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特許拒絶査定不服審判

2024-000352

自動取引装置

審判番号
2024-000352
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-005820
請求日
2024年01月10日
審決日
2024年08月13日
公報発行日
2024年09月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】グローリー株式会社
  • 【請求人代理人】芝野 正雅
  • 【請求人代理人】大橋 誠
審判長/審判官
  • 審判長 山澤 宏
  • 審判官 野崎 大進
  • 審判官 北元 健太
分類
P18 .121-WY (G07D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020- 5820「自動取引装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月 5日出願公開、特開2021-114069、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年1月17日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和4年 5月31日 :上申書、手続補正書の提出 令和5年 7月25日付け:拒絶理由通知 令和5年 9月 4日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年10月24日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 令和6年 1月10日 :拒絶査定不服審判の請求 第2 原査定の概要 原査定の概要は、次のとおりである。 1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1ないし6に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2019-109723号公報 第3 本願発明 本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和5年9月4日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、次のとおりの発明である。 「【請求項1】 カード処理部が設けられた自動取引装置であって、 前記カード処理部は、 診察券およびクレジットカードから、それぞれ診察券情報およびクレジットカード情報を読み取る読取部と、 読み取られた前記診察券情報および前記クレジットカード情報を暗号化する暗号化部と、 通信部と、 カード制御部と、を備え、 前記自動取引装置は、暗号化された前記診察券情報および前記クレジットカード情報を暗号化済情報として前記カード処理部より取得する制御部を備え、 前記診察券情報を用いて診療費情報を取得する診療費情報取得処理が行われる際に、前記読取部により前記診察券情報が読み取られた場合、 前記カード制御部は、前記暗号化部により暗号化された前記診察券情報を、前記通信部を介して前記制御部へ送信し、 前記制御部は、前記暗号化された診察券情報を前記カード制御部より取得し、 前記診療費情報取得処理が行われる際に、前記読取部により前記クレジットカード情報が読み取られた場合、 前記カード制御部は、前記暗号化部により暗号化された前記クレジットカード情報を、前記通信部を介して前記制御部へ送信し、 前記制御部は、前記暗号化されたクレジットカード情報を前記カード制御部より取得する、 ことを特徴とする自動取引装置。 【請求項2】 外部との通信を行うための外部用通信部を、さらに備え、 前記制御部は、前記診療費情報取得処理を行うために前記暗号化済情報を取得したとき、前記暗号化済情報を、平文の前記診察券情報に復号して返信してもらうために、復号を行う外部装置へ前記外部用通信部を介して送信する、 ことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。 【請求項3】 前記制御部は、前記外部装置から前記外部用通信部を介して平文の前記診察券情報を受信した場合、前記診察券情報に関連付けられた情報を有する他の外部装置に対し、受信した平文の前記診察券情報を、前記外部用通信部を介して送信する、 ことを特徴とする請求項2に記載の自動取引装置。 【請求項4】 前記制御部は、前記外部装置で前記暗号化済情報が平文の前記クレジットカード情報に復号されたとき、前記暗号化済情報が平文の前記クレジットカード情報に復号されたことに基づく通知を前記外部装置から前記外部用通信部を介して受信する、 ことを特徴とする請求項2または3に記載の自動取引装置。 【請求項5】 前記制御部は、 前記暗号化済情報を、平文の前記診察券情報に復号して返信してもらうために前記外部装置へ送信する前に、前記暗号化済情報が前記診察券情報を暗号化したものであるか否かの判定を行い、 前記暗号化済情報が前記診察券情報を暗号化したものでない場合は前記外部装置へ送信しない、 ことを特徴とする請求項2または3に記載の自動取引装置。 【請求項6】 前記制御部は、前記外部装置での復号により前記暗号化済情報から平文の前記診察券情報を得ることができないとき、情報保持体が間違っていることを報知するための処理を行う、 ことを特徴とする請求項2ないし5の何れか一項に記載の自動取引装置。」 第4 引用文献 1 引用文献1および引用発明 (1)引用文献1の記載事項 原査定において引用された引用文献1(特開2019-109723号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付加した。以下同様。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、受け付けたカードの処理を行うカード処理装置、当該カード装置を備えた自動取引装置、受け付けたカードの処理を行うカード処理システム、カード処理方法、カード処理プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、様々な種類のカードが利用されている。このようなカードとして、例えば医療機関において利用される診察券や、各種店舗の会員であることを示す会員券や、上記医療機関や店舗等における金銭の支払い時に利用されるクレジットカード等がある。このようなカードには、夫々の用途に応じて、カードの所有者の特定に利用される情報や、金銭の支払いに利用される情報等が記憶され、例えばカードを読み取り装置に挿入したり、かざしたりすることでこれらの情報が自動的に読み取られる。特に金銭の支払いに利用される情報は利用者にとって重要な情報であることから、この種の情報の取り扱いに関する技術が検討されてきた(例えば、特許文献1及び2)。 【0003】 特許文献1には、病院等の医療機関において患者に関する情報を管理する患者情報管理システムが記載されている。この患者情報管理システムは、医療機関等に設置され、医療費等の支払いに使用される支払装置を備えて構成される。支払装置は、クレジットカードを用いて医療費等を支払う場合に、例えば外部の決済サーバーに対してクレジットカードの使用の可否を問い合わせている。 【0004】 特許文献2には、クレジットカードを用いたクレジット決済において安全性を向上したクレジット決済システムが記載されている。このクレジット決済システムは、カードリーダがクレジットカードに記録されている認識情報を読み込み、この認識情報をネットワークを介して伝達する際に所定の暗号化鍵情報により暗号化している。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 特開2017-151732号公報 【特許文献2】 特開2013-84032号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ここで、ユーザは、カードの利用時に、その場の状況に応じたカードを利用すれば良いが、誤ったカードを読み取り装置に挿入してしまったり、かざしてしまったりすることがある。係る場合、カードの所有者の情報を読み取るべき時に、金銭の支払いに利用される情報が読み取られたり、金銭の支払いに利用される情報を読み取るべき時に、カードの所有者の情報が読み取られたりする。このような誤った情報が読み取られた場合には、当該情報が悪用される可能性があり、ユーザが不利益を被る可能性がある。特許文献1及び2に記載の技術は、多種多様なカードがある状況下において、誤ったカードの情報を読み取った場合の情報の取り扱いまで想定されておらず、改良の余地がある。 【0007】 そこで、カードに記憶された情報を適切に取り扱うことが可能なカード処理装置、カード処理システム、カード処理方法、カード処理装置のためのプログラム、及びこのようなカード処理装置を備えた自動取引装置が求められる。」 イ 図3 [図:0001414096000001.jpg] ウ 「【0049】 2.自動取引装置 上述したカード処理装置1は、自動で取引を行う自動取引装置に適用することが可能である。自動取引装置とは、例えば医療機関の診療費支払装置等の精算機や、券売機、ATM(automatic teller machine)等が相当する。図3には、自動取引装置の一例である診療費支払装置3のブロック図が示される。 【0050】 図3の例では、診療費支払装置3は、カード情報処理装置4と端末5とを備えて構成される。カード情報処理装置4は、カードリーダ2とカード処理装置1(基板)とから構成される。カードリーダ2は、カードを受け付けるカード受付部として機能する。カードリーダ2は、カードに記憶されているカード情報を読み込むだけでなく、カードに情報を書き込むライターとしても機能し、カードとしてクレジットカードを利用する場合には、診療費の精算を行うことから精算処理部としても機能する。なお、カードリーダ2に基板としてのカード処理装置1を内蔵しても良い。 【0051】 図3の例では、カード処理装置1は基板に実装され、カードリーダ2と通信を行い、各種情報の送受を行う。このような通信は、通信部71を介して行われる。通信部71は、上述したカード処理装置1のカード情報取得部10及び出力部60の機能を備えて構成すると好適である。 【0052】 更に、通信部71は制御部72と各種情報の送受を行うと共に、制御部72から処理が指示される。したがって、通信部71は、取得部91として機能する。また、本実施形態では、取得部91は、出力部60から出力するカード情報を出力カード情報として取得する。出力部60から出力するカード情報とは、クレジットカードの場合にはクレジットカード情報が相当し、診察券の場合には利用者を特定するのに利用される識別番号が相当する。取得部91は、出力部60から出力されるカード情報がどのような情報であるかを取得する。この情報が、出力カード情報にあたる。制御部72は、上述したカード処理装置1の特定部20、種別情報取得部30、処理設定部40、及び処理部50の機能を備えて構成すると好適である。なお、カードリーダ2がカード処理装置1に搭載される場合には、カードリーダ2が取得部91を構成することになる。 【0053】 また、カード処理装置1には、記憶部73も備えられる。記憶部73は、クレジットカードフォーマットや、カード判定プログラムが記憶される。ここでいうクレジットカードフォーマットとは、クレジットカードのデータフォーマットを示す。クレジットカードフォーマットは、各種クレジットカードのフォーマット(形式)が記憶され、カードリーダ2により読み込まれたカードがクレジットカードであるか否かを適切に特定する際に制御部72(特定部20)により利用される。また、カード判定プログラムは、制御部72(特定部20)がカードリーダ2により読み込まれたカードがクレジットカードであるか否かを特定する際に利用するプログラムである。このカード判定プログラムは、例えば外部記憶ユニット(例えばDVD-ROMやメモリ等)を介して記憶部73に記憶される。 【0054】 端末5は、利用者が診療費の支払いを行う支払端末に相当する。端末5は、カード処理装置1の通信部71と通信部81を介して各種情報の送受を行う。端末5には、タッチパネル機能等を有する操作表示部82、クレジットカードを利用する際に暗証番号が入力される暗証番号入力部83、診療費が現金で支払われた場合に支払われた現金及び釣の管理を行う有価媒体処理部84を備えられる。通信部81、操作表示部82、暗証番号入力部83、有価媒体処理部84の各機能部は、制御部85により制御され、診療費の支払いに係る処理が行われる。なお、操作表示部82に代えて、音声による案内をするように構成しても良いし、暗証番号入力部83を操作表示部82に内蔵しても良い。 【0055】 診療費支払装置3は、病院内に設けられた医事会計システム6と通信部81を介して通信を行い、診療費の支払いを行う利用者の診療費を示す診療費情報を取得する。また、診療費支払装置3は、病院内又は病院外に設けられた処理センター7と通信部81を介して通信を行い、利用者がクレジットカードでの診療費の支払いを要求された場合に、クレジットカードでの支払いに係る審査結果を示す審査結果情報を取得する。 【0056】 ここで、端末5は、出力先設定部92を備えて構成すると好適である。出力先設定部92は、受け付けるべきカードの種別に応じて、出力カード情報の少なくとも一部(例えば、暗号化した情報、又は、識別番号のみ)を出力する出力先を設定する。出力先設定部92には、取得部91により取得された出力カード情報、及び、受け付けるべきカードの種別を示す種別情報が伝達される。出力先とは、例えば上述した医事会計システム6や処理センター7が相当する。出力先設定部92は、受け付けるべきカードの種別がクレジットカードである場合には、出力カード情報のうちクレジットカードの情報の出力先として処理センター7を設定し、受け付けるべきカードが非クレジットカードである場合(診察券である場合)には出力カード情報のうち利用者を特定するのに必要な情報の出力先として医事会計システム6を設定する。これにより、例えばクレジットカードを受け付ける処理において、不要な情報を医事会計システム6等に送信することを防止できる。」 エ 図4 [図:0001414096000002.jpg] オ 【0057】 次に、診療費支払装置3における処理に関し、フローチャートを用いて説明する。図4には、受け付けるべきカードが非クレジットカードである場合のフローチャートが示される。まず、カードリーダ2によりカードの受入処理が行われる(ステップ#101)。カードリーダ2は、カードに記憶されている情報を読み込み、カード情報を暗号化して送信する(ステップ#102)。 【0058】 暗号化されたカード情報(暗号情報)は、基板(カード処理装置1)に伝達され、通信部71により受信される(ステップ#103)。なお、カードリーダ2に基板が内蔵される場合は通信部71が取得するカード情報は、平文であっても良い。通信部71が受信した暗号情報は、制御部72において復号される(ステップ#104)。制御部72は、復号されたカード情報からカードリーダ2により受入処理が行われたカード(受付済カード)の種別を特定する。 【0059】 受付済カードの種別がクレジットカードである場合には(ステップ#105:Yes)、エラー通知を端末5の制御部85に通信部71及び通信部81を介して送信し、カード情報を他の装置に送信することなく消去する(ステップ#114)。制御部85は、カードの返却処理を行い(ステップ#115)、処理を終了する。 【0060】 ステップ#105において、受付済カードの種別がクレジットカードでない場合には(ステップ#105:No)、カード情報を暗号化することなく平文で通信部71を介して端末5に送信する(ステップ#106)。 【0061】 端末5は、通信部81が平文からなるカード情報を受信する(ステップ#107)。受信したカード情報は端末5の制御部85に伝達され、カード情報から患者番号の抽出処理が行われる(ステップ#108)。この抽出にあっては、カード情報のうち、病院毎に決められた所定の桁を患者番号として取得する。抽出された患者番号は、医事会計システム6に平文で送信する(ステップ#109)。 【0062】 医事会計システム6は患者番号を受信すると(ステップ#110)、当該患者番号に係る患者(利用者)の診療費の支払情報を取得し、端末5に送信する(ステップ#111)。 【0063】 端末5は、医事会計システム6から支払情報を取得すると(ステップ#112)、会計処理を行い(ステップ#113)、利用者がカードを回収して、処理を終了する。 【0064】 ここで、ステップ#105においてクレジットカードか否かを特定するが、クレジットカードはフォーマットが統一されているため、カード情報によりクレジットカードか否かを容易に判断できる。一方、診察券や会員券は、フォーマットが統一されていないため、カード情報により判断できない。このため、フォーマットがクレジットカードのフォーマットであれば、クレジットカードであると特定し、それ以外の場合はクレジットカードでないと特定すると好適である。 【0065】 なお、カードリーダ2がカード処理装置1に搭載される場合には、ステップ#102及びステップ#103は省略しても良い。 【0066】 次に、受け付けるべきカードが非クレジットカードである場合の処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。この場合もまず、カードリーダ2によりカードの受入処理が行われる(ステップ#201)。カードリーダ2は、カードに記憶されている情報を読み込み、カード情報を暗号化して送信する(ステップ#202)。 【0067】 暗号化されたカード情報(暗号情報)は、基板(カード処理装置1)に伝達され、通信部71により受信される(ステップ#203)。なお、カードリーダ2に基板が内蔵される場合は通信部71が取得するカード情報は、平文であっても良い。通信部71が受信した暗号情報は、制御部72において復号される(ステップ#204)。制御部72は、復号されたカード情報からカードリーダ2により受入処理が行われたカード(受付済カード)の種別を特定する。 【0068】 受付済カードの種別がクレジットカードである場合には(ステップ#205:Yes)、クレジットカードに係るカード情報が暗号化される(ステップ#206)。この暗号化は、予め決められた暗号化方式により行われる。一方、受付済カードの種別が非クレジットカードである場合(例えば診察券である場合)には(ステップ#205:No)、診察券に係るカード情報が暗号化される(ステップ#206)。この時も、上記予め決められた暗号化方式により暗号化される。 【0069】 制御部72は、暗号化された情報を通信部71を介して端末5に送信し(ステップ#207)、端末5の制御部85は通信部81を介して暗号化された情報を受信する(ステップ#209)。制御部85は、暗号化された情報を、通信部81を介して処理センター7に送信する(ステップ#210)。この時、制御部85は、上記予め決められた暗号化方式(ステップ#202、#206における暗号化方式)とは異なる暗号化方式で暗号化して送信する。」 (2)引用発明 上記(1)の、特に下線を付加した記載に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「カード処理装置を備えた自動取引装置に関し、 自動取引装置の一例である診療費支払装置3であって、 診療費支払装置3は、カード情報処理装置4と端末5とを備えて構成されており、 カード情報処理装置4は、カードリーダ2とカード処理装置1(基板)とから構成され、 カードリーダ2は、カードに記憶されているカード情報を読み込むものであり、 カード情報とは、クレジットカードの場合にはクレジットカード情報が相当し、診察券の場合には利用者を特定するのに利用される識別番号が相当するものであり、 端末5は、利用者が診療費の支払いを行う支払端末に相当するものであり、 端末5の各機能部は、制御部85により制御され、診療費の支払いに係る処理が行われるものであり、 診療費支払装置3における処理に関し、 カードリーダ2によりカードの受入処理が行われ、 カードリーダ2は、カードに記憶されている情報を読み込み、カード情報を暗号化して送信し、 暗号化されたカード情報(暗号情報)は、基板(カード処理装置1)に伝達され、 受信した暗号情報は、制御部72において復号され、 復号されたカード情報からカードリーダ2により受入処理が行われたカード(受付済カード)の種別を特定し、 受付済カードの種別がクレジットカードである場合には、エラー通知を端末5の制御部85に通信部71及び通信部81を介して送信し、カード情報を他の装置に送信することなく消去し、カードの返却処理を行い、 受付済カードの種別がクレジットカードでない場合には、カード情報を暗号化することなく平文で通信部71を介して端末5に送信し、端末5は、通信部81が平文からなるカード情報を受信し、受信したカード情報は端末5の制御部85に伝達され、カード情報から患者番号の抽出処理が行われ、抽出された患者番号は、医事会計システム6に平文で送信され、 端末5は、医事会計システム6から支払情報を取得すると、会計処理を行い、 受付済カードの種別がクレジットカードである場合には、クレジットカードに係るカード情報が暗号化され、暗号化された情報を通信部71を介して端末5に送信し、 端末5の制御部85は通信部81を介して暗号化された情報を受信し、暗号化された情報を、通信部81を介して処理センター7に送信する 診療費支払装置3。」 第5 対比・判断 1 本願発明1 (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことが認められる。 ア 引用発明は、「カード処理装置を備えた自動取引装置に関し、自動取引装置の一例である診療費支払装置3であって、診療費支払装置3は、カード情報処理装置4と端末5とを備えて構成されており、カード情報処理装置4は、カードリーダ2とカード処理装置1(基板)とから構成され、カードリーダ2は、カードに記憶されているカード情報を読み込むものであり、カード情報とは、クレジットカードの場合にはクレジットカード情報が相当し、診察券の場合には利用者を特定するのに利用される識別番号が相当するものであ」るとされている。 ここで、引用発明の「カード情報処理装置4」および「自動取引装置の一例である診療費支払装置3」は、それぞれ、本願発明1の「カード処理部」および「自動取引装置」に対応する。 また、引用発明の「カードリーダ2」は、本願発明1の「診察券およびクレジットカードから、それぞれ診察券情報およびクレジットカード情報を読み取る読取部」に相当するといえる。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「カード処理部が設けられた自動取引装置であって、前記カード処理部は、診察券およびクレジットカードから、それぞれ診察券情報およびクレジットカード情報を読み取る読取部」「を備え」た「自動取引装置」である点で共通しているといえる。 イ 引用発明において、「カード情報処理装置4は、カードリーダ2とカード処理装置1(基板)とから構成され、・・・カードリーダ2によりカードの受入処理が行われ、カードリーダ2は、カードに記憶されている情報を読み込み、カード情報を暗号化して送信し、暗号化されたカード情報(暗号情報)は、基板(カード処理装置1)に伝達され、受信した暗号情報は、制御部72において復号され、受付済カードの種別がクレジットカードである場合には、クレジットカードに係るカード情報が暗号化され、暗号化された情報を通信部71を介して端末5に送信」しているとされている。 ここで、引用発明の「カード処理装置1(基板)」は、「受付済カードの種別がクレジットカードである場合には、クレジットカードに係るカード情報が暗号化され、暗号化された情報を通信部71を介して端末5に送信し」ているから、「カード処理装置1(基板)」も、本願発明1の「カード処理部」と同様に、「読み取られた」「前記クレジットカード情報を暗号化する暗号化部」「を備え」ているといえる。 また、引用発明の「通信部71」は、本願発明1の「通信部」に相当する。 さらに、引用発明の「カード処理装置1(基板)」の「制御部72」は、本願発明1の「カード制御部」に対応するといえる。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「読み取られた」「前記クレジットカード情報を暗号化する暗号化部と、通信部と、カード制御部と、を備え」ている点で共通しているといえる。 ウ 引用発明において、「カード情報とは、クレジットカードの場合にはクレジットカード情報が相当し、診察券の場合には利用者を特定するのに利用される識別番号が相当するものであり、」「基板(カード処理装置1)」の「制御部72」は、「受付済カードの種別がクレジットカードでない場合には、カード情報を暗号化することなく平文で通信部71を介して端末5に送信し、端末5は、通信部81が平文からなるカード情報を受信し、受信したカード情報は端末5の制御部85に伝達され、」「受付済カードの種別がクレジットカードである場合には、クレジットカードに係るカード情報が暗号化され、暗号化された情報を通信部71を介して端末5に送信し、端末5の制御部85は通信部81を介して暗号化された情報を受信」するとされている。 ここで、引用発明の「診察券の場合」の「カード情報」である「利用者を特定するのに利用される識別番号」は、本願発明1の「診察券情報」に相当する。 また、引用発明の「クレジットカードに係るカード情報が暗号化」「された情報」は、本願発明1の「暗号化された」「前記クレジットカード情報」の「暗号化済情報」に相当する。 さらに、引用発明の「端末5の制御部85」は、本願発明1の「制御部」に対応するといえる。 したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記自動取引装置は、」「前記診察券情報および」「暗号化された」「前記クレジットカード情報を暗号化済情報として前記カード処理部より取得する制御部を備え、 前記診察券情報を用いて診療費情報を取得する診療費情報取得処理が行われる際に、前記読取部により前記診察券情報が読み取られた場合、 前記カード制御部は、」「前記診察券情報を、前記通信部を介して前記制御部へ送信し、 前記制御部は、前記」「診察券情報を前記カード制御部より取得し、 前記診療費情報取得処理が行われる際に、前記読取部により前記クレジットカード情報が読み取られた場合、 前記カード制御部は、前記暗号化部により暗号化された前記クレジットカード情報を、前記通信部を介して前記制御部へ送信し、 前記制御部は、前記暗号化されたクレジットカード情報を前記カード制御部より取得する」点で共通しているといえる。 (2)一致点・相違点 本願発明1と、引用発明とは、以下アの点で一致し、以下イの点で相違する。 ア 一致点 「 カード処理部が設けられた自動取引装置であって、 前記カード処理部は、 診察券およびクレジットカードから、それぞれ診察券情報およびクレジットカード情報を読み取る読取部と、 読み取られた前記クレジットカード情報を暗号化する暗号化部と、 通信部と、 カード制御部と、を備え、 前記自動取引装置は、前記診察券情報および暗号化された前記クレジットカード情報を暗号化済情報として前記カード処理部より取得する制御部を備え、 前記診察券情報を用いて診療費情報を取得する診療費情報取得処理が行われる際に、前記読取部により前記診察券情報が読み取られた場合、 前記カード制御部は、前記診察券情報を、前記通信部を介して前記制御部へ送信し、 前記制御部は、前記診察券情報を前記カード制御部より取得し、 前記診療費情報取得処理が行われる際に、前記読取部により前記クレジットカード情報が読み取られた場合、 前記カード制御部は、前記暗号化部により暗号化された前記クレジットカード情報を、前記通信部を介して前記制御部へ送信し、 前記制御部は、前記暗号化されたクレジットカード情報を前記カード制御部より取得する、 ことを特徴とする自動取引装置。」 イ 相違点 本願発明1では、暗号化部が診察券情報も暗号化し、前記暗号化部により暗号化された前記診察券情報を前記制御部へ送信し、前記制御部は、前記暗号化された診察券情報を前記カード制御部より取得しているのに対し、引用発明では、診察券情報を暗号化することなく平文で送信し、端末5は、通信部81が平文からなる診察券情報を受信している点。 (3)相違点についての判断 本願発明1の上記相違点に関して、引用発明では、「カードリーダ2」から、「カード情報処理装置4」の「カード処理装置1(基板)」には、診察券情報を暗号化して送信しているものの、「受信した暗号情報は、制御部72において復号され、復号されたカード情報からカードリーダ2により受入処理が行われたカード(受付済カード)の種別を特定し、」「受付済カードの種別がクレジットカードでない場合には、カード情報を暗号化することなく平文で通信部71を介して端末5に送信」するとされており、「カード情報処理装置4」内部で、カードの種別を特定することにより、暗号化の要否を判断して、暗号化が不要である診察券情報は、あえて平文で「端末5の制御部85」に送信する構成となっている。 引用発明において、カードの種別を特定して、適切な通信方法(暗号化通信、平文通信)を選択しているにもかかわらず、暗号化が不要であるはずの診察券情報まで暗号化する動機付けがない。 したがって、引用発明に基づいて、当業者は本願発明1を容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし6 本願発明2ないし6は、いずれも、本願発明1を減縮したものであって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、上記1で述べた本願発明1と同じ理由により、引用発明に基づいて、当業者は本願発明2ないし6を容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 上記第5の1(3)、2および3で述べたように、本願発明1ないし6はいずれも、引用発明と同一でなく、また、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえないから、原査定の拒絶の理由(新規性および進歩性)は、解消している。 よって、原査定の理由は、維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-000352

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