特許拒絶査定不服審判
2024-011592
画像復号方法、画像符号化方法及び伝送方法
- 審判番号
- 2024-011592
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-017000
- 請求日
- 2024年07月12日
- 審決日
- 2025年08月08日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エルエックス セミコン カンパニー, リミティド
- 【請求人代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 圓道 浩史
- 分類
- P18 .561-Z (H04N) / P18 .55 -Z (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-17000「画像復号方法、画像符号化方法及び伝送方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年5月24日出願公開、特開2022-78048〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)9月22日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2016年10月4日 大韓民国(KR))を国際出願日とする特願2019-517790号の一部を、令和4年2月7日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月 8日 手続補正書及び上申書の提出
令和5年 4月21日付け 拒絶理由通知書
令和5年 7月21日 手続補正書及び意見書の提出
令和5年 9月21日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和5年12月25日 手続補正書及び意見書の提出
令和6年 3月15日付け 令和5年12月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定
同日付け 拒絶査定
令和6年 7月12日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和6年10月11日付け 前置報告書
第2 令和6年7月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年7月12日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 令和6年7月12日にされた手続補正の内容
(1)本件補正前の請求項1、及び3の記載
令和6年7月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)前の請求項1、及び3の記載は、次に示すとおり、令和5年7月21日にされた手続補正(以下「原審補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1、及び3に記載されたものである。なお、記号「1a」から「3i」は、分説するために当審で付したものであり、記号「1a」から「3i」に対応する発明特定事項を、以下「構成1a」から「構成3i」という。)
〔本件補正前の請求項1〕
「1a 現色差ブロックのイントラ予測モードを導出するステップと、
1b 前記現色差ブロックに関連する輝度ブロックの輝度参照サンプルを導出するステップと、
1c 前記輝度参照サンプルに基づいて、ダウンサンプリングされた輝度参照サンプルを導出するステップと、
1d 前記現色差ブロックの色差参照サンプルを導出するステップと、
1e 前記ダウンサンプリングされた輝度参照サンプル及び前記色差参照サンプルに基づいて、予測パラメータを導出するステップと、
1f 前記予測パラメータに基づいて、予測されたブロックを生成するステップと、
1g を含み、
1c1 位置[x,y]のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、[2x-1,2y]における第1の輝度参照サンプルと、[2x,2y]における第2の輝度参照サンプルと、[2x+1,2y]における第3の輝度参照サンプルと、[2x-1,2y+1]における第4の輝度参照サンプルと、[2x,2y+1]における第5の輝度参照サンプルと、[2x+1,2y+1]における第6の輝度参照サンプルと、を用いて導出される、
1g 画像復号方法。」
〔本件補正前の請求項3〕
「3h 前記輝度ブロックの上側境界が符号化ツリーユニット(CTU)の境界と重なることに基づいて、上側輝度参照サンプルは、1個のサンプル行ラインに位置し、
3c2 前記ダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、左側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプル及び上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルを含み、
3c3 前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、6つの輝度参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、3つの輝度参照サンプルを用いて導出され、
3c4 前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重ならないことに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、6つの輝度参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、6つの輝度参照サンプルを用いて導出される、
3i 請求項1に記載の画像復号方法。」
(2)本件補正後の請求項1の記載
本件補正後の請求項1の記載は、次のとおりであり、下線は補正箇所を示す。なお、記号「1A」から「1H」は、分説するために当審で付したものであり、記号「1A」から「1H」に対応する発明特定事項を、以下「構成1A」から「構成1H」という。
〔本件補正後の請求項1〕
「1A 現色差ブロックのイントラ予測モードを導出するステップであって、前記イントラ予測モードは色成分間イントラ予測モードである、ステップと、
1B 前記現色差ブロックに関連する輝度ブロックの輝度近傍参照サンプルを導出するステップと、
1C 前記輝度近傍参照サンプルに基づいて、ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルを導出するステップと、
1D 前記現色差ブロックの色差近傍参照サンプルを導出するステップと、
1E 前記ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル及び前記色差近傍参照サンプルに基づいて、予測パラメータを導出するステップであって、前記予測パラメータは、前記輝度ブロックと前記現色差ブロックとの相関に関連するスケーリングファクタa及びオフセットbを含む、ステップと、
1F 前記予測パラメータに基づいて、前記現色差ブロックの予測されたブロックを生成するステップと、
1G を含み、
1C1 位置[x,y]のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、[2x-1,2y]における第1の輝度近傍参照サンプルと、[2x,2y]における第2の輝度近傍参照サンプルと、[2x+1,2y]における第3の輝度近傍参照サンプルと、[2x-1,2y+1]における第4の輝度近傍参照サンプルと、[2x,2y+1]における第5の輝度近傍参照サンプルと、[2x+1,2y+1]における第6の輝度近傍参照サンプルと、を用いて導出され、
1C2 前記位置[x,y]のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、数式(p1[2x-1,2y]+2*p1[2x,2y]+p1[2x+1,2y]+p1[2x-1,2y+1]+2*p1[2x,2y+1]+p1[2x+1,2y+1]+4)>>3に従って導出され、
1C3 p1[2x-1,2y]は、前記第1の輝度近傍参照サンプルのサンプル値を表し、p1[2x,2y]は、前記第2の輝度近傍参照サンプルのサンプル値を表し、p1[2x+1,2y]は、前記第3の輝度近傍参照サンプルのサンプル値を表し、p1[2x-1,2y+1]は、前記第4の輝度近傍参照サンプルのサンプル値を表し、p1[2x,2y+1]は、前記第5の輝度近傍参照サンプルのサンプル値を表し、p1[2x+1,2y+1]は、前記第6の輝度近傍参照サンプルのサンプル値を表し、
1H 前記輝度ブロックの上側境界が符号化ツリーユニット(CTU)の境界と重なることに基づいて、上側輝度近傍参照サンプルは、1個のサンプル行ラインに位置し、
1C4 前記ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、左側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル及び上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルを含み、
1C5 前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され、
1C6 前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重ならないことに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出される、
1G 画像復号方法。」
(3)本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてするものであり、その内容は、本件補正前の請求項1を、本件補正後の請求項1に補正する補正事項を含み、具体的には、次の本件補正事項1から3(以下、補正事項1から3をまとめて「本件補正事項」という。)を含むものである。
〔本件補正事項1〕
構成1b、1c、1c1、及び1eにおける「輝度参照サンプル」を、構成1B、1C、1C1、及び1Eにおける「輝度近傍参照サンプル」に補正するとともに、構成1d、及び1eにおける「色差参照サンプル」を、構成1D、及び1Eにおける「色差近傍参照サンプル」に補正する事項。
〔本件補正事項2〕
本件補正前の請求項1に、構成1C2から1C5を追加する補正事項。
〔本件補正事項3〕
本件補正前の請求項1に、構成1Hを追加する補正事項。
2 本件補正の適否について
本件補正が、特許法第17条の2第3項の規定に違反するか否かについて、以下検討する。
(1)当初明細書等の記載
本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には、本件補正事項に関連して以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付したものであり、以下同様である。
ア
「【0045】
近傍ブロック(Neighbor block):現在ブロックに隣接するブロックを意味する。現在ブロックに隣接するブロックは、現在ブロックに境界が当接するブロック、又は現在ブロックから所定の距離内にあるブロックを意味することができる。近傍ブロックは、現在ブロックの頂点に隣接するブロックを意味することができる。ここで、現在ブロックの頂点に隣接するブロックとは、現在ブロックに横方向に隣接する隣接ブロックに縦方向に隣接するブロック、又は現在ブロックに縦方向に隣接する隣接ブロックに横方向に隣接するブロックであり得る。近傍ブロックは、再構成された近傍ブロックを意味することもできる。」
イ
「【0140】
前記導出された画面内予測モードに基づいて、画面内予測のための参照サンプルが構成できる。以下の説明において、現在ブロックは、予測ブロック、又は予測ブロックよりも小さいサイズ/形状を有するサブブロックを意味することができる。参照サンプルは、現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせを用いて構成できる。また、構成された参照サンプルに対してフィルタリングが適用できる。
【0141】
参照サンプルの構成に使用される再構成サンプルラインの数及び/又は位置は、符号化ツリーブロック内の現在ブロックの位置によって異なり得る。複数の再構成サンプルライン上の各再構成サンプルはそのまま参照サンプルとして使用できる。又は、再構成サンプルに所定のフィルタを適用し、フィルタリングされた再構成サンプルを用いて参照サンプルを生成することもできる。フィルタが適用される再構成サンプルは、同じ再構成サンプルラインに属するか、或いは異なる再構成サンプルラインに属することができる。
【0142】
前記構成された参照サンプルはref[m,n]で表し、近傍の再構成されたサンプル又はこれをフィルタリングしたサンプルはrec[m,n]で表すことができる。このとき、m又はnは、サンプルの位置を示す所定の整数値であり得る。現在ブロック内の左上側サンプルの位置が(0,0)であるとき、現在ブロックの左上側参照サンプルの位置は(-1,-1)に設定できる。
【0143】
前記参照サンプルを構成するために近傍の再構成サンプルに対して可用性(availability)有無を判断することができる。前記近傍の再構成サンプルがピクチャ、スライス、タイル及びCTUの少なくとも一つの領域外に位置する場合、利用不可能と判断することができる。又は、現在ブロックに対する限られた画面内予測(constrained intra prediction)を行う場合、前記近傍の再構成サンプルが画面間で符号化/復号されたブロックに位置する場合、利用不可能と判断することができる。
【0144】
前記近傍の再構成されたサンプルが利用不可能であると判断される場合、近傍の利用可能な再構成サンプルを用いて利用不可能サンプルを代替することができる。たとえば、左下側サンプルの位置から始まり、隣接する利用可能サンプルを用いて利用不可能サンプルを満たすことができる。又は、利用可能サンプルの組み合わせを用いて利用不可能サンプルを満たすことができる。例えば、利用不可能サンプルの両端に位置する利用可能サンプルの平均値を用いて利用不可能サンプルを満たすことができる。
【0145】
又は、利用可能参照サンプルの情報を用いて利用不可能サンプルを満たすことができる。このとき、隣接する利用可能サンプル値ではなく、任意の値で利用不可能サンプルを満たすことができる。前記任意の値は、利用可能サンプル値の平均値であってもよく、利用可能サンプル値の勾配(Gradient)を考慮した値であってもよい。又は、平均値と勾配の両方が使用されてもよい。前記勾配は、隣接する利用可能サンプルの差分値に基づいて決定できる。又は、前記平均値と利用可能サンプル値との差分値に基づいて決定されてもよい。前記平均値の他に、最大値、最小値、中央値又は任意の重みを用いた重み付け和が使用できる。前記任意の重みは、利用可能サンプルと利用不可能サンプルとの距離に基づいて決定できる。
【0146】
これらの方法は、上側及び左側の参照サンプルの両方に適用されるか、或いは任意の方向に対してのみ適用できる。また、複数の再構成サンプルラインを用いて現在ブロックの参照サンプルラインを構成する場合にも、これらの方法が適用できる。」
ウ
「【0161】
本発明に係る実施形態によれば、色成分(color component)間画面内予測を行うことができる。図8は色成分間画面内予測実行処理を説明するための図である。色成分間画面内予測は、色成分ブロック再構成ステップ(S810)、予測パラメータ導出ステップ(S820)、及び/又は色成分間予測実行ステップ(S830)を含むことができる。前記色成分は、輝度(luma)信号、色差(chroma)信号、Red、Green、Blue、Y、Cb及びCrのうちの少なくとも一つを意味することができる。第2色成分、第3色成分及び第4色成分の少なくとも一つを用いて前記第1色成分に対する予測を行うことができる。このとき、予測に用いられる色成分の信号は、原本信号、再構成された信号、残差/レジデュアル信号及び予測信号のうちの少なくとも一つであり得る。
【0162】
第2色成分対象ブロックに対して画面内予測を行うとき、前記対象ブロックに対応する第1色成分対応ブロックのサンプル及び/又は対応ブロックの近傍ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つのサンプルを用いることができる。例えば、色差成分ブロックCb又はCrに対して画面内予測を行うとき、前記色差成分ブロックに対応する再構成された輝度成分ブロックYを用いることができる。(以後略)」
エ
「【0165】
以下、ステップS810の色成分ブロック再構成ステップについて説明する。
第1色成分ブロックを用いて第2色成分ブロックを予測するとき、前記第1色成分ブロックを再構成することができる。例えば、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:4:4、4:2:2、4:2:0のうちのいずれかである場合、色成分間ブロックのサイズが互いに異なることがある。したがって、サイズの異なる第1色成分ブロックを用いて第2色成分ブロックを予測するとき、2つのブロックのサイズを同一にするために前記第1色成分ブロックを再構成することができる。このとき、再構成されたブロックは、前記第1色成分対応ブロックのサンプル及び近傍ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つを含むことができる。図9は色成分ブロックの再構成を説明するための例示図である。
【0166】
図9の(a)において、p1[x,y]は、第1色成分ブロックの(x,y)位置のサンプルを示すことができる。図9の(b)において、p1’[x,y]は、前記第1色成分ブロックを再構成したブロックの(x,y)位置のサンプルを示すことができる。
【0167】
第1色成分ブロックのサイズが第2色成分ブロックのサイズよりも大きい場合、前記第1色成分ブロックをダウンサンプリング(down-sampling)して第2色成分ブロックのサイズと同じサイズのブロックに再構成することができる。前記ダウンサンプリングは、一つ以上のサンプルに対してN-tapフィルタを適用して行われ得る(Nは1以上の整数)。このとき、下記数式1乃至数式5のうちの少なくとも一つの数式が利用できる。複数のダウンサンプリング方法のいずれかが選択的に使用される場合、符号化器は、一つのダウンサンプリング方法を所定の方法として選択することができる。例えば、符号化器は、最適の効果を有するダウンサンプリング方法を選択することができる。選択されたダウンサンプリング方法は、符号化されて復号器へシグナリングできる。シグナリングされる情報は、ダウンサンプリング方法を指示するインデックス情報であり得る。
【0168】
[数式1]
p1’[x, y] = (p1[2x, 2y] + p1[2x, 2y+1] + 1) >> 1
[数式2]
p1’[x, y] = (p1[2x+1, 2y] + p1[2x+1, 2y+1] + 1) >> 1
[数式3]
p1’[x, y]= (p1[2x-1, 2y] + 2 x p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + 2) >> 2
[数式4]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 2) >> 2
[数式5]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y] + 2 * p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 4) >> 3
【0169】
2つ以上のサンプルを用いてダウンサンプリングを行う方法は、前記数式1乃至数式5の実施形態に限定されない。例えば、ダウンサンプリングされた値p1’[x,y]を計算するために使用できる2つ以上のサンプルは、p1[2x,2y]及びこれに隣接するサンプルから選択できる。前記隣接するサンプルは、p1[2x-1,2y-1]、p[2x-1,2y]、p1[2x-1,2y+1]、p1[2x,2y-1]、p1[2x,2y+1]、p1[2x+1,2y-1]、p1[2x+1、2y]及びp1[2x+1、2y+1]から選択できる。二つ以上のサンプルを用いて平均又は加重平均を計算することにより、ダウンサンプリングを行うことができる。」
オ
「【0174】
前記再構成処理を行うにあたり、第2色成分対象ブロックの境界又は対応する第1色成分対応ブロックの境界のうちの少なくとも1つが所定の領域の境界に該当する場合、再構成に用いられる参照サンプルを異なるように選択することができる。このとき、上側の参照サンプルラインの個数と左側の参照サンプルラインの個数とが互いに異なり得る。前記所定の領域は、例えば、ピクチャ、スライス、タイル、CTU及びCUの少なくとも一つであり得る。
【0175】
例えば、前記第1色成分対応ブロックの上側境界が前記所定の領域の境界に該当する場合には、上側の参照サンプルは用いず、左側の参照サンプルだけを用いて再構成を行うことができる。前記第1色成分対応ブロックの左側境界が前記所定の領域の境界に該当する場合、左側の参照サンプルは用いず、上側の参照サンプルだけを用いて再構成を行うことができる。又は、N個の上側参照サンプルラインとM個の左側参照サンプルラインを用いることができ、このとき、NはMより小さくてもよい。例えば、上側境界が前記所定の領域の境界に該当する場合には、Nは1であり、左側の境界が前記所定の領域の境界に該当する場合には、Mは1であり得る。
(中略)
【0177】
図10は複数の上側及び/又は左側の参照サンプルラインを用いて再構成を行う実施形態を説明するための図である。
【0178】
図10の(a)に示すように、4つの上側参照サンプルライン及び4つの左側参照サンプルラインを用いて再構成を行うことができる。
【0179】
例えば、第1色成分対応ブロックの上側又は左側の境界が前記所定の領域の境界に該当する場合、再構成に用いられる上側及び左側参照サンプルラインの個数は互いに異なり得る。例えば、図10の(b)乃至(d)に示すように、2つの上側参照サンプルライン及び4つの左側参照サンプルラインを用いるか、或いは1つの上側参照サンプルライン及び3つの左側参照サンプルラインを用いるか、或いは1つの上側参照サンプルライン及び2つの左側参照サンプルラインを用いることができる。
【0180】
用いられる参照サンプルラインの数は、上記の例に限定されず、N個の上側参照サンプルラインとM個の左側参照サンプルラインが用いられてもよい。N、Mは同一でも異なってもよい。上側及び左側の境界がすべて前記所定領域の境界に該当する場合には、NとMは同一であり得るが、例えば1である。又は、同じ条件で、NはMよりも小さく設定できる。これは左側参照サンプルラインよりも上側参照サンプルラインの記憶にさらに多くのリソース(メモリ)が必要だからである。」
カ
「【0188】
以下、ステップS820の予測パラメータ導出ステップについて説明する。
前記再構成した第1色成分対応ブロックの参照サンプルと第2色成分予測対象ブロックの参照サンプルのうちの少なくとも一つを用いて予測パラメータを導出することができる。以下、第1色成分及び第1色成分ブロックは、再構成した第1色成分及び再構成した第1色成分ブロックを意味することができる。
(中略)
【0200】
予測パラメータの導出は、前記再構成された第1色成分ブロックの参照サンプル及び第2色成分ブロックの参照サンプルを用いて行われ得る。前記色成分の参照サンプル間の関連性、変化量、平均値及び分布などの少なくとも一つに基づいて予測パラメータが導出できる。この際、LS(Least Square)やLMS(Least Mean Square)などの方法のうちの少なくとも一つが使用できる。
【0201】
LMS方法を用いて予測パラメータを導出する場合、予測パラメータはa、b又はアルファ、ベータのうちの少なくとも一つであり得る。下記数式11を用いて、第1色成分参照サンプルと第2色成分参照サンプル間のエラーを最小化する予測パラメータを導出することができる。
【数1】
[図:0001430697000001.jpg]
【0202】
前記数式11において、p2nは第2色成分参照サンプルを示し、p1’nは再構成された第1色成分の参照サンプルを示すことができる。Nは用いられる参照サンプルの横又は縦の個数を示し、a及びbは予測パラメータを示すことができる。
(中略)
【0210】
以下、ステップS830の色成分間予測実行ステップについて説明する。
前述したように、予測パラメータが導出されると、導出された予測パラメータのうちの少なくとも一つを用いて色成分間画面内予測を行うことができる。
【0211】
例えば、下記数式13を用いて、再構成された第1色成分の再構成された信号に、前記導出された予測パラメータを適用することにより、第2色成分対象ブロックに対する予測を行うことができる。
【数3】
[図:0001430697000002.jpg]
【0212】
前記数式13において、p2[x,y]は第2色成分対象ブロックの予測ブロックであり得る。p1’[x,y]は第1色成分ブロック又は再構成された第1色成分ブロックであり得る。」
キ
「
[図:0001430697000003.jpg]
」(図8)
ク
「
[図:0001430697000004.jpg]
」(図9)
ケ
「
[図:0001430697000005.jpg]
」(図10)
(2)当初明細書等に記載された事項
ア
上記(1)ウの段落0161には、色成分間画面内予測は、色成分ブロック再構成ステップ(S810)、予測パラメータ導出ステップ(S820)、及び色成分間予測実行ステップ(S830)を含むとの事項が記載されている。
イ
上記(1)ウの段落0162には、「第2色成分対象ブロックに対して画面内予測を行うとき、前記対象ブロックに対応する第1色成分対応ブロックのサンプル及び/又は対応ブロックの近傍ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つのサンプルを用いることができる。例えば、色差成分ブロックCb又はCrに対して画面内予測を行うとき、前記色差成分ブロックに対応する再構成された輝度成分ブロックYを用いることができる。」との記載がある。
ここで、「近傍ブロック」は、上記(1)アより「現在ブロックに隣接するブロック」を意味する。
また、「色差成分ブロックに対応する再構成された輝度成分ブロック」は、エで後述するように、色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックをダウンサンプリングすることにより得られ、具体的には、「色差成分ブロックに対応する再構成された輝度成分ブロック」の(x,y)位置のサンプルは、色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックの(2x,2y)位置のサンプル、並びに/又は当該輝度成分ブロックに隣接する輝度成分ブロックの(2x-1,2y)位置のサンプル及び(2x-1,2y+1)位置のサンプルのうちの少なくとも一つのサンプル、が用いられる。
そうすると、当初明細書等には、色差成分ブロックに対して画面内予測を行うとき、前記色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックのサンプル、及び/又は当該輝度成分ブロックに隣接する輝度成分ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つのサンプル、を用いることができる旨記載されている、といえる。
ウ
上記(1)エの段落0165には、「ステップS810の色成分ブロック再構成ステップについて説明する。・・・画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が・・・4:2:0・・・である場合、色成分間ブロックのサイズが互いに異なることがある。したがって、サイズの異なる第1色成分ブロックを用いて第2色成分ブロックを予測するとき、2つのブロックのサイズを同一にするために前記第1色成分ブロックを再構成することができる。このとき、再構成されたブロックは、前記第1色成分対応ブロックのサンプル及び近傍ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つを含むことができる。」との記載がある。
ここで、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0である場合に、輝度成分ブロック(Y)のサイズが、色差成分ブロック(Cb又はCr)のサイズより大きいことは当業者に自明である。
また、「前記第1色成分対応ブロック」とは、上記イで参照した段落0162における「第2色成分対象ブロックに対して画面内予測を行うとき、前記対象ブロックに対応する第1色成分対応ブロック」を意味することが明らかである。
そして、上記イのとおり、輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合を想定すると、当初明細書等には、ステップS810の色成分ブロック再構成ステップにおいて、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0であり、サイズの異なる輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合、2つのブロックのサイズを同一にするために輝度成分ブロックを再構成し、再構成されたブロックは、色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックのサンプル及び当該輝度成分ブロックに隣接する輝度成分ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つを含むことができる旨記載されている、といえる。
エ
上記(1)エの段落0166には、「図9の(a)において、p1[x,y]は、第1色成分ブロックの(x,y)位置のサンプルを示すことができる。図9の(b)において、p1’[x,y]は、前記第1色成分ブロックを再構成したブロックの(x,y)位置のサンプルを示すことができる。」との記載があり、また、段落0167には、「第1色成分ブロックのサイズが第2色成分ブロックのサイズよりも大きい場合、前記第1色成分ブロックをダウンサンプリング・・・して第2色成分ブロックのサイズと同じサイズのブロックに再構成することができる。・・・このとき、下記数式1乃至数式5のうちの少なくとも一つの数式が利用できる。」との記載があり、さらに、段落0168には、
「 [数式1]
p1’[x, y] = (p1[2x, 2y] + p1[2x, 2y+1] + 1) >> 1
[数式2]
p1’[x, y] = (p1[2x+1, 2y] + p1[2x+1, 2y+1] + 1) >> 1
[数式3]
p1’[x, y]= (p1[2x-1, 2y] + 2 x p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + 2) >> 2
[数式4]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 2) >> 2
[数式5]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y] + 2 * p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 4) >> 3」
との記載がある。
ここで、上記ウで検討した、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0であり、サイズの異なる輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合は、段落0167の「第1色成分ブロックのサイズが第2色成分ブロックのサイズよりも大きい場合」に該当する。
その上、段落0166に関連する上記(1)クの図9(a)からは、白色部分が第1色成分ブロックを示し、当該第1色成分ブロック内の左上の位置に「(0,0)」と記載されていることが見て取れ、また、同じく図9(b)からは、白色部分が再構成した第1色成分ブロックを示し、当該再構成した第1色成分ブロック内の左上の位置に「(0,0)」と記載されていることが見て取れ、さらに、上記(1)イの段落0142には、「現在ブロック内の左上側サンプルの位置が(0,0)であるとき」との記載があるから、上記数式1乃至数式5におけるxの最小値とyの最小値はともに0である、と解される。
そして、上記ウのとおり、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0であり、サイズの異なる輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合を想定すると、当初明細書等には、輝度成分ブロックをダウンサンプリングして色差成分ブロックのサイズと同じサイズのブロックに再構成し、このとき、下記数式1乃至数式5のうちの少なくとも一つの数式が利用できて、
[数式1]
p1’[x, y] = (p1[2x, 2y] + p1[2x, 2y+1] + 1) >> 1
[数式2]
p1’[x, y] = (p1[2x+1, 2y] + p1[2x+1, 2y+1] + 1) >> 1
[数式3]
p1’[x, y]= (p1[2x-1, 2y] + 2 x p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + 2) >> 2
[数式4]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 2) >> 2
[数式5]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y] + 2 * p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 4) >> 3
ここで、p1[x,y]は、輝度成分ブロックの(x,y)位置のサンプルを示し、p1’[x,y]は、前記輝度成分ブロックを再構成したブロックの(x,y)位置のサンプルを示し、xの最小値とyの最小値はともに0であることが記載されている、といえる。
オ
上記(1)エの段落0169には、ダウンサンプリングされた値p1’[x,y]を計算するために使用できる2つ以上のサンプルは、p1[2x,2y]、並びにこれに隣接するサンプルであるp1[2x-1,2y-1]、p[2x-1,2y]、p1[2x-1,2y+1]、p1[2x,2y-1]、p1[2x,2y+1]、p1[2x+1,2y-1]、p1[2x+1、2y]及びp1[2x+1、2y+1]から選択できるとの事項が記載されている。
カ
上記(1)イの段落0140、及び0143には、導出された画面内予測モードに基づいて、画面内予測のための参照サンプルが構成できて、参照サンプルは、現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせを用いて構成できて、前記近傍の再構成サンプルがCTUの領域外に位置する場合、利用不可能と判断することができるとの事項が記載されている。
キ
上記(1)オにおいて、段落0174には、「前記再構成処理を行うにあたり、第2色成分対象ブロックの境界又は対応する第1色成分対応ブロックの境界のうちの少なくとも1つが所定の領域の境界に該当する場合、・・・。このとき、上側の参照サンプルラインの個数と左側の参照サンプルラインの個数とが互いに異なり得る。前記所定の領域は、・・・CTU・・・であり得る。」との記載があり、また、段落0175には、「前記第1色成分対応ブロックの上側境界が前記所定の領域の境界に該当する場合には、上側の参照サンプルは用いず、・・・再構成を行うことができる。・・・又は、N個の上側参照サンプルラインとM個の左側参照サンプルラインを用いることができ、このとき、NはMより小さくてもよい。例えば、上側境界が前記所定の領域の境界に該当する場合には、Nは1であり・・・得る。」との記載があり、さらに、段落0179には、図10に関連して「第1色成分対応ブロックの上側又は左側の境界が前記所定の領域の境界に該当する場合、再構成に用いられる上側及び左側参照サンプルラインの個数は互いに異なり得る。」との記載があり、その上、段落0180には、「上側及び左側の境界がすべて前記所定領域の境界に該当する場合には、NとMは同一であり得るが、例えば1である。又は、同じ条件で、NはMよりも小さく設定できる。」との記載がある。
ここで、段落0174の「前記再構成処理」とは、上記ウで検討した「ステップS810の色成分ブロック再構成ステップ」を意味すると解される。
また、段落0175及び0179では、「第1色成分対応ブロック」の境界が所定の領域の境界に該当する場合に再構成に用いるサンプルをどのようにすべきかを述べているから、当該「第1色成分対応ブロック」とは、他の色成分ブロックに対する画面内予測に用いられる色成分ブロックを意味すると解される。
そして、上記ウのとおり、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0であり、サイズの異なる輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合を想定すると、当初明細書等には、ステップS810の色成分ブロック再構成ステップにおいて、輝度成分ブロックの境界がCTUの境界に該当する場合、上側の参照サンプルラインの個数と左側の参照サンプルラインの個数とが互いに異なり得て、又は、輝度成分ブロックの上側境界が前記CTUの境界に該当する場合には、上側の参照サンプルは用いず再構成を行うことができて、又は、N個の上側参照サンプルラインとM個の左側参照サンプルラインを用いるとき、NはMより小さくてもよく、上側境界が前記CTUの境界に該当する場合にNは1であり得ることが記載されている、といえる。
ク
上記(1)オの段落0179には、「図10の(b)乃至(d)に示すように、2つの上側参照サンプルライン及び4つの左側参照サンプルラインを用いるか、或いは1つの上側参照サンプルライン及び3つの左側参照サンプルラインを用いるか、或いは1つの上側参照サンプルライン及び2つの左側参照サンプルラインを用いることができる。」との記載がある。
また、上記(1)ケの図10(b)からは、白色部分が第1色成分ブロックを示し、当該第1色成分ブロックの上側に2行の着色ラインが、また左側に4列のラインが存在する様子が見て取れ、さらに図10(c)からは、当該第1色成分ブロックの上側に1行の着色ラインが、また左側に3列のラインが存在する様子が見て取れ、その上図10(d)からは、当該第1色成分ブロックの上側に1行の着色ラインが、また左側に2列のラインが存在する様子が見て取れる。
上記ウのとおり、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0であり、サイズの異なる輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合を想定すると、当初明細書には、上側参照サンプルライン及び左側参照サンプルラインは、輝度成分ブロックの外部に存在することが記載されている、といえる。
ケ
上記(1)カにおいて、段落0188には、「ステップS820の予測パラメータ導出ステップについて説明する。・・・前記再構成した第1色成分対応ブロックの参照サンプルと第2色成分予測対象ブロックの参照サンプルのうちの少なくとも一つを用いて予測パラメータを導出することができる。」との記載があり、また、段落0200には、「予測パラメータの導出は、前記再構成された第1色成分ブロックの参照サンプル及び第2色成分ブロックの参照サンプルを用いて行われ得る。」との記載があり、さらに、段落0201には、「下記数式11を用いて、・・・予測パラメータを導出することができる。
【数1】
[図:0001430697000006.jpg]
との記載があり、さらに、段落0202には、「前記数式11において、p2nは第2色成分参照サンプルを示し、p1’nは再構成された第1色成分の参照サンプルを示すことができる。・・・a及びbは予測パラメータを示すことができる。」との記載がある。
そして、上記ウのとおり、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0であり、サイズの異なる輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合を想定すると、当初明細書等には、ステップS820の予測パラメータ導出ステップにおいて、
[図:0001430697000007.jpg]
を用いて、予測パラメータを導出し、前記数式11において、p2nは色差成分参照サンプルを示し、p1’nは再構成された輝度成分の参照サンプルを示し、a及びbは予測パラメータを示すこと、が記載されているといえる。
コ
以上アからケをまとめると、当初明細書等には、本件補正事項に関して、以下の事項が記載されているといえる。なお、(ア)から(ケ)は対応する説明箇所を示す。
〔当初明細書等に記載された事項〕
「(ア) 色成分間画面内予測は、色成分ブロック再構成ステップ(S810)、予測パラメータ導出ステップ(S820)、及び色成分間予測実行ステップ(S830)を含み、
(イ) 色差成分ブロックに対して画面内予測を行うとき、前記色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックのサンプル、及び/又は当該輝度成分ブロックに隣接する輝度成分ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つのサンプル、を用いることができて、
(ウ) ステップS810の色成分ブロック再構成ステップにおいて、画像の色空間がYCbCrであり、色成分間の比率が4:2:0であり、サイズの異なる輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックに対して画面内予測を行う場合、2つのブロックのサイズを同一にするために輝度成分ブロックを再構成し、再構成されたブロックは、色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックのサンプル及び当該輝度成分ブロックに隣接する輝度成分ブロックのサンプルのうちの少なくとも一つを含むことができて、
(エ) 輝度成分ブロックをダウンサンプリングして色差成分ブロックのサイズと同じサイズのブロックに再構成し、このとき、下記数式1乃至数式5のうちの少なくとも一つの数式が利用できて、
[数式1]
p1’[x, y] = (p1[2x, 2y] + p1[2x, 2y+1] + 1) >> 1
[数式2]
p1’[x, y] = (p1[2x+1, 2y] + p1[2x+1, 2y+1] + 1) >> 1
[数式3]
p1’[x, y]= (p1[2x-1, 2y] + 2 x p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + 2) >> 2
[数式4]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 2) >> 2
[数式5]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y] + 2 * p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 4) >> 3
ここで、p1[x,y]は、輝度成分ブロックの(x,y)位置のサンプルを示し、p1’[x,y]は、前記輝度成分ブロックを再構成したブロックの(x,y)位置のサンプルを示し、xの最小値とyの最小値はともに0であり、
(オ) ダウンサンプリングされた値p1’[x,y]を計算するために使用できる2つ以上のサンプルは、p1[2x,2y]、並びにこれに隣接するサンプルであるp1[2x-1,2y-1]、p[2x-1,2y]、p1[2x-1,2y+1]、p1[2x,2y-1]、p1[2x,2y+1]、p1[2x+1,2y-1]、p1[2x+1、2y]及びp1[2x+1、2y+1]から選択できて、
(カ) 導出された画面内予測モードに基づいて、画面内予測のための参照サンプルが構成できて、参照サンプルは、現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせを用いて構成できて、前記近傍の再構成サンプルがCTUの領域外に位置する場合、利用不可能と判断することができて、
(キ) ステップS810の色成分ブロック再構成ステップにおいて、輝度成分ブロックの境界がCTUの境界に該当する場合、上側の参照サンプルラインの個数と左側の参照サンプルラインの個数とが互いに異なり得て、又は、輝度成分ブロックの上側境界が前記CTUの境界に該当する場合には、上側の参照サンプルは用いず再構成を行うことができて、又は、N個の上側参照サンプルラインとM個の左側参照サンプルラインを用いるとき、NはMより小さくてもよく、上側境界が前記CTUの境界に該当する場合にNは1であり得て、
(ク) 上側参照サンプルライン及び左側参照サンプルラインは、輝度成分ブロックの外部に存在し、
(ケ) ステップS820の予測パラメータ導出ステップにおいて、
[図:0001430697000008.jpg]
を用いて、予測パラメータを導出し、前記数式11において、p2nは色差成分参照サンプルを示し、p1’nは再構成された輝度成分の参照サンプルを示し、a及びbは予測パラメータを示すこと。」
(3)本件補正事項1と当初明細書等に記載された事項との関係について
ア
構成1Eには、「前記ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル及び前記色差近傍参照サンプルに基づいて、予測パラメータを導出するステップ」との記載がある。
また、上記(2)クの「当初明細書等に記載された事項」(ケ)には、「予測パラメータ導出ステップにおいて、
[図:0001430697000009.jpg]
を用いて、予測パラメータを導出し、前記数式11において、p2nは色差成分参照サンプルを示し、p1’nは再構成された輝度成分の参照サンプルを示し、a及びbは予測パラメータを示す」との記載がある。
ここで、上記(2)イで述べたとおり、「色差成分ブロックに対応する再構成された輝度成分ブロック」は、色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックをダウンサンプリングすることにより得られるものである。
そうすると、「当初明細書等に記載された事項」(ケ)における(再構成される前の)「輝度成分の参照サンプル」及び「再構成された輝度成分の参照サンプル」は、それぞれ構成1Eにおける「輝度近傍参照サンプル」及び「前記ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」に該当するといえる。
イ
「当初明細書等に記載された事項」(カ)によれば、「参照サンプルは、現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせを用いて構成でき」るものであり、また、同(エ)によれば、「p1[x,y]は、輝度成分ブロックの(x,y)位置のサンプルを示し、p1’[x,y]は、前記輝度成分ブロックを再構成したブロックの(x,y)位置のサンプルを示」すものである。
そうすると、「当初明細書等に記載された事項」(エ)における「p1[2x-1, 2y]」、「p1[2x, 2y]」、「p1[2x+1, 2y]」、「p1[2x-1, 2y+1]」、「p1[2x, 2y+1]」、及び「p1[2x+1, 2y+1]」等は、同(ク)における(再構成される前の)「輝度成分の参照サンプル」に該当し、また、「p1’[x, y]」は、同(ク)における「再構成された輝度成分の参照サンプル」に該当するといえる。
ウ
上記ア、及びイをまとめると、「当初明細書等に記載された事項」(エ)における「p1[2x-1, 2y]」、「p1[2x, 2y]」、「p1[2x+1, 2y]」、「p1[2x-1, 2y+1]」、「p1[2x, 2y+1]」、及び「p1[2x+1, 2y+1]」等は、構成1Eの「輝度近傍参照サンプル」に該当し、また、「p1’[x, y]」は、構成1Eの「前記ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」に対応するといえる。
(4)本件補正事項2は新規事項の追加に該当するかについて
ア
構成1C2に記載された数式は、上記(2)クの「当初明細書等に記載された事項」(エ)に記載された[数式5]と一致しているから、上記(3)ウを考慮すると、本件補正事項2のうち、本件補正前の請求項1に、構成1C2、及び1C3を追加することは、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてすることといえる。
イ
「当初明細書等に記載された事項」(エ)によれば、「p1’[x,y]は、前記輝度成分ブロックを再構成したブロックの(x,y)位置のサンプルを示し、xの最小値とyの最小値はともに0であり」、p1’[x,y]で示される、「ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」は、xが最小値0に等しい左側の「ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」、及びyが最小値0に等しい上側の「ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」を含むといえるから、本件補正事項2のうち、本件補正前の請求項1に、構成1C4を追加することは、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてすることといえる。
ウ
(ア)
構成1C5は、「前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて、・・・前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され」ることを特定している。
ここで、「前記輝度ブロック」は、構成1Bに記載された「前記現色差ブロックに関連する輝度ブロック」であって、ダウンサンプリングされる前の「輝度ブロック」を意味すること、及び構成1C5は構成1C1から1C4を前提としていることは、いずれも明らかである。
そうすると、構成1C5は、少なくとも構成1C1及び1C2を前提として、「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて」、「前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され」ることを特定しているといえる。
しかしながら、そのようなことは、以下で述べるとおり、当初明細書等には記載されていない。
(イ)
構成1C5における「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なること」は、「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」内の左上サンプルの位置を(0,0)としたときに、yが負の値となる位置のサンプルはCTUの領域外に位置することを意味すると解される。
また、構成1C5は「前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」に注目しているから、上記イを考慮して、「当初明細書等に記載された事項」(エ)の[数式5](構成1C2の数式と同一。)にyの最小値である0を代入すると、次の[数式5’]となる。
[数式5’]
p1’[x, 0] = (p1[2x-1, 0] + 2 * p1[2x, 0] + p1[2x+1, 0] + p1[2x-1, 1] + 2 * p1[2x, 1] + p1[2x+1, 1] + 4) >> 3
そして、「当初明細書等に記載された事項」(カ)には「参照サンプルは、現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせを用いて構成できて、前記近傍の再構成サンプルがCTUの領域外に位置する場合、利用不可能と判断することができ」る旨記載されている。
ここで、「前記近傍の再構成サンプル」が、「再構成」すなわちダウンサンプリングされたサンプルを意味する場合、(カ)の当該記載によって、[数式5’]の右辺に記載された再構成される前の輝度成分ブロックの6つのサンプルの一部が利用不可能と判断されることはない。
また、「前記近傍の再構成サンプル」が、「参照サンプル」を構成するために用いられる「現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせ」全体を意味するとしても、[数式5’]の右辺に記載された輝度成分ブロックの6つのサンプルは、全てyが0または1であってCTUの領域内の位置に存在するから、(カ)の当該記載によって、利用不可能と判断されることはない。
ところで、「当初明細書等に記載された事項」(キ)には、「輝度成分ブロックの境界がCTUの境界に該当する場合」に、「上側の参照サンプルは用いず再構成を行うこと」や、「上側参照サンプルライン」の個数「N」を「1」とすることが記載されているが、同(ク)によれば、「上側参照サンプルラインは、輝度成分ブロックの外部に存在」するから、[数式5’]の右辺に記載された、yが0又は1であって輝度成分ブロックの内部に存在する6つのサンプルは、(キ)の記載によって除外されない。
そうすると、「当初明細書等に記載された事項」においては、構成1C5が特定する「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なること」が生じた場合においても、p1’[x, 0]で示される、上側の「ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」は、[数式5’]に従って、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出されるといえる。
(ウ)
したがって、本件補正事項2のうち、本件補正前の請求項1に構成1C5を追加することにより、少なくとも構成1C1及び1C2を前提として、「前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて、・・・前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され」るように補正することは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものでない。
エ
以上アからウのとおりであるから、本件補正前の請求項1に構成1C5を追加することを含む本件補正事項2は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものである。
(5)本件補正事項2及び3は新規事項の追加に該当するかについて
ア
本件補正後の請求項1では、構成1H、1C5、1C6における「前記輝度ブロックの上側境界」のy方向の位置は特定されていない。
そこで、「前記輝度ブロックの上側境界」と重なる「CTUの境界」について、上記(4)ウのようにy方向の0と-1の間の位置に存在するとした解釈とは異なり、構成1C1における「[2x-1,2y]における第1の輝度近傍参照サンプルと、[2x,2y]における第2の輝度近傍参照サンプルと、[2x+1,2y]における第3の輝度近傍参照サンプル」からなるサンプル群と、「[2x-1,2y+1]における第4の輝度近傍参照サンプルと、[2x,2y+1]における第5の輝度近傍参照サンプルと、[2x+1,2y+1]における第6の輝度近傍参照サンプル」からなるサンプル群の間の位置に存在する場合について、以下検討を続ける。
イ
(ア)
構成1Hは、「前記輝度ブロックの上側境界が符号化ツリーユニット(CTU)の境界と重なることに基づいて、上側輝度近傍参照サンプルは、1個のサンプル行ラインに位置」することを特定している。
ここで、「前記輝度ブロック」は、上記(4)ウと同様に、構成1Bに記載された「前記現色差ブロックに関連する輝度ブロック」であって、ダウンサンプリングされる前の「輝度ブロック」を意味することが明らかである。
また、構成1Hが構成1Aから1C3を前提としていることは明らかであり、さらに、「上側輝度近傍参照サンプル」は、「上側」すなわちyの値が小さい「輝度近傍参照サンプル」を意味すると解されるから、構成1C1に記載された6つの輝度近傍参照サンプルのうち、「[2x-1,2y]における第1の輝度近傍参照サンプルと、[2x,2y]における第2の輝度近傍参照サンプルと、[2x+1,2y]における第3の輝度近傍参照サンプル」を意味すると解される。
ところで、構成1C5について、少なくとも構成1C1及び1C2を前提として、「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて」、「前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され」ることを特定していることは、上記(4)ウで検討したとおりであるが、「3つの輝度近傍参照サンプル」については、構成1C1に記載された6つの輝度近傍参照サンプルのうちいずれであるか特定されていないから、構成1C5は、「第1の輝度近傍参照サンプル」、「第2の輝度近傍参照サンプル」、及び「第3の輝度近傍参照サンプル」の3つの輝度近傍参照サンプル、すなわち「上側輝度近傍参照サンプル」、を用いて導出される場合を含む、と解される。
そうすると、構成1H、及び1C5は、少なくとも構成1C1及び1C2を前提として、「前記現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が符号化ツリーユニット(CTU)の境界と重なることに基づいて」、前記第1から第3の「輝度近傍参照サンプルは、1個のサンプル行ラインに位置し」、かつ「前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは」、前記第1から第3の「3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され」ることを含む、といえる。
しかしながら、そのようなことは、以下で述べるとおり、当初明細書等には記載されていない。
(イ)
上記(2)クの「当初明細書等に記載された事項」(エ)に記載された[数式5]は、構成1C2に記載された数式と一致しているから、上記アに対応させて、「前記輝度ブロックの上側境界」と重なる「CTUの境界」が、p1[2x-1, 2y]、p1[2x, 2y]、及びp1[2x+1, 2y]で示されるサンプル群と、p1[2x-1, 2y+1]、p1[2x, 2y+1]、及びp1[2x+1, 2y+1]で示されるサンプル群の間の位置に存在する場合について検討する。
「当初明細書等に記載された事項」(カ)には「参照サンプルは、現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせを用いて構成できて、前記近傍の再構成サンプルがCTUの領域外に位置する場合、利用不可能と判断することができ」る旨記載されている。
ここで、「前記近傍の再構成サンプル」が、「再構成」すなわちダウンサンプリングされたサンプルを意味する場合、(カ)の当該記載によって、[数式5]の右辺に記載された再構成される前の輝度成分ブロックの6つのサンプルの一部が利用不可能と判断されることはないから、「前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」は、[数式5]に従って、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出されるといえる。
また、「前記近傍の再構成サンプル」が、「参照サンプル」を構成するために用いられる「現在ブロックの近傍の再構成された一つ以上のサンプル又はサンプル組み合わせ」全体を意味し、[数式5]の右辺に記載された輝度成分ブロックの6つのサンプルを含むとしても、「CTUの領域外に位置する」ことに基づいて「利用不可能と判断」されるのは、p1[2x-1, 2y]、p1[2x, 2y]、及びp1[2x+1, 2y]で示されるサンプル群であるから、当該サンプル群を利用不可能とした[数式5]に従って導出され、p1’[x, y]で示される、上側の「ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」は、p1[2x-1, 2y]、p1[2x, 2y]、及びp1[2x+1, 2y]で示される3つのサンプルを用いて導出されることはない。
ところで、「当初明細書等に記載された事項」(キ)には、「輝度成分ブロックの境界がCTUの境界に該当する場合」に、「上側の参照サンプルは用いず再構成を行うこと」や、「上側参照サンプルライン」の個数「N」を「1」とすることが記載されており、同(ク)によれば、「上側参照サンプルラインは、輝度成分ブロックの外部に存在」するから、これら(キ)及び(ク)の記載により除外されるのは、p1[2x-1, 2y]、p1[2x, 2y]、及びp1[2x+1, 2y]で示されるサンプル群であり、当該サンプル群を除外とした[数式5]に従って導出され、p1’[x, y]で示される、上側の「ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」は、p1[2x-1, 2y]、p1[2x, 2y]、及びp1[2x+1, 2y]で示される3つのサンプルを用いて導出されることはない。
そうすると、「当初明細書等に記載された事項」においては、構成1H、及び1C5が特定する「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なること」が生じた場合に、p1’[x, y]で示される、上側の「ダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプル」が、p1[2x-1, 2y]、p1[2x, 2y]、及びp1[2x+1, 2y]で示される3つのサンプルを用いて導出されることはない。
(ウ)
したがって、本件補正事項2及び3のうち、本件補正前の請求項1に構成1H、及び1C5を追加することにより、少なくとも構成1C1及び1C2を前提として、「前記輝度ブロックの上側境界が符号化ツリーユニット(CTU)の境界と重なることに基づいて、上側輝度近傍参照サンプルは、1個のサンプル行ラインに位置し」、「・・・前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され」るように補正することは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものでない。
ウ
以上ア、及びイのとおりであるから、本件補正前の請求項1に構成1H、及び1C5を追加することを含む本件補正事項2、及び3は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものである。
(6) 審判請求人の主張について
ア
審判請求人は、審判請求書において、概略以下のとおり主張している。なお、下線は審判請求人が付したものである。
(ア)
「補正後の請求項1は、補正前の請求項1に対して、例えば、段落0161、0167、0168(数式5)、0200-0202、0210、0211、補正前の請求項3等に基づいて補正された、「・・・(中略)・・・」です。」(「3.本願発明が特許されるべき理由」「(1)補正について」)
(イ)
「 補正後の請求項1、5、9は、補正前の請求項3に基づく事項(i)「前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、3つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され」ること、及び、補正前の請求項3に基づく事項(ii)「前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重ならないことに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度近傍参照サンプルは、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出される」ことを規定しています。
(中略)
まず、段落0167に、「・・・。前記ダウンサンプリングは、一つ以上のサンプルに対してN-tapフィルタを適用して行われ得る(Nは1以上の整数)。このとき、下記数式1乃至数式5のうちの少なくとも一つの数式が利用できる。・・・。」と記載されているように、第1色成分の再構成に、数式1乃至数式5のうちの少なくとも一つの数式に基づくダウンサンプリングが用いられてよいことが記載されています。
したがって、以下に記載する数式5が用いられる場合、ダウンサンプリングされた参照サンプルに、6つの参照サンプルが用いられます。この場合、2y、2y+1という2つの上側参照サンプルラインが、上側のダウンサンプリングされた参照サンプルに用いられ、2x-1、2x、2x+1という3つの左側参照サンプルラインが、左側のダウンサンプリングされた参照サンプルに用いられます。
[数式5]
p1’[x, y] = (p1[2x-1, 2y] + 2 * p1[2x, 2y] + p1[2x+1, 2y] + p1[2x-1, 2y+1] + 2 * p1[2x, 2y+1] + p1[2x+1, 2y+1] + 4) >> 3
さらに、段落0174に、「前記再構成処理を行うにあたり、第2色成分対象ブロックの境界又は対応する第1色成分対応ブロックの境界のうちの少なくとも1つが所定の領域の境界に該当する場合、再構成に用いられる参照サンプルを異なるように選択することができる。このとき、上側の参照サンプルラインの個数と左側の参照サンプルラインの個数とが互いに異なり得る。前記所定の領域は、例えば、ピクチャ、スライス、タイル、CTU及びCUの少なくとも一つであり得る。」と記載されているように、第1色成分対応ブロックの境界が所定の領域の境界に該当する(重なる)場合、参照サンプルが異なって選択され得ること、この場合、上側参照サンプルラインの数と左側参照サンプルラインの数とが互いに異なり得ること、及び、所定の領域がCTUであり得ること、が記載されています。
また、段落0175に、「・・・。又は、N個の上側参照サンプルラインとM個の左側参照サンプルラインを用いることができ、このとき、NはMより小さくてもよい。例えば、上側境界が前記所定の領域の境界に該当する場合には、Nは1であり、・・・。」と記載されているように、N個の上側参照サンプルラインとM個の左側参照サンプルラインを用いることができ、(第1色成分対応ブロックの)上側境界が所定の領域の境界に該当する(重なる)場合、Nが1であり得ることが記載されています。
また、段落0179に、「例えば、第1色成分対応ブロックの上側又は左側の境界が前記所定の領域の境界に該当する場合、再構成に用いられる上側及び左側参照サンプルラインの個数は互いに異なり得る。例えば、・・・、或いは1つの上側参照サンプルライン及び3つの左側参照サンプルラインを用いるか、・・・。」と記載されているように、第1色成分対応ブロックの上側境界が所定の領域の境界に該当する(重なる)場合、1つの上側参照サンプルライン及び3つの左側参照サンプルラインを用いることができることが記載されています。
すなわち、この場合、3つの左側参照サンプルラインが用いられるので、左側のダウンサンプリングされた参照サンプルについては、数式5の6つの参照サンプルを同じように用いることができます。
一方で、1つの上側参照サンプルラインが用いられるので、数式5は用いられず、1つの上側(水平方向)参照サンプルラインに基づく数式3を用いることができます。なお、数式1乃至数式5のうち、1つの上側(水平方向)参照サンプルラインのみを用いる数式は、数式3及び数式4だけであり、これらの数式のどちらも、3つの上側参照サンプルを用います。
以上より、上記の事項(i)及び事項(ii)は、当初明細書等の記載から自明な事項であり、新規事項にはあたらず、発明の詳細な説明に記載されているものと思料いたします。」(「3.本願発明が特許されるべき理由」「(2)理由1、理由2について」)
イ
審判請求人の上記主張について検討する。
(ア)
審判請求人が補正の根拠として挙げた、明細書の段落0161、0167、0168(数式5)、0200-0202、0210、0211の記載を見ても、本件補正事項2、及び3が特許法第17条の2第3項の規定に違反することは、上記(1)から(5)で説示したとおりである。
なお、審判請求人は、補正の根拠の1つとして本件補正前の請求項3も挙げているが、本件補正前の請求項3は、当初明細書等に記載されたものではないから、本件補正事項が特許法第17条の2第3項の規定を満たすか否かの判断に影響しない。
(イ)
審判請求人は、明細書の段落0167、[数式5](段落0168)、0174、0175、0179の記載を根拠として、「数式5が用いられる場合、・・・。この場合、2y、2y+1という2つの上側参照サンプルラインが、上側のダウンサンプリングされた参照サンプルに用いられ、2x-1、2x、2x+1という3つの左側参照サンプルラインが、左側のダウンサンプリングされた参照サンプルに用いられます。」、及び「なお、数式1乃至数式5のうち、1つの上側(水平方向)参照サンプルラインのみを用いる数式は、数式3及び数式4だけであり、・・・ます。」などと主張している。
しかしながら、請求人が主張する解釈は、当初明細書等における他の記載と整合しない。
すなわち、上記(2)エで説示したとおり、上記(1)クの図9(a)からは、白色部分が第1色成分ブロックを示し、当該第1色成分ブロック内の左上の位置に「(0,0)」と記載されていることが見て取れ、また、同じく図9(b)からは、白色部分が再構成した第1色成分ブロックを示し、当該再構成した第1色成分ブロック内の左上の位置に「(0,0)」と記載されていることが見て取れ、さらに、上記(1)イの段落0142には、「現在ブロック内の左上側サンプルの位置が(0,0)であるとき」との記載がある。
また、上記(2)クで説示したとおり、上記(1)オの段落0179、並びに、上記(1)ケの図10(b)から(d)によれば、当初明細書等には、上側参照サンプルライン及び左側参照サンプルラインは、輝度成分ブロックの外部に存在することが記載されている、といえる。
そうすると、図9(a)の着色部分のうち、yが負の値である位置が、段落0179の「上側参照サンプルライン」に該当し、また、着色部分のうち、xが負の値である位置が、段落0179の「左側参照サンプルライン」に該当すると解される。
一方、[数式3]から[数式5]の右辺に記載された、p1[2x-1, 2y]、p1[2x, 2y]、p1[2x+1, 2y]、p1[2x-1, 2y+1]、p1[2x, 2y+1]、及びp1[2x+1, 2y+1]で示されるサンプルが、そのような「上側参照サンプルライン」上に位置するのは、yが-1以下である場合に限られ、この場合、左辺に記載され、p1’[x, y]で示される、再構成(ダウンサンプリング)されたサンプルのyも-1以下となる。
そして、現在ブロック内の左上側サンプルの位置が(0,0)であり、色差成分ブロックに対応する輝度成分ブロックを用いて色差成分ブロックを予測する場合に、p1’[x, y]で示され、yが-1以下である再構成された輝度成分ブロックのサンプルを、上記(1)カの段落0211の[数13]に代入すると、p2[x,y]で示され、yが-1以下である予測ブロックのサンプルが得られることとなる。
ここで、上記(1)イの段落0140に「現在ブロックは、予測ブロック、又は予測ブロックよりも小さいサイズ/形状を有するサブブロックを意味することができる。」と記載されていることを考慮すると、前記得られたyが-1以下である予測ブロックのサンプルは、現在ブロック内の左上側サンプルの位置が(0,0)である前記色差ブロックの外部に位置するから、前記色差成分ブロックを予測することと整合しない。
(ウ)
以上のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
3 補正の却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正事項2、及び3を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してされたものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年7月12日にされた手続補正は上記「第2」のとおり却下され、また、令和6年3月15日付け補正の却下の決定により、令和5年12月25日にされた手続補正についての補正の却下が決定されているから、本願の請求項1から11に係る発明は、原審補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から11に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2」1の〔本件補正前の請求項1〕及び〔本件補正前の請求項3〕に記載された事項により特定されるとおりのものであり、以下、原審補正による補正箇所を示す下線を付して再掲する。
〔本件補正前の請求項1〕
「1a 現色差ブロックのイントラ予測モードを導出するステップと、
1b 前記現色差ブロックに関連する輝度ブロックの輝度参照サンプルを導出するステップと、
1c 前記輝度参照サンプルに基づいて、ダウンサンプリングされた輝度参照サンプルを導出するステップと、
1d 前記現色差ブロックの色差参照サンプルを導出するステップと、
1e 前記ダウンサンプリングされた輝度参照サンプル及び前記色差参照サンプルに基づいて、予測パラメータを導出するステップと、
1f 前記予測パラメータに基づいて、予測されたブロックを生成するステップと、
1g を含み、
1c1 位置[x,y]のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、[2x-1,2y]における第1の輝度参照サンプルと、[2x,2y]における第2の輝度参照サンプルと、[2x+1,2y]における第3の輝度参照サンプルと、[2x-1,2y+1]における第4の輝度参照サンプルと、[2x,2y+1]における第5の輝度参照サンプルと、[2x+1,2y+1]における第6の輝度参照サンプルと、を用いて導出される、
1g 画像復号方法。」
〔本件補正前の請求項3〕
「3h 前記輝度ブロックの上側境界が符号化ツリーユニット(CTU)の境界と重なることに基づいて、上側輝度参照サンプルは、1個のサンプル行ラインに位置し、
3c2 前記ダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、左側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプル及び上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルを含み、
3c3 前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、6つの輝度参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、3つの輝度参照サンプルを用いて導出され、
3c4 前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重ならないことに基づいて、前記左側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、6つの輝度参照サンプルを用いて導出され、前記上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、6つの輝度参照サンプルを用いて導出される、
3i 請求項1に記載の画像復号方法。」
2 原審補正の内容
原審補正は、特許請求の範囲、及び明細書のうち発明の名称についてするものであり、その内容は、原審補正前の請求項3を、原審補正後の請求項3に補正する補正事項を含み、具体的には、次の原審補正事項1を含むものである。
〔原審補正事項1〕
原審補正前の請求項3に、構成3c2及び3c3を追加する補正事項。
3 原査定における拒絶の理由
原査定(令和6年3月15日付け拒絶査定)における拒絶の理由は、令和5年9月21日付け拒絶理由通知書に記載された理由であって、「令和5年7月21日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」という理由、すなわち、「輝度ブロックの上側境界がCTUの境界と重なるかどうかによって、上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルを導出するための輝度参照サンプルの個数が変わるということは、当初明細書等には記載されていない。」という理由を含むものである。
4 原審補正の適否についての当審の判断
原審補正が、特許法第17条の2第3項の規定に違反するか否かについて、以下検討する。
(1)本願発明について、
本願発明3は、原審補正により補正された請求項1の記載を引用しているから、構成1c、及び1c1を含む。
(2)当初明細書等に記載された事項
当初明細書等には、上記「第2」2(2)コに記載した「当初明細書等に記載された事項」が記載されている。
(3)原審補正事項1は新規事項の追加に該当するかについて
ア
「当初明細書等に記載された事項」(エ)における「p1[2x-1, 2y]」、「p1[2x, 2y]」、「p1[2x+1, 2y]」、「p1[2x-1, 2y+1]」、「p1[2x, 2y+1]」、及び「p1[2x+1, 2y+1]」等は、構成1cの「輝度参照サンプル」に該当し、また、「p1’[x, y]」は、構成1cの「ダウンサンプリングされた輝度参照サンプル」に対応するといえる。
イ
(ア)
構成3c3の「前記輝度ブロック」は、構成1bに記載された「前記現色差ブロックに関連する輝度ブロック」であって、ダウンサンプリングされる前の「輝度ブロック」を意味すること、及び構成3c3は構成1c1、3h、3c2を前提としていることは、いずれも明らかである。
そうすると、構成3c3は、少なくとも構成1c1を前提として、「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて」、「前記上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、3つの輝度参照サンプルを用いて導出され」ることを特定しているといえる。
(イ)
構成3c3における「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なること」は、「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」内の左上サンプルの位置を(0,0)としたときに、yが負の値となる位置のサンプルはCTUの領域外に位置することを意味すると解される。
そして、「当初明細書等に記載された事項」においては、構成3c3が特定する「現色差ブロックに関連する輝度ブロック」「の上側境界が前記CTUの境界と重なること」が生じた場合においても、p1’[x, 0]で示される、上側の「ダウンサンプリングされた輝度参照サンプル」は、[数式5’]に従って、6つの輝度近傍参照サンプルを用いて導出されるといえることは、上記「第2」2(4)ウで説示したとおりである。
(ウ)
したがって、原審補正事項1のうち、原審補正前の請求項3に構成3c3を追加することにより、少なくとも構成1c1を前提として、「前記輝度ブロックの上側境界が前記CTUの境界と重なることに基づいて、・・・前記上側のダウンサンプリングされた輝度参照サンプルは、3つの輝度参照サンプルを用いて導出され」るように補正すること、すなわち、構成1c1に記載されたとおり、第1から第6の6つの輝度参照サンプルを用いて導出されるのではなく、3つの輝度参照サンプルを用いて導出されるように補正することは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものでない。
(4)特許出願人の主張について
特許出願人(本件の審判請求人に同じ。)は、令和5年7月21日に提出した意見書において、概略以下のとおり主張している。
「 補正後の請求項1は、補正前の請求項1に対して、例えば、段落0161-0216(特に、段落0167、0168(数式5))等に基づいて補正された、
「・・・(中略)・・・」です。
補正後の請求項2は、例えば、段落0201、0211等に基づきます。
補正後の請求項3は、例えば、段落0167、0168(数式4、5)、0174、0175、0179等に基づきます。
(中略)
以上から、上記の補正は、補正の要件を満たしていると思料いたします。」(「意見の内容」「2.本願発明が特許されるべき理由」「2-1.補正について」)
そこで検討するに、特許出願人が補正の根拠として挙げた、明細書の段落0161、0167、0168(数式4、5)、0174、0175、0179、0200-0202、0210、及び0211の記載を見ても、本件補正事項2、及び3が特許法第17条の2第3項の規定に違反することは、上記上記「第2」(6)イで説示したとおりであり、また、特許出願人が補正の根拠として挙げた他の段落の記載を見ても、特許出願人の主張を採用するに足りる根拠は見いだせない。
したがって、特許出願人の当該主張は採用できない。。
(5)原審補正事項1の適否についてのまとめ
以上のとおりであるから、原審補正前の請求項3に構成3h、及び3c3を追加することを含む原審補正事項1は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものである。
5 原審補正の適否についてのまとめ
上記「4」(5)のとおり、原審補正事項1は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものであるから、原審補正事項1を含む原審補正もまた、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願について、令和5年7月21日にされた手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してされたものである。
したがって、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-011592