特許異議申立
2025-701073
乾燥システム及び乾燥方法
- 審判番号
- 2025-701073
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-110481
- 登録番号
- 7693417
- 請求日
- 2025年11月13日
- 審決日
- 2026年08月24日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社アーステクニカ
- 【権利者代理人】桂川 直己
- 【異議申立人】柿本 文彦
- 審判長/審判官
- 審判長 小川 恭司
- 審判官 多賀 和宏
- 審判官 鈴木 充
- 分類
- P1652.121-Y (F26B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7693417号発明「乾燥システム及び乾燥方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7693417号の請求項1及び6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7693417の請求項1及び6に係る特許についての出願は、令和3年7月2日に出願され、令和7年6月9日にその特許権の設定登録がされ、令和7年6月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和7年11月13日に特許異議申立人柿本文彦(以下「特許異議申立人」という。)は特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7693417号の請求項1及び6に係る発明(以下「本件発明1」及び「本件発明6」という。)は、特許請求の範囲の請求項1及び6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
乾燥用経路を有しており、前記乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥機と、
前記気流乾燥機よりも下流側に設けられており、少なくとも第1乾燥空間と第2乾燥空間を有しており、前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる流動層乾燥部と、
前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能な供給切替部と、
前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する捕集部と、
前記第1乾燥空間へ前記粉粒体を供給する経路を含む第1供給部と、
前記第2乾燥空間へ前記粉粒体を供給する経路を含む第2供給部と、
を備え、
前記第1乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記第1供給部を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、
前記第2乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記第2供給部を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われ、
前記第1乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第1供給部とは別の第1吸気経路を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、
前記第2乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第2供給部とは別であって前記第1吸気経路と一部が共通する第2吸気経路を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われることを特徴とする乾燥システム。
【請求項6】
乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥工程と、
前記気流乾燥工程が行われた粉粒体を、第1乾燥空間又は第2乾燥空間に供給し、前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる流動層乾燥工程と、
前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する捕集工程と、
を含み、
前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能であり、
前記第1乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記粉粒体を供給する経路を含む第1供給部を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、
前記第2乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記粉粒体を供給する経路を含む第2供給部を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われ、
前記第1乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第1供給部とは別の第1吸気経路を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、
前記第2乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第2供給部とは別であって前記第1吸気経路と一部が共通する第2吸気経路を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われることを特徴とする乾燥方法。」
第3 申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として特開2009-133591号公報(甲第1号証であって、以下「甲1」という。)、従たる証拠として特開昭59-167676号公報(甲第2号証であって、以下「甲2」という。)、及び周知技術を示す証拠として特開2018-136083号公報(甲第3号証であって、以下「甲3」という。)と特開昭57-167722号公報(甲第4号証であって、以下「甲4」という。)を提出し、請求項1及び6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1及び6に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
第4 各証拠の記載事項
1 甲1について
(1)甲1の記載事項
甲1には、図面とともに次の記載がある(下線は当審合議体が付したもの。以下同様。)。
「【0022】
本発明の連続式常圧過熱水蒸気乾燥方法は、被乾燥物を、熱風を通した気流乾燥管に粉体状に散布させ、気流式空気熱風乾燥を行った後、得られた分散粒子である一次乾燥物を、乾燥器内に導入し、乾燥器内の過熱水蒸気雰囲気を一定条件に維持するように過熱水蒸気を循環させながら、一次乾燥物の流動層乾燥を連続的に行い、流動層乾燥後の乾燥器内に滞留している二次乾燥物を乾燥器の外部に排出することにより、二次乾燥物である製品を得るものである。」
「【0033】
第1段階で得られた一次乾燥物(分散粒子)は、乾燥器の一端から連続で投入され、横方向に浮遊流動しながら順次出口より排出され、且つ一次乾燥物(分散粒子)の平均流動化風速、流動状態、滞留時間及び乾燥状態が調節されていることが好ましい。」
「【0036】
本発明の連続式常圧過熱水蒸気乾燥装置は、材料供給機1によって定量的に、ホッパ2から流下し、更に熱風で導入された被乾燥物を、熱風とともに散布させ、分散粒子の一次乾燥物に乾燥させる気流乾燥管4と、得られた一次乾燥物を、過熱水蒸気による流動層乾燥を連続的に行う乾燥器10と、乾燥器10内に、過熱水蒸気を供給・循環させる過熱水蒸気調整手段20と、乾燥器10内に滞留している流動乾燥後の二次乾燥物を外部に排出する排出手段17と、を備えたものである。
【0037】
ここで、本発明で用いる乾燥器10は、乾燥器内を過熱水蒸気で置換後、一次乾燥物の有無を問わず乾燥器10内を過熱水蒸気雰囲気で維持する過熱水蒸気流動層乾燥器であることが好ましい。
」
「【0043】
尚、本発明で用いる乾燥器10内には、仕切板14が、少なくとも1枚以上(好ましくは、2枚、より好ましくは3枚)設けられていることが、一次乾燥物から各乾燥段階の二次乾燥物(製品)が混合しないようにするとともに、二次乾燥物(製品)の滞留時間を均一にすることができるため好ましい。」
「【0046】
ここで、本発明で用いる過熱水蒸気調整手段20は、水蒸気供給手段22から供給された水蒸気を、乾燥器10内を経由して、加熱器30で循環過熱させて、過熱水蒸気を乾燥器10内へ供給するものであり、乾燥器10内が過熱水蒸気雰囲気下では、乾燥器10内の過熱水蒸気量を調節するものであることが好ましい。例えば、図1に示すように、乾燥器10内を仕切板14で3分割し、更に、それに対応して乾燥器10下部に3箇所の過熱水蒸気調整手段20をそれぞれのコーン19に配置することにより、被乾燥物の平均流動化風速、流動状態など操作条件を調節することがより容易となる。」
「【0050】
次に、本発明の乾燥処理の一例について、図1を用いて更に説明する。まず、材料供給機1から、被乾燥物を熱風で気流乾燥管4に導入し、得られた顆粒状の被乾燥物を熱風とともに散布させ、分散粒子の一次乾燥物に乾燥させる(気流式空気熱風乾燥)。得られた一次乾燥物は、サイクロン6で、排ガスと分離され、ロータリーバルブ8及び材料投入ダンパ9で、乾燥器10内へ投入量の調節が行われる。尚、排ガスは、バグフィルタ7を経由後、外気へ排気される。
【0051】
一次乾燥物は、材料投入口11から過熱水蒸気雰囲気下の乾燥器10内へ(連続)投入され、乾燥器10下部に設けられた分散板12から過熱水蒸気を供給することにより、流動層状態となり、それぞれの仕切板14で、横方向に順次乾燥(過熱水蒸気流動層乾燥)が行われることで、二次乾燥品(製品)となる。得られた二次乾燥品(製品)は、所定の滞留時間が経過後、排出手段であるゲートダンパ17を経て製品排出口18から排出される。」
「図1
[図:0001439231000001.jpg]
」
(2)甲1発明
上記(1)の【0046】の「過熱水蒸気調整手段20は、水蒸気供給手段22から供給された水蒸気を」との記載及び図1から、3箇所の過熱水蒸気調整手段20は共通の水蒸気供給手段22から水蒸気が供給されていると理解される。
そして、上記(1)を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「気流乾燥管4に熱風を通し被乾燥物を粉体状に散布させ、気流式空気熱風乾燥を行い一次乾燥物に乾燥させる気流乾燥管4と、
前記気流乾燥管4で乾燥された前記一次乾燥物が連続的に投入され、内部が仕切板14で3分割されており、前記一次乾燥物に対する過熱水蒸気による流動層乾燥を連続的に行う過熱水蒸気流動層乾燥器10であって、前記気流乾燥管4で乾燥された前記一次乾燥物は、前記乾燥器10の一端から連続で投入され、横方向に浮遊流動しながら順次乾燥が行われる前記乾燥器10と、
前記乾燥器10内における流動乾燥後の二次乾燥物を外部に排出する排出手段17と、
内部が仕切板14で3分割された前記乾燥器10の一端から前記一次乾燥物を連続投入する材料投入口11と、を備え、
前記一次乾燥物は前記乾燥器10の一端から連続で投入され、3分割された前記乾燥器10を横方向に浮遊流動しながら順次乾燥が行われるものであって、
前記一次乾燥物は、サイクロン6で排ガスと分離されて前記材料投入口11から前記乾燥器10に投入され、
前記仕切板14で3分割された前記乾燥器10内に対応して前記乾燥器10下部に3箇所の過熱水蒸気調整手段20が配置され、共通の水蒸気供給手段22から3箇所の前記過熱水蒸気調整手段20に水蒸気が供給されている連続式常圧過熱水蒸気乾燥装置。」
2 甲2について
(1)甲2の記載事項
甲2には、図面とともに次の記載がある。
「本発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、流動室を二室又はそれ以上に区画し、各々の流動室は独立に、且つバッチ方式で運転するようにしたものであり、これによって連続式の欠点である乾燥ムラをなくし、同時に、バッチ式の欠点である被乾燥物のストック時間をなくし、連続運転を行なうものである。
以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
この流動層乾燥機は流動室が二又はそれ以上に区画されていてそれぞれが独立して操作する様になっている点を除けば通常のこの種の乾燥機と本質的には差異はない。即ち、図中符号1は流動室、2は熱風吹込チャンバ、3は排気口、4は被乾燥材料の投入口、5は製品排出口である。そして流動室1の底面には目皿板6が張設されており、一方、吹込チャンバ2にはダクト7が接続され、更にこれに図示しない熱風発生装置、送風機等が取付けられていて目皿板6を透して流動室1に熱風を吹き込む様になっている。ところで流動室1は隔壁8によって二又はそれ以上に区画されており、その各々が吹込チャンバ2、材料投入口4、製品排出口5が取付けられている。図では一例として流動室を二分画したものを示し、特に隔壁8は乾燥機内の天井まで機内を二分画し、排気口3もそれぞれの流動室に対応して設け、それぞれの流動室で独立に乾燥操作を行なう様にしたものを示した。即ち、それぞれの熱風吹込ダクト7には自動開閉弁9を取付け、同様に排気ダクト3にも自動開閉弁10を取付ける。そして更に排出口4にも製品を排出するための開閉扉11を取付ける。符号12は振り分け板であって、これを左右いづれかに倒すことによって被乾燥材料を供給すべき流動室を規制するものである。尚、13は放散ダクトであって、乾燥機内で爆発その他により急激にガスの発生があったときにこれを直ちに機外へ放散させるものである。
従ってこのダクト13は常時は閉じられていて、機内の圧力が一定値以上に上昇したときに開くようになっている。
続いて上記した流動層乾燥機を用いて被乾燥材料を乾燥する手順について説明する。 先ず常法に従って一方の流動室1aの熱風吹込ダクト7の開閉弁9と排出口3の開閉弁10を開いて被乾燥材料を徐々に供給する。 所定量の材料が流動室1aに供給されたところで振り分け板12を切り換えて他方の流動室1bに流動室1aと同様にして熱風を送って被乾燥材料の供給を開始する。
先の流動室1aについては所定時間が経過し、被乾燥物が所望の水分含有量にまで乾燥した時点で、開閉扉11を開き、被乾燥物を乾燥製品として取出す。その後は再び流動室1aに所定量の被乾燥物を供給して、最初と同様に乾燥を繰り返す。
以上の様に各流動室では、被乾燥材料の供給→乾燥→排出のサイクルがバッチ方式で繰り返される。」(第2頁右上欄第2行~右下欄第19行)
「第1図
[図:0001439231000002.jpg]
」
「第2図
[図:0001439231000003.jpg]
」
「第3図
[図:0001439231000004.jpg]
」
(2)甲2に記載された技術的事項
上記(1)の「図中符号1は流動室、2は熱風吹込チャンバ、3は排気口、4は被乾燥材料の投入口、5は製品排出口である。」、「ところで流動室1は隔壁8によって二又はそれ以上に区画されており、その各々が吹込チャンバ2、材料投入口4、製品排出口5が取付けられている。」、「続いて上記した流動層乾燥機を用いて被乾燥材料を乾燥する手順について説明する。先ず常法に従って一方の流動室1aの熱風吹込ダクト7の開閉弁9と排出口3の開閉弁10を開いて被乾燥材料を徐々に供給する。所定量の材料が流動室1aに供給されたところで振り分け板12を切り換えて他方の流動室1bに流動室1aと同様にして熱風を送って被乾燥材料の供給を開始する。」との記載から、流動層乾燥機は、熱風吹込みチャンバ2を介して熱風を流動室1a,1bに吹き込むことで被乾燥材料を乾燥させるものであることが理解できる。
そして、上記(1)を総合すると、甲2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「隔壁8によって二又はそれ以上に区画された流動室1a,1bと、
前記流動室1a,1bに各々取付けられた、熱風吹込チャンバ2と、排気口3と、被乾燥材料の投入口4と、製品排出口5と、
左右いずれかに倒すことによって被乾燥材料を供給すべき流動室を規制する振り分け板12と、
を備える流動層乾燥機であって、
被乾燥材料は、振り分け板12によって振り分けられ、いずれかの投入口4を介して流動室1a,1bに供給され、
熱風吹込チャンバ2を介して熱風を流動室1a,1bに吹き込むことで被乾燥材料を乾燥させ、
被乾燥物が所望の水分含有量にまで乾燥した時点で製品排出口5を介して乾燥製品として取り出す、
バッチ方式の流動層乾燥機。」
3 甲3について
(1)甲3の記載事項
甲3には、図面とともに次の記載がある。
「【0011】
図1に示すように、湿潤原料、例えば木質チップを代表とするバイオマス原料は受入ホッパ1に投入され、原料移送コンベア2、原料受入切換弁3を経由して、サイロ4に受入れられる。受入が終了したサイロはサイロ乾燥を開始する。乾燥熱源の熱風は、通常は熱処理炉の廃熱利用により得られるが、熱風が得られない運転初期には、燃料から熱風を得る。熱風は希釈空気によりミキサー10で混合し、低温温風を得る。」
「【0014】
サイロは複数基設置する。図1では4基設置しているが、1基のサイロを熱処理炉1日分の容量にすれば、3日分の貯蔵余裕量が可能で、原料の入荷変動に容易に対応できる。」
「【0019】
図1、図2は木質チップを湿潤原料として、乾燥原料からバイオマスエネルギーを取り出す目的で設置された熱処理炉の前処理装置として、貯蔵と乾燥を兼ねて設置されたサイロ乾燥装置である。1基のサイロは熱処理炉の1日分の容量に対応する乾燥能力と貯蔵容量を持ち、従って常時3日分の貯蔵余裕量を有する。一般的に木質チップの発生は季節要因もあり、不定期で、変動が大きい。このため、貯蔵容量については各サイトの特徴に応じて必要量が確保されるが、熱処理炉には極力性状が安定した原料の供給が望まれる。従って、大きな変動を吸収する貯蔵には屋外ヤード又は屋内ヤード等の原始的な貯蔵がなされ、熱処理炉への原料性状の安定と、屋外における原料の荷捌き作業が休止される時等の貯蔵余裕に対しては、サイロ乾燥装置が適用される。
【0020】
湿潤原料は受入ホッパ1に受入れられたのち、原料移送コンベア2により、サイロ4に供給される。供給が終了した時、他のサイロに供給を切換えるとともに、満杯のサイロから乾燥運転を開始する。
乾燥熱源は熱処理炉の廃熱または燃料であり、これらにより得られた熱風はミキサーで希釈空気によって希釈冷却され、低温温風を得る。
低温温風はサイロの底部から吹き込まれ、すなわちサイロの底部ホッパ17a、17b下端とサイロ床との隙間からサイロ内に均等に吹き込まれる。この時他のサイロへの漏風を防ぐため、原料受入切換弁3、排出路切換ダンパー7a、7bは閉鎖する。」
「図1
[図:0001439231000005.jpg]
」
(2)甲3に記載された技術的事項
上記(1)を総合すると、甲3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「湿潤原料をサイロ内で乾燥させるサイロ乾燥装置であって、サイロ4は複数基設置され、各サイロ4には、ミキサー10において熱風が希釈空気により希釈冷却されることで得られた低温温風がそれぞれ吹き込まれる、サイロ乾燥装置。」
4 甲4について
(1)甲4の記載事項
甲4には、図面とともに次の記載がある。
「種々の粒粉体、とくにプラスチックの粉末および顆粒の乾燥のためには、粒粉体乾燥塔において、高温の乾燥した空気が乾燥塔下部に開口した給気管から乾燥塔内に吹き込まれ、乾燥塔内を降下する粒粉体と対向してこれを加熱し、自らは冷却しながら水分を吸収し、乾燥塔上部の排気管から送り出される。」(第2頁右下欄第18行~第3頁左上欄第4行)
「第2図においては、1000lから2000lまでの異なった内容積の粒粉体乾燥塔100,110,120が並列に、第1図と同様に、給気管160および排気管170を介して乾燥機80と結ばれている。給気管160から乾燥塔100へはその一部である106が通じ、乾燥塔110へは給気枝管116が、乾燥塔120へは給気枝管126が通じている。」(第6頁左下欄第9~第16行)
「本発明は上記実施例に詳記した如く乾燥機1に通ずる空気配管8に、制御器31に接続した温度検出器30が設置されていることを特徴とする、吸着剤を充填した少なくとも1台の吸湿器、吸湿器のための再生装置、ならびにその高圧側出口を、乾燥塔へ導かれた、加熱装置を備えた空気配管に接続した送風機を有する、1基または複数の粒粉体乾燥塔の排気管から排出される、湿り排気の乾燥装置を提供するものであり、さらに温度検出器を排気枝管に取付け、電動制御絞り弁を給気枝管に取付けた態様、およびこれとは反対に温度検出器を給気枝管に、制御弁を排気枝管に取付けた態様ともに本発明の特許請求の範囲に入るものである。」(第7頁左上欄第17行~右上欄第10行)
「第2図
[図:0001439231000006.jpg]
」
(2)甲4に記載された技術的事項
上記(1)を総合すると、甲4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「種々の粉粒体を乾燥させるため、粉粒体乾燥塔下部に開口した吸気管から高温の乾燥した空気を吹き込む構成を有した乾燥装置であって、3つの粉粒体乾燥塔100,110,120と、各粉粒体乾燥塔に対して吸気管160からその一部である106、吸気枝管116、吸気枝管126がそれぞれ通じている乾燥装置。」
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とをその機能、構造又は技術的意義を考慮して対比すると、後者の「気流乾燥管4」は前者の「乾燥用経路」ないし「気流乾燥機」に、「粉体状に散布させ」た「被乾燥物」は「乾燥の対象物である粉粒体」に、「熱風」は「前記粉粒体を乾燥させるための気体」に、それぞれ相当し、後者の「気流式空気熱風乾燥を行い一次乾燥物に乾燥させる」という事項は前者の「前記粉粒体を乾燥させる」という事項に相当する。したがって、後者の「気流乾燥管4に熱風を通し被乾燥物を粉体状に散布させ、気流式空気熱風乾燥を行い一次乾燥物に乾燥させる気流乾燥管4」は前者の「乾燥用経路を有しており、前記乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥機」に相当する。
甲1発明において、「過熱水蒸気流動層乾燥器10」には、「前記気流乾燥管4で乾燥された前記一次乾燥物が連続的に投入され」るから、過熱水蒸気流動層乾燥器10は気流乾燥管4より下流側に設けられていることがわかる。したがって、後者の「前記気流乾燥管4で乾燥された前記一次乾燥物が連続的に投入され」るという事項は前者の「前記気流乾燥機よりも下流側に設けられており」という事項に相当する。以下同様に、「内部が仕切板14で3分割されており」という事項は「少なくとも第1乾燥空間と第2乾燥空間を有しており」という事項に、「前記一次乾燥物に対する過熱水蒸気による流動層乾燥を連続的に行う」という事項は「前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる」という事項に、「過熱水蒸気流動層乾燥器10」は「流動層乾燥部」にそれぞれ相当する。
甲1発明の過熱水蒸気流動層乾燥器10は「内部が仕切板14で3分割されて」いること、「前記一次乾燥物は、前記乾燥器10の一端から連続で投入され、横方向に浮遊流動しながら順次乾燥が行われる」ことから、一次乾燥物は過熱水蒸気流動層乾燥器10内で分割されている3つの空間に順次供給されていくと見ることができる。したがって、後者の「前記気流乾燥管4で乾燥された前記一次乾燥物は、前記乾燥器10の一端から連続で投入され、横方向に浮遊流動しながら順次乾燥が行われる前記乾燥器10と」という事項と前者の「前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能な供給切替部と」という事項とは、「前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記第2乾燥空間に供給する状態とを備えている」という限りで一致する。
甲1において、乾燥器10内で得られた二次乾燥品(製品)は、所定の滞留時間が経過後、排出手段であるゲートダンパ17を経て製品排出口18から排出されるものである。ここで、排出手段17は二次乾燥品(製品)の回収を行うための構成要素であり、乾燥された粉粒体を捕集する本件発明1の捕集部と実質的に同等の技術的機能を有するから、後者の「前記乾燥器10内における流動乾燥後の二次乾燥物を外部に排出する排出手段17」は前者の「前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する捕集部」に相当する。
甲1における、「内部が仕切板14で3分割された前記乾燥器10の一端から前記一次乾燥物」が「連続投入」され、「3分割された前記乾燥器10を横方向に浮遊流動しながら順次乾燥が行われる」構成は、一次乾燥物は、まず3分割された前記乾燥器10の一端の空間に投入され、横方向に浮遊流動することで、3分割された隣の空間に順次供給されていくと見ることができるから、後者の「内部が仕切板14で3分割された前記乾燥器10の一端から前記一次乾燥物を連続投入する材料投入口11と、を備え、前記一次乾燥物は前記乾燥器10の一端から連続で投入され、3分割された前記乾燥器10を横方向に浮遊流動しながら順次乾燥が行われるものであって」という事項は前者の「前記第1乾燥空間へ前記粉粒体を供給する経路を含む第1供給部と、前記第2乾燥空間へ前記粉粒体を供給する経路を含む第2供給部と、を備え」という事項に相当する。
また、後者の「前記仕切板14で3分割された前記乾燥器10内に対応して前記乾燥器10下部に3箇所の過熱水蒸気調整手段20が配置され、共通の水蒸気供給手段22から3箇所の前記過熱水蒸気調整手段20に水蒸気が供給されている」という事項は前者の「前記第1乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第1供給部とは別の第1吸気経路を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、前記第2乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第2供給部とは別であって前記第1吸気経路と一部が共通する第2吸気経路を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われる」という事項に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点1及び2で相違する。
<一致点>
乾燥用経路を有しており、前記乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥機と、
前記気流乾燥機よりも下流側に設けられており、少なくとも第1乾燥空間と第2乾燥空間を有しており、前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる流動層乾燥部と、
前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、
前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する捕集部と、
前記第1乾燥空間へ前記粉粒体を供給する経路を含む第1供給部と、
前記第2乾燥空間へ前記粉粒体を供給する経路を含む第2供給部と、
を備え、
前記第1乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第1供給部とは別の第1吸気経路を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、
前記第2乾燥空間での前記粉粒体の乾燥時は、前記第2供給部とは別であって前記第1吸気経路と一部が共通する第2吸気経路を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われることを特徴とする乾燥システム。
<相違点1>
本件発明1は、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、「を切替可能な供給切替部」を備えるのに対して、甲1発明は、「前記乾燥器10の一端から連続で投入され、横方向に浮遊流動しながら順次乾燥が行われる」ものであって、供給状態を切替可能な供給切替部を備えていない点。
<相違点2>
本件発明1は「前記第1乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記第1供給部を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、前記第2乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記第2供給部を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われ」ているのに対して、甲1発明では、「前記一次乾燥物は、サイクロン6で排ガスと分離されて前記材料投入口11から前記乾燥器10に投入され」るものであって、前記材料投入口11から吸気は行われていない点。
(2)判断
ア 相違点1について
甲1発明は、種々の被乾燥物を、連続的且つスムーズに乾燥・殺菌処理することを目的としている(【0009】を参照)。そのため、甲1発明では「前記気流乾燥管4で乾燥された前記一次乾燥物は、前記乾燥器10の一端から連続で投入され」る構成を採用している。これは、連続方式の流動層乾燥機である。
一方、甲2には上記第4の2(2)の技術的事項が記載されている。これは、被乾燥材料の供給先を交互に切り替えるものであるから全体として見掛け上連続処理を可能としているものの、甲1発明は「連続性」を目的として、すでに連続方式の過熱水蒸気流動層乾燥器10を備えているから、甲1発明における当該乾燥器10に代えて、甲2に記載されている技術的事項を採用する動機付けはない。
また、甲3~4に記載された技術的事項は、相違点1に関するものではない。
したがって、甲1発明及び甲2に記載された技術的事項に基いて、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
イ 相違点2について
本件発明1の「第1供給部を介して第1乾燥空間に吸気が行われる」とは、粉粒体の供給経路を構成する第1供給部自体を気体の流路として、第1乾燥空間へ気体を吸入することを意味する。
他方、甲2では、粉粒体は材料投入口4から重力等によって供給され、乾燥用熱風は材料投入口4とは別の熱風吹込ダクト7、吹込チャンバ2及び目皿板6を介して供給される。すなわち、材料の供給時に熱風が流動室内に供給されるとしても、材料投入口4を含む材料供給経路を介して吸気が行われるものではない。
したがって、甲2には、被乾燥材料の投入口4を介して熱風を吹き込む(吸気する)技術的事項は開示されていない。
また、甲3~4に記載された技術的事項についても、被乾燥材料が供給された空間に対して、乾燥のための吸気を行うものではあるが、被乾燥材料の供給時に当該供給経路を介して吸気を行うものではなく、相違点2に相当する技術的事項を開示していない。
よって、甲1発明及び甲2~4に記載された技術的事項に基いて、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
そして、本件発明1は相違点1及び2に係る構成を備えることによって、種々の被乾燥物を、連続的且つスムーズに乾燥・殺菌処理することができ、粒度や乾燥度等の品質が均一である乾燥物(製品)を得ることができるという特有の効果を奏する。
以上のことから、本件発明1は、甲1発明及び甲2~4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本件発明6について
本件発明6は、乾燥システムである本件発明1における相違点1及び相違点2に対応する工程として、「前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能であり」、「前記第1乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記粉粒体を供給する経路を含む第1供給部を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、前記第2乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記粉粒体を供給する経路を含む第2供給部を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われ」るという工程を含む乾燥方法の発明であるから、上記1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は特許異議申立書において主に次の主張をしている。
(1)供給切替部について
ア 「構成要件Cは、「前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能な供給切替部と、」である。これに対して、甲2発明は、「被乾燥材料を第1の流動室に供給する状態と、被乾燥材料を第2の流動室に供給する状態と、を切替可能な供給切替部(振り分け板12)」を備える。即ち、構成要件Cは甲2発明が備えるものである。」(10頁14~21行)
イ 「甲第1号証に記載された甲1発明、甲第2号証に記載された甲2発明、甲第3号証、及び、甲第4号証については、何れも被乾燥物を乾燥させる乾燥装置に関する技術である。つまり、これらの引用発明は技術分野、課題、作用・機能についてそれぞれ共通性を有しているため、互いに組み合わせることについての動機付けがあるといえる。即ち、本件特許の請求項1、6に係る発明は、甲1発明(甲第1号証)に甲2発明(甲第2号証)及び周知技術(甲第3号証-甲第4号証)を適用することにより当業者が容易に想到し得たものである、との論理付けがなされるべきである。」(14頁32行~15頁3行)
(2)吸気について
ア 「構成要件Gは、「前記第1乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記第1供給部を介して前記第1乾燥空間に吸気が行われ、」である。これに対して、甲2発明は、「第1の流動室への被乾燥材料の供給時は、第1供給部を介して第1の流動室に吸気が行われ」る。即ち、構成要件Gは、甲2発明が備えるものである。」(11頁7~11行)
イ 「構成要件Hは、「前記第2乾燥空間への前記粉粒体の供給時は、前記第2供給部を介して前記第2乾燥空間に吸気が行われ、」である。これに対して、甲2発明は、「第2の流動室への被乾燥材料の供給時は、第2供給部を介して第2の流動室に吸気が行われ」る。即ち、構成要件Hは、甲2発明が備えるものである。」(11頁13~17行)
上記(1)の主張について検討する。
甲2には、第4の2(2)において示したとおりの技術的事項が記載されているが、第5の1(2)アで検討したとおり、連続的且つスムーズに乾燥・殺菌処理することを目的として、連続方式の流動層乾燥機を備えている甲1発明において、甲2に記載されている技術的事項を採用する動機付けはない。
したがって、特許異議申立人の上記(1)の主張を採用することはできない。
上記(2)の主張について検討する。
第5の1(2)イで検討したとおり、甲2~4はいずれも相違点2に相当する技術的事項を開示していない。
したがって、特許異議申立人の上記(2)の主張を採用することはできない。
第6 むすび
以上のことから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-701073