特許拒絶査定不服審判
2014-024621
ONUとOLTとの間に省エネルギーメカニズム管理を実現する方法及びシステム
- 審判番号
- 2014-024621
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-528498外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2014年12月02日
- 審決日
- 2016年12月05日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中▲興▼通▲信▼股▲フン▼有限公司
- 【請求人代理人】河野 英仁
- 【請求人代理人】河野 登夫
- 分類
- P18 .537-WZ (H04L) / P18 .536-WZ (H04L) / P18 .121-WZ (H04L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条4項1号特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項、特許法第36条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-528498「ONUとOLTとの間に省エネルギーメカニズム管理を実現する方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月22日国際公開、WO2012/034385、平成25年10月10日国内公表、特表2013-538531〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2011年3月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年9月17日 中華人民共和国)を国際出願日とした出願であって、原審において平成26年7月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月2日に拒絶査定不服審判が請求され、平成27年10月2日付けで当審より拒絶理由が通知され、平成28年1月5日付けで意見書が提出され、同年6月1日付けで拒絶理由が通知され、同年9月7日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 平成28年6月1日付け拒絶理由の概要
「理 由
1)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2)本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
3)(略)
4)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
理由1について
1.発明の詳細な説明の記載及び本願の優先日当時の技術常識を参酌しても、「拡張OAMフレーム」の定義が不明確であり、「拡張OAMイベント通知フォーマット」、「拡張組織専用OAMフォーマット」、「拡張OAMプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)フォーマット」の定義も不明確であるため、請求項1~14に係る発明が不明確である。
明細書段落【0039】に「ここで、拡張OAMフレームは、拡張OAMイベント通知フォーマット、又は拡張組織専用OAMフォーマット、又は他の類似する拡張OAMプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)フォーマットを含む。」との記載があるが、「拡張OAMイベント通知フォーマット」、「拡張組織専用OAMフォーマット」、「拡張OAMプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)フォーマット」の定義も明らかにされておらず、これらがいかなるものか不明であるため、【0039】の上記記載自体、意味不明である。また、これらの用語が技術常識であることを示す証拠も見当たらない。
このため、請求項1、9に記載中の「前記省エネルギー情報が、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールドに含まれ」る、「前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知メッセージに含まれ」る、「前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットに含まれる」 とは、それぞれいかなることか不明確である。また、これら3つの態様が「又は」と択一的に記載されているものの、3つの態様が排他的に独立した関係にあるのか、或いは包含関係を有しているのかも不明確である。
なお、請求人は、平成28年1月5日付け意見書において、「拡張OAMフレームについては、IEEE802.3ahの規格に記載されている。従って、「拡張OAMフレーム」の定義が明確であり、本願の請求項1-14に係る発明が明確である。」と釈明しているが、IEEE802.3ahをみても「拡張OAMフレーム」(extended OAM frame)なるものは記載されておらず、IEEE802.3ahの規格における具体的な記載箇所及び記載内容も特定されていないから、当該釈明は採用できない。同様に、IEEE802.3ahの規格によっても、「拡張OAMイベント通知フォーマット」、「拡張組織専用OAMフォーマット」、「拡張OAMプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)フォーマット」の定義は不明であり、これらがいかなるものか不明である。
(IEEE802.3ahの規格における具体的な記載箇所及び記載内容も特定し、上記各用語の定義を十分に説明されたい。)
2.請求項1には、「拡張運用管理およびメインテナンスフレーム」との記載と、「拡張OAMフレーム」との記載があり、両者の異同が不明である。用語は、その有する普通の意味で使用し、かつ、明細書及び特許請求の範囲全体を通じて統一して使用しなければならないことに留意されたい。
理由2について
1.上記理由1のとおり、発明の詳細な説明には、「拡張OAMフレーム」、「拡張OAMイベント通知フォーマット」、「拡張組織専用OAMフォーマット」、「拡張OAMプロトコルデータユニットフォーマット」それぞれの内容を明確に把握し得る程度に十分な開示がされていない。このため、発明の詳細な説明は、請求項1~14に係る発明を当業者が実施できる程度に十分に記載されていない。
理由3について(略)
理由4について
請求項1~14に対して引用文献1~4。
引用文献1:国際公開第2010/098262号(新たに引用する文献。)
引用文献2:IEEE Std 802.3ah-2004,IEEE Computer Society,2004年9月7日(新たに引用する文献。)
引用文献3:欧州特許出願公開第1801984号明細書(新たに引用する文献。)
引用文献4:米国特許出願公開第2010/0118753号明細書(新たに引用する文献。)
上記理由1.のとおり「拡張OAMフレーム」の定義が不明確であるが、発明の詳細な説明の記載を総合して、OAMフレームの組織専用(OUI)TLVフィールドにコマンド書き込み得るものと解して、以下判断する。
備考:(1)上記理由3のとおり、引用文献1(段落【0227】~【0257】、図22~24)には、OLTからONUに、OAMフレームにおいてスリープ指令メッセージを送信し、スリープ指令メッセージに応じてONUを休止後起動することが記載されている。
ここで、引用文献1に記載された発明は、OAMフレームにおける、省エネルギー情報を組み込む位置が特定されていない点で本願発明と相違する。
しなしながら、引用文献2(215頁 57.4.3.6 Organization Specific OAMPDU、Figure57-15)に記載されているように、OAMフレームが、組織専用情報TLVフィールドを有することは技術常識であり、引用文献1のOAMフレームも具体的には当該構造を持ち得るところ、また、引用文献3([0038])及び引用文献4([0042]~[0052])に記載されているように、組織専用情報TLVフィールドにコマンド等を組み入れることは普通に行われていることである。してみれば、組織専用情報TLVフィールドに、コマンド等の省エネルギー情報を含むことは適宜なし得ることである。
そうすると、引用文献2~4に接した当業者であれば、引用文献1に記載されたOAMフレームにおいて、組織専用情報TLVフィールドにスリープ指令を組み入れることに格別な困難性はない。
したがって、請求項1~14に係る発明は、引用文献1~4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。」
第3 請求人の対応
請求人は、平成28年9月7日付けで、特許請求の範囲を補正するとともに、意見書を提出した。
1.補正の概要
特許請求の範囲の補正は、独立請求項である請求項1及び9について「前記省エネルギー情報のキャリー方式は、・・方式・・方式・・方式の何れかであること」を追加して省エネルギー情報のキャリー方式の3つの態様が排他的に独立した関係にあるように限定し、また、「拡張運用管理およびメンテナンスフレーム」を「拡張運用管理およびメンテナンス(拡張OAM=Operations,Administration,Maintenance)フレーム」とするものであり、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、以下のとおりである。
「光ネットワークユニットONUと光回線端末OLTとの間に省エネルギーメカニズム管理を実現する方法であって、
ONUとOLTとの間に拡張運用管理およびメンテナンス(拡張OAM=Operations,Administration,Maintenance)フレームを介して省エネルギー情報を伝送するステップと、
取得した省エネルギー情報に応じてONUの光モジュールをオフ/オンにするステップとを含み、
前記省エネルギー情報のキャリー方式は、
前記省エネルギー情報が、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールドに含まれる方式、又は、
前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知メッセージに含まれる方式、又は、
前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットに含まれる方式
の何れかであること
を特徴とする方法。」
2.意見書の主張
意見書の主張の概要は、以下のとおりである。
「(3)先ず、理由1に関して意見を述べる。
(3-1)拡張OAMフレームの構造については、以下のURLに対応するドキュメントの記載を参照願いたい。
http://wenku.baidu.com/link?url=EyLMw27b2M6vQzfWgjRG_5Cp4nOC15gKluxB4SdGIBEuuvFlG_B19WVqMikDHa03P_OlEJgLGQ9eCavB3fo4Gf_sMGV2rBTRr4qIpvGRjhe
上記ドキュメントの記載によれば、拡張OAMフレームの定義が明確である。また、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールド、拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知メッセージ、および拡張OAMフレームの拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットの定義が明確である。従って、明細書の段落【0039】の記載、並びに請求項1及び9の記載も明確である。更に、請求項1及び9における補正により、省エネルギー情報のキャリー方式の3つの態様が排他的に独立した関係にあることが明確である。
(3-2)請求項1における「拡張運用管理およびメインテナンス(拡張OAM=Operations,Administration,Maintenance)フレーム」及び「拡張OAMフレーム」は明らかに同じものである。
(3-3)よって、請求項1~14に係る発明は明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
(4)次に、理由2に関して意見を述べる。
理由1を解消したことにより、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールド、拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知メッセージ、および拡張OAMフレームの拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットの定義は明確である。このため、発明の詳細な説明は、請求項1~14に係る発明を当事者が実施できる程度に十分に記載されており、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。
(5)(略)
(6)最後に、理由4に関して意見を述べる。
(6-1)本願の請求項1に係る発明を引用文献1~4に記載の発明と対比してみると、請求項1に係る発明の発明特定事項
「前記省エネルギー情報のキャリー方式は、前記省エネルギー情報が、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールドに含まれる方式、又は、前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知メッセージに含まれる方式、又は、前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットに含まれる方式の何れかであること」
は、引用文献1~4に記載されておらず、それを示唆する記述も見られない。
(6-2)引用文献1には、上述したようにMPCPフレーム又はOAMフレームを介してスリープ指令メッセージをどのようにキャリーするか、すなわち、MPCPフレーム又はOAMフレームのどの情報ユニットにスリープ指令メッセージをキャリーするかについては記載されておらず、MPCPフレームおよびOAMフレームの詳しい構造についても記載されていない。引用文献1に記載のスリープ指令は、睡眠の指示情報のみを含んでいる。
(6-3)これに対し、請求項1に係る発明によれば、省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールド、又は前記拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知メッセージ、又は前記拡張OAMフレームの拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットの何れかに含まれており、省エネルギー情報が、仮眠、快速睡眠、深度睡眠、周期睡眠等の指示情報を含んでいる。引用文献1に記載の発明と比較して、省エネルギー情報がキャリーされている拡張OAMフレームのフィールドが異なり、拡張OAMフレームにより省エネルギー情報を解析する速度及び方式も異なる。更に、省エネルギー情報が、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールド又は拡張OAMイベント通知メッセージ又は拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットの何れかによってキャリーされた後、受信者の省エネルギー情報の解析速度を向上させる効果を奏する。
(6-4)引用文献2には、OAM PDUフレームの構造については記載されているが、OAM PDUフレームがどのように使用されるかについては記載されておらず、省エネルギー情報についても記載されていない。引用文献3には、バックアップ電池がアラーム設定値を下回ることが検出されると、省電力状態に入り、または、省電力状態に入る前に、電源の現状をユーザーへ通知し、省電力状態に入るかどうかをユーザーにより決定することが記載されているが、省エネルギー情報と省エネルギー情報のキャリー方式とについては記載されていない。引用文献4には、スリープ要求メッセージフレームおよびスリープ要求メッセージフレームの情報ユニットの構造と、OUIおよび拡張OPCODEの情報ユニットの構造とについては記載されているが、拡張OAMフレームの構造については記載されていない。
(6-5)以上のように、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1~4には開示も示唆もされていない要件を備え、またこの要件を備えることによって奏する効果にも優れたものがあることから、本願の請求項1に係る発明が引用文献1~4に基づきその進歩性を否定される理由はない。本願の請求項9に係る発明は、本願の請求項1に係る発明と実質同一の技術的特徴を有しており、進歩性を有する。また、本願の請求項2-8及び10-14夫々は、その発明が進歩性を有して拒絶されるべきではない請求項1及び9に従属しているため、請求項2-8及び10-14に係る発明も進歩性を有している。」
第4 当審の判断
1.特許法第36条第6項第2項について
特許請求の範囲の「拡張OAMフレーム」、「拡張OAMイベント通知メッセージ」、「拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマット」の用語、及び発明の詳細な説明の「拡張組織専用OAMフォーマット」の用語は、本願優先日当時における通常の技術用語ではなく、本願優先日当時の技術常識を考慮してもその意義を理解できない。このため、発明の詳細な説明の記載(【0039】)を参酌すると、本願明細書【0039】【0043】に以下の記載がある。
「【0039】ここで、拡張OAMフレームは、拡張OAMイベント通知フォーマット、又は拡張組織専用OAMフォーマット、又は他の類似する拡張OAMプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)フォーマットを含む。
【0043】当業者にとっては、ONUとOLTの間のインタラクションが拡張OAMフレームを介して実現され、拡張OAMフレームがイーサネットプロトコル802.3で定義されたOAM拡張フォーマットメッセージである。本発明では、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報(INFO OAM PDU)メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値(Organization specific information TLV)フィールドに省エネルギー情報を加えてよい、802.3における拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知(Event Notification)メッセージに省エネルギー情報を加えてもよい。」
しかしながら、IEEE802.3には、「拡張OAM」なるものは存在せず、本願明細書には、その具体的な記載箇所も明らかにされていない。これについて、請求人は、平成28年1月5日付け意見書において、拡張OAMフレームは、IEEE802.3ahの規格に記載されていると主張するが、IEEE802.3ahの規格にも「拡張OAM」なるものは存在せず、その具体的な記載箇所も明らかにされていない。
そして、請求人は、平成28年9月7日付け意見書において、拡張OAMフレームは、URL:http://wenku.baidu.com/link?url=EyLMw27b2M6vQzfWgjRG_5Cp4nOC15gKluxB4SdGIBEuuvFlG_B19WVqMikDHa03P_OlEJgLGQ9eCavB3fo4Gf_sMGV2rBTRr4qIpvGRjheのドキュメントに記載されていると主張している。
しかしながら、当ドキュメントは、その著者、表題、掲載年月日が不明であるから、IEEE802.3との関係が不明であり、上記イ.の【0043】の記載を裏付けるものではないし、本願優先日当時の技術常識であるとすることもできない。
したがって、発明の詳細な説明の記載及び本願優先日当時の技術常識を参酌しても、依然として、請求項に記載された「拡張OAMフレーム」、「拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールド」(発明の詳細な説明では、「拡張組織専用OAMフォーマット」と表現されている。)、「拡張OAMイベント通知メッセージ」、「拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマット」なる用語の意味内容を当業者が理解できず、発明の技術的範囲を特定できないから、請求項1~14に係る発明が不明確である。
また、請求人は、意見書において、「省エネルギー情報のキャリー方式の3つの態様が排他的に独立した関係にあることが明確である。」と主張しているが、発明の詳細な説明の【表1】~【表14】の記載を参酌すると、「拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールド」は、「拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマット」に含まれるとも解釈されるから、依然として、これらの態様が排他的に独立した関係にあるのか、或いは包含関係を有しているのか不明確である。
2.特許法第36条第4項第1項について
上記1.のとおり、発明の詳細な説明には、「拡張OAMフレーム」、「拡張OAMイベント通知フォーマット」、「拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールド」(発明の詳細な説明では、「拡張組織専用OAMフォーマット」と表現されている。)、「拡張OAMプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)フォーマット」それぞれの内容を明確に把握し得る程度に十分な開示がなされていない。
そして、発明の詳細な説明はこれらの用語を用いて記載されているため、これらの用語の意味内容が理解できないことに起因して、発明な詳細な説明の記載自体も不明確となっている。
したがって、発明の詳細な説明は、請求項1~14に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。
3.特許法第29条第2項について
(1)本願発明
上記「1.」の項で判断したとおり、「拡張OAMフレーム」の定義が不明確であるが、発明の詳細な説明の【表1】~【表14】の記載を参酌して、OAMフレームの組織専用(OUI)TLVフィールドにコマンドを書き込むものを含むと解して、以下判断する。
当該解釈に従い、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年9月7日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「光ネットワークユニットONUと光回線端末OLTとの間に省エネルギーメカニズム管理を実現する方法であって、
ONUとOLTとの間に拡張運用管理およびメンテナンス(拡張OAM=Operations,Administration,Maintenance)フレームを介して省エネルギー情報を伝送するステップと、
取得した省エネルギー情報に応じてONUの光モジュールをオフ/オンにするステップとを含み、
前記省エネルギー情報のキャリー方式は、
前記省エネルギー情報が、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールドに含まれる方式、又は、
前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMイベント通知メッセージに含まれる方式、又は、
前記省エネルギー情報が、前記拡張OAMフレームの拡張OAMプロトコルデータユニットPDUフォーマットに含まれる方式
の何れかであること
を特徴とする方法。」
(2)引用例及び引用発明
当審の平成28年6月1日付け拒絶理由に引用された国際公開第2010/098262号(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「技術分野
[0001]
本発明は、ポイントツーポイントまたはポイントツーマルチポイントの通信を行う光ネットワークにおいて、一部の機能を一定期間休止させることによって装置の省電力化を図る機能を有する光加入者線終端装置および光ネットワーク終端装置に関する。
背景技術
[0002]
図1に示すように、光ネットワークは、1つの光加入者線終端装置(OLT:Optical Line Terminal)が1つの光ネットワーク終端装置(ONU:Optical Network Unit)と光ファイバ伝送路を介してポイントツーポイントの通信を行うネットワークである。
また、図2に示すように、受動光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)は、1つの光加入者線終端装置(OLT)が複数の光ネットワーク終端装置(ONU)と光ファイバ伝送路および1対nの光スプリッタ(nは自然数)を介してポイントツーマルチポイントの通信を行うネットワークである。ギガビットクラスのPONの代表的な規格として、IEEE802.3にて標準化されたEPON(Ethernet(登録商標)PON)がある。また、IEEE802.3av検討グループでは10ギガビットクラスのPONとして10G-EPONの検討がなされている。」(1頁)
ロ.「[0219]
[ONUの構成]
ONU20は、UNI121と、キュー管理部122と、PON信号処理部21と、PON-IF124と、休止部22とを備える。
[0220]
PON信号処理部21は、MPCP基23と、OAM基24と、MAC基127と、PHY基128とを有し、後述するように、休止部22とメッセージのやりとりをする。
[0221]
休止部22は、OLT10からスリープ指令メッセージを受信すると、確認応答(ACKメッセージ)をOLT10に送信し、ONU20の一部(例えば、キュー管理部122及びPON信号処理部21)の機能を一定時間t2の期間休止させる。そして、一定時間t2経過後に、休止していた一部の機能を起動させ、OLT10に対してトラヒックの有無を確認する(トラヒック確認メッセージ)。無通信状態であれば(NOメッセージ)、一部の機能を一定時間t2の期間休止させ、フレーム到着があれば(YESメッセージ)、OLT10との通信を開始させる。
[0222]
また、休止部22は、UNI121からトラヒックが流入してきた場合、フレームの転送遅延を防止するため、休止している一部の機能を即座に起動させ、OLT10へフレームを転送する機能を備えるのが好適である。また、UNI121からのトラヒック流入が存在する場合、OLT10からのスリープ指令に対して拒否応答(NACKメッセージ)を返し、一部の機能の休止を中止するようにすることもできる。なお、上述した各メッセージ(ACKメッセージ、NACKメッセージ、トラヒック確認メッセージ、NOメッセージ、及びYESメッセージ)の送受信には、例えばMPCP基23やOAM基24を用いることができる。
[0223]
以下では、例えば、無通信状態を使用帯域(トラヒック量)によって判定する場合について説明する。
[0224]
例えば、RTPやSIPを利用したVoIP通信などの高優先トラヒックのコネクションが存在する場合には、高優先トラヒックに対する通信品質を保持するために、いかなる場合でもONU20の機能を休止させないことにする。
[0225]
このために、OLT10のキュー管理部12は、IP(Internet Protocol)パケットのヘッダに格納されたToS値をフレームごとに観測する機能を具備し、VoIPトラヒックの有無を確認する。または、IPパケットのToS値をVLAN(Virtual LAN)タグ付きMACフレームに格納されるCoS値と一対一に対応するように運用し、CoS値をフレームごとに観測する機能を具備する。
[0226]
次に、OLT10の機能について図22を用いて説明する。図22は、OLT10の機能ブロック図である。
[0227]
[OLTの機能]
図22では、キュー管理部12が、IPパケットのToS値をVLANタグ付きMACフレームに格納されるCoS値と一対一に対応するように運用し、CoS値をフレームごとに観測する場合について示している。
[0228]
また、キュー管理部12は、VLANタグ内で指定されるVLAN-IDと、PONのLLID(Logical Link ID)とを対応させて通信を行うことを前提としている。LLIDとは、各ロジカルリンクに割り当てられる識別子である。
[0229]
観測部・休止判定部31は、観測部14及び休止判定部13の機能をまとめて1つのブロックで表したものである。観測部・休止判定部31は、キュー管理部12で処理されるフレームのVLAN-IDごとに、トラヒック量及びトラヒックの優先度を観測し、それらに基づいて休止判定を行う。
[0230]
観測部・休止判定部31は、あるVLAN-IDに対し、一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度(ToS値又はCoS値)のトラヒックを観測しなかった場合には、一部の機能を休止するとの判定をし、対応するLLIDに対してスリープ指令メッセージを送信する(311)。スリープ指令メッセージは、MPCPフレーム又はOAMフレームの1つとして定義される。なお、311~314中に示したkは、OLTに登録されている各ONUに対応する値であり、例えば、OLTにn台のONUが登録されている場合には、1≦k≦nの範囲の値となる。
[0231]
トラヒック量が閾値以下であり、かつ、特定の優先度のトラヒックを観測した場合には、一部の機能を休止しないとの判定をし、一定時間t3の期間、スリープ指令メッセージを送信することなく、トラヒックの観測を継続する(312)。
[0232]
一定時間t1の期間にトラヒック量が閾値以上であった場合には、特定の優先度のトラヒックを観測したか否かにかかわらず、一部の機能を休止しないとの判定をする(313、314)。
[0233]
PON信号処理部11が有するMPCP/OAM基32は、MPCP基15又はOAM基16を表している。MPCP/OAM基32は、下り信号の場合には、VLAN-IDにLLIDを対応付け、上り信号の場合には、LLIDにVLAN-IDを対応付ける。また、観測部・休止判定部31からスリープ指令メッセージを受信した場合には、MPCPフレーム又はOAMフレームの1つとして送信する。
[0234]
ここで、OLT10は、ONU20が休止状態であるときに該ONU20宛てのトラヒックが発生した場合、損失フレーム数をゼロに抑えるために、到着したフレームを一時的に格納するバッファ(バッファ容量は休止時間に転送可能な最大転送量とする)を備えるのが好適である。
[0235]
また、観測部14は、休止判定部13の判断を向上させるために、ONU20において破棄されるフレームについて、通信トラヒックの種類を監視する対象に含めないようにするのが好適である。
[0236]
さらに、特定の種類のトラヒックが流通している場合であっても、特定の種類のトラヒックが当該ONU20において破棄されるフレームの場合には当該ONU20に対してスリープ指令メッセージを送信することもできる。例えば、PONにおいてマルチキャスト通信を実現する方法として、OLT10からブロードキャストフレームをすべてのONU20へ送信し、ONU20側でフレームの識別子を用いてフィルタリングする方法が考えられる。このような場合でも、OLT10はマルチキャスト通信を行う対象のONU20とフレーム識別子の対応テーブルを保持しているため、OLT10側で送信先ONU20を特定することができる。
[0237]
また、特定のプロトコルをフィルタリングするプロトコルフィルタがONU20に実装されている場合にもフィルタ情報をOLT10が保持していれば、同様に適用することができる。このように、マルチキャストフレームがPONを流通している場合であっても、無通信状態のONU20だけを選択し、該ONU20の一部の機能を休止させることができる。
[0238]
次に、OLT10及びONU20の動作ついて、図23及び図24を用いて説明する。
[0239]
[OLT及びONUの動作]
図23は、OLT10の動作の一例を示したフローチャートである。OLT10では各VLAN-IDごとに図23の処理が実行される。
[0240]
ステップS401では、観測部14により、計測時間Twが一定時間t1に設定される。そして、処理をステップS402に進める。
[0241]
ステップS402では、観測部14により、タイマーをリセットした後にタイマーを起動させる。そして、処理をステップS403に進める。
[0242]
ステップS403では、観測部14により、タイマー値が計測時間Tw以上であるか否かを判定する。タイマー値が計測時間Tw以上でない場合には(ステップS403-No)、処理をステップS404に進め、タイマー値が計測時間Tw以上になった場合には(ステップS403-Yes)、処理をステップS405に進める。
[0243]
ステップS404では、休止判定部13により、トラヒックの有無を判定する。トラヒックが有る場合には(ステップS404-Yes)、処理をステップS407に進め、トラヒックが無い場合には(ステップS404-No)、処理をステップS403に戻す。
[0244]
ステップS405では、計測時間Twの間トラヒックがないため、休止判定部13により、無通信状態であると判断し、スリープ指令メッセージをONU20に送信する。そして、処理をステップS406に進める。
[0245]
ステップS406では、観測部14により、ONU20からトラヒック確認メッセージを受信したか否かを判定する。ONU20からトラヒック確認メッセージを受信した場合には(ステップS406-Yes)、処理をステップS401に戻し、トラヒック確認メッセージを受信していない場合には(ステップS406-No)、処理をステップS406に戻す。すなわち、ONU20からトラヒック確認メッセージを受信するまでの間、処理を停止する。
[0246]
ステップS407では、休止判定部13により、トラヒックが特定の優先度のトラヒックであるか否かを判定する。トラヒックが特定の優先度のトラヒックである場合には(ステップS407-Yes)、処理をステップS408に進め、トラヒックが特定の優先度のトラヒックでない場合には(ステップS407-No)、処理をステップS409に進める。
[0247]
ステップS408では、観測部14により、計測時間Twを一定時間t3に設定する。そして、処理をステップS409に進める。計測時間Twを一定時間t3に設定するのは、トラヒックが特定の優先度のトラヒックである場合には、ステップS403においてt1の期間ではなくt3の期間トラヒックが無い場合に、処理をステップS405に進めるようにするためである。このようにすることで、トラヒックの種類によって計測時間Twを変え、ONUの一部の機能を休止させる条件を変更することができる。
[0248]
ステップS409では、OLT10はONU20と通信し、データを送受信する。そして、処理をステップS410に進める。
[0249]
ステップS410では、OLT10がONU20と接続されているか否かを判定する。ONU20と接続されている場合には(ステップS410-Yes)、処理をステップS402に戻す。ONU20と接続されていない場合には(ステップS410-No)、処理は終了する。
[0250]
本フローチャートは、一例として、特定の優先度のトラヒックを観測した後は、一定時間t3の期間、いずれのトラヒックも観測されなかった場合にスリープ指令メッセージを送信する動作例を示した。
[0251]
特定の優先度のトラヒックを観測後、一定時間t3の期間、特定の優先度のトラヒックが観測されなかった場合には、さらに一定時間t1の期間、いずれのトラヒックも観測されなければスリープ指令メッセージを送信する動作とすることもできる。この場合は、第2の時間計測手段(タイマー)を用い、特定の優先度のトラヒックを観測した際にこの第2の時間計測手段の値を0に設定(リセット)して起動し、第2の時間計測手段の値が一定時間t3以上となった時点で、計測時間Twを一定時間t1に設定し直すようにすればよい。
[0252]
図24は、ONU20の動作の一例を示したフローチャートである。まず、ステップS501では、休止部22により、トラヒックの有無を判定する。トラヒックが有る場合には(ステップS501-Yes)、処理をステップS502に進め、トラヒックが無い場合には(ステップS501-No)、処理をステップS503に進める。
[0253]
ステップS502では、ONU20はOLT10と通信し、データを送受信する。そして、処理をステップS505に進める。
[0254]
ステップS503では、休止部22により、OLT10からスリープ指令メッセージを受信したか否かを判定する。スリープ指令メッセージを受信した場合には(ステップS503-Yes)、処理をステップS504に進め、スリープ指令メッセージを受信していない場合には(ステップS503-No)、処理をステップS505に進める。
[0255]
ステップS504では、休止部22により、一定時間t2の期間、ONU20の一部の機能を休止し、一定時間t2の期間経過後に停止していた一部の機能を起動する。そして、処理をステップS505に進める。
[0256]
ステップS505では、ONU20の電源がOFFにされたか否かを判定する。電源がOFFにされた場合には(ステップS505-Yes)、処理は終了し、電源がONの場合には(ステップS505-No)、処理をステップS501に戻す。
[0257]
第3-1の実施形態によれば、特定の種類のトラヒックの通信品質を劣化させることなく、ONU20の省電力化を図ることができるようになる。」(50~56頁)
引用例の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、上記イ.の[0002]における「受動光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)は、1つの光加入者線終端装置(OLT)が複数の光ネットワーク終端装置(ONU)と光ファイバ伝送路および1対nの光スプリッタ(nは自然数)を介してポイントツーマルチポイントの通信を行うネットワークである。」との記載によれば、引用例の受動光ネットワーク(PON)は、ONUと、OLTから構成されている。
また、上記ロ.の[0244]における「ステップS405では、計測時間Twの間トラヒックがないため、休止判定部13により、無通信状態であると判断し、スリープ指令メッセージをONU20に送信する。」との記載、及び図22によれば、前述のOLTは、ONUへスリープ指令メッセージを送信している。ここで、同ロ.の[0230]における「スリープ指令メッセージは、MPCPフレーム又はOAMフレームの1つとして定義される。」との記載によれば、前述のスリープ指令メッセージは、OAMフレームとして送信されるということができる。
また、上記ロ.の[0254]における「ステップS503では、休止部22により、OLT10からスリープ指令メッセージを受信したか否かを判定する。スリープ指令メッセージを受信した場合には(ステップS503-Yes)、処理をステップS504に進め」との記載、同ロ.の[0255]における「ステップS504では、休止部22により、一定時間t2の期間、ONU20の一部の機能を休止し」との記載、及び図24によれば、引用例には、「前記スリープ指令メッセージに応じてONUの一部の機能を休止するステップ」を含む、「ONU(20)とOLTから構成され、ONUが、OAMフレームを受信して、ONUを休止する方法」について記載されているということができる。
したがって、上記引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「ONUとOLTから構成され、ONUが、OAMフレームを受信して、ONUを休止する方法であって、
OLTからONUへ前記OAMフレームによりスリープ指令メッセージを送信するステップと、
前記スリープ指令メッセージに応じてONUの一部の機能を休止するステップとを含む、
方法。」
(3)技術常識等
当審の平成28年6月1日付け拒絶理由に引用されたIEEE Std 802.3ah-2004,IEEE Computer Society,2004年9月7日 には図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「57.4.3.6 Organization Specific OAMPDU
The optional Organization Specific OAMPDU, identified with the Code field set to 0xFE, is used for organization specific extensions. The Organization Specific OAMPDU frame structure shall be as depicted in Figure 57.15.」
訳文(イ.)「57.4.3.6 組織専用OAMPDU
0xFEにセットされるコードフィールドで識別される、オプションの組織専用OAMPDUは、組織専用拡張のために使用される。組織専用OAMPDUフレーム構造は、図57.15に示される。」
ロ.「The first three octets of the Organization Specific OAMPDU Data field shall contain the Organizationally Unique Identifier (OUI).5 The format and function of the rest of the Organization Specific OAMPDU Data field is dependent on OUI value and is beyond the scope of this standard.」
訳文(ロ.)「組織専用OAMPDUデータフィールドの最初の3オクテットは、組織固有の識別子(OUI)を含む。組織専用OAMPDUデータフィールドの残りのフォーマットと機能は、OUIの値に依存しており、この標準の範囲外のものである。」
ハ.「57.5.2.3 Organization Specific Information TLV
The Organization Specific Information TLV shall have the following fields:
a) Information Type = Organization Specific Information. This one-octet field indicates the nature of the data carried in this TLV-tuple. The encoding of this field is found in Table 57.6.
b) Information Length. This one-octet field indicates the length (in octets) of this TLV_tuple. The length of an Organization Specific Information TLV is unspecified.
c) Organizationally Unique Identifier. This three-octet field shall contain the 24-bit Organizationally Unique Identifier (OUI).
d) Organization Specific Value. This field indicates the value of the Organization Specific Information TLV. This field’s length and contents are unspecified.」
訳文(ハ.)「57.5.2.3 組織専用情報TLV
組織専用情報TLVは、以下のフィールドを有するべきである。
a)情報タイプ=組織専用情報。この1オクテットフィールドは、このTLVタプルで担うデータの特徴を示す。このフィールドの符号化は、表75.6に見られる。
b)情報長。この1オクテットフィールドは、このTLVタプルの長さを示す。組織専用情報TLVの長さは、特定されない。
c)組織固有識別子。この3オクテットフィールドは、24ビットの組織固有識別子(OUI)を含むべきである。
d)組織専用値。このフィールドは組織専用情報TLVの値を示す。このフィールドの長さと内容は特定されない。」
また、当審の平成28年6月1日付け拒絶理由に引用された欧州特許出願公開第1801984号明細書には図面とともに以下の事項が記載されている。
ニ.「[0038] The sending of the alert message from the PON user terminal to the OLT may be implemented at different network layers, such as the multi-point control protocol (MPCP), the MAC, or the RS protocol layers, to adapt to the requirements of different PON standard protocols. For example, in the Ethernet passive optical network (EPON or Ethernet PON) standard protocol, the operation, administration, and maintenance (OAM) protocol extension can be used for the implementation. In the IEEE 802.3ah protocol specification (incorporated herein by reference), the OAM Organization Specific Information TLV is used in which the format of the control message is defined in the Organization Specific Value field following the definition of the Organizationally Unique Identifier (OUI) field, so that carrying of the above alert or response control messages can be implemented at the EPON OAM protocol layer. The OAM Organization Specific Information TLV is discussed in IEEE Draft P 802.3ah/D3.3, Paragraph 57.5.2.3, which is incorporated herein by reference.」
訳文(ニ.)「[0038]PONのユーザ端末からOLTへアラートメッセージを送信することは、異なるPON標準プロトコルの要件に適合するために、マルチ-ポイントコントロールプロトコル(MPCP)、MAC、あるいはRSプロトコル層のような、異なるネットワーク層で実行されてもよい。例えば、イーサネットパッシブオプティカルネットワーク(EPONまたはイーサーネットPON)標準プロトコルで、運用管理およびメインテナンス(OAM)プロトコル拡張部分は、実行のために使用することができる。IEEE802.3ahプロトコル仕様では、OAM組織専用情報TLVは、コントロールメッセージのフォーマットが組織固有識別子(OUI)フィールドの定義に従った組織専用値フィールドに定義されるように使用される。そのため、上記アラートまたはレスポンスコントロールメッセージの保持は、EPON OAMプロトコル層で実行される。OAM組織専用情報TLVは、参照することによってここに組み入れられる、IEEEドラフトP802.3ah/D3.3、パラグラフ57.5.2.3で議論される。」
したがって、上記イ.~ハ.の記載、及び図57.15にみられるように、OAMフレームが、組織専用情報TLVフィールドを有することは技術常識であり、引用発明のOAMフレームも具体的には当該構造を持ち得るところ、例えば、上記ニ.にみられるように、「OAMフレームにおいて、組織専用情報TLVフィールドにコントロールメッセージを組み入れること。」は、普通に行われているこということができる。
(4)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「ONU」及び「OLT」は、それぞれ本願発明の「光ネットワークユニットONU」及び「光回線端末OLT」に相当する。
b.本願明細書段落【0011】における「省エネルギーメカニズムは、仮眠、又は快速睡眠、又は深度睡眠、又は周期睡眠を含む。」との記載によれば、本願発明の「省エネルギーメカニズム」は、快速睡眠を含んでいる。
一方、引用例の[0254]~[0255]の記載によれば、スリープ指令メッセージを受信すると直ちにONUの一部の機能を休止すると解されることから、引用発明は、「快速睡眠」を実現しているといえる。
また、引用発明の方法を、省エネルギーメカニズム管理を実現する方法と称することは任意のことである。
c.本願明細書段落【0009】における「省エネルギー情報は、入る省エネルギーメカニズムを指示する省エネルギーメカニズム指示を含む。」との記載、同段落【0011】における「省エネルギーメカニズムは、仮眠、又は快速睡眠、又は深度睡眠、又は周期睡眠を含む。」との記載によれば、本願発明の「省エネルギー情報」は、快速睡眠指示を含むものと解される。
一方、引用発明の「スリープ指令メッセージ」も、快速睡眠を指示しているといえる。
したがって、引用発明の「スリープ指令メッセージ」は、本願発明の「省エネルギー情報」に含まれる。
d.引用発明の「OAMフレーム」は、「運用管理およびメンテナンス(OAM=Operations,Administration,Maintenance)フレーム」であるから、引用発明と、本願発明とは、後述する相違点を除いて、「ONUとOLTとの間に運用管理およびメンテナンス(OAM)フレームを介して省エネルギー情報を伝送する」という点で一致する。
e.引用発明の「ONUの一部の機能を休止する」と、本願発明の「ONUの光モジュールをオフ/オンにする」とは、後述する相違点を除いて、「ONUを睡眠させる」点で一致する。
f.本願発明は、省エネルギー情報のキャリー方式として3つの選択肢を択一的に採用するものである。
そこで、そのうち、「前記省エネルギー情報のキャリー方式は、前記省エネルギー情報が、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールドに含まれる方式」と対比すると、引用発明とは、後述する相違点を除いて、「前記省エネルギー情報が、OAMフレームにて送信される」という点で一致する。
したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。
(一致点)
「光ネットワークユニットONUと光回線端末OLTとの間に省エネルギーメカニズム管理を実現する方法であって、
ONUとOLTとの間に運用管理およびメンテナンス(OAM)フレームを介して省エネルギー情報を伝送するステップと、
取得した省エネルギー情報に応じてONUを睡眠させるステップとを含み、
前記省エネルギー情報が、OAMフレームにて送信される
方法。」
(相違点1)
一致点の「運用管理およびメンテナンス(OAM)フレーム」に関し、
本願発明は、「拡張OAMフレーム」であるのに対し、引用発明は、当該事項が明らかでない点。
加えて、
一致点の「前記省エネルギー情報が、OAMフレームにて送信される」に関し、
本願発明は、「前記省エネルギー情報のキャリー方式は、前記省エネルギー情報が、拡張OAMフレームのOAMプロトコルデータユニット情報メッセージにおける組織専用情報タイプ-長さ-値フィールドに含まれる方式」であるのに対し、引用発明は、スリープ指令メッセージが、どこに含まれるか明らかでない点。
(相違点2)
一致点の「ONUを睡眠させる」に関し、
本願発明は、「ONUの光モジュールをオフ/オンにする」のに対し、引用発明は、ONUの一部の機能を休止するものの、「光モジュールをオフ/オンにする」ことが明らかでない点。
(5)判断
そこで、まず、上記相違点1について検討する。
上記「(3)技術常識等」の項のとおり、「OAMフレームにおいて、組織専用情報TLVフィールドにコントロールメッセージを組み入れること。」は、普通に行なわれていることである。
そうすると、当業者であれば、引用発明のOAMフレームにおいて、組織専用情報TLVフィールドにスリープ指令メッセージを組み入れることに格別な困難性はない。
したがって、相違点1に係る構成は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。
次に、上記相違点2について検討する。
引用発明の「ONUの一部の機能を休止する」を具体的にどのように実現するかは、設計上の選択事項であるところ、光モジュールをオフ/オンすることは格別困難なことではなく、当業者が適宜なし得ることである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が容易に予測できるものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第2号及び同法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができな。また、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2014-024621