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特許拒絶査定不服審判

2024-006377

光の波長の測定

審判番号
2024-006377
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-574161
請求日
2024年04月15日
審決日
2025年05月07日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】クオンタム ヴァリー アイデアズ ラボラトリーズ
  • 【請求人代理人】▲吉▼田 和彦
  • 【請求人代理人】須田 洋之
  • 【請求人代理人】山崎 一夫
  • 【請求人代理人】大塚 文昭
  • 【請求人代理人】近藤 直樹
  • 【請求人代理人】那須 威夫
  • 【請求人代理人】鈴木 信彦
  • 【請求人代理人】鎌田 慎也
審判長/審判官
  • 審判長 南 宏輔
  • 審判官 瓦井 秀憲
  • 審判官 藏田 敦之
分類
P18 .113-Z (G01J) / P18 .121-Z (G01J) / P18 .575-Z (G01J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-574161「光の波長の測定」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月30日国際公開、WO2021/258184、令和 5年 6月13日国内公表、特表2023-524907〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 理 由 第1 手続の経緯 本件出願(以下「本願」という。)は、2020年(令和 2年)12月18日(パリ条約による優先権主張2020年 6月22日、(US)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和5年 5月29日付け:拒絶理由通知(最初) 令和5年11月 1日提出:意見書、手続補正書 令和5年12月13日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和6年 4月15日提出:審判請求書、手続補正書 令和6年 5月27日提出:手続補正書(方式) 令和6年 7月 8日付け:前置報告書 令和6年11月 8日提出:上申書 第2 令和 6年 4月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 6年 4月15日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について 令和 6年 4月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正するものである(下線部は補正箇所を示す。)。 (1)本件補正前 「波長測定システムであって、 少なくとも2つの反射面と前記反射面の間の伝送媒体とを含む干渉計であって、前記干渉計は、レーザから光信号を受け取り、これに応答してインタフェログラムを生成するように構成された干渉計と、 前記インタフェログラムを受け取り、これに応答して前記インタフェログラムを表すインタフェログラムデータを生成するように構成されたカメラシステムと、 前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答して前記環境パラメータの値を表すセンサデータを生成するように構成されたセンサと、 制御システムと、 を含み、 前記制御システムは、 前記カメラシステムから前記インタフェログラムデータを受け取り、前記センサから前記センサデータを受け取ることと、 前記インタフェログラムデータ及び前記センサデータに基づいて、前記レーザの波長を計算することと、 を含む動作を実行するように構成される、 波長測定システム。」 (2)本件補正後 「波長測定システムであって、 少なくとも2つの反射面とその間の伝送媒体とを含む干渉計であって、レーザから光信号を受け取り、これに応答してインタフェログラムを生成するように構成された干渉計と、 前記インタフェログラムを受け取り、これに応答して前記インタフェログラムを表すインタフェログラムデータを生成するように構成されたカメラシステムと、 前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答してセンサデータを生成するように構成されたセンサであって、前記センサは前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され、前記センサデータは前記環境パラメータの値を表す、センサと、 制御システムと、 を含み、 前記制御システムは、 前記カメラシステムから前記インタフェログラムデータを受け取り、前記センサから前記センサデータを受け取ることと、 前記インタフェログラムデータ及び前記センサデータに基づいて、前記レーザの波長を計算することと、 を含む動作を実行するように構成される、 波長測定システム。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「センサ」について、「前記センサは前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され」ると限定することを含むものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1) 本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2003-214958号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。)。 ア 「【0027】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の構成要素については同一の参照番号を付して、これらの説明を省略する。図1に、本発明の第1の実施形態に係る波長検出装置を含むレーザ装置の構成を示す。図1において、レーザ装置は、狭帯域化されたレーザ光を発生する狭帯域エキシマレーザ発振器51を備えている。狭帯域エキシマレーザ発振器51の右方には、ビームスプリッタ10が配置されており、その下方には波長検出装置17が配置されている。 【0028】波長検出装置17は、エタロン型分光器14と、レンズ7と、ラインセンサ13とを含む。エタロン型分光器14は、シールされた筐体16と、その内部に配置されたエタロン6と、吸着部18とを有している。エタロン6は、部分反射膜1がそれぞれ設けられた2つの光学基板2を、厚さが精密に管理されたスペーサ3を介して、所定のエアギャップを保ちつつ、部分反射膜1が対向するように配置して構成されている。各光学基板2は、適度な弾力性、保持力及び安定性を有する接着剤層4を用いて筐体16の中に固定されている。ここで、エタロンの部分反射膜の材料としては、ArFのような真空紫外レーザの波長では光の吸収が小さいフッ素化合物(例えば、CdF2、NaAlF4)を使用することが好ましい。 【0029】筐体16の内部には、筐体の対角線上にある2ヶ所の角部に2つの吸着部18が配置されており、これらの吸着部18が、筐体内部の水分を効率良く吸収する。筐体の上部には拡散板11が配置されており、拡散板11は、ビームスプリッタ10によって一部反射されたレーザ光を拡散し、均一化する。筐体16の下部には、封止窓12が取り付けられており、その下方にはレンズ7が配置されている。拡散板11とエタロン6との間の空間、及び封止窓12とエタロン6との間の空間には、遮光壁19が配置されていて、ビームスプリッタ10によって反射したレーザ光が吸着部18に照射することを防止している。これにより、レーザ光照射により吸着部内部に充填された吸着剤、例えば乾燥剤等が変質したり、乾燥剤等からアウトガスが発生することがないように設計されている。ただし、遮光壁19は遮光を目的として配置されるものであるので、吸着部18を空間的に完全に分離して、吸着機能を発揮させないようにするものであってはならない。したがって、遮光壁19は、通気性を有するものであることが望ましい。筐体16の左壁には置換ガス封入用のポート27が設けられており、筐体16の下方壁には置換ガス排出用のポート26が設けられている。筐体16の内部には、温度を検出するための温度プローブ20と、圧力を検出するための圧力プローブ21とが配置されている。 【0030】狭帯域エキシマレーザ発振器51から出射したレーザ光は、ビームスプリッタ10によって分割され、一部が反射する。反射したレーザ光は、エタロン型分光器14の入射窓である拡散板11を通過した後、散乱し、エタロン6に入射する。エタロンによる波長計測の基本式(1)に従って、入射光がエタロン6の光学基板2を通過し、封止窓12を通過した後、レンズ7によって焦点距離の位置にフリンジ波形9を形成する。形成されたフリンジ波形は、MOSあるいはCCD等のラインセンサ13によって撮像され、フリンジ波形9の位置が検出され、フリンジ角θに換算して波長λが求められる。検出結果はコントローラ53へ伝達され、検出結果に基づいてコントローラ53が狭帯域化素子ドライバ52に狭帯域化素子を駆動させて、狭帯域エキシマレーザ発振器51から出射される波長を制御する。」 イ 「【0032】また、筐体16には、筐体内部の気体の温度を計測するための温度プローブ20、及び、圧力を計測するための圧力プローブ21が、それぞれ1個所以上配置されている。温度プローブ20は、例えば白金抵抗プローブであり、圧力プローブ21は、例えばシリコンメンブレンの共振周波数から圧力を測定するプローブ等である。」 ウ 「【0040】吸着部18を筐体16内部に設置した、図1に示すようなレーザ装置を用いて波長検出を行えば、筐体16内部を乾燥窒素ガスで置換した後、初期圧力の上昇を抑えることができ、また検出した波長の変動も少ない。図3に、エタロン型分光器の筐体内に吸着部を設置した場合と設置しない場合のそれぞれについて、筐体内部の気体の密度の経時変化を示す。図3に示すように、吸着部を配置してない従来のエタロン型分光器では、乾燥窒素ガスで置換した直後に筐体の気体密度が上昇するが、吸着部を配置した図1に示すようなエタロン型分光器の場合には、ガス置換した直後に全気体密度の上昇が見られない。エタロンを構成している部分反射膜や接着剤層、筐体内壁等から発生する水分やアウトガスは吸着剤に吸収され、全気体密度は一定値を保っている。」 エ 「【0048】なお、筐体内に設置された温度計及び圧力計によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することができるので、誤差の少ない波長検出を実施することができる。」 オ 図1「 [図:0001427540000001.jpg] 」 カ 図8「 [図:0001427540000002.jpg] 」 キ 上記エの「筐体内に設置された温度計及び圧力計」が、上記イの筐体16に配置され、筐体内部の気体の温度を計測する温度プローブ20、及び、圧力を計測するための圧力プローブ21であることは、当業者に自明である。 ク 上記ア~キより、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、参考のため、認定の主な根拠とした箇所を括弧内に示す。 「波長検出装置を含むレーザ装置であって(ア)、 狭帯域化されたレーザ光を発生する狭帯域エキシマレーザ発振器51と、ビームスプリッタ10と、波長検出装置17とを備え(ア、オ)、 前記波長検出装置17は、エタロン型分光器14と、レンズ7と、ラインセンサ13と、を含み(ア、オ)、 前記エタロン型分光器14は、シールされた筐体16と、その内部に配置されたエタロン6と、吸着部18と、筐体内部の気体の温度を計測するための温度プローブ20、及び、圧力を計測するための圧力プローブ21を有しており(ア、イ、オ)、 前記エタロン6は、部分反射膜1がそれぞれ設けられた2つの光学基板2を、厚さが精密に管理されたスペーサ3を介して、所定のエアギャップを保ちつつ、部分反射膜1が対向するように配置して構成されており(ア、オ)、 前記狭帯域エキシマレーザ発振器51から出射したレーザ光は、ビームスプリッタ10によって分割され、一部が反射し、反射したレーザ光は、エタロン型分光器14の入射窓である拡散板11を通過した後、散乱し、エタロン6に入射し、入射光がエタロン6の光学基板2を通過し、封止窓12を通過した後、レンズ7によって焦点距離の位置にフリンジ波形9を形成し、形成されたフリンジ波形は、MOSあるいはCCD等のラインセンサ13によって撮像され、フリンジ波形9の位置が検出され、フリンジ角θに換算して波長λが求められ、検出結果はコントローラ53へ伝達されるものであって(ア、オ)、 前記吸着部18を筐体16内部に設置したことで、前記筐体16内部を乾燥窒素ガスで置換した後、初期圧力の上昇を抑えることができ、また検出した波長の変動も少なく、前記エタロンを構成している部分反射膜や接着剤層、筐体内壁等から発生する水分やアウトガスは吸着剤に吸収されて、全気体密度は一定値を保っており(ウ、オ)、 前記筐体16内に設置された上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することができ、誤差の少ない波長検出を実施することができるレーザ装置(イ、エ、キ)。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「波長検出装置を含むレーザ装置」は、本件補正発明における「波長測定システム」に相当する。 イ 引用発明の「部分反射膜1」及び『「部分反射膜1がそれぞれ設けられた2つの光学基板2を、厚さが精密に管理されたスペーサ3を介して、所定のエアギャップを保ちつつ、部分反射膜1が対向するように配置して構成され」た「エタロン6」』は、それぞれ、本件補正発明における「反射面」及び「少なくとも2つの反射面とその間の伝送媒体とを含む干渉計」に相当する。 ウ 引用発明における『「前記狭帯域エキシマレーザ発振器51から出射したレーザ光」の内、「エタロン型分光器14の入射窓である拡散板11を通過」する「レーザ光」』及び『「入射光がエタロン6の光学基板2を通過し、封止窓12を通過した後、レンズ7によって焦点距離の位置に」形成する「フリンジ波形9」』は、それぞれ、本件補正発明における『「レーザから」「受け取」る「光信号」』及び『「干渉計」が「レーザから光信号を受け取り、これに応答して」生成する「インタフェログラム」』に相当する。 エ 引用発明における「ラインセンサ13」は、「干渉計がレーザから光信号を受け取り、これに応答して生成するインタフェログラム(入射光がエタロン6の光学基板2を通過し、封止窓12を通過した後、レンズ7によって焦点距離の位置に形成するフリンジ波形9)」を撮像するものであり、当該インタフェログラム(フリンジ波形9)を撮像した際の当該ラインセンサ13の出力データは、当該インタフェログラム(フリンジ波形9)を表すデータであるといえるから、本件補正発明の「前記インタフェログラムを受け取り、これに応答して前記インタフェログラムを表すインタフェログラムデータを生成するように構成されたカメラシステム」に相当する。 オ 引用発明が、前記筐体16内に設置された上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することができ、誤差の少ない波長検出を実施することができることからして、引用発明の「温度プローブ20」及び「圧力プローブ21」が、エタロンのエアーギャップ間の気体の温度及び圧力を感知することは、当業者にとって自明である。さらに、温度プローブ20及び圧力プローブ21が、それぞれ、温度及び圧力を感知してデータを生成すること、生成されたデータが、温度及び圧力の値を表すことも当業者にとって自明である。 よって、引用発明において、『その計測された値を用いることにより、「エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算すること」、「誤差の少ない波長検出を実施すること」を可能とする「温度プローブ20」及び「圧力プローブ21」』は、本件補正発明における「前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答してセンサデータを生成するように構成されたセンサであって、前記センサは前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され、前記センサデータは前記環境パラメータの値を表す、センサ」と、「前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答してセンサデータを生成するように構成されたセンサであって、前記センサデータは前記環境パラメータの値を表す、センサ」である点で一致する。 カ 引用発明において、レンズ7によって焦点距離の位置に形成されるフリンジ波形9は、ラインセンサ13によって撮像され、フリンジ波形9の位置が検出され、フリンジ角θに換算して波長λが求められること、さらに、前記筐体16内に設置された上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することができ、誤差の少ない波長検出を実施することができるところ、引用発明である波長検出装置を含むレーザ装置(波長測定システム)が、ラインセンサ13よりフリンジ波形を撮像したデータを受け取り、受け取ったデータよりフリンジ波形9の位置を検出し、検出した結果をフリンジ角θに換算して、波長λを求める計算手段を備えていること、当該計算手段が、波長λを求めるのに際して、温度プローブ20、及び、圧力プローブ21より計測された値を受け取って、当該計測された値を用いてエタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算して、誤差のない波長検出を実施するものであることは、当業者に自明のことである。 キ 上記カからして、引用発明において、(ア)「ラインセンサ13よりフリンジ波形を撮像したデータを受け取」ること、(イ)「温度プローブ20、及び、圧力を計測するための圧力プローブ21より計測された値を受け取」ること、(ウ)ラインセンサ13よりフリンジ波形を撮像したデータを受け取り、受け取ったデータよりフリンジ波形9の位置を検出し、検出した結果をフリンジ角θに換算して、波長λを求めるのに際して、温度プローブ20、及び、圧力プローブ21より計測された値を用いてエタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算して、誤差のない波長検出を実施すること、並びに、これらを実行する、引用発明が備えていることが自明な計算手段は、それぞれ、本件補正発明における(ア)「前記カメラシステムから前記インタフェログラムデータを受け取」ること、(イ)前記センサから前記センサデータを受け取ること、(ウ)前記インタフェログラムデータ及び前記センサデータに基づいて、前記レーザの波長を計算すること、並びに、これら「を含む動作を実行するように構成される制御システム」に相当する。 (4)一致点・相違点 上記(3)から、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点で共通し、次の相違点で一応相違する。 (一致点) 「波長測定システムであって、 少なくとも2つの反射面とその間の伝送媒体とを含む干渉計であって、レーザから光信号を受け取り、これに応答してインタフェログラムを生成するように構成された干渉計と、 前記インタフェログラムを受け取り、これに応答して前記インタフェログラムを表すインタフェログラムデータを生成するように構成されたカメラシステムと、 前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答してセンサデータを生成するように構成されたセンサであって、前記センサデータは前記環境パラメータの値を表す、センサと、 制御システムと、 を含み、 前記制御システムは、 前記カメラシステムから前記インタフェログラムデータを受け取り、前記センサから前記センサデータを受け取ることと、 前記インタフェログラムデータ及び前記センサデータに基づいて、前記レーザの波長を計算することと、 を含む動作を実行するように構成される、 波長測定システム。」 (相違点) 前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答して前記環境パラメータの値を表すセンサデータを生成するように構成されたセンサが、本件補正発明においては、「前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され」ると特定されているのに対して、引用発明においては、そのように特定されていない点。 (5)判断 上記相違点について検討する。 ア 「前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答して前記環境パラメータの値を表すセンサデータを生成するように構成されたセンサが、前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され」ることに関して、本願明細書には、「環境センサは、干渉計のキャビティ内の環境パラメータを測定するために、干渉計に近接して構成される。」(本願明細書【0056】より抜粋)との記載があるところ、「近接」という文言からすると、センサの配置について、干渉計のキャビティ内にて測定することにまで限定するものではなく、キャビティ内の伝送媒体を十分な精度で測定することができる程度に、センサを干渉計に近づけて配置することを意味するものと解される。 イ 引用発明では、「前記筐体16内に設置された上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することができ、誤差の少ない波長検出を実施することができる」ことからして、引用発明における、「上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21」は、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算するために、エタロンのエアーギャップ間の気体の温度及び圧力を計測すべきものであるところ、少なくとも、当該エタロンのエアーギャップ間の気体の温度及び圧力を十分な精度で計測する必要があることは当業者に明らかである。 また、温度プローブ及び圧力プローブは、その配置された位置において計測を行うことが技術常識であることからすると、エタロンのエアーギャップ間の気体の温度及び圧力を十分な精度で計測する温度プローブ及び圧力プローブは、当該エタロンのエアーギャップに近づけて配置されていることも当業者に明らかである。 ウ 上記ア及びイからして、引用発明における「上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21」が設けられた位置と、本件補正発明におけるセンサが配置された位置との間に実質的な違いは認められないから、上記相違点とした構成は、本件補正発明と、引用発明との間の実質的な相違点であるとは認められない。 エ 上記ウからして、本件補正発明と引用発明との間に実質的な相違点がないことからすれば、その奏する効果も同一である。 オ 仮に、上記相違点が実質的な相違点であるとしても、プローブを定位置に配置して測定対象の温度や圧力を測定するにあたり、プローブと測定対象との間の距離は、小さければ小さいほど精度が高くなることは、技術常識であるところ、上記イのとおり、引用発明は、「前記筐体16内に設置された上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することができ、誤差の少ない波長検出を実施することができる」ものであるから、エタロンのエアーギャップ間の気体の温度及び圧力をより精度良く計測するために、温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21をエタロンのエアーギャップ間により近い位置、エアーギャップに近接した位置に設けることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 カ 仮に、本件補正発明と引用発明との間に相違点があるとしても、本件補正発明の奏する効果は、引用発明が奏する効果及び上記技術常識(プローブと測定対象との間の距離は、小さければ小さいほど精度が高くなること(上記オ参照))から予測される範囲内のものといえ、当業者といえども到底予測し得ないような格別ないし異質なものであるとは認められない。 キ したがって、本件補正発明は、引用発明と実質的に同一であるか(上記ア~エ)、仮に、両発明が相違するとしても、本件補正発明は、引用発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(上記オ~カ)。 (6)請求人の主張について 請求人は、請求の理由「3.2.(シ)~(ム)」(以下「(シ)」等という。)において、本件補正発明は、引用文献2に開示されたものではないこと、また、引用文献2に記載の発明から当業者が容易になし得たものではないことを主張している。 上記の請求人の主張は、主として次のア~エの観点からの主張であるので以下に、これらの主張について検討を行う。 ア エタロンの構造について (あ)請求人は、請求の理由において、『「エタロン」はプローブが「所定のギャップ」にアクセスできないようにブロックするように構成されています。・・・(中略)・・・そのため、プローブは、レーザ光が透過する「所定のギャップ」内の気体の特性を感知するようには構成されておらず、また、プローブは「所定のギャップ」に近接していません。』((ス))、『図8から分かるように、「光学基板2」、「スペーサ3」、「保護筐体5」は、「部分反射膜1」間の「所定のギャップ」へのアクセスを遮断します。このように、「エタロン6」の構成により、プローブ、例えば、温度プローブや圧力プローブが、レーザ光が透過する「部分反射膜1」間の気体の特性を感知することができません。』((タ))、『「エタロン6」の構成により、「温度プローブ20」や「圧力プローブ21」は、レーザ光が透過する「所定のギャップ」の気体を感知することができません。また、「エタロン6」の構成により、プローブが「所定のギャップ」に近接して配置されることもありません。』((ト))、『引用文献2は、「温度プローブ20」と「圧力プローブ21」が、それぞれ、「エタロン6」の「所定のギャップ」内の気体の温度と圧力を測定することを「筐体16」が可能にすることを開示も示唆もしていません。実際、拒絶査定においては、引用文献2が「筐体16」に加えて第2の筐体、すなわち「保護筐体5」を開示していることを認定していません。「保護筐体5」は、引用文献2の段落[0004]及び図8によって明示的に記載されており、・・・(中略)・・・したがって、「温度プローブ20」及び「圧力プローブ21」は、「保護筐体5」の遮断する存在を考慮すると、「エタロン6」の「所定のギャップ」内の気体を感知しているとはみなされません。』((ネ))、『しかしながら、上記主張は「エタロン6」の気体平衡化の課題を認識していません。「エタロン6」に複数の遮断構造、例えば「スペーサ3」、「保護筐体5」、「光学基板2」が存在すると、「エタロン6」の内部と外部との間で気体を平衡化するのに必要な時間が長くなります。したがって、長い平衡化時間が許容されない限り、「温度プローブ20」と「圧力プローブ21」からの測定は、「所定のギャップ」内の気体を正確に表すことはできません。引用文献2は、後述する長い平衡時間の課題を明確に認めています。したがって、上記主張は、「エタロン6」の遮断する配置が技術的なメリットを欠くことを示すものではありません。』((ハ))といった、引用発明のエタロンの構造に係る主張、あるいは、エタロンの構造を根拠とした主張をしている。 (い)この点について、引用文献2の【0004】、図8等を参酌しても、引用発明における所定のギャップ(少なくとも2つの反射面の間のギャップ)の全周囲(特に、図8において紙面に垂直な方向)を保護筐体5及びスペーサ3が囲んでいるものとは認められず、当該ギャップが、ここにある気体を感知できないように遮断あるいは密閉されているものとは認められない。 (う)引用発明において、筐体16内部に設置した吸着部18により、エタロンを構成している部分反射膜や接着剤層等から発生する水分やアウトガスが吸収されることからして、エタロンを構成している部分反射膜の周辺と吸収部の周辺とが連通していること(ガス交換可能であること)は明らかである。このことより、エタロン及びその部分反射膜並びにエアーギャップに位置するガスは、吸着部を含む、その周囲に到達可能であるといえ、エタロンの周辺からは、(ギャップに近接した位置であっても)ギャップ間にある気体の感知が不可能となるような遮蔽・遮断された状態・構造でないことは明らかである。 (え)さらに、引用文献2の「筐体内に設置された温度計及び圧力計によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することができるので、誤差の少ない波長検出を実施することができる。」(【0048】)の記載からして、筐体内に設置された温度計及び圧力計によって計測された値が、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算することを可能としていること、すなわち、エタロンのエアーギャップ間の気体の温度及び圧力を正確に計測できるものであることは当業者に自明のことである。 (お)以上のとおりであるから、(あ)に係る請求人の主張は、根拠を欠くものであり、採用することはできない。 イ プローブがエタロンから離れた位置にあることについて (あ)請求人は、請求の理由において、『さらに、プローブは「エタロン」からそれぞれ離れた位置にあります。・・・(中略)また、プローブは「所定のギャップ」に近接していません。』(ス)、『引用文献2の図1は、これらのプローブが「エタロン6」からそれぞれの距離だけ離れていることを示しています。図1の注釈付き部分を以下に示します。』((チ))、『さらに、「エタロン6」の構成と「エタロン6」からのプローブの距離により、プローブが「所定のギャップ」に近接することを防止します。』((ツ))、『プローブが「所定のギャップ」に近接して配置されることもありません。』((ト))といった、引用発明のプローブがエタロンから離れた位置にある旨の主張している。 (い)この点について、「離れた位置にある」あるいは「近接していない」といった距離関係は、相対的なものであるから、引用文献2の図1において、所定のギャップの近傍がどこまでの範囲であるのかを合理的かつ明確に定めることは困難であり、同様に、引用文献2の図1において、プローブにより伝送媒体の環境特性を感知することができる、エタロンに近接する位置がどこまでの範囲であるのかを合理的かつ明確に定めることは困難である。 (う)本願明細書及び図面にも、センサがどこまでの範囲にあればギャップに近接して配置されたものであるのか、また、センサがどこまでの範囲にあればキャビティ内の環境パラメータを測定することができるのかを合理的かつ明確に定めた記載はない。 (え)センサがどこまでの範囲にあればエタロンのギャップに近接して配置されたものであるのか、また、センサがどこまでの範囲にあればエタロンのキャビティ内の環境パラメータを測定することができるのかを合理的かつ明確に定めることのできる周知技術ないし技術常識は認められない。 (お)引用発明における「上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21」が設けられた位置と、本件補正発明におけるセンサが配置された位置との間に実質的な違いは認められないことは、上記(5)ア~ウに述べたところであり、また、仮に、これらの間に違いがあるものとしても、その点は、当業者であれば容易に想到し得たことは、上記(5)オに述べたところである。 (か)以上のとおりであるから、引用文献2の図1を根拠するもの、これを根拠としないものも含めて、引用発明のプローブが所定のギャップに近接していないとする主張及びこのことを根拠する主張は、根拠を欠くものであり、採用することはできない。 ウ プローブが、レーザ光が透過する「所定のギャップ」内の気体の特性を感知するようには構成されていないことについて (あ)請求人は、請求の理由において、『「エタロン」はプローブが「所定のギャップ」にアクセスできないようにブロックするように構成されています。・・・(中略)・・・プローブは、レーザ光が透過する「所定のギャップ」内の気体の特性を感知するようには構成されておらず』((ス))、『したがって、引用文献2には、「筐体16」内の様々な位置で気体の温度と圧力を測定するように構成されたプローブが開示されていますが、レーザ光が透過しない領域で測定されます。このように、プローブは、両者が同じ組成であっても、透過媒体ではなく一般媒体を感知するように構成されています。』((ツ))といった、引用発明のプローブが、レーザ光が透過する「所定のギャップ」内の気体の特性を感知するようには構成されていない旨の主張している。 (い)この点について、本件補正発明は、センサが、所定のギャップ内で測定することも、レーザ光が透過する領域にて測定することも特定するものではない。 (う)引用発明におけるエタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算するために測定を行う「上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21」が設けられた位置と、本件補正発明におけるセンサが配置された位置との間に実質的な違いは認められないことは、上記(5)ア~ウにて述べたところであり、また、仮に、これらの間に違いがあるものとしても、その点は、当業者であれば容易に想到し得たことは、上記(5)オにて述べたところである。 (え)以上のとおりであるから、当該主張は、根拠を欠くものであり、採用することはできない。 エ アウトガスの発生と気体平衡化の課題について (あ)請求人は、請求の理由において、『しかしながら、上記主張は「エタロン6」の気体平衡化の課題を認識していません。「エタロン6」に複数の遮断構造、例えば「スペーサ3」、「保護筐体5」、「光学基板2」が存在すると、「エタロン6」の内部と外部との間で気体を平衡化するのに必要な時間が長くなります。したがって、長い平衡化時間が許容されない限り、「温度プローブ20」と「圧力プローブ21」からの測定は、「所定のギャップ」内の気体を正確に表すことはできません。引用文献2は、後述する長い平衡時間の課題を明確に認めています。したがって、上記主張は、「エタロン6」の遮断する配置が技術的なメリットを欠くことを示すものではありません。』((ハ))、『引用文献2について、拒絶査定においては、「筐体内に設置された温度計及び圧力計によって計測された値を用いることにより、エタロンのエアーギャップ間の気体の屈折率を正確に計算し、誤差の少ない波長検出を実施すること([0048]を参照)」と認定されるように、引用文献2の段落[0048]を引用して、「波長検出装置17」におけるプローブの技術的効果が、請求項1の「波長測定システム」における「センサ」の技術的効果と同等であると主張されています。』((ヒ))、『しかしながら、請求項1の「センサ」は、その「波長測定システム」において、引用文献2の「波長検出装置17」では不可能な技術的利点を得ることができます。上述したように、「温度プローブ20」と「圧力プローブ21」は、「エタロン6」から離れた位置にあり、「エタロン6」の構成によって「所定のギャップ」へのアクセスが遮断されています。したがって、これらのプローブからの測定は、気体が「筐体16」全体で均一かつ安定していない限り、「所定のギャップ」内の気体を正確に表すことはできません。引用文献2には、「このように、乾燥窒素ガスで置換した直後にはアウトガスの発生により、屈折率nの変動が生じるので、ガス置換を行ってから数日~1週間程度の間は、装置を利用することができない。そのため、屈折率nが安定するまで波長計測装置の校正等を延期する必要があり、半導体装置の製造工程の能率化を図ることはできなかった。さらに、アウトガスの種類によっては、発生したアウトガスが光学部品の表面に付着し、光学的性能に支障をきたすという問題もあった。」(明細書段落[0021])(下線部は出願人による。)と記載されるように、引用文献2は、このような気体状態は、「波長検出装置17」が信頼性を持って動作される前に、長時間の平衡化を必要とすることを教示しています。』((フ))、『「筐体16」内のアウトガスを軽減するために、引用文献2は「筐体16」が「吸着部18」を含むことを開示しています。「吸着部」には、「筐体16」内の気体から水分、有機物、その他の揮発性汚染物質を除去するための「水分(物質)吸着剤等」が含まれています。しかし、引用文献2には、「上述したようにエタロンを構成している部分反射膜や接着剤層、筐体内壁等から発生するアウトガス(水分を含む)は吸着剤に吸収されるが、水分の放出は比較的緩やかに起こるため、完全脱水によって筐体内が安定するまでには数週間必要である。この問題を解消するためには、ベーキング処理を行うことが好ましい。かかる処理を行うのに適したレーザ装置を以下に説明する。」(明細書段落[0042])(下線部は出願人による。)と記載されるように、引用文献2は、「筐体16」内の気体が許容可能なレベルの均一性と安定性に達するには、まだ数週間を要する場合があることを認めています。』((ヘ))、『このため、引用文献2には、「筐体16」内の気体の平衡化を促進するための「波長検出装置17」の構成、例えば、「筐体16」のベーキング処理や、「筐体16」を通る予熱された気体部分の循環などがさらに開示されています。これに対して、請求項1の「波長測定システム」は、気体が平衡に達する必要なく、気体の変化に迅速かつ動的に反応することができます。この技術的な利点は、「波長測定システム」の「センサ」の構成によって、部分的に認められています。請求項1には、「前記伝送媒体の環境パラメータを感知・・・するように構成されたセンサであって、前記センサは前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され」た「センサ」と記載されています。「センサ」が「ギャップ」に近接することで、ハウジング全体などの気体を平衡化する必要性が緩和されます。実際、請求項1の「波長測定システム」は、制御された環境(例えば、大気中)でなくても動作可能です。例えば本願明細書には、「幾つかの実施構成において、本明細書に記載される方法及びシステムは、既存の技術を超える、又は既存の技術に対する改良を提供することができる。例えば、方法及びシステムは、高い精度及び正確さを得るために、システムに対する受動的な分離、電力を消費する環境制御、又は能動的な大気安定化を必要としない場合がある。」(段落[0008])(下線部は出願人による。)、「幾つかの例では、例示的なシステム200は、ハウジングなしで構成され、環境に対して開放されている。」(段落[0036])と記載されています。』((ホ))、『このような機能は、その密閉された筐体とガス処理部によって示されるように、引用文献2の「波長検出装置17」では想定されていません。したがって、請求項1の「センサ」は、「波長測定システム」が、引用文献2の「波長検出装置17」に対して技術的な利点を提供することを可能にします。』((マ))と主張している。 (い)上記(あ)の主張は、主として、引用文献2に記載の発明において、「温度プローブ20」と「圧力プローブ21」は、「エタロン6」から離れた位置にあり、「エタロン6」の構成によって「所定のギャップ」へのアクセスが遮断されているから、アウトガスが発生した際には、筐体16内の全体で気体が均一かつ安定していない限り、所定のギャップ内の気体を正確に測定することができず、これを待たなければならないこと、これに対して、本件補正発明では、「センサ」が「ギャップ」に近接することで、ハウジング全体などの気体を平衡化する必要性が緩和され、気体が平衡に達する必要なく、気体の変化に迅速かつ動的に反応することができることを主張したものであると理解できる。 (う)しかしながら、エタロンが、ギャップにある気体を感知できないように遮断あるいは密閉されているものではないことは、上記ア(い)~(お)にて述べたところである。 また、引用発明における「上記温度プローブ20、及び、上記圧力プローブ21」が設けられた位置と、本件補正発明におけるセンサが配置された位置との間に実質的な違いは認められないことは、上記(5)ア~ウにて述べたところであり、また、仮に、これらの間に違いがあるものとしても、その点は、当業者であれば容易に想到し得たことは、上記(5)オにて述べたところである。 さらに、引用発明におけるプローブが所定のギャップ(エタロン)に近接していないとする主張が根拠を欠くものであることは、上記イ(い)~(か)にて述べたところである。 (え)以上のとおりであるから、当該主張は、根拠を欠くものであり、また、本件補正発明と引用発明との間の構成の違いに基づく主張とは認められず、これを採用することはできない。 また、本件補正発明が格別の効果を奏さないことは、上記(5)エ、カにて述べたとおりである。 (7)まとめ 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明と実質的に同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許法第29条第1項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、仮に両発明が相違するとしても、本件補正発明は、当業者が引用発明及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 6年 4月15日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年11月 1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~30に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1、5~6、9、12、18、21及び28に係る発明は、その優先日前に頒布された刊行物である下記の引用文献2に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない、という理由、及び、この出願の請求項1、5~6、9、12、18、21及び28に係る発明は、当業者がその優先日前に頒布された刊行物である下記の引用文献2に記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない、という理由を含むものである。 引用文献2:特開2003-214958号公報 3 引用文献2について 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)ア~クに記載したとおりである。 4 対比・判断 (1)本願発明は、上記第2[理由]2(3)~(6)で検討した本件補正発明に対して、次の補正をしたものに相当する。 ア 本件補正発明における「その間の伝送媒体」を「前記反射面の間の伝送媒体」とする補正 イ 本件補正発明における「干渉計であって、レーザから光信号を受け取り、これに応答してインタフェログラムを生成するように構成された干渉計と」を「干渉計であって、前記干渉計は、レーザから光信号を受け取り、これに応答してインタフェログラムを生成するように構成された干渉計と」とする補正 ウ 本件補正発明における「前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答してセンサデータを生成するように構成されたセンサであって、・・・(略)・・・前記センサデータは前記環境パラメータの値を表す、センサ」を「前記伝送媒体の環境パラメータを感知し、これに応答して前記環境パラメータの値を表すセンサデータを生成するように構成されたセンサ」とする補正 エ 本件補正発明における「センサ」について、「前記センサは前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され」るとする限定事項を削除する補正 (2) 上記(1)ア~ウは、表現上の形式的なものであり、発明の内容を実質的に変更するものではない。 (3)本願発明は、本件補正発明における「センサ」について、「前記センサは前記少なくとも2つの反射面の間のギャップに近接して配置され」るとする限定事項を削除したものに実質的に相当する(上記(1)エ)。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに実質的に相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)~(6)に記載したとおり、引用文献2に記載された発明と同一であるから、本願発明も、引用文献1に記載された発明であり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により、特許を受けることができない。 仮に、本件補正発明が、引用文献2に記載された発明と同一ではないとしても、本件補正発明は、当業者が引用文献2に記載された発明及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、当業者が引用文献2に記載された発明及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものであり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、本願優先日前に頒布された刊行物である引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。 また、仮に、本願発明が、本願優先日前に頒布された刊行物である引用文献2に記載された発明と同一ではないとしても、本願発明は、当業者が引用文献2に記載された発明及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-006377

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