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特許拒絶査定不服審判

2024-006093

ヘッドマウントディスプレイ用フレーム

審判番号
2024-006093
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-198341
請求日
2024年04月10日
審決日
2026年01月20日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】トーヨーカネツ株式会社
  • 【請求人代理人】友野 英三
審判長/審判官
  • 審判長 里村 利光
  • 審判官 外川 敬之
  • 審判官 高松 大
分類
P18 .121-WZ (G02C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2022-198341「ヘッドマウントディスプレイ用フレーム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 3月10日出願公開、特開2023- 33277〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続等の経緯 特願2022-198341号(以下「本件出願」という。)は、平成30年5月30日に出願した特願2018-103426号の一部を令和4年12月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 6年 1月 9日付け:拒絶理由通知 同年 3月18日 :手続補正書、意見書の提出 同年 3月29日付け:拒絶査定 同年 4月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 7年 2月 4日付け:拒絶理由通知 同年 3月31日 :手続補正書、意見書の提出 同年 7月 1日付け:拒絶理由通知 同年 9月 8日 :手続補正書、意見書の提出 同年 9月30日付け:審尋 同年10月22日 :回答書の提出 第2 本願発明 本件出願の特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明は、令和7年9月8日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のものである。 「 ヘッドマウントディスプレイの主要部であるディスプレイ部に着脱可能に装着される装着部と、 前記装着部に連接された可撓性のフレーム本体であって、前記ヘッドマウントディスプレイが使用者の頭部に装着された際に前記装着した使用者である装着者の頭部のうち該装着者の左右側頭部にそれぞれ当接する左中間部及び右中間部と、前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前側に当接し前記左中間部の一方端及び前記右中間部の一方端にそれぞれ連接する前側部と、前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前と対向する側に当接し前記左中間部の他方端に連接する左後側部と、前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前と対向する側に当接し前記右中間部の他方端に連接する右後側部とを備える、フレーム本体と、 前記フレーム本体のうち前記左中間部から突設された左パッド及び前記フレーム本体のうち前記右中間部から突設された右パッドからなる一対のパッドであって前記ヘッドマウントディスプレイが使用者の頭部に装着された際に前記装着した使用者である装着者の頬に当接することによって前記ディスプレイ部を保持することの可能なパッドと を備え、 前記フレーム本体が前記左後側部、前記左中間部、前記前側部、前記右中間部、前記右後側部の順で連接されて前記フレーム本体が前記装着者の頭部を略環状に覆いつつ前記左後側部のうち前記左中間部の他方端と連接する側と対向する突端と前記右後側部のうち前記右中間部の他方端と連接する側と対向する突端とが前記前側部の長さの略三分の一の長さ離隔してなる形状を備えた ことを特徴とするヘッドマウントディスプレイ用フレーム。」 第3 当審において通知された拒絶の理由 当審において通知された拒絶理由のうち、令和7年2月4日付けで通知された拒絶理由は、以下のとおりのものである。 本件出願の請求項1~4に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用文献等については引用文献等一覧参照) <引用文献等一覧> 引用文献13:特開2016-180939号公報 引用文献9:米国特許第7011406号明細書 引用文献10:登録実用新案第3199832号公報 引用文献11:実願昭55-61266号(実開昭56-161615号)のマイクロフィルム (当合議体注:引用文献13が主引用例、引用文献9~11は、本件出願当時の周知技術及び技術常識を例示するための文献である。) 第4 引用文献の記載並びに引用発明等の認定 1 引用文献13の記載及び引用発明の認定 (1)引用文献13の記載 当審において通知された拒絶の理由で引用された引用文献13は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには以下の記載がある。下線は、当合議体が付したものであり、引用発明の認定及び判断等に活用した箇所を示す(以下、同様である。)。 ア 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、頭部に装着して使用するヘッドマウントディスプレイ等の頭部搭載型ディスプレイに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、虚像の形成及び観察を可能にするヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも言う)等の頭部搭載型ディスプレイとして、種々のものが提案されている。 【0003】 しかしながら、HMDを構成する頭部搭載型ディスプレイは、眼前において映像を見せるものであるため、表示部全体の装置位置が前方に偏っており、位置調整が必要となることが多い。また、頭部搭載型ディスプレイは、観察者である装着者に直接接するものであり、個人の体型の差等によっても、例えばノーズパッド等の位置調整が必要となる。さらに、複数人で1つの頭部搭載型ディスプレイを使いまわす、といった場合には、人体に接する箇所の衛生面等の問題もある。また、眼鏡を使用する観察者への対応も考慮する必要がある。 ・・・(略)・・・ 【発明の概要】 【0007】 本発明は、両眼視を可能とし、かつ、位置調整を不要又は容易とすることを可能としつつ例えば複数人で使いまわすといった場合における衛生面を考慮可能で装着性が向上された頭部搭載型ディスプレイを提供することを目的とする。 【0008】 本発明に係る頭部搭載型ディスプレイは、左右一対で設けられる表示装置と、装着時において左右一対の表示装置よりも観察者の人体に近い側に設けられ、かつ、観察者の人体の一部又は観察者の装着物に接する被装着部と、左右一対の表示装置の間の中央部分の1箇所に設置され、被装着部を着脱可能に固定する固定部とを備える。ここでの被装着部とは、装着時において直接的に又は間接的に観察者の人体の一部に接するものであり、装置本体に取り付けられた固定部によって装置本体に対して着脱可能となっているものを意味する。また、ここでの観察者の装着物とは、典型的には、眼鏡やゴーグル等の観察者の鼻や耳、額等の人体の一部に直に接して支持されつつ眼前に配置される物体を意味する。被装着部は、直接的に人体の一部に接するものとして例えば眼鏡型の形状となっていることもあれば、間接的に人体の一部に接するものとして例えば観察者の装着物である眼鏡等に取り付けら可能な構造体となっていることもある。 【0009】 上記頭部搭載型ディスプレイでは、左右一対で設けられる表示装置により両眼視での映像の視認が可能であって、観察者に直接的に又は間接的に接する被装着部が、装置本体部分の中央部分の1箇所に設置された固定部により着脱可能となっていることで、装置本体部分に対する着脱の動作を簡易かつ確実なものとすることができる。したがって、例えば複数人で1つの頭部搭載型ディスプレイを使いまわすといった場合に、装着者ごとに被装着部を簡単に取り換えることができ、例えば感染症その他の衛生面の問題を解決できる。また、この際、被装着部として各個人に合ったサイズ形状のものを用いる、あるいは、被装着部が各個人所有の眼鏡等に取り付け可能な構造体とすることで、頭部搭載型ディスプレイの使用のための位置調整を不要又は容易とすることができる。また、上記の場合、左右一対で設けられる表示装置に対して、中央部分の1箇所での固定を堅固なものとすることで、左右のバランスを利用して1箇所のみであっても被装着部の安定した固定が可能となる。」 イ 「【0021】 〔第1実施形態〕 以下、図1等を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る頭部搭載型ディスプレイについて詳細に説明する。 【0022】 図1(A)及び図2等に示すように、本実施形態の導光装置を含む頭部搭載型ディスプレイ100は、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この頭部搭載型ディスプレイ100を装着した観察者又は使用者に対して虚像による画像光(映像光)を視認させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで視認又は観察させることができる。頭部搭載型ディスプレイ100は、観察者の眼前を透視可能に覆う第1及び第2導光装置20a,20bと、両導光装置20a,20bを支持する枠部102と、枠部102に付加された第1及び第2像形成本体部105a,105bとを備え、左右一対の構成で両眼視をさせることができるものとなっている。ここで、図面上で左側の第1導光装置20aと第1像形成本体部105aとを組み合わせた第1表示装置100Aは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも頭部搭載型ディスプレイとして機能する。また、図面上で右側の第2導光装置20bと第2像形成本体部105bとを組み合わせた第2表示装置100Bは、左眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも頭部搭載型ディスプレイとして機能する。 ・・・(略)・・・ 【0025】 さらに、頭部搭載型ディスプレイ100は、枠部102等に対して着脱可能であるとともに観察者の視力や体型に合わせて調整可能な被装着部MPとして、眼鏡型形状のインナーフレーム60を、装置の内側、すなわち人体と直接触れる側に設けている。すなわち、インナーフレーム60は、頭部搭載型ディスプレイ100の光学的構成を担う第1及び第2表示装置100A,100Bと人体との間に設けられ、頭部搭載型ディスプレイ100のうち人体と直接触れる箇所を構成するとともに、第1及び第2表示装置100A,100B等を支持する支持部材として機能している。本実施形態では、図2(A)~2(C)及び図3(A)~3(E)に示すように、被装着部MPであるインナーフレーム60が、頭部搭載型ディスプレイ100の本体部分に対して着脱可能、すなわち交換可能となっている。このため、例えば図3(D)に示すように、頭部搭載型ディスプレイ100の中央部分CPには、枠部102の樹脂部108にインナーフレーム60を着脱可能に固定するための固定部FPが設けられている。頭部搭載型ディスプレイ100において、インナーフレーム60を交換することで、例えば複数人で1つの頭部搭載型ディスプレイ100を使用するといった場合に、頭部搭載型ディスプレイ100の装着者(観察者)ごとにインナーフレーム60を取り換えることで、感染症その他の衛生面での問題を生じないようにすることができる。詳しくは後述するが、本実施形態では、さらに頭部搭載型ディスプレイ100の中央部分に設けた1箇所の固定部FPにおいてインナーフレーム60を着脱するものとなっている。固定部FPが頭部搭載型ディスプレイ100の枠部102に設けられることで、インナーフレーム60の着脱が、例えば観察者の眼の位置に合わせて位置調整を要することなく行え、動作を簡易かつ確実なものとしている。なお、ここでは、図3に示すように、頭部搭載型ディスプレイ100からインナーフレーム60を取り外した状態のものを装置本体部分とも呼ぶが、インナーフレーム60を取り外した状態であっても頭部搭載型ディスプレイ100とも呼ぶことがあるものとする。 ・・・(略)・・・ 【0027】 以下、図6等を参照して、被装着部MPであるインナーフレーム60の構造について詳細に説明する。インナーフレーム60は、視力矯正用の眼鏡レンズを挿入可能な眼鏡型形状の部材であり、図2等を参照して既に説明したように、頭部搭載型ディスプレイ100のうち第1及び第2表示装置100A,100Bよりも内側すなわち装着時において観察者に近い側に設けられて、枠部102を介して第1及び第2表示装置100A,100Bの装置本体部分を支持する支持部材である。また、インナーフレーム60は、矯正用の眼鏡レンズとして機能すべく設けられた眼鏡レンズ挿入のための一対の枠体部分PA,PBを本体部分として構成されており、矯正用の眼鏡レンズLS1,LS2が枠体部分PA,PBに取り付けられている。また、インナーフレーム60は、一対の枠体部分PA,PBの左右両端から後方に延びるテンプル(つる部分)TA,TBと、一対の枠体部分PA,PB間の中央部に取り付けられたノーズパッド(鼻受部)40とが付随して設けられている。つまり、インナーフレーム60は、鼻に支持されるノーズパッド40と耳やこめかみ等の側頭部に支持される一対のテンプルTA,TBとが付随することによって、観察者の顔前に配置される。なお、眼鏡レンズLS1,LS2については、観察者の視力等に合わせて適宜選択され、視力矯正を要しない場合には視度の無いレンズを挿入するものとすればよい。 【0028】 さらに、本実施形態では、インナーフレーム60は、頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分への取付けのための板状(もしくは棒状)の差込部61を有している。図示のように、差込部61は、頭部搭載型ディスプレイ100においてインナーフレーム60を固定するために枠部102に設けられた固定部FP(図3(D)等参照)に対応するように、インナーフレーム60の中央部分に設けられた部材であり、インナーフレーム60の本体部分である一対の枠体部分PA,PBを繋ぐ連結部CC(通常の眼鏡でのブリッジ部に相当)において外側すなわち頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分に対向する側に向かって延びている。 【0029】 以下、図7等を参照してインナーフレーム60における頭部搭載型ディスプレイ100への取付けのための構造についてさらに説明する。図7は、被装着部MPであるインナーフレーム60における差込部61の構造について説明するための斜視図である。図示のように、連結部CCに設けられた差込部61は、インナーフレーム60の中央部分から延びる板状又は棒状で、例えばステンレス板金等の剛性体によって作製され、先端側に設けられた位置規制部PRと、根本側に設けられた係合孔HHとを有する。差込部61は、頭部搭載型ディスプレイ100の中央部分CPに配置された固定部FPに設けられた差込口IO(図9(B)等参照)に差し込まれて固定部FPの内部で係合される。差込部61のうち、位置規制部PRは、頭部搭載型ディスプレイ100との相対的な位置を規定するストッパーとして機能する窪み形状を有する部分である。係合孔HHは、固定部FPの内部において引掛けられることによりインナーフレーム60を係合させるための貫通孔である。 【0030】 以上のように交換(取換え)可能なインナーフレーム60を被装着部MPとして設けることで、例えば観察者が自己の体型にあったインナーフレーム60を予め選択することが可能となり、装着時において頭部搭載型ディスプレイ100に対する位置調整が不要となるようにできる。また、例えば複数の観察者が1つの頭部搭載型ディスプレイ100を使い回す場合に、他人の鼻や耳等が触れた箇所に直接接触することなく頭部搭載型ディスプレイ100を利用することが可能となり、衛生面の問題を回避できる。 ・・・(略)・・・ 【0055】 また、眼鏡型形状のインナーフレーム60についても、様々な形状・構造のものが適用でき、例えばインナーフレーム60が鼻眼鏡、つるなし眼鏡等のような形状で、ノーズパッド40のみを有してテンプルTA,TBを有しないものとしてもよい。また、テンプルTA,TBについて、観察者の耳に接するものだけでなく、観察者のこめかみ(側頭部)の部分まで接して耳まで接しないものとしてもよい。すなわち、ノーズパッド40を有さずテンプルTA,TBのみを有するものとしてもよい。」 ウ 「【図1】 [図:0001433534000001.jpg] 【図2】 [図:0001433534000002.jpg] ・・・(略)・・・ 【図6】 [図:0001433534000003.jpg] 【図7】 [図:0001433534000004.jpg] 」(当合議体注:【図2】、【図6】及び【図7】は、便宜のため、時計回りに90°回転させた。) (2) 引用発明の認定 上記(1)の記載(特に段落【0022】、【0025】、【0027】~【0028】、【図1】及び【図6】)によれば、引用文献1には、以下の「インナーフレーム60」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(当合議体注:引用発明の構成中の括弧内の数字は、引用発明の認定根拠となった引用文献1の段落番号を示したものである。) 「 眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この頭部搭載型ディスプレイ100を装着した観察者又は使用者に対して虚像による画像光(映像光)を視認させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで視認又は観察させることができる頭部搭載型ディスプレイ100に用いられるインナーフレーム60であって(【0022】)、 頭部搭載型ディスプレイ100は、観察者の眼前を透視可能に覆う第1及び第2導光装置20a,20bと、両導光装置20a,20bを支持する枠部102と、枠部102に付加された第1及び第2像形成本体部105a,105bとを備え(【0022】【図1】)、 矯正用の眼鏡レンズとして機能すべく設けられた眼鏡レンズ挿入のための一対の枠体部分PA,PBを本体部分として構成され、一対の枠体部分PA,PBの左右両端から後方に延びるテンプルTA,TBと、一対の枠体部分PA,PB間の中央部に取り付けられたノーズパッド40とが付随して設けられ(【0027】【図6】)、 一対のテンプルTA,TBは、側頭部に支持され(【0027】)、 頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分への取付けのための板状の差込部61を有し、差込部61は、枠部102に設けられた固定部FPに対応するように設けられ、一対の枠体部分PA,PBを繋ぐ連結部CCにおいて頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分に対向する側に向かって延びている(【0028】)、 枠部102に対して着脱可能であるインナーフレーム60(【0025】)。」 3 引用文献9の記載 当審において通知された拒絶の理由で引用された引用文献9は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であるところ、そこには、以下の記載がある。 (1) 「 [図:0001433534000005.jpg] [図:0001433534000006.jpg] 」 (2) 「(1列17~40行) Heretofore, most eyeglass structures have rested and been supported on the nose and the temple members of the eyeglass structures have rested on the ears and engaged both sides of the head behind the ears. Such eyeglass structures have the major portion of the weight thereof concentrated on the nose of the person wearing same and, therefore, tend to bear on and slide down the nose. Constant wearing of these conventional eyeglass structures often results in unsightly creases in the skin and tissue on both sides of the nose. This pressure on the sensitive part of the face can become irritating to the wearer and can even cause permanent creases in the areas of contact upon wearing of these conventional eyeglass structures over an extended period of time. The pressures on both sides of the nose can also cause discomfort to the wearer, e.g., headaches, eye congestions, etc. Traditional eyeglass structures can not be used by many people after nose surgery due to the pressures exerted by conventional frame members. Also, some people have such nose shapes that are difficult and, in some instances, practically impossible to fit with conventional eyeglass structures that will remain in position thereon. It is, of course, understood that a person who is handicapped due to the loss of a nose can not be accommodated by these conventional eyeglass structures. (合議体訳:従来、ほとんどの眼鏡構造は鼻の上に載せられ支えられており、眼鏡構造のテンプル部分は耳の上に載せられ、耳の後ろで頭の両側を挟むように装着されていた。このような眼鏡構造では、その重量の大部分が着用者の鼻に集中するため、鼻にかかる圧力が生じ、滑り落ちる傾向がある。これらの従来の眼鏡構造を継続的に着用すると、鼻の両側の皮膚や組織に見苦しいしわが刻まれることがよくある。顔の敏感な部分にかかるこの圧力は着用者に不快感を与え、長期間にわたり従来型眼鏡構造を着用することで接触部位に永久的なしわを生じさせることさえある。鼻の両側への圧力は、頭痛や眼の充血など、着用者に不快感をもたらすこともある。従来の眼鏡構造は、フレーム部材による圧力のため、鼻の手術を受けた多くの人が使用できない。また、鼻の形状によっては、従来の眼鏡構造を安定して装着することが困難、場合によっては事実上不可能な場合もある。当然ながら、鼻を失った障害を持つ人々は、これらの従来の眼鏡構造では対応できない。) (2列6~9行) The principal object of the present invention is to provide an eyeglass structure that overcomes the aforementioned problems and that can be worn without discomfort while avoiding any contact with the nose of the wearer. (合議体訳:本発明の主な目的は、前述の問題点を克服し、着用者の鼻との接触を避けつつ、不快感なく装着可能な眼鏡構造を提供することにある。) (2列10~17行) One aspect of the present invention is eyeglass structure having a pair of mounting supports and each mounting support is attached to the corresponding temple member. The pad of the mounting support provides a wide contact area with the wearer and distributes the weight of the eyeglass structure throughout the contact area. Each mounting support is located in the closest distance to the ridge of the temporal process of zygomatic bone of the wearer. (合議体訳:本発明の一態様は、一対の取付支持部を有し、各取付支持部が対応するテンプル部材に取り付けられた眼鏡構造である。取付支持部のパッドは、着用者との広い接触面積を提供し、眼鏡構造の重量を接触面積全体に分散させる。各取付支持部は、着用者の頬骨の側頭突起の隆起部に最も近い位置に配置される。) (3列14~29行) As shown in FIGS. 1 and 2, there are two zygomatic bones 11 in each human head 10. Each zygomatic bone 11 has a process extending toward the backside of the head along the temple area and is called as the temporal process of the zygomatic bone 12. On the top of the temporal process of the zygomatic bone 12, there is a ridgeline that further extends towards backside of the head through the zygomatic process of the temporal bone 13. This ridge of the temporal process of the zygomatic bone 12 provides a rigid base for the pad 221 of the mounting support 22 of the eyeglass structure 20. Although the ridgeline on the temporal process of the zygomatic bone 12 is an excellent place for the mounting support 22, the ridgeline on the zygomatic process of the temporal bone 13 could be an alternative place for the mounting supports 22 to secure the eyeglass structure 20 to the wearer. (合議体訳:図1および図2に示すように、各人頭10には2つの頬骨11が存在する。各頬骨11は、こめかみ領域に沿って頭部の後方へ延びる突起を有し、頬骨の側頭突起12と呼ばれる。頬骨12の側頭突起の上部には、側頭骨13の頬骨突起を通って頭部の後方へさらに延びる隆線がある。この頬骨12の側頭突起の隆線は、眼鏡構造20の取付支持部22のパッド221に対する剛性のある支持基盤を提供する。頬骨12の側頭突起上の隆線は取付支持部22にとって優れた位置であるが、側頭骨13の頬骨突起上の隆線も、眼鏡構造体20を着用者に固定するための取付支持部22の代替位置となり得る。) (3列30~57行) FIG. 3 is an illustrative view of the eyeglass structure design, a typical embodiment of the present invention. In this design, the eyeglass structure 20 is comprised of a pair of lenses 21, a pair of mounting supports 22, one bridge 23, a pair of eyewire barrels 24, a pair of end pieces 25, a pair of temple members 26, and a pair of temple covers 27. A top perspective view of the eyeglass structure 20 is shown in FIG. 4. A mounting support 22 is attached firmly to the temple member 26 through soldering or welding. The mounting support 22 is comprised of a pad 221, an arm 222, a stem 223, and a screw 224 as shown in FIGS. 5 and 6. The arm 222 of the mounting support 22 is attached to the temple member 26 such that the pad 221 could be rested at the closest distance to the ridge of the temporal process of the zygomatic bone 12 when the eyeglass structure 20 is worn by the wearer. The C-shaped arm 222 of the mounting support 22 can be bended toward any direction whenever necessary to position the pad 221 on the ridge area of the temporal process of the zygomatic bone 12 of the wearer. The arm 222 and temple member 26 should be made of metals that can be easily welded or soldered. The pad 221 can be coupled to the metal stem 223 by pushing the stem 223 into the opening hole of the pad 221. In this case the pad 221 is made of elastic material so the metal stem 223 can be pushed into the smaller opening hole of the elastic pad 221. Injection molding could be an alternative way of coupling the pad 221 with the stem 223 when plastic material is selected for pad 221. (合議体訳:図3は、本発明の典型的な実施形態である眼鏡構造設計の模式図である。この設計において、眼鏡構造体20は、一対のレンズ21、一対の取付支持部22、1つのブリッジ23、一対のアイワイヤーバレル24、一対のエンドピース25、一対のテンプル部材26、および一対のテンプルカバー27から構成される。眼鏡構造体20の上面斜視図を図4に示す。取付支持部22は、はんだ付けまたは溶接によりテンプル部材26に堅固に取り付けられる。取付支持部22は、図5および図6に示すように、パッド221、アーム222、ステム223、およびネジ224から構成される。取付支持部22のアーム222は、眼鏡構造体20を装着者が装着した際に、パッド221が頬骨12の頬骨突起の隆起部に最も近い距離で配置されるようにテンプル部材26に取り付けられる。取付支持部22のC字状アーム222は、必要に応じて任意の方向に曲げることができ、これによりパッド221を装着者の頬骨12の頬骨突起の隆起部に位置させることができる。アーム222およびテンプル部材26は、溶接またははんだ付けが容易な金属で構成されるべきである。パッド221は、金属製ステム223をパッド221の開口穴に押し込むことで結合可能である。この場合、パッド221は弾性材料で作られているため、金属製ステム223を弾性パッド221のより小さな開口穴に押し込むことができる。パッド221にプラスチック材料が選択された場合、パッド221とステム223を結合する代替方法として射出成形が考えられる。)」 4 引用文献10の記載並びに周知技術1及び2の認定 (1) 引用文献10の記載 当審において通知された拒絶の理由で引用された引用文献10は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であるところ、そこには、以下の記載がある。 ア 「【考案の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本考案は、眼鏡に関し、更に詳しくは、使用者の頭部に簡単にフィットさせることができると共に、掛け心地にも優れる眼鏡に関する。 【背景技術】 【0002】 眼鏡は一般に、左右一対のレンズを有するフロント部と、フロント部の両側から後方に延びるテンプル部と、テンプル部に取り付けられるモダン部とから構成される。 かかる眼鏡は、使用者の頭部を両側からモダン部で挟み込み、フロント部に設けられた鼻パッドを鼻に当てると共に、モダン部を耳に掛けることにより着用される。 【0003】 ところで、鼻の高さには個人差があるため、従来の眼鏡を着用した場合、必ずしも鼻パッドが鼻に当たるとはいえない。例えば、使用者の鼻が低い場合には、鼻パッドにより眼鏡が支持されず、眼鏡がずれ易くなるという欠点がある。 また、従来の眼鏡は、長時間着用すると、当てられた鼻パッドの跡が鼻に残るという問題もある。 【0004】 これに対し、鼻パッドを有さない眼鏡が開発されている。 例えば、眼鏡の左右の横部材それぞれの内側面に、滑り止め片を先端部に備えたずり落ち防止部(支持部)を設けた眼鏡つるが知られている(例えば、特許文献1参照)。 また、眼鏡フレーム両側のテンプルの内面に、固定式アーム(支持部)を取り付け、頬骨の上面でフレームを支えるようにしたサイドパッド眼鏡フレームが知られている(例えば、特許文献2参照)。 さらに、ツル又はヨロイからアーム(支持部)を下方へ延ばし、該アーム先端にはパットを取付け、該パットが顔の頬骨に当ってフロント部を支えるようにしたメガネフレームが知られている(例えば、特許文献3参照)。 これらの眼鏡においては、鼻で支持されるのではなく、支持部を頬骨等に当てて支持されるようになっている。 ・・・(略)・・・ 【考案が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、上記特許文献1~3に記載の眼鏡は、使用者によっては支持部のフィット感が必ずしも優れているとはいえない。すなわち、使用者の頬骨の位置、頭部の形状等にも個人差があるため、支持部がこれらにフィットせず、結果として、着用した後、眼鏡がずれ易くなるという欠点がある。 【0007】 本考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、使用者の頭部に簡単にフィットさせることができる眼鏡を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本考案者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、支持部の連結部を、水平外側方向に変形する形状弾性体とすることにより、上記問題点を解決できることを見出し、本考案を完成させるに至った。」 イ 「【図面の簡単な説明】 【0030】 ・・・(略)・・・ 【図3】図3の(a)は、第1実施形態に係る眼鏡のモダン部及び支持部を示す上面図であり、図3の(b)は、その側面図である。 ・・・(略)・・・ 【0032】 (第1実施形態) ・・・(略)・・・ 【0033】 眼鏡100においては、使用者の頭部を両側からサイド部材10で挟み込み、使用者の側顔部に支持部3を当接させることにより着用される。 なお、眼鏡100は、いわゆる鼻パッドを有していないため、使用者の鼻の高さにかかわらず、着用することができる。 したがって、着用しても鼻パッドの跡が鼻に残るという事態が生じることはない。 【0034】 フロント部Fは、左右一対のレンズLと、両レンズLを架橋するブリッジ1と、を有する。 また、フロント部Fの両側には、それぞれ、ヒンジ2を介してサイド部材10が折畳み可能となるように取付けられている。かかるヒンジ2は、公知のものを適宜採用することができる。 【0035】 サイド部材10は、ヒンジ2に取り付けられたテンプル部Tと、各テンプル部Tに取り付けられたモダン部Mとからなる。 なお、第1実施形態に係る眼鏡100においては、上述した支持部3は、モダン部Mに設けられている。 ・・・(略)・・・ 【0041】 ・・・(略)・・・ したがって、眼鏡100を着用することにより、支持部3が水平外側に向かって平行に又は捻じれて変形するため、支持部3は、その復元力に基づく当接圧で、使用者の側顔部に当接されることになる。 その結果、使用者の側顔部の形状に個人差があったとしても、簡単にフィットさせることができると共に、着用した眼鏡100は、より一層ずれ難くなる。 ・・・(略)・・・ 【0047】 図5は、第1実施形態に係る眼鏡を使用者が着用した状態を示す模式上面図である。 図5に示すように、第1実施形態に係る眼鏡100は、使用者の頭部を両側からサイド部材10で挟み込み、使用者の側顔部に支持部3を当接させることにより着用される。 このとき、サイド部材10のモダン部Mは、後部が屈曲しているので、使用者の側頭部の形状に沿わせて簡単にフィットさせることができる。 また、支持部3は、使用者の側顔部の角度に対応するように連結部3aを捻じらせることにより、簡単にフィットさせることができる。 したがって、眼鏡100においては、後ろ側をモダン部M、前側を支持部3で支持することにより、フィット感に優れ、掛け心地にも極めて優れるものとなる。」 ウ 「【図3】 [図:0001433534000007.jpg] ・・・(略)・・・ 【図5】 [図:0001433534000008.jpg] 」 (2) 周知技術1及び2の認定 上記(1)イ~ウ(特に下線部)、【図3】(眼鏡のモダン部の上面図)及び【図5】(眼鏡を使用者が着用した状態を示す上面図)の記載から、以下の各技術事項は、本件優先日当時における周知技術であったと認められる。 「眼鏡のサイド部材におけるモダン部の後部を屈曲させ、使用者の側頭部の形状に沿わせて簡単にフィットさせ、フィット感に優れ、掛け心地にも極めて優れるものとすること。」 (以下「周知技術1」という。) 「モダン部の後部を使用者の左右側頭部の後方まで延在させるとともに上面視で内側に屈曲させて、左のモダンの後部、左のモダン、フロント部、右のモダン、及び右のモダンの後部を順に連接させることにより、使用者の頭部を略環状に覆うようにして使用者が眼鏡を着用すること。」(【図3】及び【図5】) (以下「周知技術2」という。括弧内の図番は認定の根拠とした箇所である。) 5 引用文献11の記載 当審において通知された拒絶の理由で引用された引用文献11は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには、以下の記載がある。 (1) 「(2ページ20行~4ページ1行) 左右のレンズが嵌込まれ、かつ鼻元支持部を有するレンズフレームの両端に、耳掛部を屈曲形成したテンプルを取付けた構造のメガネにあつては、その装用時の主な重量負担箇所は鼻元部と左右の耳部であるが、この種のメガネはレンズフレームが他の部分より重く重心が前方にあるので、重量負担の大部分が鼻元部にかかる傾向がある。 ところが、人の鼻元部は感覚が鋭敏な箇所でもあるから、鼻元部における重量負担が大きいと、強い圧迫感をいだき、不快感が著しい許りでなく、メガネの重量が前方に片寄つてかかることから、装用状態が不安定となりがちで、殊に顔面に汗をかく夏期、あるいは運動中等にあつてはメガネが所定位電からずり落ちることかしばしばである。 本考案は、上記の如き実情に鑑み、テンプルを舌状接触体を介して頭側面の頬骨弓ないしその周辺位置に係止せしめることにより、重量負担箇所を分散させて鼻元部にかかる重量負担の軽減を図り、圧迫感や不快感がなく快適に使用できる許りでなく、装用状態の安定化を図り、たとえ発汗時にあつてもすり落ちを生ずることがないメガネを提供しようとするものである。」 (2) 「(4ページ2~18行) 本考案の構成を図面に示された実施例について説明すれば、第1図ないし第3図において、1はレンズフレームであり、該レンズフレーム1には左右のレンズ2,2が嵌込まれており、その裏面側中央部には鼻元支持部3が形成されている。4,4は鼻元当パツトである。5,5は左右のテンプルであつて、該テンプル5,5には耳掛部6,6が屈曲形成されている。テンプル5,5の先端は前記レンズフレーム1の両端に枢着されていて、レンズフレーム1に対してテンプル5,5は折たたみ自在となつている。7,7は舌状接触体であつて、該舌状接触体7,7は、テンプル5,5に下方へ突出するように装用されている。その装着位置は、メカネを装着した状態で舌状接触体7,7が頭側面の頬骨弓8,8ないしその周辺位置に当り、舌状接触体7,7には頬骨弓8,8に係止する形状の屈曲段差9,9が形成されている。 ・・・(略)・・・ (6ページ20行~7ページ11行) 叙上の如く構成されたメガネを装用すると、レンズフレーム1は鼻元支持部3により鼻元部に支持され、かつ左右のテンプル5,5によって耳部に支持される。そして、テンプル5,5に装着されている舌状接触体7,7はその屈曲段差9,9により頭側面の頬骨弓8,8ないしはその周辺位置に係止される。このため、メガネの重量負担箇所は、左右の舌状接触体7,7で頭側面にも分散されると共に、レンズフレーム1が確実に支持されることになり、鼻元部への重量負担が著しく軽減され、鼻元部への圧迫感がなく、それによる不快感をもたらすことかなくなる。」 (3) 「 [図:0001433534000009.jpg] 」 6 引用文献9~11に基づく周知技術3の認定 上記3の「取付支持部22のアーム222は、眼鏡構造体20を装着者が装着した際に、パッド221が頬骨12の頬骨突起の隆起部に最も近い距離で配置されるようにテンプル部材26に取り付けられる。取付支持部22のC字状アーム222は、必要に応じて任意の方向に曲げることができ、これによりパッド221を装着者の頬骨12の頬骨突起の隆起部に位置させることができる。」という記載、上記4の「眼鏡100を着用することにより、支持部3が水平外側に向かって平行に又は捻じれて変形するため、支持部3は、その復元力に基づく当接圧で、使用者の側顔部に当接される」及び「その結果、使用者の側顔部の形状に個人差があったとしても、簡単にフィットさせることができると共に、着用した眼鏡100は、より一層ずれ難くなる」という記載、上記5の「装用状態の安定化を図り、たとえ発汗時にあつてもすり落ちを生ずることがないメガネを提供しようとする」、及び「レンズフレーム1は鼻元支持部3により鼻元部に支持され、かつ左右のテンプル5,5によって耳部に支持される。そして、テンプル5,5に装着されている舌状接触体7,7はその屈曲段差9,9により頭側面の頬骨弓8,8ないしはその周辺位置に係止される。このため、メガネの重量負担箇所は、左右の舌状接触体7,7で頭側面にも分散されると共に、レンズフレーム1が確実に支持されることになり、鼻元部への重量負担が著しく軽減され、鼻元部への圧迫感がなく、それによる不快感をもたらすことかなくなる。」という記載によれば、以下の技術事項が、本件優先日前の周知技術であったと認められる。 「眼鏡の分野において、眼鏡装着時に鼻への不快感や重量負担を軽減したり、眼鏡がずり落ちたりすることを防止するために、顔の頬の部分に当接するパッドを設けること。」 (以下「周知技術3」という。) 第5 当合議体の判断 1 対比 本願発明と引用発明を対比する。 (1) ヘッドマウントディスプレイ 「頭部搭載型ディスプレイ100」は、「眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この頭部搭載型ディスプレイ100を装着した観察者又は使用者に対して虚像による画像光(映像光)を視認させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで視認又は観察させることができる。」 したがって、引用発明の「頭部搭載型ディスプレイ100」は、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイ」に相当する。 また、引用発明の「インナーフレーム60」は、「頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分」を含む「枠部102等に対して着脱可能である。」そうすると、引用発明の「インナーフレーム60」は、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイ用フレーム」に相当する。 (2) ヘッドマウントディスプレイ用フレーム 上記(1)に示したとおり、引用発明の「頭部搭載型ディスプレイ100」は、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイ」に相当するところ、引用発明の「インナーフレーム60」は、「頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分」を含む「枠部等102に対して着脱可能である。」 そうすると、引用発明の「インナーフレーム60」は、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイ用フレーム」に相当する。 (3) ヘッドマウントディスプレイの主要部であるディスプレイ部に着脱可能に装着される装着部 ア ディスプレイ部 引用発明の「枠部102」(又は「装置本体部分」)は、「両導光装置20a,20bを支持」し、「第1及び第2像形成本体部105a,105b」が「付加」された部分であることから、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイの主要部であるディスプレイ部」と相当するといえる。 イ 装着部 引用発明の「差込部61」は、「頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分への取付けのため」のものであるから、本願発明の「装着部」に相当する。また、引用発明の当該「差込部61」は、「枠部102に設けられた固定部FPに対応するように設けられ」るから、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイの主要部であるディスプレイ部に」「装着される」という要件を満たす。さらに、引用発明の「差込部61」は、「インナーフレーム60」が、「枠部102等に対して着脱可能である」ように設けられるから、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイの主要部であるディスプレイ部に着脱可能に装着される」という要件を満たす。 そして、上記アの対比結果も踏まえると、引用発明の「差込部61」は、本願発明において「ヘッドマウントディスプレイの主要部であるディスプレイ部に着脱可能に装着される」とされる「装着部」に相当する。 (4) フレーム本体 ア 引用発明の「インナーフレーム60」から「差込部61」を除いた部分が、本願発明の「フレーム本体」に相当する。また、引用発明の「インナーフレーム60」の上記部分は、「一対の枠体部分PA,PB」「を繋ぐ連結部CCにおいて頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分に対向する側に向かって延びている」「差込部61」を有するから、本願発明の「装着部に連接された」「フレーム本体」という要件を満たす。 また、上記「インナーフレーム60」が、少なからず可撓性を有するように設計されていることは、「一対のテンプルTA,TBは、側頭部に支持され」るという「頭部搭載型ディスプレイ100」の装着態様からみて明らかであるから、結局、引用発明の「インナーフレーム60」は、本願発明の「装着部に連接された可撓性のフレーム本体」に相当する。 イ 左中間部及び右中間部 引用発明の「一対のテンプルTA,TB」は、いずれか一方が「頭部搭載型ディスプレイ100」の装着時に観察者(本願発明の「装着者」に相当)の頭部の左側に位置し、他方が頭部の右側に位置することになる。そして、引用発明の「一対のテンプルTA,TBは、側頭部に支持され」るから、当該「一対のテンプルTA,TB」が、本願発明の「左中間部及び右中間部」に相当し、「前記ヘッドマウントディスプレイが使用者の頭部に装着された際に前記装着した使用者である装着者の頭部のうち該装着者の左右側頭部にそれぞれ当接する」という要件を満たす。 そうしてみると、引用発明の「一対のテンプルTA及び「テンプルTB」は、本願発明の「左中間部及び右中間部」に相当する。 ウ 前側部 (ア)当接の解釈について 引用発明の「差込部61」は、「一対の枠体部分PA,PBを繋ぐ連結部CCにおいて頭部搭載型ディスプレイ100の装置本体部分に対向する側に向かって延びている。」 ここで、さらなる対比に先立ち、本願発明の「前側部」が「装着者の眼前部に当接し」と特定されていることから、当該「当接」という用語の意味について検討する。 本願発明の「フレーム本体」を構成する各部位を特定する「当接」のうち、[A]左右中間部と装着者の左右側頭部との「当接」、[B]左右後側部と装着者の眼前と対向する側との「当接」が、文字通り、両者が直接当たって接することを意味していることは、本願明細書の【0026】の記載、「フレーム1A」の形状(【図4】)及び「ヘッドマウントディスプレイを頭部に使用者の頭部に装着した状態」(【図5】)の記載から明らかというべきである。他方、前側部と装着者の眼前部との「当接」については、そのように解すべき根拠が見いだせず、むしろ同【図5】の記載によれば、両者が対向して配置されている程度の意味と理解するのが相当である。 そうしてみると、引用発明の「一対の枠体部分PA,PB」及び「連結部CC」は、本願発明の「ヘッドマウントディスプレイが使用者の頭部に装着された際に」「装着者の頭部のうち該装着者の眼前側に当接」する(フレーム本体の)「前側部」に相当する。 そして、上記「当接」の解釈は、令和7年9月30日付けで当審から通知した審尋に対し、令和7年10月22日に審判請求人が提出した回答書における「『前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前側に当接し』の表現は、・・・(略)・・・、『前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前側に(接触もしくは)対向し』ていることを意味すると解釈すべきである」という回答内容とも整合する。 (イ)前記左中間部の一方端及び前記右中間部の一方端にそれぞれ連接する 引用発明の「一対の枠体部分PA,PB」及び「連結部CC」は、その「左右両端から後方に」「一対のテンプルTA,TB」が「延び」ているから、本願発明の「前記左中間部の一方端及び前記右中間部の一方端にそれぞれ連接する」という要件を満たす。 エ 上記ア~ウを総合すると、本願発明の「フレーム本体」と引用発明1の「インナーフレーム60」は、「前記ヘッドマウントディスプレイが使用者の頭部に装着された際に前記装着した使用者である装着者の頭部のうち該装着者の左右側頭部にそれぞれ当接する左中間部及び右中間部と、前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前側に当接し前記左中間部の一方端及び前記右中間部の一方端にそれぞれ連接する前側部と」「を備える、フレーム本体」という点で一致する。 2 一致点及び相違点 上記1(1)~(4)の対比結果によれば、本願発明と引用発明とは、以下の(1)の点で一致し、(2)の点で相違する。 (1) 一致点 「 ヘッドマウントディスプレイの主要部であるディスプレイ部に着脱可能に装着される装着部と、 前記装着部に連接された可撓性のフレーム本体であって、前記ヘッドマウントディスプレイが使用者の頭部に装着された際に前記装着した使用者である装着者の頭部のうち該装着者の左右側頭部にそれぞれ当接する左中間部及び右中間部と、前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前側に当接し前記左中間部の一方端及び前記右中間部の一方端にそれぞれ連接する前側部とを備える、フレーム本体と、 を備えた、 ヘッドマウントディスプレイ用フレーム。」 (2) 相違点 ア 相違点1 フレーム本体について、本願発明は、「装着者の頭部のうち該装着者の眼前と対向する側に当接し前記左中間部の他方端に連接する左後側部と、前記装着者の頭部のうち該装着者の眼前と対向する側に当接し前記右中間部の他方端に連接する右後側部とを備え」、「前記フレーム本体が前記左後側部、前記左中間部、前記前側部、前記右中間部、前記右後側部の順で連接されて前記フレーム本体が前記装着者の頭部を略環状に覆いつつ前記左後側部のうち前記左中間部の他方端と連接する側と対向する突端と前記右後側部のうち前記右中間部の他方端と連接する側と対向する突端とが前記前側部の長さの略三分の一の長さ離隔してなる形状を備えた」と特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。 イ 相違点2 本願発明は、「前記フレーム本体のうち前記左中間部から突設された左パッド及び前記フレーム本体のうち前記右中間部から突設された右パッドからなる一対のパッドであって前記ヘッドマウントディスプレイが使用者の頭部に装着された際に前記装着した使用者である装着者の頬に当接することによって前記ディスプレイ部を保持することの可能なパッド」を備えるのに対し、引用発明は、そのような一対のパッドを有していない点。 3 判断 上記相違点について検討する。 (1) 相違点1 ア 本願発明の「フレーム本体」に係る構成の技術的意義について 判断に先立ち、相違点1に係る構成の技術的意義について整理する。 相違点1に係る構成は、主としてフレーム本体の形状を特定するものであるところ、フレーム本体について、本件出願に係る明細書及び図面(以下「本願明細書等」という。)には、「フレーム1は、フレーム本体1Aが使用者の側頭部に当接し、且つ一対のパッド1R、1Lが使用者の頬に当接することによって、使用者の頭部に装着されたディスプレイ部10を確実に保持するように構成されている。」(【0026】)と記載されているにとどまり、一対のパッド部以外には、フレーム本体のどの部分がどのような役割を果たすかについての記載はない。 そうすると、本願発明の「フレーム本体」における「左後側部」、「左中間部」、「前側部」、「右中間部」及び「右後側部」とは、フレーム本体のうち、装着者の「左右側頭部」、「眼前部」及び「眼前と対向する側」に当接する部分が、単に(左右)「中間部」、「前側部」及び(左右)「後側部」と特定される部分に該当し、「前側部」と(左右)「中間部」の境界及び(左右)「中間部」と(左右)「後側部」との境界が「一方端」及び「他方端」に該当するのであって、本願発明において「フレーム本体」がこれらの5つの部分からなり、それらが「一方端」又は「他方端」で連接する構成に特段の技術的意義は認められない。 加えて、(左右)後側部の「突端」の離隔する長さを「前側部の長さの略三分の一の長さ」と特定した点について、特段の技術的意義が認められないことは、本願明細書等の開示内容からみて明らかである。 以上を前提に、相違点1に係る構成の想到容易性について判断する。 イ 眼鏡を使用者の頭部にフィットさせる手段に関する周知技術 上記第4の4(2)で認定したとおり、眼鏡のサイド部材におけるモダン部の後部を屈曲させ、使用者の側頭部の形状に沿わせて簡単にフィットさせ、フィット感に優れ、掛け心地にも極めて優れるものとするとの技術事項、及びモダン部の後部を使用者の左右側頭部の後方まで延在させ、左のモダンの後部、左のモダン、フロント部、右のモダン、及び右のモダンの後部を順に連接させることにより、使用者の頭部を略環状に覆うようにして使用者が眼鏡を着用するとの技術事項は、いずれも本件出願時における周知技術(周知技術1及び2)である。(他に、同様のフレーム本体形状を開示する文献として、必要であれば、特開平7-333547号公報(【0007】、【0015】、【0018】、【0021】~【0022】、【図13】及びその関連箇所等)を参照。) ウ 相違点1に係る本願発明の構成の容易想到性の判断 引用発明の「インナーフレーム60」が「頭部搭載型ディスプレイ100」を装着するためのフレームである以上、フィット感や掛け心地を向上させ、簡単且つ容易な操作によって、常に正しく装着できるようにすることは、引用発明に内在している自明の課題と認められる。 したがって、引用発明において、フィット感や掛け心地を向上させ、簡単且つ容易な操作によって、常に正しく装着できるようにすることに関心を有する当業者が、周知技術1及び2を採用して、「一対のテンプルTA,TB」の後部を後方まで延在させるとともに上面視で内側に屈曲させて、装着者の頭部のうち装着者の眼前と対向する側に当接する部分とし、本願発明の(左右)「後側部」を設けることは容易に想到し得たことである。そして、上記アで述べたとおり、(左右)「後側部」の突端を離隔する長さを「前側部の長さの略三分の一の長さ」に設定した点に特段の技術的意義が認められないのであるから、当業者が「一対のテンプルTA,TB」の後部を後方まで延在させる際に、左右先端部(本願発明の「突端」)の離隔する長さを、「前側部の長さの略三分の一の長さ」に設計することは、適宜なし得る設計的事項である。 (2) 相違点2 ア 眼鏡の分野において、眼鏡装着時に鼻への不快感や重量負担を軽減したり、メガネがずり落ちたりすることを防止するために、顔の頬の部分に当接するパッドを設けることは、上記第4の6で認定したとおり、本件出願前の周知技術(周知技術3)である。 イ 引用発明に係る「頭部搭載型ディスプレイ100」は、眼鏡型形状を有しているから、装着時におけるノーズパッド40部分での鼻への不快感や重量負担、ずれ落ち等の課題を有しているものと認められる。また、このことは、頭部搭載型ディスプレイ100が、眼鏡型形状のフレーム(インナーフレーム60)に加えて、導光装置20、像形成本体部105等を備えるものであり、通常の眼鏡と比べて重量が大きいことや、引用文献13の「HMDを構成する頭部搭載型ディスプレイは、眼前において映像を見せるものであるため、表示部全体の装置位置が前方に偏っており、位置調整が必要となることが多い。」との記載(【0003】)からも推認できることである。 ウ そうすると、引用発明において、装着時における鼻への不快感や重量負担、ずれ落ちを防止するために、周知技術3(上記第4の6参照。)を適用し、引用発明の「ノーズパッド40」に加えて、あるいは「ノーズパッド40」に代えて、周知技術3を採用する動機はあるといえる。そして、引用発明において、周知技術3を採用すれば、パッドが使用者の頬に当接し、それによりディスプレイ部が保持されることは明らかである。 エ したがって、引用発明において、周知技術3を適用し、相違点2に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである (3) 本願発明の効果 本願発明は、「前記左後側部のうち前記左中間部の他方端と連接する側と対向する突端と前記右後側部のうち前記右中間部の他方端と連接する側と対向する突端とが前記前側部の長さの略三分の一の長さ離隔してなる形状を備え」るものであるが、上記(1)アで述べたとおり、(左右)後側部の「突端」の離隔する長さを「前側部の長さの略三分の一の長さ」と特定した点に、特段の技術的意義(有利な効果)は認められない。 仮に有利な効果を認めるとすれば、本願明細書の段落【0026】に記載された、「フレーム1」が、「使用者の頭部に装着されたディスプレイ部10を確実に保持するように構成され」ることであるが、そのような効果は、上記第4の4(2)及び6で述べた周知技術1~3からみて、当業者が予測可能な範囲のものであって、格別顕著なものではない。 第6 むすび 本願発明は、引用文献13に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-006093

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