特許拒絶査定不服審判
2024-010699
自己接着性ルーフィングシート
- 審判番号
- 2024-010699
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-149051
- 請求日
- 2024年06月27日
- 審決日
- 2026年02月10日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】鶴田 準一
- 【請求人代理人】渡辺 陽一
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】中村 和広
- 【請求人代理人】関根 宣夫
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 浩
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 野村 伸雄
- 分類
- P18 .121-Z (E04D) / P18 .575-Z (E04D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-149051「自己接着性ルーフィングシート」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月21日出願公開、特開2020- 76289〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年8月15日の出願(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年8月17日、中国)であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和元年 8月29日 :翻訳文の提出
令和5年 9月 5日付け:拒絶理由通知書
同年12月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 2月19日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月27日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年10月23日付け:前置報告書
同年12月18日 :上申書の提出
以下、2018年(平成30年)8月17日を「優先日」という。
第2 令和6年6月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月27日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年6月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年12月11日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「i.第1及び第2の主表面を有するポリ塩化ビニル系防水層(2)と、
ii.前記防水層(2)の前記第2の主表面の少なくとも一部に被覆されて、これを覆う接着剤層(3)と
を含む自己接着性ルーフィングシート(1)であって、
前記接着剤層がアクリル感圧接着剤であり、前記接着剤層の総重量に基づいて、少なくとも85重量%の少なくとも1つのアクリルポリマーを含むことを特徴とする、自己接着性ルーフィングシート(1)。」
(2) 本件補正後
「i.第1及び第2の主表面を有するポリ塩化ビニル系防水層(2)と、
ii.前記防水層(2)の前記第2の主表面の少なくとも一部に被覆されて、これを覆う接着剤層(3)と
を含む自己接着性ルーフィングシート(1)であって、
前記接着剤層がアクリル感圧接着剤であり、前記接着剤層の総重量に基づいて、少なくとも85重量%の少なくとも1つのアクリルポリマーを含むことを特徴とし、
ここで、前記防水層(2)は、全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、
a)25~65重量%のポリ塩化ビニル樹脂と、
b)15~50重量%の少なくとも1つの可塑剤と、
c)0~30重量%の少なくとも1つの不活性無機フィラーと、
を含み、
前記接着剤層は、粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分、並びに紫外線光吸収剤、紫外線及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤を含む、自己接着性ルーフィングシート(1)。」
2 補正の目的
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「防水層」について、「全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、a)25~65重量%のポリ塩化ビニル樹脂と、b)15~50重量%の少なくとも1つの可塑剤と、c)0~30重量%の少なくとも1つの不活性無機フィラーと、を含[む]」に限定するとともに、「接着剤層」について、「粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分、並びに紫外線光吸収剤、紫外線及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤を含む」に限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献2の記載事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である国際公開第98/056866号(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(イ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。また、括弧内の翻訳は、当合議体が作成したものである。引用文献の参照番号は、前置審査を含めた審査段階と審判段階で共通のものとするため、「引用文献2」の表記とした。当審において新たに引用するほかの文献についても同様である。)。
「
[図:0001436637000001.jpg]
[図:0001436637000002.jpg]
[図:0001436637000003.jpg]
」(4頁6行~6頁15行
訳:【発明を実施するための形態】
図1を参照すると、感圧接着構造体10は、乾燥した感圧接着剤12の層と、接着剤層12の一方の側に配置された剥離ライナー14とを含む。剥離ライナー14は、基材と接合するために除去されるまで、接着剤層12の一方の表面を保護しうる。
接着剤層12は、多成分の溶剤系接着剤システム又は水系接着剤システムであってよく、好ましくは溶剤系接着剤システムである。主たる接着成分は、例えば、ビニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートの重合体形態などのアクリル系接着剤、又はスチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、ブチルゴム、ネオプレン、イソプレン、もしくはそれらの混合物などのゴム系接着剤であってもよい。接着剤はまた、フェノール系、テルペン系、又は炭化水素系タック化樹脂(例えば、CS)などの樹脂系を含んでいてもよい。
液状形態では、感圧接着剤は溶剤を含んでいてもよい。適切な溶剤としては、エチルアルコール、トルエン/ヘプタン、ヘキサン、その他アクリル樹脂を溶解しうる任意の溶剤が挙げられる。溶剤系接着剤の溶剤含有量は、例えば、約45%~約65%の範囲であってよい。溶剤系接着剤の粘度は、約2,000~10,000センチポイズ、好ましくは約4,000~6,000センチポイズであってよい。乾燥形態では、感圧接着剤は、例えば、1%未満の溶剤しか含有しないようにしてもよい。
接着剤の剥離接着力は、厚さ1ミルで測定し、標準試験基材としてステンレス鋼板を用いる感圧テープ協議会(PSTC)試験PSTC-1に従って試験した場合、約2.5~3.5ポンド/インチの範囲である。硬化した接着剤のウィリアムズ可塑度指数は、ASTM-D926により求めて、通常、約3.0~約5.0ミリメートルの範囲である。適切な溶剤系接着剤としては、例えば、屋根用膜用途にはAvery 351-HVX(ペンシルベニア州ミルホール、Avery Dennison社製)、高圧ラミネート用途にはPolytac 414X2.2(ニュージャージー州トトワ、H&N Chemical社製)などが挙げられる。
接着剤層12の厚さは、1ミル~10ミルの範囲であってよく、好ましくは3ミル~6ミルの範囲、さらに好ましくは4ミル~5ミルの範囲である。
接着剤は、被覆層又は基材の表面官能基(例えば、水酸基)と架橋しうる架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤は、表面水酸基と反応しうるイソシアネート、エポキシド、又はその他の官能基を有する多官能モノマーを含んでいてもよい。架橋剤は、例えば、メチルジフェニルイソシアネートであってもよい。イソシアネート官能基は、表面水酸基と反応してカルバメート(すなわち、ウレタン)結合を形成する。架橋剤は、被覆層から溶出しうる物質(すなわち可塑剤)による、接着剤の接着特性の劣化に対する安定性を接着剤に付与する。シングルプライ屋根用膜のポリマ膜は可塑剤を含んでいてもよく、架橋剤により、シングルプライ屋根用膜における接着結合の安定性が向上する。
高圧ラミネートを接着するための感圧接着剤は、0~250°Fの温度範囲で、高圧ラミネートを合板表面に接着した状態から該高圧ラミネートを合板から剥がそうとした場合に、該高圧ラミネート自体が破断する程度に十分な剥離力を有していてもよい。高圧ラミネートを接着するための接着剤は、また、耐水性、耐薬品性、耐温度性及び耐カビ性を有していてもよい。
感圧接着剤はまた、溶剤、安定剤、界面活性剤、防腐剤、分散剤及び消泡剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。安定剤は、接着剤に凍結融解安定性を付与しうる。適切な安定剤の一例はエチレングリコールである。界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であってもよい。防腐剤(例えば、有機防腐剤)は、藻類、真菌又は細菌の成長を阻害しうる。分散剤は、芳香族スルホン酸及びその塩、ポリカルボン酸、又は無機ポリリン酸塩であってもよい。消泡剤は、気泡生成及び発泡を低減することにより、混合などの接着剤の取扱いを容易にしうる。剥離ライナー14は、従来の剥離材から形成されていてもよい。例えば、剥離ライナー14は、ライナーの剥離特性を調整するためにポリシロキサンの単一層で被覆された紙又はフィルムであってもよい。剥離ライナー14の好ましい材料の一つは、試験手順PSTC-4に従って約30グラム/インチの剥離値を有するポリシロキサン被覆紙である(例えば、Rexam社(イリノイ州ベッドフォードパーク)から入手可能なRexam Releaseグレード1170 S 76#BL KFT L/L 4D/4F)。
図2を参照すると、乾燥した感圧接着剤層12及び剥離ライナー14を有する接着構造体10は、被覆層16の表面に貼り付けられて接着被覆層20を形成してもよい。あるいは、液状の感圧接着剤層12を被覆層16の表面に塗布し、これを乾燥させた後、剥離ライナー14で覆ってもよい。被覆層16は、接着剤を用いて基材に接着されうる部材である。被覆層16は、例えば、高圧ラミネート又はシングルプライ屋根用膜として機能しうるポリマ膜であってもよい。ポリマ膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ハイパロン(DuPont社製)、エルバロイ可塑剤(エチレン共重合体、DuPont社製)との共重合体アロイ、ニトリルブタジエン共重合体、ポリイソブチレン、熱可塑性オレフィン、エチレンインターポリマー、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。高圧ラミネートは、上層、補強層及び下層(例えば、フォーミカ)を含んでいてもよい。
剥離ライナー14を除去して感圧接着剤層12を露出させ、これを基材表面に圧着することにより、被覆層16を基材に接着することができる。接着剤層12は、好ましくは、被覆層(例えば、屋根用膜又は高圧ラミネート)が、過酷な条件下においても基材(例えば、屋根下葺き材又は合板裏打ち材)から浮き上がるのを防止しうるに足る強度で被覆層16に接着する。
図3を参照すると、被覆層16は、下層22、補強層24及び上層26と、接着構造体10とを含んで補強接着被覆層30を形成してもよい。下層22の一方の表面は、剥離ライナー14とは反対側の接着構造体10の接着剤層12に接着される。)
「
[図:0001436637000004.jpg]
」
(イ) 引用発明の認定
前記(ア)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には図1及び図2に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「乾燥した感圧接着剤層12及び剥離ライナー14を有する接着構造体10は、被覆層16の表面に貼り付けられ、
感圧接着剤層12は、ビニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートの重合体形態などのアクリル系接着剤であり、
乾燥形態では、感圧接着剤は、1%未満の溶剤しか含有せず、
感圧接着剤は、安定剤、などの他の添加剤を含んでおり、
被覆層16から可塑剤が溶出するものであり、
被覆層16は、ポリ塩化ビニルを含んでおり、屋根用膜であり、
剥離ライナー14を除去して感圧接着剤層12を露出させ、これを基材表面に圧着することにより、被覆層16を基材に接着することができる
接着被覆層20。」
イ 引用文献5及び6に記載された事項並びに周知技術1の認定
(ア)a 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2008-239732号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【0011】
本発明の防水シートは、耐候性に優れたものであり、陸屋根等の防水シートとして好適に用いることができる。」
「【0015】
本発明に使用される(B)可塑剤としては、通常塩化ビニル系樹脂に用いられる可塑剤を任意に使用することができ、例えば、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジオクタデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、フェノール・レゾルシノールポリホスフェート、フェノール・ビスフェノールAポリホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;多価アルコールとしてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロピレングリコール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等と、二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等とを用い、必要により一価アルコール及び/又はモノカルボン酸をストッパーに使用したポリエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等のエポキシ化植物油;その他、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤の中でも、フタル酸及び炭素原子数8~13のアルコール、特に炭素原子数9~11のアルコールから得られるフタル酸エステル系可塑剤、とりわけ、ジイソノニルフタレート、ジウンデシルフタレートを使用することが、特に耐候性に優れた防水シートが得られるので好ましい。」
「【0049】
次に、実施例及び比較例によって本発明の防水シートを更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等によって制限を受けるものではない。
尚、下記実施例1は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物からなる防水シートの実施例を示し、下記比較例1~5は、本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物とは異なるヒンダートアミン化合物及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合した塩化ビニル系樹脂組成物からなる防水シートの実施例を示す。
【0050】
〔実施例1及び比較例1~5〕
(A)塩化ビニル樹脂(平均重合度1000)100重量部に、(B)ジイソノニルフタレート62重量部、炭酸カルシウム 5重量部、二酸化チタン 5重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 2重量部、ハイドロタルサイト 2重量部、ステアリン酸亜鉛 1重量部、βジケトン 0.1重量部、アルキルホスフェート 1重量部、ジプロピレングリコール-ビス(ジフェニルホスファイト) 0.5重量部及び表1記載の耐候剤を配合して180℃で7分間ロール混練し0.7mm厚のシートを作成した。これらのシートを張り合わせて180℃で5分間プレス加工を行い、厚さ1mmのシートを得た。得られたシートをメタルウェザー試験(ダイプラ・ウィンテック社製 試験条件Lightのみ BP 63℃ 湿度50%RH spray Light 2hr中 120sec.)で表面が黄色に着色するまでの時間を測定し、耐候性として評価した。評価結果を下記〔表1〕に示す。
【0051】
[図:0001436637000005.jpg]
」
b 引用文献5に記載された事項から把握できる事項
実施例1の防水シートの全重量は、179.6重量部であり、塩化ビニル樹脂は、100重量部、可塑剤であるジイソノニルフタレートは、62重量部、炭酸カルシウムは、5重量部であることから、防水シートの全重量に対し、55.7重量%の塩化ビニル樹脂と、34.5重量%の可塑剤であるジイソノニルフタレートと、2.8重量%の炭酸カルシウムを含む屋根の防水シートが把握できる。
(イ)a 引用文献6に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開平4-159351号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。
「(産業上の利用分野)
本発明は、屋外屋根防水工事、屋内貯水槽、プール、蓄熱槽等に使用できる被膜防水シート材料に関するものである。」(1頁左下欄13~16行)
「(実施例)
以下、本発明を次の実施例及び比較例により説明する。
被膜防水シートの作成
第1表に示す配合割合で、ポリ塩化ビニルに各種ポリエステル系可塑剤と大分子量フタル酸エステル系可塑剤(ここではDUP:フタル酸ジウンデシルを使用)とを単独又は併用で配合し、ヘンシェルミキサーを用いてコンパウンドを製造し、該コンパウンドを110mm異方向二軸押出機にて、1.5mm厚みのシート状となるように押出成形した。
比較のため、上記と同様の製造方法にて、汎用の小分子量フタル酸エステル系可塑剤(ここではDOP ニジ(2-エチルへキシル)フタレート及びDINPニジイソノニルフタレートを使用)をポリ塩化ビニルに配合し、同様のシートを作成した。これらの配合比について第1表に示す。
[図:0001436637000006.jpg]
*1 ポリ塩化ビニル:平均重合度Pf= 1300の懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂
*2 ポリエステル系A:アジピン酸-1,6-ヘキサンジオール系 平均分子量2600のポリエステル系可塑剤
*3 ポリエステル系B:アジピン酸-ネオペンチルグリコール系 平均分子量2600のポリエステル系可塑剤
*4 ポリエステル系C:セバシン酸-1,6-ヘキサンジオール系 平均分子量6000のポリエステル系可塑剤
*5 紫外線吸収剤:チヌビンP(チハーガイキー社製トリアゾール系紫外線吸収剤)
*6 ポリエチレン系ワックス:低密度ポリエチレンワックス
*7 顔料、塩素法ルチルタイプ酸化チタン0.5重量部、カーボンブラック0.5重量部
*8 炭酸カルシウム:白艶華cc(白石工業社製)
フタル酸エステル系可塑剤の分子量は、以下の通りである。
DLIP : 474
DOP (比較例): 390
DINP ( 〃 ): 418
得られた各シートについて、JIS-A 6008(合成高分子ルーフインク)に準じて引張りテストを行って引張強度、引張伸度、100%モジュラスを測定し、また、JIS-K 6301(加硫ゴム試験法)に準して硬度測定を行い、第2表に示す結果を得た。」(3右上欄8行~4頁右上欄10行)
b 引用文献6に記載された事項から把握できる事項
実施例1~5の被膜防水シートの全重量は、179.2重量部であり、ポリ塩化ビニル樹脂は、100重量部、可塑剤は、60重量部、炭酸カルシウムは、10重量部であることから、防水シートの全重量に対し、55.8重量%のポリ塩化ビニル樹脂と、33.5重量%の可塑剤と、5.6重量%の炭酸カルシウムを含む屋根の防水シートが把握できる。
(ウ) 周知技術1の認定
前記(ア)及び(イ)に示した引用文献5及び6の摘記事項及び把握できる事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。
<周知技術1>
「防水シートの全重量に対し、ポリ塩化ビニル樹脂のシートとして、55.7~55.8重量%のポリ塩化ビニル樹脂と、33.5~34.5重量%の可塑剤と、2.8~5.6重量%の炭酸カルシウムとを含む屋根の防水シート」
(2) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 本件補正発明の「i.第1及び第2の主表面を有するポリ塩化ビニル系防水層(2)と、」「を含む」の特定事項について
引用発明の「被覆層16」は、「ポリ塩化ビニルを含んでおり」、ポリ塩化ビニルは、防水性を持つ素材であることは、技術常識であり、さらに、「被覆層16」は、層であることから、第1及び第2の主表面を有することは自明である。
そうすると、引用発明の「ポリ塩化ビニルを含[む]」「被覆層16」は、本件補正発明の「i.第1及び第2の主表面を有するポリ塩化ビニル系防水層(2)」に相当する。
したがって、引用発明は、前記特定事項を備える。
(イ) 本件補正発明の「ii.前記防水層(2)の前記第2の主表面の少なくとも一部に被覆されて、これを覆う接着剤層(3)と、」「を含む」の特定事項について
引用発明の「感圧接着剤層12」は、本件補正発明の「接着剤層(3)」に相当する。
そして、引用発明の「感圧接着剤層12」は、「被覆層16の表面に貼り付けられ[る]」ものであから、本件補正発明の「前記防水層(2)の前記第2の主表面の少なくとも一部に被覆されて、これを覆う接着剤層(3)」に相当する。
したがって、引用発明は、前記特定事項を備える。
(ウ) 本件補正発明の「自己接着性ルーフィングシート(1)」の特定事項について
引用発明の「接着被覆層20」は、「剥離ライナー14を除去して感圧接着剤層12を露出させ、これを基材表面に圧着することにより、被覆層16を基材に接着することができる」ものであることから、自己接着性を有するシートといえる。
そして、引用発明の「接着被覆層20」の「被覆層16」は、防水性を有する「ポリ塩化ビニルを含[み]」、「屋根用膜であ[る]」から、屋根の下に敷かれる防水シートであるといえる。したがって、引用発明の「接着被覆層20」は、ルーフィングシートである。
そうすると、引用発明の「接着被覆層20」は、本件補正発明の「自己接着性ルーフィングシート(1)」に相当する。
したがって、引用発明は、前記特定事項を備える。
(エ) 本件補正発明の「前記接着剤層がアクリル感圧接着剤であり、前記接着剤層の総重量に基づいて、少なくとも85重量%の少なくとも1つのアクリルポリマーを含むことを特徴とし、」の特定事項について
a 引用発明の「感圧接着剤層12」は、「アクリル系接着剤であ[る]」から、本件補正発明の「アクリル感圧接着剤であ[る]」「接着剤層」に相当する。
b 引用発明の「感圧接着剤層12」は、「ビニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートの重合体形態などのアクリル系接着剤」であることから、本件補正発明の「少なくとも1つのアクリルポリマーを含む」「接着剤層」に相当する。
c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、前記特定事項の観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。
(a) 前記特定事項の観点での一致点
「前記接着剤層がアクリル感圧接着剤であり、」「少なくとも1つのアクリルポリマーを含むことを特徴と[する]」点。
(b) 前記特定事項の観点での相違点
アクリルポリマーについて、本件補正発明は、
「前記接着剤層の総重量に基づいて、少なくとも85重量%」「含む」ものであるのに対して、
引用発明は、
そのようなものか明らかでない点。
(オ) 本件補正発明の「ここで、前記防水層(2)は、全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、a)25~65重量%のポリ塩化ビニル樹脂と、b)15~50重量%の少なくとも1つの可塑剤と、c)0~30重量%の少なくとも1つの不活性無機フィラーと、を含み、」の特定事項について
a 引用発明の「被覆層16」が「含[む]」「ポリ塩化ビニル」は、本件補正発明の「防水層(2)」が「含[む]」「ポリ塩化ビニル樹脂」に相当する。
b 引用発明は、「被覆層16から可塑剤が溶出するもの」なので、「被覆層16」は「可塑剤」を含んでいるといえる。
c 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、前記特定事項の観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。
(a) 前記特定事項の観点での一致点
「ここで、前記防水層(2)は、」「a)」「ポリ塩化ビニル樹脂と、」「b)」「可塑剤と、」「を含[む]」ものである点。
(b) 前記特定事項の観点での相違点
防水層(2)が、本件補正発明は、ポリ塩化ビニル樹脂を「全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、」「25~65重量%」含むものであり、可塑剤を「全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、」「15~50重量%」含むものであり、さらに、「全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、」「c)0~30重量%の少なくとも1つの不活性無機フィラーと、を含[む]」ものであるのに対して、
引用発明は、
ポリ塩化ビニル及び可塑剤を含むものの、各成分の割合が明らかでない点。
(カ) 本件補正発明の「前記接着剤層は、粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分、並びに紫外線光吸収剤、紫外線及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤を含む」の特定事項について
本件補正発明と引用発明は、前記特定事項の観点において次の点において相違する。
接着剤層について、本件補正発明は、
「粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分、並びに紫外線光吸収剤、紫外線及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤を含む」ものであるのに対して、
引用発明は、
安定剤、などの他の添加剤を含んでいる点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「i.第1及び第2の主表面を有するポリ塩化ビニル系防水層(2)と、
ii.前記防水層(2)の前記第2の主表面の少なくとも一部に被覆されて、これを覆う接着剤層(3)と
を含む自己接着性ルーフィングシート(1)であって、
前記接着剤層がアクリル感圧接着剤であり、少なくとも1つのアクリルポリマーを含むことを特徴とし、
ここで、前記防水層(2)は、
a)ポリ塩化ビニル樹脂と、
b)少なくとも1つの可塑剤と、
を含む、自己接着性ルーフィングシート(1)。」である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
アクリルポリマーについて、本件補正発明は、「前記接着剤層の総重量に基づいて、少なくとも85重量%」「含む」ものであるのに対して、引用発明は、そのようなものか明らかでない点。
b 相違点2
防水層(2)が、本件補正発明は、ポリ塩化ビニル樹脂を「全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、」「25~65重量%」含むものであり、可塑剤を「全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、」「15~50重量%」含むものであり、さらに、「全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、」「c)0~30重量%の少なくとも1つの不活性無機フィラーと、を含[む]」ものであるのに対して、引用発明は、ポリ塩化ビニル及び可塑剤を含むものの、各成分の割合が明らかでない点。
c 相違点3
接着剤層について、本件補正発明は、「粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分、並びに紫外線光吸収剤、紫外線及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤を含む」ものであるのに対して、引用発明は、安定剤、などの他の添加剤を含んでいる点。
(3) 判断
ア 相違点1について
引用発明の「感圧接着剤層12」は、「1%未満の溶剤しか含有」しない「ビニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートの重合体形態などのアクリル系接着剤」であるから、引用発明の「感圧接着剤層12」の「ビニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートの重合体形態などのアクリル系接着剤」は、少なくとも85重量%の少なくとも1つのアクリルポリマーを含んでいる蓋然性が高い。
仮に、そうでなくても、接着剤において接着性の向上は、周知の課題であって、接着剤層が、少なくとも85重量%の少なくとも1つのアクリルポリマーを含む点について、本願明細書には何ら技術的意義や臨界的効果も記載されていないから、当該「感圧接着剤層12」が、少なくとも85重量%の高濃度のアクリルポリマーを含むようにすることは、当業者が適宜、設計し得ることにすぎない。
イ 相違点2について
引用発明の「被覆層16」は、「ポリ塩化ビニルを含んでおり」、また、「被覆層16から可塑剤が溶出するものであ[る]」から、可塑剤を含んでいるものの、その他の成分も含め各成分の割合が不明であるとところ、当業者は、「被覆層」の成分をどの程度の割合と決定するという動機を有するといえる。
そして、前記(1)イ(ウ)の周知技術1で説示したように、防水シートの全重量に対し、ポリ塩化ビニル樹脂のシートとして、55.7~55.8重量%のポリ塩化ビニル樹脂と、33.5~34.5重量%の可塑剤と、2.8~5.6重量%の炭酸カルシウムとを含む屋根の防水シートは、周知技術である。
そうすると、前記動機を有する当業者は、引用発明に、前記周知技術を採用すること、すなわち、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
(ア)a 引用発明は、「乾燥した感圧接着剤層12及び剥離ライナー14を有する接着構造体10は、被覆層16の表面に貼り付けられ、」「被覆層16から可塑剤が溶出するものであ[る]」。
そして、被覆層16の表面に貼り付けられた感圧接着剤層12は、被覆層16から溶出した可塑剤を含むと考えるのが自然である。
したがって、引用発明の「感圧接着剤層12」は、本件補正発明の「粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分」「を含む」「接着剤層」に相当する。
b 仮にそうでなくても、接着剤に、柔軟性や加工性を高めるために少量の可塑剤を含ませることは、技術常識であり、引用発明の感圧接着剤層12に少量の可塑剤を含ませることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 引用発明の「感圧接着剤層12」は、「感圧接着剤は、安定剤、などの他の添加剤を含んで」いる。
そして、引用発明の「被覆層16」は、「屋根用膜」であることから、「接着被覆層20」が、紫外線や温度の変化にさらされることは、自明である。
そうすると、引用発明の「安定剤」として、紫外線及び熱による劣化を防止するものを選択することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) そうすると、前記(ア)及び(イ)から、引用発明を、相違点3に係る本件補正発明の構成にすることは、当業者が、容易に想到し得たことにすぎない。
エ 総合評価
前記ア~ウにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張1
a 請求人の主張の内容
本件補正発明で規定するルーフィングシートの接着剤層が「粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分、並びに紫外線光吸収剤、紫外線及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤」を含むことに対して、引用文献2、5、6には、教示されていない旨主張する。
b 請求人の主張についての検討
しかしながら、前記ウで説示したとおりである。
したがって、請求人の主張は失当である。
(イ) 請求人の主張2
a 請求人の主張の内容
防水層であるPVC膜と、感圧接着剤である水性アクリル分散系感圧接着剤との組み合わせ(本願発明の実施例の構成)は、引用文献2には開示されておらず、また、これら特定の組み合わせによる耐剥離性の効果についても引用文献2には、当然開示されていない旨主張する。
b 請求人の主張についての検討
しかしながら、本件補正発明には、アクリル感圧接着剤については特定されているものの、水性アクリル分散系感圧接着剤については特定されておらず、当該主張は、本件補正発明に基づかない主張である。
したがって、請求人の主張は失当である。
(ウ) 請求人の主張3
a 請求人の主張の内容
引用文献2、5及び6には、補正後請求項1で規定する接着剤層が少なくとも85重量%の少なくとも1つのアクリルポリマーを含むことについては、何ら開示がない旨主張する。
b 請求人の主張についての検討
しかしながら、前記アで説示したとおりである。
したがって、請求人の主張は失当である。
オ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(5)オのとおり、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由のうち理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由5(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献2に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献2.国際公開第98/056866号
3 引用文献2に記載された事項及び引用発明の認定
引用文献2に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(1)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「前記防水層(2)は、全ての割合が前記防水層(2)の全重量に基づいて、a)25~65重量%のポリ塩化ビニル樹脂と、b)15~50重量%の少なくとも1つの可塑剤と、c)0~30重量%の少なくとも1つの不活性無機フィラーと、を含[む]」との限定及び「当該接着剤層は、粘着付与樹脂、ワックス、及び可塑剤から選択される1又は複数の追加的な成分、並びに紫外線光吸収剤、紫外線及び熱安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、及び乾燥剤から選択される1又は複数の添加剤を含む」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(3)において説示したとおり、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるところ、本願発明は、本件補正発明から前記限定を省いたことにより、本願発明と引用発明との相違点は第2の3(3)の相違点1のみとなることから、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-010699