特許訂正審判
2024-390071
映像情報通知方法及び装置、並びにこれを利用した復号方法及び装置
- 審判番号
- 2024-390071
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2022-182379
- 登録番号
- 7457083
- 請求日
- 2024年07月12日
- 審決日
- 2025年02月14日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エルジー エレクトロニクス インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】河合 章
- 【請求人代理人】竹本 実
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 片岡 利延
- 審判官 伊藤 隆夫
- 分類
- P141 .852-Z (H04N) / P141 .855-Z (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7457083号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7457083号(以下、「本件特許」という。)は、2012年(平成24年)9月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年9月22日(US)米国)を国際出願日とする特願2014-531724号の一部を平成29年10月19日に新たな特許出願とした特願2017-202832号の一部をさらに令和元年6月19日に新たな特許出願とした特願2019-113655号の一部をさらに令和3年2月12日に新たな特許出願とした特願2021-20658号の一部をさらに令和4年11月15日に新たな特許出願としたものであって、令和6年3月18日に特許権の設定登録がなされ、令和6年7月12日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
そして、当審において、令和6年10月29日付け(発送日:令和6年10月31日)で訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、審判請求人からは何ら応答がなかった。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7457083号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり請求項ごとに、訂正後の請求項6、7について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項は以下のとおりである。
[訂正事項1]
特許請求の範囲の請求項6に「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行するステップ」と記載されているのを、「参照ピクチャを含む参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行するステップ」に訂正する。
[訂正事項2]
特許請求の範囲の請求項7に「前記ビットストリームは、参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行し」と記載されているのを、「前記ビットストリームは、参照ピクチャを含む参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行し」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の内容の審理について
訂正要件を満たしているかを判断するときには、一つ一つの訂正事項ごとに訂正要件の適合性の判断を行う。
「独立特許要件」の判断(下記の「3」)に先立ち、訂正後の請求項について、訂正の目的の要件を満たしているかを判断する。その結果、一見して明らかに目的の要件を満たさない訂正事項については、その余の判断をしなくても差し支えない。
したがって、まず、下記の「2」において「訂正の目的の要件を満たしているか」を判断する。
2 訂正の目的の要件を満たしているかについて
(1)訂正の目的について
ア 誤記の訂正について
請求人は、「審判請求書3頁6(3)ア(ア)a」及び「審判請求書5頁6(3)ア(イ)a」において、訂正事項1及び訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであると述べているので、以下、検討する。
(ア)誤記の訂正の要件
「誤記の訂正」とは、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいう。
また、誤記の訂正が認められるためには、設定登録時の明細書等の中の記載に誤記が存在することが必要である。
さらに、請求項中の記載が、それ自体で、又は設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであり、かつ、設定登録時の明細書等の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まるときにおいて、その誤りを正しい記載にする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。これに対し、出願当初の明細書又は外国語書面を参酌して、初めて正しい記載が定まるときは、改めて訂正前と訂正後の特許請求の範囲を対比し、訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものか否かを審理することを要する。
そこで、本件特許の特許請求の範囲の請求項6及び請求項7の「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」及び「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」との記載(以下、「訂正前の記載」という。)が誤記であるかどうかについて検討する。
(イ)明細書等の記載
設定登録時の明細書等には以下の記載がある。(下線は、当審で付与した。)
(イ-1)「【請求項6】
符号化装置により実行される映像符号化方法であって、
参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行するステップと、
前記参照ピクチャに対するピクチャ順カウント(POC)値を導出するステップと、
前記参照ピクチャの前記導出されたPOC値に基づいて前記参照ピクチャのPOC情報を導出するステップであって、前記POC情報は前記参照ピクチャに対するPOC差を示す、ステップと、
前記POC情報を含む映像情報を符号化するステップとを含み、
前記参照ピクチャは、POC順で現在ピクチャの前の前記参照ピクチャと、前記POC順で前記現在ピクチャに後続の前記参照ピクチャを含み、
前記参照ピクチャリストは、参照ピクチャ集合に基づいて構成され、
0番目の参照ピクチャは前記参照ピクチャ集合において第1参照ピクチャであり、
前記POC順で前記現在ピクチャの前に位置する前記参照ピクチャに対して、
前記POC差は、第i番目の参照ピクチャが前記参照ピクチャ集合において第1の参照ピクチャである場合、前記現在ピクチャのPOC値と前記第i番目の参照ピクチャのPOC値との差であり、
前記POC差は、前記第i番目の参照ピクチャが1番目の参照ピクチャに続く2番目の参照ピクチャから前記参照ピクチャ集合の最後の参照ピクチャまでである場合、前記第i番目の参照ピクチャのPOC値と第(i-1)番目の参照ピクチャのPOC値との差であり、
前記参照ピクチャリストに対して、インデックスは、前記POC順での前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまでのPOC値の降順に基づいて、割り当てられ、そして、インデックスは、POC順において前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまでPOC値の昇順に基づいて、割り当てられる、映像符号化方法。」
(イ-2)「【請求項7】
画像に対するデータの送信方法であって、
前記画像に対するビットストリームを取得するステップであって、
前記ビットストリームは、参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行し、前記参照ピクチャに対するピクチャ順カウント(POC)値を導出し、前記参照ピクチャの前記導出されたPOC値に基づいて前記参照ピクチャのPOC情報を導出し、前記POC情報は前記参照ピクチャに対するPOC差を示し、前記ビットストリームを出力するために、前記POC情報を含む映像情報を符号化することにより、生成される、ステップと、
前記ビットストリームを含む前記データを送信するステップとを含み、
前記参照ピクチャは、POC順で現在ピクチャの前の前記参照ピクチャと、前記POC順で前記現在ピクチャに後続の前記参照ピクチャを含み、
前記参照ピクチャリストは、参照ピクチャ集合に基づいて構成され、
0番目の参照ピクチャは前記参照ピクチャ集合において第1参照ピクチャであり、
前記POC順で前記現在ピクチャの前に位置する前記参照ピクチャに対して、
前記POC差は、第i番目の参照ピクチャが前記参照ピクチャ集合において第1の参照ピクチャである場合、前記現在ピクチャのPOC値と前記第i番目の参照ピクチャのPOC値との差であり、
前記POC差は、前記第i番目の参照ピクチャが1番目の参照ピクチャに続く2番目の参照ピクチャから前記参照ピクチャ集合の最後の参照ピクチャまでである場合、前記第i番目の参照ピクチャのPOC値と第(i-1)番目の参照ピクチャのPOC値との差であり、
前記参照ピクチャリストに対して、インデックスは、前記POC順での前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまでのPOC値の降順に基づいて、割り当てられ、そして、インデックスは、POC順において前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまでPOC値の昇順に基づいて、割り当てられる、データの送信方法。」
(イ-3)「【0090】
復号装置は、インタ予測を介してPスライスとBスライスに対する復号を行う場合、参照ピクチャリストを作成(construct)する。インタ予測に利用される参照ピクチャは、参照ピクチャリストを介して指定される。参照ピクチャインデクスは、参照ピクチャリスト上の参照ピクチャを指示するインデクスである。
」
(イ-4)「【0102】
参照ピクチャリストL0を作成する場合は、受信した参照ピクチャ集合のうち、現在ピクチャのPOCよりPOCが小さなピクチャ(POC順で、現在ピクチャ以前のピクチャ又は相対POCの符号が負の値を有するピクチャ)と、現在ピクチャのPOCよりPOCが大きなピクチャ(POC順で、現在ピクチャ以後のピクチャ又は相対POCの符号が正の値を有するピクチャ)とのうち、現在ピクチャのPOCよりPOCが小さなピクチャから参照ピクチャインデクスを割り当てて参照ピクチャリストが作成される。
」
(イ-5)「【0104】
参照ピクチャリストL1を作成する場合は、受信した参照ピクチャ集合のうち、現在ピクチャのPOCよりPOCが小さなピクチャ(POC順で、現在ピクチャ以前のピクチャあるいは相対POCの符号が負の値を有するピクチャ)と、現在ピクチャのPOCよりPOCが大きなピクチャ(POC順で、現在ピクチャ以後のピクチャ又は相対POCの符号が正の値を有するピクチャ)とのうち、現在ピクチャのPOCよりPOCが大きなピクチャから参照ピクチャインデクスを割り当てて参照ピクチャリストが作成される。
」
(イ-6)「【0106】
ここでは、短期参照ピクチャの場合を例に挙げて説明したが、長期参照ピクチャを含む参照ピクチャリストの場合は、前記L0とL1に対して(i)及び(ii)の過程を経た後、参照ピクチャ集合を介して長期参照ピクチャとして転送されたピクチャを追加できる。
」
(ウ)訂正前の記載について
(ウ-1)上記(イ-1)及び(イ-2)には、「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」すること、及び、「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」することが記載されている。
(ウ-2)ここで、映像符号化・復号化の処理において、現在ピクチャ(符号化対象ピクチャ)が参照する参照ピクチャが有する参照ピクチャリスト(本件特許の請求項6でいう「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリスト」、請求項7でいう「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリスト」)を参照してインター予測を実行することは、特開2014-42307号公報の段落【0016】、【0024】、【0085】、【図9A】-【図10B】に記載されるように周知技術(特開2014-42307号公報の、「co-locatedブロック」が存在するピクチャは「参照ピクチャ」といえ、当該「co-locatedブロック」が存在するピクチャの参照リストL1と参照リストL2は、「参照ピクチャが有する参照ピクチャリスト」といえる)である。
(ウ-3)上記(ウ-2)で示した周知技術を考慮すると、本件特許の請求項6の「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」すること、請求項7の「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」することは、上記周知技術のように、現在ピクチャ(符号化対象ピクチャ)が参照する参照ピクチャが有する参照ピクチャリストを参照してインター予測を実行するものと解され、請求項6、7の記載が、それ自体で誤りであることが明らかとはいえない。
(ウ-6)以上のことから、訂正前の記載は、「それ自体で、又は設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであ」るものとはいえないから、当該訂正前の記載に誤記が存在するとは認められない。
(エ)訂正後の記載について
訂正事項1及び訂正事項2は、それぞれ「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」、「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」と記載されているのを、いずれも、「参照ピクチャを含む参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」(以下、「訂正後の記載」という。)に訂正するものである。
上記(イ-3)~(イ-6)には、
「インタ予測に利用される参照ピクチャは、参照ピクチャリストを介して指定される」こと(イ-3)、
「受信した参照ピクチャ集合のうち、現在ピクチャのPOCよりPOCが小さな(あるいは、大きな)ピクチャから参照ピクチャインデクスを割り当てて参照ピクチャリストが作成される」こと、(イ-4、イ-5)
前記参照ピクチャリストは「参照ピクチャを含む参照ピクチャリスト」であること(イ-6)、
が記載されている。
以上のことから、訂正後の記載に対応する構成は、設定登録時の明細書等に記載されている。
(オ)訂正事項1及び訂正事項2の目的について
上記(ウ)及び(エ)のとおり、訂正前の記載は、「それ自体で、又は設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであ」るものとはいえない。
そうすると、設定登録時の明細書等の記載に誤記が存在するとは判断されないから、訂正前の記載を訂正後の記載に訂正する訂正事項1及び訂正事項2は、誤記の訂正を目的としたものとはいえない。
また、訂正事項1及び訂正事項2は、誤訳の訂正を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
(カ)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものか否かについて
訂正前の「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」すること、あるいは、「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」すること、を訂正後の「参照ピクチャを含む参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」するとすることは、「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリスト」あるいは「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリスト」という発明を特定するための事項を「参照ピクチャを含む参照ピクチャリスト」という発明を特定するための事項に入れ替えるものであるから、「実質上特許請求の範囲を変更する」ものである。
(キ)請求人の主張について
請求人は、訂正事項1及び訂正事項2について、それぞれ「審判請求書3頁6(3)ア(ア)a」及び「審判請求書5頁6(3)ア(イ)a」において、以下のように主張している。
審判請求書3頁6(3)ア(ア)a
「訂正事項1は、誤記を訂正しようとするものであるから、当該訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。」
審判請求書5頁6(3)ア(イ)a
「訂正事項2は、誤記を訂正しようとするものであるから、当該訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。」
しかしながら、上記(オ)で検討したように、訂正事項1及び訂正事項2は誤記の訂正を目的としたものとはいえず、請求人の上記主張を採用することはできない。
イ 明瞭でない記載の釈明について
訂正前の請求項6及び請求項7の「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」及び「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリストに基づいて現在ブロックについてインター予測を実行」という記載(訂正前の記載)は、それ自体の意味は明瞭である。
よって、訂正事項1及び訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえない。
ウ 特許請求の範囲の減縮等について
訂正事項1及び訂正事項2は、訂正前に、「参照ピクチャに含まれた参照ピクチャリスト」あるいは「参照ピクチャに含まれる参照ピクチャリスト」とあったものを、訂正後に、「参照ピクチャを含む参照ピクチャリスト」と訂正するものである。
この訂正は、請求項に記載された発明を特定するための事項の入れ替えであり、特許請求の範囲の他の構成を減縮するものでもないから、特許請求の範囲の減縮に該当しないことは明らかである。
よって、訂正事項1及び訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
エ 請求項間の引用関係の解消について
訂正事項1及び訂正事項2は、請求項間の引用関係の解消を目的とするものに該当しないことは明らかである。
オ よって、訂正事項1及び訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明、請求項間の引用関係の解消のいずれにも該当しないものであるから、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。
(2)訂正事項1及び訂正事項2についてのまとめ
以上のとおり、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもないから、訂正事項1及び訂正事項2の訂正は認められない。
3 特許出願の際に独立して特許を受けることができるか否かについて
(1) 独立特許要件が課される請求項
上記「1」に記載したように、「一見して明らかに目的の要件を満たさない訂正事項については、その余の判断をしなくても差し支えな」く、また上記「2」に記載したように、「訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない」が、ここでは仮に、訂正事項1及び訂正事項2を「誤記の訂正」を目的とするものとして判断を行う。
そうすると、請求項6、請求項7についての訂正は、訂正事項1及び訂正事項2による「誤記の訂正」であるから、本件訂正後の請求項6、7に係る発明に対しては、特許法第126条第7項の独立特許要件が課される。
(2) 訂正後の請求項6、請求項7の記載(明確性)について
訂正後の6、7に係る発明は次の構成を有している。
A 前記参照ピクチャリストに対して、
B インデックスは、前記POC順での前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまでのPOC値の降順に基づいて、割り当てられ、
C そして、
D インデックスは、POC順において前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまでPOC値の昇順に基づいて、割り当てられる(以下、「構成A」~「構成D」という。)
構成Bでは「POC順での前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまで」のピクチャに対して、「POC値の降順に基づいて」、「インデックス」が「割り当てられ」ることが記載されている一方で、構成Dでは、構成Bと同じ「POC順での前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまで」のピクチャに対して、「POC値の昇順に基づいて」、「インデックス」が「割り当てられ」ることが記載されている。
構成B、構成Dの記載から、「POC順での前記現在ピクチャの前の前記参照ピクチャまで」のピクチャに対する「インデックス」の「割り当て」が、「POC値の降順に基づいて」行われるのか、「POC値の昇順に基づいて」行われるのか、明らかでない。
したがって、訂正後の請求項6、7に係る発明は明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないものである。
なお、本件特許に対応するファミリーであると認められる米国特許第11743494号明細書の請求項7には
「・・・
and wherein in the reference picture list,
indices for the reference pictures previous to the current picture are allocated based on the descending order of picture order count (POC) values of the reference pictures previous to the current picture,
and indices for the reference pictures subsequent to the current picture are allocated based on the ascending order of picture order count (POC) values of the reference pictures subsequent to the current picture.」
(仮訳:
ここで、前記参照ピクチャリストでは、
現在のピクチャの前の参照ピクチャのインデックスが、現在のピクチャの前の参照ピクチャのピクチャオーダーカウント(POC)値の降順に基づいて割り当てられ、
また、
現在のピクチャに後続する参照ピクチャのインデックスは、現在のピクチャに後続する参照ピクチャのピクチャオーダーカウント(POC)値の昇順に基づいて割り当てられる。
)と記載されている。
(3) 独立特許要件のまとめ
以上により、訂正後の請求項6、7は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
第5 むすび
以上のとおり、訂正事項1及び訂正事項2はいずれも、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。(上記「第4」の「2」)
また仮に、訂正事項1及び訂正事項2を「誤記の訂正」を目的とするものと認めたとしても、訂正事項1により訂正された訂正後の請求項6、訂正事項2により訂正された訂正後の請求項7は、特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、訂正事項1及び訂正事項2による訂正はいずれも、特許法第126条第7項の規定に違反する。(上記「第4」の「3」)
したがって、訂正事項1及び訂正事項2は、いずれも訂正が認められない。
よって、結論のとおり審決する。
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