特許拒絶査定不服審判
2023-015688
感光性樹脂組成物、転写フィルム、硬化膜、積層体、及び、タッチパネルの製造方法
- 審判番号
- 2023-015688
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-533899
- 請求日
- 2023年09月15日
- 審決日
- 2024年11月18日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】富士フイルム株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 里村 利光
- 審判官 宮澤 浩
- 審判官 清水 康司
- 分類
- P18 .121-WZ (G03F) / P18 .161-WZ (G03F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-533899「感光性樹脂組成物、転写フィルム、硬化膜、積層体、及び、タッチパネルの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月28日国際公開、WO2021/014914〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)7月1日(優先権主張 令和元年7月24日、令和元年10月11日)を国際出願日とする出願であって、令和4年12月20日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年3月8日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年6月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年9月15日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
その後、令和6年7月12日付けの拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の通知に対し、同年9月17日に意見書の提出とともに手続補正がなされた。
2 本件発明
本願の請求項1~9に係る発明は、令和6年9月17日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、次のとおりのものである。
「 ピリジン環構造と、官能基として、1個の-COOH又は1個の-CONH2を少なくとも有する化合物A、
アルカリ可溶性バインダーポリマー(但し、ポリイミド前駆体を除く。)、
エチレン性不飽和化合物、並びに、
光重合開始剤、とを含有し、
前記エチレン性不飽和化合物が2官能の(メタ)アクリレート化合物と、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物と、を含む
感光性樹脂組成物(但し、前記感光性樹脂組成物は導電粒子を含まない。)。」
3 当審拒絶理由における拒絶の理由
当審拒絶理由は、概略、この出願の請求項1~11に係る発明について、優先権主張に係る最先の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先権主張に係る最先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、という拒絶理由を含むものである。なお、引用文献7を主引用発明が記載された文献として引用し引用文献8~10を周知技術を示す文献として引用している。
引用文献7 :特開昭51-148784号公報
引用文献8 :国際公開第2016/159043号
引用文献9 :国際公開第2018/042833号
引用文献10:特開2019-101322号公報
4 引用文献
(1)引用文献7の記載事項
当審拒絶理由において引用され、本願の優先権主張に係る最先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、特開昭51-148784号公報(昭和51年12月21日出願公開。以下「引用文献7」という。)には、以下の記載事項がある。なお、引用発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。
ア (第1頁左下欄下から2行~同頁右下欄第7行)
「 本発明は、感光性樹脂組成物に関するもので、新規な安定剤の添加によって、貯蔵安定性のすぐれた感光性樹脂組成物の製造を可能にしようとするものである。
一般に、可溶性ポリマー、エチレン性不飽和化合物および光重合開始剤からなり、光によつて不溶化する感光性樹脂組成物は、印刷版、フォトレジスト、感光性塗料、ディスプレーなどに用いられている。」
イ (第1頁右下欄第18~20行)
「このために実用上十分な程度の安定性を得ようとすれば、必然的に得られる感光性樹脂組成物の感光速度は低いものとならざるをえなかつた。」
ウ (第2頁左上欄第8行~同頁右上欄第6行)
「 本発明者らは、前記した感光性樹脂組成物の問題点を解決するために、安定剤について鋭意研究を行なつた結果、可溶性ポリマー、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物に、一般式
[図:0001418836000001.jpg]
(式中、X1はCOOR1、CONR22、CH2COOR3、CH2OH、X2はH、COOR4を示し、R1、R2、R3、R4はH、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、アラルキル基を示す)
で表わされるピリジン誘導体を0.001~5重量%含有させることによつて、前記した問題点を回避することができることを見出し、この知見をもとに本発明を完成するに到つた。本発明により得られる感光性樹脂組成物は、実質的に高められた貯蔵安定性と高い感光速度を持つ利点を有しており、技術的にかつ実際的に課されている要請を満足するものである。」
エ (第3頁右上欄第6行~同頁左下欄第12行)
「 本発明で使用されるエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸またはそのエステル、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、インプロピル、n-ヘキシル、-n-オクチル、n-ドデシル、シクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、アリル、グリシジル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-クロロ-2-ヒドロキシ、4-ヒドロキシブチルのアクリレートおよびメタクリレート、あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコールのモノまたはジアクリレートおよびメタクリレート、あるいはトリメチロール、プロパントリアクリレートおよびメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレートおよびメタクリレート等や、アクリルアミド、メタクリルアミドまたはその誘導体、たとえば、N-メチロールアクリルアミドおよびメタクリルアミド、N-メトキシアクリルアミドおよびメタクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミドおよびメタクリルアミド、N,N’-へキサメチレンビスアクリルアミドおよびメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドおよびメタクリルアミド等や、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアスレート、酢酸ビニル等を例として挙げることができる。」
オ (第3頁左下欄第13行~同頁右下欄第20行)
「 本発明で使用できる光重合開始剤としては、ベンゾインおよびその誘導体、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、・・・等を例として挙げることができる。」
カ (第4頁左上欄第16行~同頁右上欄第12行)
「 本発明において、貯蔵安定性を向上させる目的で添加されるピリジン誘導体としては、ピリジン-2-カルボン酸、ニコチン酸、・・・等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
これらのピリジン誘導体は単独で、あるいは2種類以上の組合わせで用いることができる。」
キ (第4頁右上欄17行~同頁左下欄第7行)
「 感光性樹脂組成物は、通常、可溶性ポリマー100重量部に対してエチレン性不飽和化合物10~400重量部から成り、光重合開始剤は感光性樹脂組成物の0.1~l0重量%で配合されている。前記のピリジン誘導体の配合量は、感光性樹脂組成物に対して0.001~5重量%、好ましくは0.01~1.5重量%であり、配合量がこれより少ないと十分な安定性向上の効果が得られず、また添加量をこれ以上多くしても、安定性向上の効果はあまり変わらないので、経済的に不利となり好ましくない。」
ク (第4頁右下欄第4行~第5頁右上欄第1行及び表1)
「 次に実施例により本発明を説明する。
実施例1
原料仕込量の1重量%のパラトルエンスルホン酸を触媒として、プロピレングリコール、エチレングリコール、フマル酸、アジピン酸をそれぞれモル比で0,30/0.20/0.25/0.25の割合で縮合させて酸価25の不飽和ポリエステルを得た。この不飽和ポリエステル100重量部にテトラエチレングリコールジメタクリレート40重量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレ-ト10重量部、N-3-オキソ-1,1-ジメチルブチルアクリルアミド10質量部、ベンゾインエチルエーテル2重量部と、表1に示した種々のピリジン誘導体を配合して感光性樹脂組成物を得た。
これらの感光性樹脂組成物を内径1cm、長さ10cmの試験管中に入れ、暗所で50℃の温度下に貯蔵し、樹脂の流動性がなくなるまでの時間(ゲル化時間)を測定した。
次に、水平に置いたガラス板上に12μのポリエステルフィルムを密着させ、その上に前記感光性樹脂組成物をドクターナイフで0.65mm厚にコーテイングした。次いでコーテイングされた樹脂組成物の上面を100μ厚のポリエステルフィルムで覆い、このポリエステルフィルム面より20W紫外線螢光灯を10本並列に並べた光源を用いて、10cmの距離から光照射した。露光後、ホウ砂1%を含む水溶液で未露光部を洗い落し、硬化樹脂の厚みを測定した。照射時間を変えて上記測定を繰り返すことにより、0.50mmの感光性樹脂硬化物を得るに要する照射時間(t)を求め、感光速度の目やすとした。
50℃でのゲル化時間および0.50mmの樹脂が硬化するのに要する時間の測定結果を表1に示す。
[図:0001418836000002.jpg]
」
(2)引用発明
引用文献7の上記記載事項クに基づけば、引用文献7には、試料番号4のピリジン誘導体を用いた実施例1に係る「感光性樹脂組成物」の発明として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「酸価25の不飽和ポリエステル100重量部にテトラエチレングリコールジメタクリレート40重量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレ-ト10重量部、N-3-オキソ-1,1-ジメチルブチルアクリルアミド10質量部、ベンゾインエチルエーテル2重量部と、ピリジン誘導体として、ニコチン酸0.1重量%を配合して得た感光性樹脂組成物。」
5 対比(一致点、相違点の認定)
本件発明と引用発明とを対比する。
(1)化合物A
引用発明の「ニコチン酸」は、ピリジン環構造と、官能基として-COOHを1個有している。
そうすると、引用発明の「ニコチン酸」は、本件発明の「化合物A」に相当し、「ピリジン環構造と、官能基として、1個の-COOH又は1個の-CONH2を少なくとも有する」とする要件を満たしている。
(2)アルカリ可溶性バインダーポリマー
引用発明の「不飽和ポリエステル」は、その酸価からみて、アルカリ可溶性であるといえる。
したがって、引用発明の「不飽和ポリエステル」は、本件発明の「アルカリ可溶性バインダーポリマー」に相当する。また、引用発明の「不飽和ポリエステル」は、本件発明の「但し、ポリイミド前駆体を除く。」とする要件を満たしている。
(3)エチレン不飽和化合物
引用発明の「テトラエチレングリコールジメタクリレート」は、エチレン性不飽和基であるメタクリル基を2官能有する。
したがって、引用発明の「テトラエチレングリコールジメタクリレート」は、本件発明の「エチレン性不飽和化合物」に相当し、「2官能の(メタ)アクリレート化合物」を含む点で共通している。
(4)光重合開始剤
引用発明の「ベンゾインエチルエーテル」は、引用文献7の記載事項オの記載に基づけば、「本発明で使用できる光重合開始剤」として列挙された化合物の一つである。
したがって、引用発明の「ベンゾインエチルエーテル」は、本件発明の「光重合開始剤」に相当する。
(5)感光性樹脂組成物
引用発明の「感光性樹脂組成物」は、前記(1)~(4)で検討した各成分を配合して得られたものである。そして、引用文献7における記載事項クの記載内容からみて、引用発明の「感光性樹脂組成物」は導電粒子を含むものではない。
したがって、引用発明の「感光性樹脂組成物」は、本件発明の「感光性樹脂組成物」に相当し、「但し、前記感光性樹脂組成物は導電粒子を含まない。」とする要件を満たしている。
(6)一致点及び相違点
以上より、本件発明と引用発明とは、次の点で一致し、
「 ピリジン環構造と、官能基として、1個の-COOH又は1個の-CONH2を少なくとも有する化合物A、
アルカリ可溶性バインダーポリマー(但し、ポリイミド前駆体を除く。)、
エチレン性不飽和化合物、並びに、
光重合開始剤、とを含有し、
前記エチレン性不飽和化合物が2官能の(メタ)アクリレート化合物を含む
感光性樹脂組成物(但し、前記感光性樹脂組成物は導電粒子を含まない。)。」
次の点で相違する。
[相違点]エチレン性不飽和化合物が、本件発明は、2官能の(メタ)アクリレート化合物に加えて「3官能以上の(メタ)アクリレート化合物」を含むのに対し、引用発明は、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含んでいない点。
6 判断(相違点についての検討)
上記[相違点]について検討する
引用文献7の記載事項エには、エチレン性不飽和化合物として、様々な化合物が例として挙げられており、そこには、単官能の「メチル、エチル、n-プロピル、インプロピル、n-ヘキシル、-n-オクチル、n-ドデシル、シクロヘキシル、テトラヒドロフルフリル、アリル、グリシジル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-クロロ-2-ヒドロキシ、4-ヒドロキシブチルのアクリレートおよびメタクリレート」(下線部分の記載は、引用発明に配合された「2-ヒドロキシエチルメタクリレ-ト」に該当する。)や、単官能又は2官能の「エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコールのモノまたはジアクリレートおよびメタクリレート」(下線部分の記載は、引用発明に配合された「テトラエチレングリコールジメタクリレート」に該当する。)、3官能の「トリメチロール、プロパントリアクリレートおよびメタクリレート」及び4官能の「ペンタエリトリットテトラアクリレートおよびメタクリレート」等が記載されている。
上記記載に基づけば、引用文献7には、引用発明における「エチレン性不飽和化合物」として、記載事項エに例示された化合物を採用してもよいことが示唆されているといえる。また、引用発明の「エチレン性不飽和化合物」が、「テトラエチレングリコールジメタクリレート40重量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部」を含むことからみて、上記記載は当該「エチレン性不飽和化合物」として、記載事項エに例示された化合物の中から、1分子あたりのエチレン性不飽和基の数が異なる複数の化合物を含むものでよいことも示唆していると理解できる(引用文献7の実施例2や実施例3も同様である。)。
そうすると、引用発明の「エチレン性不飽和化合物」として、引用文献7のこれらの示唆にしたがい、引用文献7に例示された3官能又は4官能のエチレン性不飽和化合物を更に加え、本件特許の上記[相違点]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、次のように考えることもできる。
引用文献7の記載事項アに「感光性樹脂組成物は、印刷版、フォトレジスト、感光性塗料、ディスプレーなどに用いられている」と記載されている。上記記載に基づけば、引用発明は、印刷版、フォトレジスト、感光性塗料、ディスプレー等、様々な用途に用いることを予定している。そして、ディスプレー等に用いられる感光性樹脂組成物において、用途に適した特性を備えるために、2官能及び3官能以上のエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を含むことは周知技術であったといえる。例えば、特開2016-34722号公報(2016年(平成28年)3月17日公開)の段落【0001】には、「本発明は、転写フィルム、透明積層体および静電容量型入力装置に関するものである。・・・より詳しくは、転写後の感光性透明樹脂層の露光後の密着性が良好であり、かつ、転写後の感光性透明樹脂層を露光した後の塩水付与後の湿熱耐性が良好である転写フィルム、この転写フィルムを用いて製造できる透明積層体、この透明積層体を含む静電容量型入力装置に関するものである。」と記載され、さらに、段落【0002】に「携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶装置などの表面にタブレット型の入力装置が配置され、液晶装置の画像表示領域に表示された指示画像を参照しながら、この指示画像が表示されている箇所に指またはタッチペンなどを触れることで、指示画像に対応する情報の入力が行えるものがある。」、段落【0003】に「このような入力装置(タッチパネル)には、抵抗膜型、静電容量型などがある。」と記載されている。そして、段落【0042】には「感光性透明樹脂層は、光重合性化合物を有することが好ましい。光重合性化合物の有する光重合性基としては特に制限は無く、エチレン性不飽和基、エポキシ基などを挙げることができる。・・・本発明の転写フィルムに使用する光重合性化合物は、3官能以上の光重合性化合物と2官能の光重合性化合物を組みあわせて使用することが転写後の感光性透明樹脂層を露光した後の塩水付与後の湿熱耐性を改善する観点から、好ましい。・・・本発明の転写フィルムは、前述の光重合性化合物として、2つのエチレン性不飽和基を有する化合物および少なくとも3つのエチレン性不飽和基を有する化合物を少なくとも含むことが好ましく、2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物および少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含むことがより好ましい。」と記載されている。また、国際公開第2019/102771号(2019年(令和元年)5月31日国際公開)の段落[0002]には、「静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線などの導電層パターンがタッチパネル内部に設けられている。・・・感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けた感光性樹脂組成物の層に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光した後に現像する方法が広く使用されている。」と記載されており、段落[0093]には、「上記感光層は、硬化膜の塩水付与後の湿熱耐性をより向上する観点から、2官能のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、2官能の(メタ)アクリレート化合物)と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物)と、を含有することが特に好ましい。」と記載されている。
そうすると、引用発明のエチレン性不飽和化合物として、周知技術を適用し、2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物とを含有させて、相違点1に係る本件発明の構成に想到することは、当業者が容易になし得たことである。
なお、本願の実施例を含む明細書等の記載を参酌しても、2官能の(メタ)アクリレート化合物と3官能以上の(メタ)アクリレート化合物とを含む本件発明の構成による効果(2官能と3官能以上の併用効果)は確認できない。
7 むすび(結論)
上記のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-015688