁面7に固定される壁掛金具11は、基台5の連通部10に嵌入される形状をなし、基台5を壁面7に着脱可能に固定している。壁掛金具11の上端部12にねじ孔13を設け、スタンド3の上方に近接して規制ねじ14をねじ孔13に螺合可能に設けている。」(段落【0056】)
・「【0059】
上記構成において、底板4の挿入口6からスタンド3の押出口9に至る連通部10を設けているので、壁面7に設けた壁掛金具11は連通部10を貫通して基台5を着脱可能に固定することができる。このとき、壁掛金具11の上端部12に設けたねじ孔13に規制ねじ14を螺合することにより、スタンド3の上方に近接して規制ねじ14の頭部が突出するので、基台5を下から上方向に突き上げられて基台5が浮き上がるような場合でも、規制ねじ14にスタンド3が当接して基台5の上方への移動が規制され、基台5が壁掛金具11から外れないようにして脱落することを未然に防ぐことができる。また、壁掛金具11の上端部12を、スタンド3の押出口9より突出しているので、壁掛金具11上端部12に設けたねじ孔13の位置が目視で容易に確認でき、規制ねじ14をねじ孔13に螺合するときの作業性を向上することができることとなる。」(段落【0059】)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「壁掛型扇風機において,壁に取付けられた取付金具109と基台106に設けた引掛用孔107とにより壁面に扇風機を掛けること,及び,底板4の挿入口6からスタンド3の押出口9に至る連通部10を設けて,壁面7に設けた壁掛金具11が連通部10を貫通して基台5を着脱可能に固定すること。」
(14) 甲第26号証
本件出願の優先日前に頒布された甲第26号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンパクトに折り畳むことが可能な扇風機に関する。」(段落【0001】)
・「【0007】この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、扇風機が通常備える俯仰角回動機構部分を利用して簡単かつ安全にヘッド部を下方に折り曲げてコンパクトに折り畳むことができる扇風機を提供することにある。」(段落【0007】)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「扇風機において,コンパクトに折り畳むことができること。」
(15) 乙第5号証
本件出願の優先日前に頒布された乙第5号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「1. 基台に首振り可能に設けられ送風羽根及びこの送風羽根を駆動するための主モータを備えた扇風機本体と、この扇風機本体を首振りさせる首振機構を駆動する補助モータと、この補助モータの回転により制御され前記主モータの回転数を制御するための制御スイツチとを具備してなる扇風機。」(2 実用新案登録請求の範囲)
・「補助モータ9の出力軸9aを矢印B方向に回転駆動させると、送風羽根5によつて風が送風されるとともに駆動ピニオン14の回転動力が中間ピニオン15を介して従動ピニオン19に伝達されて首振機構13が作動され、クランク21が回転駆動されることにより、リンク22を介して扇風機本体4が左右に首振りされる。」(明細書5頁8~15行)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「左右の首振りを得るために,補助モータ9をリンク22に結合させ,前記リンク22に結合される出力軸9aを回転させる扇風機の首振機構の伝動機構。」
(16) 乙第7号証
本件出願の優先日前に頒布された乙第7号証には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「本案はフアンモータと別個の首振モータを備え、この首振モータを駆動源として扇風機頭部の首振動作を行なわせる扇風機に係り、」(明細書1頁13~15行)
・「扇風機はスタンド1と該スタンド1の上端にネツクピース3を介して枢支した扇風機頭部2とからなり、この扇風機頭部2をネツクピース3に対して左右往復回転させることにより首振動作を行なうものである。」(明細書1頁19行~2頁3行)
・「首振モータ6はその下面前部に出力軸6aを有し、」(明細書2頁12~13行)
・「尚、図中19は出力軸6aに固着したクランク、20はネツクピース3とクランク19とを連結する首振ロツドである。」(明細書3頁17~19行)
以上の記載事項からすると,次の技術的事項が記載されていると認められる。
・「左右往復回転させる首振動作を得るために,首振モータ6を首振ロツド19に結合させ,前記ロツド20に結合される出力軸6aを回転させる扇風機の首振動作の伝動機構。」
2 無効理由について
2-1 無効理由1について
2-1-1 本件特許発明1について
(1) 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
機能・構造からして,後者の「吐風環13」は前者の「ノズル組立体」に相当し,同様に,「空気を流す」態様は「気流を発生させて空気流を供給する」態様に,「有し」た態様は「備え」た態様に,「細いスリット14」は「細隙形状の開口」に,「空気流通部」は「空気流通路」に,「連通され」た態様は「結合され」た態様に,「吸気口8」は「取り入れ端部」に,「空気流通部の端部である吐気口12」は「空気流通路の出力端部」に,「吐風環13の両端部」は「ノズル組立体の取り入れ端部」に,「吐気口12上に嵌着され」た態様は「出力端部に結合され」た態様に,「送風羽根5」は「インペラ」に,「モータ2」は「電気モータ」に,「内部に収め」た態様は「内に設け」た態様に,「回動可能に支持され」た態様は「回転可能に固定され」た態様に,「回動可能」は「回転可能」に,それぞれ相当する。
また,後者の「空気を吐出する」態様は扇風機の吐風環の環状の吐風用スリットから空気を吐出して風を生成する態様であり,一方,前者の「空気を吹き込む」態様はノズル組立体の細隙形状の開口から空気を出して風を生成する態様であるから,結局,後者の「空気を吐出する」態様は前者の「空気を吹き込む」態様に相当しており,同様に,後者の「空気を吐出するための扇風機」は前者の「空気を吹き込むための装置」に相当する。
さらに,甲第1号証に記載された「吐風環が基台に俯仰角調整可能に支持されていること」(1頁左下欄9~10行),「吐風環が基台に首振調整可能に支持されていること」(1頁左下欄12~13行),「吐風環13は上記ネツクピース10を介して基台1に俯仰角調整可能に且つ首振調整可能に支持されたものであり」(2頁右上欄1~3行)及び「ネツクピース10の有無等についても要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。」(2頁右下欄15~17行)ことから,特に,「ネツクピース10」が無い変更が可能であることからすると,「ネツクピース10」は「基台1」とともの吐風環を支持するものであって,後者の「基台1及びネツクピース10」と「ネツクピース10」と「基台1」は前者の「基部台座」に相当している。また,甲第1号証に記載された「尚7は基台1の上記下面の開口部に固着した底板で、8は該底板7の中央部に形成した吸気口、9は吸気口8周りの底板7周縁部に固着した脚である。」(2頁左上欄10~13行)ことから,扇風機において底板7は基台1とともに吐風環を支持する構造の一部を成すといえるので,後者の「底板7」は前者の「基部台座」の構造の一部に相当するといえるから,結局,後者の「底板7」は「基台1」とともに,前者の「基部台座」に相当している。
そして,甲第1号証に記載された「10は前記基台1の小円筒部1b上に回動可能に嵌着したキヤツプ状のネツクピースで、基台1内と連通すべく下面に開口部11を有する他、該基台上に突出した蓋部10aの両側部に夫々吐気口12を有し、この吐気口12の夫々に円形の環状を成す吐風環13の両端部を各々ネツクピース10の回動方向と直交する方向の上下方向に回動可能に嵌着している。」(2頁右下欄15~17行)ことから,特に,吐気口12の夫々に吐風環13の両端部を回動可能に嵌着していることからすると,この回動可能にしている機構を何らかの「回動機構」と呼称したのであって,それは吐風環を基台に俯仰角調整可能に支持する構成要素といえることから,後者の「回動機構」は前者の「ピボット構成要素」に相当している。
そうすると,両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「ノズル組立体により空気を吹き込むための装置であって,
気流を発生させて空気流を供給するための基部台座と,
前記基部台座によって支持されたノズル組立体と,
を備え,
前記ノズル組立体は,空気を吹き込むための細隙形状の開口を備え,
空気流通路が,前記基部台座と前記ノズル組立体との間に結合され,前記空気流通路の取り入れ端部が,前記基部台座の外面上に開放され,前記空気流通路の出力端部が,ピボット構成要素により前記ノズル組立体に結合され,
前記ノズル組立体の取り入れ端部が,前記ピボット構成要素により前記基部台座の出力端部に結合され,
インペラ及び該インペラを回転させるための電気モータが,前記基部台座内に設けられ,前記ノズル組立体は,前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は該基部台座に対して回転可能である,空気を吹き込むための装置。」
[相違点1-1]
ノズル組立体が基部台座に対して回転可能である態様に関し,本件特許発明1では基部台座の周囲で横になるように回転可能であり,前記基部台座の周囲で横になるように回転されたとき,前記基部台座内のインペラ及び電気モータの周囲を取り囲むように配置されるのに対し,甲1発明では俯仰角調整可能である点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点1-1]について
甲第1号証には,吐風環13が俯仰角調整可能である点に関し,どの程度の角度で可能であるかといった具体的な数値については,特段記載されていないから,具体的な範囲に限定されるものではない。また,吐風環13を回転させ,第1図の上方に垂直な状態から例えば水平に横になる状態にすることを妨げる記載は甲第1号証に存在しないし,それを妨げる特段の事情が当業者に認識されるものでもない。そして,吐風環13を例えば水平に横になる状態に回転させると,少なくともネツクピース10すなわち基部台座の周囲で横になった状態ということができる。
ところで,先のとおり甲1発明において吐風環13が回転可能に固定される仰角の範囲に関し特段特定されていないものの,甲第1号証の図示内容からすると吐風環13が基台1に接することがみて取れるから,これをぐるりと完全に一回転させることには支障があるともとらえ得る。しかし,図示内容はあくまでも例に過ぎず,吐風環13と基台1の両者の大きさは適宜設定し得るものであって,基台1に接することなく吐風環13が一回転できる大きさとすることでぐるりと完全に一回転させられる態様において回転可能に基部台座上に固定することができる。
また,被請求人は平成26年12月24日付け回答書7ページ下から12~1行において,ノズル組立体が基部台座の周囲で横になる角度とは,水平に限らず,「装置が未使用の場合,占有空間を節約するために折り畳むことができる」作用効果を奏することができる程度の角度を意味する旨,述べている。
そうしてみると,甲1発明において吐風環13を回転させ,第1図の上方に垂直な状態から,その反対の下方に垂直な状態までの間の状態とした,基部台座の周囲で横になった状態とすることにより,吐風環13を基部台座内のインペラ(送風羽根5)及び電気モータ(モータ2)の周囲を取り囲むように配置することもできる。
したがって,甲1発明において,上記相違点1-1に係る本件特許発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
また,不使用時に製品をコンパクトな形状にして収納することは,本件出願の優先日前に一般製品の普遍的な技術課題であったといえるし,甲第26号証に記載された技術的事項からして,扇風機の技術分野においてもコンパクトに折り畳むことが可能なものが知られていたことからすると,装置が未使用の場合,占有空間を節約するために折り畳むことができるという本件特許発明1の効果は格別なものとはいえない。
なお,被請求人は答弁書の12頁下から9~2行において,”基台1が本件発明1の基部台座に相当するのである。そして,請求人が本件発明1の基部台座の一部であるとするネツクピース10は,本件発明1のピボット構成要素を成すものである。ピボット構成要素に関して,請求人は,「『吐風環13の両端とネツクピース10の吐気口12の結合部分』は,本件特許発明の『ピボット構成要素』に相当する。」と認定しているが,この認定も誤りである。つまり,正しくは,吐風環13の両端部及びネツクピース10が本件発明1のピボット構成要素に相当するのである。”と主張するが,甲1発明の「基台1及びネツクピース10」が本件特許発明1の「基部台座」に相当し,甲1発明の「回動機構」が本件特許発明1の「ピボット構成要素」に相当していることは,先に述べたとおりであるから,かかる主張は採用できない。
(3) 小括
よって,本件特許発明1は,甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-2 本件特許発明2について
(1) 対比
本件特許発明2と甲1発明2とを対比する。
前者と後者との間には,上記「2-1-1(1)」で述べた本件特許発明1と甲1発明との相当関係と同様の相当関係が成り立つ。
さらに,機能・構造からして,後者の「回転軸2a」は前者の「回転軸」に相当する。
また,前者の「空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口」における「前方」について,特許明細書の段落【0057】に「複数列の空気供給出口26から噴出する気流は、軸線Xに収束するように案内されるので、ノズル組立体20から発生する気流は、実質的にリング状又は環状形状の形態で前方に噴出され、・・・」と記載されていることからすると,ノズル組立体から噴出する方向が「前方」であると解せる。そうすると,後者の「空気を吐出する」ことは空気を噴出することでもあり,その噴出方向が前方であるから,結局,後者の「空気を吹き込むための細いスリット14」は前者の「空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口」に相当している。
前者の「インペラ及び前記電気モータの回転軸は、前記基部台座の載置面に対して平行且つ前後方向に配置され」において,まず,「基部台座の載置面」とは,必ずしも明確であるとはいえないものの,特許明細書の記載(段落【0046】「図5A-図5Cを参照すると、本装置は、単にノズル組立体20の設置方向及びピッチ角度を調節することによって、床、テーブル、及び垂直壁に配置することができる。」や段落【0061】「本発明による空気を吹き込むための装置100の基部台座は、本発明による空気を吹き込むための装置100を、床、テーブル、及び垂直取り付け体上に配置することができるように、空気を吹き込むための装置を所定位置に固定するための連結部材を備える。」)からして,床やテーブルに載せて配置する際に,載置する水平面を指すと解せる。つぎに,基部台座の載置面に対して「平行且つ前後方向」とは,先の「前方」を考慮すると,載置面と平行であり,空気を吹き出す方向を指している。一方,後者の「底板7」は脚9を周縁部に固着しており,扇風機を使用する際の載置面であるといえるものの,回転軸2aは底板に垂直且つ上下方向に配置されており,平行且つ前後方向に配置されるものではない。そうすると,前者の「インペラ及び前記電気モータの回転軸は、前記基部台座の載置面に対して平行且つ前後方向に配置され」る態様と,後者の「送風羽根5及び前記モータ2の回転軸2aは,前記基台1に固着した底板7に対して垂直且つ上下方向に配置され」る態様とは,「インペラ及び前記電気モータの回転軸は、前記基部台座の載置面に対して所定の位置関係に配置され」る態様において共通している。
さらに,前者の「基部台座の前部に位置する」の「前部」については,空気供給出口26から噴出する気流が収束する軸線Xを載置面に平行かつ前後方向にそろえた際に,基部台座の前後方向の空気を噴出する方向が前方であって,それに対応する箇所がその「前部」と解せる。そうすると,前者の「ノズル組立体の前記取り入れ端部は、前記基部台座の前部に位置する」態様と後者の「吐風環13の両端部は,前記基台1及びネツクピース10の上部に位置する」態様とは,「ノズル組立体の前記取り入れ端部は、前記基部台座の所定部に位置する」態様において共通している。
そうすると,両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「ノズル組立体により空気を吹き込むための装置であって,
気流を発生させて空気流を供給するための基部台座と,
前記基部台座によって支持されたノズル組立体と,
を備え,
前記ノズル組立体は,空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口を備え,
空気流通路が,前記基部台座と前記ノズル組立体との間に結合され,前記空気流通路の取り入れ端部が,前記基部台座の外面上に開放され,前記空気流通路の出力端部が,ピボット構成要素により前記ノズル組立体に結合され,
前記ノズル組立体の取り入れ端部が,前記ピボット構成要素により前記基部台座の出力端部に結合され,
インペラ及び該インペラを回転させるための電気モータが,前記基部台座内に設けられ,前記ノズル組立体は,前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は該基部台座に対して回転可能であり,
前記インペラ及び前記電気モータの回転軸は,前記基部台座の載置面に対して所定の位置関係に配置され,
前記ノズル組立体の前記取り入れ端部は,前記基部台座の所定部に位置する,
空気を吹き込むための装置。」
[相違点2-1]
ノズル組立体が基部台座に対して回転可能である態様に関し,本件特許発明2では基部台座の周囲で横になるように回転可能であり,任意の方向でピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定されるのに対し,甲1発明2ではピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定されるものの「任意の方向で」とは特定されておらず,また,俯仰角調整可能である点。
[相違点2-2]
本件特許発明2ではインペラ及び電気モータの回転軸は,基部台座の載置面に対して「平行且つ前後方向」に配置され,ノズル組立体の取り入れ端部は,基部台座の「前部」に位置するのに対し,甲1発明2ではインペラ及び電気モータの回転軸は,基部台座の載置面に対して「垂直且つ上下方向」に配置され,ノズル組立体の取り入れ端部は,基部台座の「上部」に位置する点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点2-1]について
上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明2において吐風環13を例えば水平に横になる状態に回転させると,少なくともネツクピース10すなわち基部台座の周囲で横になった状態ということができ,甲1発明2のノズル組立体がピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定される態様は少なくとも所定の範囲内において「任意の方向で」回転可能に固定されることといえる。
そうすると,甲1発明2において,上記相違点2-1に係る本件特許発明2の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点2-2]について
甲1発明2において,ことさら,吐風環13の両端部を空気を吐出するための扇風機の前部に位置するように配置し,かつ,モータ2の回転軸2aを底板7に対して平行且つ前後方向に配置するように構成を変更させることにつき,合理的な動機は見当たらない。
請求人は審判事件弁駁書5ページ下から14~9行において,資料4に示すように脚9の位置を変更することも,甲第1号証に記載の発明の要旨を逸脱しない範囲内において可能である旨,主張するものと認められる。しかしながら,甲第1号証には,脚9は底板7に固着したものであって,「基台1は、下部に大円筒部1aを、」有する旨記載されているから,甲第1号証において円筒部を載置面とすることが想定されているとはいえないし,資料4に示すように脚9の位置を変更することは,ネックピース10を基台1に回動可能とすることで吐風環13を基台1に対して首振調整可能に支持して風向きを左右所望の向きに定めることができるとの機能を害することとなる。
そうすると,甲1発明2において,上記相違点2-2に係る本件特許発明2の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことということはできない。
(3) 小括
よって,本件特許発明2は,甲1発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
2-1-3 本件特許発明3について
(1) 対比
本件特許発明3と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は次のとおりである。
[相違点3-1]
ノズル組立体が基部台座に対して回転可能である態様に関し,本件特許発明3では0°-360°の仰角でピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定され,基部台座の周囲で横になるように回転可能であり,前記基部台座の周囲で横になるように回転されたとき,前記基部台座内のインペラ及び電気モータの周囲を取り囲むように配置されるのに対し,甲1発明ではピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定されるものの「0°-360°の仰角で」とは特定されておらず,また,俯仰角調整可能である点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点3-1]について
上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において吐風環13を基台1の周りに一回転できる大きさとすることで「0°-360°の仰角で」回転可能に固定することもできることからすると,甲1発明において,上記相違点3-1に係る本件特許発明3の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
(3) 小括
よって,本件特許発明3は,甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-4 本件特許発明4について
(1) 対比
本件特許発明4と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点4-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点4-2]
本件特許発明4では,空気フィルタ組立体が基部台座の表面上の空気流通路の取り入れ端部の開口部に配置されるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点4-1]について
相違点4-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点4-1に係る本件特許発明4の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点4-2]について
甲第2(3)号証には,扇風機組立体において,フィルタ26(本件特許発明4の「空気フィルタ組立体」に相当する。以下,同様。)が基部16の空気入口24a,b(「基部台座の表面上の空気流通路の取り入れ端部の開口部」)に隣接して位置決めされることが記載されている。
そして,空気の流路が設けられた構造体において,構造体中に塵芥等が進入することを防ぐために,空気の流路にフィルタ機構を設けることは,例示するまでもなく本件出願の優先日前に普通に行われていたことである。
したがって,甲1発明に甲第2(3)号証に記載された技術的事項を適用し,甲1発明において,上記相違点4-2に係る本件特許発明4の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
また,本件特許発明4の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載された技術的事項から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明4は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-5 本件特許発明5について
(1) 対比
本件特許発明5と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点5-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点5-2]
本件特許発明5では,インペラ及び電気モータが,基部台座内のケーシングに同軸に収容され,気流を発生させるための空気供給組立体を構成し,空気フィルタ組立体が,前記ケーシング上の空気流通路の取り入れ端部の開口部に設置されるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点5-1]について
相違点5-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点5-1に係る本件特許発明5の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点5-2]について
甲第2(3)号証には,扇風機組立体において,空気流を作り出すためのモータ22は,扇風機組立体100の基部16の内側に位置し,モータハウジング28によって支持され,羽根車30は,モータ22から外向きに延びる回転軸に接続されており,モータハウジング28は羽根車30への入口34を備え,フィルタ26は,扇風機組立体100のモータ22及び羽根車30の上流、並びに空気入口24a、24bの下流に置かれることが記載され,また,羽根車30(本件特許発明5の「インペラ」に相当する。以下,同様。)及びモータ22(「電気モータ」)は,モータハウジング28(「基部台座内のケーシング」)に回転軸に接続されて(同軸に)支持され(収容され),空気流を作り出すものであって(「気流を発生させるための空気供給組立体を構成し」),フィルタ26(「空気フィルタ組立体」)が,羽根車30への入口34(「ケーシング上の空気流通路の取り入れ端部の開口部」)に設置されることが示唆されている。
そして,空気の流路が設けられた構造体において,構造体中に塵芥等が進入することを防ぐために,空気の流路にフィルタ機構を設けることは,例示するまでもなく本件出願の優先日前に普通に行われていたことである。
したがって,甲第2(3)号証に示唆された技術的事項をふまえれば,甲1発明において,上記相違点5-2に係る本件特許発明5の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
また,本件特許発明5の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載・示唆された技術的事項から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明5は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載・示唆された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-6 本件特許発明6について
(1) 対比
本件特許発明6(特に,請求項4を引用するもの。)と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-4(1)」で述べた[一致点]と同様であり,上記「2-1-4(1)」で述べた[相違点4-1]及び[相違点4-2]と同様の相違点([相違点6-1]及び[相違点6-2]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点6-3]
本件特許発明6では,空気フィルタ組立体が,空気流通路の各々の取り入れ端部の開口部に着脱可能に設置されるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点6-1]及び[相違点6-2]について
相違点6-1及び相違点6-2は,相違点4-1及び相違点4-2と同様のものであるから,上記「2-1-4(2)」で[相違点4-1]及び[相違点4-2]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点6-1及び相違点6-2に係る本件特許発明6の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点6-3]について
甲第2(3)号証には,扇風機組立体において,扇風機組立体のフィルタ配置を電気器具内に配置する方式は,対応する表面の嵌合,押し込み又はスナップ固定,又は他の同等の手段によって形成することができることが記載され,特にスナップ固定できることからして,扇風機組立体のフィルタ(本件特許発明6の「空気フィルタ組立体」に相当する。)を着脱可能とすることが示唆されている。
そして,一般にフィルタは使用により劣化することから交換されるものであって,フィルタを交換の便のために着脱可能とすることは本件出願の優先日前に普通に行われていたことである。
そうすると,甲1発明に空気フィルタ組立体を具体的に配置する際に,フィルタを着脱自在とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
したがって,甲第2(3)号証に示唆された技術的事項をふまえれば,甲1発明において,上記相違点6-3に係る本件特許発明6の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
また,本件特許発明6の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載・示唆された技術的事項から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明6は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載・示唆された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-7 本件特許発明7について
(1) 対比
本件特許発明7と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-5(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-5(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-5(1)」で述べた[相違点5-1]及び[相違点5-2]と同様の相違点([相違点7-1]及び[相違点7-2]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点7-3]
本件特許発明7では,空気フィルタ組立体が,基部台座の表面上の空気流通路の取り入れ端部の開口部と空気供給組立体のケーシングとの間に設けられるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点7-1]及び[相違点7-2]について
相違点7-1及び相違点7-2は,相違点5-1及び相違点5-2と同様のものであるから,上記「2-1-5(2)」で[相違点5-1]及び[相違点5-2]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点7-1及び相違点7-2に係る本件特許発明7の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点7-3]について
甲第2(3)号証には,扇風機組立体において,空気入口24a(本件特許発明7の「基部台座の表面上の空気流通路の取り入れ端部の開口部」に相当する。以下,同様。)を通って基部16に吸い込まれた空気流は,モータハウジング28(「空気供給組立体のケーシング」)に入る前にフィルタ26(「空気フィルタ組立体」)を通過するように,フィルタ26は,扇風機組立体100のモータ22及び羽根車30の上流,並びに空気入口24a,24bの下流に置かれるという技術的事項が記載されている。
したがって,甲1発明に甲第2(3)号証に記載された技術的事項を適用し,甲1発明において,上記相違点7-3に係る本件特許発明7の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
また,本件特許発明7の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載・示唆された技術的事項から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明7は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載・示唆された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-8 本件特許発明8について
(1) 対比
本件特許発明8(特に,請求項4を引用するもの。)と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-4(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-4(1)」で述べた[相違点4-1]及び[相違点4-2]と同様の相違点([相違点8-1]及び[相違点8-2]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点8-3]
本件特許発明8では,空気フィルタ組立体が,メッシュフィルタ,フィルタ積層体,又は該フィルタ積層体に基づくフィルタカートリッジであるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点8-1]ないし[相違点8-2]について
相違点8-1及び相違点8-2は,相違点4-1及び相違点4-2と同様のものであるから,上記「2-1-4(2)」で[相違点4-1]及び[相違点4-2]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点8-1及び相違点8-2に係る本件特許発明8の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点8-3]について
甲第2(3)号証には,扇風機組立体において,扇風機組立体のフィルタは,基部の周囲に位置するメッシュ又は多孔質材料を含むことができ,外側ケーシングの一部を形成することができ又は外側ケーシングに装着することができること,すなわち,扇風機組立体のフィルタ(本件特許発明8の「空気フィルタ組立体」に相当する。)をメッシュフィルタとすることが記載されている。
そうすると,甲1発明に空気フィルタ組立体を配置する際に,具体的なフィルタとしてメッシュフィルタとすることは,当業者が適宜なし得たことである。
したがって,甲1発明に甲第2(3)号証に記載された技術的事項を適用し,甲1発明において,上記相違点8-3に係る本件特許発明8の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
また,本件特許発明8の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載された技術的事項から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明8は,甲1発明及び甲第2(3)号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-9 本件特許発明9について
(1) 対比
本件特許発明9と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点9-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点9-2]
本件特許発明9では,増速伝達機構が,基部台座においてインペラを回転させるための電気モータの出力軸に取り付けられ,プーリ駆動部及び歯車対伝達機構を含むのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点9-1]について
相違点9-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点9-1に係る本件特許発明9の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点9-2]について
甲第16号証には,駆動及び従動プーリを含む増速伝達機構とすることが記載されている。
甲第17号証には,モータを用いる増速駆動装置において,プーリを含むこと,及びギヤにより行う構成としてもよいことが記載されている。
そもそも,上記甲第16,17号証に記載されている事項を含め,モータによる回転駆動力を減速機や増速機を介して伝達することは動力伝達機構として本件出願の優先日前に周知の技術であり,その動力伝達の機構としてベルト・ギヤ機構は慣用されていてプーリ及び歯車対を含むものは本件出願の優先日前に周知の技術であって,モータ駆動装置等の駆動伝動機構において,プーリ・歯車対の増速伝達機構を設置する伝動機構は例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術である。
したがって,甲1発明に周知技術を適用し,甲1発明において,上記相違点9-2に係る本件特許発明9の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
また,本件特許発明9の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明9は,甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-10 本件特許発明10について
(1) 対比
本件特許発明10と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点10-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点10-2]
本件特許発明10では,ノズル組立体が,円形又は長円形リングのような全体形状に成形され,前記組立体の内側キャビティにおいて気流を受け入れるための整流リングと,外側リングの周囲又は長円形の周囲に配置され空気を吹き込むための細隙形状ノズルとを含むのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点10-1]について
相違点10-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点10-1に係る本件特許発明10の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点10-2]について
甲第1号証には,吐風環13(本件特許発明10の「ノズル組立体」に相当する。以下,同様。)は,円形又は四角形の環状リングのような全体形状に成形され,前記吐風環の内に中空状に形成した(「内側キャビティにおいて」)空気を流す部分(「気流を受け入れるための部分整流リング」)と,吐風環の全周にわたり形設され(「外側リングの周囲に配置され)空気を吐出する(「吹き込む」)ためのスリット14(「細隙形状ノズル」)とを含むことが記載されている。
そして,甲1発明に甲第1号証に記載された技術的事項を適用することは,当業者が容易になし得たことである。
したがって,甲1発明において,上記相違点10-2に係る本件特許発明10の構成とすることは,当業者が格別な創作能力を要さずに得たことである。
また,本件特許発明10の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明10は,甲1発明及び甲第1号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-11 本件特許発明11について
(1) 対比
本件特許発明11と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-10(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-10(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-10(1)」で述べた[相違点10-1]及び[相違点10-2]と同様の相違点([相違点11-1]及び[相違点11-2]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点11-3]
本件特許発明11では,整流リングが,次第に狭くなる先細区域を含み,空気を吹き込むための細隙形状ノズルが,前記先細区域の先端に位置するのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点11-1]及び[相違点11-2]について
相違点11-1及び相違点11-2は,相違点10-1及び相違点10-2と同様のものであるから,上記「2-1-10(2)」で[相違点10-1]及び[相違点10-2]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点11-1及び相違点11-2に係る本件特許発明11の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点11-3]について
ノズルは先端の細孔から流体を噴出するための部材であるから,その流量や流速に応じて,ノズル部分に次第に狭くなる先細区域を設けることは,当業者であれば,当然に考慮すべき技術的事項といえる。また,甲1発明のスリット14において,そこに至る流路を急激に絞ることは流路抵抗が大となることから,徐々に狭めるようにして,ノズル部分に次第に狭くなる先細区域を設けることは,当業者が適宜行い得た程度のことといえる。
さらに,甲第18(19)号証には,Fig.2,Fig.3にあるように,先端部の環状出口(annular outlet)17’に向かって次第に狭くなる先細区域を含むノズル13が図示されると共に,送風機において,ノズルの断面積が後端部から出口の方に次第に減少するように,ノズルの内側側壁が前方に向かって収束している形状とすることが記載されている。
そもそも,上記甲第18号証に記載されている事項を含め,ノズル部分に次第に狭くなる先細区域を設けることは,例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術である。
したがって,甲1発明のノズル部分に次第に狭くなる先細区域を設けることで,甲1発明において,上記相違点11-3に係る本件特許発明11の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
また,本件特許発明11の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明11は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-12 本件特許発明12について
(1) 対比
本件特許発明12と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-11(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-11(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-11(1)」で述べた[相違点11-1]ないし[相違点11-3]と同様の相違点([相違点12-1]ないし[相違点12-3]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点12-4]
本件特許発明12では,空気を吹き込むための細隙形状ノズルの幅を定める2つの対向面の間の距離が,0.2mm-15.0mmであり,前記ノズルの空気供給部品の空気吹き込み方向と整流リングの中心軸線との間に形成される角度が,0.2°-20.0°であり,前記空気吹き込み方向の前記空気供給部品の長さが,0.2mm-30.0mmであるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点12-1]ないし[相違点12-3]について
相違点12-1ないし相違点12-3は,相違点11-1ないし相違点11-3と同様のものであるから,上記「2-1-11(2)」で[相違点11-1]ないし[相違点11-3]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点12-1ないし相違点12-3に係る本件特許発明12の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点12-4]について
甲1発明において,それを具体化する際には,設計者が扇風機としての機能等を考慮して各部の寸法を適宜設定せねばならないものであるが,そのノズルの先端の細孔の寸法についてもこれと変わるところはない。
そして,本件特許発明12において特定された,空気を吹き込むための細隙形状ノズルの幅を定める2つの対向面の間の距離は,0.2mm-15.0mmであり,前記ノズルの空気供給部品の空気吹き込み方向と整流リングの中心軸線との間に形成される角度は,0.2°-20.0°であり,前記空気吹き込み方向の前記空気供給部品の長さは,0.2mm-30.0mmであるが,これらは,いずれも寸法を最適化するにあたって採用し得た程度のものである。
したがって,甲1発明において,上記相違点12-4に係る本件特許発明12の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
また,本件特許発明12の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明12は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-13 本件特許発明13について
(1) 対比
本件特許発明13と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-11(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-11(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-11(1)」で述べた[相違点11-1]ないし[相違点11-3]と同様の相違点([相違点13-1]ないし[相違点13-3]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点13-4]
本件特許発明13では,空気を吹き込むための細隙形状ノズルの幅を定める2つの対向面が,前記ノズルに沿って延びる少なくとも1つの仕切り板によって分離され,該仕切り板が,固定部材によって前記2つの対向面に結合されて,前記ノズルに沿って延びる複数列の空気供給出口を形成し,空気供給出口の2つの隣接する列が,整列して又は千鳥配列で配置され,各空気供給出口が,各空気供給出口を定める対向面を含み,各ペアの対向面の間の距離の合計が,0.2mm-15mmであり,前記ノズルの空気供給部品の空気吹き込み方向と整流リングの中心軸線との間に形成される角度が,0.2°-20.0°であり,前記空気吹き込み方向の空気供給部品の長さが,0.2mm-30.0mmであるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点13-1]ないし[相違点13-3]について
相違点13-1ないし相違点13-3は,相違点11-1ないし相違点11-3と同様のものであるから,上記「2-1-11(2)」で[相違点11-1]ないし[相違点11-3]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点13-1ないし相違点13-3に係る本件特許発明13の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点13-4]について
甲1発明において,それを具体化する際には,設計者が扇風機としての機能等を考慮して各部の形状・構造や寸法を適宜設定せねばならないものであるが,そのノズルの先端の細孔の形状・構造や寸法についてもこれと変わるところはない。
そして,ノズルの形状・構造に係り,本件特許発明13において特定された,空気を吹き込むための細隙形状ノズルの幅を定める2つの対向面は,ノズルに沿って延びる少なくとも1つの仕切り板によって分離され,該仕切り板は,固定部材によって前記2つの対向面に結合されて,前記ノズルに沿って延びる複数列の空気供給出口を形成し,空気供給出口の2つの隣接する列は,整列して又は千鳥配列で配置され,各空気供給出口は,各空気供給出口を定める対向面を含むものとしたことは,ノズルやその先端の空気供給出口を複数列とするとともにその配置を特定したものといえ,それぞれ風量や風速,寸法等を考慮して上記具体化する際に適宜採用し得たことといえ,さらに,各ペアの対向面の間の距離の合計は,0.2mm-15mmであり,前記ノズルの空気供給部品の空気吹き込み方向と整流リングの中心軸線との間に形成される角度は,0.2°-20.0°であり,前記空気吹き込み方向の空気供給部品の長さは,0.2mm-30.0mmであるとしたことは,いずれも寸法を最適化するにあたって採用し得た程度のものである。
したがって,甲1発明において,上記相違点13-4に係る本件特許発明13の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
また,本件特許発明13の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明13は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-14 本件特許発明14について
(1) 対比
本件特許発明14と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点14-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点14-2]
本件特許発明14では,ピボット構成要素が,基部台座内に取り付けられるT字形中空パイプを含み,前記T字形中空パイプの水平パイプの2つの端部が,ノズル組立体の取り入れ端部と連通状態にあり,前記T字形中空パイプの垂直パイプが,前記基部台座の出口端部と連通状態にあり,前記水平パイプの前記2つの端部が,前記水平パイプの周りで回転可能なフランジにはめ込まれ,前記フランジ及び前記ノズル組立体が,前記ノズル組立体及び前記フランジが前記水平パイプの周りを共に回転するように一緒に固定されるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点14-1]について
相違点14-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点14-1に係る本件特許発明14の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点14-2]について
空気流通部を中空パイプで構成することも,また,その回動枢支部において中空パイプを用いることも,例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術にすぎない。
また,甲第1号証には,ネツクピース10の2つの吐気口12(本件特許発明14の「(水平パイプの)2つの端部」に相当する。以下,同様。)は,吐風環13の両端部(「取り入れ端部」)と連通状態にあり,ネツクピース10の下面の開口部11は,基台1と連通状態にあり,ネツクピース10の2つの吐気口12には,フランジあるいは鍔状のものが形成された吐風環13の両端部が,ネツクピース10に回動可能に嵌着している,という技術的事項が記載されている。
そして,甲1発明において,その空気流通部を備えた回動枢支部について,中空パイプを設けることによってその流路を確定することは適宜行い得る程度のことであって,甲1発明の空気流通部は上流側から2つの回動枢支部に分岐するのであるから,そのパイプの形式として流路形状に倣いT字形中空パイプとすることも当業者が適宜採用し得るし,このT字形中空パイプを甲1発明の空気流通部に具体的に適応する際に,基部台座内に取り付け,T字形中空パイプの水平パイプの2つの端部は,ノズル組立体の取り入れ端部と連通状態にあり,T字形中空パイプの垂直パイプは,基部台座の出口端部と連通状態にあり,水平パイプの2つの端部は,水平パイプの周りで回転可能なフランジにはめ込まれ,フランジ及びノズル組立体は,ノズル組立体及びフランジが水平パイプの周りを共に回転するように一緒に固定されるとすることは,当業者が適宜なし得たことである。
したがって,甲1発明をして,上記相違点14-2に係る本件特許発明14の構成とすることは,当業者が格別な創作能力を要さずになし得たことである。
また,本件特許発明14の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明14は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-15 本件特許発明15について
請求項15は削除された。
2-1-16 本件特許発明16について
請求項16は削除された。
2-1-17 本件特許発明17について
請求項17は削除された。
2-1-18 本件特許発明18について
(1) 対比
本件特許発明18と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-14(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-14(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-14(1)」で述べた[相違点14-1]及び[相違点14-2]と同様の相違点([相違点18-1]及び[相違点18-2]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点18-3]
本件特許発明18では,ピボット構成要素が,ノズル組立体の滑らかな回転を可能にする組立体に結合され,基部台座のケーシングに固定されるバネ及び該バネ上に配置されるローラーボールを含み,円形鋸歯状結合部分が,各フランジの外周上に配置され,前記各ローラーボールが,各鋸歯状結合部分の凹形部分に支えられ,結果的に水平パイプの周りで前記ノズル組立体の滑らかな回転が可能になるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点18-1]及び[相違点18-2]について
相違点18-1及び相違点18-2は,相違点14-1及び相違点14-2と同様のものであるから,上記「2-1-14(2)」で[相違点14-1]及び[相違点14-2]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点18-1及び相違点18-2に係る本件特許発明18の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点18-3]について
甲第20号証には,周方向に環状に形成された連続する54個の凹凸部位で構成されている波状面部283に,コイルばね286の付勢によりクリックボール284を係合させるクリック機構であって,回転させるとクリックボール284が波状面部283の凸部位を乗り越えながら凹部位に次々に係合してゆき,1回転を54に分割した間欠回転,すなわちクリック回転が行われ,且つ停止位置が安定するクリック機構に係る技術的事項が記載されている。
また,甲第21号証には,コイルバネ11の付勢によりボール10を切欠き溝9に係合させるボールラチェットに係る技術的事項が記載されている。
そもそも,上記甲第20,21号証に記載されている事項を含め,一般的な固定機構の技術分野において,バネ及び該バネ上に配置されるローラーボールを含み,円形鋸歯状結合部分が外周上に配置され,前記各ローラーボールは,各鋸歯状結合部分の凹形部分に支えられ回転が可能になる固定機構は例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術である。
そして,この周知技術を具体的に適応する際に,ノズル組立体の滑らかな回転を可能にする組立体に結合され,基部台座のケーシングに固定されるバネ及び該バネ上に配置されるローラーボールを含み,円形鋸歯状結合部分が,各フランジの外周上に配置され,前記各ローラーボールは,各鋸歯状結合部分の凹形部分に支えられ,結果的に水平パイプの周りで前記ノズル組立体の滑らかな回転が可能になるものとすることは,当業者が適宜なし得たことである。
したがって,甲1発明において,上記相違点18-3に係る本件特許発明18の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
また,本件特許発明18の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明18は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-19 本件特許発明19について
(1) 対比
本件特許発明19と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-14(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-14(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-14(1)」で述べた[相違点14-1]及び[相違点14-2]と同様の相違点([相違点19-1]及び[相違点19-2]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点19-3]
本件特許発明19では,ピボット構成要素が,ノズル組立体の滑らかな回転を可能にするプラスチック部品と結合され,突起部が,フランジの円形鋸歯状結合部分に対応する前記プラスチック部品に配置され,前記突起部が,前記鋸歯状結合部分の各凹形部分に支えられ,結果的に水平パイプの周りで前記ノズル組立体の滑らかな回転が可能になるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点19-1]及び[相違点19-2]について
相違点19-1及び相違点19-2は,相違点14-1及び相違点14-2と同様のものであるから,上記「2-1-14(2)」で[相違点14-1]及び[相違点14-2]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点19-1及び相違点19-2に係る本件特許発明19の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点19-3]について
甲第20号証には,周方向に環状に形成された連続する54個の凹凸部位で構成されている波状面部283に,コイルばね286の付勢によりクリックボール284を係合させるクリック機構であって,回転させるとクリックボール284が波状面部283の凸部位を乗り越えながら凹部位に次々に係合してゆき,1回転を54に分割した間欠回転,すなわちクリック回転が行われ,且つ停止位置が安定するクリック機構に係る技術的事項が記載されている。
また,甲第21号証には,コイルバネ11の付勢によりボール10を切欠き溝9に係合させるボールラチェットに係る技術的事項が記載されている。
そもそも,上記甲第20,21号証に記載されている事項を含め,一般的な固定機構の技術分野において,突起部が,フランジの円形鋸歯状結合部分に配置され,前記突起部は,前記鋸歯状結合部分の各凹形部分に支えられ,滑らかな回転が可能になる固定機構は例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知技術であり,材料をプラスチック製としたプラスチック部品とすることも本件出願の優先日前に周知の技術である。
そして,この周知技術を具体的に適応する際に,ピボット構成要素は,ノズル組立体の滑らかな回転を可能にするプラスチック部品としたものと結合され,突起部が,フランジの円形鋸歯状結合部分に対応する前記プラスチック部品に配置され,前記突起部は,前記鋸歯状結合部分の各凹形部分に支えられ,結果的に水平パイプの周りで前記ノズル組立体の滑らかな回転が可能になるものとすることは,当業者が適宜なし得たことである。
したがって,甲1発明において,上記相違点19-3に係る本件特許発明19の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
また,本件特許発明19の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明19は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-20 本件特許発明20について
(1) 対比
本件特許発明20と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点20-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点20-2]
本件特許発明20では,ノズル組立体のピッチ回転を制御するための第2の電気モータ,及び前記第2の電気モータの出力軸に結合される少なくとも1つの駆動ホイールが,基部台座内のケーシングに設けられ,駆動ホイールのピボット構成要素との係合により,前記ノズル組立体が滑らかに回転するのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点20-1]について
相違点20-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点20-1に係る本件特許発明20の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点20-2]について
甲第17号証には,モータを用いる駆動装置において,プーリを含むこと,及びギヤにより行う構成としてもよいこと,が記載されている。
そもそも,上記甲第17号証に記載されている事項を含め,一般的な回転駆動力伝動機構の技術分野において,電気モータの出力軸に結合される駆動ホイールを用いた伝動機構は例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術である。
そして,この周知技術を具体的に適応する際に,駆動ホイールをケーシングに設けて,駆動ホイールのピボット構成要素との係合により滑らかに回転するなどの適応箇所の機能・構造等の必要に応じて工夫をすることは設計者が適宜設定し得る技術的事項である。
したがって,甲1発明において,上記相違点20-2に係る本件特許発明20の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
また,本件特許発明20の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明20は,甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-21 本件特許発明21について
請求項21は削除された。
2-1-22 本件特許発明22について
請求項22は削除された。
2-1-23 本件特許発明23について
(1) 対比
本件特許発明23と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点23-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点23-2]
本件特許発明23では,ノズル組立体を水平方向に回転させて方位角を調節するために基部台座内に配置される旋回モータを更に含み,前記旋回モータが,伝達アームに結合され,それにより前記伝達アームに結合される回転軸を回転させ,結果的に,前記ノズル組立体を固定する前記基部台座の上部と一緒にノズル組立体を水平平面上で回転させるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点23-1]について
相違点23-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点23-1に係る本件特許発明23の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点23-2]について
甲第1号証には,ネツクピース10を上下方向に直交する方向に回動できること,したがって,吐風環13(本件特許発明23における「ノズル組立体」に相当する。以下,同様。)を水平方向に回動できることが記載されている。
甲第4(5)号証には,羽根なし扇風機が,基部台座1内に配置されるステッピングモータ11(「旋回モータ」)を含み,ステッピングモータ11は,歯車部材12に結合され,それにより歯車部材12に結合されるカバー14を回転軸を中心に回転させる機構が記載されている(なお,「2-2-1 本件出願の優先権主張について」において後述のとおり,2010年9月1日に頒布された甲第4号証は,本件出願の出願前に頒布されたものであり,仮に,一部の優先権主張が認められたとしてもその日前に頒布されたものに相違ない。)。
また,乙第5号証には,「左右の首振り(「水平方向に回転」)を得るために,補助モータ9(「旋回モータ」)をリンク22(「伝達アーム」)に結合させ,前記リンク22に結合される出力軸9a(「回転軸」)を回転させる扇風機の首振機構の伝動機構。」が記載されている。
さらに,乙第7号証には,「左右往復回転(「水平方向に回転」)させる首振動作を得るために,首振モータ6(「旋回モータ」)を首振ロツド20(「伝達アーム」)に結合させ,前記首振ロツド20に結合される出力軸6a(「回転軸」)を回転させる扇風機の首振動作の伝動機構。」が記載されている。
そもそも,上記甲第4(5)号証に記載されている事項,乙第5,7号証に記載されている事項を含め,一般的な伝動機構の技術分野において,水平方向の回転運動を得るために,旋回モータを伝達アームに結合させ,前記伝達アームに結合される回転軸を回転させる伝動機構は例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術である。
そして,甲1発明において,甲第1号証に記載された技術的事項を考慮し,この周知技術を具体的に適応する際に,旋回モータを基部台座内に設ける等の工夫をすることは設計者が適宜設定し得る技術的事項である。
したがって,甲1発明において,上記相違点23-2に係る本件特許発明23の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
また,本件特許発明23の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明23は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-24 本件特許発明24について
(1) 対比
本件特許発明24と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-1(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-1(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-1(1)」で述べた[相違点1-1]と同様の相違点([相違点24-1]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点24-2]
本件特許発明24では,基部台座が,所定位置に空気を吹き込むための装置を固定するための連結部材を備えるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点24-1]について
相違点24-1は,相違点1-1と同様のものであるから,上記「2-1-1(2)」で述べたことをふまえると,甲1発明において,上記相違点24-1に係る本件特許発明24の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点24-2]について
甲第22号証には,壁掛型扇風機において,壁に取付けられた取付金具109と基台106に設けた引掛用孔107(本件特許発明25の「固定部品」に相当する。以下,同様。)とにより壁面に扇風機を掛けることが記載され,及び,底板4の挿入口6からスタンド3の押出口9に至る連通部10(「固定部品」)を設けて,壁面7に設けた壁掛金具11が連通部10を貫通して基台5を着脱可能に固定することが記載されている。
そもそも,上記甲第22号証に記載されている事項を含め,扇風機の技術分野において,壁掛け扇風機として使用すること,及びその基部部分に壁に掛け止めるための連結部材を備えることは例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術である。
したがって,甲1発明において,上記相違点24-2に係る本件特許発明24の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
また,本件特許発明24の全体構成により奏される効果は,甲1発明及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明24は,甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-25 本件特許発明25について
(1) 対比
本件特許発明25と甲1発明とを対比する。
上記「2-1-23(1)」で述べたことをふまえると,両者の一致点は上記「2-1-23(1)」で述べた[一致点]と同様であり,相違点は上記「2-1-23(1)」で述べた[相違点23-1]及び[相違点23-2]と同様の相違点([相違点25-1]及び[相違点25-2]という。)を有するとともに,以下の点でも相違する。
[相違点25-3]
本件特許発明25では,基部台座のハウジングが,所定位置に空気を吹き込むための装置を固定するための固定部品を備えるのに対し,甲1発明ではそのような特定はなされていない点。
(2) 判断
[相違点25-1]及び[相違点25-2]について
相違点25-1及び相違点25-2は,相違点23-1及び相違点23-2と同様のものであるから,上記「2-1-23(2)」で[相違点23-1]及び[相違点23-2]について述べたと同様に,甲1発明において,上記相違点25-1及び相違点25-2に係る本件特許発明25の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点25-3]について
甲第22号証には,壁掛型扇風機において,壁に取付けられた取付金具109と基台106に設けた引掛用孔107(本件特許発明25の「固定部品」に相当する。以下,同様。)とにより壁面に扇風機を掛けることが記載され,及び,底板4の挿入口6からスタンド3の押出口9に至る連通部10(「固定部品」)を設けて,壁面7に設けた壁掛金具11が連通部10を貫通して基台5を着脱可能に固定することが記載されている。
そもそも,上記甲第22号証に記載されている事項を含め,扇風機の技術分野において,壁掛け扇風機として使用すること,及びその基部部分のハウジングの所定の位置に壁に掛け止めるための固定部品を備えることは例示するまでもなく本件出願の優先日前に周知の技術である。
したがって,甲1発明において,上記相違点25-3に係る本件特許発明25の構成とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
また,本件特許発明25の全体構成により奏される効果は,甲1発明,甲第1号証に記載された技術的事項及び周知技術から予測し得る程度のものと認められる。
(3) 小括
よって,本件特許発明25は,甲1発明,甲第1号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2-1-26 まとめ
以上のとおりであるから,本件特許の請求項1,3ないし14,18ないし20,23ないし25に係る発明は,請求人の主張する無効理由1及び提出した証拠からして,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,それらに係る特許は,同法123条第1項第2号に該当し,無効にすべきものである。
また,本件特許の請求項2に係る発明は,請求人の主張する無効理由1及び提出した証拠によっては,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえないから,それに係る特許は,同法123条第1項第2号に該当せず,無効にすることはできない。
2-2 無効理由2について
2-2-1 本件出願の優先権主張について
本件出願は,次の(A)から(D)の出願に基づくパリ条約による優先権を主張する国際出願である。それら出願(A)から出願(D)の出願年月日と出願の番号(優先権主張番号)は,それぞれ以下のとおりである。
・出願(A):甲第9号証に係る出願の2010年5月27日と201020205107.7
・出願(B):甲第11号証に係る出願の2010年6月12日と201020224739.8
・出願(C):甲第13号証に係る出願の2010年9月7日と201020519265.X
・出願(D):甲第14号証に係る出願の2010年9月20日と201020536812.5
そして,出願(A)に係る甲第9(10)号証には,ノズル20は基部台座10に着脱可能に連結されて,不使用時の収納に便利なようにノズル20と基部台座10を取り外すことが可能であることが記載されており(段落【0034】),また,基部台座10にはノズル20の気流の噴射方向を調節するための「ピボット機構19」が設けられていることが記載されている(段落【0038】)ことは認められるが,「ノズル組立体は,ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であ」ることが記載されていると認められるには至らない。
また,出願(B)に係る甲第11(12)号証には,「ノズル組立体は,ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であ」ることが記載されていると認められるには至らない。
さらに,出願(C)に係る甲第13号証及び出願(D)に係る甲第14号証には,「ノズル組立体は,ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であ」ることが記載されていると認められるには至らない。
そして,出願(A)に係る甲第9(10)号証及び出願(B)に係る甲第11(12)号証からすると,上記のとおり,いずれも本件特許発明1及び本件特許発明2の発明を特定する事項である「ノズル組立体は,ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であ」ることが記載されていると認められるには至らないから,本件特許発明1及び本件特許発明2は各出願の出願書類(明細書,特許請求の範囲及び図面)に記載されている発明とはいえない。したがって,それぞれ出願(A)に係る2010年5月27日及び出願(B)に係る2010年6月12日の両優先権主張の効果は認められない。
さらに,出願(C)に係る甲第13号証及び出願(D)に係る甲第14号証からすると,それぞれ図面の記載内容を考慮しても,いずれも「ノズル組立体は,ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であ」ることが記載されていると認められるには至らないから,本件特許発明1及び本件特許発明2は各出願の出願書類(明細書,特許請求の範囲及び図面)に記載されている発明とはいえない。したがって,それぞれ出願(C)に係る2010年9月7日及び出願(D)に係る2010年9月20日の両優先権主張は認められない。
なお,仮に出願(C)に係る甲第13号証あるいは出願(D)に係る甲第14号証から「ノズル組立体は,ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は前記基部台座の周囲で横になるように該基部台座に対して回転可能であ」ることが記載されていると認められ,いずれかの出願に基づく優先権主張が認められたとしても,それらに基づいた優先日は出願(C)に係る2010年9月7日及び出願(D)に係る2010年9月20日であるから,2010年9月1日に頒布された甲第4号証はそれら優先日前に頒布されたものに相違ない。
2-2-2 本件特許発明1について
(1) 対比
本件特許発明1と甲4発明とを対比する。
機能・構造からして,後者の「送風口支持部材18・送風口格子部材19」は前者の「ノズル組立体」に相当し,同様に,「空気の風を発生させて送風する」態様は「気流を発生させて空気流を供給する」態様に,「基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15」は「基部台座」に,「有し」た態様は「備え」た態様に,「2mm×3mmの裂け目の送風口」は「細隙形状の開口」に,「空気通路」は「空気流通路」に,「連通され」た態様は「結合され」た態様に,「吸気口6」は「取り入れ端部」に,「筒状本体13に開口され」た態様は「基部台座の外面上に開放され」た態様に,「空気通路の端部」は「空気流通路の出力端部」に,「送風角度コントローラ20」は「ピボット構成要素」に,「送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置」は「ノズル組立体の取り入れ端部」に,「風道支持部材15の取付け位置に取り付けられ」た態様は「基部台座の出力端部に結合され」た態様に,「羽根9」は「インペラ」に,「メインモータ8」は「電気モータ」に,「内に収め」た態様は「内に設け」た態様に,「回動可能に支持され」た態様は「回転可能に固定され」た態様に,「回動可能」は「回転可能」に,それぞれ相当する。
また,後者の「空気を吹き出す」態様は羽根なし扇風機の送風格子部材から空気を吹き出して風を生成する態様を指し,一方,前者の「空気を吹き込む」態様はノズル組立体の細隙形状の開口から空気を出して風を生成する態様を指すから,結局,後者の「空気を吹き出す」態様は前者の「空気を吹き込む」態様に相当しており,同様に,後者の「空気を吹き出すための羽根なし扇風機」は前者の「空気を吹き込むための装置」に相当している。
そうすると,両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「ノズル組立体により空気を吹き込むための装置であって,
気流を発生させて空気流を供給するための基部台座と,
前記基部台座によって支持されたノズル組立体と,
を備え,
前記ノズル組立体は,空気を吹き込むための細隙形状の開口を備え,
空気流通路が,前記基部台座と前記ノズル組立体との間に結合され,前記空気流通路の取り入れ端部が,前記基部台座の外面上に開放され,前記空気流通路の出力端部が,ピボット構成要素により前記ノズル組立体に結合され,
前記ノズル組立体の取り入れ端部が,前記ピボット構成要素により前記基部台座の出力端部に結合され,
インペラ及び該インペラを回転させるための電気モータが,前記基部台座内に設けられ,前記ノズル組立体は,前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は該基部台座に対して回転可能である,空気を吹き込むための装置。」
[相違点1-1]
ノズル組立体が基部台座に対して回転可能である態様に関し,本件特許発明1では基部台座の周囲で横になるように回転可能であり,前記基部台座の周囲で横になるように回転されたとき,前記基部台座内のインペラ及び電気モータの周囲を取り囲むように配置されるのに対し,甲4発明では送風方向を制御するため送風口の全方位の角度を制御し風道支持部材15の内側で横になるように回転可能である点。
(2) 判断
上記相違点1-1について検討する。
甲第4号証には「送風口格子部材19には・・・。また、中空の設計により、扇風機の周囲の風を帯動して受動風から従動風へ変化させることも可能となる。」(段落【0015】)及び「送風方向を制御する点については、送風口支持部材18が中軸を円心として、風道支持部材15に取り付けられた送風角度コントローラ20により送風口の全方位の角度を制御する。」(段落【0016】)と記載されているから,送風口格子部材19は中空に設計されることにより,扇風機の周囲の風を帯動して受動風から従動風へ変化させることができるものであって,甲4発明は,その送風方向を制御するため送風口の全方位の角度を制御できるように,その風道支持部材15が送風口支持部材18・送風口格子部材19を外側から回転可能に支持するものである。そして,送風口支持部材18・送風口格子部材19が風道支持部材15の周囲で横になるように回転可能に支持するとなれば,後者が前者の内側になるように配置する必要があるところ,そのような配置関係は送風口格子部材を中空に設計したことによる機能を障害することとなり,送風の障害となることは技術的に明らかである。そうすると,甲4発明における風道支持部材15の内側で横になるように回転可能である送風口支持部材18・送風口格子部材19をして,基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15の周囲で横になるようにすることは,当業者が容易に想到し得たことではない。そして,ノズル組立体が,前記基部台座の周囲で横になるように回転されたとき,前記基部台座内のインペラ及び電気モータの周囲を取り囲むように配置されるものとすることもまた,当業者が容易に想到し得たことではない。
また,甲4発明は上述のとおり「送風口支持部材18・送風口格子部材19」が風道支持部材15の内側に配置されているのに対して,甲第1号証に記載のものは,「吐風環13」がネツクピース10からみていわば外側に配置されており,両者における本件特許発明1の「ノズル組立体」に相当するものは,それらの支持構造を全く異にしているというべきである。さらに,すでに送風方向を制御するため送風口の全方位の角度を制御できる甲4発明の当該支持構造に関し,甲第1号証に記載された送風方向を制御するための技術的事項を付加的に適用する動機付けはないというべきである。
したがって,甲4発明において,上記相違点1-1に係る本件特許発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことではない。
(3) 小括
よって,本件特許発明1は,甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2-2-3 本件特許発明2について
(1) 対比
本件特許発明2と甲4発明2とを対比する。
前者と後者との間には,上記「2-2-2(1)」で述べた本件特許発明1と甲4発明との相当関係と同様の相当関係が成り立つ。
さらに,前者の「空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口」における「前方」について,特許明細書の段落【0057】に「複数列の空気供給出口26から噴出する気流は、軸線Xに収束するように案内されるので、ノズル組立体20から発生する気流は、実質的にリング状又は環状形状の形態で前方に噴出され、・・・」と記載されていることからすると,ノズル組立体から噴出する方向が「前方」であると解せる。そうすると,後者の空気を吹き出すことは空気を噴出することでもあり,その噴出方向が前方であるから,結局,後者の「空気を吹き出すための2mm×3mmの裂け目の送風口」は前者の「空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口」に相当している。
前者の「インペラ及び前記電気モータの回転軸は、前記基部台座の載置面に対して平行且つ前後方向に配置され」において,まず,「基部台座の載置面」とは,必ずしも明確であるとはいえないものの,特許明細書の記載(段落【0046】「図5A-図5Cを参照すると、本装置は、単にノズル組立体20の設置方向及びピッチ角度を調節することによって、床、テーブル、及び垂直壁に配置することができる。」や段落【0061】「本発明による空気を吹き込むための装置100の基部台座は、本発明による空気を吹き込むための装置100を、床、テーブル、及び垂直取り付け体上に配置することができるように、空気を吹き込むための装置を所定位置に固定するための連結部材を備える。)からして,床やテーブルに載せて配置する際に,載置する水平面を指すと解せる。つぎに,基部台座の載置面に対して「平行且つ前後方向」とは,先の「前方」を考慮すると,載置面と平行であり,空気を吹き出す方向を指している。一方,甲第4号証の図1~図3を参照すると,後者の「基部台座1」は,扇風機を使用する際の載置部であるといえ,その底面というべき部分は載置面ということができるものの,羽根9及びメインモータ8とが上下に並んでいるとしてもメインモータ8の回転軸については詳細が不明というべきであり,載置面と回転軸との配置関係は不明である。
また,前者の「基部台座の前部に位置する」の「前部」については,使用時に空気供給出口26から噴出する気流が収束する軸線Xを載置面に平行かつ前後方向にそろえた際に,基部台座の前後方向の空気を噴出する方向が前方であって,それに対応する箇所がその「前部」と解せる。そうすると,前者の「ノズル組立体の前記取り入れ端部は、前記基部台座の前部に位置する」態様と後者の「送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置は,前記基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15の上部に位置する」態様とは,「ノズル組立体の前記取り入れ端部は,前記基部台座の所定部に位置する」態様において共通している。
そうすると,両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
[一致点]
「ノズル組立体により空気を吹き込むための装置であって,
気流を発生させて空気流を供給するための基部台座と,
前記基部台座によって支持されたノズル組立体と,
を備え,
前記ノズル組立体は,空気を吹き込み且つ前方に空気を噴出するための細隙形状の開口を備え,
空気流通路が,前記基部台座と前記ノズル組立体との間に結合され,前記空気流通路の取り入れ端部が,前記基部台座の外面上に開放され,前記空気流通路の出力端部が,ピボット構成要素により前記ノズル組立体に結合され,
前記ノズル組立体の取り入れ端部が,前記ピボット構成要素により前記基部台座の出力端部に結合され,
インペラ及び該インペラを回転させるための電気モータが,前記基部台座内に設けられ,前記ノズル組立体は,前記ピボット構成要素により前記基部台座上に回転可能に固定され,これによって該ノズル組立体は該基部台座に対して回転可能であり,
前記ノズル組立体の前記取り入れ端部は,前記基部台座の所定部に位置する,空気を吹き込むための装置。」
[相違点2-1]
ノズル組立体が基部台座に対して回転可能である態様に関し,本件特許発明2では基部台座の周囲で横になるように回転可能であり,「任意の方向で」ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定されるのに対し,甲4発明2では送風方向を制御するため送風口の全方位の角度を制御し風道支持部材15の内側で横になるように回転可能であり,ピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定されるものの「任意の方向で」とは特定されていない点。
[相違点2-2]
本件特許発明2ではインペラ及び電気モータの回転軸が,基部台座の載置面に対して平行且つ前後方向に配置され,ノズル組立体の取り入れ端部が,前記基部台座の前部に位置するのに対し,甲4発明2では羽根9及びメインモータ8の回転軸の配置形態が不明であり,送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置は,前記基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15の上部に位置する点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
[相違点2-1]について
甲4発明2のノズル組立体がピボット構成要素により基部台座上に回転可能に固定される態様は少なくとも所定の範囲内において「任意の方向で」回転可能に固定されることといえる。
しかしながら,上記「2-2-2(2)」で述べたことをふまえると,甲4発明2において,上記相違点2-1に係る本件特許発明2の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことではない。
[相違点2-2]について
甲第4号証にはメインモータ8及び羽根9の詳細な形態について特段特定されていないから,羽根9及びメインモータ8とが上下に並んでいるとしても「基部台座1」の底面というべき載置面に対し,それらの回転軸が平行且つ前後方向に配置するものを必ずしも除外するものではない。しかしながら,甲第4号証の記載事項及び甲第1号証の記載事項を参照しても,前記基部台座1・筒状本体13・カバー14・風道支持部材15の上部に位置する送風口支持部材18の風道支持部材15への取付け位置を,その前部とすることの動機付けはないというべきである。
したがって,甲4発明2において,上記相違点2-2に係る本件特許発明2の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことではない。
(3) 小括
よって,本件特許発明2は,甲4発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2-2-4 本件特許発明3ないし14,18ないし20,23ないし25について
本件特許発明3ないし14,18ないし20,23ないし25は,いずれも本件特許発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから,本件特許発明1と同様に,甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2-2-5 まとめ
以上のとおりであるから,本件特許の請求項1ないし14,18ないし20,23ないし25に係る発明は,請求人の主張する無効理由2及び提出した証拠によっては,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。
2-3 無効理由3について
請求人が主張する無効理由3は,本件出願の「ピボット構成要素」の原語は「枢軸部材」であるとの認識に基づくものであるが(審判請求書第79頁第16行),審判事件答弁書において被請求人が主張するように,原文(甲第7号証の例えば第7頁第15行)には「枢軸部件(「軸」は簡体字)」と記載され,特に「部材」ではなく「部件」と記載されていることから,原語が「枢軸部材」であるとの認識に基づく請求人の無効理由3についての主張は,当を得ていない。
また,乙第2号証の例えば2頁の中間部の「日中中日専門用語辞典」の項に中国語「枢軸(「軸」は簡体字)」の日本語訳として「ピボット」が記載され,乙第3号証の例えば第2頁上部の「日中中日専門用語辞典」の項に中国語「部件」の日本語訳として「構成要素」が記載されていることから,原文の「枢軸部材」の日本語訳「ピボット構成要素」が誤りとはいえない。そして,本件出願の原文における「枢軸部材」が日本語訳「ピボット構成要素」の概念を含むものではないとする,特段の理由もみあたらない。
したがって,「ピボット構成要素」は原文の「枢軸部件(「軸」は簡体字)」の翻訳でないとはいえないから,いわゆる原文新規事項の追加に該当する(特許法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書,請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないものである)とはいえず,請求人の無効理由3についての主張は認められない。
よって,請求人の主張する無効理由3及び提出した証拠によっては,本件特許は,特許法第184条の18において読み替えて準用する特許法第123条第1項第5号に該当せず,無効とすることはできない。
2-4 無効理由4について
請求人が主張する無効理由4は,本件特許の請求項21及び22に係る発明は明細書に開示がないから,本件出願は,特許法第36条第6項第1号に違反するというものであるが,平成26年8月25日付け(受付日:8月26日)の訂正請求書による訂正によって,請求項21及び22項は削除され,すでに述べたようにかかる訂正は認められるから,その対象が存在しない。
したがって,請求人の無効理由4についての主張は,不適法な審判請求といわざるを得ない。
よって,請求人の無効理由4に係る主張は,特許法第135条の規定により,却下する。
第6 むすび
特許明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
本件特許の請求項1,3ないし14,18ないし20,23ないし25に係る発明は,請求人の主張する無効理由1及び提出した証拠からして,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,それらに係る特許は,同法123条第1項第2号に該当し,無効にすべきものである。
本件特許の請求項2に係る発明は,請求人の主張する無効理由1及び提出した証拠によっては,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえないから,それに係る特許は,同法123条第1項第2号に該当せず,無効とすることはできない。
本件特許の請求項1ないし14,18ないし20,23ないし25に係る発明は,請求人の主張する無効理由2及び提出した証拠によっては,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。
本件出願は,特許法第184条の18において読み替えて準用する特許法第123条第1項第5号に該当するものではないから,本件特許は,請求人の主張する無効理由3及び提出した証拠方法によっては無効にすることはできない。
本件特許の請求項21及び22に係る発明についての無効理由4に係る請求人の主張は,特許法第135条の規定により却下する。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により,請求人がその20分の1を,被請求人が20分の19を負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2014-800049