特許拒絶査定不服審判
2024-010216
作業内容分析装置、作業内容分析方法、およびプログラム
- 審判番号
- 2024-010216
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-136965外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年06月19日
- 審決日
- 2025年01月21日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東芝デジタルソリューションズ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-136965「作業内容分析装置、作業内容分析方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月25日出願公開、特開2022- 32784、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年8月14日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和5年 4月27日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 9月22日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和6年 1月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 3月14日付け:令和6年1月4日付け手続補正書でした
補正の却下の決定、拒絶査定(原査定)
令和6年 6月19日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和6年3月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 理由1(進歩性)
本願請求項1、4、5、7、8に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献5に記載された技術事項に基づいて、本願請求項2に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2、5に記載された技術事項に基づいて、本願請求項3に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献3、5に記載された技術事項に基づいて、本願請求項6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献4、5に記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2016-212746号公報
2.特開2011-012930号公報
3.国際公開第2020/115802号
4.特開2017-123026号公報
5.特開2018-116571号公報
第3 本願発明
本願の請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和6年6月19日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
工場内の人の密集や密接の状態を、前記工場内の各エリア毎に分析する作業内容分析装置であって、
前記工場内の各人の位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベースと、
前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、前記各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得る累積部と、
前記累積部によって得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記各エリアを分類する分類部と、
前記人の識別情報と、前記人に取り付けられたカメラに付与されている識別情報とを関連付けて記憶する第2のデータベースと、
前記分類部による分類結果を、前記エリアによって区分された前記工場を示すマップにおける対応するエリアに明示する結果明示部と、
前記結果明示部によって各エリアに分類結果が明示された前記マップを表示させる表示制御部とを備え、
前記カメラは、前記カメラが取り付けられている人の視線上の映像を撮像し、映像情報を、前記カメラに付与されている識別情報とともに出力し、
前記カメラから、前記映像情報と、前記カメラに付与されている識別情報とが出力されると、前記第2のデータベースから、前記カメラに付与されている識別情報に関連付けられている人の識別情報を取得し、前記映像情報から、前記カメラが取り付けられた人の位置情報を検出し、
前記予め決定された項目のうちの第1の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による立入回数の累積値であり、前記予め決定された項目のうちの第2の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による滞在時間の累積値であり、
前記分類部は、第1の分類結果として、前記各エリア毎の立入回数の累積値に基づいて、前記各エリアを分類し、第2の分類結果として、前記各エリア毎の滞在時間の累積値に基づいて、前記各エリアを分類し、
前記結果明示部は、前記第1の分類結果を、前記工場を示すマップにおける対応するエリアに明示し、前記表示制御部は、前記結果明示部によって各エリアに前記第1の分類結果が明示された第1のマップを表示させ、
前記結果明示部は、前記第2の分類結果を、前記工場を示すマップにおける対応するエリアに明示し、前記表示制御部は、前記結果明示部によって各エリアに前記第2の分類結果が明示された第2のマップを表示させ、
前記第1のマップおよび前記第2のマップは、前記工場の機械の最適な配置決定および配置エリア決定のために活用される、作業内容分析装置。
【請求項2】
工場内の人の密集や密接の状態を、前記工場内の各エリア毎に分析する作業内容分析装置によって実施される作業内容分析方法であって、
前記作業内容分析装置は、
前記工場内の各人の位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人に関連付けて第1のデータベースに記憶し、
前記第1のデータベースに、前記人に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、前記各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得、
前記得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記各エリアを分類し、
前記人の識別情報と、前記人に取り付けられたカメラに付与されている識別情報とを関連付けて第2のデータベースに記憶し、
前記分類による分類結果を、前記エリアによって区分された前記工場を示すマップにおける対応するエリアに明示し、
各エリアに分類結果が明示された前記マップを表示させ、
前記カメラは、前記カメラが取り付けられている人の視線上の映像を撮像し、映像情報を、前記カメラに付与されている識別情報とともに出力し、
前記作業内容分析装置は、
前記カメラから、前記映像情報と、前記カメラに付与されている識別情報とが出力されると、前記第2のデータベースから、前記カメラに付与されている識別情報に関連付けられている人の識別情報を取得し、前記映像情報から、前記カメラが取り付けられた人の位置情報を検出し、
前記予め決定された項目のうちの第1の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による立入回数の累積値であり、前記予め決定された項目のうちの第2の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による滞在時間の累積値であり、
第1の分類結果として、前記各エリア毎の立入回数の累積値に基づいて、前記各エリアを分類し、第2の分類結果として、前記各エリア毎の滞在時間の累積値に基づいて、前記各エリアを分類し、
前記工場を示すマップにおける対応するエリアに前記第1の分類結果が明示された第1のマップを表示させ、
前記工場を示すマップにおける対応するエリアに前記第2の分類結果が明示された第2のマップを表示させ、
前記第1のマップおよび前記第2のマップは、前記工場の機械の最適な配置決定および配置エリア決定のために活用される、作業内容分析方法。
【請求項3】
工場内の人の密集や密接の状態を、前記工場内の各エリア毎に分析するためのプログラムであって、
前記工場内の各人の位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人に関連付けて第1のデータベースに記憶する機能、
前記第1のデータベースに、前記人に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、前記各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得る機能であって、前記予め決定された項目のうちの第1の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による立入回数の累積値であり、前記予め決定された項目のうちの第2の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による滞在時間の累積値である、機能、
前記得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記各エリアを分類する機能であって、第1の分類結果として、前記各エリア毎の立入回数の累積値に基づいて、前記各エリアを分類し、第2の分類結果として、前記各エリア毎の滞在時間の累積値に基づいて、前記各エリアを分類する、機能、
前記人の識別情報と、前記人に取り付けられたカメラに付与されている識別情報とを関連付けて第2のデータベースに記憶する機能、
前記工場を示すマップにおける対応するエリアに前記第1の分類結果が明示された第1のマップを表示させ、前記工場を示すマップにおける対応するエリアに前記第2の分類結果が明示され、前記第1のマップとともに、前記工場の機械の最適な配置決定および配置エリア決定のために活用される第2のマップを表示させる機能、
前記カメラから、前記カメラが取り付けられている人の視線上の映像情報と、前記カメラに付与されている識別情報とが出力されると、前記第2のデータベースから、前記カメラに付与されている識別情報に関連付けられている人の識別情報を取得し、前記映像情報から、前記カメラが取り付けられた人の位置情報を検出する機能、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同様。)
ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のシステムは、来店客の個別の動線を表示するものであり、来店客のうちどのくらいの人数がどのような経路で移動しているのかを全体的又は直感的に把握するのは難しい。
【0006】
上記の事情に鑑み、本発明は、大型商業施設等の採取対象領域内において、どのくらいの人数がどのような経路で移動しているのかの人流情報を全体的又は直感的に把握可能なシステム等を提供することを目的とする。」
イ 「【図1】
[図:0001419242000001.jpg]
」
ウ 「【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、人流情報処理システム1を示したものである。人流情報処理システム1は、採取対象領域3内における人流情報の採取、提供等の処理を行なう。採取対象領域3は、例えば大型商業施設(ショッピングモール、ショッピングセンター等を含む)であり、1又は複数の館3a(又は棟)を含む。各館3aが、1又は複数のフロア3f(階)を有している。この実施形態では、説明を簡単にするために、各館3aの各フロア3fが、1つのエリア3eとして設定されている。もちろん、1つのフロア3fに複数のエリア3eが設定されていてもよい。そして、フロア3f(エリア3e)の出入部、店舗、ブース、ゾーン等ごとにサブエリア3gが設定されている。フロア3f(エリア3e)の出入部としては、外部への出入り口、駐車場への出入り口、階段の始点・終点、エレベータの扉前、エスカレータの乗り降り部、連絡ブリッジ3cの両端部等が挙げられる。
【0017】
人流情報処理システム1は、複数のビーコン10と、1又は複数の携帯通信機器20と、サーバ30と、クライアントコンピュータ7とによって構築される。ビーコン10は採取対象領域3に設置されている。携帯通信機器20は、来店客等の採取対象者2が携帯している。サーバ30は、システム1の管理者が管理している。クライアントコンピュータ7は、採取対象領域3の管理者等がサーバ30とのアクセスに用いるコンピュータである。携帯通信機器20とサーバ30とは、通信ネットワーク6を介して通信可能である。また、サーバ30とクライアントコンピュータ7は、通信ネットワーク6を介して通信可能である。通信ネットワーク6は、基地局やインターネット回線を含む。
・・・中略・・・
【0023】
採取対象者識別情報としては、各採取対象者2(携帯通信機器20の所持者)に割り振られたユーザーIDや、携帯通信機器20の識別情報(電話番号やMACアドレス等)が含まれる。1つの携帯通信機器20を1人の採取対象者2だけが使う場合は、ユーザーIDと携帯通信機器20の識別情報とは等価であり、何れか一方の識別情報があればよい。1つの携帯通信機器20を複数の採取対象者2に順次貸与して携行してもらう場合は、携行者が変わるごとにユーザーIDを上書きする。
【0024】
図2に示すように、サーバ30は、CPU31、通信インターフェース32、記憶装置33などを含む。記憶装置33には、人流情報処理プログラム34、ビーコン位置データベース37、採取対象者データベース38、及び蓄積採取データベース39等が格納されている。人流情報処理プログラム34は、サーバ30が人流情報処理における当該サーバ30の担当部分を実行するためのプログラムである。人流情報処理プログラム34は、人流図データ作成プログラム35を含む。人流図データ作成プログラム35は、例えばサンキーダイアグラム形式の図表をブラウザ上で描画するためのソースコードをJavaScript(登録商標)等のプログラム言語によって作成する。」
エ 「【図4】
[図:0001419242000002.jpg]
」
オ 「【0025】
図4に例示するように、ビーコン位置データベース37は、各ビーコン10の識別情報と位置情報とを紐付けたテーブルである。ビーコン位置情報は、そのビーコン10を配置した館3a、フロア3f(エリア3e)、及びフロア3f(エリア3e)内の位置(サブエリア3g)をそれぞれ特定する情報を含む。すなわち、ビーコン位置情報は、館情報、フロア情報、サブエリア情報を含む。館情報及びフロア情報によって、エリア情報が構成される。
【0026】
図5に例示するように、採取対象者データベース38には、採取対象者2ごとに、その識別情報と属性情報とが登録されている。属性情報としては、例えば年齢又は生年月日、性別コード、職業コード等が挙げられる。属性情報として、その他の種々の情報が含まれていてもよい。」
カ 「【図6】
[図:0001419242000003.jpg]
」
キ 「【0027】
図6に例示するように、蓄積採取データベース39には、各携帯通信機器20からの採取データが蓄積採取データとして蓄積される。すなわち、蓄積採取データベース39には、受信した採取対象者識別情報と、受信したビーコン識別情報と、受信時刻情報とが格納される。」
ク 「【0028】
人流情報処理システム1による人流情報処理方法を、図7~図9のフローチャートにしたがって説明する。
<発信工程>
図7のフローチャートに示すように、採取対象領域3内の複数のビーコン10は、それぞれビーコン電波13を所定の周期で発信している(ステップ101)。
【0029】
<ビーコン電波受信工程~採取工程>
採取対象者2が携帯通信機器20を携行して採取対象領域3に入ると、最寄りのビーコン10からのビーコン電波13を携帯通信機器20が受信する。これによって、携帯通信機器20の人流情報処理アプリ26がアクティブになり、採取データの採取を開始する。以後、携帯通信機器20は、任意のビーコン10からビーコン電波13を受信する度に(ステップ102)、そのビーコン電波13からビーコン識別情報を復号する。そして、該ビーコン識別情報と、その受信時刻とを、採取データとして内蔵メモリの採取データベース27に記憶する(ステップ103)。採取対象者2が採取対象領域3内を移動すると、携帯通信機器20が、その移動先に応じた別のビーコン10からのビーコン識別情報を受信し、新たな採取データとして採取データベース27に記憶する。
【0030】
<送信工程>
携帯通信機器20は、あるタイミングで採取データを通信ネットワーク6経由でサーバ30へ送信する(ステップ104)。送信のタイミングは、所定の時間間隔置きであってもよく、採取データの量が所定に達する都度であってもよく、ビーコン電波13を受信する度であってもよい。人流情報処理アプリ26の表示画面に送信ボタンを設けておき、この送信ボタンの操作に応じて、採取データが送信されるようにしてもよい。或いは、人流情報処理アプリ26のシャットダウン時に、採取データが送信されるようにしてもよい。
【0031】
<採取データ受信工程>
サーバ30が、上記の採取データを受信する(ステップ105)。更に、サーバ30(蓄積手段)は、これを蓄積採取データとして蓄積採取データベース39に蓄積する(ステップ106)。
【0032】
<人流情報提供要求工程>
図8のフローチャートに示すように、採取対象領域3の管理者等は、クライアントコンピュータ7を用いてサーバ30にアクセスすることによって、人流情報の提供を要求できる(ステップ110)。詳細な図示は省略するが、クライアントコンピュータ7の閲覧ソフト(ブラウザ)の画面には、人流情報処理システム1の閲覧画像が表示される。この閲覧画像には、得たい人流情報の範囲を設定する設定欄が設けられている。設定項目としては、期間や属性が挙げられる。例えば、ある期間中の人流情報の提供を要求したり、ある属性(例えば性別、年齢層等)に属する採取対象者2の人流情報の提供を要求したりすることができる。期間及び性別等、複数の項目を設定することもできる。
上記閲覧ソフトとしては、一般に配布されているインターネット閲覧ソフトや、当該人流情報処理システム1専用の閲覧ソフトなどが用いられる。
【0033】
<要求受付工程>
サーバ30(作成手段)は、人流情報処理プログラム34の作動によって、クライアントコンピュータ7から提供要求を通信ネットワーク6経由で受け付ける(ステップ111)。
<エリア間人流情報作成工程>
この提供要求に応じて、サーバ30は人流情報の作成を行う(ステップ112)。基本モードないしは初期モードでは、エリア3e,3e間の人流情報を作成する。
【0034】
<抽出工程>
詳細には、図9のサブルーチンフローチャートに示すように、サーバ30は、蓄積採取データベース39(図6)から必要な蓄積採取データを抽出する(ステップ121)。
上記人流情報提供要求(ステップ110)において期間が指定されたときは、その指定期間に対応する蓄積採取データを抽出する。要するに、受信時刻情報が指定期間内に入っている蓄積採取データを抽出する。
性別、年齢層等の属性が指定されたときは、蓄積採取データベース39(図6)の採取対象者識別情報と、採取対象者データベース38(図5)の属性情報とを照らし合わせることで、指定属性に対応する蓄積採取データを抽出する。
【0035】
<エリア間移動判定工程>
次に、サーバ30は、抽出した蓄積採取データに基づいて、各採取対象者2のエリア3e,3e間の移動を判定する(ステップ122)。すなわち、蓄積採取データ(図6)と、ビーコン位置データ(図4)とによって、各採取対象者2が、或る時刻にどのエリア3eに居たかが推定できる。この居場所の時系列データによって、各採取対象者2が或る移動元エリア3eから別の移動先エリア3eへ移動したことが判別できる。ひいては、図10に例示するように、各採取対象者2がエリア3e,3e…をどの順番で訪問したかのエリア間移動順情報が得られる(ステップ123)。
【0036】
なお、図10において、「第1訪問エリア」は、各採取対象者2が、採取対象領域3において最初に訪れたエリア3eを示す。「第2訪問エリア」は、二番目に訪れたエリア3eを示す。「第3訪問エリア」は、三番目に訪れたエリア3eを示す。
【0037】
<集計工程>
図9に示すように、次に、サーバ30は、2つのエリア3e,3e間を移動した人数を集計する(ステップ124)。詳しくは、上記エリア間移動順情報(図10)に基づいて、或る移動元エリア3eから或る移動先エリア3eへ移動した採取対象者2の数を集計する。集計は、各採取対象者2が施設3に入って以降のエリア3e,3e間の移動回数ごとに行うことが好ましい。
【0038】
例えば、第1訪問エリアから第2訪問エリアへの移動を移動回数1回目として、この1回目の移動元エリア3e(第1訪問エリア)と移動先エリア3e(第2訪問エリア)が共に一致している採取対象者識別情報(例えば図10の網掛け部)の数をカウントする。また、第2訪問エリアから第3訪問エリアへの移動を移動回数2回目として、この2回目の移動元エリア3e(第2訪問エリア)と移動先エリア3e(第3訪問エリア)が共に一致している採取対象者識別情報の数をカウントする。要するに、移動回数n回目の移動元エリア3e(第n訪問エリア)と移動先エリア3e(第n+1訪問エリア)が共に一致している採取対象者識別情報の数をカウントする(nは1以上の整数)。
【0039】
これによって、エリア間移動人数情報が得られる(ステップ125)。図11に例示するように、エリア間移動人数情報は、移動回数ごとに移動元エリア3eの情報と、移動先エリア3eの情報と、移動人数の情報とを含む。
【0040】
<エリア間人流図データ作成工程>
次に、サーバ30は、人流図データ作成プログラム35によって、エリア間人流図データ(人流情報)を作成する(ステップ126)。エリア間人流図データは、エリア間人流図40(図12)をブラウザ上で表示するためのソースコードで構成されている。このソースコードに、上記エリア間移動人数情報(すなわち移動元エリア情報、移動先エリア情報、及び移動人数情報)を入れ込む。
【0041】
<人流情報提供工程>
図8に示すように、このソースコード(人流情報)を、サーバ30から通信ネットワーク6経由でクライアントコンピュータ7へ送信(提供)する(ステップ113)。
<人流情報受信工程>
このソースコード(人流情報)をクライアントコンピュータ7が受信する(ステップ114)。
<人流情報表示工程>
これによって、クライアントコンピュータ7の閲覧ソフト(ブラウザ)の閲覧画像にエリア間人流図40が表示される(ステップ115)。
【0042】
<エリア間人流図40>
図12に示すように、エリア間人流図40は、エリア3eを表わすノード41と、2つのノード41,41間を結ぶリンク45を含む。各採取対象者2が移動したエリア3eに対応するノード41が、移動した順に画面の横方向(第1方向)に並べられるとともに、リンク45にて結ばれている。画面の縦方向(第1方向と交差する第2方向)に並べられたノード41,41…は、複数の採取対象者2,2…が互いに別経路で移動したエリア3e,3e…を表わしている。これら縦一列のノード41,41…どうしは、対応するエリア3eへの流入人数、又は対応するエリア3eからの流出人数が多い順に上から配列されている。
【0043】
さらに、リンク45の幅は、そのリンク45で結ばれた2つのノード41,41とそれぞれ対応する移動元エリア3eから移動先エリア3eへの移動人数と比例している。つまり、リンク45が幅広であればある程、対応するエリア3e,3e間の移動人数が多い。
ノード41の配置及びリンク45の幅は、上記エリア間移動人数情報(図11)等を用いて決めることができる。
【0044】
エリア間人流図40によれば、採取対象領域3内において、どのくらいの人数がどのような経路でエリア3e,3e…間を移動しているのかの人流情報を全体的に、かつ視覚によって直感的に把握することができる。
リンク45の幅を移動人数と比例させ、更には人数が多い順に上から配列することで、人通りが多いエリア3eか否か等を直感的に判断しやすくでき、マーケティング戦略の立案や、レイアウトの検討等に役立てることができる。
図示は省略するが、クライアントコンピュータ7におけるエリア間人流図40の表示画面上で、任意のリンク45にカーソル等のポインタを合わせると、そのリンク45における移動人数が表示される。」
ケ 「【0071】
さらに、人流情報処理システム1が、蓄積採取データを用いて人流図以外の統計情報を提供できるようにしてもよい。例えば、特定のエリア3e又はサブエリア3gを通過した採取対象者2の属性(性別、年代別等)を円グラフ等で表示できるようにしてもよい。
採取対象領域3は、大型商業施設に限られず、小型店舗、アミューズメント施設、並びにこれらの付帯施設である駐車場、また工場、倉庫等であってもよい。」
(2)引用発明
上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「各館3aの各フロア3fが、1つのエリア3eを有している採取対象領域3である大型商業施設内における人流情報の採取、提供等の処理を行なう人流情報処理システム1であって、
人流情報処理システム1は、複数のビーコン10と、1又は複数の来店客等の採取対象者2が携帯している携帯通信機器20と、サーバ30と、クライアントコンピュータ7とによって構築されており、
各採取対象者2(携帯通信機器20の所持者)には携帯通信機器20の識別情報(電話番号ややMACアドレス等)が採取対象者識別情報として割り振られ、
サーバ30は、CPU31、通信インターフェース32、記憶装置33などを含み、記憶装置33には、人流情報処理プログラム34、ビーコン位置データベース37、採取対象者データベース38、及び蓄積採取データベース39等が格納されており、人流情報処理プログラム34は、サーバ30が人流情報処理における当該サーバ30の担当部分を実行するためのプログラムであって、人流情報処理プログラム34は、人流図データ作成プログラム35を含むものであって、
ビーコン位置データベース37は、各ビーコン10の識別情報と位置情報とを紐付けたテーブルであって、ビーコン位置情報は、そのビーコン10を配置した館3a、フロア3f(エリア3e)、及びフロア3f(エリア3e)内の位置(サブエリア3g)をそれぞれ特定する情報を含むものであって、
採取対象者データベース38には、採取対象者2ごとに、その識別情報と属性情報とが登録されており、属性情報としては、例えば年齢又は生年月日、性別コード、職業コード等が挙げられるものであって、
蓄積採取データベース39には、受信した採取対象者識別情報と、受信したビーコン識別情報と、受信時刻情報とが格納されるものであって、
採取対象領域3内の複数のビーコン10が、それぞれビーコン電波13を所定の周期で発信し(ステップ101)、
採取対象者2が携帯通信機器20を携行して採取対象領域3に入ると、最寄りのビーコン10からのビーコン電波13を携帯通信機器20が受信し、携帯通信機器20は、任意のビーコン10からビーコン電波13を受信する度に(ステップ102)、そのビーコン電波13からビーコン識別情報を復号し、そして、該ビーコン識別情報と、その受信時刻とを、採取データとして内蔵メモリの採取データベース27に記憶し(ステップ103)、
携帯通信機器20は、あるタイミングで採取データを通信ネットワーク6経由でサーバ30へ送信し(ステップ104)、
サーバ30が、上記の採取データを受信し(ステップ105)、
サーバ30(蓄積手段)は、これを蓄積採取データとして蓄積採取データベース39に蓄積し(ステップ106)、
次に、採取対象領域3の管理者等が、クライアントコンピュータ7を用いてサーバ30にアクセスすることによって、人流情報の提供を要求し(ステップ110)、
サーバ30(作成手段)は、人流情報処理プログラム34の作動によって、クライアントコンピュータ7から提供要求を通信ネットワーク6経由で受け付け(ステップ111)、
サーバ30は、蓄積採取データベース39から必要な蓄積採取データを抽出し(ステップ121)、
サーバ30は、蓄積採取データベース39と、ビーコン位置データベース37とによって、各採取対象者2が、或る時刻にどのエリア3eに居たかが推定し、この居場所の時系列データによって、各採取対象者2が或る移動元エリア3eから別の移動先エリア3eへ移動したことが判別し(ステップ122)、
サーバ30は、各採取対象者2がエリア3e,3e…をどの順番で訪問したかのエリア間移動順情報を得て(ステップ123)、
サーバ30は、上記エリア間移動順情報に基づいて、或る移動元エリア3eから或る移動先エリア3eへ移動した採取対象者2の数を集計して、2つのエリア3e,3e間を移動した人数を集計し(ステップ124)、これによって、エリア間移動人数情報が得て(ステップ125)、
サーバ30は、人流図データ作成プログラム35によって、エリア間人流図40をブラウザ上で表示するためのソースコードで構成されているエリア間人流図データ(人流情報)を作成し(ステップ126)、
このソースコード(人流情報)をクライアントコンピュータ7が受信し(ステップ114)、
これによって、クライアントコンピュータ7の閲覧ソフト(ブラウザ)の閲覧画像にエリア間人流図40が表示され(ステップ115)、
エリア間人流図40は、エリア3eを表わすノード41と、2つのノード41,41間を結ぶリンク45を含み、リンク45の幅は、そのリンク45で結ばれた2つのノード41,41とそれぞれ対応する移動元エリア3eから移動先エリア3eへの移動人数と比例しており、更には人数が多い順に上から配列することで、人通りが多いエリア3eか否か等を直感的に判断しやすくでき、マーケティング戦略の立案や、レイアウトの検討等に役立てることができるものである、
人流情報処理システム1。」
2 引用文献2-5
(1)引用文献2記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0080】
空間利用情報生成動作が開始されると、空間利用情報生成装置は、初期化処理として、すべてのメッシュを非立ち入り領域とし、W(n)=0(1≦n≦K)、つまり、すべてのメッシュの立ち入り回数を0に設定する。移動体の位置情報が検出されて(ステップS401’)、この位置情報が空間利用データとして蓄積されると(ステップS402’)、空間利用データの蓄積数が1となるため(ステップS403’のYES)、ステップS404’の限定空間利用情報の生成が行われる。
【0081】
つまり、この形態では、位置情報が1個蓄積されると、この1個の位置情報を用いて限定空間利用情報が生成されるという逐次的な動作になる。そして、ステップS404’では、移動体が検出された位置情報に対応するメッシュ番号を立ち入り領域とする限定空間利用情報が生成される。ステップS406では、空間利用情報にこの限定空間利用情報を反映し、対応するメッシュ番号のW(n)を更新する。
【0082】
例えば、限定空間利用情報において任意のメッシュ番号#q1が立ち入り領域とされていれば、空間利用情報のメッシュ番号#q1を立ち入り領域とし、対応する立ち入り回数W(q1)に1を加える。これ以降、同じメッシュ番号#q1を立ち入り領域とする限定空間利用情報で空間利用情報を更新すると、メッシュ番号#q1が立ち入り領域であることに変化はないが、立ち入り回数W(q1)は1を加算され、立ち入った回数の積算を示すことになる。
【0083】
そして、更新した空間利用情報を記憶した後(ステップS405’)、ステップS407において、すべてのメッシュ番号n(1≦n≦K)に対して、「W(n)=0、または、W(n)≧50のどちらかを満たすかどうか」がチェックされる。つまり、この条件が満たされた場合、対象エリアのすべてのメッシュは、非立ち入り領域(立ち入り回数0)であるか、50回以上移動体が立ち入った立ち入り領域であるか、のどちらかとなっている。この条件を満たさない場合は(ステップS407のNO)、再びステップS401’に戻って、限定空間利用情報の生成と空間利用情報の更新を行う。」
(2)引用文献3記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「[0036] 図1に戻ってマップ情報生成部34を説明する。マップ情報生成部34は、記憶部33に記憶されたエネルギー情報と対象物情報と電気設備配置情報とに基づいて、管理範囲MRを分割した複数のエリアの各々でのエネルギーの使用量を示すエネルギーマップ情報と、複数のエリアの各々での各対象物2の滞留時間を示す滞留時間マップ情報とを生成する。かかるマップ情報生成部34は、エネルギー情報と電気設備配置情報とに基づいて、エネルギーマップ情報を生成するエネルギーマップ生成部41と、対象物情報に基づいて滞留時間マップ情報を生成する滞留時間マップ生成部42とを備える。」
イ 「[図9]
[図:0001419242000004.jpg]
」
ウ 「[0047] 図9に示すエネルギーマップ61の各エリアARには、かかる電気設備1におけるエネルギー使用量が大きくなるほど濃い色が付されている。これにより、管理者は、管理範囲MRの各エリアARでのエネルギー使用量を容易に把握することができる。なお、支援情報生成部35は、色の濃淡に代えて、色の種類または数値などで各エリアARのエネルギー使用量の大きさを示す支援情報を生成することもできる。
[0048] また、図9に示す滞留時間マップ62の各エリアARには、対象物2の滞留時間が長いほど濃い色が付されている。これにより、管理者は、管理範囲MRの各エリアARでの対象物2の滞留時間を容易に把握することができる。なお、支援情報生成部35は、色の濃淡に代えて、色の種類または数値などで各エリアARの対象物2の滞留時間を示す支援情報を生成することもできる。」
(3)引用文献4記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【図10】
[図:0001419242000005.jpg]
」
イ 「【0074】
図10に示す運用画面では、左側の表示領域L1には、店舗内に設置されたカメラ装置の選択画面の一覧が階層的に表示されている。例えば、フロア1(1F)の食料品売場(識別番号:G1)では、北入口カメラC1A(識別番号:C1)、北入口カメラC1B(識別番号:C2)、レジ前カメラC2A(識別番号:C3),レジ前カメラC2B(識別番号:C4)、野菜売場カメラC6(識別番号:C5)、魚売場カメラC5(識別番号:C6)、肉売場カメラC4(識別番号:C7)、特売品カメラC3(識別番号:C8)が階層的に示されている。フロア2(2F)の衣料品売場その他の売場において同様であるため、説明を省略する。
【0075】
また、図10に示す運用画面では、右側の表示領域R1には、メイン(例えば現在)の動線分析情報の表示領域MA1とサブ(例えば比較用)の動線分析情報の表示領域CE1とが表示されている。
【0076】
動線分析情報の表示領域MA1には、サーバ装置300が閲覧対象の動線分析画像を生成した指定時刻(年月日を含む)と、例えば半日単位、1日単位、1週間単位又は1箇月単位を示す統計期間と、表示領域L1において選択された売場毎のカメラ装置の選択画面とを含む指定条件表示領域MA1aと、動線分析画像の映像表示種別と、グラフ表示種別と、グラフ表示G(グループ)と、売場毎の来店者数の表示領域CT1とを含む動線分析結果表示領域MA1bとが表示される。
【0077】
動線分析画像の映像表示種別には、図10に示す移動体(例えば人物)の滞留情報が示された滞留マップと、図11に示す移動体(例えば人物)の通過情報が示されたカウントマップと、撮像画像そのものとが含まれる。売場毎の来店者数の表示領域CT1には、時系列(例えば図10及び図11では1時間毎)に人数カウント部CTにより検出された移動体(例えば人物)の検出数が示される。例えばユーザの入力操作により、入力デバイス400が売場毎の来店者数の表示領域CT1に表示された選択バーKRを時間軸方向にシフトすると、表示画像生成部350は、選択バーKRが示す時刻に生成した動線分析画像を順に表示する。」
(4)引用文献5記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【図2】
[図:0001419242000006.jpg]
」
イ 「【0016】
図2に示すように、移動体ユニット11には、撮影装置として機能するウェアラブル端末を用いる。この移動体ユニット11は、建設現場で移動しながら作業を行なう作業者のヘルメットH1の横に取り付けられている。
【0017】
図1に示すように、移動体ユニット11は、撮影部12、送信部13及び制御部14を備えている。
撮影部12は、CCDカメラ等により構成されている。この撮影部12は、作業者の前方を撮影して動画(画像)を生成する。
【0018】
送信部13は、撮影部12で撮影した動画を、所定容量毎に、管理サーバ20に送信する。
制御部14は、撮影部12の撮影開始や撮影停止を制御したり、送信部13の送信開始や送信停止等を制御したりする。制御部14は、この移動体ユニット11を特定する撮影装置識別情報を保持している。
【0019】
管理サーバ20は、入力部16及び表示部17を備えている。入力部16は、キーボードやポインティングデバイスである。表示部17は、ディスプレイであって、管理対象の所在位置等を表示する。
【0020】
管理サーバ20は、制御部21、建築総合情報記憶部22、特徴点情報記憶部23、禁止区域情報記憶部24、被写体情報記憶部25、動画情報記憶部26及び所在情報記憶部27を備えている。
【0021】
制御部21は、CPU、RAM、ROM等を備え、後述する処理(管理段階、位置特定段階、被写体特定段階等の各処理)を行なう。そのための管理プログラムを実行することにより、制御部21は、管理部211、位置特定部212、被写体特定部213として機能する。
【0022】
管理部211は、管理対象の所在を管理する処理を実行する。本実施形態では、移動体ユニット11において撮影した動画を取得し、この動画により管理対象の管理を行なう。
位置特定部212は、動画に基づいて撮影位置及び撮影方向を推定し、撮影視野を特定する処理を実行する。本実施形態では、位置特定部212は、公知のv-SLAM(visual Simultaneous Localization And Mapping)を用いて、撮影位置を特定する。
【0023】
被写体特定部213は、特定した撮影視野内にある被写体(物)の管理対象と、この被写体の状態とを特定する処理を実行する。本実施形態の被写体特定部213は、ディープラーニングの畳み込みニューラルネットワークを用いる。具体的には、被写体特定部213は、学習によって生成した学習済み分類モデルに、撮影フレームの分割領域の画像を入力して、管理対象物と状態、又は材料を特定する。この学習のため、被写体特定部213は、公知の手法に基づいて、被写体情報記憶部25に記憶された多量の教師データを用いて、ディープラーニングにより学習した学習済み分類モデルを、被写体情報記憶部25に記憶する。」
ウ 「【0077】
・上記実施形態においては、管理サーバ20の制御部21は、管理対象の所在位置を特定し、この管理対象の管理を行なった。これに加えて、移動体ユニット11を取り付けたヘルメットH1を着用した作業者の所在位置(現在地)を管理してもよい。この場合、制御部21に、作業者を特定するための作業者識別テーブルを記憶しておく。更に、管理サーバ20は、作業者の所在位置を記憶する作業者情報記憶部を備える。この作業者識別テーブルには、移動体ユニット11を特定する撮影装置識別情報と、作業者を特定する作業者識別情報とを関連付けておく。この作業者は、作業者識別テーブルにおいて対応付けられた撮影装置識別情報の移動体ユニット11を取り付けたヘルメットH1を使用する。管理サーバ20は、画像の撮影位置を特定した場合、この画像とともに取得した撮影装置識別情報に対応する作業者識別子を、作業者識別テーブルを用いて特定する。そして、特定した撮影位置を、この作業者識別子に関連付けて、作業者情報記憶部に記憶する。これにより、管理対象だけでなく、画像を撮影した作業者の所在位置も併せて管理することができる。」
第5 引用発明との対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「エリア3e」は、本願発明1の「エリア」に相当する。
そして、引用発明の「人流情報処理システム1」の「エリア間人流図40」は、「エリア3eを表わすノード41」間を結ぶ「リンク45」の「幅」が「移動人数と比例」し、「人通りが多いエリア3eか否か等を直感的に判断」できるものであって、「幅」によって各「エリア3e」間の人の密集・密接の状態を分析できるものと認められる。
してみると、引用発明の「人流情報処理システム1」と、本願発明1の「工場内の人の密集や密接の状態を、前記工場内の各エリア毎に分析する作業内容分析装置」とは、後記の点では相違するものの、「対象領域内の人の密集や密接の状態を、前記対象領域内のエリアに関連して分析する分析装置」の点では共通する。
イ 引用発明の「採取対象者識別情報」、「受信時刻情報」は、各々、本願発明1の「人の識別情報」、「時間情報」に相当する。
また、引用発明の「ビーコン識別情報」は、「ビーコン位置データベース37」によって「大型商業施設内」(「採取対象領域3」)の「位置情報」と紐付けられているものであって「採取対象領域3」の各人の位置に関する情報と認められることから、引用発明の「ビーコン識別情報」と、本願発明1の「位置を表す位置情報」とは、後記の点では相違するもの「位置に関する情報」の点では共通する。
そして、引用発明の「蓄積採取データベース39」は、「受信した採取対象者識別情報と、受信したビーコン識別情報と、受信時刻情報とが格納されるものであ」るから、引用発明の「蓄積採取データベース39」と、本願発明1の「前記工場内の各人の位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベース」とは、後記の点では相違するものの、「前記対象領域内の各人の位置に関する情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベース」の点では共通する。
ウ 引用発明の「サーバ30」の「人流情報処理プログラム34」は、「上記エリア間移動順情報に基づいて、或る移動元エリア3eから或る移動先エリア3eへ移動した採取対象者2の数を集計して、2つのエリア3e,3e間を移動した人数を集計」し「エリア間移動人数情報」を得るものである。
ここで、「エリア間移動順情報」は、「蓄積採取データベース39と、ビーコン位置データベース37とによって、各採取対象者2が、或る時刻にどのエリア3eに居たかが推定し、この居場所の時系列データによって、各採取対象者2が或る移動元エリア3eから別の移動先エリア3eへ移動したことが判別し」、「各採取対象者2がエリア3e,3e…をどの順番で訪問したか」の情報である。そして、この判別は、「蓄積採取データベース39」の「採取対象者識別情報」、「受信したビーコン識別情報」、「受信した受信時刻情報」と、「ビーコン位置データベース37」の「各ビーコン10の識別情報と位置情報」に基づいて、「各採取対象者2がエリア3e,3e…をどの順番で訪問したか」を判別しているものと認められる。
してみると、上記イの点も踏まえると、引用発明の「サーバ30」の「人流情報処理プログラム34」は、「蓄積採取データベース39」に、「採取対象者識別情報」に関連付けて記憶された「ビーコン識別情報」および「受信時刻情報」、「ビーコン位置データベース37」に基づいて、各「エリア3e」間毎に、「移動した人」の累積値である「エリア間移動人数情報」を得ているといえる。
よって、引用発明の「エリア間移動人数情報」は、本願発明1の「予め決定された項目の累積値」に相当し、また、引用発明の「サーバ」の「人流情報処理プログラム34」と、本願発明1の「前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、前記各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得る累積部」とは、後記の点では相違するものの、「前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置に関する情報および時間情報に基づいて、前記エリアに関連して、予め決定された項目の累積値を得る累積部」の点では共通する。
さらに、引用発明の「エリア間移動人数情報」と、本願発明1の「前記予め決定された項目のうちの第1の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による立入回数の累積値であり、前記予め決定された項目のうちの第2の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による滞在時間の累積値であ」ることとは、後記の点では相違するものの、「前記予め決定された項目のうちの第1の項目の累積値は、前記エリアに関連した前記各人による立入回数の累積値であ」ることの点では共通する。
エ また、引用発明の「サーバ30」の「人流図データ作成プログラム35」は、「エリア間人流図40をブラウザ上で表示するためのソースコードで構成されているエリア間人流図データ(人流情報)を作成」するものであって、そして、「エリア間人流図40は、エリア3eを表わすノード41と、2つのノード41,41間を結ぶリンク45を含み、リンク45の幅は、そのリンク45で結ばれた2つのノード41,41とそれぞれ対応する移動元エリア3eから移動先エリア3eへの移動人数と比例」するものである。
ここで、「人流図データ作成プログラム35」は、「エリア間移動人数情報」を基に、「2つのノード41,41間」(「エリア3e」間)の「リンク45の幅」を決定しているものと認められ、引用発明では、「エリア間移動人数情報」に基づいて、「エリア間人流図40」の「エリア3e」間の「リンク45の幅」を分類し、「エリア3e」間毎に「幅」を明示するためのソースコードを作成しているといえる。
したがって、引用発明の「エリア間人流図40」は、本願発明1の「マップ」に相当し、そして、引用発明の「サーバ30」の「人流図データ作成プログラム35」と、本願発明1の「前記累積部によって得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記各エリアを分類する分類部」、「前記分類部による分類結果を、前記エリアによって区分された前記工場を示すマップにおける対応するエリアに明示する結果明示部」とは、後記の点では相違するものの、「前記累積部によって得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記エリアに関連して分類する分類部」、「前記分類部による分類結果を、前記エリアによって区分された前記対象領域を示すマップにおける対応するエリアに関連して明示する結果明示部」の点では共通する。
さらに、引用発明の「サーバ30」の「人流図データ作成プログラム35」と、本願発明1の「前記分類部は、第1の分類結果として、前記各エリア毎の立入回数の累積値に基づいて、前記各エリアを分類し、第2の分類結果として、前記各エリア毎の滞在時間の累積値に基づいて、前記各エリアを分類し、前記結果明示部は、前記第1の分類結果を、前記工場を示すマップにおける対応するエリアに明示し」、「前記結果明示部は、前記第2の分類結果を、前記工場を示すマップにおける対応するエリアに明示」することとは、後記の点で相違するものの「前記分類部は、第1の分類結果として、前記エリア関連した立入回数の累積値に基づいて、前記エリアに関連して分類し、前記結果明示部は、前記第1の分類結果を、前記対象領域を示すマップにおける対応するエリアに関連して明示」することの点では共通する。
オ さらに、引用発明の「クライアントコンピュータ7」は「ブラウザ」によって、「ソースコードで構成されているエリア間人流図データ(人流情報)」から「エリア間人流図40が表示する」ものである。
したがって、上記エの点も踏まえると、引用発明の「クライアントコンピュータ7」と、本願発明1の「前記結果明示部によって各エリアに分類結果が明示された前記マップを表示させる表示制御部」とは、後記の点では相違するものの、「前記結果明示部によってエリアに関連した分類結果が明示された前記マップを表示させる表示制御部」の点では共通する。
また、引用発明の「クライアントコンピュータ7」と、本願発明1の「前記表示制御部は、前記結果明示部によって各エリアに前記第1の分類結果が明示された第1のマップを表示させ」、「前記表示制御部は、前記結果明示部によって各エリアに前記第2の分類結果が明示された第2のマップを表示させ」ることとは、後記の点では相違するものの、「記表示制御部は、前記結果明示部によってエリアに関連して前記第1の分類結果が明示された第1のマップを表示させ」ることの点では共通する。
カ 引用発明の「携帯通信機器20」は、「来店客等の採取対象者2が携帯している」ものであって、また、引用発明では、「採取対象者2が携帯通信機器20を携行して採取対象領域3に入ると、最寄りのビーコン10からのビーコン電波13を携帯通信機器20が受信し、携帯通信機器20は、任意のビーコン10からビーコン電波13を受信する度に(ステップ102)、そのビーコン電波13からビーコン識別情報を復号し、そして、該ビーコン識別情報と、その受信時刻とを、採取データとして内蔵メモリの採取データベース27に記憶し(ステップ103)、携帯通信機器20は、あるタイミングで採取データを通信ネットワーク6経由でサーバ30へ送信し(ステップ104)、サーバ30(蓄積手段)は、これを蓄積採取データとして蓄積採取データベース39に蓄積(ステップ106)」するものである。
さらに、引用発明の「蓄積採取データベース39には、受信した採取対象者識別情報と、受信したビーコン識別情報と、受信時刻情報とが格納されるものであ」るから、「携帯通信機器20」が、「採取データを通信ネットワーク6経由でサーバ30へ送信」する際には、「採取対象者識別情報」も送信しているものと認められる。また、引用発明の「採取対象者識別情報」は「携帯通信機器20の識別情報」である。
してみると、引用発明の「携帯通信機器20」と、本願発明1の「前記人に取り付けられたカメラ」、「前記カメラは、前記カメラが取り付けられている人の視線上の映像を撮像し、映像情報を、前記カメラに付与されている識別情報とともに出力」することとは、後記の点では相違するものの、「前記人に取り付けられた機器」、「前記機器は、前記機器が取得した情報を、前記機器に付与されている識別情報とともに出力」することの点では共通する。
キ さらに、引用発明は、「蓄積採取データベース39と、ビーコン位置データベース37とによって、各採取対象者2が、或る時刻にどのエリア3eに居たかが推定」するものであって、この推定は、「蓄積採取データベース39」の「携帯通信機器20の識別情報」である「受信した採取対象者識別情報と、受信したビーコン識別情報と、受信時刻情報」と、「ビーコン位置データベース37」の「各ビーコン10の識別情報と位置情報」とのを紐付けによるものと認められる。
してみると、引用発明と、本願発明1の「前記カメラから、前記映像情報と、前記カメラに付与されている識別情報とが出力されると、前記第2のデータベースから、前記カメラに付与されている識別情報に関連付けられている人の識別情報を取得し、前記映像情報から、前記カメラが取り付けられた人の位置情報を検出」することとは、後記の点では相違するものの、「前記機器から、前記機器が取得した情報と、前記機器に付与されている識別情報とが出力されると、前記機器が取得した情報から、前記機器が取り付けられた人の位置情報を検出」することの点では共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
〈一致点〉
「対象領域内の人の密集や密接の状態を、前記対象領域内の各エリアに関連してに分析する分析装置であって、
前記対象領域内の各人の位置に関する情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベースと、
前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置に関する情報および時間情報に基づいて、前記各エリアに関連して、予め決定された項目の累積値を得る累積部と、
前記累積部によって得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記エリアに関連して分類する分類部と、
前記人に取り付けられた機器と、
前記分類部による分類結果を、前記エリアによって区分された前記対象領域を示すマップにおける対応するエリアに関連して明示する結果明示部と、
前記結果明示部によってエリアに関連した分類結果が明示された前記マップを表示させる表示制御部とを備え、
前記機器は、前記機器が取得した情報を、前記機器に付与されている識別情報とともに出力し、
前記機器から、前記機器が取得した情報と、前記機器に付与されている識別情報とが出力されると、前記機器が取得した情報から、前記機器が取り付けられた人の位置情報を検出し、
前記予め決定された項目のうちの第1の項目の累積値は、前記各エリアに関連した前記各人による立入回数の累積値であり、
前記分類部は、第1の分類結果として、前記各エリアに関連した立入回数の累積値に基づいて、前記エリアに関して分類し、
前記結果明示部は、前記第1の分類結果を、前記対象領域を示すマップにおける対応するエリアに関連して明示し、前記表示制御部は、前記結果明示部によってエリアに関連して前記第1の分類結果が明示された第1のマップを表示させる、
分析装置。」
〈相違点1〉
「対象領域」が、本願発明1では、「工場」であって、さらに、「前記第1のマップおよび前記第2のマップは、前記工場の機械の最適な配置決定および配置エリア決定のために活用される、作業内容分析装置」であるのに対して、引用発明では、「採取対象領域3である大型商業施設」であって、さらに、「エリア間人流図40」はそのよう工場の機械の最適な配置決定に活用されるものではく、「人流」を分析する装置である点。
〈相違点2〉
本願発明1では、「各エリア毎に分析する」ものであって、「各エリア毎に
」累積し、分類し、「対応するエリア」に明示するものであるのに対して、引用発明では、「エリア3e間」毎に分析するものであって、「エリア3e間」毎に累積し、分類し、明示するものである点。
〈相違点3〉
「前記人に取り付けられた機器」が、本願発明1では、「カメラ」であって、また、「前記人の識別情報と、前記人に取り付けられたカメラに付与されている識別情報とを関連付けて記憶する第2のデータベース」を備えており、「前記カメラは、前記カメラが取り付けられている人の視線上の映像を撮像し、映像情報を、前記カメラに付与されている識別情報とともに出力し、 前記カメラから、前記映像情報と、前記カメラに付与されている識別情報とが出力されると、前記第2のデータベースから、前記カメラに付与されている識別情報に関連付けられている人の識別情報を取得し、前記映像情報から、前記カメラが取り付けられた人の位置情報を検出」するものであるのに対して、引用発明では、「携帯通信機器20」であって、そのような「第2のデータベース」を備えておらず、「携帯通信機器20」と「各採取対象者2」の識別情報は同じものである点。
〈相違点4〉
「予め決定された項目の累積値」が、本願発明1では、「前記予め決定された項目のうちの第1の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による立入回数の累積値であり、前記予め決定された項目のうちの第2の項目の累積値は、前記各エリアへの前記各人による滞在時間の累積値であ」って、「第2の項目の累積値」に関しても「分類部」は分類し、「結果明示部」は明示し、「表示制御部」は表示するのに対して、引用発明では、「2つのエリア3e,3e間を移動した人数」のみであって、そのような「第2の項目の累積値」を有していない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、相違点4について先に検討する。
引用文献2-5には、「立入回数の累積値」と、「滞在時間の累積値」の両方から、各々のマップを作成し表示することは記載されておらず、また、そのことが周知の技術であったとも認められない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1に記載された発明、及び引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2、3について
本願発明2、3は、各々、本願発明1の「作業内容分析装置」を方法、プログラムの観点から記載したに過ぎずに、上記相違点4に対応する構成を含むことから、本願発明2、3は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定についての判断
審判請求時の補正により、本願発明1ないし3は上記第3に示したとおりのものとなっているから、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由1(進歩性)を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-010216