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特許異議申立

2024-700893

ワイヤレス給電評価試験器

審判番号
2024-700893
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-006579
登録番号
7453436
請求日
2024年09月18日
審決日
2024年12月10日
公報発行日
2025年03月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】島田理化工業株式会社
  • 【権利者代理人】上島 淳一
  • 【異議申立人】井上 裕雅
審判長/審判官
  • 審判長 馬場 慎
  • 審判官 寺谷 大亮
  • 審判官 衣鳩 文彦
分類
P1651.113-Y (H02J) / P1651.121-Y (H02J) / P1651.537-Y (H02J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第113条第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第4号、特許法第29条第1号、特許法第29条第1項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7453436号発明「ワイヤレス給電評価試験器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7453436号の請求項1~3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7453436号(以下「本件特許」という。)の請求項1~3に係る特許についての出願は、令和5年1月19日に出願され、令和6年3月11日にその特許権の設定登録がされ、同年3月19日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対し、令和6年9月18日に特許異議申立人 井上 裕雅(以下「特許異議申立人」という。)が特許異議の申立てをし、同年10月28日及び同年11月11日に特許異議申立人が特許異議申立書の補正をした。 第2 本件発明 特許第7453436号の請求項1~3の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明3」といい、これらを総称して「本件発明」ということがある。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、請求項1の符号1A~1Gは、特許異議申立人が特許異議申立書において請求項1を分説するために付与したものであり、当審でも採用し、分説した発明特定事項を、以下では「発明特定事項1A」のように参照する。 「【請求項1】 1A 電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いるワイヤレス給電評価試験器であって、 1B ワイヤレス給電インバータと接続可能な送電コイルと、 1C 前記ワイヤレス給電インバータと通信可能なワイヤレス通信コンバータと、 1D 前記ワイヤレス給電インバータから前記送電コイルを介して送電された電力を受電する受電コイルと、 1E 前記受電コイルと接続された整流器と、 1F 前記ワイヤレス通信コンバータならびに前記整流器に接続されるとともに、プラグイン給電専用車の給電コンセントに挿脱自在な給電プラグと 1G を有することを特徴とするワイヤレス給電評価試験器。 【請求項2】 請求項1に記載のワイヤレス給電評価試験器において、 前記給電プラグを複数備える ことを特徴とするワイヤレス給電評価試験器。 【請求項3】 請求項2に記載のワイヤレス給電評価試験器において、 前記複数の給電プラグは、少なくともその一部がそれぞれ規格が異なる ことを特徴とするワイヤレス給電評価試験器。」 第3 特許異議申立理由の概要 1 申立理由 特許異議申立人が主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。 (1)申立理由1 請求項1~3に係る発明は、次の点で発明が明確でないから、同請求項に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるので、特許法第113条第4号に該当する。 本件発明の発明特定事項1A及び1Gの「ワイヤレス給電評価試験器」は、ワイヤレス給電の何をどのように評価するのかについて、発明の詳細な説明に一切説明がなく、その構成が不明確である。 (2)申立理由2 請求項1~3に係る発明は、特許出願前に公然知られた発明または特許出願前に公然実施をされた発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、請求項2及び3に係る発明は、特許出願前に公然知られた発明または特許出願前に公然実施をされた発明と甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、同請求項に係る特許は、特許法第113条第2号に該当する。 (3)申立理由3 請求項1に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1号第3号に掲げる発明であるので、同請求項に係る特許は、特許法第113条第2号に該当する。 請求項1~3に係る発明は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、請求項2及び3に係る発明は、甲第3号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるので、同請求項に係る特許は、特許法第113条第2号に該当する。 2 証拠方法 特許異議申立人が特許異議申立書に添付した証拠方法は、以下のとおりである(以下、甲第1号証~甲第3号証を「甲1」等という。)。 甲1:RFワールド、No.43、CQ出版株式会社、2018年8月1日、17~26頁 甲2:特開2014-183739号公報 甲3:特開2011-169043号公報 第4 当審の判断 1 甲号証の記載 事案に鑑み、以下では、甲2、甲3の記載を引用する。 (1)甲2 ア 甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。なお、下線は強調のため当審で付与したものである(以下、同じ。)。 「【課題を解決するための手段】 【0022】 本発明は、充電装置の単一ユニットへの2つの充電規格/プロトコルのこの統合化を対象とする。この統合化によって、2つの別個で独立したEV充電(装置)ユニットを有するものと比較して、サイズも重量も小さくなる。省スペース化され、必要な電気構成要素の点でも減少する。電気構成要素の減少は、ある程度、特定の回路に左右される。」 「【0027】 図1を参照すると、EV充電ユニット20が示されている。ユニット20は、精密な機械的詳細に焦点をあてることなく機能性について十分に説明するように図式形態で示されている。重要なことは、ユニット20が、SAE充電規格に基づいて、代替的にはCHAdeMO充電規格に基づいて(あるいは、そのいずれかで)急速充電(レベル3)を送達することが可能であるように構築および構成されているということである。「あるいは、そのいずれか」という選択肢は、急速充電を受け取るべき特定のEVおよびそのEVを製造するために選択された充電規格に応じて、EV充電ユニット20上で(選択スイッチ24によって)選択可能である。図1バージョンのユニット20は、ユニット20内のインターロック機構34の一部である巻取り機構に充電ケーブルが収納された状態である。図1Aの代替実施形態は、EV充電ユニット20と本質的に同じであるが、充電ケーブルは露出しており(解かれており)、プラグは収納時にはロックされている。」 「【0029】 ユニット20の機械的構成ついては、両方の規格またはプロトコルのための充電回路がキャビネット22内の(当審注:「キャビネット22内に」の誤記と認める。)収容されている。選択スイッチ24は、キャビネット22のパネル26に装着され、充電回路28の残りの部分に電気的に接続される(図2参照)。ユニット20は、また、充電規格ごとに1つずつ、2つの別個の充電ケーブル30および32を含む。各充電ケーブルは、EVにユニット20から延長するのに十分なケーブル長をもつように構築および構成される。図1型のユニット20は、各ケーブルについて(詳細には示されていないが、インターロック機構34によって表されている)巻取り保管機構を含む。対応するプラグは、前の充電タスクの完了時に、対応するキャリッジまたはレセプタクルへと戻される。それぞれのプラグは、それらの対応するキャリッジまたはレセプタクルにロックされていないが、ケーブルは、対応する巻取り保管機構がロック解除されるまで、延長することも、展開することもできない。図1の充電ユニット20の代替実施形態の充電ケーブルは、最初はロック解除されており、充電選択が行われたときには、選択されなかった充電ケーブルがロックされる。図1Aではユニット120として示される図1A型のユニット20は、巻き取られたケーブルをロックする代わりに、各対応するプラグがそのレセプタクルにロックされた状態で、ケーブルの大部分をユニットの側部に露出させ、懸架している。選択スイッチ24によって選択が行われたとき、対応するプラグ(SAEまたはCHAdeMO)をロック解除し、EVを充電するために取り外すことができる。代替構造は、各プラグをそのレセプタクル中でロック解除することから始まる。選択が行われると、「他の」プラグが所定の位置にロックされる。 【0030】 図1の実施形態を参照すると、使用していないときには、2つの別個の充電ケーブル30および32を巻き取り、ユニット20内の保管することができる。各充電ケーブル30および32は、急速充電を受け取るべきEVの充電コネクタと電気的にも機械的にも適合可能となるように構築および構成された対応するプラグ30aおよび32aをそれぞれ含む。プラグ30aは、レセプタクル30bに収納される。プラグ32aは、レセプタクル32bに収納される。」 イ 甲2技術 前記アの下線部に着目すると、甲2には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。 「EV充電ユニット20が、SAE充電規格に基づいて、代替的にはCHAdeMO充電規格に基づいて急速充電(レベル3)を送達することが可能であるように構築および構成され、急速充電を受け取るべき特定のEVおよびそのEVを製造するために選択された充電規格に応じて、EV充電ユニット20上で選択スイッチ24によって選択可能であり、(【0027】) ユニット20は、両方の規格またはプロトコルのための充電回路がキャビネット22内に収容され、(【0029】) ユニット20は、充電規格ごとに1つずつ、2つの別個の充電ケーブル30および32を含み、(【0029】) 各充電ケーブル30および32は、急速充電を受け取るべきEVの充電コネクタと電気的にも機械的にも適合可能となるように構築および構成された対応するプラグ30aおよび32aをそれぞれ含む(【0030】)こと」 (2)甲3 ア 甲3の記載事項 甲3には、次の事項が記載されている。 「【請求項5】 送電コイルからの電力を非接触で受電する受電コイルと、前記受電コイルで受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、車両に装備された接触充電式の充電インレットに接続可能なコネクタとを備えていることを特徴とする非接触充電用アダプタ。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、自動車用自動倉庫及び非接触充電用アダプタに係り、詳しくは保管中の自動車に搭載されているバッテリに非接触充電可能な自動車用自動倉庫及び充電時に使用する非接触充電用アダプタに関する。」 「【0006】 本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、車両を搭載するパレットに充電関連の設備を設けずに、かつ非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレットを備えた車両に対しても、保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる自動車用自動倉庫を提供することにある。また、第2の目的はそれに必要な非接触充電用アダプタを提供することにある。」 「【0008】 この発明では、車両はパレットに搭載された状態で車両保管棚の収納部と車両移載台との間をスタッカクレーンにより搬送される。車両が車両保管棚の収納部に収納された状態で、車両保管棚に設けられた送電コイルから車両の受電コイルを介して非接触充電が行われる。接触充電式の充電インレットを備えているが、非接触充電用の設備を備えていない車両に対しては、非接触充電用アダプタ受渡部で受け渡された非接触充電用アダプタが充電インレットに接続された状態で充電が行われる。したがって、車両を搭載するパレットに充電関連の設備を設けずに、車両の保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる。また、非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレットを備えた車両に対しても、車両の保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる。」 「【0015】 以下、本発明をカーシェアリング用あるいはレンタカー用の車両の保管に使用される自動車用自動倉庫に具体化した一実施形態を図1~図4にしたがって説明する。 図1(a)及び図2に示すように、自動車用自動倉庫10は、通路を挟んで左右両側に一対の車両保管棚11が設けられている。なお、図1(a)では片側(図では右側)の車両保管棚11の図示を省略している。各車両保管棚11は、通路の長手方向(図1(a)の紙面と垂直方向)に沿って配設された複数本の支柱12と、隣り合う支柱12で対をなすように通路の高さ方向(段方向)に沿って配設された棚板13とから構成されている。そして、各車両保管棚11には、支柱12と棚板13との枠組みにより車両14をパレット15に搭載された状態で収納する収納部16が、連方向及び段方向にそれぞれ複数ずつ区画形成されている。」 「【0019】 図1(a)に示すように、自動車用自動倉庫10は、車両保管棚11に保管された状態の車両14のバッテリ(図示せず)に非接触充電で充電を行うための給電電源24と、車両保管棚11に設けられるとともに給電電源24からケーブル24aを介して電力が供給される送電コイルユニット25とを備えている。給電電源24は、送電コイルユニット25に装備された送電コイル26への送電(給電)を制御する制御装置27(図3に図示)を備えている。給電電源24は、送電コイル26毎に設けられている。また、自動車用自動倉庫10は、非接触充電用アダプタ受渡部28(図2に図示)と、管理装置29とを備えている。非接触充電用アダプタ受渡部28は、利用条件確認部28aを備えている。」 「【0023】 図3に示すように、非接触充電用アダプタ30は、送電コイル26からの交流電力を非接触で受電する受電コイル32、受電コイル32で受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器33、制御信号機34、通信器35、送受信器35a、ICタグ36及び充電インレット37に接続されるコネクタ(プラグ)38を備えている。制御信号機34は、非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に適正な状態で接続されているか否か、即ちコネクタ38が充電インレット37に正しく接続されているか否かの信号を出力したり、AC/DC変換器33を制御する制御信号を車両側充電制御装置39から受けたりする。 【0024】 図3に示すように、送電コイル26を備えた送電コイルユニット25は、通信器41と、送受信器41aと、ICタグ36の記憶情報を非接触無線通信にて読み取り及び書き換え自在なリーダ/ライタ装置42とを備えている。また、送電コイルユニット25には、非接触充電用アダプタ30に設けられた被検出部43を検出するセンサ44が設けられている。制御装置27は、センサ44の検出信号に基づき、収納部16に収納された車両14に取り付けられている非接触充電用アダプタ30の受電コイル32の送電コイル26に対する位置関係を把握する。そして、受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とのずれが大きな場合、そのずれを解消するように移動装置31を駆動制御する。 【0025】 給電電源24は、制御装置27による制御によって非接触電力伝送を効率良く行う所定周波数の交流電力を送電コイル26に給電するように構成されている。制御装置27は、通信器41、送受信器41a、送受信器35a及び通信器35を介して車両側充電制御装置39との間で、バッテリの充電状態に関する情報を受信して、その情報に基づいて送電コイル26ヘの給電開始及び給電停止を行う。車両側充電制御装置39は、充電中にバッテリの充電状態を図示しない充電状態検出装置を介して把握し、その情報を制御装置27に送信する。」 「【0041】 (2)自動車用自動倉庫10は、接触充電式の充電インレット37を備えた車両14の充電インレット37に接続可能で、送電コイル26からの電力を非接触で受電する受電コイル32を備えた非接触充電用アダプタ30を受け渡す非接触充電用アダプタ受渡部28を備えている。そして、接触充電式の充電インレット37を備えているが、非接触充電用の設備を備えていない車両14を保管する場合は、非接触充電用アダプタ受渡部28で受け渡された非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に接続され状態(当審注:「接続された状態」の誤記と認める。)で車両保管棚11に保管する。したがって、非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレット37を備えた車両14に対しても、保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる。 【0042】 (3)非接触充電用アダプタ30は、受電コイル32で受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器33を備えている。したがって、車両14に装備されている充電インレット37が交流電力ではなく直流電力を入力する構成のものであっても、送電コイル26から非接触伝送される交流電力が非接触充電用アダプタ30のAC/DC変換器33で直流電力に変換されてから充電インレット37に入力されるため、支障なくバッテリを充電することができる。」 「【図1】(図1(b)は省略) [図:0001420346000001.jpg] 」 「【図3】 [図:0001420346000002.jpg] 」 イ 甲3発明 前記アの下線部に着目すると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、甲3発明をa~hに分説し、「構成a」のようにして参照する。 「a 非接触充電用アダプタ30であって、(【0023】) b 非接触充電用アダプタ30は、送電コイル26からの交流電力を非接触で受電する受電コイル32、受電コイル32で受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器33、通信器35、送受信器35a及び充電インレット37に接続されるコネクタ(プラグ)38を備え、(【0023】) c 送電コイル26から非接触伝送される交流電力がAC/DC変換器33で直流電力に変換されてから充電インレット37に入力され、(【0042】) d 自動車用自動倉庫10は、車両保管棚11に保管された状態の車両14のバッテリに非接触充電で充電を行うための給電電源24と、車両保管棚11に設けられるとともに給電電源24からケーブル24aを介して電力が供給される送電コイルユニット25とを備え、給電電源24は、送電コイルユニット25に装備された送電コイル26への送電(給電)を制御する制御装置27を備え、(【0019】) e 送電コイルユニット25は、通信器41と、送受信器41aとを備え、(【0024】) f 給電電源24は、制御装置27による制御によって非接触電力伝送を効率良く行う所定周波数の交流電力を送電コイル26に給電するように構成され、制御装置27は、通信器41、送受信器41a、送受信器35a及び通信器35を介して車両側充電制御装置39との間で、バッテリの充電状態に関する情報を受信し、(【0025】) g 接触充電式の充電インレット37を備えているが、非接触充電用の設備を備えていない車両14を保管する場合は、非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に接続された状態で車両保管棚11に保管し、保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる(【0041】) h 非接触充電用アダプタ30」 2 申立理由1について (1)本件特許明細書の記載 本件特許明細書には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ワイヤレス給電評価試験器に関する。さらに詳細には、本発明は、ワイヤレス給電方式により電気自動車へ給電するに際して、当該ワイヤレス給電の評価試験に用いて好適なワイヤレス給電評価試験器に関する。」 「【0017】 従来、ワイヤレス給電性能の評価試験を行う際に、プラグイン給電専用車のみしか用意できない場合には、プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造し、当該改造した電気自動車を用いてワイヤレス給電性能の評価試験を行わざるを得なかった。 【0018】 こうした場合には、プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造するための改造期間や費用が膨大にかかってしまうという問題点があった。 【0019】 また、プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造した電気自動車では、ワイヤレス給電性能の評価試験の評価結果に応じた回路の変更も容易ではなく、追加の試験期間や費用も膨大にかかってしまうというさらなる問題点もあった。」 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0021】 本発明は、上記したような従来の技術における種々の問題点などに鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、既存のプラグイン給電専用車をそのまま利用して、簡単にワイヤレス給電の評価試験を行うことができるようにしたワイヤレス給電評価試験器を提供しようとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0022】 上記目的を達成するために、本発明によるワイヤレス給電評価試験器は、送電コイルと受電コイルとを有するとともに、受電コイルにより受電した電力をプラグイン給電専用車に給電するための給電プラグを有するようにしたものである。」 「【0040】 以上の構成において、図4を参照しながら、既存のプラグイン給電専用車(プラグイン給電EV)20をそのまま利用して、ワイヤレス給電評価試験器100によりワイヤレス給電の評価試験を行う手法について説明する。 【0041】 ワイヤレス給電評価試験器100によりワイヤレス給電の評価試験を行うに際しては、送電コイル102をワイヤレス給電インバータ30と接続するとともに、給電プラグ112をプラグイン給電専用車20の給電コンセント22に装着する。 【0042】 これにより、ワイヤレス給電評価試験器100においては、ワイヤレス給電インバータ30に接続された送電コイル102を介して送電された電力を受電コイル106が受電する。 【0043】 こうして受電コイル106が受電した電力は、整流器108ならびに給電プラグ112を介してプラグイン給電専用車20の給電コンセント22へ出力され、これによりプラグイン給電専用車20のバッテリ24への給電を行うことが可能となって、ワイヤレス給電の評価試験を行うことができることになる。 【0044】 以上において説明したように、ワイヤレス給電評価試験器100を用いることにより、ワイヤレス給電の評価試験に際して、従来のプラグイン給電専用車20を何らの改造を行うことなく利用することができる。 【0045】 しかも、給電プラグ112が装着可能な規格を備えた給電コンセント22を有するプラグイン給電専用車20であれば、どのようなプラグイン給電専用車20でもワイヤレス給電評価試験器100と接続することができ、また、ワイヤレス給電の評価試験を終了する際には給電コンセント22から給電プラグ112を取り外せばよいので、プラグイン給電専用車20に対するワイヤレス給電評価試験器100自体の取り外しも容易である。 【0046】 また、ワイヤレス給電評価試験器100によれば、従来のプラグイン給電専用車20に搭載されている既存の充電システム(給電コンセント22、バッテリ24、インバータ26、モータ28などである。)をそのまま利用することができる。 【0047】 なお、ワイヤレス給電評価試験器100の電源(図示せず)の駆動や給電状態の監視などについては、例えば、携帯通信端末を用いた通信により制御したり監視したりするようにしてもよい。 【0048】 従って、上記したようにワイヤレス給電評価試験器100によれば、既存のプラグイン給電専用車20を何らの改造も行うことなくそのまま利用して、簡単にワイヤレス給電の評価試験を行うことができるようになる。」 (2)判断 ア 本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載によれば、本件発明1の「ワイヤレス給電評価試験器」(発明特定事項1A、1G)は、「電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いる」機「器」(発明特定事項1A)であって、発明特定事項1B~1Fでそれぞれ特定される「送電コイル」、「ワイヤレス通信コンバータ」、「受電コイル」、「整流器」、「給電プラグ」を有するものと解される。換言すると、請求項1は、上記「送電コイル」、「ワイヤレス通信コンバータ」、「受電コイル」、「整流器」、「給電プラグ」を有し、「電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いる」機「器」を、「ワイヤレス給電評価試験器」と規定しているといえる。 イ 請求項1に係る発明の「ワイヤレス給電評価試験器」を規定する発明特定事項1A~1Gのうち、発明特定事項1B~1Fは、「ワイヤレス給電評価試験器」が有する各構成要素(部品)を特定しており、その内容に不明確は点ない。 また、前記(1)の発明の詳細な説明の【0041】~【0047】等の記載を参酌すると、請求項1に係る発明の「ワイヤレス給電評価試験器」は、発明特定事項1B~1Gで特定される各構成要素を有することで、「送電コイル」を「ワイヤレス給電インバータ」に「接続」(発明特定事項1B)するとともに、「給電プラグ」を「プラグイン給電専用車」の「給電コンセント」に「挿」着(発明特定事項1F)すれば、「ワイヤレス給電インバータ」から電気自動車である「プラグイン給電専用車」のバッテリへのワイヤレス給電を行うことが可能となると理解できる。そして、該接続態様において、適宜、給電状態を携帯通信端末で監視する等して、従来のプラグイン給電専用車を利用したワイヤレス給電の評価試験が行えると理解できる。発明特定事項1A、1Gの「電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いるワイヤレス給電評価試験器」、「ワイヤレス給電評価試験器」は、こうした点を捉えて、ワイヤレス給電の評価試験に用いられる機器であることを表現したものと解されるから、発明特定事項1A、1Gも、その内容が不明確であるとはいえない。 他方、「ワイヤレス給電評価試験器」を用いたワイヤレス給電の評価試験として何をどう評価するかは、評価試験のシステム構成や試験方法等の具体化に関わるものであるから、仮にそれが本件特許の発明の詳細な説明に記載されていないとしても、それによってただちに「ワイヤレス給電評価試験器」の構成が不明確であるということはできない。 ウ したがって、発明特定事項1A~1Gで特定される請求項1に係る発明の「ワイヤレス給電評価試験器」は、その構成が不明確であるとはいえない。 請求項1に係る発明にさらに限定を付した請求項2、3に係る発明についても同様である。 (3)特許異議申立人の主張について ア 特許異議申立書による特許異議申立人の主張は、概略次の主張1~4のとおりであると認められる(なお、以下では、補正後の特許異議申立書の別紙にある申立の理由書を「申立理由書」という。)。 (主張1)「ワイヤレス給電評価試験器」を、「(ワイヤレス給電の)効率」を評価する試験器と考えた場合、本件特許の特許請求の範囲に記載された構成では、「(ワイヤレス給電の)効率」を評価することができる構成が存在しないから、特許請求の範囲の記載は不明確である。(申立理由書5~7頁) (主張2)「ワイレス給電評価試験器」を、「(EVに)充電可能か」どうかを評価する試験器と考えた場合、本件特許の特許請求の範囲に記載された構成では、「(EVに)充電可能か」どうかを評価することができる構成が存在しないから、特許請求の範囲の記載は不明確である。(申立理由書7~9頁) (主張3)本件特許の特許請求の範囲に記載された構成は、一般的な「(ワイヤレス給電の)物理的構成」のみであり、「(ワイヤレス給電の)何ら」かの評価をすることはできないから、特許請求の範囲の記載は不明確である。(申立理由書9頁) (主張4)本件特許の特許請求の範囲に記載された構成では、「プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造するための改造期間や費用が膨大にかかってしまうという問題点」(【0018】)、「プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造した電気自動車では、ワイヤレス給電性能の評価試験の評価結果に応じた回路の変更も容易ではなく、追加の試験期間や費用も膨大にかかってしまう」(【0019】)という問題点を解決しないから、特許請求の範囲に記載された構成は不明確または不十分である。(申立理由書9~10頁) イ 主張1及び主張2について、本件特許の発明の詳細な説明には、本件発明の「ワイヤレス給電評価試験器」が「(ワイヤレス給電の)効率」または「(EVに)充電可能か」どうかを評価する試験器であることを示す記載はない。また、甲1の20~21頁には、ワイヤレス電力伝送の電力伝送効率についての説明が記載されているが、甲1は、電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験とは「(ワイヤレス給電の)効率」を評価する試験であることを示すものではないし、電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験が通常「(ワイヤレス給電の)効率」あるいは「(EVに)充電可能か」どうかを評価する試験を意味するとの技術常識も存在しない。そのため、主張1及び主張2は、本件特許における電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験についての特許異議申立人独自の解釈を前提とするものであるから、採用することができない。 主張1~主張3は、本件発明の「ワイヤレス給電評価試験器」が、それ自体がワイヤレス給電を評価する構成を有するものとの解釈を前提としているようであるが、本件発明の「ワイヤレス給電評価試験器」は、電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に「用いる」(発明特定事項1A)機器であって、発明の詳細な説明の記載等を参酌しても、それ自体がワイヤレス給電を評価する構成を有していなければならないと解釈すべき事由はない。そして、本件特許の特許請求の範囲には、電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に「用いる」ために必要な構成が特定されていることは、前記(2)のとおりであるから、主張1~主張3には理由がない。 主張4は、要するに、特許請求の範囲に記載された本件発明は、課題を解決できるものではないとの主張であるが、特許請求の範囲に記載された発明が課題を解決できないことが、ただちに発明が明確でないことを意味するとはいえないから、主張4は前提を欠くものと言わざるを得ない。しかしながら、念のため、本件発明が課題を解決できるものかどうかについて検討すると、発明の詳細な説明には「ワイヤレス給電評価試験器100を用いることにより、ワイヤレス給電の評価試験に際して、従来のプラグイン給電専用車20を何らの改造を行うことなく利用することができる」(【0044】)等と記載されている。そして、上記記載のとおり、本件発明によりワイヤレス給電の評価試験のためにプラグイン給電専用車を改造する必要がなくなるのであるから、本件発明がプラグイン給電専用車の改造に係る上記課題(【0018】、【0019】)を解決できることは、発明の詳細な説明の記載から当業者が理解できるものである。よって、主張4には理由がない。 ウ したがって、特許異議申立人の主張は、いずれも採用することができない。 (4)小括 以上のとおり、本件特許の特許請求の範囲の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 よって、申立理由1には理由がない。 3 申立理由2について (1)特許異議申立人の主張する引用発明1 特許異議申立人は、次の構成のワイヤレス給電システム(以下、特許異議申立書の表記にあわせて「引用発明1」という。)が、本件特許の出願前から公然知られた発明または公然実施をされた発明であったと主張する。(申立理由書13~14頁) 「11a 専用車プラグイン給電専用車にワイヤレス給電をするためのワイヤレス給電システムであって、 11b ワイヤレス給電インバータと接続可能な送電コイルと、 11c 前記ワイヤレス給電インバータと通信可能なワイヤレス通信コンバータと、 11d 前記ワイヤレス給電インバータから前記送電コイルを介して送電された電力を受電する受電コイルと、 11e 前記受電コイルと接続された整流器と、 11f 前記ワイヤレス通信コンバータならびに前記整流器に接続されるとともに、バッテリに接続された動力線と 21g を有することを特徴とするワイヤレス給電システム。」 特許異議申立人は、引用発明1が公然知られた発明または公然実施をされた発明であることの根拠として、「本特許の詳細な説明【0017】欄には、…(中略)…プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造することが、本特許出願前から当業者が一般的に行っている行為であることが明示されている。」、「プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造するためには、本出願の詳細な説明にある【図2】の赤破線枠部分(ワイヤレス給電システム)を追加することになる。」と主張する。(申立理由書11~13頁) 「 [図:0001420346000003.jpg] 」 (2)引用発明1の適否について ア 特許異議申立人は、本件特許の発明の詳細な説明の【0017】には、「プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造することが、本特許出願前から当業者が一般的に行っている行為であることが明示されている。」と主張する。 イ 本件特許の明細書及び図面には、以下の記載がある。 「【背景技術】 【0002】 従来より、電気自動車(EV:Electric Vehicle)における給電方式として、プラグインによる有線給電方式(本明細書ならびに本特許請求の範囲においては、「プラグインによる有線給電方式」を「プラグイン給電方式」と称する。)と磁界共振方式(磁気結合方式)などを利用した無線による給電方式(本明細書ならびに本特許請求の範囲においては、「磁界共振方式(磁気結合方式)などを利用した無線による給電方式」を「ワイヤレス給電方式」と称する。)とが知られている。 【0003】 一般に、電気自動車を製造するに際して、プラグイン給電方式を採用する場合にはプラグイン給電の専用車(プラグイン給電専用車:プラグイン給電EV)として設計されており、一方、ワイヤレス給電方式を採用する場合にはワイヤレス給電の専用車(ワイヤレス給電専用車:ワイヤレス給電EV)として設計されている。 【0004】 ここで、図1には、従来のプラグイン給電方式の説明図が示されている。このプラグイン給電方式に用いる電気自動車は、給電コンセントを備えたプラグイン給電専用車として構成されている。 【0005】 図1において、符号10はプラグイン給電専用車のための給電設備であるプラグイン給電器であり、符号20はプラグイン給電専用車である。 【0006】 プラグイン給電器10は、プラグイン給電専用車20に設けられた給電コンセント22に挿脱される給電プラグ12を備えている。 【0007】 また、プラグイン給電専用車20は、上記した給電コンセント22と、給電コンセント22と接続されているバッテリ24と、バッテリ24と接続されているインバータ26と、インバータ26と接続されていてプラグイン給電専用車20の駆動源となるモータ28と、給電コンセント22に接続されている有線通信器29とを有して構成されている。 【0008】 なお、こうしたプラグイン給電器10ならびにプラグイン給電専用車20は従来より公知の技術であるので、それらの詳細な説明は省略する。 【0009】 プラグイン給電専用車20においては、給電コンセント22にプラグイン給電器10の給電プラグ12を装着することにより、プラグイン給電器10からプラグイン給電専用車20のバッテリ24への給電と、有線通信器29から有線通信することができる。 【0010】 一方、図2には、従来のワイヤレス給電方式の説明図が示されている。このワイヤレス給電方式に用いる電気自動車は、ワイヤレス通信コンバータなどを備えたワイヤレス給電専用車として構成されている。 【0011】 図2において、符号30はワイヤレス給電専用車のための給電設備であるワイヤレス給電インバータであり、符号40はワイヤレス給電専用車である。 【0012】 ワイヤレス給電インバータ30は、駐車場などの路面に設置された送電コイル32と接続されているとともに、ワイヤレス給電専用車40に設けられたワイヤレス通信コンバータ42とワイヤレス通信可能に構成されている。 【0013】 また、ワイヤレス給電専用車40は、上記したワイヤレス通信コンバータ42と、ワイヤレス給電インバータ30から送電コイル32を介して送電された電力を受電する受電コイル44と、受電コイル44と接続された整流器46と、整流器46と接続されたバッテリ48と、バッテリ48と接続されたインバータ50と、インバータ50と接続されていてワイヤレス給電専用車40の駆動源となるモータ52とを有して構成されている。また、上記したワイヤレス通信コンバータ42は、バッテリ48と接続されている。 【0014】 なお、こうしたワイヤレス給電インバータ30ならびにワイヤレス給電専用車40は従来より公知の技術であるので、それらの詳細な説明は省略する。 【0015】 ワイヤレス給電専用車40においては、ワイヤレス給電インバータ30から送電コイル32を介して送電された電力を受電コイル44が受電することにより、ワイヤレス給電インバータ30からワイヤレス給電専用車40のバッテリ48へ給電することができる。 【0016】 上記において説明したように、電気自動車としては、プラグイン給電方式に対応したプラグイン給電専用車とワイヤレス給電方式に対応したワイヤレス給電専用車とが存在している。 【0017】 従来、ワイヤレス給電性能の評価試験を行う際に、プラグイン給電専用車のみしか用意できない場合には、プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造し、当該改造した電気自動車を用いてワイヤレス給電性能の評価試験を行わざるを得なかった。 【0018】 こうした場合には、プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造するための改造期間や費用が膨大にかかってしまうという問題点があった。 【0019】 また、プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造した電気自動車では、ワイヤレス給電性能の評価試験の評価結果に応じた回路の変更も容易ではなく、追加の試験期間や費用も膨大にかかってしまうというさらなる問題点もあった。 【0020】 なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。」 「【図1】 [図:0001420346000004.jpg] 【図2】 [図:0001420346000005.jpg] 」 ウ 前記イの記載のうち、【0004】~【0008】は、図1に示すような従来のプラグイン給電方式は公知の技術であること、【0010】~【0014】は、図2に示すような従来のワイヤレス給電方式は公知の技術であることを述べたものと解される。 これら従来の2つの給電方式があることを踏まえ、【0017】は、「従来、ワイヤレス給電性能の評価試験を行う際に、プラグイン給電専用車のみしか用意できない場合には、プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造し、当該改造した電気自動車を用いてワイヤレス給電性能の評価試験を行わざるを得なかった。」との特許権者が考える問題点を提示したものと解されるが、該記載は、「プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造し、当該改造した電気自動車を用いてワイヤレス給電性能の評価試験を行」うことが、公然知られていたとも公然実施をされていたとも述べたものではない。 エ そして、特許異議申立人は、本件特許明細書【0017】に「プラグイン給電専用車をワイヤレス給電仕様に改造することが、本特許出願前から当業者が一般的に行っている行為であることが明示されている。」との独自の解釈のみに依拠し、前記(1)の引用発明1が本件特許の出願前から公然知られた発明または公然実施をされた発明であると主張するところ、前記ウのとおり、特許異議申立人の該解釈は誤ったものであり、他に証拠もないから、引用発明1が本件特許の出願前に公然知られた発明または公然実施をされた発明であると認めることはできない。 (3)小括 以上のとおり、特許異議申立人の主張する前記(1)の引用発明1は、特許法第29条第1項第1号、第2号に掲げる「公然知られた発明」、「公然実施をされた発明」のどちらにも当たらないから、申立理由2には理由がない。 4 申立理由3について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 (ア)発明特定事項1A、1Gについて 甲3発明の「接触充電式の充電インレット37を備え」た「車両14」(構成g)は、「バッテリ」(構成g)の電気を動力源とすることは明らかであるから、本件発明1の「電気自動車」に相当する。 甲3発明の「非接触充電用アダプタ30」(構成a)は、「充電インレット37に接続された状態で」「バッテリの充電を非接触で行う」(構成g)のに用いる機器といえる。これに対し、本件発明1の「ワイヤレス給電評価試験器」は、「電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いる」ものであり、評価試験の際、電気自動車のバッテリに給電を行う(本件特許明細書【0043】等)から、電気自動車へのワイヤレス給電に用いる機器といえる。 したがって、本件発明1と甲3発明とは、「電気自動車へのワイヤレス給電に用いる機器」である点で共通する。 他方で、本件発明1は、「電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いる」「ワイヤレス給電評価試験器」であるのに対し、甲3発明は、「非接触充電用アダプタ30」であって、電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いるものであることは特定されていない。 (イ)発明特定事項1Bについて 甲3発明における「自動車用自動倉庫10」が備える「給電電源24」(構成d)は、「非接触電力伝送を効率良く行う所定周波数の交流電力」を「給電する」(構成f)ものであり、インバータを備えることは明らかであるから、本件発明1の「ワイヤレス給電インバータ」に相当する。 甲3発明における「送電コイルユニット25に装備された送電コイル26」(構成d)は、上記「給電電源24」と「ケーブル24aを介して」(構成d)接続されたものといえるが、該「送電コイル26」は、「自動車用自動倉庫10」が備える(構成d)ものであって、「非接触充電用アダプタ30」が有するものではない。 (ウ)発明特定事項1Cについて 甲3発明の「非接触充電用アダプタ30」が備える「通信器35」及び「送受信器35a」(構成b)は、「給電電源24」の「制御装置27」と「車両側充電制御装置39」との間の「バッテリの充電状態に関する情報」の送受信(構成f)を行うものであるから、「給電電源24」と通信可能なものといえる。この送受信において、上記「通信器35」及び「送受信器35a」は、「車両側充電制御装置39」から「充電インレット37に接続されるコネクタ(プラグ)38」を介して有線で受信した「バッテリの受電状態に関する情報」(構成b、構成f、図3)を、「送電コイルユニット25」に備わる「通信器41、送受信器41a」を介して非接触で上記「制御装置27」に送信する(構成e、構成f、図3)と解され、そのために「バッテリの受電状態に関する情報」を非接触通信(ワイヤレス通信)用の信号に変換していると解されるから、上記「通信器35」と「送受信器35a」は、本件発明1の「ワイヤレス通信コンバータ」に相当する。 したがって、本件発明1と甲3発明とは、「前記ワイヤレス給電インバータと通信可能なワイヤレス通信コンバータ」を有する点で一致する。 (エ)発明特定事項1Dについて 甲3発明の「非接触充電用アダプタ30」が備える「受電コイル32」は、「送電コイル26からの交流電力を非接触で受電する」(構成b)ものであるから、本件発明1の「受電コイル」に相当する。そして、受電する上記「交流電力」は、「給電電源24」から「送電コイル26」に給電される(構成f)ものであるから、本件発明1と甲3発明とは、「前記ワイヤレス給電インバータから送電コイルを介して送電された電力を受電する受電コイル」を有する点で共通する一方、甲3発明の「送電コイル26」は「非接触充電用アダプタ30」が有するものでない点は、前記(イ)のとおりである。 (オ)発明特定事項1Eについて 甲3発明の「非接触充電用アダプタ30」が備える「AC/DC変換器33」は、「交流電力を直流電力に変換する」(構成b)ものであるから、本件発明1の「整流器」に相当する。また、上記「交流電力」は「受電コイル32で受電した」(構成b)ものであるから、上記「AC/DC変換器33」と「受電コイル32」が接続されていることは明らかである。 よって、本件発明1と甲3発明とは、「前記受電コイルと接続された整流器」を有する点で一致する。 (カ)発明特定事項1Fについて 甲3発明の「非接触充電用アダプタ30」の「コネクタ(プラグ)38」は、「充電インレット37に接続される」(構成b)ものであるから、本件発明1の「給電プラグ」に相当する。また、甲3発明における「接触充電式の充電インレット37を備えているが、非接触充電用の設備を備えていない車両14」(構成g)に備わった上記「充電インレット37」は、本件発明1の「プラグイン給電専用車の給電コンセント」に相当し、上記「コネクタ(プラグ)38」は、「車両保管棚11に保管」して「充電」する際に「充電インレット37」に接続される(構成g)ものであり、充電後には取り外されると当然に解されるから、本件発明1の「給電プラグ」と甲3発明の「コネクタ(プラグ)38」とは、「プラグイン給電専用車の給電コンセントに挿脱自在な」点で一致する。 甲3発明は、「AC/DC変換器33」(前記(オ))で変換された「直流電力」が「充電インレット37」に入力される(構成c)のであるから、「充電インレット37に接続される」「コネクタ(プラグ)38」(構成b)が「AC/DC変換器33」に接続していることは明らかである。また、甲3発明は、前記(ウ)のとおり、「充電インレット37に接続されるコネクタ(プラグ)38」を介して、「通信器35」及び「送受信器35a」は「車両側充電制御装置39」から「バッテリの受電状態に関する情報」を受信すると解されるから、当然「コネクタ(プラグ)38」は「通信器35」及び「送受信器35a」に接続していると解される。 したがって、本件発明1と甲3発明とは、「前記ワイヤレス通信コンバータならびに前記整流器に接続されるとともに、プラグイン給電専用車の給電コンセントに挿脱自在な給電プラグ」を有する点で一致する。 (キ)前記(ア)~(カ)によれば、本件発明1と甲3発明とは、次の一致点、相違点がある。 [一致点] 電気自動車へのワイヤレス給電に用いる機器であって、 前記ワイヤレス給電インバータと通信可能なワイヤレス通信コンバータと、 前記ワイヤレス給電インバータから送電コイルを介して送電された電力を受電する受電コイルと、 前記受電コイルと接続された整流器と、 前記ワイヤレス通信コンバータならびに前記整流器に接続されるとともに、プラグイン給電専用車の給電コンセントに挿脱自在な給電プラグと を有する機器。 [相違点] (相違点1) 本件発明1は、「電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いる」「ワイヤレス給電評価試験器」であるのに対し、甲3発明は、「非接触充電用アダプタ30」であって、電気自動車へのワイヤレス給電の評価試験に用いるものであることは特定されていない点。 (相違点2) 本件発明1は、「ワイヤレス給電インバータと接続可能な送電コイル」を有するのに対し、甲3発明は、「非接触充電用アダプタ30」がそのような送電コイルを有しない点。 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、相違点2について検討する。 (ア)相違点2は、ワイヤレス給電評価試験器の構成に関わるものであるから、実質的な相違点である。 したがって、本件発明1は、甲3発明と同一ではない。 (イ)甲3発明である「非接触充電用アダプタ30」は、自動車用自動倉庫10に備わった送電コイル26を介して給電電源24からの交流電力を受電するものであり(前記ア(エ))、「非接触充電用アダプタ30」が、上記給電電力24と接続可能な送電コイルを備える構成にする動機付けはない。 よって、相違点2に係る本件発明1の構成は、当業者といえども、甲3発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。 したがって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 特許異議申立人の主張について (ア)前記相違点2に関し、特許異議申立人は、甲3には「バッテリの充電を非接触で行うことができる「非接触充電用アダプタ」を含むワイヤレス給電システム(図3の赤枠部分)の発明が開示されている。」と主張する。その上で、「ワイヤレス給電システムが、非接触充電アダプタと送電コイルが別体となっており、送電コイルが、非接触充電アダプタ外に設けられている」点を相違点2-○2(正しくは丸数字2。)として挙げ、「既設のワイヤレス給電設備は「ワイヤレス給電インバータ」と「送電コイル」が一体となっているため、本発明の実施のために、別途ワイヤレス給電インバータを設置する必要があ」るから、「本発明の「送電コイル」は、ワイヤレス給電設備の一部を流用するのが自然であり、「送電コイル」(構成要件1B)は、ワイヤレス給電評価試験器の「筐体」内には格納されていないと解釈される」ので、実質的な相違点ではなく、相違点であるとしても、当業者が適宜変更可能な範囲である旨主張する。(申立理由書22~25頁) 「 [図:0001420346000006.jpg] 」 (イ)しかしながら、甲3には、図3の赤枠部分、すなわち、自動車用自動倉庫10が備える設備のうちの送電コイル26(送電コイルユニット25)のみと非接触充電充電アダプタ30とからなる部分を、(何らかの課題を解決する等の)技術的意義を有する一の発明として把握可能であることを示す記載は見当たらない。このことは、「既設のワイヤレス給電設備は「ワイヤレス給電インバータ」と「送電コイル」が一体となっている」と特許異議申立人が認めている点からも裏付けられる。そのため、図3の赤枠部分の発明が開示されていることを前提とする上記主張は、正しいものといえない。 この点をおくとしても、本件発明1の「送電コイル」は、「ワイヤレス給電インバータと接続可能」なものであり、「接続可能」とは、発明の詳細な説明の「ワイヤレス給電評価試験器100によりワイヤレス給電の評価試験を行うに際しては、送電コイル102をワイヤレス給電インバータ30と接続するとともに(後略)」(【0041】)等の記載を参酌すると、評価試験の際にワイヤレス給電インバータに接続し、評価試験が終了すれば取り外すことができるものと解釈される。これに対し、甲3の送電コイル26(送電コイルユニット25)は、給電装置24と一体となって自動車用自動倉庫10に備えられ、給電装置24に接続したり給電装置24から取り外したりするものではないと解されるから、本件発明1の「ワイヤレス給電インバータと接続可能な送電コイル」には当たらず、また、送電コイル26を給電装置24と「接続可能」なものにする動機付けもない。この点は、上記主張するような、本件発明1の「送電コイル」が「ワイヤレス給電評価試験器」の筐体の内か外かには関わらない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。 エ 小括 以上のとおり、本件発明1は、甲3発明と同一ではなく、また、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、3について 本件発明2、3は、本件発明1にさらに限定を付したものであり、相違点2に係る本件発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本件発明2、3は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、これは、甲2技術の存在に左右されない。 (3)申立理由3についてのまとめ 以上のとおりであるから、申立理由3には理由がない。 第5 むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に上記請求項に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700893

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  • 2019-700653異議申立 / 2020-09-29 / 訂正認容電池制御システム
    共通の審決分類: 113・H02J、121・H02J、537・H02J
  • 2025-009172拒絶査定不服審判 / 2026-06-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)二次電池の充電方法及び充電装置、コンピュータ記憶媒体、及び電子機器
    共通の審決分類: 113・H02J、121・H02J、537・H02J
  • 2024-017205拒絶査定不服審判 / 2026-05-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)充電式電気化学セルまたは電池を操作するためのシステムおよび方法
    共通の審決分類: 113・H02J、121・H02J、537・H02J

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