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特許異議申立

2024-700832

コンタクトレンズとシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ

審判番号
2024-700832
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2023-003651
登録番号
7446496
請求日
2024年09月03日
審決日
2025年10月10日
公報発行日
2026年01月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ビジョンフォーカス インク
  • 【権利者代理人】弁理士法人白坂
  • 【異議申立人】熊野 剛
審判長/審判官
  • 審判長 里村 利光
  • 審判官 川瀬 正巳
  • 審判官 河原 正
分類
P1652.112-YAA(G02C) / P1652.113-YAA(G02C) / P1652.121-YAA(G02C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7446496号発明「コンタクトレンズとシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7446496号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~21〕について訂正することを認める。 特許第7446496号の請求項2~21に係る特許を維持する。 特許第7446496号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許7446496第(以下「本件特許」という。)の請求項1~47に係る特許についての出願(特願2023-3651号)は、令和5年1月13日(パリ条約に基づく優先権主張 2022年(令和4年)10月26日(以下「優先日」という。))に出願され、令和6年2月29日にその特許権の設定の登録がされ、令和6年3月8日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和6年9月3日に、請求項1~21に係る特許に対し、特許異議申立人 熊野 剛(以下「申立人」という。)により特許異議の申立て(以下「異議申立」という。また、申立人が証拠として提出した甲第1号証等を「甲1」等と略す。)がされた。 その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和7年 2月14日付け:取消理由通知書 令和7年 5月15日 :特許権者による訂正請求書の提出(この訂正請求書による訂正の請求を、以下「本件訂正請求」という。) 令和7年 5月15日 :特許権者による意見書の提出 令和7年 5月30日付け:手続補正指令書(方式) 令和7年 7月 2日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出(訂正請求書の補正) なお、当合議体は、特許法120条の5第5項の規定に基づき、申立人に対して相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人は、指定期間内に意見書を提出しなかった。 第2 本件訂正請求について 1 請求の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、特許第7446496号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~21について訂正することを求める、というものである。 2 訂正の内容 本件訂正請求により特許権者が求める訂正の内容は、次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1~21〕についてなされたものである。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記シリコーン含有モノマーが、メタクリル酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル、(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、O-(メタクリロイルオキシエチル)-3-[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメートの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、 「 コンタクトレンズであって、 少なくとも1種のシリコーン含有モノマーを含み、該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行い、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.0%~8.0%であること、及び 該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満であり、 前記シリコーン含有モノマーが、メタクリル酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル、(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、O-(メタクリロイルオキシエチル)-3-[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメートの少なくとも1つを含む、コンタクトレンズ。」に訂正をする(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4、6、13、15、17、18、19、20及び21も同様に訂正する。)。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記シリコーン含有モノマーが、モノメタクリルオキシプロピル終端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリロキシプロピル末端カルバメートポリジメチルシロキサン、モノ-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端モノ-ブチル末端ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、 「 コンタクトレンズであって、 少なくとも1種のシリコーン含有モノマーを含み、該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行い、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.0%~8.0%であること、及び 該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満であり、 前記シリコーン含有モノマーが、モノメタクリルオキシプロピル終端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリロキシプロピル末端カルバメートポリジメチルシロキサン、モノ-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端モノ-ブチル末端ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つを含む、コンタクトレンズ。」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4、6、13、15、17、18、19、20及び21も同様に訂正する。)。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「N-ビニルピロリドンを含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「N-ビニルピロリドンを含む、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する(請求項4の記載を直接的に引用する請求項5も同様に訂正する。)。 (5) 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「少なくとも1種のケイ素含有架橋剤を更に含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「少なくとも1種のケイ素含有架橋剤を更に含む、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7~12も同様に訂正する。)。 (6) 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項13に「前記コンタクトレンズが、少なくとも1種の非ケイ素含有架橋剤を更に含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「前記コンタクトレンズが、少なくとも1種の非ケイ素含有架橋剤を更に含む、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する(請求項13の記載を直接的に引用する請求項14も同様に訂正する。)。 (7) 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項15に「前記コンタクトレンズは、第1の親水性モノマーと、少なくとも1つの第2の親水性モノマー及び充填剤を更に含み、前記第1の親水性モノマーは、N-ビニルピロリドンであり、その含有量は、前記充填剤を除去した後の前記コンタクトレンズの重量の40%以上を占める、請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「前記コンタクトレンズは、第1の親水性モノマーと、少なくとも1つの第2の親水性モノマー及び充填剤を更に含み、前記第1の親水性モノマーは、N-ビニルピロリドンであり、その含有量は、前記充填剤を除去した後の前記コンタクトレンズの重量の40%以上を占める、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する(請求項15の記載を直接的に引用する請求項16も同様に訂正する。)。 (8) 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項17に「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が2.5%~6.5%であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が2.5%~6.5%であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する。 (9) 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項18に「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.0%~5.0%であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.0%~5.0%であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する。 (10) 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項19に「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が2.2%未満であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が2.2%未満であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する。 (11) 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項20に「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.5%未満であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.5%未満であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する。 (12) 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項21に「前記コンタクトレンズの接触角(Contact Angle)が70°以下であり、破水時間(WBUT)が10秒以上である、請求項1に記載のコンタクトレンズ。」と記載されているのを、「前記コンタクトレンズの接触角(Contact Angle)が70°以下であり、破水時間(WBUT)が10秒以上である、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」に訂正する。 3 訂正要件の判断 (1) 訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1に係る請求項1の訂正は、請求項1を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 上記アに照らせば、訂正事項1に係る請求項1の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはない。 したがって、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、訂正要件を満たす。 (2) 訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2に係る請求項2の訂正は、請求項2においては、請求項1の記載を引用していたところ、請求項2を独立形式の記載に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 上記アに照らせば、訂正事項2に係る請求項2の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはない。 したがって、訂正事項2に係る請求項2の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項2に係る請求項2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2に係る請求項2の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 請求項4、6、13、15、17、18、19、20及び21についても同様である。 オ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項2に係る請求項2の訂正は、訂正要件を満たす。 (3) 訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3に係る請求項3の訂正は、請求項3においては、請求項1の記載を引用していたところ、請求項3を独立形式の記載に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 上記アに照らせば、訂正事項3に係る請求項3の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはない。 したがって、訂正事項3に係る請求項3の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項3に係る請求項3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3に係る請求項3の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 請求項4、6、13、15、17、18、19、20及び21についても同様である。 オ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項3に係る請求項3の訂正は、訂正要件を満たす。 (4) 訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4に係る請求項4の訂正は、訂正前の請求項4が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項4を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、「メタクリル酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル、(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、O-(メタクリロイルオキシエチル)-3-[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメートの少なくとも1つを含む」もの(以下「第1のシリコーン含有モノマー」という。)、又は、「モノメタクリルオキシプロピル終端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリロキシプロピル末端カルバメートポリジメチルシロキサン、モノ-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端モノ-ブチル末端ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つを含む」もの(以下「第2のシリコーン含有モノマー」という。)に限定するものである。 してみると、訂正事項4に係る請求項4の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項4に係る請求項4の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項4に係る請求項4の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項4に係る請求項4の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項4に係る請求項4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4に係る請求項4の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 請求項4の記載を引用する請求項5についても同様である。 オ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項4に係る請求項4の訂正は、訂正要件を満たす。 (5) 訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5に係る請求項6の訂正は、訂正前の請求項6が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項6を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項5に係る請求項6の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項5に係る請求項6の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項5に係る請求項6の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項5に係る請求項6の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項5に係る請求項6の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項5に係る請求項6の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 請求項6の記載を引用する請求項7~12についても同様である。 オ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項5に係る請求項6の訂正は、訂正要件を満たす。 (6) 訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6に係る請求項13の訂正は、訂正前の請求項13が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項13を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項6に係る請求項13の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項6に係る請求項13の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項6に係る請求項13の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項6に係る請求項13の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項6に係る請求項13の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項6に係る請求項13の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 請求項13の記載を引用する請求項14についても同様である。 オ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項6に係る請求項13の訂正は、訂正要件を満たす。 (7) 訂正事項7 ア 訂正の目的 訂正事項7に係る請求項15の訂正は、訂正前の請求項15が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項15を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項7に係る請求項15の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項7に係る請求項15の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項7に係る請求項15の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項7に係る請求項15の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項7に係る請求項15の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項7に係る請求項15の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 請求項15の記載を引用する請求項16についても同様である。 オ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項7に係る請求項15の訂正は、訂正要件を満たす。 (8) 訂正事項8 ア 訂正の目的 訂正事項8に係る請求項17の訂正は、訂正前の請求項17が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項17を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項8に係る請求項17の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項8に係る請求項17の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項8に係る請求項17の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項8に係る請求項17の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項8に係る請求項17の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項8に係る請求項17の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項8に係る請求項17の訂正は、訂正要件を満たす。 (9) 訂正事項9 ア 訂正の目的 訂正事項9に係る請求項18の訂正は、訂正前の請求項18が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項18を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項9に係る請求項18の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項9に係る請求項18の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項9に係る請求項18の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項9に係る請求項18の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項9に係る請求項18の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項9に係る請求項18の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項9に係る請求項18の訂正は、訂正要件を満たす。 (10) 訂正事項10 ア 訂正の目的 訂正事項10に係る請求項19の訂正は、訂正前の請求項19が請求項1の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項19を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項10に係る請求項19の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項10に係る請求項19の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項10に係る請求項19の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項10に係る請求項19の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項10に係る請求項19の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項10に係る請求項19の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項10に係る請求項19の訂正は、訂正要件を満たす。 (11) 訂正事項11 ア 訂正の目的 訂正事項11に係る請求項20の訂正は、訂正前の請求項20が請求項1の記載を引用する記載であったところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項20を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項11に係る請求項20の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項11に係る請求項20の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項11に係る請求項20の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項11に係る請求項20の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項11に係る請求項20の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項11に係る請求項20の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項11に係る請求項20の訂正は、訂正要件を満たす。 (12) 訂正事項12 ア 訂正の目的 訂正事項12に係る請求項21の訂正は、訂正前の請求項21が請求項1の記載を引用する記載であったところ、訂正事項1に係る請求項1の訂正により請求項1が削除され、訂正事項2、3に係る請求項2、3の訂正により、請求項1を引用する請求項2、3の記載を独立形式の記載に改めたことに伴い、請求項21を、請求項2、3の記載を引用する記載として、「シリコーン含有モノマー」について、第1のシリコーン含有モノマー、又は、第2のシリコーン含有モノマーに限定するものである。 してみると、訂正事項12に係る請求項21の訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 新規事項追加の有無 本件特許明細書の【0007】、【0031】、【0051】、【0053】~【0055】、【0094】、【0098】及び実施サンプル1~13(【0100】~【0114】)等の記載からみて、訂正事項12に係る請求項21の訂正によって、当業者によって、明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項が導入されることはないから、訂正事項12に係る請求項21の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正である。 したがって、訂正事項12に係る請求項21の訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 上記ア及びイに照らせば、訂正事項12に係る請求項21の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項12に係る請求項21の訂正は、特許法120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に適合する。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項12に係る請求項21の訂正は、訂正要件を満たす。 4 まとめ 本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、特許第7446496号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~21〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1~21に係る発明(以下、「本件特許発明1」~「本件特許発明21」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~請求項21に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 コンタクトレンズであって、 少なくとも1種のシリコーン含有モノマーを含み、該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行い、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.0%~8.0%であること、及び 該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満であり、 前記シリコーン含有モノマーが、メタクリル酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル、(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、O-(メタクリロイルオキシエチル)-3-[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメートの少なくとも1つを含む、コンタクトレンズ。 【請求項3】 コンタクトレンズであって、 少なくとも1種のシリコーン含有モノマーを含み、該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行い、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.0%~8.0%であること、及び 該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満であり、 前記シリコーン含有モノマーが、モノメタクリルオキシプロピル終端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリロキシプロピル末端カルバメートポリジメチルシロキサン、モノ-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端モノ-ブチル末端ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つを含む、コンタクトレンズ。 【請求項4】 N-ビニルピロリドンを含む、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項5】 前記コンタクトレンズが充填剤を更に含み、前記N-ビニルピロリドンの含有量が、前記充填剤を除去した後の前記コンタクトレンズの重量の40%以上を占める、請求項4に記載のコンタクトレンズ。 【請求項6】 少なくとも1種のケイ素含有架橋剤を更に含む、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項7】 前記少なくとも1種のケイ素含有架橋剤が、メタクリロキシプロピル末端のポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端カルバメートポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール修飾を含むメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、1,3-ビス[4-ビニルオキシカルボニルオキシ)ブチル]テトラメチルジシロキサン、ビス-3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサンの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のコンタクトレンズ。 【請求項8】 前記少なくとも1種のケイ素含有架橋剤のそれぞれの分子量が3000以下である、請求項7に記載のコンタクトレンズ。 【請求項9】 前記少なくとも1種のケイ素含有架橋剤のそれぞれの分子量が1500以下である、請求項7に記載のコンタクトレンズ。 【請求項10】 前記少なくとも1種のケイ素含有架橋剤のそれぞれの分子量が800以下である、請求項7に記載のコンタクトレンズ。 【請求項11】 前記コンタクトレンズが充填剤を更に含み、前記少なくとも1種のケイ素含有架橋剤の含有量が、前記充填剤を除去した後の前記コンタクトレンズの重量の0.1%~6.0%を占める、請求項7に記載のコンタクトレンズ。 【請求項12】 前記コンタクトレンズが充填剤を更に含み、少なくとも1種のケイ素含有架橋剤の含有量が、前記充填剤を除去した後の前記コンタクトレンズの重量の0.1%~3.0%を占める、請求項7に記載のコンタクトレンズ。 【請求項13】 前記コンタクトレンズが、少なくとも1種の非ケイ素含有架橋剤を更に含む、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項14】 前記少なくとも1種の非ケイ素含有架橋剤が、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のコンタクトレンズ。 【請求項15】 前記コンタクトレンズは、第1の親水性モノマーと、少なくとも1つの第2の親水性モノマー及び充填剤を更に含み、前記第1の親水性モノマーは、N-ビニルピロリドンであり、その含有量は、前記充填剤を除去した後の前記コンタクトレンズの重量の40%以上を占める、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項16】 前記少なくとも1つの第2の親水性モノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールビニルエーテル、1,4-ブタンジオールビニルエーテルの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のコンタクトレンズ。 【請求項17】 前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が2.5%~6.5%であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項18】 前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.0%~5.0%であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項19】 前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が2.2%未満であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項20】 前記コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.5%未満であることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。 【請求項21】 前記コンタクトレンズの接触角(Contact Angle)が70°以下であり、破水時間(WBUT)が10秒以上である、請求項2又は3に記載のコンタクトレンズ。」 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1、4、6~7、13~14,17~20に係る特許に対して、令和7年2月14日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由」といい、この通知を「取消理由通知」という。)の要旨は、次のとおりである。 「●取消理由1(新規性、刊行物等による公知) 本件特許の請求項1、4、6~7、13~14、17~20に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1、4、6~7、13~14、17~20に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 ・請求項1、6~7、13~14、19~20:甲1 ・請求項1、4、17~19:甲3 ●取消理由2(新規性、公然実施) 本件特許の請求項1、4、6~7、13~14、17~20に係る発明は、甲1、甲2、甲5及び甲10等から把握される優先日前に公然実施をされた発明(以下「甲1公然実施発明」という。)、あるいは、甲3、甲4及び甲5等から把握される優先日前に公然実施をされた発明(以下「甲3公然実施発明」という。)であり、特許法第29条第1項第2号に該当するから、本件特許の請求項1、4、6~7、13~14、17~20に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 ・請求項1、6~7、13~14、19~20:甲1公然実施発明 ・請求項1、4、17~19:甲3公然実施発明 (引用例等一覧) 甲1:「シリコーンハイドロゲル1day日本初※1の乱視用コンタクトレンズ、「MyDay(R)toric」新登場」,[online],2016年7月15日,クーパービジョン・ジャパン株式会社,クーパービジョン・ジャパン株式会社ホームページ,[令和6年8月1日出力],インターネット<https://coopervision.jp/our-company/news-center/press-release/160715> (当合議体注:登録商標を示す丸付きの「R」を、括弧「()」付きの「(R)」で代用して表記している。) 甲2:STENFILCON A,[online],2013年4月24日,American Medical Association,American Medical Associationホームページ,[令和6年8月1日出力],インターネット<https://searchusan.ama-assn.org/usan/documentDownload?uri=/unstructured/binary/usan/stenfilcon-a.pdf> 甲3:「Bausch + Lomb Launches Innovative Bausch + Lomb INFUSETM Silicone Hydrogel (SiHy) Daily Disposable Contact Lenses」,[online],2020年8月17日,Bausch + Lomb,Bausch + Lombホームページ,[令和6年8月1日出力],インターネット<https://pi.bausch.com/globalassets/pdf/news-archive/bauschhealthpdf/08-17-2020-115958501.pdf> 甲4:「Re: K200528」,「Trade/Device Name: Bausch + Lomb(kalifilcon A)Soft(hydrophilic)Contact Lens」,「Bausch + Lomb(kalifilcon A)Soft(hydrophilic)Contact Lens for Astigmatism」,[online],2020年6月2日,米国食品医薬品局のホームページ,[令和6年8月1日出力],インターネット<https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf20/K200528.pdf> 甲5:江原特許事務所 熊野 剛(特許申立人),実験報告書,令和6年9月3日 甲10:「「マイデイ(トーリック)(MyDay Toric)」製品自主回収開始について」,[online],2017年1月,クーパービジョン・ジャパン株式会社,クーパービジョン・ジャパン株式会社ホームページ,[令和6年8月27日出力],インターネット<https://coopervision.jp/practitioner/mydaytoric-recall>」 第5 当合議体の判断 1 甲1公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)について (1) 本件特許発明1について 本件訂正請求により、甲1公然実施発明に基づく取消理由2(新規性、公然実施)の対象となっていた請求項1が削除され、存在しないものとなった。 (2) 本件特許発明6~7、13~14、19~20について 本件特許発明2は、甲1公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)の対象となっていない訂正前の請求項2に係る発明と同一である。 本件特許発明3は、甲1公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)の対象となっていない訂正前の請求項3に係る発明と同一である。 そして、本件特許発明6~7、13~14、19~20に係る発明は、本件特許発明2又は本件特許発明3の構成を全て具備し、これに限定を加えたものであるから、本件特許発明6~7、13~14、19~20に係る発明は、当審において通知された甲1公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)を解消していることは明らかである。 してみると、本件特許の請求項6~7、13~14、19~20に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。 2 甲3公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)について (1) 本件特許発明1について 本件訂正請求により、甲3公然実施発明に基づく取消理由2(新規性、公然実施)の対象となっていた請求項1が削除され、存在しないものとなった。 (2) 本件特許発明4、17~19について 本件特許発明2は、甲3公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)の対象となっていない訂正前の請求項2に係る発明と同一である。 本件特許発明3は、甲3公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)の対象となっていない訂正前の請求項3に係る発明と同一である。 そして、本件特許発明4、17~19に係る発明は、本件特許発明2又は本件特許発明3の構成を全て具備し、これに限定を加えたものであるから、本件特許発明4、17~19に係る発明は、当審において通知された甲3公然実施発明に基づく取消理由2(新規性)を解消していることは明らかである。 してみると、本件特許の請求項4、17~19に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。 3 甲1に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)について (1) 本件特許発明1について 本件訂正請求により、甲1に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)の対象となっていた請求項1が削除され、存在しないものとなった。 (2) 本件特許発明6~7、13~14、19~20について 上記1(2)で述べた理由と同様な理由により、本件特許発明2又は本件特許発明3は、それぞれ、甲1に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)の対象となっていない訂正前の請求項2又は請求項3に係る発明と同一である。 そして、本件特許発明6~7、13~14、19~20に係る発明は、本件特許発明2又は本件特許発明3の構成を全て具備し、これに限定を加えたものであるから、本件特許発明6~7、13~14、19~20に係る発明は、当審において通知された甲1に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)を解消していることは明らかである。 してみると、本件特許の請求項6~7、13~14、19~20に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。 4 甲3に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)について (1) 本件特許発明1について 本件訂正請求により、甲3に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)の対象となっていた請求項1が削除され、存在しないものとなった。 (2) 本件特許発明4、17~19について 上記2(2)で述べた理由と同様な理由により、本件特許発明2又は本件特許発明3は、それぞれ、甲3に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)の対象となっていない訂正前の請求項2又は請求項3に係る発明と同一である。 そして、本件特許発明4、17~19に係る発明は、本件特許発明2又は本件特許発明3の構成を全て具備し、これに限定を加えたものであるから、本件特許発明4、17~19に係る発明は、当審において通知された甲3に記載された発明に基づく取消理由1(新規性)を解消していることは明らかである。 してみると、本件特許の請求項4、17~19に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとはいえない。 第6 取消理由通知において採用されなかった特許異議申立理由について 1 甲6(特表2016-524178号公報)に記載された発明に基づく新規性、進歩性 (1) 申立人の主張 申立人は、特許異議申立書14~18頁の「(f)甲6号証」において、甲6の実施例3の処方物番号8Aに係る重合性組成物8Aを調製して製造されたコンタクトレンズの発明に基づき、「甲6発明」を認定し、 同29~30頁の「(a-3)本件特許発明1と甲6発明との対比」において、 甲6発明に対するn-ヘキサンを用いたソックスレー抽出によって抽出された疎水性浸出可能物の甲6発明の重量に対する重量%は明示されていないが、 甲6発明は、硬化後に脱イオン水を用いた抽出に供されており、本件特許明細書の実験例9及び10を考慮すると、水を用いた抽出後のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに関して、メタノールを用いたソックスレー抽出によって抽出された親水性浸出可能物の重量%が4.5重量%程度である場合、n-ヘキサンを用いたソックスレー抽出によって抽出された疎水性浸出可能物の重量%は3.2重量%未満である蓋然性が高い、または、容易に満たし得る、 また、本件特許明細書の実験例1~13では、硬化後のコンタクトレンズをエタノールと水との混合液、IPAと水との混合液、又は水を用いた抽出に供することで所定の親水性浸出可能物の重量%及び疎水性浸出可能物の重量%を満たすコンタクトレンズを調製しており、 上記抽出に関して、硬化後のコンタクトレンズをIPA等の有機溶媒、水等を用いた抽出に供することは、周知技術である(例えば、甲7(特表2015-507668号公報)、甲8(国際公開第2021/038368号公報)等)、 よって、甲6発明に、水、IPAと水との混合液等を用いた抽出を適用して疎水性浸出可能物の重量%を3.2重量%未満にすることは当業者が容易になし得ることである、 以上のとおり、本件特許発明1は、甲6発明と実質的に同一の発明であるか、甲6発明、又は、甲6発明と周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張する。 また、同31~32頁の「(b)本件特許発明2」及び「(c)本件特許発明3」において、 本件特許発明2及び本件特許発明3は、甲6発明、及び、甲6、甲7の記載に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張する。 (2) 当合議体の判断 ア 本件特許発明1について 本件訂正請求により、請求項1が削除され、申立ての対象が存在しないものとなった。 イ 本件特許発明2について (ア) 対比 本件特許発明2と、甲6の【0079】~【0083】、【表4】、【表5】及び【0064】~【0068】の記載から把握される、甲6の実施例3の処方物番号8Aに係る重合性組成物8Aを調製して製造されたコンタクトレンズの発明(以下「甲6発明」という。)を対比すると、両発明は、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 (相違点6-2-1) 本件特許発明2においては、「該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満であ」るのに対して、甲6発明においては、そのようなものであるかどうか不明である点。 (相違点6-2-2) 本件特許発明2においては、「前記シリコーン含有モノマーが、メタクリル酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル、(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、O-(メタクリロイルオキシエチル)-3-[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメートの少なくとも1つを含む」のに対して、甲6発明においては、そのようなものではない点。 (イ) 判断 相違点6-2-1について検討する。 a 新規性について (a) 光硬化反応により製造され、金型から分離された、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズにおいて、ソックスレー抽出により抽出される親水性侵出可能物あるいは疎水性侵出可能物の(コンタクトレンズの重量に対する)重量%は、(A)抽出溶媒の種類、例えばメタノールあるいはn-ヘキサン等、(B)コンタクトレンズ形成用組成物の組成、重量比、(C)反応率、架橋度、(D)膨潤により金型から分離する際の溶媒、(E)刺激、毒性及び過剰残留等を考慮して、(金型から分離した)半完成品レンズから未反応のモノマー、架橋剤、充填剤、反応程度の低いオリゴマーなどを洗浄、除去する水和工程に用いられる有機溶媒濃度、工程時間、工程温度、工程順序及び水和回数等に大きく依存することは技術常識である(例えば、本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0092】等参照。)。 (b) してみると、甲6発明のコンタクトレンズは、(略100重量%中、)SiO 1(2-プロペン酸、2-メチル-、2-[3-(9-ブチル-1,1,3,3,5,5,7,7,9-デカメチルペンタシロキサン-1-イル)プロポキシ]エチルエステル)28質量%、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)24質量%、NVP(N-ビニルピロリドン)41重量%、EGDMA(エチレングリコールジメタクリレート)0.1質量%、AMA(アリルメタクリレート)0.3質量%(甲6【0080】【表4】(8A))等からなる重合性組成物8Aを調製、重合して製造され、水又は水性溶液に浸漬する「フロートオフ(float-off)」脱レンズ工程により脱レンズされたポリマーレンズを、15分間に渡り、2mLの脱イオン水を含む別々のコンタクトレンズブリスター容器内に入れて、該レンズ本体を抽出し、洗浄し、且つ水和させ(同【0065】)、抽出溶媒としてメタノール用いてソックスレー抽出を行って求めた「湿式抽出可能物」(同【0068】)の重量%が4.45±0.30重量%(同【0082】【表5】(8A))となるものであるところ、上記(a)で述べたとおりであるから、このように硬化後のコンタクトレンズを、15分間に渡り脱イオン水を用いた抽出、洗浄及び水和に供されているからといって、甲6発明のコンタクトレンズが、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満である蓋然性が高いといえる根拠(技術常識)はない。 また、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの組成及びその抽出、水和工程において、甲6発明と大きく異なる実施サンプル1~13の抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合に抽出された疎水性浸出可能物の重量%の値が、甲6発明における疎水性浸出可能物の重量%が「3.2%未満」であると推認するに足りる証拠はない。 してみると、相違点6-2-1は、実質的な相違点である。 b 進歩性 (a) 甲6には、シリコーンヒドロゲルレンズの抽出処理により、未反応のモノマーを抽出すること、抽出処理を、有機溶媒を含まない抽出溶液を用いて行なうこと、あるいは、親水性、毒性及び抽出前のポリマーレンズ本体内に存在する未反応モノマーの量に依存して、アルコール等の有機溶媒を含む抽出溶媒を用いて行うこと(甲6【0015】、【0057】)は記載されているものの、n-ヘキサンを抽出溶媒とするソックスレー抽出により抽出される疎水性侵出可能物に着目し、n-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合に抽出された疎水性浸出可能物のコンタクトレンズの重量に対する重量%を3.2未満とすることは記載も示唆もされていない。 (b) また、甲7の【0161】及び【0165】に、成形型から取り外したシリコーンヒドロゲルレンズを、脱イオン水や、50/50あるいは70/30のイソプロパノール/水で抽出すること、甲8の44頁10~13行及び59頁下から8行~4行に、アルコールなどの有機溶媒、あるいは水溶液によりレンズから未反応成分を除去すること、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを、30分間新たな70%IPAに2回、15分間新たな脱イオン水に2回浸漬することが記載されているように、硬化後のコンタクトレンズをIPA等の有機溶媒、水等を用いた抽出に供することは優先日当時の周知技術であるとしても、甲7、甲8あるいは甲9(国際公開2020/066598号)には、n-ヘキサンを抽出溶媒とするソックスレー抽出により抽出される疎水性侵出可能物に着目し、n-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合に抽出された疎水性浸出可能物のコンタクトレンズの重量に対する重量%を3.2未満とすることは記載も示唆もされていない。 (c) してみると、甲6発明において、相違点6-2-1に係る本件特許発明2の、コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満である構成とする動機付けはない。 c 小括 以上のとおりであるから、相違点6-2-2について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲6発明であるとはいえない。 また、本件特許発明2は、甲6発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいうことはできない。 ウ 本件特許発明3について (ア) 本件特許発明3と、甲6発明を対比すると、両発明は、上記イ(ア)で抽出した相違点6-2-1と同じ点に加えて、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 (相違点6-3-2) 本件特許発明3においては、「前記シリコーン含有モノマーが、モノメタクリルオキシプロピル終端ポリジメチルシロキサン、モノメタクリロキシプロピル末端カルバメートポリジメチルシロキサン、モノ-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端モノ-ブチル末端ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つを含むのに対して、甲6発明においては、そのようなものではない点。 (イ) 判断 相違点6-2-1については、上記イ(イ)で述べたとおりである。 してみると、相違点6-3-2について検討するまでもなく、本件特許発明3は、甲6発明であるとも、甲6発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいうことはできない。 エ 本件特許発明4~21について 本件特許発明4~21は、本件特許発明2又は本件特許発明3の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。 そうすると、上記イ(イ)又はウ(イ)のとおり、本件特許発明2又は本件特許発明3が、甲6発明であるとも、甲6発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない以上、本件特許発明4~12は、甲6発明であるとも、甲6発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 2 甲7に記載された発明に基づく進歩性 (1) 申立人は、特許異議申立書18~21頁の「(g)甲第7号証」において、甲7の実施例1で得られたレンズの発明に基づき、「甲7発明」を認定し、 同30~31頁の「(a-4)本件特許発明1と甲7発明との対比」において、 甲7発明において、「該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行い、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.0%~8.0%であること」及び「該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満であること」が特定されていない点を本件特許発明1との相違点として抽出し、 甲7発明の反応性成分のモノマー組成は、本件特許明細書に記載される実験例のモノマー組成(例えば実験例2のモノマー組成)と類似し、 甲7発明は、硬化後に実験例9及び10と同様に水を用いた抽出に供され、 また、硬化後のコンタクトレンズをIPA等の有機溶媒、水等を用いた抽出に供することは周知技術であるから、 甲7発明に、水、IPAと水との混合液等を用いた抽出を適用して、親水性浸出可能物の重量%が1.0%~8.0%であり、疎水性浸出可能物の重量%が3.2重量%未満であるコンタクトレンズを得ることは、当業者が容易になし得ることである、 以上のように、本件特許発明1は、甲7発明、あるいは、甲7発明と周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張する。 また、同31~32頁の「(b)本件特許発明2」及び「(c)本件特許発明3」において、 本件特許発明2及び本件特許発明3は、甲7発明、及び、甲6、甲7の記載に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである、と主張する。 (2) 当合議体の判断 ア 本件特許発明1について 本件訂正請求により、請求項1が削除され、申立ての対象が存在しないものとなった。 イ 本件特許発明2について (ア) 対比 本件特許発明2と、甲7の【0155】~【0165】の記載から把握される、実施例1(【0161】~【0162】【表5】)で得られたレンズの発明(以下「甲7発明」という。)を対比すると、両発明は、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 (相違点7-2) 本件特許発明2においては、「該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてメタノールを用いてソックスレー抽出を行い、抽出された親水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が1.0%~8.0%であること」、及び、「該コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満であ」るのに対して、甲7発明においては、そのようなものであるかどうか不明である点。 (イ) 判断 相違点7-2について検討する。 a 上記1(2)イ(イ)b(a)及び(b)で述べたとおりであり、硬化後のコンタクトレンズをIPA等の有機溶媒、水等を用いた抽出に供することは優先日当時の周知技術であるとしても、甲6~甲9には、n-ヘキサンを抽出溶媒とするソックスレー抽出により抽出される疎水性侵出可能物に着目し、n-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合に抽出された疎水性浸出可能物のコンタクトレンズの重量に対する重量%を3.2未満とすることは記載も示唆もされていない。 b そうしてみると、甲7発明において、相違点7-2に係る、コンタクトレンズを、抽出溶媒としてn-ヘキサンを用いてソックスレー抽出を行った場合、抽出された疎水性浸出可能物の該コンタクトレンズの重量に対する重量%が3.2%未満である構成とする動機付けはない。 c 小括 以上のとおりであるから、本件特許発明2は、甲7発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいうことはできない。 ウ 本件特許発明3について (ア) 対比 本件特許発明3と、甲7発明を対比すると、両発明は、上記イ(ア)で抽出した相違点7-2と同じ点で相違し、その余の点で一致する。 (イ) 判断 相違点7-2については、上記イ(イ)で述べたとおりである。 してみると、本件特許発明3は、甲7発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるともいうことはできない。 エ 本件特許発明4~21について 本件特許発明4~21は、本件特許発明2又は本件特許発明3の構成を全て具備し、これに限定を加えたものである。 そうすると、上記イ(イ)又はウ(イ)のとおり、本件特許発明2又は本件特許発明3が、甲7発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない以上、本件特許発明4~12は、甲7発明、周知技術及び甲6~甲9に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第7 むすび 本件特許の請求項2~21に係る特許は、いずれも、取消理由通知書に記載した取消しの理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項2~21に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件特許の請求項1に係る特許は、本件訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、本件特許の請求項1に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700832

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