特許拒絶査定不服審判
2024-010615
音声出力装置
- 審判番号
- 2024-010615
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-535930外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年06月26日
- 審決日
- 2025年03月25日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】深▲セン▼市韶音科技有限公司
- 【請求人代理人】田邊 淳也
- 分類
- P18 .121-Z (H04R) / P18 .57 -Z (H04R)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2022-535930「音声出力装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月17日国際公開、WO2021/114259、令和 5年 2月15日特許出願公表、特表2023-506216〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)12月13日を国際出願日とする出願であって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
令和4年 7月24日 :手続補正書及び上申書の提出
令和5年 7月19日付け:拒絶理由の通知
同年12月22日 :手続補正書及び意見書の提出
令和6年 2月20日付け:拒絶査定
同年 6月26日 :審判請求書及び手続補正書の提出
同年 8月19日付け:前置報告
第2 令和6年6月26日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月26日に提出された手続補正書による手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
令和6年6月26日に提出された手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~14を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~14に補正するものであって、本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1とする以下の補正を含むものである。(下線は、本件補正により補正された箇所を示すために当審が付したものである。また、記号「A」~「F」は、分説するために当審が付したものであり、記号「A」~「F」に対応する発明特定事項を、以下「構成A」~「構成F」という。)
(1) 本件補正前の請求項1
「A 制御信号を生成するように構成された信号処理モジュールと、
B 前記信号処理モジュールに電気的に接続されて前記制御信号を受信する振動ユニットを含み、前記制御信号に基づいて骨伝導音波を生成するように構成された振動スピーカーと、
C 前記振動ユニットに結合され、前記骨伝導音波に基づいてまたは前記振動ユニットの駆動で空気伝導音波を生成するハウジング、前記ハウジングに接続された振動膜、および前記振動膜に接続され、前記信号処理モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受信して、前記振動膜に空気伝導音波を生成させるコイルを含むように構成された空気伝導スピーカーと、
D を含み、
E 前記振動スピーカーと前記空気伝導スピーカーは、機械的構造により結合され、当該機械的構造によって前記骨伝導音波は、少なくとも部分的に入力信号として前記空気伝導スピーカーに入力されることを特徴とする、
F 音声出力装置。」
(2) 本件補正後の請求項1
「A 制御信号を生成するように構成された信号処理モジュールと、
B’ 前記信号処理モジュールに電気的に接続され前記制御信号を受信する振動ユニットを含み、前記制御信号に基づいて第1の機械的振動を発生させ、前記第1の機械的振動によって骨伝導音波を生成するように構成された振動スピーカーと、
C’ 前記振動ユニットを収容し、前記振動ユニットに結合され、前記第1の機械的振動の駆動下で、前記第1の機械的振動の二次共振システムとして機能して空気伝導音波を生成および増幅し、前記空気伝導音波の振幅が少なくとも低周波数範囲において前記骨伝導音波の振幅よりも高くなるようにするハウジングを含むように構成された空気伝導スピーカーと、
D’ を含む
F 音声出力装置。」
2 補正の適否について
(1) 補正事項
本件補正は、上記1の(2)のとおり、以下の補正を行うものである。
ア 補正前の請求項1における構成Bの「前記信号処理モジュールに電気的に接続されて」の記載を「前記信号処理モジュールに電気的に接続され」に変更するとともに、構成Bの「骨伝導音波を生成する」の記載の前に、「第1の機械的振動を発生させ、前記第1の機械的振動によって」を追記する補正。
イ 補正前の請求項1における構成Cの「前記振動ユニットに結合され」の前に「前記振動ユニットを収容し、」の記載を追記する補正。
ウ 補正前の請求項1における構成Cの「前記骨伝導音波に基づいてまたは」の記載を削除する補正。
エ 補正前の請求項1における構成Cの「前記振動ユニットの駆動で空気伝導音波を生成」の記載を「前記第1の機械的振動の駆動下で、前記第1の機械的振動の二次共振システムとして機能して空気伝導音波を生成」に変更する補正。
オ 補正前の請求項1における構成Cの「空気伝導音波を生成」の記載の後に「および増幅し、前記空気伝導音波の振幅が少なくとも低周波数範囲において前記骨伝導音波の振幅よりも高くなるように」を追記する補正。
カ 補正前の請求項1における構成Cの「、前記ハウジングに接続された振動膜、および前記振動膜に接続され、前記信号処理モジュールに電気的に接続され、前記制御信号を受信して、前記振動膜に空気伝導音波を生成させるコイル」の記載を削除する補正。
キ 補正前の請求項1における構成Eを削除するとともに、当該削除に伴って、構成Dの「を含み、」の記載を「を含む」に変更する補正。
(2) 補正の目的
ア 上記(1)アの補正について
補正前の請求項1における「骨伝導音波を生成する」ことが、上記(1)アの補正により、補正前の「前記制御信号に基づいて」なされることから、補正後の「前記制御信号に基づいて第1の機械的振動を発生させ、前記第1の機械的振動によって」なされることに限定されており、補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、上記(1)アの補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
イ 上記(1)イの補正について
補正前の請求項1における「ハウジング」について、上記(1)イの補正により、「前記振動ユニットを収容」することが限定されており、補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、上記(1)イの補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ 上記(1)ウの補正について
補正前の請求項1における「前記骨伝導音波に基づいてまたは前記振動ユニットの駆動で空気伝導音波を生成するハウジング」について、上記(1)ウの補正により、「または」の記載により択一的に特定されていた「前記骨伝導音波に基づいてまたは」の記載を、削除することにより、「または」の記載以降に特定されていた事項に限定するものであり、補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、上記(1)ウの補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
エ 上記(1)エの補正について
補正前の請求項1における「空気伝導音波を生成」することについて、上記(1)エの補正により、補正前の「前記振動ユニットの駆動で」なされることから、補正後の「前記第1の機械的振動の駆動下で、前記第1の機械的振動の二次共振システムとして機能して」なされることに変更されている。
補正後の請求項1では、「前記第1の機械的振動」は、構成B’の「振動ユニット」で発生されると解されるから、補正前後で「振動ユニット」により「空気伝導音波」が「生成」されることに変わりない。
そうすると、上記変更は、補正前の請求項1における「空気伝導音波を生成」することについて、「前記第1の機械的振動の駆動下で、前記第1の機械的振動の二次共振システムとして機能」する点で限定するものといえる。
そして、補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、上記(1)エの補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
オ 上記(1)オの補正について
補正前の請求項1における「空気伝導音波を生成するハウジング」について、上記(1)オの補正により、「空気伝導音波」の「増幅」を行うこと、及び、「前記空気伝導音波の振幅が少なくとも低周波数範囲において前記骨伝導音波の振幅よりも高くなるように」することが限定されており、補正前後で、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、上記(1)オの補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
カ 上記(1)カの補正について
補正前の請求項1における「空気伝導スピーカー」は、「振動膜」、及び「コイルを含むように構成され」ることが特定されていたが、上記(1)カの補正により、当該「振動膜」、及び「コイル」を有しない「空気伝導スピーカー」も含むものとなり、特許請求の範囲が拡張されている。
そして、当該補正が、特許請求の範囲の減縮、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しないことは明らかである。
キ 上記(1)キの補正について
補正前の請求項1における「振動スピーカー」と「空気伝導スピーカー」は、「機械的構造により結合され、当該機械的構造によって前記骨伝導音波は、少なくとも部分的に入力信号として前記空気伝導スピーカーに入力される」ことが特定されていたが、上記(1)キの補正により、「振動スピーカー」と「空気伝導スピーカー」として、「機械的構造により結合され」ておらず、「当該機械的構造によって前記骨伝導音波は、少なくとも部分的に入力信号として前記空気伝導スピーカーに入力され」ないものも含むものとなり、特許請求の範囲が拡張されている。
そして、当該補正が、特許請求の範囲の減縮、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しないことは明らかである。
3 結語
上記2(2)カ、キのとおり、本件補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、及び、明りょうでない記載の釈明のいずれの目的にも該当しない補正事項を含むから、特許法第17条の2第5項に規定する要件に適合しないものである。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年6月26日に提出された手続補正書による手続補正は上記第2のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし14に係る発明は、令和5年12月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2における「1 本件補正の内容」の「(1) 本件補正前の請求項1」に記載したとおりである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定(令和6年2月20日付け拒絶査定)における拒絶の理由は、概略、「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項1に係る発明に対して、以下の引用文献1、6が引用された。
引用文献1:国際公開第2018/079340号
引用文献6:特開2004-274593号公報
3 引用発明
(1) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1(国際公開第2018/079340号(2018年(平成30年)5月3日公開))には、「骨伝導スピーカ」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審において付した。以下、同様。)
ア 「[0001] 本発明は骨伝導スピーカに関するものであり、より詳細には、周波数特性の改善を図った骨伝導スピーカに関するものである。
[0002] 屋外でヘッドホンやスピーカを使用する場合、耳を塞いでしまうことが問題視されるようになり、その解決策として、耳孔を塞がなくても音声伝達を行うことができる骨伝導タイプのヘッドホンが提案されている。本来骨伝導ヘッドホンは、音声振動を頭蓋骨を経由して直接神経に伝達するものであるので、鼓膜を経由することなく情報を伝達することが可能であるが、その場合の伝達周波数特性は、通常の鼓膜経由の周波数特性に比較して、低周波帯域及び高周波帯域で劣っていることが知られている(RETFL(Reference equivalent threshold level)として公表されている。)。」
イ 「[0007] 上述したように、従来のダイナミックタイプの骨伝導スピーカの場合は、構造上ケース全体が振動するため、周囲への音漏れが大きくなりやすく、振動面がケースの一部であって形状上制約が伴うために、周波数特性を自由に選ぶことが難しく、更に、振動面が人体に接触する構造とした場合に、高域周波数特性が変化するという問題があった。
[0008] 本発明はこのような従来の骨伝導スピーカにおける問題点を解決するためになされたもので、骨振動ではカバーできない高域を、ユニットの振動板から発生する気導音(空気振動)を鼓膜を経由してより効率よく聴取できるようにすることにより、上記諸問題を解決した骨伝導スピーカを提供することを課題とする。」
ウ 「[0015][図1] 本発明に係る骨伝導スピーカの一実施形態の外観図である。
[図2] 本発明に係る骨伝導スピーカの一実施形態の縦断面図である。
[図3] 本発明に係る骨伝導スピーカにおける第2振動板の形状例を示す平面図である。
[図4] 本発明に係る骨伝導スピーカの使用状態を示す図である。
[図5] 気導音の周波数特性を示すグラフである。
[図6] 骨導音と気導音の合成周波数特性を示すグラフである。
[0016] 本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る骨伝導スピーカは、容部2と蓋部3とから成るユニットケース1の容部2内に、骨伝導スピーカ本体を構成するヨークアッセンブリ4を組み込んで成るものである。
[0017] 容部2には、その上部に第1振動板5が配置されると共に、その内底部に第2振動板6が配設され、その第2振動板6上にヨークアッセンブリ4が設置される。ヨークアッセンブリは、深皿状のヨーク7と、ヨーク7内に設置されるマグネット8と、マグネット8の上面に固定設置されるポールピース9とから成る。そして、第1振動板5の裏面に、ポールピース9を囲むようにボイスコイル10が設置される。」
エ 「[0020] 好ましい実施形態においては、第2振動板6は、薄い金属性の円形ばね板15を、例えば、4つの円弧状の連結片16を介して周縁部17に連結した形態とされる(図3参照)。この形態の場合円形ばね板15は、周縁部17から分離されて細い円弧状の連結片16を介して接続されていて、振動に敏感なものとなるので、第2振動板6は、主に、低域共振周波数を十分に低い値にし、且つ、大きな振動出力を発生させるのに有効なものとなる。
[0021] 通常のダイナミックスピーカは、振動板に固定されたボイスコイルを駆動して振動板を駆動することにより、空気を振動させて音を出力する。しかし、骨伝導スピーカの場合、大きな駆動力(振動出力)を得るためには振動体の質量が必要となる。そこで、本発明に係る骨伝導スピーカの場合は、ボイスコイル10を第1振動板5に固定してヨーク7を駆動することとし、上記形態の第2振動板6のコンプライアンス(追従性)とヨーク7の質量との組み合わせによって、必要な低域共振周波数と振動出力が確保される構成としている。
[0022] 図示した実施形態においては、容部2は、深皿状のベース部18とベース部18に印籠形式にて嵌め付けられる円筒枠19の2部品から成り、第2振動板6は、その周縁部17がベース部18の内周面に形成される段部18aと、円筒枠19の底面との間に挟持されることにより、容部2の内周壁に固定されている。
[0023] 第2振動板6はヨーク7を駆動するものであるので、通例、ヨーク7の底面に、スポット溶接や接着等によって固着されるが、ヨーク7の上部に設置することもできる。その場合は、例えば、第2振動板6にヨーク7の内径に合わせた開口を設け、その開口端縁をヨーク7の上端面にスポット溶接等により固着する。但し、ヨーク7の底面に固着することとした方が、十分な低域周波数を発生させるための、振動板形状の自由度を大きくすることができるので、より好ましいと言える(図6に示す骨導音気導音合成周波数特性参照)。
[0024] 第1振動板5の上側の蓋部3内の空間は気導音発生室11とされ、蓋部3の周壁の一部が開口されて、気導音発生室11を大気に連通させる放音口12とされる。かかる構成とすることにより、第1振動板5の振動により気導音発生室11内において発生する気導音(空気振動)が、放音口12を経由して骨伝導スピーカの振動方向とほぼ直交する方向に放音されることになる。一実施形態においては、放音口12に、使用時に耳孔に向かうダクト13が延設される(図4参照)。
[0025] 第1振動板5で発生した気導音は、放音口12を経由して装着者の耳孔31方向に向かって放射されるので、周囲への音漏れを最小限に抑えることができる。殊に、放音口12に耳孔に向かって音声を導くためのダクト13を設けると、更に効果的である(図4参照)。なお、図4中の符号32は耳珠を、また、符号33は耳介を指し示している。」
オ 図2には以下の記載がある。
「
[図:0001426573000001.jpg]
」
カ 図4には以下の記載がある。
「
[図:0001426573000002.jpg]
」
(2) 引用発明の認定
ア 引用文献1には、骨伝導スピーカに関し、([0001])
従来のダイナミックタイプの骨伝導スピーカの場合は、構造上ケース全体が振動するため、周囲への音漏れが大きくなりやすく、振動面がケースの一部であって形状上制約が伴うために、周波数特性を自由に選ぶことが難しく、更に、振動面が人体に接触する構造とした場合に、高域周波数特性が変化するという問題があったことから、([0007])
骨振動ではカバーできない高域を、ユニットの振動板から発生する気導音(空気振動)を鼓膜を経由してより効率よく聴取できるようにすることにより、上記諸問題を解決した骨伝導スピーカを提供することを課題とし、([0008])
骨伝導スピーカは、容部2と蓋部3とから成るユニットケース1の容部2内に、骨伝導スピーカ本体を構成するヨークアッセンブリ4を組み込んで成るものであり、([0016])
容部2には、その上部に第1振動板5が配置されると共に、その内底部に第2振動板6が配設され、その第2振動板6上にヨークアッセンブリ4が設置され、ヨークアッセンブリは、深皿状のヨーク7と、ヨーク7内に設置されるマグネット8と、マグネット8の上面に固定設置されるポールピース9とから成り、([0017])
第2振動板6は、大きな振動出力を発生させるのに有効なものであり、([0020])
骨伝導スピーカの場合、大きな駆動力(振動出力)を得るためには振動体の質量が必要となることから、ボイスコイル10を第1振動板5に固定してヨーク7を駆動することとし、第2振動板6のコンプライアンス(追従性)とヨーク7の質量との組み合わせによって、必要な低域共振周波数と振動出力が確保される構成としており、([0021])
容部2はベース部18と円筒枠19の2部品から成り、第2振動板6はベース部18の内周面に形成される段部18aと、円筒枠19の底面との間に挟持され、([0022])
第2振動板6はヨーク7の底面に固着され、([0023])
第1振動板5の振動により発生する気導音(空気振動)が放音される、([0024])
ことが記載されている。
イ 図2の符号2、3、5、19は、段落[0016]、[0017]、[0022]の記載によれば、それぞれ「容部2」、「蓋部3」、「第1振動板5」、「円筒枠19」を示している。
そして、図2及び段落[0016]、[0022]の記載によれば、「第1振動板5」は「ユニットケース1」を構成する「容部2」の「円筒枠19」及び「蓋部3」に接続していると認められる。
ウ 図4は、段落[0015]の記載によれば、骨伝導スピーカの使用状態を示す。
また、段落[0017]の記載によれば、符号6は「第2振動板6」を示し、段落[0025]の記載によれば、符号31、32、33は「耳孔」、「耳珠」、「耳介」を示す。
当該「耳孔」、「耳珠」、「耳介」の位置関係より、図4の上と下がそれぞれ顔側と後頭部側であると解される。
そして、図4では、図2の符号18に対応する部分が、耳珠の横(顔側)に接触しており、当該符号18は、段落[0022]の記載によれば、「ベース部18」を示すことから、骨伝導スピーカの使用状態では、ベース部18が耳珠の横に接触し、第2振動板6が当該ベース部18を介して耳珠の横に隣接すると認められる。
エ まとめ
上記ア~ウを総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。(記号「a」~「m」は、分説するために当審が付したものであり、記号「a」~「m」に対応する発明特定事項を、以下「構成a」~「構成m」という。)
「a 従来のダイナミックタイプの骨伝導スピーカの場合は、構造上ケース全体が振動するため、周囲への音漏れが大きくなりやすく、振動面がケースの一部であって形状上制約が伴うために、周波数特性を自由に選ぶことが難しく、更に、振動面が人体に接触する構造とした場合に、高域周波数特性が変化するという問題があったことから、骨振動ではカバーできない高域を、ユニットの振動板から発生する気導音(空気振動)を鼓膜を経由してより効率よく聴取できるようにすることにより、上記諸問題を解決した骨伝導スピーカを提供することを課題とし、
b 骨伝導スピーカは、容部2と蓋部3とから成るユニットケース1の容部2内に、骨伝導スピーカ本体を構成するヨークアッセンブリ4を組み込んで成るものであり、
c 容部2には、その上部に第1振動板5が配置されると共に、その内底部に第2振動板6が配設され、その第2振動板6上にヨークアッセンブリ4が設置され、
d ヨークアッセンブリは、深皿状のヨーク7と、ヨーク7内に設置されるマグネット8と、マグネット8の上面に固定設置されるポールピース9とから成り、
e 第2振動板6は、大きな振動出力を発生させるのに有効なものであり、
f 骨伝導スピーカの場合、大きな駆動力(振動出力)を得るためには振動体の質量が必要となることから、ボイスコイル10を第1振動板5に固定してヨーク7を駆動することとし、
g 第2振動板6のコンプライアンス(追従性)とヨーク7の質量との組み合わせによって、必要な低域共振周波数と振動出力が確保される構成としており、
h 容部2はベース部18と円筒枠19の2部品から成り、第2振動板6はベース部18の内周面に形成される段部18aと、円筒枠19の底面との間に挟持され、
i 第2振動板6はヨーク7の底面に固着され、
j 第1振動板5はユニットケース1を構成する容部2の円筒枠19及び蓋部3に接続しており、
k 骨伝導スピーカの使用状態では、ベース部18が耳珠の横に接触し、第2振動板6が当該ベース部18を介して耳珠の横に隣接し、
l 第1振動板5の振動により発生する気導音(空気振動)が放音される
m 骨伝導スピーカ。」
4 引用文献6に記載された技術常識
原査定の拒絶理由に引用された引用文献6(特開2004-274593号公報(2004年(平成16年)9月30日公開。))には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0002】【従来の技術】例えば骨伝導スピーカは、中心磁極23を取り巻くドーナツ型のボイスコイル24と、ヨーク26周縁の周壁27の内周面に沿って配置されるマグネット25と、周壁27の上面に取り付けられる振動板28と、振動板28の上面に固定される振動ブロック29とで構成される骨伝導スピーカユニット21と、これを収納するケース22とから成り、骨伝導スピーカユニット21は、その振動ブロック29がケース22内の天面に、ネジ30等を介して固定されることにより、ケース22内に設置される構造となっている(図4)。
【0003】この構成の場合、振動板28の振動に伴い振動ブロック29を介して振動板28を固着しているケース振動面が振動するので、このケース振動面を耳の後ろや頬、額等に当てることで、その振動が骨伝導音として伝達される。従って、耳が不自由な人や高齢者であっても、音をはっきりと聞くことが可能となる。
【0004】このような構成の骨伝導スピーカを電話機に組み込んで使用した場合において、骨伝導スピーカのケース振動面を頭部から離すと、ケース振動面の振動が空気振動として伝達され、通常の音と同様に、鼓膜を通しての聴取が可能となる。従って、健常者がこの骨伝導電話機を使用する場合は、ケース振動面を頭部に圧着するという煩わしい方法を採らず、耳元に受話器を近づけて使用する方法を採る。しかし、そのような使用法によった場合は、十分な空気振動が得られないために、音量感が損なわれるという問題がある。」
上記記載より、ボイスコイル24と、振動板28と、振動板28の上面に固定される振動ブロック29とで構成される骨伝導スピーカユニット21と、これを収納するケース22とから成る、骨伝導スピーカでは、(段落【0002】)
振動板28の振動に伴い振動ブロック29を介して振動板28を固着しているケース振動面が振動し、(段落【0003】)
ケース振動面の振動が空気振動として伝達され、通常の音と同様に、鼓膜を通しての聴取が可能となる、(段落【0004】)
ことが記載されている。
引用文献6の記載に例示されるように、コイル及び振動板の駆動による振動や、振動板で発生した音波がケースに伝わることでケースが振動して音波を生成することは技術常識である。
5 対比・判断
(1) 対比
本願発明を引用発明と対比すると、
ア 構成A、Dについて
本願発明は「制御信号を生成するように構成された信号処理モジュール」「を含」むことが特定されているのに対して、引用発明では、当該特定がなされていない点で相違する。
イ 構成B、Dについて
(ア) 引用発明において、「第2振動板6はヨーク7の底面に固着され」(構成i)ており、「ボイスコイル10を第1振動板5に固定してヨーク7を駆動することとし」(構成f)ている。
このことから、引用発明は、ボイスコイル10によってヨーク7が駆動され、当該ヨーク7の底面に固着された第2振動板6が振動出力を発生させるものと解される。
(イ) 加えて、「骨伝導スピーカの場合、大きな駆動力(振動出力)を得るためには振動体の質量が必要となることから、ボイスコイル10を第1振動板5に固定してヨーク7を駆動することとし」(構成f)、「第2振動板6のコンプライアンス(追従性)とヨーク7の質量との組み合わせによって、必要な低域共振周波数と振動出力が確保される構成として」(構成g)いることを踏まえると、「第2振動板6」が「大きな振動出力を発生させるのに有効なものであ」(構成e)ることは、「骨伝導スピーカ」としての大きな駆動力(振動出力)を得るためのことと解される。
また、「骨伝導スピーカの使用状態では、ベース部18が耳珠の横に接触し、第2振動板6が当該ベース部18を介して耳珠の横に隣接し」(構成k)ている。
これらのことを踏まえると、引用発明の「第2振動板6」が発生させる「振動出力」は、「ベース部18を介して耳珠の横」から頭蓋骨を経由して直接神経に伝達されるものと解されるから、構成Bの「骨伝導音波」に相当する。
(ウ) コイルが当該コイルを制御する信号(電流)を受信して、コイルを流れる当該信号(電流)と磁界の間で働くローレンツ力により振動出力を発生することは技術常識であり、当該制御信号を受信しなければ、振動は発生し得ない。引用発明においては、構成dのとおり、ヨーク7内にマグネット8が設置されるから、「ボイスコイル10」が制御信号を受信して、当該制御信号(電流)と、「ヨーク7」及び「ヨーク7内に設置されるマグネット8」による磁界との間に働くローレンツ力により、「ヨーク7」に固着される「第2振動板6」とともに振動を発生することは明らかである。
してみれば、引用発明の「第2振動板6」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」は、構成Bの「制御信号を受信する振動ユニット」を構成するものといえる。
(エ) 上記(ア)~(ウ)を踏まえると、「ベース部18」、「第2振動板6」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」は、構成Bの「振動スピーカー」を構成するものといえる。
(オ) 上記(ア)~(エ)より、本願発明と引用発明は、「制御信号を受信する振動ユニットを含み、前記制御信号に基づいて骨伝導音波を生成するように構成された振動スピーカー」を含む点で一致する。
ただし、「制御信号を受信する振動ユニット」が、本願発明では、「前記信号処理モジュールに電気的に接続され」ることが特定されているのに対して、引用発明では、当該特定がなされていない点で相違する。
ウ 構成C、Dについて
(ア) 引用発明の「容部2と蓋部3」が「ユニットケース1」を構成する(構成b)ことを踏まえると、「容部2」の「円筒枠19」(構成h)及び「蓋部3」(構成b)は、構成Cの「ハウジング」に相当する。
(イ) 引用発明では、構成bの「ユニットケース1」を構成する「容部2」が、構成hのとおり、「ベース部18と円筒枠19の2部品から成り」、当該「ベース部18」と「円筒枠19」で「第2振動板6」を「挟持」する。
上記イ(エ)で検討したように、引用発明の「第2振動板6」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」が、構成Bの「制御信号を受信する振動ユニット」に相当することを踏まえると、「円筒枠19」(構成h)が「ベース部18」とともに「第2振動板6」を「挟持」することは、構成Cの「ハウジング」が「振動ユニットに結合され」ることに相当する。
(ウ) 引用発明において、「従来のダイナミックタイプの骨伝導スピーカの場合は、構造上ケース全体が振動するため、周囲への音漏れが大きくなりやす」いこと(構成a)を前提としているように、コイル及び振動板の駆動による振動や、振動板で発生した音波がケースに伝わることでケースが振動して音漏れ(空気伝導音波)を生成することは技術常識であり、これは引用文献6にも例示される(上記「4 引用文献6に記載された技術常識」参照。)とおりである。
そして、上記イ(ア)で説示したとおり、引用発明では、ボイスコイル10によってヨーク7が駆動され、当該ヨーク7の底面に固着された第2振動板6が振動出力を発生させるものと解される。構成cのとおり、「第2振動板6」が「容部2」の「内底部」に「配設され」、これは、構成hによれば、「円筒枠19の底面」であるから、上記技術常識を踏まえれば、引用発明の「容部2」の「円筒枠19」が、「第2振動板6」の発生させる「振動出力」に基づいてまたは「第2振動板6」、「ヨーク7」及び「ボイスコイル10」の駆動振動によって「空気伝導音波」を生成することは明らかである。
(エ) 上記(ア)~(ウ)より、引用発明の「容部2」の「円筒枠19」(構成h)及び「蓋部3」(構成b)は、構成Cの「前記振動ユニットに結合され、前記骨伝導音波に基づいてまたは前記振動ユニットの駆動で空気伝導音波を生成するハウジング」に相当する。
(オ) 引用発明の「第1振動板5の振動により発生する気導音(空気振動)」(構成l)と構成Cの「振動膜」に生成させる「空気伝導音波」は、「空気伝導音波」である点で共通する。
(カ) また、「第1振動板5はユニットケース1を構成する容部2の円筒枠19及び蓋部3に接続して」(構成j)いるから、引用発明の「第1振動板5」と構成Cの「振動膜」は、「ハウジングに接続された」点で共通する。
(キ) 引用発明では、「ボイスコイル10を第1振動板5に固定」(構成f)するから、引用発明の「ボイスコイル10」と構成Cの「コイル」は、振動手段「に接続され」る点で共通する。
(ク) 引用発明の「気導音(空気振動)」を発生させる「第1振動板5の振動」は、上記イ(エ)での検討と同様に、「第1振動板5」に固定される「ボイスコイル10」が制御信号を受信して、当該制御信号(電流)と、「ヨーク7」及び「ヨーク7内に設置されるマグネット8」による磁界との間に働くローレンツ力により発生することは明らかである。
してみれば、引用発明の「ボイスコイル10」と構成Cの「コイル」は、振動手段「に接続され」、「制御信号を受信して、前記振動手段に空気伝導音波を生成させる」点で共通する。
ただし、振動手段が、本願発明では、「振動膜」であるのに対し、引用発明では「第1振動板5」である点で相違する。
(ケ) 上記(エ)~(ク)を踏まえると、引用発明の「円筒枠19」、「蓋部3」、「第1振動板5」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」と、構成Cは「前記振動ユニットに結合され、前記骨伝導音波に基づいてまたは前記振動ユニットの駆動で空気伝導音波を生成するハウジング、前記ハウジングに接続された振動手段、および前記振動手段に接続され、前記制御信号を受信して、前記振動手段に空気伝導音波を生成させるコイルを含むように構成された空気伝導スピーカー」である点で一致する。
ただし、振動手段が、本願発明では、「振動膜」であるのに対し、引用発明では「第1振動板5」である点、及び、「コイル」が、本願発明では「前記信号処理モジュールに電気的に接続され」ることが特定されているのに対して、引用発明では、当該特定がなされてない点で相違する。
エ 構成Eについて
(ア) 引用発明の構成c、d及びfによれば、「容部2」には、「第1振動板5が配置されると共に」、「第2振動板6が配設され、その第2振動板6上にヨークアッセンブリ4が設置され」、「ヨークアッセンブリ」は、「ヨーク7」と「マグネット8」から成り、「第1振動板5」に「ボイスコイル10」が固定されるから、引用発明において、「第1振動板5」を振動させる構成である「第1振動板5」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」と、「第2振動板6」を振動させる構成である「第2振動板6」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」は、いずれも「容部2」に含まれており、両者は一体不可分な機械的構造を有している。
(イ) 上記イ(ウ)の検討のとおり、引用発明の「ベース部18」、「第2振動板6」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」の構成は、構成Bの「振動スピーカ」に対応し、上記ウ(ケ)の検討のとおり、引用発明の「円筒枠19」、「蓋部3」、「第1振動板5」、「ヨーク7」、「マグネット8」及び「ボイスコイル10」の構成は、構成Cの「空気伝導スピーカ」に対応する。
(ウ) 上記(ア)及び(イ)を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記振動スピーカーと前記空気伝導スピーカーは、機械的構造により結合され」る点で一致する。
(エ) 上記イ(ア)で説示したとおり、引用発明では、ボイスコイル10によってヨーク7が駆動され、当該ヨーク7の底面に固着された第2振動板6が振動出力を発生させる。
上記ウ(ウ)で検討したとおり、コイル及び振動板の駆動による振動や、振動板で発生した音波がケースに伝わることでケースが振動して音漏れ(空気伝導音波)を生成することは技術常識であり、構成cのとおり、「第2振動板6」が「容部2」の「内底部」に「配設され」、これは、構成hによれば、「円筒枠19の底面」であることから、第2振動板6の振動出力が「円筒枠19」に伝わることは自明であり、当該振動出力が「容部2」の「円筒枠19」に伝わることは、構成Eの「前記骨伝導音波は、少なくとも部分的に入力信号として前記空気伝導スピーカーに入力されること」に相当する。
また、第2振動板6の振動出力が「容部2」の「円筒枠19」に伝わることは、上記(ア)で検討したように、「第2振動板6」が「容部2」に「配設され」るといった機械的構造によるものである。
そうすると、構成Eと引用発明は「当該機械的構造によって前記骨伝導音波は、少なくとも部分的に入力信号として前記空気伝導スピーカーに入力される」点で一致する。
(オ) 上記(ウ)及び(エ)より、本願発明と引用発明は「前記振動スピーカーと前記空気伝導スピーカーは、機械的構造により結合され、当該機械的構造によって前記骨伝導音波は、少なくとも部分的に入力信号として前記空気伝導スピーカーに入力されることを特徴とする」点で一致する。
オ 構成Fについて
引用発明の「骨伝導スピーカ」は、本願発明の「音声出力装置」に相当する。
カ 対比のまとめ
以上を総合すると、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
「B’ 制御信号を受信する振動ユニットを含み、前記制御信号に基づいて骨伝導音波を生成するように構成された振動スピーカーと、
C’ 前記振動ユニットに結合され、前記骨伝導音波に基づいてまたは前記振動ユニットの駆動で空気伝導音波を生成するハウジング、前記ハウジングに接続された振動手段、および前記振動手段に接続され、前記制御信号を受信して、前記振動手段に空気伝導音波を生成させるコイルを含むように構成された空気伝導スピーカーと、
D を含み、
E 前記振動スピーカーと前記空気伝導スピーカーは、機械的構造により結合され、当該機械的構造によって前記骨伝導音波は、少なくとも部分的に入力信号として前記空気伝導スピーカーに入力されることを特徴とする、
F 音声出力装置。」
(相違点1)
本願発明は「制御信号を生成するように構成された信号処理モジュール」「を含」むことが特定されているのに対して、引用発明では、当該特定がなされていない点。
(相違点2)
「制御信号を受信する振動ユニット」が、本願発明では、「前記信号処理モジュールに電気的に接続され」ることが特定されているのに対して、引用発明では、当該特定がなされていない点。
(相違点3)
「コイル」が、本願発明では「前記信号処理モジュールに電気的に接続され」ることが特定されているのに対して、引用発明では、当該特定がなされていない点。
(相違点4)
振動手段が、本願発明では、「振動膜」であるのに対し、引用発明では「第1振動板5」である点。
(2) 判断
上記相違点1~3について検討する。
骨伝導スピーカ等の音声出力装置において信号処理モジュールを含み、信号処理を行った上で音声を出力することは周知の技術事項(例えば、原査定の拒絶理由に引用された引用文献4(特表2018-530205号公報(2018年(平成30年)10月11日))の段落【0016】、【0017】、特開2017-112529号公報(2017年(平成29年)6月22日公開。)の段落【0013】、【0015】、【0018】、図4参照。)であって、慣用されているから、引用発明のボイスコイル10に信号処理モジュールを電気的に接続し、当該信号処理モジュールの出力として、ボイスコイルを制御、振動させる信号を生成することで、上記相違点1~3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、上記相違点1~3による効果も当業者が予測できる程度のものにすぎない。
上記相違点4について検討する。
音声出力装置の技術分野において、コイルにより駆動し、空気伝導音波を生成させる振動手段としては、様々な厚さや材質のものが知られており、引用発明の振動板に代えて、振動膜を採用することは当業者が適宜選択できる事項に過ぎない。
また、振動板に代えて、振動膜を採用することによる効果も当業者が予測できる程度のものにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願発明はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-010615