2024-800131
eベイピング装置または喫煙可能装置用の風味付きチップまたは口側端インサートおよびその製造方法
- 審判番号
- 2024-800131
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2022-130762外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7494257
- 請求日
- 2024年11月13日
- 審決日
- 2026年03月25日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Future Technology 株式会社
- 【被請求人】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
- 【被請求人代理人】▲吉▼田 和彦
- 【被請求人代理人】須田 洋之
- 【被請求人代理人】山崎 一夫
- 【被請求人代理人】近藤 直樹
- 【被請求人代理人】那須 威夫
- 【被請求人代理人】鈴木 信彦
- 【被請求人代理人】岩上 健
- 【被請求人代理人】大橋 綾
- 分類
- P1123.537-YAA(A24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第7項、特許法第134条の2第3項、特許法第123条第1項第4号、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 22項目
第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
特許第7494257号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲の請求項7、8に係る発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の趣旨
本審判の請求は成り立たない。
審判費用は請求人の負担とする。
との審決を求める。
第2 手続の経緯
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本件無効審判の請求に係る本件特許に係る出願は、2017年(平成29年)7月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年7月8日、アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2018-566431号の一部を令和4年8月18日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯は、概略以下のとおりである。
同年 5月24日 :設定登録
同年 7月10日 :手続補正書の提出(被請求人)
同年 9月29日付け:審尋
なお、請求人に対して、審判事件答弁書及び訂正請求書の副本を送付し、期間を指定して弁駁書を提出する機会を与えたが、弁駁書の提出はなかった。
第3 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨
令和7年7月10日提出の手続補正書により補正された令和7年4月30日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、本件特許の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項7~11について訂正することを求めるものである。
2 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次の訂正事項のとおりである。なお、下線部は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項7に「前記口側端インサートが前記熱可塑性ポリマーの射出形成によって製造される、請求項5または6に記載のeベイピング装置。」とあるのを、「請求項5または6に記載のeベイピング装置を製造する方法であって、前記口側端インサートを前記熱可塑性ポリマーの射出形成によって製造する、前記方法。」に訂正する。請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8~11も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」とあるのを、「請求項1~6のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」に訂正する。請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9~11も同様に訂正する。
(3)訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」とあるのを、「請求項1~6および8のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」に訂正する。請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項10~11も同様に訂正する。
(4)訂正事項4
本件特許の特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」とあるのを、「請求項1~6および8~9のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」に訂正する。請求項10の記載を直接的又は間接的に引用する請求項11も同様に訂正する。
(5)訂正事項5
本件特許の特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~10のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」とあるのを、「請求項1~6および8~10のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」に訂正する。
3 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正前の請求項7の記載は、「前記口側端インサートが前記熱可塑性ポリマーの射出形成によって製造される」という製造するための「方法」に係る事項を特定するものであるのに関わらず、発明の対象が「請求項5または6に記載のeベイピング装置。」という「物」の発明であることから、発明に関する事項が明りょうとはいえないものであった。
そして、訂正事項1は、上記のとおり、発明に関する事項が明りょうとはいえない訂正前の請求項7について、「請求項5または6に記載のeベイピング装置を製造する方法であって」との事項を付加し、「製造される、請求項5または6に記載のeベイピング装置」との事項を「製造する、前記方法」と訂正することで、発明の対象を「製造する方法」の発明であることを明らかにしたものであるから、請求項7に係る発明に関する事項を明りょうにするものといえる。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内であること
訂正事項1による訂正後の事項は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)の段落【0049】ないし【0051】の記載事項及び図5の図示事項からみて、特許明細書等に記載されているといえるから、訂正事項1は特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、発明に係る事項が「製造する方法」であるにも関わらず、発明の対象が「物」の発明としていた訂正前の請求項7について、発明の対象を「製造する方法」の発明と訂正することで発明を明りょうにするものであり、発明に係る事項についての訂正はないのであるから、訂正後の請求項7は、訂正前の請求項7を実質的に変更するものではない。
また、「製造する方法」である訂正後の請求項7に係る発明の「実施」に該当する行為は、「物」である訂正前の請求項7に係る発明の「実施」に係る行為を含むものであるから、上述のように解したとしても、第三者が不測の不利益を被るものでもない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件について
訂正事項1は、無効審判の請求の対象とされている請求項7に係る訂正であるので、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2~5について
ア 訂正の目的
訂正前の請求項8~11には、「eベイピング装置」に係る発明が記載されていたところ、訂正事項1により、訂正前の請求項8~11において引用していた訂正前の請求項7において「eベイピング装置」が記載されていたものが、訂正後の請求項7において「eベイピング装置を製造する方法」にされたことに整合させて、訂正事項2~5により訂正後の請求項8~11において選択的に引用する複数の請求項から請求項7を削除するものであるから、訂正事項2~5は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮又は同法同項ただし書第2号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2~5は、訂正事項1により訂正後の請求項7において「eベイピング装置を製造する方法」にされたことに整合させて、訂正後の請求項8~11において選択的に引用する複数の請求項から請求項7を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 独立特許要件について
訂正事項2は、無効審判の請求の対象とされている請求項8に係る訂正であるので、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法126条第7項の独立特許要件は課されない。
また、訂正事項3~5は、訂正前の請求項9~11に記載された発明が選択的に備えていた、訂正前の請求項7に記載された発明に係る事項を備えないものとするものである。そして、請求項1~6のいずれかを引用する訂正後の請求項9~11は、いずれも無効理由を有している旨の主張はなく、さらに特許要件を備えないとする格段の事情を見出すことはできないのであるから、独立特許要件を満たすものと解される。そうすると、訂正事項3~5は、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に適合するものである。
4 一群の請求項について
訂正前の請求項7~11について、請求項8~11は、請求項7を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項7~11は一群の請求項であり、これに対応する訂正後の請求項[7~11]は、特許法134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
5 別の訂正単位とする求めについて
被請求人は、請求項7に係る訂正である訂正事項1と、請求項8~11に係る訂正である訂正事項2~5とを、一群の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めているので、これを認める。
6 訂正請求についてのむすび
以上のとおり、本件訂正は、訂正の要件を全て満たすものであるから、上記結論のとおり訂正することを認める。
第4 本件発明
上記第3のとおり、本件訂正の請求による請求項7~11の訂正は認められるから、本件特許の請求項1~11に係る発明は、訂正後の本件特許の特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1~11の記載は、次のとおりである。なお下線部は訂正箇所を示す。
「【請求項1】風味付き部分を含む口側端インサートを備えるeベイピング装置であって、前記風味付き部分が、固体マトリクスと、一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの少なくとも一つと、続きを表示(全28行)を含み、前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記固体マトリクス内に包埋されており、前記口側端インサートが混合チャンバーを含み、前記固体マトリクスが前記混合チャンバーを囲む、eベイピング装置。【請求項2】一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記固体マトリクス内で実質的に均質に分布されている、請求項1に記載のeベイピング装置。【請求項3】一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記固体マトリクスの半径方向外側の領域に分布されている、請求項1に記載のeベイピング装置。【請求項4】一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが前記口側端インサートの半径方向外側の領域に分布されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のeベイピング装置。【請求項5】前記固体マトリクスが熱可塑性ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のeベイピング装置。【請求項6】前記熱可塑性ポリマーがポリプロピレンおよびポリエチレンの少なくとも一つを含む、請求項5に記載のeベイピング装置。【請求項7】請求項5または6に記載のeベイピング装置を製造する方法であって、前記口側端インサートを前記熱可塑性ポリマーの射出形成によって製造する、前記方法。【請求項8】前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが最高約350℃の温度に耐えるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のeベイピング装置。【請求項9】前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが複数のカプセル内に封入されている、請求項1~6および8のいずれか一項に記載のeベイピング装置。【請求項10】前記固体マトリクスがフィラーをさらに含む、請求項1~6および8~9のいずれか一項に記載のeベイピング装置。【請求項11】前記口側端インサートが少なくとも二つの分岐する出口を含む、請求項1~6および8~10のいずれか一項に記載のeベイピング装置。」
第5 請求人の主張する無効理由(明確性要件違反)の概要
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請求人は、本件特許の請求項7に係る発明(以下「本件発明1」という。)及び請求項8に係る発明(以下「本件発明2」という。)についての特許について、概略、以下の無効理由を主張する。
1 理由1
本件発明1は、「eベイピング装置」(物の発明)であるが、その構成には、「射出形成によって製造される」という、その物の製造方法が記載されている。
しかしながら、「eベイピング装置」が、「射出形成によって製造され」たことにより得られたものであるかどうか特定することは出来ず、不可能・非実際的事情(最二小判平成27年6月5日 平成24年(受)1204号、同2658号による)が存在することについて、明細書等に記載がない。
したがって、本件発明1は明確でない。また、本件発明2も同様に明確でない。
2 理由2
本件発明2には、「前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが最高約350℃の温度に耐えるように構成されている」とされているが、耐熱性の基準が明示されていない。すなわち、加熱前後での風味剤、味覚化合物および芳香の状態の変化がどのような範囲内であれば最高約350℃の温度に耐えたといえるのか、明細書等に記載がないので、「最高約350℃の温度に耐える」とは、どのようなことか明確でない。
したがって、本件発明2は明確でない。
3 まとめ
以上のとおり、本件発明1及び本件発明2は、特許を受けようとする発明が明確なものではないから、本件発明1及び本件発明2についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきである。
第6 被請求人の主張の概要
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1 訂正後の本件発明1は、「請求項5または6に記載のeベイピング装置を製造する方法」であって、「口側端インサートを熱可塑性ポリマーの射出形成によって製造する」ことを特定するものであり、特許を受けようとする発明は明確なものである。
したがって、訂正後の本件発明1には、請求人が主張するような理由1に係る無効理由はない。
2 訂正後の本件発明2は、eベイピング装置において「前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが最高約350℃の温度に耐えるように構成されている」ことを規定している。
訂正後の本件発明2の上記規定は、eベイピング装置に含まれる風味付き部分において、固体マトリクス内に包埋されている風味剤、味覚化合物、あるいは芳香がそれぞれ備える機能が、最高約350℃の温度でも劣化し損なわれないことを、「最高約350℃の温度に耐える」と特定するものであり、その意義は請求項の記載自体から明らかである。
本件特許の明細書の段落0050の記載から、本件発明2が採用する風味付き部分を含む口側端インサートを製造する際、風味付き部分が含む風味剤、味覚化合物、あるいは芳香が、最高約350℃の温度に曝されることが想定され、このため、そのような高温においても物理的または化学的劣化を受けることないことが期待されることが理解される。このように、本件特許の明細書の記載から理解される訂正後の本件発明2の規定の意味内容は、請求項の記載自体から理解される意義と一致する。
したがって、訂正後の本件発明2の「最高約350℃の温度に耐える」の意義は明確であり、請求人が主張するような理由2に係る無効理由はない。
3 以上のとおり、訂正後の本件発明1及び2は、特許法第36条第6項第2号の規定には該当せず、同法第123条第1項第4号の無効理由はない。
第7 当審の判断
1 理由1について
(1)本件発明1について
本件発明1は、「eベイピング装置を製造する方法」という「製造する方法」に係る発明であるから、「前記口側端インサートを前記熱可塑性ポリマーの射出成形によって製造する」との事項も、「製造する方法」に係る方法を特定するものと明確に理解できる。したがって、本件発明1は明確である。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件訂正後の請求項8のとおり、請求項7を引用しないものである。したがって、本件発明2は、「eベイピング装置」という物の発明を特定するものとして明確である。
2 理由2について
本件発明2の「前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香のうちの前記少なくとも一つが最高約350℃の温度に耐えるように構成されている」との発明特定事項(以下「発明特定事項A」という。)における「耐える」は、「持ちこたえる」という意味を持つ(参照:広辞苑第六版)ものである。そうすると、発明特定事項Aは、「前記一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香」の「前記少なくとも一つ」は「最高約350℃の温度」に持ちこたえられる「構成」を備えるものと明確に理解できる。
そして、本件特許の明細書には次の記載がある。
(1)「例示的な実施形態において、射出成形プロセスの温度は、例えば約150℃とすることができ、また典型的に例えば約350℃を超えなくてもよい。射出成形プロセスの温度が350℃を超えると、熱可塑性ポリマーは劣化を起こすことがあり、その結果、熱可塑性ポリマーの属性が劣化する。」(段落【0008】)
(2)「図5は、少なくとも一つの例示的な実施形態による、風味付き口側端インサートまたはアドオン式チップの製造方法を図示したフローチャートである。図5において、方法は例えばポリプロピレン(PP)または高密度もしくは低密度のポリエチレン(PE)などの熱可塑性ポリマーが調製されるS100で始まる。一つの例示的な実施形態において、他の熱可塑性ポリマーまたはその混合物も調製されうる。熱可塑性ポリマーは、eベイピング装置の口側端インサートまたはアドオン式チップを形成するために使用されるポリマーとしうる。従って、熱可塑性ポリマーは、実質的に劣化することなく、eベイピング装置の動作中に発生した加熱されたベイパーの温度を維持することができなければならない。S110で風味剤、味覚化合物、芳香、またはその組み合わせが調製される。例えば風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、特定の風味、味覚、または両方を、eベイピング装置の動作中に成人eベイパー吸引者によってeベイピング装置の一つ以上の出口を通過して引き出されるベイパーに供給するために選択されうる。例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせが液体状である場合、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、例えば高分子マトリクスを使用する封入によって自由流動性の粉末に変換されてもよい。封入は風味および味覚の喪失の低減と実質的な防止の両方を確実にすることができ、高温で処理された時の風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの完全性を保つことができる。」(段落【0049】)
(3)「例示的な実施形態において、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせは、液体状で、または粒子、顆粒、もしくは封入品の形態で提供され、実質的に風味、味覚または芳香のいずれも喪失することなく、口側端インサートの製造温度に絶える(当審注:「耐える」の誤記である。)ように構成されている。風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせが封入される時、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせを含むカプセルは、口側端インサートまたはアドオン式チップの製造温度に絶える(当審注:「耐える」の誤記である。)ようにも構成された材料でできている。例えば、カプセルは風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせを保持できなくなるような物理的または化学的劣化を受けることなく、最高約350℃の温度に絶える(当審注:「耐える」の誤記である。)ように構成されている。」(段落【0050】)
(4)「S130において、口側端インサートまたはアドオン式チップの製作プロセスが実施される。例示的な実施形態において、製作プロセスは射出成形プロセスでもよく、または熱可塑性ポリマーの混合物と風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせとを凝固する能力を有する別のプロセスでもよい。従って、風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせと、熱可塑性ポリマーとの混合物全体は射出成形プロセスにさらされる。射出成形プロセスの結果として、口側端インサートまたはアドオン式チップのマトリクス内に均質に分布された風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの粒子を含む口側端インサートまたはアドオン式チップが生産される。例えば、風味剤は、ベイパーが成人eベイパー吸引者の口に達する途中で口側端インサートまたはアドオン式チップを通過する時に、メントール風味をベイパーに与えうる。例示的な実施形態において、芳香は甘味または酸味の味覚をベイパーに与えうる。例示的な実施形態において、フィラーはまた、製作プロセスを受ける前に混合物に追加されてもよい。例えば、フィラーは、射出成形プロセスの後で高分子マトリクス内に液体風味を保持してもよい。」(段落【0051】)
これら記載によると、発明特定事項Aは、最高350℃の温度においても、一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香が、実質的に風味、味覚または芳香を喪失することなく、高温で処理された時の風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの完全性を保つように構成されるものと理解できる。そうすると、「最高約350度の温度に耐える」ことは、明細書の記載から、「一つ以上の風味剤、一つ以上の味覚化合物および一つ以上の芳香」が、「最高350℃の温度」においても、加熱前に備えていた「風味、味覚または芳香」を実質的に喪失することなく、「風味剤、味覚化合物、芳香またはその組み合わせの完全性を保つ」ことと理解できる。
したがって、発明特定事項Aは、明細書の記載を踏まえると「耐熱性の基準」をより明確に理解できるから、本件発明2は明確である。
3 まとめ
したがって、本件発明1及び本件発明2は、理由1及び理由2を検討しても明確であるから、請求人の主張する無効理由は、理由がない。
第8 むすび
以上のとおり、請求人の主張する無効理由は、理由がなく、本件特許の請求項7、8に係る発明についての特許は、無効とすることはできない。
審判費用は、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-800131