特許拒絶査定不服審判
2024-010255
装置、方法、およびプログラム
- 審判番号
- 2024-010255
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-105821
- 請求日
- 2024年06月20日
- 審決日
- 2025年04月01日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社三井住友銀行
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 伏本 正典
- 審判官 梶尾 誠哉
- 審判官 古川 哲也
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-105821「装置、方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 1月17日出願公開、特開2024- 5583〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年6月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 5年 7月24日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 9月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年11月22日付け:拒絶理由通知書
令和 6年 1月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和 6年 3月28日付け:拒絶査定(原査定)
令和 6年 6月20日 :審判請求書の提出
令和 6年11月14日付け:拒絶理由通知書(当審拒絶理由通知)
令和 7年 1月 9日 :意見書、手続補正書(本件補正)の提出
第2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の進歩性に関する理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1~6に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2022-17757号公報
第3 本願発明
本件補正後の本願請求項1~5に係る発明は、令和7年1月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される発明であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりの発明である。
なお、本願発明は、本件補正前の請求項1に記載された発明と同じである。
「契約書データから契約書情報を抽出し、所定の管理項目と紐付ける紐付け手段と、
前記所定の管理項目に紐付けられた契約書情報を構造化して記憶する記憶手段と、
ユーザ端末から受信した要求に応じて、前記記憶された契約書情報を前記ユーザ端末に提供する提供手段と
を備え、
前記構造化して記憶された契約書情報を、過去の契約書の契約書情報と比較して分析し、分析結果を前記ユーザ端末に提供する分析手段をさらに備えた装置。」
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1
(1)当審拒絶理由に引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。
「【0001】
本発明は、契約書情報を処理する契約書処理装置等に関するものである。」
「【0036】
図1は、本実施の形態における情報システムAの概念図である。情報システムAは、契約書処理装置1、1または2以上の端末装置2を備える。契約書処理装置1は、ここではいわゆるサーバ装置である。契約書処理装置1は、例えば、クラウドサーバやASPサーバであるが、そのタイプや設置場所は問わない。端末装置2は、スマートフォンやタブレット端末や携帯電話等の携帯端末、いわゆるパソコン等であり、そのタイプは問わない。
【0037】
図2は、本実施の形態における情報システムAのブロック図である。また、図3は、契約書処理装置1のブロック図である。
【0038】
契約書処理装置1は、格納部11、受信部12、処理部13、送信部14を備える。
【0039】
格納部11は、手がかり句格納部111、学習情報格納部112、契約情報格納部113、スコア格納部114を備える。
【0040】
受信部12は、契約書受付部121、検索情報受信部122を備える。
【0041】
処理部13は、属性値取得部131、蓄積支援部132、検索部133、後処理部134、分類部135、関連情報取得部136を備える。
【0042】
後処理部134は、通知手段1341、更新手段1342、明示手段1343を備える。
【0043】
関連情報取得部136は、単体スコア取得手段1361、総合スコア取得手段1362、貢献情報取得手段1363、レコメンド取得手段1364を備える。
【0044】
送信部14は、関連情報出力部141、契約情報出力部142を備える。
【0045】
端末装置2は、端末格納部21、端末受付部22、端末処理部23、端末送信部24、端末受信部25、端末出力部26を備える。
【0046】
契約書処理装置1を構成する格納部11には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、後述する手がかり句、後述する学習情報、後述する契約情報、後述するスコアである。
【0047】
手がかり句格納部111には、1または2以上の手がかり句が格納される。手がかり句は、後述する契約文章から契約属性値を取得するための手がかりとなる1以上の用語である。手がかり句は、一用語でも、2以上の用語でも、文のパターン等でも良い。手がかり句を手がかり情報と言っても良い。
【0048】
契約属性値は、契約書の属性値である。契約属性値は、例えば、種別情報、名称情報、日付情報、自動更新情報、金額情報である。種別情報は、契約書の種別を示す情報である。種別情報は、例えば、「内容証明」「債権放棄」「弁済契約」「求償金支払」「譲渡契約書」「守秘義務」「取引基本契約書」「個人情報保護契約書」「業務委託契約」である。名称情報は、契約の当事者の名称の情報である。名称情報は、例えば、相手情報、自分情報である。相手情報は、契約の相手の名称であり、例えば、企業名や団体名等の組織名、人名である。自分情報は、契約の当事者(契約書処理装置1を使用する本人)の名称であり、例えば、組織名、人名である。日付情報は、特定の日を特定する情報であり、例えば、契約の締結日を特定する締結日情報、契約の開始日を特定する開始日情報、契約の終了日を特定する終了日情報、契約の解約通知期限を特定する解約通知期限情報である。解約通知期限情報は、日付情報であることは好適であるが、例えば、終了日情報が示す日付の前の期間を特定する情報(例えば、Nヶ月前またはN日前等)でも良い。自動更新情報は、自動更新の有無を特定する情報である。金額情報は、契約に関する金額を特定する情報である。金額情報は、通常、取引金額を特定する情報である。」
「【0054】
契約情報格納部113は、1または2以上の契約情報が格納される。契約情報は、2以上の契約属性値を有する。2以上の契約属性値は、契約書情報に対応付いていることは好適である。契約情報は、例えば、2以上の契約属性値と契約書情報とを対応付けて有する。契約情報は、契約書情報を送信してきたユーザが属する組織を識別する組織識別子に対応付いていることは好適である。組織識別子は、通常、契約の主体を識別する情報である。組織識別子は、例えば、企業名、企業ID、部門名、部門ID、事業場名、事業場ID、人名である。また、2以上の契約属性値は、後述する属性値取得部131が取得した情報であることは好適である。」
「【0057】
受信部12は、各種の情報や指示を受信する。受信部12は、通常、各種の情報や指示を端末装置2から受信する。各種の情報や指示は、例えば、契約書情報、検索情報である。
【0058】
契約書受付部121は、契約書情報を受け付ける。契約書情報は、契約書の情報である。契約書情報は、例えば、PDF、テキストファイル、画像(jpeg,gif等)である。契約書情報は、通常、ファイルである。ただし、契約書情報のデータ構造やデータタイプは問わない。」
「【0061】
検索情報受信部122は、1以上の契約属性値を用いた検索情報を端末装置2から受信する。検索情報は、クエリと言っても良い。検索情報の構造等は問わない。検索情報は、例えば、契約書情報を検索するクエリ、契約書情報の中の文字列を検索するクエリである。」
「【0066】
属性値取得部131は、受け付けられた契約書情報から2以上の契約属性値を取得する。具体的には、属性値取得部131は、契約書情報から、文字列の集合の文章である契約文章を取得する。次に、属性値取得部131は、手がかり句格納部111の1以上の手がかり句を用いて、取得した契約文章から、1または2以上の契約属性値を取得する。以下、各契約属性値の取得方法の例を説明する。」
「【0086】
蓄積支援部132は、2以上の契約属性値を、当該契約属性値を取得する元になった契約書情報に対応付けて蓄積することは好適である。また、2以上の契約属性値は、本人識別情報を含んでも良い。
【0087】
検索部133は、受信された検索情報に合致する契約情報を決定する。検索部133は、例えば、契約情報格納部113の中の契約情報であり、検索情報に合致する契約情報を検索する。なお、検索部133が決定する契約情報は、図示しない外部装置に存在する契約情報でも良い。また、契約情報の検索とは、契約情報の一部の情報の取得でも良い。」
「【0095】
分類部135は、契約文章の1以上の各検査単位を解析し、検査単位ごとのクラスを取得する。検査単位は、例えば、契約書情報の全体、契約書情報の中の一章、契約書情報の中の一条(例えば、第○条に合致する見出しで区分される情報)、契約書情報の中の一項(例えば、数値の見出しで区分される情報)、契約書情報の中の一号(例えば、“(数値)”の見出しで区分される情報)、契約書情報の中の一文である。クラスは、分類と言っても良い。クラスは、不利な契約か否かに関する情報である。クラスは、例えば、「不利」「有利」「中立」の3分類のうちのいずれかである。また、クラスは、例えば、「不利」「不利でない」の2分類のうちのいずれかである。
【0096】
分類部135は、例えば、一の契約書情報の契約文章の1以上の各検査単位に対するクラスを取得する。
【0097】
分類部135は、例えば、2以上の各契約書情報の契約文章の1以上の各検査単位に対するクラスを取得する。2以上の各契約書情報は、例えば、一の組織の契約書情報、一担当者の契約書情報である。
【0098】
分類部135は、例えば、(1)機械学習による方法、(2)パターンマッチングによる方法等がある。以下、2つの方法の例について説明する。」
「【0105】
関連情報取得部136は、分類部135が取得したクラスを用いて、関連情報を取得する。関連情報は、クラスに関する情報である。関連情報は、不利または有利な契約内容に関する情報である。関連情報は、分類部135が取得した1以上のクラスの統計処理の結果である。関連情報は、クラスそのものでも良い。統計処理の結果は、例えば、スコアである。スコアは、例えば、単体スコア、または総合スコアである。単体スコアは、一の契約書情報の中に含まれる不利な項目の少なさの度合いを示すスコアである。総合スコアは、予め決められた条件を満たす1以上の契約書情報の不利な項目の少なさの度合いを示すスコアである。総合スコアは、例えば、一の組織の2以上の契約書情報の総合的なスコアである。総合スコアは、例えば、一の組織の一の期間(例えば、一の年度)の2以上の契約書情報の総合的なスコアである。
【0106】
関連情報取得部136は、例えば、検査単位ごとに分類部135が取得した1以上のクラスを統計処理し、スコアを算出する。関連情報取得部136は、例えば、1または2以上の契約書情報ごとに、分類部135が取得した1以上のクラスを統計処理し、スコアを算出する。
【0107】
単体スコア取得手段1361は、一の契約書情報の中の各検査単位に対して分類部135が取得した1以上のクラスを用いて、一の契約書情報のスコアである単体スコアを取得する。
【0108】
単体スコア取得手段1361は、例えば、一の契約書情報の2以上の検査単位のクラスを取得し、クラス「不利」の数が多いほど低いスコアとなる単体スコアを取得する。単体スコア取得手段1361は、例えば、一の契約書情報の2以上の検査単位のクラスを取得し、クラス「有利」の数が多いほど高いスコアとなる単体スコアを取得する。
【0109】
単体スコア取得手段1361は、例えば、一の契約書情報の2以上の検査単位のクラスを取得し、当該クラスから、クラス「不利」の割合(クラス「不利」の数/検査数)を算出し、当該割合をパラメータとする減少関数により、スコアを取得する。単体スコア取得手段1361は、例えば、一の契約書情報の2以上の検査単位のクラスを取得し、当該クラスから、「クラス「不利」の数-「有利」の数」を取得し、当該差異をパラメータとする減少関数によりスコアを取得する。
【0110】
単体スコア取得手段1361は、例えば、一の契約書情報の2以上の検査単位のクラスを取得し、当該クラスから、クラス「不利」の数、およびクラス「有利」の数を取得し、当該「不利」の数が少ないほど、かつ当該「有利」の数が多いほど、高いスコアを取得することは好適である。
【0111】
総合スコア取得手段1362は、分類部135が取得した2以上のクラスを用いて、2以上の契約書情報のスコアである総合スコアを取得する。
【0112】
単体スコア取得手段1361は、例えば、一のグループに属する2以上の各契約書情報の単体スコアを取得する。次に、総合スコア取得手段1362は、例えば、当該2以上の単体スコアの代表値(例えば、平均値、中央値、合計値など)を総合スコアとして取得する。なお、一のグループに属する2以上の契約書情報は、例えば、一の組織識別子に対応付いている契約書情報、一の組織識別子および予め決められた期間の日付情報に対応付いている契約書情報である。
【0113】
貢献情報取得手段1363は、第一の時点より後の第二の時点における契約書情報から取得した単体スコアと、スコア格納部114の第一の時点の単体スコアとの差異に関する貢献情報を取得する。貢献情報は、法務業務への貢献、または事業貢献を示す情報である。貢献情報取得手段1363は、例えば、一の契約に対応する第二の時点の契約書情報から取得した第二の単体スコアと、当該一の契約に対応する第一の時点の契約書情報から取得した第一の単体スコアとの差異を取得し、当該差異が大きい値ほど、高いスコアの貢献情報を取得する。
【0114】
貢献情報取得手段1363は、第一の時点より後の第二の時点における契約書情報から取得した総合スコアと、スコア格納部114の第一の時点の総合スコアとの差異に関する貢献情報を取得する。貢献情報取得手段1363は、例えば、一の組織識別子に対応する第二の時点の1以上の契約書情報から取得した第二の総合スコアと、当該一の組織識別子に対応する第一の時点の1以上の契約書情報から取得した第一の総合スコアとの差異を取得し、当該差異が大きい値ほど、高いスコアの貢献情報を取得する。」
「【0116】
送信部14は、各種の情報を送信する。各種の情報は、例えば、関連情報である。
【0117】
関連情報出力部141は、関連情報を出力する。関連情報出力部141は、例えば、単体スコア、総合スコア、レコメンド情報、貢献情報のうちの1または2以上の情報を出力する。
【0118】
ここで、出力とは、通常、端末装置2への送信である。ただし、出力は、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念であっても良い。
【0119】
契約情報出力部142は、検索部133が決定した契約情報が有する全部または一部の情報を出力する。契約情報出力部142は、例えば、検索部133が決定した契約情報が有する契約書情報を出力する。契約情報出力部142は、例えば、検索部133が決定した契約情報が有する2以上の属性値を出力しても良い。
【0120】
ここで、出力とは、通常、端末装置2への送信である。ただし、出力は、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念であっても良い。
【0121】
端末装置2を構成する端末格納部21には、各種の情報が格納される。各種の情報とは、例えば、ユーザ識別子、端末識別子、ユーザが属する組織の組織識別子である。なお、端末識別子は、ユーザ識別子と考えても良い。
【0122】
端末受付部22は、各種の指示や情報等を受け付ける。各種の指示や情報等は、例えば、契約書情報、検索情報である。各種の指示や情報等の入力手段は、タッチパネルやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。
【0123】
端末処理部23は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、端末受信部25が受信した情報を表示されるデータに構成する処理である。各種の処理とは、例えば、端末受付部22が受け付けた指示等を送信する指示等に構成する処理である。
【0124】
端末送信部24は、各種の指示や情報等を契約書処理装置1に送信する。各種の指示や情報等とは、例えば、端末処理部23が構成した指示、端末受付部22が受け付けた指示や情報等である。
【0125】
端末受信部25は、各種の情報を契約書処理装置1から受信する。各種の情報とは、例えば、関連情報、契約書情報、契約属性値である。
【0126】
端末出力部26は、各種の情報を出力する。各種の情報とは、例えば、端末受付部22が受け付けた情報、端末受信部25が受信した情報、端末処理部23が構成した情報である。各種の情報とは、例えば、関連情報、契約書情報、契約属性値である。」
「【0134】
次に、情報システムAの動作例について説明する。まず、契約書処理装置1の動作例について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0135】
(ステップS401)契約書受付部121は、端末装置2から、組織識別子に対応付いている契約書情報を受信したか否かを判断する。契約書情報を受信した場合はステップS402に行き、契約書情報を受信しなかった場合はステップS409に行く。
【0136】
(ステップS402)属性値取得部131は、ステップS401で受信された契約書情報から契約文章を取得する。
【0137】
(ステップS403)属性値取得部131は、ステップS402で取得した契約文章を用いて、2以上の契約属性値を取得する。契約属性値を取得する属性値取得処理の例について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0138】
(ステップS404)蓄積支援部132は、ステップS403で取得された2以上の契約属性値を、受信された契約書情報と組織識別子とに対応付けて蓄積する。なお、蓄積先は、例えば、契約情報格納部113であるが、外部の装置でも良い。また、組織識別子は、2以上の契約属性値のうちの一の契約属性値である、と考えても良い。
【0139】
(ステップS405)関連情報取得部136は、関連情報取得処理を行う。関連情報取得処理の例について、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0140】
(ステップS406)蓄積支援部132は、ステップS405で取得された1または2以上の関連情報を、ステップS401で受信された契約書情報に対応付けて蓄積する。」
「【0256】
次に、次に、ステップS405の関連情報取得処理の例について、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0257】
(ステップS1301)単体スコア取得手段1361は、カウンタiに1を代入する。また、単体スコア取得手段1361は、各クラスの数に0を代入する。各クラスは、例えば、「不利」「有利」「中立」である。
【0258】
(ステップS1302)単体スコア取得手段1361は、検査対象の契約文章の中に、i番目の検査単位が存在するか否かを判断する。i番目の検査単位が存在する場合はステップS1303に行き、i番目の検査単位が存在しない場合はステップS1309に行く。
【0259】
(ステップS1303)単体スコア取得手段1361は、契約文章からi番目の検査単位を取得する。
【0260】
(ステップS1304)単体スコア取得手段1361は、i番目の検査単位のクラスを取得する。かかるクラス取得処理の例について、図14のフローチャートを用いて説明する。
【0261】
(ステップS1305)単体スコア取得手段1361は、ステップS1304で取得したクラスに対応する数を1、インクリメントする。
【0262】
(ステップS1306)単体スコア取得手段1361は、ステップS1304で取得したクラスが値「不利」であるか否かを判断する。クラスが値「不利」である場合はステップS1307に行き、クラスが値「不利」でない場合はステップS1308に行く。
【0263】
(ステップS1307)単体スコア取得手段1361は、i番目の検査単位を取得する。また、単体スコア取得手段1361は、i番目の検査単位に対応するレコメンド情報を取得する。そして、単体スコア取得手段1361は、i番目の検査単位と、レコメンド情報とを対応付けて、図示しないバッファに一時蓄積する。
【0264】
なお、単体スコア取得手段1361は、i番目の検査単位との類似度が予め決められた条件を満たすほど大きい類似度の不利条項の文字列と対になるレコメンド情報を格納部11から取得する。かかる場合、
【0265】
(ステップS1308)単体スコア取得手段1361は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS1302に戻る。
【0266】
(ステップS1309)単体スコア取得手段1361は、各クラスの数を用いて、単体スコアを算出する。
【0267】
(ステップS1310)単体スコア取得手段1361は、ステップS1309で取得した単体スコアを、契約書情報に対応付けて蓄積する。
【0268】
(ステップS1311)単体スコア取得手段1361は、ステップS1307で取得したレコメンド情報を用いて、蓄積するレコメンド情報を構成する。
【0269】
(ステップS1312)単体スコア取得手段1361は、ステップS1311で構成したレコメンド情報を契約書情報に対応付けて蓄積する。上位処理にリターンする。」
「【0311】
次に、ステップS423の貢献情報取得処理の例について、図19のフローチャートを用いて説明する。
【0312】
(ステップS1901)貢献情報取得手段1363は、過去の比較対象のスコアを取得する。
【0313】
(ステップS1902)貢献情報取得手段1363は、着目するスコアを取得する。なお、着目するスコアは、過去の比較対象のスコアより新しい契約書情報に対応するスコアである。
【0314】
(ステップS1903)貢献情報取得手段1363は、着目するスコアと過去の比較対象のスコアとの差異を算出する。次に、貢献情報取得手段1363は、かかる差異を用いて、貢献情報を取得する。上位処理にリターンする。
【0315】
なお、図19のフローチャートにおいて、貢献情報取得手段1363は、通常、総合スコアを使用するが、一の契約書情報に対応する単体スコアを使用しても良い。
【0316】
次に、端末装置2の動作例について説明する。端末受付部22は、ユーザから各種の指示や情報等(例えば、契約書情報、検索情報、単体スコアまたは総合スコアまたは貢献情報の取得指示)を受け付ける。次に、端末処理部23は、端末受付部22が受け付けた指示等を送信する指示等に構成する。次に、端末送信部24は、当該各種の指示や情報等を契約書処理装置1に送信する。
【0317】
また、端末受信部25は、各種の情報(例えば、関連情報、契約書情報、契約属性値、単体スコア、総合スコア、貢献情報)を契約書処理装置1から受信する。次に、端末処理部23は、各種の情報を表示される情報に構成する。次に、端末出力部26は、当該情報を出力する。」
「【0321】
また、契約情報格納部113には、図20に示す構造を有する契約情報管理表が格納されている、とする。契約情報管理表は、各組織または個人の契約書に関する情報を管理する表である。契約情報管理表は、「ID」「ユーザ識別子」「組織識別子」「契約情報」「単体スコア」を有するレコードを管理する表である。「ID」は、レコードを識別する情報である。「契約情報」は、ここでは「種別情報」「相手情報」「締結日情報」「開始日情報」「終了日情報」「解約通知期限情報」「自動更新情報」「金額情報」「ファイル名」を有する。「ファイル名」は、契約書情報のファイルの名称である。「ファイル名」で特定されるファイルは、契約情報格納部113に格納されている、とする。」
「【図2】
[図:0001423282000001.jpg]
」
図2によれば、「契約書処理装置1」は「端末装置2」と接続されている。
「【図3】
[図:0001423282000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001423282000003.jpg]
」
「【図13】
[図:0001423282000004.jpg]
」
「【図19】
[図:0001423282000005.jpg]
」
「【図20】
[図:0001423282000006.jpg]
」
(2)引用文献1に記載された発明
ア 段落【0045】、【0316】~【0317】の記載によれば、端末受付部22、端末処理部23、端末送信部24、端末受信部25、端末出力部26を備える端末装置2は、端末受付部22がユーザから各種の指示や情報等(例えば、契約書情報、検索情報、単体スコアまたは総合スコアまたは貢献情報の取得指示)を受け付けると、端末処理部23が受け付けた指示等を送信する指示等に構成し、端末送信部24が当該各種の指示や情報等を契約書処理装置1に送信し、また、端末受信部25が各種の情報(例えば、関連情報、契約書情報、契約属性値、単体スコア、総合スコア、貢献情報)を契約書処理装置1から受信すると、端末処理部23が各種の情報を表示される情報に構成し、端末出力部26が当該情報を出力するものである。
イ 段落【0048】の記載によれば、契約属性値は、例えば、種別情報、相手情報、締結日情報、開始日情報、終了日情報、解約通知期限情報、自動更新情報、金額情報といった契約書の属性値である。
ウ 段落【0105】、【0107】、【0138】~【0139】、【0256】~【0269】、図4、図13の記載によれば、関連情報取得部136は、蓄積支援部132が契約属性値を契約情報格納部113に蓄積した後で関連情報を取得するものであり、関連情報取得処理においては、(関連情報取得部136が備える)単体スコア取得手段1361が、一の契約書情報の中の各検査単位に対して分類部135が取得したクラスを取得し、取得したクラスに対応する数を1、インクリメントすることにより、各クラスの数を用いて、一の契約書情報のスコアである単体スコアを取得し、取得した単体スコアを契約書情報に対応付けて蓄積するものである。
エ 段落【0113】、【0311】~【0315】、図19の記載によれば、貢献情報取得手段1363は、過去の比較対象の単体スコアと、過去の比較対象の単体スコアより新しい契約書情報に対応する着目する単体スコアを取得し、着目する単体スコアと過去の比較対象の単体スコアとの差異を算出し、かかる差異を用いて、法務業務への貢献、または事業貢献を示す情報である貢献情報を取得するものである。
オ 上記(1)の摘記事項、及び上記ア~エから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「端末装置2と接続され、契約書情報を処理する契約書処理装置1であって、(【0001】、図2)
端末装置2は、端末受付部22、端末処理部23、端末送信部24、端末受信部25、端末出力部26を備え、端末受付部22がユーザから各種の指示や情報等(例えば、契約書情報、検索情報、単体スコアまたは総合スコアまたは貢献情報の取得指示)を受け付けると、端末処理部23が受け付けた指示等を送信する指示等に構成し、端末送信部24が当該各種の指示や情報等を契約書処理装置1に送信し、また、端末受信部25が各種の情報(例えば、関連情報、契約書情報、契約属性値、単体スコア、総合スコア、貢献情報)を契約書処理装置1から受信すると、端末処理部23が各種の情報を表示される情報に構成し、端末出力部26が当該情報を出力するものであり、(ア)
契約書処理装置1は、格納部11、受信部12、処理部13、送信部14を備え、(【0038】)
格納部11は、手がかり句格納部111、契約情報格納部113を備え、(【0039】)
受信部12は、契約書受付部121、検索情報受信部122を備え、(【0040】)
処理部13は、属性値取得部131、蓄積支援部132、検索部133、分類部135、関連情報取得部136を備え(【0041】)、
関連情報取得部136は、単体スコア取得手段1361、貢献情報取得手段1363を備え、(【0043】)
送信部14は、関連情報出力部141、契約情報出力部142を備え、(【0044】)
手がかり句格納部111には、契約文章から契約属性値を取得するための手がかりとなる1以上の用語である1または2以上の手がかり句が格納され(【0047】)、契約属性値は、例えば、種別情報、相手情報、締結日情報、開始日情報、終了日情報、解約通知期限情報、自動更新情報、金額情報といった契約書の属性値であり、(イ)
契約情報格納部113は、2以上の契約属性値を有する1または2以上の契約情報が格納され(【0054】)、各組織または個人の契約書に関する情報として、「ID」「ユーザ識別子」「組織識別子」「契約情報」「単体スコア」を有するレコードを管理する契約情報管理表が格納され、「契約情報」は、「種別情報」「相手情報」「締結日情報」「開始日情報」「終了日情報」「解約通知期限情報」「自動更新情報」「金額情報」「ファイル名」を有し、「ファイル名」は、契約書情報のファイルの名称であって、「ファイル名」で特定されるファイルは、契約情報格納部113に格納されるものであり、(【0321】、図20)
契約書受付部121は、例えば、PDF、テキストファイル、画像(jpeg,gif等)である契約書情報を受け付け、(【0058】)
検索情報受信部122は、1以上の契約属性値を用いた検索情報を端末装置2から受信し、検索情報は、例えば、契約書情報を検索するクエリ、契約書情報の中の文字列を検索するクエリであり、(【0061】)
属性値取得部131は、受け付けられた契約書情報から、文字列の集合の文章である契約文章を取得し、次に、手がかり句格納部111の1以上の手がかり句を用いて、取得した契約文章から、2以上の契約属性値を取得し、(【0066】)
蓄積支援部132は、取得された2以上の契約属性値を、当該契約属性値を取得する元になった契約書情報に対応付けて契約情報格納部113に蓄積するほか、関連情報取得処理により取得された1または2以上の関連情報を、契約書情報に対応付けて蓄積し、(【0086】、【0138】~【0140】)
分類部135は、契約文章の1以上の各検査単位を解析し、検査単位ごとの不利な契約か否かに関する情報であって、例えば、「不利」「有利」「中立」の3分類のうちのいずれかであるクラスを取得し、(【0095】)
関連情報取得部136は、蓄積支援部132が契約属性値を契約情報格納部113に蓄積した後で関連情報を取得するものであり、関連情報取得処理においては、(関連情報取得部136が備える)単体スコア取得手段1361が、一の契約書情報の中の各検査単位に対して分類部135が取得したクラスを取得し、取得したクラスに対応する数を1、インクリメントすることにより、各クラスの数を用いて、一の契約書情報のスコアである単体スコアを取得し、取得した単体スコアを契約書情報に対応付けて蓄積し、(ウ)
貢献情報取得手段1363は、過去の比較対象の単体スコアと、過去の比較対象の単体スコアより新しい契約書情報に対応する着目する単体スコアを取得し、着目する単体スコアと過去の比較対象の単体スコアとの差異を算出し、かかる差異を用いて、法務業務への貢献、または事業貢献を示す情報である貢献情報を取得するものであり、(エ)
関連情報出力部141は、単体スコアや貢献情報を端末装置2へ出力し、(【0117】~【0118】)
検索部133は、契約情報格納部113の中の契約情報であり、検索情報に合致する契約情報を検索し、(【0087】)
契約情報出力部142は、検索部133が決定した契約情報が有する2以上の属性値を端末装置2へ出力する、(【0119】~【0120】)
契約書処理装置1。」
2 引用文献2
(1)原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献2(特開2019-101539号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0041】
このように、契約情報記憶部300には、契約番号毎に、過去に締結した契約の契約情報及び未だ契約が締結されていない契約の契約情報が記憶されている。
【0042】
<契約内容の評価処理>
次に、契約内容評価装置10により契約内容を評価する処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、契約内容の評価処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、評価依頼受信部110は、端末装置20からの契約内容の評価依頼を受信する(ステップS101)。契約内容の評価依頼には、評価条件情報と、契約書情報とが含まれる。」
「【0053】
次に、契約書解析部120は、評価依頼受信部110により受信された契約内容の評価依頼に含まれる契約書情報を解析して、当該契約書に含まれる各条項を抽出する(ステップS102)。・・・
【0054】
次に、契約内容評価部130は、契約条項評価情報記憶部200に記憶されている契約条項評価情報を参照して、契約に関する各条項の評価ポイントを算出する(ステップS103)。」
「【0058】
契約内容評価部130は、契約情報記憶部300に記憶されている契約情報を参照して、上記のステップS103で算出した評価ポイントに基づいて、契約内容を評価する(ステップS104)。」
「【0081】
<受発注契約相互の契約内容の評価>
上記では、或る1つの契約に関する各条項の評価ポイントを算出することで、この契約の契約内容を評価したが、契約が相互に関連している場合は、これら相互に関連する契約の契約内容が整合しているか否かを評価しても良い。一例として、受発注契約相互の契約内容を評価する場合について、図8を参照しながら説明する。図8は、受発注契約相互の契約内容を評価する場合の一例を説明する図である。
【0082】
図8に示すように、Y銀行との受注契約内容では、A条項の契約条件が「無制限」、B条項の契約条件が「全部留保」であったものとする。このとき、本実施形態に係る契約内容評価装置10は、当該Y銀行との受注契約に関連する発注契約(ソフトウェア会社Bへの発注契約及びソフトウェア会社Cへの発注契約)におけるA条項の契約条件及びB条項の契約条件と、当該受注契約におけるA条項の契約条件及びB条項の契約条件とが整合しているか否かを評価する。
【0083】
具体的には、ソフトウェア会社Bへの発注契約におけるA条項の契約条件が「無制限」となっているか否かと、ソフトウェア会社Cへの発注契約におけるA条項の契約条件が「無制限」となっているか否かとを判定する。図8に示す例では、ソフトウェア会社Cへの発注契約におけるA条項の契約条件が「発注額上限」となっているため、整合していないと評価される。
【0084】
同様に、ソフトウェア会社Bへの発注契約におけるB条項の契約条件が「全部譲渡」となっているか否かと、ソフトウェア会社Cへの発注契約におけるB条項の契約条件が「全部譲渡」となっているか否かとを判定する。図8に示す例では、ソフトウェア会社B及びソフトウェア会社Cへの発注契約におけるB条項の契約条件がいずれも「全部譲渡」となっているため、整合していると評価される。
【0085】
以上のように、相互に関連している契約の整合性を評価することで、例えば、或る受注契約に関連する発注契約において、当該受注契約よりも不利な契約内容で契約が行われてしまうような事態を防止することができる。」
(2)引用文献2に示された技術事項
上記(1)の摘記事項によれば、引用文献2には、次の技術事項が記載されている。
「契約内容評価装置は、(【0042】)
端末装置から、評価条件情報と契約書情報とが含まれた契約内容の評価依頼を受信すると、(【0043】)
受信された契約内容の評価依頼に含まれる契約書情報を解析して、当該契約書に含まれる各条項を抽出し、(【0053】)
契約情報記憶部に記憶されている過去に締結した契約の契約情報を参照して、契約内容を評価する(【0041】、【0058】)
ことにより契約内容を評価するものであり、(【0042】)
契約が相互に関連している場合は、これら相互に関連する契約の契約内容が整合しているか否かを評価しても良い。(【0081】)」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「契約書処理装置1」は、「端末装置2」と接続され、契約書情報を処理する装置であって、ユーザから「各種の指示や情報等(例えば、契約書情報、検索情報、単体スコアまたは総合スコアまたは貢献情報の取得指示)」を受け付けた「端末装置2」によって、当該各種の指示や情報等が送信されると、「各種の情報(例えば、関連情報、契約書情報、契約属性値、単体スコア、総合スコア、貢献情報)」を「端末装置2」へ出力する装置である。
したがって、引用発明の「端末装置2」は、本願発明の「ユーザ端末」に相当し、引用発明の「契約書処理装置1」は、以下の相違点を除き、本願発明の「装置」に相当する。
(2)引用発明の「契約書処理装置1」が備える「属性値取得部131」は、「受け付けられた契約書情報から」「2以上の契約属性値を取得」するものである。ここで、「受け付けられた契約書情報」は、「契約書受付部121」によって受け付けられた「PDF、テキストファイル、画像(jpeg,gif等)」といった形式の情報であり、「属性値取得部131」は、そのような形式の「契約書情報」から、例えば、種別情報、相手情報、締結日情報、開始日情報、終了日情報、自動更新情報、金額情報といった「契約属性値」を2以上取得する処理を行うものであるところ、引用発明の「(PDF、テキストファイル、画像(jpeg,gif等)である)契約書情報」は、本願発明の「契約書データ」に相当し、引用発明の「(例えば、種別情報、相手情報、締結日情報、開始日情報、終了日情報、解約通知期限情報、自動更新情報、金額情報である)契約属性値」は、本願発明の「契約書情報」に相当する。
そのため、引用発明において、「属性値取得部131」が「受け付けられた契約書情報から」「2以上の契約属性値を取得」する処理は、本願発明の「契約書データから契約書情報を抽出し」という処理に相当する。
(3)引用発明の「契約書処理装置1」が備える「蓄積支援部132」は、「取得された2以上の契約属性値」を「契約情報格納部113」に蓄積するところ、「契約情報格納部113」には、契約書に関する情報として、「ID」「ユーザ識別子」「組織識別子」「契約情報」「単体スコア」を有するレコードを管理する「契約情報管理表」が格納され、特に「契約情報」は、上記(2)の「契約属性値」と同様の「種別情報」「相手情報」「締結日情報」「開始日情報」「終了日情報」「解約通知期限情報」「自動更新情報」「金額情報」といった項目を有するものである。
そうすると、引用発明の「契約情報格納部113」に格納された「契約情報管理表」において、「契約情報」として設けられた「種別情報」「相手情報」「締結日情報」「開始日情報」「終了日情報」「解約通知期限情報」「自動更新情報」「金額情報」の項目は、本願発明の「所定の管理項目」に相当する。
そして、引用発明の「蓄積支援部132」が、種別情報、相手情報、締結日情報、開始日情報、終了日情報、解約通知期限情報、自動更新情報、金額情報といった「取得された2以上の契約属性値」を「契約情報格納部113」に蓄積するに際し、「契約情報管理表」における「契約情報」の対応する項目に当該契約属性値を格納することは自明であるから、引用発明の「蓄積支援部132」が、「取得された2以上の契約属性値」を「契約情報格納部113」に蓄積する処理は、上記(2)を踏まえると、本願発明の「契約書情報」を「所定の管理項目と紐付ける」処理に相当する。
(4)上記(2)、(3)から、引用発明の「契約書処理装置1」が備える「属性値取得部131」及び「蓄積支援部132」の機能を実現する手段は、本願発明の「契約書データから契約書情報を抽出し、所定の管理項目と紐付ける紐付け手段」に相当する。
(5)上記(3)を踏まえると、引用発明の「契約書処理装置1」が備える「契約情報格納部113」は、「所定の管理項目と紐付け」られた「契約書情報」を記憶するものであるから、引用発明の「契約情報格納部113」は、本願発明の「前記所定の管理項目に紐付けられた契約書情報を構造化して記憶する記憶手段」と、「前記所定の管理項目に紐付けられた契約書情報を記憶する記憶手段」である点で共通する。
なお、上記(3)を踏まえると、引用発明の「契約情報格納部113」には、「取得された2以上の契約属性値」が「契約情報」として蓄積されるのに加え、「単体スコア」についても「契約情報」と紐付けて蓄積される。
(6)引用発明の「契約書処理装置1」が備える「検索部133」は、「契約情報格納部113の中の契約情報であり、検索情報に合致する契約情報を検索」するものであり、「検索部133」が検索の対象とするのは「契約情報格納部113の中の契約情報」である。
また、引用発明の「契約書処理装置1」が備える「検索情報受信部122」は、「1以上の契約属性値を用いた検索情報を端末装置2から受信」するものであるところ、上記の「検索部133」が「検索情報に合致する契約情報を検索」する処理は、「検索情報受信部122」が端末装置2から受信する検索情報を用いて契約情報を検索する処理であり、当該検索情報は、「例えば、契約書情報を検索するクエリ、契約書情報の中の文字列を検索するクエリ」であるから、引用発明の「検索情報受信部122」が「端末装置2」から受信する「クエリ」である「検索情報」は、本願発明の「ユーザ端末から受信した要求」に相当する。
そして、引用発明の「契約書処理装置1」が備える「契約情報出力部142」は、「検索部133が決定した契約情報が有する2以上の属性値を端末装置2へ出力する」ものであり、当該契約情報は「契約情報格納部113の中の契約情報」であるから、上記(2)、(3)、(5)を踏まえると、「契約情報出力部142」が端末装置2へ出力する「2以上の属性値」は、本願発明の「前記記憶された契約書情報」に相当する。
そうすると、引用発明の「契約書処理装置1」において、端末装置2から受信した検索情報を用いて、検索部133が契約情報を検索したことを受けて、検索された契約情報が有する「2以上の属性値」を端末装置2へ出力する「契約情報出力部142」は、本願発明の「ユーザ端末から受信した要求に応じて、前記記憶された契約書情報を前記ユーザ端末に提供する提供手段」に相当する。
(7)引用発明の「契約書処理装置1」が備える「単体スコア取得手段1361」は、「属性値取得部131」が「受け付けられた契約書情報から、文字列の集合の文章である契約文章を取得し」、「分類部135」が「契約文章の1以上の各検査単位を解析し」て取得した、検査単位ごとの不利な契約か否かに関する情報である「クラス」を用いて、「一の契約書情報のスコアである単体スコア」を取得し、取得した「単体スコア」を「契約情報」と紐付けて「契約情報格納部113」に蓄積するものである。
また、引用発明の「契約書処理装置1」が備える「貢献情報取得手段1363」は、「過去の比較対象の単体スコアと、過去の比較対象の単体スコアより新しい契約書情報に対応する着目する単体スコアを取得し、着目する単体スコアと過去の比較対象の単体スコアとの差異を算出し、かかる差異を用いて、法務業務への貢献、または事業貢献を示す情報である貢献情報を取得する」ものである。
ここで、「単体スコア取得手段1361」が「単体スコア」を取得する処理は、「蓄積支援部132が契約属性値を契約情報格納部113に蓄積した後」に行われ、かつ、取得した「単体スコア」を「契約情報格納部113」に蓄積する処理を含むから、「過去の比較対象の単体スコア」と「着目する単体スコア」のいずれについても、対応する契約書の「契約属性値」は「契約情報格納部113」に格納されており、「単体スコア」自体も「契約情報格納部113」に蓄積されているといえる。
してみると、引用発明の「契約情報格納部113」に「契約情報」と対応付けて格納される「着目する単体スコア」は、本願発明の「前記構造化して記憶された契約書情報」と、「記憶された契約書に関する情報」である点で共通し、引用発明の「過去の比較対象の単体スコア」は、本願発明の「過去の契約書の契約書情報」と、「過去の契約書に関する情報」である点で共通する。そして、引用発明の「貢献情報取得手段1363」が、着目する単体スコアと過去の比較対象の単体スコアとの「差異を算出」することは、両者を「比較」することであるといえ、「かかる差異を用いて、法務業務への貢献、または事業貢献を示す情報である貢献情報を取得する」ことは、両者を「比較して分析」することにより、「分析結果」を得ることであって、引用発明の「貢献情報」は、本願発明の「分析結果」に相当するといえる。
さらに、引用発明の「契約書処理装置1」が備える「関連情報出力部141」は、「単体スコアや貢献情報を端末装置2へ出力」するものであるところ、「関連情報出力部141」が貢献情報を端末装置2へ出力する処理は、本願発明の「分析結果を前記ユーザ端末に提供する」処理に相当する。
そうすると、引用発明の「契約書処理装置1」が備える「単体スコア取得手段1361」及び「貢献情報取得手段1363」、並びに「関連情報出力部141」の機能を実現する手段は、本願発明の「前記構造化して記憶された契約書情報を、過去の契約書の契約書情報と比較して分析し、分析結果を前記ユーザ端末に提供する分析手段」と、「記憶された契約書に関する情報を、過去の契約書に関する情報と比較して分析し、分析結果を前記ユーザ端末に提供する分析手段」である点で共通する。
(8)上記(1)~(7)によれば、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「契約書データから契約書情報を抽出し、所定の管理項目と紐付ける紐付け手段と、
前記所定の管理項目に紐付けられた契約書情報を記憶する記憶手段と、
ユーザ端末から受信した要求に応じて、前記記憶された契約書情報を前記ユーザ端末に提供する提供手段と
を備え、
記憶された契約書に関する情報を、過去の契約書に関する情報と比較して分析し、分析結果を前記ユーザ端末に提供する分析手段をさらに備えた装置。」
[相違点1]
「記憶手段」に「前記所定の管理項目に紐付けられた契約書情報」を記憶するに際し、本願発明は当該契約書情報を「構造化して記憶する」ものであるのに対し、引用発明は当該契約書情報に相当する「契約属性値」を「構造化して記憶する」ものであるか定かではない点。
[相違点2]
「分析手段」において、過去と比較して分析する際に用いる「契約書に関する情報」に関し、本願発明は「前記構造化して記憶された」情報であるのに対し、引用発明は「前記構造化」した情報であるか定かではなく、また、本願発明は、「契約書情報」を比較して分析するのに対し、引用発明は、「契約書」と対応する「単体スコア」を比較して分析するものの、「契約書情報」に相当する「契約属性値」を比較して分析するものであるか定かではない点。
2 相違点についての判断
(1)相違点1について
本願発明の「構造化」に関し、本願明細書には次のような記載がある。
「【0022】
契約書データ解析部123は、契約書データ記憶部122に記憶された契約書データを解析して、所定の管理項目に対応する契約書情報を抽出し、抽出した契約書情報を各管理項目に紐付けて管理項目記憶部124に記憶する。管理項目記憶部124は、各管理項目に対応する契約書情報を含む管理台帳データの記憶部として機能する。契約書データ解析部123は、具体的には、契約書データの契約書情報に関して、情報のテキスト化として文字コード解析、文字読み取りを行い、情報の構造化としてデータクレンジング、テキスト分析、情報の分類を行う。これらの処理は、AI(Artificial Intelligence)や機械学習、深層学習を利用して行われ得る。また、多くの契約書データが処理されることにより、管理項目記憶部124には契約書情報が蓄積される。
【0023】
契約書情報分析部125は、管理台帳データとして契約書情報が構造化された後に、構造化された契約書情報を契約書の雛型または過去の契約書の契約書情報と比較して分析し、分析結果をユーザ端末101に提供する。分析は、例えば、契約書における特定条項の抽出、リスク検知(すなわち、リスクのある条項の検出)、修正文言の提示、およびレビューのうちの少なくとも1つを含む。これらの処理も、AIや機械学習、深層学習を利用して行われ得る。」
「【0052】
図6は、一実施形態に係る契約書情報の管理を説明する図である。図5の契約書データ500が装置103によって読み取られると、管理台帳601の管理項目として各契約書情報が登録される。管理画面602には、管理台帳601に登録された各管理項目を表示することができる。」
「【図6】
[図:0001423282000007.jpg]
」
段落【0022】の記載によれば、情報の「構造化」としては、「データクレンジング」、「テキスト分析」、「情報の分類」といった処理を意図したものであることが記載されているものの、より具体的な処理については、本願明細書に何ら記載されていない。また、段落【0023】、【0052】、図6の記載によれば、図6の「管理台帳601」は「契約書情報が構造化され」て記憶されたものと解されるが、これらの記載からも、「管理台帳601の管理項目として各契約書情報が登録される」ことしか把握できない。
してみると、本願発明の「構造化」の処理は、本願明細書等の記載に照らすと、契約書データをテキスト化した後に、「データクレンジング」、「テキスト分析」、「情報の分類」といった処理を行うことにより、管理台帳601の各管理項目に紐付けるべき「契約書情報」を抽出して、抽出した「契約書情報」を管理台帳601の対応する「管理項目」に紐付ける程度の処理を含み得るものである。
これに対し、引用発明の「属性値取得部131」は、PDFや画像(jpeg,gif等)の形式を含む「契約書情報」から文字列の集合の文章である契約文章を取得した後、取得した契約文章から、種別情報、相手情報、締結日情報、開始日情報、終了日情報、自動更新情報、金額情報といった「契約属性値」を取得するものであり、取得されたこれらの「契約属性値」は、蓄積支援部132によって、「契約情報格納部113」の契約情報管理表が管理するレコードにおける「契約情報」に対応する項目に格納されるのであるから、引用発明の「属性値取得部131」及び「蓄積支援部132」が行う上記の処理にも、「テキスト分析」、「情報の分類」といった処理が含まれているといえる。
したがって、本願発明の上記相違点1に係る構成は、表現上の差異にすぎず、引用発明と実質的に相違するものではない。また、仮に相違するとしても、引用発明の「属性値取得部131」及び「蓄積支援部132」において、「契約属性値」を構造化して記憶する処理を用いることにより、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)相違点2について
ア 引用発明において、過去の情報との比較、分析に用いられる「単体スコア」は、「単体スコア取得手段1361」において、一の契約書情報の中の各検査単位に対して、当該検査単位のクラスを取得し、取得した各検査単位のクラスに対応する数を1、インクリメントすることにより、一の契約書情報ごとに取得されるものであるところ、検査単位ごとのクラスは、「分類部135」が「契約文章」の1以上の各検査単位を解析することによって取得するものである。そして、「契約文章」は、「属性値取得部131」が契約書情報から取得するものであるところ、「属性値取得部131」は、当該「契約文章」から、種別情報、相手情報、締結日情報、開始日情報、終了日情報、解約通知期限情報、自動更新情報、金額情報といった「契約属性値」も取得するものである。
ここで、契約書には、当該契約書の種別や、契約の当事者の名称、契約の締結日、開始日、終了日、契約の解約通知期限、自動更新の有無、契約に関する金額等の情報が、条項を設けて記載されることが一般的であるから、引用発明において、上記の「契約属性値」に係る情報がそれぞれ条項を設けて記載された一般的な契約書を受け付ける場合に、それぞれの「契約属性値」に係る条項を検査単位として、当該検査単位のクラスを取得することは、当業者において自明の事項である。
してみると、引用発明の「単体スコア取得手段1361」において、各「契約属性値」に係る情報が記載された各条項を検査単位として取得したクラスに基づき取得される「単体スコア」は、「契約属性値」(本願発明の「契約書情報」)を所定のルールに則って数値化したものといえるから、本願発明の「契約書情報」に基づく情報であって、本願発明の「契約書情報」を一次情報とすると、引用発明における一次情報は「契約属性値」であり、「単体スコア」は当該一次情報に基づいて取得される二次情報であるといえる。
イ 本願明細書には、「契約書情報分析部125は、管理台帳データとして契約書情報が構造化された後に、構造化された契約書情報を契約書の雛型または過去の契約書の契約書情報と比較して分析し、分析結果をユーザ端末101に提供する。分析は、例えば、契約書における特定条項の抽出、リスク検知(すなわち、リスクのある条項の検出)、修正文言の提示、およびレビューのうちの少なくとも1つを含む。」(【0023】)と記載されているように、本願発明の「分析手段」は、「レビュー」のために分析を行うことを想定したものである。
これに対し、引用発明の「貢献情報取得手段1363」が、着目する単体スコアと過去の比較対象の単体スコアとの差異を用いて取得する、「法務業務への貢献、または事業貢献を示す情報」に関しても、法務業務への貢献や事業貢献に関する「レビュー」であるといえるから、引用発明の「貢献情報取得手段1363」において、「単体スコア」を過去の情報と比較して行う分析は、「レビュー」を好適に行うという機能、作用において、本願発明と共通するものである。
また、契約書の評価を行うに際し、「契約書情報」自体で比較評価を行う手法は、例えば、上記第4の2(2)に示したように、契約内容を評価する契約内容評価装置において、評価依頼に含まれる契約書情報(評価対象の契約書)を解析して、当該契約書に含まれる各条項を抽出し、契約情報記憶部に記憶されている過去に締結した契約の契約情報を参照して、契約が相互に関連している場合は、これら相互に関連する契約の契約内容が整合しているか否かを評価する技術事項、すなわち、過去に締結した契約の契約情報を参照して、関連する契約の契約内容が整合しているか否かを評価する処理のように、「契約書情報」自体で比較評価を行うことは、本願の出願時における周知技術である。
してみると、引用発明の「貢献情報取得手段1363」において、法務業務への貢献や事業貢献に関する「レビュー」を好適に行うために、過去と比較して分析する際に用いる情報として、「契約書情報」に基づいて取得される「単体スコア」を用いるか、それとも「契約書情報」自体を用いるかは、当業者が適宜選択してなし得たことである。
したがって、本願発明の上記相違点2に係る構成のうち、「契約書情報」を比較して分析する点に関しては、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
ウ そして、引用発明において、過去との比較、分析に「契約属性値」を用いる場合、上記(1)の検討を踏まえると、当該「契約属性値」は「前記構造化して記憶された」ものであるといえるから、本願発明の上記相違点2に係る構成のうち、「前記構造化して記憶された」点に関しては、引用発明と実質的に相違するものではなく、仮に相違するとしても、引用発明の「契約属性値」を構造化して記憶されたものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3)作用効果について
そして、上記相違点を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(4)審判請求人の審判請求書における主張について
審判請求人は、令和7年1月9日提出の意見書において、本願発明は、「分析手段」によって「前記構造化して記憶された契約書情報を、過去の契約書の契約書情報と比較」するものであり、引用発明とは異なり、「契約書情報」自体を比較するものであることを主張し、また、そうすることによって、「例えば、契約書における特定条項の抽出、リスク検知(すなわち、リスクのある条項の検出)、修正文言の提示、およびレビューのうちの少なくとも1つ」(段落【0023】)を可能にするものである旨主張する。
そこで、審判請求人の上記主張について検討すると、本願明細書には、本願発明の「分析手段」に関し、次のような記載(再掲)がある。
「【0023】
契約書情報分析部125は、管理台帳データとして契約書情報が構造化された後に、構造化された契約書情報を契約書の雛型または過去の契約書の契約書情報と比較して分析し、分析結果をユーザ端末101に提供する。分析は、例えば、契約書における特定条項の抽出、リスク検知(すなわち、リスクのある条項の検出)、修正文言の提示、およびレビューのうちの少なくとも1つを含む。これらの処理も、AIや機械学習、深層学習を利用して行われ得る。」
本願明細書において、本願発明の「分析手段」に対応する「契約書情報分析部125」の機能については、段落【0023】に記載されているのみであるところ、段落【0023】には、契約書情報「自体」を比較する旨の記載はなく、「構造化された契約書情報」を「過去の契約書の契約書情報」とどのように比較して分析するのかに関し、本願明細書のいずれにも具体的な記載はない。
また、本願明細書には、上記の記載に加え、次のような記載がある。
「【0053】
次に、契約書情報の利用について、より具体的に説明する。
【0054】
契約書の内容は一般に、同じ会社内の組織間においても共有されていないことが多い。そのため、例えば部署Aと部署Bが同一の仕入れ先との購買契約を別々に行った場合、会社として適正価格で購買契約を結べてないような事象が発生し得る。具体的には、部署AがC社よりネジ1本あたり100円で100本を購入する購買契約を結び、部署Bが同じC社よりネジ1本あたり150円で200本を購入する購買契約を結ぶものとする。この場合、部署Aと部署Bとの間で契約書情報が共有されていれば、部署Bが部署Aと同じ単価での購買契約を結んだり、会社として300本の購買契約を結び、単価を下げる交渉をしたりすることができる。すなわち、適正価格の算定や、ボリュームディスカウントによる価格交渉に活かすことができる。この場合、装置103の管理項目記憶部124に記憶された契約書情報(すなわち、管理台帳データ)は、同一会社の異なる部署間で共有され得る。
【0055】
このように、契約書情報が管理台帳に漏れなく、かつ正確に登録されていることで、契約書情報の検索性が高まり、その共有が容易となり、ユーザにとって有利な契約を検討することができるようになる。
【0056】
また、蓄積された契約書情報は、例えば、不動産価格の見積もり、経済動向予測モデルの構築、ターゲティング広告の高度化、オンラインレンディング、M&A(企業の合併および買収)マッチングなどに利用し得る。
【0057】
例えば、不動産価格の見積もりは通常、その算定に膨大な時間が掛かったり、一定のタイミングでしか知り得なかったりしたが、土地の売買契約書の契約書情報を蓄積し、共有することで、リアルタイムで実勢相場を把握することが可能になる。このような場合、装置103の管理項目記憶部124に記憶された契約書情報(すなわち、管理台帳データ)は、異なる会社間で共有され得る。この場合、契約者を特定できるような契約書情報の一部には、匿名加工がなされ得る。」
段落【0054】には、契約書情報の利用に関する具体的な説明として、同一会社の異なる部署でそれぞれに行われた購買契約(「部署AがC社よりネジ1本あたり100円で100本を購入する購買契約」及び「部署Bが同じC社よりネジ1本あたり150円で200本を購入する購買契約」)を共有することにより、適正価格の算定や価格交渉に行かすことができることが例示されており、この例からは、取引金額に関する「契約書における特定条項の抽出」や、「適正価格の算定や、ボリュームディスカウントによる価格交渉」に関する「レビュー」に関する分析が一応示唆されているものの、「契約書における特定条項の抽出」と「レビュー」に関し、「分析手段」が行う分析の処理について、技術的な説明がされているとはいえない。
さらに、段落【0056】には、契約書情報の利用用途として、「不動産価格の見積もり、経済動向予測モデルの構築、ターゲティング広告の高度化、オンラインレンディング、M&A(企業の合併および買収)マッチングなど」が挙げられており、段落【0057】には、「不動産価格の見積もり」に利用した場合の発明の効果が記載されているとはいえるものの、これらの記載においても、「分析手段」が行う分析の処理に関して、何ら説明されていない。
また、請求人は、「契約書情報」自体を比較することによる効果を主張しているが、当該主張の根拠となる段落【0023】には、単に比較して分析した効果が記載されているのみであって、請求人の主張は段落【0023】の記載に基づくものではないから、審判請求人が令和7年1月9日提出の意見書においてした上記主張は、前提を欠くものであって、採用できない。
(5)小括
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-010255