特許拒絶査定不服審判
2024-014931
医用情報処理装置および医用情報処理方法
- 審判番号
- 2024-014931
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-143092
- 請求日
- 2024年09月18日
- 審決日
- 2025年07月08日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人志賀国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .574-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第4号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-143092「医用情報処理装置および医用情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年10月20日出願公開、特開2023-155505〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年12月17日(優先日:平成30年12月25日)に出願した特願2019-227602号の一部を令和5年9月4日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 5年 9月 4日 上申書の提出
令和 6年 3月21日付け 拒絶理由通知書
同年 5月22日 意見書・手続補正書の提出
同年 6月 7日付け 拒絶査定
同年 9月18日 審判請求書・手続補正書の提出
令和 7年 3月11日 上申書の提出
以下では、令和6年6月7日付け拒絶査定を「原査定」という。
第2 令和6年9月18日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)について
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された
(下線部は、補正箇所である。また、各構成単位冒頭の「A」などは便宜のため当審にて付した分説番号であり、以下、各構成単位について該分説番号を用いて「構成A」などということがある。引用発明についても同様である。)。
「【請求項1】
A 複数の受信コイルの各々により収集される磁気共鳴信号に対応する複数のデータに含まれるノイズをそれぞれ除去または軽減する除去部と、
B 前記除去部によりノイズが除去または軽減された前記複数のデータを合成する合成部と、
を備え、
C 前記除去部は、磁気共鳴信号に対応するデータが入力されたときに前記磁気共鳴信号に対応するデータからノイズが除去または軽減されたデータを出力するように学習されたモデルに基づいて、前記磁気共鳴信号に対応する複数のデータからそれぞれノイズを除去または軽減する、
D 医用情報処理装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和6年5月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
複数の受信コイルの各々により収集される磁気共鳴信号に対応する複数の磁気共鳴データに含まれるノイズをそれぞれ除去または軽減する除去部と、
前記除去部によりノイズが除去または軽減された前記複数の磁気共鳴データを合成する合成部と、
を備え、
前記除去部は、磁気共鳴信号に対応する磁気共鳴データが入力されたときに前記磁気共鳴データからノイズが除去または軽減されたデータを出力するように学習されたモデルに基づいて、前記磁気共鳴信号に対応する複数の磁気共鳴データからそれぞれノイズを除去または軽減する、
医用情報処理装置。」
2 本件補正の適否
上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「磁気共鳴信号に対応する複数の磁気共鳴データ」について、「磁気共鳴信号に対応する複数のデータ」とするとともに、それに合わせて、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である他の複数箇所の「磁気共鳴データ」を「データ」とし、さらに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記磁気共鳴データからノイズが除去または軽減されたデータを出力する」を、「前記磁気共鳴信号に対応するデータからノイズが除去または軽減されたデータを出力する」としたものである。
そして、上記補正は、令和6年6月7日付けの拒絶査定の「<付記>」において、「請求項1-10に記載される「磁気共鳴データ」の意味が明確ではない(「磁気共鳴(MR)画像」のことであるのか、それとも、「k空間データ」のことであるのか定かではない。・・・)」とされたことに対応したものであって、明りょうでない記載であるとされた「磁気共鳴データ」を明りょうな記載とするためにしたものであるから、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。
したがって、請求項1に係る本件補正は適法になされたものである。
第3 本願発明
上記第2のとおり、請求項1に係る本件補正は適法になされたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記第2の1(1)に記載されたとおりである。
第4 原査定の拒絶の理由
原査定において、本願は令和6年3月21日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって拒絶をすべきものであるとしたところ、理由1は、以下の理由を含むものである。
1.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平9-511号公報
2.米国特許出願公開第2018/0018757号明細書
第5 引用文献の記載等
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された特開平9-511号公報(以下「引用文献1」という。)には次の記載がある(下線は当審において付与した。以下同様。)。
ア 「【請求項1】 静磁場および傾斜磁場パルスを印加する手段と、該磁場中に置かれた被検体に対してRFパルスを照射するRF送信手段と、被検体に近接して配置された複数個のサーフェスコイルを介して被検体からの磁気共鳴信号を受信してデータを得る受信手段と、上記サーフェスコイルの各々から得たデータを用いて画像再構成を行ないそれぞれの画像を得る画像再構成手段と、得られた複数の画像の各々をフィルタ処理することによりそれぞれの重み分布を求める重み分布算出手段と、該重み分布を用いて、上記の複数の画像のデータを、同一位置ごとに重み付け加算することにより一つの画像を合成する画像合成手段とを備えることを特徴とするMRイメージング装置。
【請求項2】 上記の画像再構成手段により各サーフェスコイルごとに得たそれぞれの画像を、対応する重み分布に応じて平滑化の程度を変えながら平滑化処理することによりノイズ除去する手段をさらに備え、上記の画像合成手段はこの平滑化処理後の各々の画像を合成するものであることを特徴とする請求項1記載のMRイメージング装置。」
イ 「【0002】
【従来の技術】従来より、MRイメージング装置において、複数のサーフェスコイルを用い、これらによって磁気共鳴データをそれぞれ収集し、これらからそれぞれ再構成した複数の画像を合成して一つの画像を得ることが知られている。これによると、1個の一様コイルを用いた場合よりも高S/Nの、また1個のサーフェスコイルしか用いない場合よりも広い領域の一つの画像が得られる。
【0003】ところで、この画像合成方法に関しては、たとえば特表平2-500175号公報では、それぞれのサーフェスコイルが発生する高周波磁場分布に基づいて決定した重み分布を用いることにより、それぞれの画像の同一位置の画素ごとに重み付け加算を行なうようにしている。
・・・
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の公知技術では、重み分布を求めるためにあらかじめ各々のサーフェスコイルが発生する高周波磁場分布を求めておく必要があり、余分な時間を必要とするという問題がある。また、合成後の画像の濃度の不均一性を補正すると、たとえば被検体が存在しない空間でかついずれのサーフェスコイルからも遠い位置にある領域などでは、サーフェスコイルからの位置に依存しない白色雑音が強調されてしまい、被検体の画像と白色雑音とが混在した見づらい画像となってしまう問題もある。
【0006】この発明は、上記に鑑み、各々のサーフェスコイルによって得られたデータから再構成されたそれぞれの画像データ自体から簡便な計算により重み分布を求めることによって、重み分布を求めるために余分な撮像時間等がかかることをないよう改善した、MRイメージング装置を提供することを目的とする。」
ウ 「【0010】
【作用】サーフェスコイルごとに再構成された複数の画像を重み付け加算することによって合成する際に用いる重み分布は、それらの画像ごとに、画像のフィルタ処理を行なうことにより、求められる。そして、こうして求められた重み分布は各サーフェスコイルの高周波磁場分布に実質的に良好に対応したものとなる。したがって、別個に撮像シーケンスを行なう必要なしに、これを行なって得たと実用上同等の重み分布を得ることができる。さらに、このフィルタ処理は簡単な計算で高速に行なうことができるため、合成画像を得るまでの時間を短縮することができる。」
エ 「【0012】
【実施例】以下、この発明の好ましい一実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、被検体10は静磁場マグネット11により発生させられる静磁場中に配置される。傾斜磁場発生用コイル12には、駆動装置21からパルス状の励磁用電流が供給され、直交3軸の各々の方向の傾斜磁場がパルス状に発生する。この傾斜磁場発生用コイル12より発生させられる傾斜磁場パルスが、上記被検体10が配置される空間において上記の静磁場に重畳させられる。被検体10には複数のサーフェスコイル13が、被検体10に近接するように配置される。このサーフェスコイル13は、この実施例では被検体10に対してRF信号(ラジオ周波数電波)をパルス状に照射するとともに、被検体10から発生した磁気共鳴信号(ラジオ波)を受信するアンテナとして機能する。
・・・
【0019】画像再構成装置33では、サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像を、その画像の各々につき求めた重み分布を用いて重み付け加算することにより合成する。すなわち、それらの画像の同一位置の画素データに、それぞれの重み分布の対応する位置の重みをそれぞれ乗算した後加算することにより、それら複数画像を合成して1つの画像を得る。この重み分布は上記の通りに求めた2次元データであって、もとのそれぞれの画像の大局的な画素値分布であり、各サーフェスコイル13の高周波磁場分布とほぼ比例している。そのため、この2次元データを画像再構成装置33における重み付け加算に用いることにより、別途実測した各サーフェスコイル13の高周波磁場分布を重み分布として用いる場合と実用的にはまったく同じ結果を得ることができる。」
オ 「【0020】図3は、第2の実施例の一部を示すものである。この実施例では、画像ノイズ除去装置34が加えられており、画像合成する前にもとの画像のノイズを除去する処理が行なわれる。他の構成は図1と同じである。すなわち、画像再構成装置31によってサーフェスコイル13の各々ごとに画像が得られると、重み分布算出装置32によって、その各画像ごとに重み分布が算出される点は図1と同じになっている。サーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像は、画像合成装置33に送られる前に、画像ノイズ除去装置34に送られて処理される。この処理は、画像の平滑化(スムージング)処理であるが、画素ごとに程度の異なるものとされる。各画素の位置におけるサーフェスコイル13の感度に応じて、感度が小さければ小さいほど平滑化の程度が大きくなるようにする。」
上記ア~オの記載事項から、以下、カ、キの事項が導かれる。
カ 段落【0020】には、「図3は、第2の実施例の一部を示すものである。この実施例では、画像ノイズ除去装置34が加えられており、画像合成する前にもとの画像のノイズを除去する処理が行なわれる。他の構成は図1と同じである。」と記載されている。
そして、段落【0012】~【0019】には、「以下、この発明の好ましい一実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、・・・」と記載されているから、引用文献1には、段落【0020】に記載の実施態様として、「画像ノイズ除去装置34」以外の部分については、段落【0012】~【0019】に記載の態様となったものが記載されているといえる。
キ 段落【0019】には、「画像再構成装置33では、サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像を、その画像の各々につき求めた重み分布を用いて重み付け加算することにより合成する。」と記載されており、段落【0020】には、「サーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像は、画像合成装置33に送られる前に、画像ノイズ除去装置34に送られて処理される。」と記載されている。そして、上記の両記載において、同じ符号「33」が付された「画像再構成装置33」と「画像合成装置33」とが同じ装置を意味することは明らかである。よって、下記(2)の引用文献1に記載された発明の認定においては、「画像再構成装置33」と「画像合成装置33」とを、「画像合成装置33」に統一して特定することとする。
(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)ア~オの記載事項及びカの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「a 画像合成装置33に送られる前に、被検体10から発生した磁気共鳴信号(ラジオ波)を受信するアンテナとして機能するサーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像を平滑化(スムージング)処理する画像ノイズ除去装置34と、(段落【0012】、【0020】、認定事項カ)
b サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像を合成して1つの画像を得る画像合成装置33と、を備える、(段落【0019】、認定事項カ、キ)
d MRイメージング装置。(【請求項2】)」
2 周知技術を示す文献
(1)引用文献2
原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す文献である引用文献2として引用された米国特許出願公開第2018/0018757号明細書(以下「引用文献2」という。)には次の記載がある。また、原文の摘記の後に当審訳を示す。
ア 「[0061] The present technique and system use a machine-learning model with an input local window and an output smaller local window (preferably a single pixel).・・・A preferred application example is transforming low dose x-ray projection images (e.g., sinograms) into high-dose-like (simulated high-dose) x-ray projection images (e.g., sinograms).・・・We expect that the reconstructed tomographic images are similar to high-dose computed tomographic images, or simulated high-dose computed tomographic images, where noise or artifacts are substantially reduced.」
([0061] 本発明の技術及びシステムは、入力ローカルウィンドウとより小さい出力ローカルウィンドウ(好ましくは1画素)を備えた機械学習モデルを使用する。・・・好ましい適用例では、低線量X線投影画像(例えば、サイノグラム)を高線量(シミュレートされた高線量)X線投影画像(例えば、サイノグラム)に変換される。・・・再構成された断層画像は、ノイズまたはアーチファクトが実質的に低減された高線量コンピュータ断層撮影画像、または、シミュレートされた高線量コンピュータ断層画像に類似するものと期待されます。)
イ 「[0083]In preferred examples, this present technique in this invention transforms lower-quality (raw) projection data (signals/images/volumes) (e.g., sinograms) into higher-quality (raw) projection data (signals/images/volumes) (e.g., sinograms), including but not limited to transforming lower-dose raw projection images with much noise and more artifacts into higher-dose-like raw projection images with less noise or artifacts. The transformed higher-dose-like raw projection images are subject to a reconstruction algorithm such as filtered back-projection, inverse Radon transform, iterative reconstruction (IR), or algebraic reconstruction technique (ART). The reconstruction algorithm reconstructs tomographic images from the output high-dose-like x-ray projection images.」
([0083]好ましい実施例において、本発明のこの技術は、より低い品質の(生の)投影データ(シグナル/画像/ボリューム)(例えば、シノグラム)を変換して、高品質の(生の)投影データ(シグナル/画像/ボリューム)(例えば、シノグラム)に変換し、それは多くのノイズと多くのアーティファクトを含む低線量の生の投影画像を、よりノイズやアーティファクトが少ない高線量のような生の投影画像に変換することを含むが、これに限定されない。変換された高線量のような生の投影画像は、フィルタ補正逆投影、逆ラドン変換、反復再構成(IR)、又は代数的再構成法(ART)などの再構成アルゴリズムの対象となる。再構成アルゴリズムは、出力された高線量のようなX線投影画像から断層画像を再構成する。)
ウ 「[0124] FIG. 11 illustrates an exemplary block diagram of a system that trains the machine learning-based transformation or using a trained machine learning model in the form of a computer. In the reconstruction step, projection data acquisition module 1000 which acquires projection data by rotating a source (such as x-ray source) or an object (such as a patient) provides lower image quality input projection images, such as projection images taken at a lower radiation dose than the standard radiation dose. Projection data acquisition module 1000 can be a medical, industrial, security, and military x-ray computed tomography (CT) system, a limited angle x-ray tomography system such as a tomosynthesis, a positron emission tomography (PET) system, a single photon emission computed tomography (SPECT) system, a magnetic resonance imaging (MRI) system, an ultrasound (US) imaging system, an optical coherent tomography system, or their combination. Machine learning model calculation module 1001 is programmed and configured to apply the processes described above to convert input projection images into output projection images that have higher image quality, and supplies the output projection images to tomographic reconstruction module 1002. ・・・」
([0124] 図11は、機械学習ベースの変換を学習すること、または学習された機械学習モデルをコンピュータの形態で用いることについてのシステムの例示的なブロック図を示す。再構成の工程において、ソース(例えばX線源)または対象物(例えば患者)を回転させて投影データを取得する投影データ取得モジュール1000は、標準の放射線量よりも低線量で撮影された投影画像のような、低い画質の入力投影画像を提供する。投影データ取得モジュール1000は、医療用、工業用、セキュリティ用、および軍事用のX線コンピュータトモグラフィ(CT)システム、トモシンセシスのような限定角度X線断層撮影システム、陽電子放出断層写真法(PET)システム、単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、超音波(US)画像化システム、光干渉断層撮影システム、またはこれらの組み合わせであることができる。機械学習モデル計算モジュール1001は、上述した処理を適用し、入力された投影画像をより高い画質を有する出力投写画像に変換するようにプログラム及び構成される。・・・)
(2)引用文献3
この審決において新たに引用する国際公開第2018/210978号(以下「引用文献3」という。)には次の記載がある。また、原文の摘記の後に、引用文献3に係る国際出願の公表特許公報である特表2020―521262号公報に基づく当審訳を示す。
ア 「It would be advantageous to provide an improved method to reduce noise of images obtained via a measurement technique.
To address this concern, an aspect of the invention provides a method of training a neural network for reducing noise in an image, comprising
obtaining a plurality of input images from an imaging device;
identifying subsets of the input images, wherein each input image of a subset of input images depicts a same object as the other input images of that subset;
generating a plurality of target images, wherein a target image is generated by combining the input images of one of the subsets, to reduce a noise;
generating a plurality of training pairs, wherein a training pair comprises
one of the target images, and
a training image based on at least one but not all of the input images of the subset corresponding to said one of the target images; and
training a neural network using the plurality of training pairs.
The neural network thus trained is capable to reduce the noise, because it can map a noisy image to a corresponding noise-reduced image. Because the neural network is trained using the training images that are based on images actually created by the imaging device and target images that are noise-reduced versions thereof, the neural network can learn the particularities of the imaging device and the noise it generates and remove the detected noise accordingly. When using the techniques disclosed herein, it is not necessary establish the details (such as a standard deviation) of the generated noise beforehand, because the training images inherently represent the relevant noise.」(第2頁第10~32行)
(測定技術を用いて得られた画像のノイズを低減するための改善された方法を提供することが有利であろう。
この課題に対処するために、本発明の一態様は、画像中のノイズを低減するためのニューラルネットワークをトレーニングする方法を提供する。この方法は、
複数の入力画像を撮像装置から取得するステップと、
前記入力画像のサブセットを識別するステップと、を含み、入力画像のサブセットの各入力画像が、当該サブセットのその他の入力画像と同一の対象物を表す。前記方法は、さらに、
複数のターゲット画像を生成するステップを含み、1つのターゲット画像が、前記サブセットのうちの1つのサブセットの前記入力画像を、ノイズを低減するように組み合わせることにより生成される。前記方法は、さらに、
複数のトレーニングペアを生成するステップを含み、1つのトレーニングペアが、
前記ターゲット画像のうちの1つと、
トレーニング画像と、を含み、当該トレーニング画像は、前記ターゲット画像のうちの前記1つに対応する前記サブセットの前記入力画像の全てにではないが少なくとも1つに基づいている。前記方法は、さらに、
前記複数のトレーニングペアを用いてニューラルネットワークをトレーニングするステップを含む。
このようにしてトレーニングされた前記ニューラルネットワークは、ノイズが多い画像(ノイジー画像)を、対応する、ノイズが低減された画像(ノイズ低減画像)にマッピングできるため、ノイズを低減できる。前記ニューラルネットワークは、トレーニング画像(撮像装置により実際に作成された画像と、それらのノイズ低減バージョンであるターゲット画像と、に基づいている)を使用してトレーニングされるため、前記ニューラルネットワークは、撮像装置の特性と、撮像装置が発生するノイズを学習でき、それに応じて、検出されたノイズを除去できる。本明細書に開示する技術を使用する場合、発生するノイズの詳細(例えば、標準偏差など)を事前に確立しておく必要はない。なぜなら、トレーニング画像自体が、関連するノイズを表すからである。)
イ 「Flexibility. Given an appropriate dataset, this approach can be used to denoise any kind of biological tissue (e.g. retina, cornea, skin, brain tissue, teeth, arteries/vessels or the colon) or non-biological samples (e.g. paint, metal structures, semi-conductors). Indeed, this technique can be applied not only to OCT but to any imaging modality that suffers from speckle noise (e.g. X-rays, computed tomography (CT), magnetic resonance imaging (MRI), ultrasound, or fluorescent/autofluorescent images).」(第11頁第29~35行)
(融通性。この方法は、適切なデータセットがあれば、あらゆる種類の生物学的組織(例えば、網膜、角膜、皮膚、脳組織、歯、動脈/血管若しくは結腸)又は非生物学的サンプル(例えば、塗料、金属構造物、半導体)をノイズ除去するために使用され得る。実際、この技術は、OCTにだけでなく、スペックルノイズを被るあらゆる撮像モダリティ(例えば、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)、超音波、若しくは、蛍光/自家蛍光画像)に適用され得る。)
(3)引用文献4
この審決において新たに引用する国際公開第2017/223560号(以下「引用文献4」という。)には次の記載がある。また、原文の摘記の後に当審訳を示す。
ア 「Embodiments of the subject invention provide image reconstruction systems and methods using deep learning or machine learning. A deep learning algorithm (e.g., performed by a deep neural network) can be used to obtain a reconstructed image from raw data (e.g., features) obtained with medical imaging (e.g., CT, MRI, X-ray). In a specific embodiment, a conventional (i.e., non-deep-learning) reconstruction algorithm can be used on the raw imaging data to obtain an initial reconstructed image, which would contain articfacts due to low dose, physical model approximation, and/or beam-hardening. Then, a deep learning algorithm (e.g., performed by a deep neural network) can be used on the initial reconstructed image to obtain a high-quality reconstructed image. In many embodiments, a training data set and/or set of final images can be provided to a deep network to train the network for the deep learning step so that a function model is established to describe the relation between low-quality input images and high-quality output images.」(第6頁第7~19行)
(本発明の実施形態は、深層学習または機械学習を使用する画像再構成システムおよび方法を提供する。深層学習アルゴリズム(例えば、深層ニューラルネットワークによって実行される)を、医用画像(例えば、CT、MRI、X線)を用いて得られた生データ(例えば、特徴)から再構成画像を得るのに用いることができる。特定の実施形態では、従来の(すなわち、非深層学習)再構成アルゴリズムを生の撮像データに使用して、低線量に起因するアーティファクト、物理モデル近似、および/またはビームハードニングを含む初期再構成画像を得ることができる。次いで、(たとえば、深層ニューラルネットワークによって実行される)深層学習アルゴリズムが、高品質再構成画像を取得するために初期再構成画像に対して使用され得る。多くの実施形態では、訓練データセットおよび/または最終画像のセットは、関数モデルが、低品質入力画像と高品質出力画像との間の関係を記述するように確立されるように、深層学習ステップのためにネットワークを訓練するために、深層ネットワークに提供されることができる。)
イ 「Another image reconstruction demonstration with deep learning was performed to demonstrate the potential of deep learning with MGH Radiology chest CT datasets. These datasets were acquired in low dose levels. They were reconstructed using three reconstruction techniques: filtered back-projection (FBP), adaptive statistical iterative reconstruction (ASIR), and model-based iterative reconstruction (MBIR). These were all implemented on commercial CT scanners. The same deep learning procedure was followed as in Examples 1 and 2, and the FBP image was used as input. The MBIR image was taken as the gold standard for neural network training. For comparison, image de-noising was performed on the FBP image using the block matching and 3D filtering (BM3D) method and the deep neural network method according to an embodiment of the subject invention. Figure 10 shows the image de-noising effect of deep learning, as compared to the MBIR counterpart. In Figure 10, the top-left portion is the representation of the data block, and the top-right image shows the FBP image. The bottom-left image shows the reconstructed image using BM3D, the bottom-middle image shows the reconstructed image using MBIR, and the bottom-right image shows the reconstructed image using deep learning (e.g., via a convolutional neural network (CNN)).」(第26頁第7~22行)
(MGH放射線胸部CTデータセットを用いた深層学習の可能性を示すために、深層学習を用いた別の画像再構成の実証を行った。これらのデータセットは、低用量レベルで取得した。それらは、フィルタ補正逆投影(FBP)、適応統計的反復再構成(ASIR)、及びモデルベースの反復再構成(MBIR)の3つの再構成技術を用いて再構成された。これらは全て市販のCTスキャナで実施された。実施例1および2と同じ深層学習手順に従い、FBP画像を入力として使用した。MBIR画像は、ニューラルネットワークのゴールドスタンダードとした。比較のために、本発明の一実施形態によるブロックマッチング及び3Dフィルタリング(BM3D)法並びにディープニューラルネットワーク法を用いて、FBP画像に対して画像ノイズ除去を行った。図10は、MBIR対応物と比較した、深層学習の画像ノイズ除去効果を示す。図10において、左上の部分はデータブロックの表現であり、右上の画像はFBP画像を示す。左下の画像は、BM3Dを使用して再構成された画像を示し、中央下の画像は、MBIRを使用して再構成された画像を示し、右下の画像は、深層学習を使用して(たとえば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を介して)再構成された画像を示す。)
(4)周知技術
上記(1)~(3)の記載事項に例示されるように、以下の技術的事項は、本願優先日前における周知技術であると認められる(以下の技術的事項を、以下「周知技術1」という。)。
「医用画像からノイズを除去または軽減する装置において、
医用画像が入力されたときに、医用画像からノイズが除去または軽減された画像を出力するように学習されたモデルに基づいて、医用画像からノイズを除去または軽減するようにすること。」
第6 対比、判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)構成Aについて
ア 引用発明の「被検体10から発生した磁気共鳴信号(ラジオ波)を受信するアンテナとして機能するサーフェスコイル13」は、本願発明の「磁気共鳴信号」を「収集」する「受信コイル」に相当する。また、引用発明において、「サーフェスコイル13」は、「画像」が「各々ごとに得られ」るものであるから、複数あることは、明らかである。
引用発明において、「サーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像」は、「サーフェスコイル13」が「受信」した「被検体10から発生した磁気共鳴信号(ラジオ波)」に対応して生成されたものであることは明らかであるから、本願発明の「複数の受信コイルの各々により収集される磁気共鳴信号に対応する複数のデータ」に相当する。
引用発明において、「画像ノイズ除去装置34」は、「画像」の「ノイズ」を「除去」するための「装置」であるといえる。そうすると、「画像ノイズ除去装置34」が「サーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像を平滑化(スムージング)処理する」際には、「サーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像」に含まれるノイズが除去または軽減されることは、明らかである。よって、引用発明において、「サーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像を平滑化(スムージング)処理する」こと、及び「画像ノイズ除去装置34」は、本願発明において、「磁気共鳴信号に対応する複数のデータに含まれるノイズをそれぞれ除去または軽減する」こと、及び「除去部」に相当する。
よって、引用発明の「画像合成装置33に送られる前に、被検体10から発生した磁気共鳴信号(ラジオ波)を受信するアンテナとして機能するサーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像を平滑化(スムージング)処理する画像ノイズ除去装置34」は、本願発明の「複数の受信コイルの各々により収集される磁気共鳴信号に対応する複数のデータに含まれるノイズをそれぞれ除去または軽減する除去部」に相当する。
(2)構成Bについて
引用発明において、「画像ノイズ除去装置34」は、「画像合成装置33に送られる前に、被検体10から発生した磁気共鳴信号(ラジオ波)を受信するアンテナとして機能するサーフェスコイル13の各々ごとに得られた画像を平滑化(スムージング)処理する」(構成a)から、引用発明において、「画像合成装置33」が合成する「サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像」が、「画像ノイズ除去装置34」により「平滑化(スムージング)処理」された後の画像であることは、明らかである。よって、引用発明の「サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像」は、本願発明の「前記除去部によりノイズが除去または軽減された前記複数のデータ」に相当する。
引用発明において、「複数の画像を合成して1つの画像を得る」こと、及び「画像合成装置33」は、それぞれ、本願発明の「複数のデータを合成する」こと、及び「合成部」に相当する。
よって、引用発明において、「サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像を合成して1つの画像を得る画像合成装置33と、を備える」ことは、本願発明において、「前記除去部によりノイズが除去または軽減された前記複数のデータを合成する合成部と、を備え」ることに相当する。
(3)構成Dについて
引用発明の「MRイメージング装置」は、本願発明の「医用情報処理装置」に相当する。
2 一致点、相違点
上記1のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、下記(1)の点で一致し、下記(2)の点で相違する。
(1)一致点
「A 複数の受信コイルの各々により収集される磁気共鳴信号に対応する複数のデータに含まれるノイズをそれぞれ除去または軽減する除去部と、
B 前記除去部によりノイズが除去または軽減された前記複数のデータを合成する合成部と、
を備える、
D 医用情報処理装置。」
(2)相違点1(構成C)
「除去部」に関して、「前記磁気共鳴信号に対応する複数のデータからそれぞれノイズを除去または軽減」するのを、本願発明は「磁気共鳴信号に対応するデータが入力されたときに前記磁気共鳴信号に対応するデータからノイズが除去または軽減されたデータを出力するように学習されたモデルに基づいて」行うと特定されているのに対し、引用発明の「画像ノイズ除去装置34」は、「平滑化(スムージング)処理」により行うものであって、「磁気共鳴信号に対応するデータが入力されたときに前記磁気共鳴信号に対応するデータからノイズが除去または軽減されたデータを出力するように学習されたモデルに基づいて」行うものではない点。
3 相違点について
相違点1について検討する。
(1)上記第5の2で示した通り、次の事項は周知技術である。
「医用画像からノイズを除去または軽減する装置において、
医用画像が入力されたときに、医用画像からノイズが除去または軽減された画像を出力するように学習されたモデルに基づいて、医用画像からノイズを除去または軽減するようにすること。」(周知技術1)
(2)引用発明と上記周知技術1とは、医用画像からノイズを除去または軽減する装置である点で、共通する技術分野に属するものである。
また、引用発明において、ノイズの除去または軽減の精度を高めることは、当然有する課題である。そして、当該課題を解決するために、引用発明において、「画像ノイズ除去装置34」における処理について、「平滑化(スムージング)処理」を行う構成に代えて上記周知技術1を採用し、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
4 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書において、
「引用文献1は、「各々のサーフェスコイルによって得られたデータから再構成されたそれぞれの画像データ自体から簡便な計算により重み分布を求めることによって、重み分布を求めるために余分な撮像時間等がかかることをないよう改善」することを目的とし(段落[0006])、その効果として「フィルタ処理は簡単な計算で高速に行なうことができるため、合成画像を得るまでの時間を短縮することができる」ことが記載されております(段落[0010])。
このことから、引用文献1では、処理に時間を要する機械学習モデルを用いたデノイズ処理を意図していないことは明らかであり、処理を高速化できるがゆえに、合成画像を生成する前にノイズ除去処理を入れることができているに過ぎないと思料致します。
引用文献2には、機械学習モデルに基づいてノイズを除去する技術が開示されております。しかしながら、当業者は、引用文献1に記載される発明において、その目的(合成画像を得るまでの時間を短縮すること)に相反する、引用文献2に開示された技術(機械学習モデルに基づいてノイズを除去する技術)を採用する動機付けを有し得ないと思料致します。」
と主張しているので検討する。
引用文献1には、「この画像合成方法に関しては、・・・重み分布を用いることにより、それぞれの画像の同一位置の画素ごとに重み付け加算を行なうようにしている。」(段落【0003】)、「上記の公知技術では、重み分布を求めるためにあらかじめ各々のサーフェスコイルが発生する高周波磁場分布を求めておく必要があり、余分な時間を必要とするという問題がある。」(段落【0005】)及び「この発明は、上記に鑑み、各々のサーフェスコイルによって得られたデータから再構成されたそれぞれの画像データ自体から簡便な計算により重み分布を求めることによって、重み分布を求めるために余分な撮像時間等がかかることをないよう改善した」(段落【0006】)と記載されているから、引用発明は、画像合成に用いる重み分布を求めるために余分な時間がかかるとの課題を解決するものであって、ノイズ除去にかかる時間を短縮することを意図したものではないと認められる。
また、段落【0010】には、「サーフェスコイルごとに再構成された複数の画像を重み付け加算することによって合成する際に用いる重み分布は、それらの画像ごとに、画像のフィルタ処理を行なうことにより、求められる。・・・さらに、このフィルタ処理は簡単な計算で高速に行なうことができるため、合成画像を得るまでの時間を短縮することができる。」と記載されているが、当該記載は、重み分布を求める処理を高速に行うことができるようにした結果としての「合成画像を得るまでの時間を短縮することができる」との効果を示すものであって、ノイズの除去または軽減に関する事項ではないし、当該結果としての「合成画像を得るまでの時間を短縮することができる」との記載から、「画像ノイズ除去装置34」がノイズの除去または軽減を行う処理として、「平滑化(スムージング)処理」と比較して時間がかかる処理を選択することの阻害要因になるとはいえない。
そして、引用発明は、「合成画像を得るまでの時間を短縮する」との課題を有すると共に、ノイズの除去または軽減の精度を高めるとの課題も、当然に有するものであるところ、引用発明において、「画像ノイズ除去装置34」においてノイズの除去または軽減を行う処理として、具体的にどのような処理を行うかは、ノイズの除去または軽減の精度と、当該処理にかかる時間を総合的に考慮して、当業者が適宜選択し得るものであるといえる。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
(2)また、請求人は、審判請求書において、
「また、本願発明1は、学習されたモデルを用いたデノイズ処理を、あえて
コイル合成の前に行うことに特徴を有しています。・・・後者の合成画像に適用する手法の場合、デノイズ処理が1回で済むため、当業者であれば、デノイズ処理の時間短縮を考慮して、この後者の手法を選択することは明らかです。・・・ 従いまして、本願出願前に引用文献2のように機械学習モデルを用いたノイズ除去の技術が公知であるからといって、当業者はコイル合成前のノイズを除去する処理に機械学習モデルを適用しないことは明らかであると思料致します。」との主張をしているので、検討する。
引用発明においては、「画像ノイズ除去装置34」が行うノイズを除去または軽減する処理である「平滑化(スムージング)処理」を、「サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像を合成して1つの画像を得る」前に行っているから、請求人が主張する「デノイズ処理を、あえてコイル合成の前に行う」との本願発明1の特徴は、引用発明が既に有している特徴であるといえる。そして、引用発明において、上記周知技術1を適用する際にも、同様に、ノイズを除去または軽減することを「サーフェスコイル13ごとに得た複数の画像を合成して1つの画像を得る」前に行うこととすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
6 令和7年3月11日に提出された上申書について
請求人は、令和7年3月11日に上申書(以下、「上申書2」という。)を提出しているが、当該上申書2においては、本願発明が進歩性を有することについて、具体的な主張はしていない。
また、上申書2には、「審判請求人は、合議体の審理においても拒絶理由が解消しそうにない場合は、拒絶理由を解消できるように請求項の内容を補正することを検討したいと考えております。・・・このため、もし、合議体の審理においても、審査官殿と同様のご判断をされる場合には、是非とも拒絶理由通知を賜り、補正の機会を頂戴できれば幸甚でございます。」と記載されているが、本件補正は明りょうでない記載の釈明を目的とする補正であって、本願発明は、上記第2の1(2)で示した本件補正前の請求項1に係る発明と発明の範囲が実質的に変わるものではなく、本件補正前の請求項1に係る発明については、令和6年6月7日付けの拒絶査定において、令和6年3月21日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものである点を示しているから、審判請求人は、本願発明について補正をする機会が十分にあったものといえる。
そして、上記の通り、本願発明は、令和6年3月21日付け拒絶理由通知書に記載した理由1を解消していないものであるから、拒絶理由を再度通知することが妥当であるとはいえない。
第7 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-014931