審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2025-000390

冷媒圧縮機システム用の冷媒組成物

審判番号
2025-000390
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-568551
請求日
2025年01月10日
審決日
2026年02月10日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
  • 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 村守 宏文
  • 審判官 瀬下 浩一
  • 審判官 安藤 倫世
分類
P18 .121-Z (C09K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-568551「冷媒圧縮機システム用の冷媒組成物」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年11月26日国際公開、WO2020/236536、令和 4年 7月22日国内公表、特表2022-533371〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願は、2020年5月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年5月17日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年11月16日 :翻訳文提出 令和3年11月18日 :手続補正書の提出 令和6年 2月20日付け:拒絶理由通知書 令和6年 8月15日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 8月29日付け:拒絶査定 令和7年 1月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和7年 2月20日 :上申書の提出 以下では、令和6年8月29日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和7年1月10日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 本願発明 本願の請求項1~8に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項5は本件補正により補正されておらず、請求項5に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「R-404A、R-457A、R-290、又はR-454Cを含む第1の冷媒組成物を、71から81重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、16から19重量パーセントのジフルオロメタンと、1から11重量パーセントの1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物で置換する方法であって、前記置換は、低背圧(LBP)密閉型往復圧縮機を備える冷蔵システムで実施される、方法。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項5に係る発明(本願発明と同じ)について、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献1、2及び5に記載された事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1. Marek Zgliczynski et al., Thermal Profile of A Reciprocating Compressor Using Low GWP Refrigerants,24th International Compressor Engineering Conference at Purdue,1699,2018年07月09日,pp.1-6,https://docs.lib.purdue.edu/icec/2642 引用文献2. Jozef Sedliak, TEST REPORT #50 Compressor Calorimeter Test of Refrigerant Blend DR-3 in a R-404a Reciprocating Compressor,2015年09月23日,pp.1-36,http://www.ahrinet.org/App_Content/ahri/files/RESEARCH/AREP_Final_Reports/AHRI_Low_GWP_AREP_Rpt_050.pdf 引用文献5. 特表2014-528987号公報 第4 原査定の理由についての検討 1 引用文献に記載された事項 (1)引用文献1 この出願の優先日前に頒布された引用文献である引用文献1には、当審による和訳にして、以下の事項が記載されている。以下、下線は合議体による。 ア 第1頁第1~11行 「 [図:0001436895000001.jpg] 」 概要 高汚染性HFC冷媒の段階的削減に向けた世界的な取り組みに貢献するため、冷凍冷蔵業界は代替冷媒の評価プロセスに多大な資源を投入している。軽商用冷凍冷蔵分野では、R404A冷媒の代替が最も困難であることが判明した。主要な圧縮機メーカーは、今後数年間にわたり地域・地方の規制で閾値として広く採用されるGWP150未満の代替冷媒複数種について性能評価を実施し、AHRI AREPプログラムに貢献した。炭化水素やCO2などの自然冷媒に加え、世界の各地域規制基準を満たすため、GWP<150のA2L安全分類に分類される新たな化学混合冷媒が開発された。本稿では、A2L混合冷媒使用時の熱プロファイルに基づく密閉型往復動圧縮機の評価概要を示す。さらに、R404AおよびR290のプロファイルと比較し、R404A運転用に設計された製品にA2L化学混合冷媒を使用する際の制限事項を明らかにする。 イ 第1頁第12~26行 「 [図:0001436895000002.jpg] 」 1.序論 モントリオール議定書のキガリ改正により、国際社会は将来の世代のために地球を守るため、人間活動による二酸化炭素排出削減に向けた新たな重要な一歩を踏み出した。 冷凍冷蔵分野におけるHFCsの世界的な段階的削減は、国際的な緩和努力への重要な貢献となっている。圧縮機業界は長年にわたり、あらゆる大陸で低環境負荷冷媒を使用する密閉型圧縮機の開発と普及に積極的に投資してきた。家庭用機器におけるイソブタン(R600a)導入の成功事例に続き、軽商用プラグインシステムへのプロパン(R290)導入もR404Aの天然代替品として著しい成長を遂げている。欧州の最近のFガス規制(517/2014)では、今後数年間で複数の商業用途カテゴリーにおける高GWP冷媒の使用禁止が検討されており、同時に高GWPガス販売・流通は割当制度で管理されている。他の地域でも同様の規制が間もなく実施される見込みであり、例えばカリフォルニア大気資源局は、2017年8月に米国控訴裁判所により差し止められたEPA 2016年規則を採択する可能性が高い。天然冷媒の代替として、化学業界はGWPが150の制限値をわずかに下回る一連の混合冷媒を提供している。現在使用されている高GWP冷媒R404Aの代替能力を評価するため、一連の試験が実施された。本論文では、既存の圧縮機プラットフォームの信頼性への影響という観点から、A2L候補冷媒の一つをR404AおよびR290と比較した実験的解析を示す。 ウ 第1頁第27~31行 「 [図:0001436895000003.jpg] 」 2. 商業用冷凍冷蔵機向け代替冷媒 圧縮機メーカーは現在、現行または今後施行されるフロン規制に適合するため、軽商用冷凍冷蔵分野向けの適切な製品開発に取り組んでいる。これは最終解決策となる製品(GWP 150未満)を意味し、天然冷媒および合成冷媒ブレンドを用いた製品が対象である。現時点では最終解決策として考慮できるのは炭化水素のみであり、合成冷媒の使用に関する選択肢については、関連法規がまだ完全に整備されていない。 エ 第2頁第1~17行 「 [図:0001436895000004.jpg] 」 最終解決策 - R404A代替品 圧縮機メーカーは、現在および将来のフロン規制に対応する最終解決策として、HC圧縮機のフルラインアップを提供している。既存の軽商用アプリケーション(MBPにおける冷却能力1.5kW以下)の大半は、現行の冷媒充填量制限150gであっても、HC冷媒への転換が可能である。より大規模なアプリケーションの場合、マルチ回路構成が現実的な選択肢であり、既に多くのシステムで採用されている。A3クラス冷媒の普及拡大に向けた重要なステップは安全基準の改定である。国際レベルではIEC SC61C/WG4作業部会において、業界は既存基準と同等のリスクを維持しつつ充填量増加を可能とする追加措置の定義に取り組んでいる。この活動は進行中だが、結論は現時点で確実に予測できるものではない。本論文の著者らはAHRI AREP(代替冷媒評価プログラム)の第2フェーズにおいて、GWP<150の要件を満たす不飽和HFCを含む一連の新規混合物を試験した。試験対象の全候補物質は微可燃性で安全クラスA2Lに属する。いずれも最大でも12Kの顕著な温度勾配を示し、特性は表1に示す。冷凍冷蔵業界にとって極めて重要なのは冷媒の乱立を避けることであり、現状ではその懸念はない。将来どの冷媒が採用されるかはまだ明確ではない。前述のA3クラスと同様に、A2Lクラス冷媒を小型商業用冷凍冷蔵機器で使用可能とする重要なステップは、安全基準の改訂である。現在、可燃性冷媒の充填量が150グラム(IEC 60335-2-89)と規定されているため、A2Lクラス冷媒を用いたあらゆるタイプの冷凍冷蔵システムの設計はほぼ不可能である。 オ 第2頁表1 「 [図:0001436895000005.jpg] 」 表1:代替冷媒の物理データ [図:0001436895000006.jpg] カ 第2頁第18~23行 「 [図:0001436895000007.jpg] 」 3. 圧縮機承認プロセス 各圧縮機メーカーは設計寿命を保証するため、圧力条件を制限する動作範囲を定義している(図1)。この範囲外での圧縮機の運転は、モーター過負荷保護装置の作動や、ベアリングの過度の摩耗、バルブ故障、深刻なオイル劣化、その他の内部部品故障といった信頼性問題を引き起こす可能性がある。以下に、低背圧用途でR404Aを使用する圧縮機の承認済み動作範囲例を示す。 キ 第2頁図1 「 [図:0001436895000008.jpg] 」 図1:典型的なLBP圧縮機の動作範囲と試験ポイント ク 第3頁第1~9行 「 [図:0001436895000009.jpg] 」 本論文では、R404A LBP往復式圧縮機モデルを用いて、R404AとR290およびR455Aを比較した(Samuel F. Yana Motta et al.,2014)。R455Aを選定した理由は、AREPプログラム第2段階試験において、同一圧縮機排気量下で冷却能力の点でR404Aに最も近い代替冷媒であったためである。R455Aの高い勾配値を考慮し、平均圧力アプローチ法(G.Hyndy et al.,2000)を用いて圧力を定義した。R290の試験は、各蒸発温度条件において2K高く設定して実施された。これはR290の低い比冷却能力を緩和し、冷却能力を均等化することで、R404AおよびR455A冷媒との比較をより有意義にするためである。また、各冷媒の固有の熱力学的特性により、各圧縮機は冷媒ごとにモーター性能を最適化する必要があることも明らかである。したがって、本論文の結論では主要な温度差のみを考慮した。 ケ 第3頁第10~24行 「 [図:0001436895000010.jpg] 」 4. 圧縮機の熱分布プロファイル 図2には、熱分布マップを測定するための全熱電対位置を示した圧縮機断面図が示されている。試験条件、戻りガス温度、および過冷却度は、2016年に報告されたAHRI AREPプログラム第2段階における圧縮機性能に関する先行調査(M.Zgliczynski et al.,2016)と同様のアプローチに従って選定された。特定の試験点選択は、それらが動作範囲の極限位置にあり、通常は内部温度が高いとみなされるため決定された。これらは、特定の適用範囲または圧縮機プラットフォームの動作範囲の限界点として、承認プロセスにおいて考慮される。R404AとR455Aの温度差を比較すると明らかなのは、シリンダヘッド内部(圧縮機内で最も高温となる箇所)における最終吐出温度が著しく高いことである。この25Kを超える差は潤滑油性能に影響を与え、圧縮機内部の他の全ての箇所に悪影響を及ぼす可能性がある。R455AとR404Aを比較した場合、圧縮機電動機巻線において15Kを超える顕著な温度上昇が観測された。R290とR404Aを比較すると、シリンダヘッドと電動機の温度差はいずれも著しく低い。表4は、図1の圧縮機断面図に示された全選定位置における温度差の試験結果をまとめたものである。図3には-30/55/18.3℃条件下での温度差をグラフで示した。 コ 第3頁図2 「 [図:0001436895000011.jpg] 」 図2:圧縮機断面-熱電対の位置 サ 第4頁表4 「 [図:0001436895000012.jpg] 」 表4:新規代替冷媒承認試験結果 [図:0001436895000013.jpg] シ 第4頁図3 「 [図:0001436895000014.jpg] 」 図3:全熱電対位置における-30/55/18.3°C条件下でのR404Aとの温度差比較 ス 第5頁第1~9行 「 [図:0001436895000015.jpg] 」 5. 圧縮機材料の性能劣化 圧縮機材料は寿命期間中、熱応力に曝される。高温運転の影響を受ける主要部品は、圧縮機潤滑油および固定子絶縁(スロット絶縁、電線エナメル)を含む全てのプラスチック部品である。この主題に関する広範かつ重要な文献が存在する(Tommasini, 2009; D.E.Crawford, 1976; C Sumereder et al.,2005)が、最も関連性の高い結論は、化学反応時間と温度の関係を示すアレニウス式によれば、絶縁システムの熱寿命は動作温度が10K上昇するごとに半減する。したがって、既存の絶縁材料で冷媒を変更する場合、密閉型圧縮機の熱レベルを同等レベルに維持することは、冷凍冷蔵システムの期待寿命を保つために極めて重要である。 セ 第5頁第10~24行 「 [図:0001436895000016.jpg] 」 6. 結論 本論文で実施した試験は、評価対象の低GWP代替冷媒間に重要な差異が存在することを明確に示している。商業用キャビネット向けR404A代替として開発された合成冷媒R455Aでは、熱レベル全体において圧縮機内部温度が著しく上昇する傾向が確認された。結果として、R404A圧縮機と同等の熱レベルを維持するためには運転範囲を制限する必要がある。内部温度上昇を補償するため、例えばR455Aでは圧縮機の同等寿命を保証するために、帰還ガス温度または凝縮温度を制限しなければならない。R290はR404Aと同等かそれ以下の熱環境を示すため、現行の適用範囲を維持できる。A3およびA2L安全クラスの冷媒はいずれも可燃性であるため、充填量に制限があり、電気部品において追加の安全要件を満たす必要がある。欧州では圧力指令により、内部容積が一定を超える場合、可燃性冷媒を使用する圧縮機はカテゴリーIIの認証を取得しなければならない。これはR455Aの方がR290よりも圧力が高いため、より発生しやすい。 軽商用冷凍冷蔵分野の機器メーカーは全て、天然冷媒を採用するか、使用を許可する法規が完全に整備されるまで新合成混合冷媒を待つかを選択せねばならない。この判断に必要な主な要素は以下の通りである: ソ 第5頁表2 「 [図:0001436895000017.jpg] 」 表2:代替品評価概要 [図:0001436895000018.jpg] タ 第6頁第1~6行 「 [図:0001436895000019.jpg] 」 命名法 AREP - 代替冷媒評価プログラム GWP - 地球温暖化係数 LBP - 低背圧 MBP - 中背圧 IEC - 国際電気標準会議 (2)引用文献2 この出願の優先日前に頒布された引用文献2には、以下の事項が記載されており、低背圧(LBP)密閉型往復圧縮機を利用する冷凍システムが記載されている。 ア 第2頁 「 [図:0001436895000020.jpg] 」 1. はじめに 本研究の作業範囲は、主にR404A冷媒に使用される 圧縮機NEK2134GKにおいて、新しい低GWP冷媒DR3を使用した圧縮機の性能を評価することである。 2. 試験装置の詳細 a. 試験冷媒、潤滑油、および充填量の説明 ・試験に使用した冷媒または冷媒混合物 ○サプライヤーLINDE製R404A ○デュポン社から納入された新しい混合冷媒DR3 ・潤滑油 ○圧縮機の潤滑油は、ルーブリゾール社のPOEオイル Emkarate RL 22HBである。 b. 圧縮機および試験条件/方法の説明 評価は、エンブラコ製の密閉型往復動1ピストン圧縮機 (NEK2134GK、958AG71)2台の圧縮機の試験によって行われた。圧縮機は主にR404A冷媒で使用される。最初の試験は基準値を得るために R404Aで行われ、その後、新しい冷媒DR3で試験された。最終結果には2台の 圧縮機の平均が考慮された。 [図:0001436895000021.jpg] 表2-1 圧縮機構成と試験内容 R404Aの熱力学的特性はRefprop 6.0(米国NIST)から決定され、DR3 の熱力学的特性はDuPontから受け取ったファイルから決定された。 (3)引用文献5 この出願の優先日前に頒布された引用文献5には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 HFO-1234yfまたはトランス-HFO-1234zeまたはこれらの混合物と、HFC-32と、HFC-152a、HFO-1243zf、またはこれらの混合物とを含む組成物であって、該組成物が、 (I)第1の組成物であって、上記HFO-1234yfまたはトランス-HFO-1234zeまたはこれらの混合物が少なくとも該第1の組成物の全質量の56質量パーセントである第1の組成物、 (II)第2の組成物であって、上記HFC-32が最大で該第2の組成物の全質量の29質量パーセントである第2の組成物、 (III)第3の組成物であって、上記HFC-152aが少なくとも該第3の組成物の全質量の56質量パーセントである第3の組成物、 (IV)第4の組成物であって、上記HFC-32が少なくとも該第4の組成物の全質量の56質量パーセントである第4の組成物、 (V)トランス-HFO-1234zeと、HFC-32と、HFC-152a、HFO-1243zfまたはこれらの混合物とを含む第5の組成物、および (VI)第6の組成物であって、上記HFO-1243zfまたはHFO-1243zfとHFC-152aとの混合物が最大で前記第6の組成物の全質量の20質量パーセントである第6の組成物 からなる群から選択される組成物。 【請求項2】 前記組成物が、少なくとも1つの既存の冷媒の約75%~約130%の範囲の冷却能力を有する、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 前記既存の冷媒が、R-22、HFC-134a、R-404A、およびR-407Cからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。 【請求項4】 前記組成物の燃焼性が最大で2Lに分類される、請求項3に記載の組成物。 【請求項5】 約56~約98質量パーセントのHFO-1234yfまたはトランス-HFO-1234zeまたはこれらの混合物と、約1~約29質量パーセントのHFC-32と、約1~約18質量パーセントのHFC-152a、HFO-1243zfまたはこれらの混合物とを含む、請求項1に記載の組成物。 【請求項6】 約60~約98質量パーセントのHFO-1234yfまたはトランス-HFO-1234zeまたはこれらの混合物と、約5~約25質量パーセントのHFC-32と、約5~約15質量パーセントのHFC-152a、HFO-1243zfまたはこれらの混合物とを含む、請求項1に記載の組成物。 【請求項7】 約75~約85質量パーセントのHFO-1234yfまたはトランス-HFO-1234zeまたはこれらの混合物と、約10質量パーセントのHFC-32と、約5~約15質量パーセントのHFC-152a、HFO-1243zfまたはこれらの混合物とを含む、請求項1に記載の組成物。 ・・・ 【請求項18】 既存の冷媒を使用するように設計されたシステムで該既存の冷媒をそれぞれ置換するための方法であって、請求項1に記載の組成物を該システムに提供することを含む方法。 【請求項19】 前記既存の冷媒がR-22、R-404A、R-407C、およびR-134aから選択される、請求項18に記載の方法。 ・・・ 【請求項30】 R-22、R-404A、R-407C、またはR-134aを使用するように設計されたシステムでそれぞれR-22、R-404A、R-407C、またはR-134aを置換するための方法であって、請求項1に記載の組成物を該システムに提供することを含む方法。」 「【実施例】 【0221】 本明細書に開示される概念は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することのない以下の実施例において、さらに説明されるであろう。 【0222】 実施例1 冷却性能 HFO-1234yf、HFC-32、HFC-152a、および任意選択で少なくとも1つの飽和HFCを含有する組成物の冷却性能が決定され、R-134a、R-22、R-407C、およびR-404Aと比較して表1に示される。圧力、放出温度、COP(エネルギー効率)および冷却容量(cap)は、以下の特定の条件(空調に典型的)に対する物理特性の測定から計算される。 蒸発器温度 -10℃ 凝縮器温度 40℃ 過冷却量 6°K 戻りガス温度 18℃ 圧縮器効率 70% 過熱は冷却容量に含まれることに注意されたい。 【0223】 【表1】 [図:0001436895000022.jpg] 【0224】 【表2】 [図:0001436895000023.jpg] 【0225】 これらのデータは、本発明の特定の組成物が、R-134a、R-22、およびR-407Cなどの現存の冷媒の良好な代替品としての役割を果たし得ることを示す。注目すべきは、56~72%のHFO-1234yfと、8~39%のHFC-32と、5~20%のHFC-152aとを含み、R-22およびR-407Cの冷却容量の75~114%である冷却容量、R-22のエネルギー効率の最大96~102%のエネルギー効率、ならびにより低い放出温度(従って、圧縮器の寿命が増大される)を示す組成物である。別の例では、56~62%のHFO-1234yfと、8~29%のHFC-32と、5~20%のHFC-152aと、10%のR-134aとを含む組成物は、R-22およびR-407Cの冷却容量の75~102%である冷却容量、ならびに98~102%のエネルギー効率を示す。またこれらの組成物は、より低い圧縮器放出温度も示す。最も好ましいのは、直接的なドロップイン代替品であり得るので、R-22およびR-407Cの冷却容量の約+/-10%以内である組成物である。 ・・・ 【0234】 実施例4 地球温暖化係数 開示される組成物のいくつかについての地球温暖化係数(GWP)の値は、R-22、HFC-134a、R-404A、およびR-407Cなどの現存の冷媒のGWP値と比較して表4に記載される。参考のために純粋な成分のGWPが記載される。2つ以上の成分を含有する組成物のGWP値は、個々の成分のGWP値の加重平均として計算される。HFCの値は、「Climate Change 2007-IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)Fourth Assessment Report on Climate Change」から、「Working Group 1 Report:“The Physical Science Basis」という表題のセクション、第2章、212-213頁、表2.14から引用される。HFO-1234yfの値は、Papadimitriou et al.,Physical Chemistry Chemical Physics,2007,第9巻,1~13-頁に発表された。特に、100年の対象期間のGWP値が使用される。トランス-HFO-1234zeの値は、Higashiにより、2010 International Symposium on Next-generation Air Conditioning and Refrigeration Technology,February 17-19,2010,Tokyo,Japanにおいて提示される。 【0235】 【表7】 [図:0001436895000024.jpg] 【0236】 本明細書に開示される多数の組成物は、R-22、R-404A、R-407C、およびHFC-134aなどの現存の冷媒に対して著しくより低GWPの代替案を提供する。また、本発明の組成物の多くは、純粋なHFC-32よりも低いGWPを提供し、いくつかは純粋なHFC-152aよりもさらに低いGWPを提供する。 【0237】 実施例5 冷却性能 HFO-1234yf、HFC-32、HFC-152および/またはHFO-1243zf、ならびに任意選択で少なくとも1つの飽和HFCを含有する組成物の冷却性能が決定され、R-134a、R-22、R-407C、およびR-404Aと比較して表5に示される。圧力、放出温度、COP(エネルギー効率)および冷却容量(cap)は、以下の特定の条件(空調に典型的)に対する物理特性の測定から計算される。 蒸発器温度 -10℃ 凝縮器温度 40℃ 過冷却量 6°K 戻りガス温度 18℃ 圧縮器効率 70% 過熱は冷却容量に含まれることに注意されたい。 【0238】 【表8】 [図:0001436895000025.jpg] 【0239】 これらのデータは、本発明の特定の組成物が、R-134a、R-22、およびR-407Cなどの現存の冷媒の良好な代替品としての役割を果たし得ることを示す。注目すべきは、56~72%のHFO-1234yfと、12~39%のHFC-32と、0~20%のHFC-152aと、0~20%のHFO-1243zfとを含み、R-22およびR-407Cの冷却容量の79~113%である冷却容量、R-22およびR-407Cのエネルギー効率の最大96~101%であるエネルギー効率、ならびにより低い放出温度(従って、圧縮器の寿命が増大される)を示す組成物である。別の例では、56~62%のHFO-1234yfと、8~29%のHFC-32と、0~10%のHFC-152aと、0~15%のHFO-1243zfと、10%のR-134aとを含む組成物は、R-22およびR-407Cの冷却容量の74~102%である冷却容量、ならびに98~102%のエネルギー効率を示す。またこれらの組成物は、より低い圧縮器放出温度も示す。最も好ましいのは、直接的なドロップイン代替品であり得るので、R-22およびR-407Cの冷却容量の約+/-10%以内の組成物である。」 (4)参考資料A この出願の優先日前に頒布された参考資料A(Research to Assist in the Development of Safety Standards and Building Codes for the Use of Flammable Refrigerants(可燃性冷媒の使用に関する安全基準及び建築基準の開発を支援する研究)、AHRI Research on Flammable Refrigerants 2016年7月15日、スライド第5)には、R404A代替冷媒であるARM-20aについて、以下の事項が記載されている。 [図:0001436895000026.jpg] (5)参考資料B 参考資料B(2017年10月6日付け米国環境保護庁、成層圏保護部宛ての書簡)には、R404A代替冷媒であるR-457Aの別名がARM-20aであることについて、以下の事項が記載されている。 「 [図:0001436895000027.jpg] 」 2017年10月4日付書簡への回答として、要請された情報を提供する: 1.R-457Aの報告され承認されたLFLは6.0 %v/vである。SDSで使用された5.0 %v/vの値は、ASHRAEによる冷媒分類前に定義された暫定値であった。予想されるLFL値よりも低い保守的な値を適用することが自主的に決定された。6.0%v/v値の根拠については、ASHRAEに提出した文書「ARM 20a ASHRAE Application (Arkema) (10DEC2015)」の66-85ページに記載されており、貴局への初回提出書類に添付済みである。当該文書もここに添付する。 2. R-457Aの比重は3.02(空気=1)である。 2 引用文献1に記載された発明 引用文献1に記載されたR404Aを代替冷媒で置き換えるための検討結果について、前記1(1)アの「本稿では、A2L混合冷媒使用時の熱プロファイルに基づく密閉型往復動圧縮機の評価概要を示す。さらに、R404AおよびR290のプロファイルと比較し、R404A運転用に設計された製品にA2L化学混合冷媒を使用する際の制限事項を明らかにする。」、イ「現在使用されている高GWP冷媒R404Aの代替能力を評価するため、一連の試験が実施された。」、カ「以下に、低背圧用途でR404Aを使用する圧縮機の承認済み動作範囲例を示す。」、ソ「表2:代替品評価概要 R457A」に着目して整理すると、引用文献1には、「低背圧密閉型往復圧縮機を備えるR404A運転用に設計された製品で実施される、R404Aを代替冷媒R457Aで置換する方法」の発明(以下、引用発明という)が記載されていると認められる。 3 対比・判断 本願発明は、「第2の冷媒組成物で置換する」、「第1の冷媒組成物」について、「R-404A、R-457A、R-290、又はR-454Cを含む第1の冷媒組成物」という選択肢を有するものであるところ、これ以降は「R-404A」を選択する態様についてのみ検討を行うものとする。 また、化合物名について、「ジフルオロメタン」、「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン」、「1,1-ジフルオロエタン」を、それぞれ、「R-32」、「R-1234yf」、「R-152a」ともいい、Rのあとのハイフン(-)を省略する場合もある。 (1)対比 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明における「R404A」は、本願発明における「R404Aを含む第1の冷媒組成物」に相当し、「R404A運転用に設計された製品」は、「冷凍冷蔵システム」用の製品であるから(摘示1(1)ス)、引用発明の「R404A運転用に設計された製品で実施される」ことは、本願発明の「冷蔵システムで実施される」ことに相当する。 引用発明における「R-457A」は、別名ARM-20aである安全クラスがA2L、GWPが139の公知のR-404A代替冷媒であり(参考資料A摘示1(4)、参考資料B摘示1(5)参照)、R-32/R-1234yf/R-152aの重量%比が18/70/12であることは、そのGWP値およびこの出願の明細書(以下、「本願明細書」という。)段落0030の記載とも符合しており、本願発明における「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、16から19重量パーセントのジフルオロメタンと、1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物」に相当する。 引用発明における「低背圧密閉型往復圧縮機を備える」は、本願発明の「低背圧(LBP)密閉型往復圧縮機を備える」に相当し、上記「R404A運転用に設計された製品」に備えられたものであって、引用発明は、当該圧縮機において、R404Aを、代替冷媒である上記R457A(2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、16から19重量パーセントのジフルオロメタンと、1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物)で置換する方法である。 そうすると、本願発明と引用発明は、「R-404Aを含む第1の冷媒組成物を、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、16から19重量パーセントのジフルオロメタンと、1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物で置換する方法であって、前記置換は、低背圧(LBP)密閉型往復圧縮機を備える冷蔵システムで実施される、方法。」という点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1 「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、16から19重量パーセントのジフルオロメタンと、1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物」が、本願発明では、 「71から81重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、 16から19重量パーセントのジフルオロメタンと、 1から11重量パーセントの1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物」であるのに対して、引用発明では、 「70重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、 18重量パーセントのジフルオロメタンと、 12重量パーセントの1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物」である点。 (2)相違点1についての検討 引用文献1には、GWP値150未満のフロン規制適合の課題(摘示1(1)ア~ウ)のほか、冷凍冷蔵システムの寿命減少を抑制するために、吐出温度を低下させることが重要であることが記載されており(摘示1(1)ス)、引用発明のR457Aは、第1の冷媒に相当するR404Aの吐出温度を「参照」として、他の代替冷媒であるR454Cが「高い」のに対し、「やや高い」という評価であることが記載されている(摘示1(1)ソ)。 一方で、引用文献5にも、「本発明は、・・・R-404A・・・などの現存の冷媒・・・、現在使用されている冷媒の代替品として、低GWP組成物を開示する」(摘示1(3)段落【0006】)ことが記載されおり、この出願の優先日前の技術常識として、R-404Aなどの現存の冷媒の代替品として、より低GWPの冷媒組成物の提供が当然の課題であったことが理解できる。 そして、引用文献5には、請求項1として、「HFO-1234yfまたは・・・と、HFC-32と、HFC-152a、・・・またはこれらの混合物とを含む組成物であって、該組成物が、 (I)第1の組成物であって、上記HFO-1234yfまたはトランス-HFO-1234zeまたはこれらの混合物が少なくとも該第1の組成物の全質量の56質量パーセントである第1の組成物、 (II)・・・、 (III)・・・、 (IV)・・・、 (V)・・・、および (VI)・・・ からなる群から選択される組成物。」が記載され、 請求項30に「R-22、R-404A、R-407C、またはR-134aを使用するように設計されたシステムでそれぞれR-22、R-404A、R-407C、またはR-134aを置換するための方法であって、請求項1に記載の組成物を該システムに提供することを含む方法。」が記載されている。 また、段落【0225】には、「注目すべきは、56~72%のHFO-1234yfと、8~39%のHFC-32と、5~20%のHFC-152aとを含み、R-22およびR-407Cの冷却容量の75~114%である冷却容量、R-22のエネルギー効率の最大96~102%のエネルギー効率、ならびにより低い放出温度(従って、圧縮器の寿命が増大される)を示す組成物である。」と記載されており、ここに記載された組成は、引用発明のR457Aの組成(70%のR1234yfと、18%のR32と、12%のR152a)を包含するものである。 さらに、引用文献5(摘示1(3)段落【0221】)には、特許請求の範囲の実施態様である実施例1として、段落【0223】表1に「HFO-1234yf、HFC-32、HFC-152a、および任意選択で少なくとも1つの飽和HFCを含有する組成物」がその物性値とともに列記されており、その空白を含めた第24行目には、 R32:R1234yf:R152aのwt%比が、18:72:10であり、 R1234yf/R152a比が7.2であり、 Cap(kJ/m3)が2128であり、 R-22に対するCapが89%であり、 COPが2.946であり、 R-22に対するCOPが100%であり、 放出温度(℃)が92.2であり、 放出圧力(kPa)1457であり、 GWPが137である組成物(以下「GWP137組成物」という。)が記載されている。このGWP137組成物は、上記注目すべき組成「56~72%のHFO-1234yfと、8~39%のHFC-32と、5~20%のHFC-152a」の一例といえる。 そうすると、上記注目すべき組成の一例であり、より低いGWPや放出温度の達成が期待できる、GWP137組成物(72%のR1234yfと、18%のR32と、10%のR152a)を、引用発明における第2の冷媒に相当する代替冷媒R457Aに置き換えて採用することは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。 また、引用文献5(摘示1(3)段落【0236】)には、特許請求の範囲の実施態様である実施例5として、表5(引用文献5における摘示1(3)段落【0238】【表8】であると認められる)に「HFO-1234yf、HFC-32、HFC-152および/またはHFO-1243zf、ならびに任意選択で少なくとも1つの飽和HFCを含有する組成物」がその物性値とともに列記されており、その空白を含めた第18行目には、 R32:R1234yf:R152a:R1234zf:のwt%比が、18:72:5:5であり、 R1234yf/(152a+1234zf)比が7.2であり、 Cap(kJ/m3)が2113であり、 R-22に対するCapが88%であり、 COPが2.941であり、 R-22に対するCOPが99%であり、 放出温度(℃)が91.4であり、 放出圧力(kPa)1452であり、 GWPが131である組成物(以下「GWP131組成物」という。)が記載されている。このGWP131組成物も、上記注目すべき組成の一例といえる。 そうすると、上記注目すべき組成の一例であり、より低いGWPや放出温度の達成が期待できる、GWP131組成物(72%のR1234yfと、18%のR32と、5%のR152aを含む)を、引用発明における第2の冷媒に相当する代替冷媒R457Aに置き換えて採用することは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。 (3)効果について 本願明細書の段落【0037】には、本願発明の効果として、「結果は、本発明の組成物がR-454C及びR-457Aより低い圧縮機吐出温度を示すことを示す。本発明の組成物はまた、既存の冷媒、特にR-457Aに匹敵する容量及びエネルギー効率(COP)を有する。」と記載され、段落【0035】には、段落【0031】【表1】低温冷凍時のR-457A(18%のR32と、70%のR1234yfと、12%のR152a)の吐出温度が102.0℃、COP1.465であるのに対し、 16~19%のR32と、71~81%のR1234yfと、1~11%のR152aの各組成物の吐出温度が96.6~101.5℃であったこと、81%のR1234yfを含む組成で吐出温度の最低値が記載されている。 また、段落【0036】には、段落【0032】【表2】中温冷凍時のR-457A(18%のR32と、70%のR1234yfと、12%のR152a)の吐出温度が86.5℃、COP3.045であるのに対し、 16~19%のR32と、71~81%のR1234yfと、1~11%のR152aの各組成物の吐出温度が83.6~86.2℃であったこと、81%のR1234yfを含む組成で吐出温度の最低値が記載されている。 しかしながら、引用文献1には、上記(2)で検討したとおり、引用発明のR457Aは、第1の冷媒に相当するR404Aの吐出温度を「参照」として、他の代替冷媒であるR454Cが「高い」のに対し、「やや高い」という評価であることが記載されている(摘示1(1)ソ)。 加えて、R1234yfの割合増加によりGWPと吐出温度が低下する傾向は、引用文献5の上記【表1】及び【表8】からも見て取れるものである(摘示1(3)段落【0223】空白を含めた第16~24行目の組成物、及び【0238】空白を含めた第13~18行目の組成物)。 そうすると、本願発明により奏される効果は、当業者が本願出願当時に本願発明の構成が奏するであろうと予測できた効果と比較して、顕著で予測できないものとはいえない。 (4)審判請求人の主張について ア 令和7年1月10日付け審判請求書の請求の理由における主張 審判請求人は、令和7年1月10日付け審判請求書の請求の理由において、以下のとおり主張している。 「引用文献1および2には、「R-32が16~19重量%の量(冷媒組成物の重量基準。以下同じ。)で存在し、R-1234yfが71~81重量%の量で存在し、1,1-ジフルオロエタン(R-152a)が1~11重量%の量で存在する」ことは記載されていません。よって、各成分の含有量が前述の規定の範囲内である、補正後の請求項1に記載の「前記ジフルオロメタン(R-32)が、前記冷媒組成物の重量基準で17から19重量パーセントの量で存在し、前記2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R-1234yf)が、前記冷媒組成物の重量基準で75から78重量パーセントの量で存在し、1,1-ジフルオロエタンが、前記冷媒組成物の重量基準で4から7重量パーセントの量で存在する」こともまた、引用文献1および2には記載されていません。 また、引用文献5は、R-32の含有量が17~19重量%であること、R-1234yfの含有量が75から78重量パーセントであること、およびR-152aの含有量が4から7重量パーセントであることの全てを同時に満たす組成物を何ら具体的に開示も示唆もしていません。実際、引用文献5の表1は、R-1234yfの含有量が75から78重量パーセントであることを満たす組成物を何ら開示していません。また、引用文献5の表8に規定されている四元組成物は、三元組成物である本願請求項1の冷媒組成物に該当するものではありません。 よって、たとえ引用文献5の記載を引用文献1または引用文献2の記載と組み合わせたとしても、当業者が本願請求項1の発明を容易に想到し得たとはいえません。 したがって、本願請求項1の発明について、本理由は解消したものと思料いたします。また、請求項1を引用する本願請求項2~7の各発明、ならびに、冷媒組成物について請求項1の前述の特徴を有する本願請求項8の発明についてもまた、前述と同様の理由により、本理由は解消したものと思料いたします。」 しかしながら、この主張は本願発明の発明特定事項に反映されていない数値(R-32の含有量が17~19重量%であること、R-1234yfの含有量が75から78重量%であること、およびR-152aの含有量が4から7重量%であることの全て)を前提としており、採用できない。 本願発明は、「71から81重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、16から19重量パーセントのジフルオロメタンと、1から11重量パーセントの1,1-ジフルオロエタンとを含む第2の冷媒組成物で置換する方法」であって、「引用文献5の表8に規定されている四元組成物」(摘示1(3)段落【0238】【表8】の空白を含めた第18行目の組成物)を排除していない。 仮に、「R-32の含有量が17~19重量%であること、R-1234yfの含有量が75から78重量%であること、およびR-152aの含有量が4から7重量%であることの全て」が発明特定事項に反映され、さらに、四元組成物が排除されたとしても、この出願の優先日前に頒布された引用文献6(特表2012-505279号公報:令和6年2月20日付け拒絶理由通知書の引用文献6)には、既存の装置でのR-404Aの代替冷媒として、 R-32が20重量%、R-1234yfが75重量%、R-152aが5重量%である組成物と、 R-32が15重量%、R-1234yfが75重量%、R-152aが10重量%である組成物が、いずれも吐出温度、COPの点で好ましいことが開示されているから(段落【0024】【表1】、段落【0026】【表2】)、両者の間にあたる、 R-32が17~19重量%、R-1234yfが75重量%、R-152aが6~7重量%である組成物もまた開示されているに等しいものとして当業者に認識できたと認められる。 そうすると、これを、同等あるいはより低い、GWPや放出温度の達成を目的として、引用発明における第2の冷媒として採用することは、当業者が容易に想到し得ることであると認められる。 そして、本願発明により奏される効果が、当業者が本願出願当時に本願発明の構成が奏するであろうと予測できた効果と比較して、顕著で予測できないものとはいえないことは、上記(3)のとおりである。 したがって、上記審判請求人の主張は採用できない。 イ 令和7年2月20日付け上申書における主張 請求人は、請求項5を「R-404A、R-457A、R-290、又はR-454Cを含む第1の冷媒組成物を、75から78重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと、17から19重量パーセントのジフルオロメタンと、4から7重量パーセントの1,1-ジフルオロエタンとからなる第2の冷媒組成物で置換する方法であって、前記置換は、低背圧(LBP)密閉型往復圧縮機を備える冷蔵システムで実施される、方法。」と補正する用意があるとの趣旨の主張をしている。 しかしながら、このような補正は審判請求時にされるべきものであるから、当該主張は採用できない。また、仮に「R-32の含有量が17~19重量%であること、R-1234yfの含有量が75から78重量%であること、およびR-152aの含有量が4から7重量%であることの全て」が発明特定事項に反映され、さらに、四元組成物が排除されたとしても、上記アで述べたとおり、この出願の優先日前に頒布された引用文献6(特表2012-505279号公報:令和6年2月20日付け拒絶理由通知書の引用文献6)には、既存の装置でのR-404Aの代替冷媒として、 R-32が20重量%、R-1234yfが75重量%、R-152aが5重量%である組成物と、 R-32が15重量%、R-1234yfが75重量%、R-152aが10重量%である組成物が、いずれも吐出温度、COPの点で好ましいことが開示されており(段落【0024】【表1】、段落【0026】【表2】)、両者の間にあたる、 R-32が18~19重量%、R-1234yfが75重量%、R-152aが6~7重量%である組成物もまた開示されているに等しいものとして当業者に認識できたと認められ、これを、同等あるいはより低い、GWPや放出温度の達成を目的として、引用発明における第2の冷媒として採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、本願発明により奏される効果が、当業者が本願出願当時に本願発明の構成が奏するであろうと予測できた効果と比較して、顕著で予測できないものとはいえない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (5)小括 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明(引用発明)及び引用文献1、2、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。 4 まとめ 上記3で示したとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明(引用発明)及び引用文献1、2、5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許を受けることができないものであるから、その余の事項について検討するまでもなく、この出願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-000390

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決30件(ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー)
  • 2024-003974拒絶査定不服審判 / 2026-06-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)HFO-1234ZE及びHFO-1234YF組成物及び組成物を製造及び使用するた…
    同じ当事者: ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
  • 2024-011200拒絶査定不服審判 / 2026-03-11 / 請求不成立(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンの共沸混合物及び共沸…
    同じ当事者: ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
  • 2021-009426拒絶査定不服審判 / 2026-02-26 / 請求不成立2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン、2-クロロ-1,1,1-トリ…
    同じ当事者: ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
  • 2021-009370拒絶査定不服審判 / 2025-07-29 / 請求不成立2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2…
    同じ当事者: ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
  • 2022-011658拒絶査定不服審判 / 2024-07-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを含む組成物
    同じ当事者: ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)430件(121・C09K)
  • 2025-006107拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)多峰性分布の球状フィラーを含む熱界面材料
    共通の審決分類: 121・C09K
  • 2024-009937拒絶査定不服審判 / 2026-08-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)高温低アウトガスフッ素化サーマルインターフェース材料
    共通の審決分類: 121・C09K
  • 2024-013057拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)難燃剤組成物
    共通の審決分類: 121・C09K
  • 2025-004119拒絶査定不服審判 / 2026-07-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)温室用途及びシート構造体の為のEu2+でドープされた無機発光ナノ粒子を含む分散物…
    共通の審決分類: 121・C09K
  • 2024-014377拒絶査定不服審判 / 2026-07-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)難燃性化学組成物
    共通の審決分類: 121・C09K

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存