商標取消審判
2024-300554
キック
- 審判番号
- 2024-300554
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-061078
- 登録番号
- 5981952
- 請求日
- 2024年08月08日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社 エム・ディー・エス
- 【被請求人】柿沼 正
- 【被請求人代理人】百武 幸子
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T132 .1 -Y (W28)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5981952号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5981952号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成29年4月18日に登録出願、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,のぼり及び旗(紙製のものを除く)」、第28類「おもちゃ,運動用具」及び第41類「スポーツの興行の企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として、同年9月22日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和6年8月28日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和3年8月28日~令和6年8月27日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第28類「おもちゃ」(以下「請求に係る指定商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、令和6年10月10日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、「乙第1号証」を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 概要
商標権者は、令和5年(2023年)7月23日(日)及び同月24日(月)の2日間、開催されたサッカーフェスティバル「那須JJJサッカー“2023”」において、本件商標をサッカーおもちゃに使用(販売)している。
2 乙各号証について
乙第1号証は、本イベント「那須JJJサッカー“2023”」の開催要項を示し、イベント前に配布されたパンフレットであり、パンフレット(表紙以外)の1ページ目(赤枠で表示)にキョクトウ青木フィールド(栃木県那須塩原市青木101)で開催されることが記載されている。
パンフレット(表紙以外)の2ページ目(赤枠で表示)にサッカー遊びグッズ「KICKセット」(知育サッカー玩具)プレゼントの表示があり、また、3ページ目(赤枠で表示)には本件商標とともにサッカー遊びグッズ「KICKセット」(知育サッカー玩具)が副賞として表示されている。
乙第2号証はイベント前に配布されたチラシの表面であり、乙第3号証は裏面である。
乙第3号証の左下(赤枠で表示)には、副賞(優秀選手)プレゼント「KICKセット」の文字、本件商標及び商標権者の名前が記載されている。
乙第4号証は、イベント当日に配布された開催ガイダンスの表紙であり、乙第5号証はガイダンスの内容である。
乙第5号証の1ページ目(赤枠で表示)に副賞として、「KICKセット」(サッカーおもちゃ)及び商標権者の名前が記載されている。また、4ページ目(赤枠で表示)には商標権者の名前とサッカー遊びグッズ「KICKセット」が価格4,000円(税込)で販売されることが記載されており、販売者は有限会社きっく、商標権者である。なお、商標権者は有限会社きっくの代表である。
乙第6号証は令和5年7月23日に撮影されたサッカー遊びグッズ「KICKセット」が販売されている様子を示す写真であり、写真の右下には、KICKセットとして、本件商標、商標権者の名前や値段が表示されている。
乙第7号証は、令和5年8月10日に作成された「那須JJJサッカー“2023”」サッカーフェスティバルの報告書であり、8ページ目の右下(赤枠で表示)には乙第6号証の写真が掲載され、「KICKセット」の内容、本件商標及び商標権者の名前が掲載されており、また、9ページ目の右下に報告書の作成日が掲載されている。
乙第8号証及び乙第9号証は、乙第1号証から乙第5号証までのチラシ、パンフレットの印刷業者による請求書及び領収書である。
乙第8号証の請求書は令和5年3月30日から4月18日に発行されており、また、乙第9号証の領収書は令和5年3月31日から4月23日に発行されている。
乙第10号証は、令和5年4月7日の下野新聞であり、右上(赤枠で表示)には、7月23日(日)及び同月24日(月)に「那須JJJサッカー“2023”」が開催されることが記載されている。
乙第11号証は、令和5年7月23日に販売した「KICKセット」(知育サッカー玩具)の領収書の一部であり、実際に販売した方から今回の証拠資料用に借りたものである。
乙第12号証及び乙第13号証は、乙第7号証の印刷業者による請求書及び領収書であり、乙第12号証は令和5年9月30日に発行され、乙第13号証は令和5年10月10日に発行されている。
3 商標権者が本件商標を使用していることについて
乙第1号証ないし乙第13号証により、商標権者が本件商標を使用していることを示すため、以下の(1)ないし(6)の要件を満たすことを説明する。
(1)要証期間の使用であること
本件審判請求の登録日は2024年8月28日であり、「那須JJJサッカー“2023”」が開催され商標権者が商標を使用しておもちゃを販売したのは、2023年7月23日(日)及び同月24日(月)であるため、この要件を満たす。
2023年7月23日(日)及び同月24日(月)の開催は、乙第1号証ないし乙第10号証より明らかであり、また、本件商標を使用しておもちゃを販売したことは乙第5号証ないし乙第7号証及び乙第11号証から明らかである。
(2)日本国内における使用であること
乙第1号証等により「那須JJJサッカー“2023”」の会場はキョクトウ青木フィールド(栃木県那須塩原市青木101)であるため、この要件を満たす。
(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによる使用であること
商標権者が使用していることは、例えば乙第5号証ないし乙第7号証から明らかであるため、この要件を満たす。
(4)請求に係る指定商品についての使用であること
請求に係る指定商品は、「おもちゃ」であり、商標権者が「KICKセット」(知育サッカー玩具、サッカーおもちゃ)として販売し、その際に本件商標が使用されていたことは、例えば乙第5号証ないし乙第7号証から明らかであるため、この要件を満たす。
(5)本件商標(社会通念上同一と認められる商標も含む。)の使用であること
商標権者は、本件商標を使用しているため(乙5~乙7から明らかである。)、この要件を満たす。
(6)商標の使用について規定した商標法第2条第3項各号のいずれかの使用であること
事前に配布されたチラシ(乙1、乙3)には、本件商標を使用した知育サッカー玩具は副賞として表示されているが、イベント当日に配布された開催ガイダンス(乙5)には、知育サッカー玩具(おもちゃ)を副賞とするとともに販売もすることが記載されている。
また、実際に販売されていたことは、乙第6号証、乙第7号証及び乙第11号証からも明らかである。
知育サッカー玩具(おもちゃ)には、本件商標が付されているため、商標法第2条第3項第2号「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」の「商品に標章を付したものを譲渡し」に該当するから、この要件を満たす。
4 小括
上記3(1)ないし(6)により、商標権者が本件商標を使用していることは明らかである。
5 参考資料(乙14~乙17)について
なお、日付がないため証拠書類にはならないが、商標権者が令和2年頃から配布している商品カタログ(乙14)、その請求書(乙15)、納品書(乙16)、及び現在は在庫切れのため販売されていないが過去にウェブショップで販売していたページ(乙17)を参考資料として提供する。
パンフレット(乙14)の5ページ目及び7ページ目(赤枠で表示)に本件商標が表示され、8ページ目(赤枠で表示)に商標権者が表示されている。
ウェブショップで販売していたページ(乙17)は、平成29年10月10日から掲載していたが、令和3年4月頃から、KICKセットのボールが価格高騰のため受注を止めており、商品ページをメンテナンス中としていた。
今回、証拠提出のために令和6年10月8日に再度、公開したものである。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第5号証
乙第5号証は、被請求人が、「那須JJJサッカー“2023”」のガイダンスと主張するものであり、1葉目において、箇条書中、「名称」の項に「那須JJJサッカー“2023”」の記載、「開催日」の項に「令和5年7月23日(日)・24日(月)」の記載、「副賞」の項に「・KICKセット (サッカーおもちゃ): (有)きっく 代表 柿沼 正様」の記載がある。
また、本号証の4葉目において、「ガイダンス」についての箇条書中、「8.その他」の項に、「当日、協賛者様ブース、キッチンカー(かき氷、揚げ物、串焼き屋、等)が出店しますのでご利用ください。仮設の道の駅もあります。/(販売物)/サッカー遊びグッズ KICKセット 価格:4,000円(税込)/小さなお子様でも安全に遊べる知育サッカー玩具(おもちゃ)/※観戦スタンド横のKICKショップで販売しています。/※協賛商品(有限会社きっく柿沼正様)につきサービス価格となっています。」の記載がある。
イ 乙第6号証
乙第6号証は、被請求人が、令和5年7月23日に撮影されたサッカー遊びグッズ「KICKセット」が販売されている様子を示す写真と主張するものであり、本件商標と同一視できる図形及び「KICK」の文字が表示されたシート状の部材及びサッカーボール状の球体が写っていることが見て取れ、また、右下に、「2023.07.23」の記載がある。
ウ 乙第7号証
乙第7号証は、表題を「那須JJJ サッカーフェスティバル 2023年度 報告書」とする文書であり、1葉目において、その表題の記載、3葉目において、箇条書中、「名称」の項に「那須JJJサッカー“2023”」の記載、「開催日」の項に「令和5年7月23日(日)・24日(月)」の記載、「会場」の項に「キョクトウ青木フィールド」及び「栃木県那須塩原市青木101」の記載、8葉目において、右下に、「2023.07.23」の記載がないことを除いて乙第6号証と同じ写真が掲載され、その下に、「KICKセット:提供(きっく柿沼正)」の記載、9葉目において、右下に「令和5年8月10日作成」の記載がある。
エ 乙第11号証
乙第11号証は、被請求人が、令和5年7月23日に販売した「KICKセット」(知育サッカー玩具)の領収書の一部と主張するものであり、「領収証」の紙面が2つ提示され、両者は、記入された宛名及び金額が異なる一方、名目を示す「但し」の欄に「KICKセット代として」と記入され、取引の日付を示す欄に「R5年7月23日」と記入されている点、及び右下に、発行者を示す「有限会社きっく」の文字が、商標権者の住所と一致する栃木県内の住所とともに印字されている点においては共通している。
(2)上記(1)アないしエによれば、次の事実を認めることができる。
ア 2023年7月23日及び同月24日に、栃木県内において、「那須JJJサッカー“2023”」と称するイベント(以下「本件イベント」という。)が開催された(乙5、乙7)。
イ 本件イベントにおいては、「サッカー玩具」である「KICKセット」と称する商品(以下「使用商品」という。)が販売された(乙5、乙7)。
ウ 使用商品には、本件商標と同一視できる図形及び「KICK」の文字(以下「使用商標」という。)が表示されたシート状の部材が含まれており、本件イベントの報告書において、その写真が掲載された(乙6、乙7)。
エ 有限会社きっく(以下「きっく社」という。)は、2023年7月23日に、使用商品を販売し、購入者に領収書を発行した(乙11)。
この日付は上記アの本件イベントの開催期間中であることから、当該領収書は、上記イの本件イベントにおける使用商品の販売について発行されたものと認められる。
オ 乙第5号証に、商標権者と氏名が一致する人物について、きっく社の代表であることを示す記載があり、かつ、上記(1)エのとおり、きっく社の住所が商標権者の住所と一致しているから、商標権者はきっく社の代表であることが認められ、本件イベントにおける使用商品に関する乙各号証の内容(乙5、乙7等)からすれば、両者の間には業務上密接な関係があるといえるから、商標権者はきっく社に対して本件商標の黙示の使用許諾を与えていたものと推認できる。
よって、きっく社は、本件商標の通常使用権者であると認められる。
カ 以上から、本件商標の通常使用権者であるきっく社は、2023年7月23日に、本件商標と同一視できる図形及び「KICK」の文字が表示された使用商品「サッカー玩具」を日本国内で販売したことが認められる。
2 判断
上記1(2)カの行為について、使用商標の使用者は本件商標の通常使用権者であり、使用時期は要証期間であり、使用商標は本件商標と同一(社会通念上同一と認められる商標を含む。以下同じ。)の商標であり、使用商品「サッカー玩具」は、第28類「おもちゃ」に該当する商品であると判断でき、当該行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品に標章を付したものを譲渡する行為に該当する。
したがって、本件商標の通常使用権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品である第28類「おもちゃ」に該当する商品に、本件商標と同一の商標を付して譲渡する、商標法第2条第3項第2号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品に該当する商品について、本件商標と同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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