特許拒絶査定不服審判
2024-009256
各台装置及び遊技管理方法
- 審判番号
- 2024-009256
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-004025
- 請求日
- 2024年06月04日
- 審決日
- 2025年01月21日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】グローリー株式会社
- 【請求人代理人】中辻 史郎
- 【請求人代理人】諏訪 淳一
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 蔵野 いづみ
- 審判官 三橋 健二
- 分類
- P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 4025「各台装置及び遊技管理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月 3日出願公開、特開2023- 29632〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年8月7日に出願した特願2018-148661の一部を令和5年1月13日に新たな特許出願(特願2023-4025)としたものであって、同年11月6日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月21日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和6年2月29日付け(送達日:3月5日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年6月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願の請求項1に係る発明
本願の請求項1~3に係る発明は、令和5年12月21日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(A~Gは、本願発明を分説するために当審で付した。以下、A等が付された事項を「特定事項A」等という。)。
「【請求項1】
A 遊技媒体を用いた遊技に用いる遊技媒体数を遊技可能数として管理する遊技機に併設され、前記遊技可能数に移行可能な持遊技媒体数を記憶するとともに、記憶媒体に関連付けられたプリペイド価値に基づく遊技媒体の貸し出し処理を行う各台装置であって、
B 所定の認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、
C 前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値を記憶媒体に関連付けて排出する記憶媒体返却操作について前記認証情報の受付を条件とする制限を設定する制限設定手段と、
D 前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値が存在するか否かを判定する価値判定手段と、
E 前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値の全てが存在せず、前記遊技機において前記遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合に、遊技客の交代が発生したと判定する交代判定手段と、
F 前記価値判定手段により前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値の全てが存在しないと判定された場合には前記認証情報を維持し、その後前記交代判定手段により前記遊技客の交代が発生したと判定されたならば、前記認証情報を消去する認証情報消去手段と
G を備えたことを特徴とする各台装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含んでいる。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1
・引用文献1 特開2017-184824号公報
・引用文献2 特開2016-198586号公報
第4 引用文献
1 引用文献1
(1) 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布され、または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-184824号公報(平成29年10月12日公開)には、遊技用装置(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は当審で付した。)。
「【0024】
[第1実施形態]
(遊技システムの基本概要)
まず、本発明における遊技媒体取扱装置1を含む遊技システムの基本概要について、図1を用いて説明する。同図に示すように、第1実施形態に係る遊技システムは、少なくとも、遊技媒体取扱装置1と、サーバ装置2と、遊技機3と、表示装置4とから構成され、各々が同図に示すように接続されている。」
「【0032】
なお、第1実施形態においては、遊技者の持玉情報及び残額情報をサーバ装置2が管理することとしているが、これらの情報を遊技媒体取扱装置1が管理することとしてもよい。また、カードに識別情報を付加するだけでなく記憶領域をも設け、当該記憶領域にこれらの情報を記憶させ、これらの情報の管理を行うこととしてもよい。そして、これらの情報の更新については、サーバ装置2が行うこととしてもよく、遊技媒体取扱装置1が行うこととしてもよい。さらには、持玉情報については、サーバ装置2又は遊技媒体取扱装置1が管理し、残額情報については、カードの記憶領域に直接記憶されることとしてもよい。」
「【0069】
図3は、遊技媒体取扱装置1及びサーバ装置2間の接続を示す機能ブロック図である。遊技媒体取扱装置1は、制御部100及び記憶部103から構成され、サーバ装置2は、持玉管理装置200、会員管理装置210、遊技情報管理装置220、入力部230、出力部240及び表示部250から構成されている。さらに、持玉管理装置200は、制御部201及び記憶部202から構成され、会員管理装置210は、制御部211及び記憶部212から構成され、遊技情報管理装置220は、制御部221及び記憶部222から構成されている。」
「【0208】
(遊技システムのシステム構成)
図20は、本発明に係る遊技システムのシステム構成図である。・・・
【0209】
また、サーバ装置2には、遊技媒体取扱装置1a、パチンコ機3a及び表示装置4を一単位とした場合(以下、「パチンコ遊技ユニット」という。)に、所定数毎のパチンコ遊技ユニットが、島コントローラ8及びHUB9を介してLAN接続されている。同様に、遊技媒体取扱装置1b、パチスロ機3b及び表示装置4を一単位とした場合(以下、「パチスロ遊技ユニット」という。)に、所定数毎のパチスロ遊技ユニットが、島コントローラ8及びHUB9を介してLAN接続されている。これらのパチンコ遊技ユニット、又はパチスロ遊技ユニットが接続される単位を、島単位という。」
「【0371】
(カード返却時処理)
図35は、遊技媒体取扱装置1及びサーバ装置2により行われるカード返却時処理の処理手順を示すフローチャートである。
・・・
【0377】
次に、遊技媒体取扱装置1は、サーバ装置2に対して返却要求を行い(ステップS117)、識別情報、持玉情報、残額情報及びレート情報をサーバ装置2に送信する。
【0378】
サーバ装置2は、遊技媒体取扱装置1から送信された識別情報、持玉情報、残額情報及びレート情報を受信すると、レート別持玉情報記憶部202cに記憶された持玉情報、あるいは残額情報記憶部202dに記憶された残額情報を識別情報と対応付けて更新し(ステップS206)、更新情報を遊技媒体取扱装置1に送信する。遊技媒体取扱装置1は、サーバ装置2から送信された更新情報を受信すると、カードの返却(発行)を行う(ステップS118)。」
「【1085】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る遊技媒体取扱装置1について説明する。・・・
【1086】
第3実施形態に係る遊技媒体取扱装置1は、特に認証情報と識別情報とが対応付けられていないときは、当該識別情報に対応付けられた消費金額を表示せず、認証情報と識別情報とが対応付けられているときは、当該識別情報に対応付けられた前記消費金額を表示可能とする場合において、第1実施形態に係る遊技システムに適用される。即ち、以下に説明する第3実施形態に係る遊技媒体取扱装置1は、第1実施形態に係る遊技媒体取扱装置1と同様の構成を、以下に説明するように機能させる。また、以下の説明において、第1実施形態に係る遊技システムと同様の構成や機能には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略する。また、以下の説明において、定義せずに使用する用語は、第1実施形態の説明において使用した用語と同様の意味である。
・・・
【1088】
制御部100は、ステップS341において、計数済の持玉数(会員カードに対応付けて記憶される貯玉又は計数カードに対応付けて記憶される計数持玉)に基づく払出指示があったか否かを判断する。
・・・
【1090】
計数済の持玉数に基づく払出指示があった場合(ステップS341で「YES」)、制御部100は、ステップS341からステップS342に処理を移して、払出装置106を駆動させることにより、指定数の遊技媒体を遊技機3の上皿に払い出すように制御する。
【1091】
これに対して、計数済みの持玉数に基づく払出指示がなかった場合(ステップS341で「NO」)、制御部100は、ステップS341からステップS343に処理を移して、価値媒体が投入された(されている)か否かを判断する。価値媒体とは、カード挿入口14に挿入される会員カード又は計数カード、紙幣投入口15に挿入される紙幣、又は非接触ICカードリーダライタ18にかざされる非接触ICカードを意味する。会員カード又は計数カードがカード挿入口14に挿入されると、カードリーダライタ104によって会員カード又は計数カードから金額データが読み出される。紙幣が紙幣投入口15に挿入されると、ビルバリ105によって紙幣の金額が識別されて金額データが読み取られる。また、非接触ICカードリーダライタ18に非接触ICカードがかざされると、当該非接触ICカードリーダライタ18によって非接触ICカードの金額データが読み取られる。これらの読み取られた金額データは、入金額情報(の一部)として記憶部103に記憶される。また、制御部100は、カード挿入口14に会員カード又は計数カードが挿入されていない状態で紙幣投入口15に紙幣が投入された場合、遊技媒体取扱装置1に貯留されている計数カードをカードリーダライタ104による読み取り位置に配置されるように制御する。計数カードの識別情報は、カードリーダライタ104によって読み取られる。なお、以下においては、カードとして計数カードが用いられる例について説明し、計数カードを「カード」と称することとする。なお、計数カードはビジターカードであってもよく、計数カードが読み込み可能な位置と、貯溜される位置(スタッカにストックされている状態)と、に移動可能であってもよい。
【1092】
価値媒体が投入された(されている)場合(ステップS343で「YES」)、制御部100は、ステップS343からステップS344に処理を移して、払出しに係る金額の指定(投入金額のうち遊技媒体の払出しに使用する金額の指定)があったか否かを判断する。なお、払出しに係る金額の指定は、遊技者がタッチパネルLCD16を操作する(図98に示す選択画面のアイコンA2を押圧操作)ことにより可能である。制御部100は、入金額情報とカードの識別情報とを互いに対応付けた状態で、サーバ装置2に送信する。当該入金額情報及び当該識別情報は、記憶部202に格納される。
【1093】
払出しに係る金額の指定があった場合(ステップS344で「YES」)、制御部100は、ステップS344からステップS345に処理を移して、払出装置106を駆動させることにより、指定金額分の遊技媒体を遊技機3の上皿に払い出すように制御する。
・・・
【1097】
図99は、第3実施形態に係るカードロック処理を示すフローチャートである。制御部100は、ステップS351において、カード挿入口14にカードが挿入されているか否かを判断する。
【1098】
カード挿入口14にカードが挿入されている場合(ステップS351で「YES」)、制御部100は、ステップS351からステップS352に処理を移して、カードに残額があるか否かを判断する。具体的には、制御部100は、カードリーダライタ104によって読み込まれたカードの識別情報をサーバ装置2に送信する。制御部201は、制御部100から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報と対応付けられて記憶部202に記憶された残額情報を検索し、その検索結果を遊技媒体取扱装置1に送信する。制御部100は、その検索結果に基づいて、カードに残額があるか否かを判断する。
・・・
【1101】
遊技者からカードロックの要求(指示)があった場合(ステップS354で「YES」)、制御部100は、ステップS354からステップS355に処理を移して、カードに暗証番号が設定済みであるか否かを判断する。具体的には、制御部201は、制御部100から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報と対応付けられて記憶部212に記憶された暗証番号を検索し、その検索結果を遊技媒体取扱装置1に送信する。制御部100は、その検索結果に基づいて、カードに暗証番号が設定済みであるか否かを判断する。
【1102】
カードに暗証番号が設定済みでなかった場合(ステップS355で「NO」)、制御部100は、ステップS355からステップS356に処理を移して、タッチパネルLCD16にカードロック用の暗証番号の設定画面を表示させる。
・・・
【1104】
遊技者がタッチパネルLCD16を操作して暗証番号を設定すると(ステップS357で「YES」)、制御部100は、ステップS357からステップS361に処理を移して、カードリーダライタ104に配置されたカードがカードロックされるように(カードロック機能を有効に切り替えるように)、カードリーダライタ104を制御する。制御部100は、入力された暗証番号をサーバ装置2へ送信する。制御部201は、当該暗証番号をカードの識別情報と対応付けて、サーバ装置2の記憶部212に記憶させる。
・・・
【1110】
図100は、第3実施形態に係る消費金額表示の処理を示すフローチャートである。制御部100は、ステップS371において、カードに暗証番号が設定済みであるか否かを判断する。具体的には、制御部201は、制御部100から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報と対応付けられて記憶部212に記憶された暗証番号を検索し、その検索結果を遊技媒体取扱装置1に送信する。制御部100は、その検索結果に基づいて、カードに暗証番号が設定済みであるか否かを判断する。
【1111】
カードに暗証番号が設定済みであった場合(ステップS371で「YES」)、制御部100は、ステップS371からステップS372に処理を移して、入金額のうち遊技媒体として暗証番号の設定以降に消費された金額(消費金額)及び残額(入金額から消費金額を引いた額)を算出し始める(算出する)。具体的には、まず制御部100は、カードへの暗証番号の設定(図99に示すステップS357)がされたことを示す信号をサーバ装置2に送信する。制御部201は、制御部100から当該信号を受信すると、制御部100から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報と対応付けられて記憶部202に記憶された消費金額情報を検索し、その検索された消費金額情報を制御部100に送信する。制御部201は、該当する消費金額情報がない場合は、その旨を示す信号を制御部100に送信する。
・・・
【1115】
次いで、制御部100は、ステップS373からステップS374に処理を移して、残額が0か否かを判断する。具体的には、制御部201は、制御部100から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報と対応付けられて記憶部202に記憶された残額情報を検索し、その検索結果を遊技媒体取扱装置1に送信する。制御部100は、その検索結果に基づいて、残額が0か否かを判断する。
【1116】
残額が0と判断されると(ステップS374で「YES」)、制御部100は、ステップS374からステップS375に処理を移して、持玉が0か否かを判断する。具体的には、制御部201は、制御部100から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報と対応付けられて記憶部202に記憶された持玉情報を検索し、その検索結果を遊技媒体取扱装置1に送信する。制御部100は、その検索結果に基づいて、持玉が0か否かを判断する。
【1117】
持玉が0と判断されると(ステップS375で「YES」)、制御部100は、ステップS375からステップS376に処理を移して、状態表示灯13を点滅させる。これにより、その遊技機3において残額が0且つ持玉が0であることを従業員等に報知することができる。
・・・
【1119】
一方、ステップS374において残額が0でないと判断された場合(ステップS374で「NO」)、又はステップS375において持玉が0でないと判断された場合(ステップS375で「NO」)、制御部100は、ステップS374又はステップS375からステップS378に処理を移して、遊技者からカードの返却要求があるか否かを判断する。この判断の具体的な方法は、前述のステップS377と同様である。
【1120】
遊技者からカードの返却要求があった場合(ステップS377又はステップS378で「YES」)、制御部100は、ステップS377又はステップS378からステップS379に処理を移して、カードロック(図99に示すステップS361)がされているか否かを判断する。
【1121】
カードロックがされていた場合(ステップS379で「YES」)、制御部100は、ステップS379からステップS380に処理を移して、タッチパネルLCD16に暗証番号の入力画面を表示させる。
・・・
【1123】
遊技者がタッチパネルLCD16を操作して暗証番号を入力すると(ステップS381で「YES」)、制御部100は、ステップS381からステップS382に処理を移して、入力された暗証番号が記憶部212に記憶された暗証番号と一致するか否かを判断する。具体的には、制御部100は、カードリーダライタ104によって読み込まれたカードの識別情報をサーバ装置2に送信する。制御部201は、制御部100から受信した識別情報に基づいて、当該識別情報と対応付けられて記憶部212に記憶された暗証番号を検索し、その検索結果を遊技媒体取扱装置1に送信する。制御部100は、その検索結果に基づいて、入力された暗証番号が記憶部212に記憶された暗証番号と一致するか否かを判断する。
【1124】
暗証番号が一致した場合(ステップS382で「YES」)、制御部100は、ステップS382からステップS383に処理を移して、カードロックを解除して(カードロック機能を無効に切り替えて)カードが返却されるようにカードリーダライタ104を制御すると共に、消費金額及び残額の表示を終了させる(表示をできないようにする)。このとき、制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を互いに対応付けて、サーバ装置2の記憶部(記憶部202及び記憶部212)に記憶させてから、カードの返却処理を行う。
・・・
【1126】
一方、ステップS377においてカードの返却要求がない場合(ステップS377で「NO」)、制御部100は、ステップS377からステップS384に処理を移して、持玉が0であると判断した後で、所定時間継続して遊技者の操作に基づく信号がなかったかどうかを判断する。遊技者の操作に基づく信号は、遊技者がタッチパネルLCD16を操作したことにより生じる信号、入金があったことを示す信号、及び遊技を行っていることを示す信号(発射ハンドル55のタッチセンサからの検知信号等)を含むものである。
【1127】
所定時間、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合(ステップS384で「YES」)、制御部100は、ステップS384からステップS385に処理を移して、カードが遊技媒体取扱装置1に取り込まれるようにカードリーダライタ104を制御すると共に、消費金額の表示を終了させる(表示をできないようにする)。そして、制御部100は、サーバ装置2にカードが遊技媒体取扱装置1に取り込まれことを示す信号を送信する。制御部201は、当該信号を受けて、サーバ装置2の記憶部(記憶部202及び記憶部212)に記憶された暗証番号と識別情報との対応付けを解除すると共に、消費金額情報と識別情報との対応付けを解除する。或いは、制御部201は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報をサーバ装置2の記憶部(記憶部202及び記憶部212)から消去させるようにしてもよい。
【1128】
なお、制御部100は、ステップS371、ステップS378、ステップS381、ステップS382及びステップS384において否定結果となった場合は、いずれも最初のステップ(ステップS371)に処理を戻す。
・・・
【1156】
また、第3実施形態においては、暗証番号(認証情報)、カードの識別情報及び消費金額を、互いに対応付けて記憶部202に記憶するものとしたが、カードの記憶部に記憶するものであってもよく、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶するものであってもよい。」
「【図20】
[図:0001421242000001.jpg]
」
(2) 認定事項
ア 【0024】の「第1実施形態に係る遊技システムは、少なくとも、遊技媒体取扱装置1と、サーバ装置2と、遊技機3と、表示装置4とから構成され」の記載、【0209】の「また、サーバ装置2には、遊技媒体取扱装置1a、パチンコ機3a及び表示装置4を一単位とした場合(以下、「パチンコ遊技ユニット」という。)に、所定数毎のパチンコ遊技ユニットが、島コントローラ8及びHUB9を介してLAN接続されている。」の記載、及び図20の図示内容から見て、引用文献1には「遊技媒体取扱装置1は対応する遊技機3に隣接して設置されていること」が記載されていると認められる(以下「認定事項ア」という。)。
イ 【1088】の「計数済の持玉数(会員カードに対応付けて記憶される貯玉又は計数カードに対応付けて記憶される計数持玉)」の記載、【1116】の「・・・記憶部202に記憶された持玉情報・・・」の記載、【0032】の「・・・遊技者の持玉情報及び残額情報をサーバ装置2が管理することとしているが、これらの情報を遊技媒体取扱装置1が管理することとしてもよい。・・・」の記載、及び【0069】の「遊技媒体取扱装置1は、制御部100及び記憶部103から構成され」の記載から見て、引用文献1には、「計数済の持玉数は、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶されていること」が記載されていると認められる(以下「認定事項イ」という。)。
ウ 【0069】の「遊技媒体取扱装置1は、制御部100及び記憶部103から構成され、サーバ装置2は、持玉管理装置200・・・から構成されている。さらに、持玉管理装置200は、制御部201及び記憶部202から構成され、・・・」の記載、【1104】の「・・・制御部100は、入力された暗証番号をサーバ装置2へ送信する。制御部201は、当該暗証番号をカードの識別情報と対応付けて、サーバ装置2の記憶部212に記憶させる。」の記載、及び【1156】の「また、第3実施形態においては、暗証番号(認証情報)、カードの識別情報及び消費金額を、互いに対応付けて記憶部202に記憶するものとしたが、カードの記憶部に記憶するものであってもよく、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶するものであってもよい。」の記載から見て、引用文献1には「遊技媒体取扱装置1の制御部100は、入力された暗証番号をカードの識別情報と対応付けて、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶させること」が記載されていると認められる(以下「認定事項ウ」という。)。
エ 【1127】の「所定時間、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合・・・制御部201は、当該信号を受けて、サーバ装置2の記憶部(記憶部202及び記憶部212)に記憶された暗証番号と識別情報との対応付けを解除すると共に、消費金額情報と識別情報との対応付けを解除する。或いは、制御部201は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報をサーバ装置2の記憶部(記憶部202及び記憶部212)から消去させるようにしてもよい。」の記載、及び上記認定事項ウより、引用文献1には、「所定時間、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合、遊技媒体取扱装置1の制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を遊技媒体取扱装置1の記憶部103から消去させること」が記載されていると認められる(以下「認定事項エ」という。)。
オ 第1実施形態に係る、【0032】の「なお、第1実施形態においては、遊技者の持玉情報及び残額情報をサーバ装置2が管理することとしているが、これらの情報を遊技媒体取扱装置1が管理することとしてもよい。」の記載、【0377】の「次に、遊技媒体取扱装置1は、サーバ装置2に対して返却要求を行い(ステップS117)、識別情報、持玉情報、残額情報及びレート情報をサーバ装置2に送信する。」、及び【0378】の「サーバ装置2は、遊技媒体取扱装置1から送信された識別情報、持玉情報、残額情報及びレート情報を受信すると、レート別持玉情報記憶部202cに記憶された持玉情報、あるいは残額情報記憶部202dに記憶された残額情報を識別情報と対応付けて更新し(ステップS206)、更新情報を遊技媒体取扱装置1に送信する。遊技媒体取扱装置1は、サーバ装置2から送信された更新情報を受信すると、カードの返却(発行)を行う(ステップS118)。」の記載から、また、第3実施形態に係る、【1124】の「暗証番号が一致した場合・・・このとき、制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を互いに対応付けて、サーバ装置2の記憶部(記憶部202及び記憶部212)に記憶させてから、カードの返却処理を行う。」の記載、及び【1156】の「また、第3実施形態においては、暗証番号(認証情報)、カードの識別情報及び消費金額を、互いに対応付けて記憶部202に記憶するものとしたが、カードの記憶部に記憶するものであってもよく、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶するものであってもよい。」の記載から見て、引用文献1には、「暗証番号が一致した場合、遊技媒体取扱装置1制御部100は、暗証番号、識別情報、持玉情報、消費金額情報及び残額情報を互いに対応付けて、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶させてから、カードの返却処理を行うこと」が記載されていると認められる(以下「認定事項オ」という。)。
カ 【1124】の「暗証番号が一致した場合(ステップS382で「YES」)、制御部100は、ステップS382からステップS383に処理を移して、カードロックを解除して(カードロック機能を無効に切り替えて)カードが返却されるようにカードリーダライタ104を制御すると共に、消費金額及び残額の表示を終了させる(表示をできないようにする)。このとき、制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を互いに対応付けて、サーバ装置2の記憶部(記憶部202及び記憶部212)に記憶させてから、カードの返却処理を行う。」の記載、及び【1128】の「なお、制御部100は、・・・ステップS382・・・において否定結果となった場合は、いずれも最初のステップ(ステップS371)に処理を戻す。」の記載から見て、引用文献1には、「暗証番号が一致しない場合、カードの返却処理は行わないこと」が記載されていると認められる(以下「認定事項カ」という。)
(3) 上記(1)及び(2)からみて、引用文献1には、第1実施形態に係る遊技システムに適用され、第1実施形態と同様の構成である、第3実施形態に係る遊技媒体取扱装置1(【1086】)として、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「サーバ装置2と、遊技機3と、表示装置4とともに遊技システムを構成し、対応する遊技機3に隣接して設置される遊技媒体取扱装置1であって(【0024】、認定事項ア)、
遊技媒体取扱装置1は、制御部100及び記憶部103から構成され、サーバ装置2は、制御部201及び記憶部202から構成される持玉管理装置200を備えて構成され(【0069】)、
制御部100は、記憶部103に記憶された計数済の持玉数に基づく払出指示があったか否かを判断し(【1088】、認定事項イ)、
計数済の持玉数に基づく払出指示があった場合、制御部100は、指定数の遊技媒体を遊技機3の上皿に払い出すように制御し(【1090】)、
これに対して、計数済みの持玉数に基づく払出指示がなかった場合、制御部100は、カード挿入口14に挿入される計数カードや紙幣投入口15に挿入される紙幣などの価値媒体が投入されているか否かを判断し、計数カードがカード挿入口14に挿入されると、計数カードから金額データが読み出され、紙幣が紙幣投入口15に挿入されると、紙幣の金額が識別されて金額データが読み取られ、読み取られた金額データは、入金額情報として記憶部103に記憶され(【1091】)、
価値媒体が投入されており(【1092】)、払出しに係る金額の指定があった場合、制御部100は、指定金額分の遊技媒体を遊技機3の上皿に払い出すように制御し(【1093】)、
また、カード挿入口14にカード(計数カード)が挿入され(【1098】)、遊技者からカードロックの要求があった場合、制御部100は、カードに暗証番号が設定済みであるか否かを判断し(【1101】)、
カードに暗証番号が設定済みでなかった場合、制御部100は、タッチパネルLCD16にカードロック用の暗証番号の設定画面を表示させ(【1102】)、
遊技者がタッチパネルLCD16を操作して暗証番号を設定すると、制御部100は、カードリーダライタ104に配置されたカードがカードロックされるようにカードリーダライタ104を制御し、入力された暗証番号をカードの識別情報と対応付けて、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶させ(【1104】、認定事項ウ)、
また、制御部100は、カードに暗証番号が設定済みであるか否かを判断し(【1110】)、カードに暗証番号が設定済みであった場合、制御部100は、入金額のうち遊技媒体として暗証番号の設定以降に消費された金額(消費金額)及び残額(入金額から消費金額を引いた額)を算出し(【1111】)、
制御部100は、残額が0か否かを判断し(【1115】)、残額が0と判断されると、制御部100は、持玉が0か否かを判断し(【1116】)、持玉が0と判断されると(【1117】)、
制御部100は、持玉が0であると判断した後で、所定時間継続して、発射ハンドル55のタッチセンサからの検知信号等の遊技を行っていることを示す信号を含む遊技者の操作に基づく信号がなかったかどうかを判断し(【1126】)、
所定時間、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合、遊技媒体取扱装置1の制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を遊技媒体取扱装置1の記憶部103から消去させ(認定事項エ)、
一方、残額が0でない、又は持玉が0でないと判断され(【1119】)、遊技者からカードの返却要求があり(【1120】)、カードロックがされていた場合、制御部100は、タッチパネルLCD16に暗証番号の入力画面を表示させ(【1121】)、
遊技者がタッチパネルLCD16を操作して暗証番号を入力すると、制御部100は、入力された暗証番号が記憶された暗証番号と一致するか否かを判断し(【1123】)、
暗証番号が一致した場合、遊技媒体取扱装置1の制御部100は、暗証番号、識別情報、持玉情報、消費金額情報及び残額情報を互いに対応付けて、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶させてから、カードの返却処理を行い(認定事項オ)、
暗証番号が一致しない場合、カードの返却処理は行わない(認定事項カ)
遊技媒体取扱装置1(【0024】)。」
2 引用文献2
(1) 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布され、または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-198586号公報(平成28年12月1日公開)には、遊技用システム、および遊技制御装置(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は当審で付した。)。
「【0024】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を以下に説明する。
<パチンコ機の構成>
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るパチンコ機の構成を説明する。遊技場(ホール)内に複数配置されている各遊技島(図示略)には、遊技機の一例の封入循環式パチンコ機(以下、遊技機、パチンコ機またはP台と略称する)2が併設されている。なお、パチンコ機2の所定側の側方位置には、該パチンコ機2に対して遊技用装置の一例のカードユニット(以下CUと略称することもある)3が1対1に対応設置されている。」
「【0035】
<カードユニットの構成>
次に、引続き図1を参照して、本実施の形態に係るカードユニット3の構成を説明する。このカードユニット3は、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であるプリペイド機能を備えるビジターカード(一般カードとも言う)や、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行される遊技用記録媒体である会員カードを受付ける。ビジターカードや会員カードはICカードで構成されている。
【0036】
それらのカードを受付けたカードユニット3は、カードの記録情報により特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残額、持玉数、あるいは貯玉数等)を“遊技玉のデータ”に変換する機能を有する。パチンコ機2では、遊技玉のデータによって特定される玉数相当の弾球遊技が可能とされる。つまり、“遊技玉のデータ”とは、発射可能な玉の発射残数を示すデータである。以下の説明では、“遊技玉のデータ”を貯玉や持玉と同様に、単に“遊技玉”と称する。
【0037】
カードユニット3の前面側には、紙幣を挿入するための紙幣挿入口302、装置前面より装置前方方向に突出形成された突出部305、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入/排出口309などが設けられている。このカード挿入/排出口309に挿入された会員カードやビジターカードがカードリーダライタ(図示省略)に受付けられ、そのカードに記録されている情報が読取られる。
【0038】
前述の突出部305において、遊技者と対向する面には、表示器312と、会員カードを受付けた場合において、該会員カードに記録された会員カードID(単に、カードIDとも言う)ならびに会員カードIDにより特定される貯玉数を用いた再プレイ遊技を実施するための再プレイボタン319とが設けられている。
・・・
【0040】
再プレイボタン319を操作した場合に、挿入されたカードに遊技者が獲得した持玉数が記録されているときにはその持玉数の一部を引落として遊技玉に変換し、変換した遊技玉に基づいてパチンコ機2による遊技を行なうことが可能となる。一方、挿入されたカードが会員カードであり持玉数が記録されておらずかつ貯玉がホール用管理コンピュータ等に記録されている場合には、その貯玉の一部が引落とされて遊技玉に変換され、パチンコ機2による遊技が可能となる。つまり、挿入されたカードに対応付けて貯玉と持玉との双方が記憶されている場合には、持玉が優先的に引落とされる。なお、再プレイボタン319とは別に、持玉を引落とすための専用の持玉払出ボタンを設け、再プレイボタン319は貯玉引落とし専用のボタンとしてもよい。
・・・
【0048】
カードユニット3の前面側には、さらに、IR(Infrared)感光ユニット(IR受光ユニットとも言う)320と、玉貸ボタン(貸出ボタンとも言う)321と、カード返却ボタン322とが設けられている。IR感光ユニット320は、遊技場の係員が所持するリモコン(図示略)から赤外線信号を受信して電子信号に変換して出力するIR感光ユニット320である。玉貸ボタン321は、挿入されたカードに記録されている残額を引落としてパチンコ機2による遊技に用いるための操作(遊技玉への変換操作)を行なうボタンである。カード返却ボタン322は、遊技者が遊技を終了するときに操作され、挿入されているカードに遊技終了時の確定した遊技玉数(カード挿入時の持玉数-遊技玉への変換数+計数操作によって計数された持玉数)を記憶させて排出するための操作ボタンである。」
「【0050】
カードユニット3には、マイクロコンピュータ等から構成されたCU制御部323が設けられている。このCU制御部323は、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Member)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。」
「【0088】
CU制御部323は、払出制御部171から送信されてくる玉数情報等に基づいて自ら記憶している遊技玉数等の遊技情報を更新する。また、CU制御部323はカード残額や遊技者の持玉を記憶しており、P台2側の表示器54にそれら記憶している遊技情報に基づいた表示をするための情報を表示制御部350へ送信する。表示制御部350は、その情報に基づいた表示制御信号をP台2側の中継基板14へ送信する。」
「【0136】
図5に示すように、CU3は、カード持玉数、貯玉数を記憶する記憶領域と、受付けた(挿入された)カードのカード残額を記憶する記憶領域と、総加算玉数(加算玉数累計)、総減算玉数(減算玉数累計)およびカード挿入時持玉を記憶する記憶領域をさらに有する。CU制御部323(図2参照)は、貯玉の使用を要求する入力(たとえば、CU3に設けられた再プレイボタン319の押圧入力(ただし、持玉無しのとき))に応じて貯玉を記憶する記憶領域から所定数の貯玉を減算する。
【0137】
CU制御部323(図2参照)は、持玉の使用を要求する入力(たとえば、持玉有のときのCU3に設けられた再プレイボタン319の押圧入力(ただし、持玉有のとき))に応じて持玉を記憶する記憶領域から所定数の持玉を減算する。さらに、CU制御部323(図2参照)は、カード残額の使用を要求する入力(たとえば、玉貸ボタン321の押圧入力)に応じてカード残額を記憶する記憶領域から所定値を減算する。
【0138】
遊技者所有の遊技用価値(たとえばプリペイド残額、持玉数、あるいは貯玉数)から価値を引落として遊技に使用する操作を遊技者が行なった場合に、その引落とし分の玉数を遊技玉数カウンタに加算するための加算玉数がCU3側からP台2側へ送信される。P台2側では、それを受けて、遊技玉数カウンタを加算更新する。」
「【0324】
なお、閉店時における遊技玉数を計数して持玉数に加算してその持玉数をカードに記録して排出する代わりに、CU制御部323がカードIDと持玉数とをホールサーバ801に送信し、ホールサーバ801でカードIDに対応付けて持玉数を記憶するようにしてもよい。さらには、使用していたカードが会員カードの場合には、持玉数を貯玉してその会員カードを排出してもよい。一方、ビジターカードが使用されていた場合には、そのビジターカードにプリペイド残額が記録されていないことを条件としてそのビジターカードを回収する。また、プリペイド残額が記録されているビジターカードの場合には、そのビジターカードを排出して遊技場のカウンタで保管する。」
「【0444】
<遊技放棄の報知処理>
遊技者が持玉数や遊技玉数などの得点数を有したまま遊技を放棄する場合が考えられる。たとえば、図17では遊技玉数=800が全て計数されて持玉数に加算され、その持玉数がカードに記憶されて遊技者に返却されるため、遊技玉は0となる。しかし、図9に示すように遊技者が入金して遊技を開始したりビジターカードを用いて遊技を開始した場合には、会員カードと異なり必ずしもカードの返却を行なってもらう必要がなく、遊技玉が残り少なくなった場合(たとえば遊技玉=1)カード返却操作や計数操作を行なうことなく遊技を放棄してそのまま遊技者が立ち去る場合が想定される。このようなことは、パチンコ玉で遊技するスロットマシン(パロット)のように、固定数(複数)の玉の存在を条件に遊技が可能な遊技機において、特に発生しやすい。
【0445】
遊技が放棄されると、そのP台2で遊技を行ないたい他の遊技者が遊技できず、遊技場における稼働率が低下する不利益がある。しかし、遊技を放棄したのか、一時的に離席しているだけなのかは容易に判断することができない。そこで、本実施の形態では、店員が遊技を放棄したP台2か否かを容易に判断することができるように報知する処理について説明する。
【0446】
図37は、CU制御部323による遊技放棄の報知処理の一例を示すフローチャートである。図37では、まず、CU3は、第1報知フラグがONになっているか否かを判定する(S701)。第1報知フラグは、CU3が第1報知信号を出力するか否かを判断するフラグで、後述のS703によりONになりS710、S712によりOFFになる。ONの場合第1報知信号を出力し、OFFの場合第1報知信号を出力しない。具体的に、CU3は、第1報知信号を、たとえば異常報知ランプに出力して異常報知を行なったり、ホール用管理コンピュータやホールサーバ801に出力して異常報知を行なうことで、遊技が放棄された可能性を店員に報知する。
【0447】
CU3は、第1報知フラグがOFFの場合(S701:NO)、遊技者の得点数(持玉、遊技玉)が第1期間(たとえば、5分間)以上変動なしか否かを判定する(S702)。なお、遊技玉数は少なくとも1玉以上有している必要があり、遊技玉数が0玉であればCU3は遊技終了として処理することができる。
【0448】
遊技者の得点数(持玉、遊技玉)が第1期間以上変動なし場合(S702:YES)、CU3は、第1報知フラグをONにする(S703)。CU3は、第1報知フラグがONとなることで、第1報知信号を出力する(S704)。具体的に、CU3が出力する第1報知信号は、遊技が放棄された可能性を示す警告をCU3の異常報知ランプに表示させたり、CU3の警告灯を点灯させたりする。また、遊技が放棄された可能性を示す警告をP台2で報知してもよい。なお、CU3は、第1報知フラグがONの場合(S701:YES)も、第1報知信号を出力する(S704)。」
(2) 上記(1)からみて、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
「封入循環式パチンコ機2の所定側の側方位置に、該パチンコ機2に対して1対1に対応設置されているカードユニット(以下CUと略称することもある)3であって(【0024】)、
カードユニット3は、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であるプリペイド機能を備えるカードを受付け(【0035】)、カードの記録情報により特定される遊技者所有のカード残額、持玉数等の遊技価値を、発射可能な玉の発射残数を示すデータである遊技玉(遊技玉のデータ)に変換する機能を有し、パチンコ機2では、遊技玉によって特定される玉数相当の弾球遊技が可能とされ(【0036】)、
カードユニット3の前面側には、再プレイボタン319が設けられ、再プレイボタン319を操作した場合に、挿入されたカードに遊技者が獲得した持玉数が記録されているときにはその持玉数の一部を引落として遊技玉に変換し、変換した遊技玉に基づいてパチンコ機2による遊技を行なうことが可能となり(【0037】、【0038】、【0040】)、
さらに、カードユニット3の前面側には、挿入されたカードに記録されている残額を引落としてパチンコ機2による遊技に用いるための操作である遊技玉への変換操作を行なうボタンである玉貸ボタンが設けられており(【0048】)、
カードユニット3には、マイクロコンピュータ等から構成されたCU制御部323が設けられ(【0050】)、
CU制御部323はカード残額や遊技者の持玉を記憶しており(【0088】)、
CU3は、カード持玉数を記憶する記憶領域と、挿入されたカードのカード残額を記憶する記憶領域を有し(【0136】)、
CU制御部323は、持玉有のときに、再プレイボタン319の押圧入力のような持玉の使用を要求する入力に応じて持玉を記憶する記憶領域から所定数の持玉を減算し、
さらに、CU制御部323は、玉貸ボタン321の押圧入力のようなカード残額の使用を要求する入力に応じてカード残額を記憶する記憶領域から所定値を減算し(【0137】)、
遊技者所有のプリペイド残額、持玉数等の遊技用価値から価値を引落として遊技に使用する操作を遊技者が行なった場合に、その引落とし分の玉数を遊技玉数カウンタに加算し(【0138】)、
閉店時には、プリペイド残額が記録されていないカードを回収し、プリペイド残額が記録されているカードを排出するものであり(【0324】)、
遊技者が持玉数や遊技玉数などの得点数を有したまま遊技を放棄したP台2か否かを店員が容易に判断することができるように報知する処理である、CU制御部323による遊技放棄の報知処理において(【0444】~【0446】)、
CU3は、遊技者の持玉、遊技玉が第1期間(たとえば、5分間)以上変動なしか否かを判定し、遊技玉数は少なくとも1玉以上有している必要があり、遊技玉数が0玉であればCU3は遊技終了として処理することができ(【0447】)、
遊技者の持玉、遊技玉が第1期間以上変動なしの場合、CU3は、遊技が放棄された可能性を示す警告をCU3の異常報知ランプに表示させたり、CU3の警告灯を点灯させたりする(【0448】)
カードユニット3(【0024】)。」
第5 対比、判断
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 特定事項Aについて
引用発明の「上皿に払い出」されている「遊技媒体」の数、「計数済の持ち玉数」は、本願発明の「遊技媒体を用いた遊技に用いる遊技媒体数」、「移行可能な持遊技媒体数」に、それぞれ相当する。
そうすると、本願発明の「各台装置」と、引用発明の「計数済の持ち玉数に基づく払出指示があった場合、制御部100は、指定数の遊技媒体を遊技機3の上皿に払い出すように制御」される「計数済の持ち玉数」を「記憶部103に記憶」する「遊技媒体取扱装置1」は、「遊技媒体を用いた遊技に用いる遊技媒体数」に「移行可能な持遊技媒体数を記憶」する点で共通する。
また、引用発明の「計数カードから」「読み出され」る「金額データ」は、本願発明の「記憶媒体に関連づけられたプリペイド価値」に相当し、引用発明の「計数カード」などの「価値媒体が投入されており、払出しに係る金額の指定があった場合、制御部100は、指定金額分の遊技媒体を遊技機3の上皿に払い出す」ことは、本願発明の「記憶媒体に関連付けられたプリペイド価値に基づく遊技媒体の貸し出し処理を行う」ことに相当する。
そして、引用発明の「遊技媒体取扱装置1」が「対応する遊技機3に隣接して配置される」ことは、本願発明の「各台装置」が「遊技機に併設される」ことに相当する。
以上のことから、本願発明の特定事項Aと、引用発明は、「遊技機に併設され」、「遊技媒体を用いた遊技に用いる遊技媒体数」「に移行可能な持遊技媒体数を記憶するとともに、記憶媒体に関連付けられたプリペイド価値に基づく遊技媒体の貸し出し処理を行う各台装置」である点で共通する。
(2) 特定事項Bについて
引用発明の「カードの識別情報と対応付けて」「記憶」される「暗証番号」は、本願発明の「所定の認証情報」に相当する。
よって、引用発明の「記憶部103」は、本願発明の「認証情報記憶手段」の機能を備えるものであり、引用発明は、本願発明の特定事項Bを備える。
(3) 特定事項Cについて
引用発明の「持玉情報」は、本願発明の「前記持遊技媒体数」に相当する。
また、引用発明の「残額情報」は、「入金額のうち遊技媒体として暗証番号の設定以降に消費された金額」「を引いた額」の情報であるから、本願発明の「プリペイド価値」に相当する。
そして、引用発明は、「遊技者からカードの返却要求があり」、「遊技者が」「入力」した「暗証番号が記憶された暗証番号と一致」「した場合」、「暗証番号、識別情報、持玉情報、消費金額情報及び残額情報を互いに対応付けて、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶させてから、カードの返却処理を行い、暗証番号が一致しない場合、カードの返却処理は行わない」ものであるところ、「暗証番号、識別情報、持玉情報、消費金額情報及び残額情報を互いに対応付けて、遊技媒体取扱装置1の記憶部103に記憶させてから、カードの返却処理を行」うことは、本願発明の「前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値を記憶媒体に関連付けて排出する記憶媒体返却操作」に相当し、引用発明の「遊技者が」「入力」した「暗証番号が記憶された暗証番号と一致」「した場合」、「カードの返却処理を行い、暗証番号が一致しない場合、カードの返却処理は行わない」ことは、本願発明の「記憶媒体返却操作について前記認証情報の受付を条件とする制限を設定」していることに相当する。
よって、引用発明の「制御部100」は、本願発明の「制限設定手段」の機能を備えるものであり、引用発明は、本願発明の特定事項Cを備える。
(4) 特定事項Dについて
引用発明の「制御部100は、残額(本願発明の「プリペイド価値」に相当。)が0か否かを判断し」、「持玉(本願発明の「持遊技媒体数」に相当。)が0か否かを判断」することは、本願発明の「価値判定手段」は、「前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値が存在するか否かを判定する」ことに相当する。
よって、本願発明の特定事項Dと、引用発明は、「前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値が存在するか否かを判定する価値判定手段」を備える点で共通する。
(5) 特定事項E、Fについて
引用発明の「残額が0と判断され」、「持玉が0と判断される」ことは、本願発明の「前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値」が「存在」しないことに相当し、引用発明の「持玉が0であると判断した後で、所定時間継続して、発射ハンドル55のタッチセンサからの検知信号等の遊技を行っていることを示す信号を含む遊技者の操作に基づく信号がなかった」「場合」は、遊技媒体が発射されない状態が所定時間継続していたといえるから、本願発明の特定事項Eの「前記遊技機において前記遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合」に相当する。
そして、引用発明は、「所定時間、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合、遊技媒体取扱装置1の制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を遊技媒体取扱装置1の記憶部103から消去させ」るものであるところ、引用発明においては、「残額が0と判断され」、「持玉が0と判断され」た場合には、「暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を遊技媒体取扱装置1の記憶部103から消去」しないものといえ、このことは、本願発明の特定事項Fの「前記価値判定手段により」「前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値」「が存在しないと判定された場合には前記認証情報を維持」することに相当する。
そうすると、引用発明の「遊技媒体取扱装置1の制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を遊技媒体取扱装置1の記憶部103から消去させ」ることは、本願発明の特定事項Fの「前記認証情報を消去する」ことに相当する。
以上のことから、本願発明の特定事項E、Fと、引用発明は、「前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値」「が存在しないと判定された場合には前記認証情報を維持し」、その後「前記遊技機において前記遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合に」、「前記認証情報を消去する認証情報消去手段と」を備える点で共通する。
(6) 特定事項Gについて
引用発明の「遊技媒体取扱装置1」は、本願発明の「各台装置」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明の特定事項Gを備える。
(7) 一致点・相違点
上記(1)~(6)からみて、本願発明と引用発明は、
「A’遊技機に併設され、遊技媒体を用いた遊技に用いる遊技媒体数に移行可能な持遊技媒体数を記憶するとともに、記憶媒体に関連付けられたプリペイド価値に基づく遊技媒体の貸し出し処理を行う各台装置であって、
B 所定の認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、
C 前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値を記憶媒体に関連付けて排出する記憶媒体返却操作について前記認証情報の受付を条件とする制限を設定する制限設定手段と、
D’前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値が存在するか否かを判定する価値判定手段と、
E’F’前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値が存在しないと判定された場合には前記認証情報を維持し、その後前記遊技機において前記遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合に、前記認証情報を消去する認証情報消去手段と
G を備えた各台装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](特定事項A)
「各台装置」に関して、
本願発明では、「遊技媒体を用いた遊技に用いる遊技媒体数を遊技可能数として管理する遊技機に併設され、前記遊技可能数に移行可能な持遊技媒体数を記憶する」ものであるのに対し、
引用発明では、併設される遊技機が遊技媒体数を「遊技可能数」として管理するものではなく、記憶する持遊技媒体数が「遊技可能数」に移行可能なものではない点。
[相違点2](特定事項D)
「各台装置」が備える「価値判定手段」に関して、
本願発明では、「前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値が存在するか否かを判定する」ものであるのに対し、
引用発明では、「残額(プリペイド価値)が0か否かを判断し」、「持玉(持遊技媒体数)が0か否かを判断」するが、「遊技可能数」が存在するか否かは判定するものではない点。
[相違点3](特定事項E、F)
本願発明は、「前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値の全てが存在せず、前記遊技機において前記遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合に、遊技客の交代が発生したと判定する交代判定手段と、前記価値判定手段により前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値の全てが存在しないと判定された場合には前記認証情報を維持し、その後前記交代判定手段により前記遊技客の交代が発生したと判定されたならば、前記認証情報を消去する認証情報消去手段と」を備えるのに対し、
引用発明は、残額(プリペイド価値)が0と判断され、持玉(持遊技媒体数)が0と判断されると、制御部100は、持玉が0であると判断した後で、所定時間継続して、発射ハンドル55のタッチセンサからの検知信号等の遊技を行っていることを示す信号を含む遊技者の操作に基づく信号がなかったかどうかを判断し、所定時間、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合、遊技媒体取扱装置1の制御部100は、暗証番号(所定の認証情報)、識別情報、消費金額情報及び残額情報を遊技媒体取扱装置1の記憶部103から消去させるものであるが、「遊技可能数」の存在を判定するものではない点。
2 上記相違点について検討する。
(1) 相違点1について
引用文献2記載の事項の「玉」、「弾球遊技」、「発射可能な玉の発射残数を示すデータ」は、本願発明の「遊技媒体」、「遊技媒体を用いた遊技」、「遊技媒体を用いた遊技に用いる遊技媒体数」に、それぞれ相当する。
してみると、引用文献2記載の事項の「遊技玉(遊技玉のデータ)」は、本願発明の「遊技可能数」に相当し、引用文献2記載の事項の「封入循環式パチンコ機2」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
また、引用文献2記載の事項の「遊技玉に変換」される「持玉数」「を記憶」することは、本願発明の「遊技可能数に移行可能な持遊技媒体数を記憶する」ことに相当する。
そして、引用文献2記載の事項の「カードユニット3」は「封入循環式パチンコ機2の所定側の側方位置に、該パチンコ機2に対して1対1に対応設置されている」ものであるから、本願発明の「遊技機に併設され」る「各台装置」に相当する。
以上のことから、引用文献2記載の事項は、上記相違点1に係る本願発明の構成を備えるものであり、各台装置を、封入循環式パチンコ機、すなわち遊技媒体数を「遊技可能数」として管理する遊技機に併設するものとし、記憶している持遊技媒体数は「遊技可能数」に移行可能なものであることを開示するものである。
そして、引用発明も引用文献2記載の事項も、いずれもパチンコ機に併設され、カードに記憶された残額に基づいて、いわゆる「玉貸し」に相当する処理が行われる台間装置である点で共通するから、引用発明の「遊技媒体取扱装置1」を、引用文献2記載の事項のように、データである遊技玉数(本願発明の「遊技可能数」に相当)に応じた遊技が可能とされる「封入循環式パチンコ機2」に併設したものとすることにより、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(2) 相違点2について
引用文献2記載の事項において、「CU3」は、「遊技玉数が0玉であれば」「遊技終了として処理する」ものであるから、引用文献2記載の事項の「CU3」の「CU制御部323」は、「遊技玉数」が「0玉」か「0玉」ではないか判定する機能、すなわち、本願発明の「遊技可能数」「が存在するか否かを判定する」ことに相当する機能を備えているといえる。
また、引用文献2記載の事項の「CU制御部323は」「遊技者の持玉を記憶し」、「その持玉数の一部を」「遊技玉に変換」すること、「遊技者の持玉」「が第1期間以上」「変動なしか否か判定」していることから見て、引用文献2記載の事項の「CU制御部323」は、「持玉」の値について、その具体的な数値や、値の増減について管理する機能を備えるものであるから、本願発明の「前記持遊技媒体数」「が存在するか否かを判定する」ことに相当する機能を備えることは自明である。
さらに、引用文献2記載の事項の「CU制御部323はカード残額」「を記憶し」、「玉貸ボタン321の押圧入力のようなカード残額の使用を要求する入力に応じてカード残額を記憶する記憶領域から所定値を減算」すること、及び、引用文献2記載の事項の「カードユニット3」は、「プリペイド残額が記録されていないカードを回収し、プリペイド残額が記録されているカードを排出する」ことから見て、引用文献2記載の事項の「CU制御部323」は、「カード残額」が「記録されている」か「記録されていない」か、判定する機能、すなわち、本願発明の「プリペイド価値が存在するか否かを判定する」ことに相当する機能を備えているといえる。
以上のことから、引用文献2記載の事項の「CU制御部323」は、本願発明の「前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値が存在するか否かを判定する価値判定手段」の機能を備えるものといえる。
そして、上記(1)で検討したとおり、引用文献2記載の事項のように、データである遊技玉数に応じた遊技が可能とされる「封入循環式パチンコ機2」に引用発明の「遊技媒体取扱装置1」を併設したものとすることは、当業者が容易になし得たものであるところ、そのようにした場合、「封入循環式パチンコ機2」では、「発射可能な玉の発射残数を示すデータ」が「遊技可能数」として管理されることを踏まえれば、引用発明の「遊技媒体取扱装置1」における「残額(プリペイド価値)が0か否かを判断し」、「持玉(持遊技媒体数)が0か否かを判断」する機能に、引用文献2記載の事項が備える、「遊技玉数(遊技可能数)」が「0玉」か「0玉」ではないか判定する機能を、さらに追加することにより、上記相違点2に係る本願発明の「価値判定手段」とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(3) 相違点3について
ア 引用発明において、「制御部100は、残額が0か否かを判断し、残額が0と判断されると、制御部100は、持玉が0か否かを判断し、持玉が0と判断されると、制御部100は、持玉が0であると判断した後で、所定時間継続して、発射ハンドル55のタッチセンサからの検知信号等の遊技を行っていることを示す信号を含む遊技者の操作に基づく信号がなかったかどうかを判断し、所定時間、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合、遊技媒体取扱装置1の制御部100は、暗証番号、識別情報、消費金額情報及び残額情報を遊技媒体取扱装置1の記憶部103から消去させ」るものであるところ、「遊技者が」「設定」した「暗証番号」を「消去」することから、引用発明の「制御部100」は、「残額が0と判断」し、「持玉が0であると判断した後で、所定時間継続して、発射ハンドル55のタッチセンサからの検知信号等の遊技を行っていることを示す信号を含む遊技者の操作に基づく信号がなかった」ことで、その「暗証番号」を「設定」した「遊技者」による遊技が終了し、「所定時間」の後に「遊技者の操作に基づく信号」を認識した場合、先の「遊技者」とは別の「遊技者」が遊技を行っている、すなわち、遊技者が交代したと判断しているといえる。
そうすると、引用発明の「制御部100」は、「残額」と「持玉」が存在せず、「所定時間継続して」「遊技者が操作に基づく信号がなかった」場合に、遊技者の交代が発生したと判定する交代判定の機能を備えているといえる。
そして、引用発明の「制御部100」は、「残額」と「持玉」が存在しないことを判断した時点では、「暗証番号」を「消去」せず、その後、「所定時間継続して」「遊技者が操作に基づく信号がなかった」場合に「暗証番号」を「消去」するという認証情報消去の機能を備えるものである。
イ ここで、引用発明において、「持玉」及び「残額」は、いずれも「払出」に係る指示があった場合、指示に応じた量の「遊技媒体」を「払い出し」、遊技者は払い出された「遊技媒体」の数の回数分、遊技が可能となるものである。
してみると、引用発明において、「持玉」及び「残額」は、遊技に関する電磁的な有価価値ということができる。
ウ 一方、引用文献2記載の事項においては、「CU制御部323は」、「持玉の使用を要求する入力に応じて持玉を記憶する記憶領域から所定数の持玉を減算し」、「カード残額の使用を要求する入力に応じてカード残額を記憶する記憶領域から所定値を減算し」、「その引落とし分の玉数を遊技玉数カウンタに加算」するものであるところ、引用文献2記載の事項においては、「持玉」、「カード残額」、及び「その引落とし分の玉数」である「遊技玉数」が、遊技に関する電磁的な有価価値である。
そして、引用文献2記載の事項の「CU3」は、「遊技玉数が0玉」である場合、「遊技終了として処理する」ものであるから、引用文献2記載の事項においては、遊技に関する電磁的な有価価値のうち、「遊技玉数が0玉」である場合に遊技者が遊技を終了したと判断しているといえる。
エ ここで、引用文献2記載の事項の「CU3」は、「遊技玉数」を「少なくとも1玉以上有」する場合は、「遊技者の持玉、遊技玉が」「たとえば、5分間」「以上変動なしの場合」、「遊技者が」「遊技を放棄した」「可能性を」「報知する」ものであり、引用文献2記載の事項の「遊技者の持玉、遊技玉が」「たとえば、5分間」「以上変動なしの場合」は、本願発明の「前記遊技機において前記遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合」に相当する。
オ そうすると、引用発明と引用文献2記載の事項は、いずれも遊技機において遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合に、先の遊技者が遊技を終了したと判断する遊技機である点で共通し、引用発明において、遊技に関する電磁的な有価価値である「持玉」及び「残額」が存在しないことを、先の遊技者が遊技を終了したと判断する条件の一つとし、引用文献2記載の事項においても、遊技に関する電磁的な有価価値である「遊技玉数が0玉」である場合に遊技者が遊技を終了したと判断していること、さらに上記(1)で検討したとおり、引用文献2記載の事項のように、データである遊技玉数に応じた遊技が可能とされる「封入循環式パチンコ機2」に引用発明の「遊技媒体取扱装置1」を併設したものとすることは、当業者が容易になし得たものであるところ、そのようにした場合、引用発明の「遊技媒体取扱装置1」における、遊技に関する電磁的な有価価値である「持玉」及び「残額」に加え、引用文献2に記載の事項における、遊技に関する電磁的な有価価値である「遊技玉数」が追加されることから、引用文献2に記載の事項の「封入循環式パチンコ機2」に併設された引用発明の「遊技媒体取扱装置1」において、「遊技玉数が0玉」、「残額が0と判断され、持玉が0と判断」「した後で、所定時間継続して」、「遊技者の操作に基づく信号がなかった」場合、先の「遊技者」が遊技を終了して、「所定時間」の後に「遊技者の操作に基づく信号」を認識した場合、先の「遊技者」とは別の「遊技者」が遊技を行っている、すなわち遊技者の交代が発生したと判断し、「遊技玉数が0玉」、「残額が0と判断され、持玉が0と判断」した時点では「暗証番号」を「消去」せず、その後、遊技者の交代が発生したと判断された場合、「暗証番号」を「消去」するとして、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
3 請求人の主張について
請求人は、令和6年6月4日提出の審判請求書の「c.本願発明と引用発明との対比」において、以下のとおり主張する。
「ここで、この引用文献2の段落[0447]-[0448]の記載を参照しますと、遊技者の得点数(持玉、遊技玉)が第1期間(たとえば、5分間)以上変動なしか否かを判定する。」という点が記載されています。特に、図37のS702には、「遊技玉(1玉以上有)、持玉が第1期間以上変動なし?」と記載されています。
そして、遊技者の得点数(持玉、遊技玉(1玉以上有))が第1期間以上変動なし場合(S702:YES)、CU3は、第1報知フラグをONにするため(S703)、遊技が放棄された可能性を示す警告をCU3の異常報知ランプに表示させるか、CU3の警告灯を点灯させることになります。
一方、図37のS702において、遊技玉が0玉である場合にはS703に移行せず、正常終了として処理され、遊技可能な状態に復帰させることになります。
これに対して、本願発明の認証情報消去手段では、「遊技可能数、持遊技媒体数及びプリペイド価値の全てが存在しないと判定された場合」には、認証情報が維持されます。つまり、遊技可能数(引用文献2の遊技玉数に対応する)が0であったとしても、引用文献2のように正常終了と判定していません。それどころか、遊技可能数、持遊技媒体数及びプリペイド価値の全てが0であったとしても、この時点では遊技客の交代は発生しておらず、それ故に、認証情報を維持することとしています。
本願発明において、認証情報が消去されるタイミングは、「遊技可能数、持遊技媒体数及びプリペイド価値の全てが存在しないと判定されて認証情報が維持され、その後に『交代判定手段により遊技客の交代が発生したと判定された』時点」になります。
かかる交代判定においては、遊技可能数、持遊技媒体数及びプリペイド価値の全てが存在せず、遊技機において遊技媒体が使用されない状態が一定時間継続した場合に、遊技客の交代が発生したと判定することになります。
このように、引用文献2のものは、「遊技可能数(引用文献2の遊技玉数に対応する)が0である」という条件で正常終了と判断して遊技可能な状態に復帰させており、そもそも遊技客の交代判定すらしていません。これらのことから、引用文献2を引用文献1に組み合わせたとしても、本願発明の交代判定手段、認証情報消去手段に対応する構成は得られません。
この点に関して、審査官殿は拒絶査定謄本の備考欄において、「なお、仮に、出願人が主張するように、引用文献2に記載の遊技機が、『遊技玉数が0となった時点で直ちに遊技終了と判定している』ものであったとしても、引用文献2の段落0446、0447等からは、遊技が放棄された可能性を報知したり、遊技終了として処理したりする場合には、持玉数だけでなく遊技玉数が考慮対象となり得る情報であることが自明であり、引用文献1に記載の発明において、遊技玉数も考慮するようにすることは、当業者が容易に思い付くことである。その場合に、遊技機玉数が0であるからといってすぐに、『カードが遊技媒体取扱装置1に取り込まれるようにカードリーダライタ104を制御すると共に、消費金額の表示を終了させる』こととすれば、『事前に遊技玉数を加算するのが遅れて遊技玉数が0になる場合や、遊技客が貨幣を投入してプリペイド価値を獲得しようとする場合』に対処できないものとなり不都合であることが当業者には自明であって、残額や持玉が0である場合と同様の処理を行うこととし、残額、持玉、及び遊技玉が0である場合、所定時間継続して遊技者の操作に基づく信号がなかった場合に限り、『カードが遊技媒体取扱装置1に取り込まれるようにカードリーダライタ104を制御すると共に、消費金額の表示を終了させる』ようにすることに、格別の困難性があったとは認められない。」とご指摘されました。
しかしながら、すでに説明した通り、引用文献2のものは、「遊技可能数(引用文献2の遊技玉数に対応する)が0である」という条件で正常終了と判断して遊技可能な状態に復帰させており、そもそも遊技客の交代判定すら行っておりません。この点は、引用文献2の段落[0447]-[0448]及び図38から明らかです。そして、この引用文献2が交代判定を行っていない理由は、そもそも引用文献2のものが「認証情報の消去」など全く考慮していないからです。
このように、引用文献2のものが本願発明とその前提が異なり、ここには本願発明の起点となる着想も存在しないのにも関わらず、審査官殿は、「引用文献2の段落0446、0447等からは、遊技が放棄された可能性を報知したり、遊技終了として処理したりする場合には、持玉数だけでなく遊技玉数が考慮対象となり得る情報であることが自明である」と述べられています。かかる認定は、論理が飛躍しているため、本願出願人としては到底承服することはできません。」
上記主張について検討する。
上記2(3)において検討したとおり、引用発明は、残額が0と判断され、持玉が0と判断されると、すなわち、引用発明における遊技に関する電磁的な有価価値が存在しないと判断されると、その時点では、暗証番号を消去せず、その後、所定時間継続して、遊技者の操作に基づく信号がなかった場合、暗証番号を消去するものであるところ、本願発明では「前記遊技可能数、前記持遊技媒体数及び前記プリペイド価値の全てが存在」しないことを判定しているのに対し、引用発明では、「残額」及び「持玉」の全てが存在しないことを判定しているという点が相違するところである。
しかしながら、引用文献2記載の事項に示されるように、本願発明の「遊技可能数」に相当する「遊技玉」も遊技に関する電磁的な有価価値に含まれる遊技機は公知であるところ、引用文献2記載の事項のように、データである遊技玉数に応じた遊技が可能とされる「封入循環式パチンコ機2」に引用発明の「遊技媒体取扱装置1」を併設したものとした場合、引用発明において、「残額」及び「持玉」に加え、「遊技玉」も遊技に関する電磁的な有価価値に含められることは明らかである。
そうすると、引用発明においては、遊技者の交代を判断する、先の遊技者の遊技の終了条件として、遊技に関する電磁的な有価価値が存在しないこと、に加えて、該有価価値が存在しないことが判断された後、所定時間継続して遊技者の操作に基づく信号がないことを条件とするものであるから、引用発明における遊技に関する電磁的な有価価値として、引用文献2記載の事項の「遊技玉」も加えることにより、本願発明の如く構成することは当然のことといえ、なんら格別の困難性は認められない。
以上のことから、請求人の上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-009256