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特許拒絶査定不服審判

2024-005196

耐火無線周波数ケーブル

審判番号
2024-005196
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-004933
請求日
2024年03月27日
審決日
2026年03月17日
公報発行日
2026年08月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ノキア シャンハイ ベル カンパニー リミテッド
  • 【請求人代理人】岡部 讓
  • 【請求人代理人】三村 治彦
  • 【請求人代理人】岡部 洋
審判長/審判官
  • 審判長 吉田 美彦
  • 審判官 西村 直史
  • 審判官 山崎 慎一
分類
P18 .537-WZ (H01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2022- 4933「耐火無線周波数ケーブル」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 3月15日出願公開、特開2022- 43350〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)9月7日(パリ条約による優先権主張2017年9月8日(以下、「優先日」という。)、米国)を国際出願日とした出願である特願2020-513749号の一部を令和4年1月17日に新たな特許出願としたものであって、令和5年2月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月21日に意見書とともに手続補正書が提出されたところ、同年11月22日付けで拒絶査定(謄本送達日同年11月28日)がなされ、これに対して令和6年3月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたが、同手続補正は、令和7年3月6日付けで補正の却下の決定により却下されると同時に当審により拒絶の理由が通知され、同年9月11日に意見書(以下、「意見書1」という。)とともに手続補正書が提出され、同年10月16日付けで当審により拒絶の理由が通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)され、令和8年1月21日に意見書(以下、「意見書2」という。)とともに手続補正書が提出されたものである。 第2 本件補正について 令和8年1月21日付け手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の請求項1に記載された、 「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され、少なくとも1層のテープを含むテープ層であって、前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層はガラス織物またはマイカテープで形成されるテープ層」 との記載を、 「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され、少なくとも1層のテープを含むテープ層であって、前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層は、難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板またはガラス織物テープ」 との記載に変更する補正事項を含む。 上記補正事項は、本願明細書段落【0009】及び【0025】において、 「【0009】 我々は、本開示の原理によると、同軸ケーブルが上記要件を満たして機能的であり続けることができないという問題が、同軸ケーブルアセンブリを大気から封止して外部導体及び内部導体を火災における酸化から保護する外部保護構造体又はバリアを含む新規な同軸ケーブルによって、克服され得ることを認識した。開示の例示的実施形態では、そのような外部保護バリアは、以下のうちの1つ以上などの難燃性テープから構成され得る:a)難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板、例えば、マイカテープ、b)ステンレススチール、例えば、304、316、若しくはスチールテープ、例えば、A606、c)銅テープ、例えば、110、それは外部導体に使用されるのと同じ合金であり得る、d)ステンレススチールテープ付きの銅クラッド、又はe)ガラス織物テープ。有利なことに、金属テープ層及び(含まれるのであれば)難燃層は、外部/内部銅導体の酸化及び結果として生じる劣化、例えば、それらの酸化第二銅への転化を防止するように、空気の侵入からケーブルを封止するように機能する一方で、火災中、及び例えば回路整合性のUL2196試験の終了時に発明のケーブルが水噴射を受けた場合に、ケーブルの構造を補強するようにも機能する。 …(中略)… 【0025】 開示の原理によると、同軸ケーブルを大気から封止して火災中に外部及び内部導体を酸化から保護するように機能する外部構造又はバリアを含む新規な同軸ケーブルが提案される。開示の例示的実施形態では、そのような外部保護バリアは、以下のうちの1以上を備える難燃性テープを含み得る:a)難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板、例えば、マイカテープ、b)ステンレススチール、例えば、304、316、又はスチールテープ、例えば、A606、c)銅テープ、例えば、110、それは外部導体に使用されるのと同じ合金であり得る、d)ステンレススチールテープ付きの銅クラッド、又はe)ガラス織物テープ。有利なことに、金属テープ層及び(含まれるのであれば)難燃性テープ層は、外部/内部銅導体の酸化及び結果として生じる劣化を防止するように(すなわち、それらの酸化第二銅への転化を防止又は最小化するように)空気の侵入からケーブルを封止するように機能する一方で、火災中、及び/又は例えばUL2196試験の終了時に発明のケーブルが水噴射を受けた場合に、ケーブルの構造を補強するようにも機能する。」(下線は当審で付加。以下同様。) と記載されていることから、願書に最初に添付された特許請求の範囲、発明の詳細な説明又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとまではいえないので、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。 第3 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。(「A」~「G」の記号は、各構成要件を識別するために当審で付加したものであり、それぞれ、「構成要件A」~「構成要件G」などという。) 「 A 同軸ケーブルであって、 B 内部導体と、 C 前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体であって、銅クラッド 層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され、前記銅クラッ ド層が前記内部導体と対向するように配置された外部導体と、 D 前記内部導体から実質的に分離した前記外部導体を保持するように前記 内部導体の少なくとも一部分の周囲に配置された誘電体セパレータと、 E 前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され、少なくとも1層の テープを含むテープ層であって、前記テープ層の前記ステンレススチール 層に近接する層は、難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物 基板またはガラス織物テープを備え、 F 前記テープ層は、火災の場合に前記ケーブルへの空気の侵入を防止する 、 G 同軸ケーブル。 」 第4 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。 理由1 (実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 理由2 (サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 第5 当審の判断 当審拒絶理由通知における理由2(サポート要件)について判断する。 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。(平成17年(行ケ)第10042号) 以下、上記の観点に立って、本件について検討する。 1 本願明細書の発明の詳細な説明に記載された事項 本願明細書の発明の詳細な説明及び図面には、次の記載が認められる。 (1)「【0002】 同軸ケーブルは、電気信号を伝送するのに使用される。同軸ケーブルは、螺旋状に巻かれた誘電絶縁材料(以下、単に「誘電体」という)又は他の適切な押出し形態の誘電体にカプセル化された中心(又は内部)導体から構成される。誘電体は、環状又は螺旋状に波形が付けられた外部導体で被覆される。誘電体は内部導体と外部導体の間の間隔(ギャップ)を保持するのに使用され、この間隔は同軸ケーブルについて規定された特性インピーダンスを得るのに必要となる。(それ自体がスペーサとして作用する)誘電体の存在にもかかわらず、空気が内部導体と外部導体の間のセパレータとなることが望ましいことから、ギャップは「エアギャップ」といわれることもある。アセンブリ全体は、外部保護ジャケット内にカプセル化され得る。 …(中略)… 【0004】 しかし、従来から使用されている誘電体は、約300°Fで溶融し始めるので、火災中に曝される過熱条件(例えば、約1850°Fの温度)に耐えることができない。誘電体が溶融すると、内部導体及び外部導体を分離させておくというその目的を果たすことができない。その結果、内部導体は、外部導体と短絡することになる。これが起こると、同軸ケーブルは、通信には使用可能ではなくなる。 …(中略)… 【0006】 一般に、防火基準法を満たすためには、非常に高い温度での2時間の燃焼試験(UL(Underwriters Laboratories)2196)、水ホースブラスト試験及びその後の機能試験を合格する必要がある。現在のところ、工業界においてそれらの基準を満たす既存のRF同軸ケーブルはなく、それは、そのようなRF同軸ケーブルは、UL2196によって認定されるために2時間にわたって極めて高い温度に耐えることができないためである。逆に、既存のケーブルは、燃焼又は変形してしまい、上述のように、それらの内部導体が外部導体との短絡を形成してしまう。また、銅の導体を用いる既存のケーブルは、酸化しやすく、それによって銅を空気と反応させ、導体を非常にもろくさせる酸化第二銅を形成する。結果として、導体は容易に破損し、事実上、導体は動作不能な電気的開回路となってしまう。」 (2)「【0027】 図2は、開示の実施形態による例示的な発明のケーブル10を示す。発明のケーブル10は模式図(a)、説明図(b)及び説明図(b)の切取り図(c)において示され、この3図の組合せはケーブル10の発明の態様を示す。図示するように、外部バリアは、ステンレススチールテープ16(例えば、タイプ304、316)の両面に、12及び14で示す2層の難燃性テープ(例えば、マイカ系テープ)を含み得る。内部導体18及び外部導体20も、内部導体18と外部導体20の間のギャップに配置された誘電体22とともに示される。図(c)が、誘電体22の位置を最も良く示している。誘電体22は、難燃性テープ25内にカプセル化されたセラミックビーズ23を備え得る。誘電体22は、中心導体18を外部導体20に対して適所に保持するように機能する。他の形態のセラミックビーズ、例えば、Al2O3が使用可能であることが理解されるべきである。 【0028】 バリアは、難燃性テープ層12を囲むように構成された難燃性ジャケット材24をさらに含み得る。実施形態では、ステンレススチールテープ層16は、純銅導体の融点(1083℃、1981°F)よりも大幅に高い1400~1455℃(2550~2651°F)の融点を有する材料を備え得る。なお、UL2196試験温度は1010℃(1850°F)であるので、外部銅導体20の融点に非常に近い。 【0029】 実施形態では、ステンレススチールテープ16は、熱及び空気への直接の曝露から外部導体20を遮蔽するように機能し、ケーブル10の構造的整合性を大幅に補強する。 【0030】 外部銅導体20とステンレススチールテープ16の間の難燃性テープ14は、外部導体20を温度限界において大気から封止して酸化第二銅の形成を防止するように機能する。難燃性テープ12は、ステンレススチールテープ16の鋭い縁部からジャケット材24を保護するとともにステンレススチールテープ16を遮蔽するようにも機能する。 【0031】 まとめると、難燃性テープ12及び14と難燃性ジャケット24の組合せは、ケーブル10を補強し、銅導体18、20を酸化及び劣化から保護するように機能する。」 (3)「【0032】 ここで図3を参照すると、開示の実施形態による他の例示のケーブル30が示される。ケーブル30は、スチールテープ36(例えば、A606合金)を挟んで2層の難燃性テープ32、34(例えば、マイカ系テープ、セラミックテープ(Al2O3及びSiO3)、シリカテープ(SiO3)、又は(Al2O3及びSiO3を備える)メッシュ編みなど)を備える。ケーブル30はさらに、外部難燃性テープ32を囲むように構成された難燃性ジャケット材38(例えば、難燃性可塑性エストラマ)をさらに備える。図2の構成と同様に、難燃性テープ32及び34、スチールテープ36及び難燃性ジャケット38の組合せは、銅導体40、42を劣化及び酸化から保護するように機能する。中心導体40は、導体40を螺旋状に囲む誘電体44によって適所に保持され、例えば、セラミックロープを備え得る。ただし、他の形態のセラミックが使用され得ることが理解されるべきである。 【0033】 開示の実施形態では、実質的に純銅製のテープがスチール又はステンレススチールテープの代わりに使用され得る。そのような実施形態では、銅の融点はスチールテープのいずれよりも低いため、銅テープは温度限界の火災に曝された場合にそれ自体に結合し始めることになる。そのような自己結合は、密封された銅チューブを外部導体42の周囲に作るように機能する。内部導体40に対して遠位の外部難燃性テープ32は、銅テープとの結合を形成して酸化第二銅の形成を遅らせるように機能する。 【0034】 実施形態では、銅テープ36と外部導体42の間に設けられた内部難燃性テープ34は、両銅層を結合し、内部導体40及び外部導体42の酸化を防止する密封状態を形成するように機能する。 【0035】 追加の実施形態では、難燃性熱可塑性ジャケット38(例えば、エストラマ)も、高温に耐える発明のケーブルの能力をさらに高め、追加の構造的剛性を与えるように機能する。開示の実施形態では、追加の難燃性テープ(不図示)が含まれてもよく、任意の金属テープの鋭い縁部からジャケット38を保護し、テープの遮蔽を補助するように機能し得る。 【0036】 開示の種々の実施形態では、ケーブル30は、ケーブル30の内部コアに対する昇温速度を低下させるようにテープ42、44の外部保護層によって適所に保持され得る、外部導体42上に設けられた断熱層46をさらに備え得る。そのような断熱層は、極端な温度上昇時にケーブルの性能を高める。ある実施形態では、断熱層46は、膨張性難燃性塗料、又は外部導体42上に配置された膨張性難燃性化合物の別個のジャケットを備え得る。 【0037】 他の実施形態によると、ケーブル30は内部導体40を外部導体42から分離するように機能する誘電体44を含んでいてもよく、誘電体は、例えば、埋め込みセラミックを備え得る。」 (4)「【0046】 図7は、開示の原理によって構成された他の例示的実施形態の同軸ケーブル70を示す。図7の実施形態では、ケーブル70は、外部銅導体並びに2層の難燃性テープ及び金属テープ(例えば、ステンレススチール)を含むのではなく、銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72を含む。テープ72は、例えば、火災によって生成される熱を反射及び阻止するように機能する。テープ72は、銅クラッド72aが内部導体74に近接する(対向する)一方でステンレススチールテープ72bが外部バリア(不図示)に近接する(対向する)ように内部導体74の周囲に環状に構成され得る。ケーブル70は、ここでいずれかに記載した誘電体78も備え得る。一実施形態では、誘電体78は、99.9%Quartzelシリカ(SiO3)又は3M Nextel440セラミック(Al2O3及びSiO3)ロープを備え得る。」 (5)「図2 [図:0001437706000001.jpg] 」 (6)「図3 [図:0001437706000002.jpg] 」 (7)「図7 [図:0001437706000003.jpg] 」 2 本願発明の解決しようとする課題について 上記1(1)の記載によれば、本願発明の解決しようとする課題は、電気信号を伝送するのに使用される同軸ケーブルにおいて(【0002】)、従来、同軸ケーブルに使用されている誘電体は、約300°Fで溶融し始めるので、火災中に曝される過熱条件に耐えることができず、誘電体が溶融すると、内部導体及び外部導体が短絡し、同軸ケーブルが、通信に使用できなくなり(【0004】)、防火基準法を満たすために、非常に高い温度での2時間の燃焼試験、水ホースブラスト試験及びその後の機能試験を合格する必要があったところ、従来のケーブルは、火災に曝されて燃焼又は変形してしまい内部導体が外部導体との短絡を形成してしまうとともに、銅の導体を用いる場合には、導体を非常にもろくさせる酸化第二銅を形成してしまい、導体は容易に破損し、動作不能な電気的開回路となってしまう(【0006】)点にあるものと認められる。 3 発明の詳細な説明に記載された実施形態について 上記1の記載によれば、本願明細書の発明の詳細な説明及び図面には、主に次の(1)~(3)に示す3つの実施形態が記載されているといえる。 (1)図2に開示された実施形態1について 上記1(2)及び(5)(図2)の特に下線部によれば、本願明細書等には、次の実施形態(以下、「実施形態1」という。)が記載されているといえる。 「ステンレススチールテープ16(例えば、タイプ304、316)の両面に、12及び14で示す2層の難燃性テープ(例えば、マイカ系テープ)を含む外部バリアと、 内部導体18及び外部導体20と、 内部導体18と外部導体20の間のギャップに配置された誘電体22を有し、 誘電体22は、中心導体18を外部導体20に対して適所に保持するように機能するケーブル10であって(【0027】、図2)、 熱及び空気への直接の曝露から外部導体20を遮蔽するように機能するステンレススチールテープ16を有し(【0029】)、 外部銅導体20とステンレススチールテープ16の間の難燃性テープ14は、外部導体20を温度限界において大気から封止して酸化第二銅の形成を防止するように機能し(【0030】)、 難燃性テープ12及び14と難燃性ジャケット24の組合せは、ケーブル10を補強し、銅導体18、20を酸化及び劣化から保護するように機能する(【0031】)、 ケーブル10。」 (2)図3に開示された実施形態2について 上記1(3)及び(6)(図3)の特に下線部によれば、本願明細書等には、次の実施形態(以下、「実施形態2」という。)が記載されているといえる。 「スチールテープ36(例えば、A606合金)を挟んで2層の難燃性テープ32、34(例えば、マイカ系テープ、セラミックテープ(Al2O3及びSiO3)、シリカテープ(SiO3)、又は(Al2O3及びSiO3を備える)メッシュ編みなど)を備えるケーブル30であって、実施形態1と同様に、難燃性テープ32及び34、スチールテープ36及び難燃性ジャケット38の組合せは、銅導体40、42を劣化及び酸化から保護するように機能し、中心導体40は、導体40を螺旋状に囲む誘電体44によって適所に保持され(【0032】、図3)、 純銅製のテープがスチール又はステンレススチールテープの代わりに使用することができ、そのような実施形態では、銅の融点はスチールテープのいずれよりも低いため、銅テープは温度限界の火災に曝された場合にそれ自体に結合し始めることになり、そのような自己結合は、密封された銅チューブを外部導体42の周囲に作るように機能し、内部導体40に対して遠位の外部難燃性テープ32は、銅テープとの結合を形成して酸化第二銅の形成を遅らせるように機能し(【0033】)、 銅テープ36と外部導体42の間に設けられた内部難燃性テープ34は、両銅層を結合し、内部導体40及び外部導体42の酸化を防止する密封状態を形成するように機能し(【0034】)、 追加の難燃性テープ(不図示)が含まれてもよく、任意の金属テープの鋭い縁部からジャケット38を保護し、テープの遮蔽を補助するように機能し(【0035】)、 外部導体42上に設けられた断熱層46をさらに備えてもよく、断熱層46は、膨張性難燃性塗料、又は外部導体42上に配置された膨張性難燃性化合物の別個のジャケットを備え得る(【0036】) ケーブル30。」 (3)図7に開示された実施形態3について 上記1(4)及び(7)(図7)の特に下線部によれば、本願明細書等には、次の実施形態(以下、「実施形態3」という。)が記載されているといえる。 「外部銅導体並びに2層の難燃性テープ及び金属テープ(例えば、ステンレススチール)を含むのではなく、銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72を含むケーブル70であって、 テープ72は、火災によって生成される熱を反射及び阻止するように機能し、テープ72は、銅クラッド72aが内部導体74に近接する(対向する)一方でステンレススチールテープ72bが外部バリア(不図示)に近接する(対向する)ように内部導体74の周囲に環状に構成され、ここでいずれかに記載した誘電体78も備える ケーブル70。」 4 特許請求の範囲に記載された事項と発明の詳細な説明の記載との対比 上記第3に記載された本願発明と、上記3(1)~(3)における実施形態1~3とを対比する。 (1)構成要件A及びGについて 構成要件A及びGにおける、「同軸ケーブル」は、実施形態1においては「ケーブル10」、実施形態2においては「ケーブル30」、実施形態3においては「ケーブル70」にそれぞれ対応するものといえるから、構成要件A及びGは、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 (2)構成要件Bについて 構成要件Bにおける、「内部導体」は、実施形態1においては「内部導体18」、実施形態2においては「内部導体40」、実施形態3においては「内部導体74」にそれぞれ対応するものといえるから、構成要件Bは、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 (3)構成要件Cについて 実施形態1を表す図2を参照すると、「外部導体20」又は「外部銅導体20」が「内部導体18」の周囲に環状に配置されている様子を読み取ることができる。 また、実施形態2における「外部導体42」についても、実施形態2を表す図3を参照すると、「外部導体42」が「内部導体40」の周囲に環状に配置されている様子を読み取ることができる。 したがって、構成要件Cにおける、「前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体」は、実施形態1においては「外部導体20」又は「外部銅導体20」、実施形態2においては「外部導体42」、がそれぞれ対応するものといえる。 しかしながら、実施形態1の「外部導体20」又は「外部銅導体20」、及び、実施形態2の「外部導体42」が、「銅クラッド層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され」ること、及び、「前記銅クラッド層が前記内部導体と対向するように配置され」ることは、明細書のいずれにも記載が無く、図2、3を参照しても、そのような多層構造のもので構成されることは記載も示唆もされているとはいえない。 他方、実施形態3は、「外部銅導体並びに2層の難燃性テープ及び金属テープ(例えば、ステンレススチール)を含むのではな」いものであるところ、当該「外部銅導体並びに2層の難燃性テープ及び金属テープ(例えば、ステンレススチール)」とは、実施形態1における「外部導体20」(又は「外部銅導体20」)及び「ステンレススチールテープ16(例えば、タイプ304、316)の両面に、12及び14で示す2層の難燃性テープ(例えば、マイカ系テープ)を含む外部バリア」、実施形態2における「外部導体42」及び「スチールテープ36(例えば、A606合金)を挟」む「2層の難燃性テープ32、34(例えば、マイカ系テープ、セラミックテープ(Al2O3及びSiO3)、シリカテープ(SiO3)、又は(Al2O3及びSiO3を備える)メッシュ編みなど)」などの、「実施形態1と同様」な、「難燃性テープ32及び34、スチールテープ36」のこと(以下、これらの、外部導体を囲む構成部分のことを、「外装」という。)を意味するものと解される。 そして、実施形態3は、「外部銅導体並びに2層の難燃性テープ及び金属テープ(例えば、ステンレススチール)を含むのではなく、銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72を含むケーブル70」であることを踏まえると、実施形態1又は実施形態2における外装とは異なる形態のなんらかの外装を備えると共に、「銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72」が設けられるものと理解され、当該「銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72」は、「銅クラッド層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され」たものといえる。 さらに、実施形態3の「テープ72」が「銅クラッド72aが内部導体74に近接する(対向する)一方でステンレススチールテープ72bが外部バリア(不図示)に近接する(対向する)ように内部導体74の周囲に環状に構成される」ことを踏まえると、実施形態3の「銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72」は、構成要件Cにおける、「前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体であって、銅クラッド層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され、前記銅クラッド層が前記内部導体と対向するように配置された外部導体」に対応するものといえる。 したがって、構成要件Cは、実施形態3に対応する限りにおいて、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 (4)構成要件Dについて 構成要件Dにおける、「誘電体セパレータ」は、実施形態1においては「内部導体18と外部導体20の間のギャップに配置された誘電体22」、実施形態2においては「導体40を螺旋状に囲む誘電体44」、実施形態3においては「ここでいずれかに記載した誘電体78」が対応するものといえるから、構成要件Dは、発明の詳細な説明に記載されているといえる。 (5)構成要件Eについて 構成要件Eは、以下のア及びイの事項により特定されるところ、順にこれらの対応関係を検討する。 ア 「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され」る「少なくとも1層のテープを含むテープ層」について 構成要件Eの「前記ステンレススチール層」とは、前記されている、「多層構造で形成され」る「外部導体」における「ステンレススチール層」(構成要件C)を意味するものと解される。 ところが、上記(3)で検討したとおり、実施形態1及び実施形態2は、「銅クラッド層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され」る、「前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体」に対応する構成を有しないから、構成要件Eのうち、「外部導体」が、「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され」るとの事項は、実施形態1又は実施形態2のいずれも対応するものとはいえない。 他方、上記(3)で検討したとおり、実施形態3には、「前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体であって、銅クラッド層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され、前記銅クラッド層が前記内部導体と対向するように配置された外部導体」に対応するものと解される、「銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72」が存在するが、実施形態3を示す図7には、当該「テープ72」の外側には何も図示されていない一方で、実施形態3の「ステンレススチールテープ72bが外部バリア(不図示)に近接する(対向する)」ものであることから、当該「ステンレススチールテープ72b」の周囲に、不図示の何らかの「外部バリア」が設けられることが示唆されているとまではいえるものの、当該「外部バリア」が具体的にどのようなものであるかまでの記載は認められない。 また、構成要件Eにおける、「少なくとも1層のテープを含むテープ層」は、実施形態1における「ステンレススチールテープ16(例えば、タイプ304、316)の両面に、12及び14で示す2層の難燃性テープ(例えば、マイカ系テープ)を含む外部バリア」、実施形態2における「スチールテープ36(例えば、A606合金)を挟んで2層の難燃性テープ32、34(例えば、マイカ系テープ、セラミックテープ(Al2O3及びSiO3)、シリカテープ(SiO3)、又は(Al2O3及びSiO3を備える)メッシュ編みなど)」が、一応対応するものとはいえる。 しかしながら、上記(3)で検討したとおり、実施形態1及び実施形態2は、当該「ステンレススチールテープ16(例えば、タイプ304、316)の両面に、12及び14で示す2層の難燃性テープ(例えば、マイカ系テープ)を含む外部バリア」や、「スチールテープ36(例えば、A606合金)を挟んで2層の難燃性テープ32、34(例えば、マイカ系テープ、セラミックテープ(Al2O3及びSiO3)、シリカテープ(SiO3)、又は(Al2O3及びSiO3を備える)メッシュ編みなど)」が、「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され」たものとはいえない。 また、実施形態3における、不図示の「外部バリア」が、「少なくとも1層のテープを含む」ものであるか否かについては、明細書及び図面の記載からは読み取ることはできず、そのような態様は、本願優先日前の周知な態様ともいえない。 したがって、構成要件Eのうち、「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され」る「少なくとも1層のテープを含むテープ層」については、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。 イ 「前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層」が「難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板またはガラス織物テープを備え」る点について 上記(3)及びアの検討から、実施形態1及び実施形態2には、「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され」た、「少なくとも1層のテープを含むテープ層」は存在しないことから、「前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層」も存在しない。 また、実施形態1及び2には、「前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層」が存在しないところ、上記第2に示したとおり、補正事項に係る「難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板またはガラス織物テープ」については、明細書段落【0009】又は【0025】に記載がある一方で、当該材料が用いられるのは、「外部保護バリア」であることまでは明細書から読み取ることはできるが、そもそも、実施形態1及び実施形態2のいずれにも存在しない、「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され、少なくとも1層のテープを含むテープ層であって、前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層」の材料として当該材料が用いられるとまでは読み取ることはできない。 次に、実施形態3における、不図示の「外部バリア」が、明細書段落【0009】又は【0025】において説明される、「外部保護バリア」のことを意味し、その材料が「難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板またはガラス織物テープを備え」るものと解されるかどうかについて、さらに検討する。 上記(3)で検討したとおり、実施形態3における「銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72」は、「前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体であって、銅クラッド層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され、前記銅クラッド層が前記内部導体と対向するように配置された外部導体」に対応するものといえるものの、実施形態3における不図示の「外部バリア」として、明細書段落【0009】又は【0025】において具体的に説明されている、「外部保護バリア」を採用するものであると解することはできない。 したがって、実施形態3においても、「前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層」が「難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板またはガラス織物テープを備え」ることは、本願明細書及び図面から読み取ることはできない。 また、本願明細書段落【0009】、【0025】等の記載は、外部保護バリアに採用可能な材質を広く例示するものであるが、実施形態3における不図示の「外部バリア」として「難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板またはガラス織物テープ」を採用することを特に支持する記載はない。 なお、実施形態3に関して、段落【0046】には、「外部銅導体並びに2層の難燃性テープ及び金属テープ(例えば、ステンレススチール)を含むのではなく、銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72を含む。」、「テープ72は、例えば、火災によって生成される熱を反射及び阻止するように機能する。」と記載されていることから、実施形態3における「銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72」は、外部バリアにおける「難燃性テープ層」の機能を兼ね備えるものと認められる。してみると、 実施形態3における不図示の「外部バリア」は、必ずしも「難燃性テープ層」を含む必要はなく、「難燃性ジャケット材」のみで足るものとも考えらえれる。よって、実施形態間の組合せ可能性の記載・示唆も欠如しており、出願時の技術常識をもってしても、当該特定の位置・材質の採用が当業者にとって自明であるとはいえない。 以上から、構成要件Eは、位置づけ(“ステンレス層直外のテープ層”)および最内層材料の特定の双方で、実施形態3に関する開示に基づく当業者の認識可能範囲を超えたものというほかない。 ウ 小括 上記ア及びイの検討から、構成要件Eは、発明の詳細な説明に記載されているとはいえない。 (6)構成要件Fについて 構成要件Fにおける、「前記テープ層」が「火災の場合に前記ケーブルへの空気の侵入を防止する」ことは、実施形態1においては「外部銅導体20とステンレススチールテープ16の間の難燃性テープ14」が「外部導体20を温度限界において大気から封止して酸化第二銅の形成を防止するように機能」することが、実施形態2においては「実施形態1と同様」な「難燃性テープ32及び34、スチールテープ36及び難燃性ジャケット38の組合せ」が「銅導体40、42を劣化及び酸化から保護するように機能」したり、「純銅製のテープ」を「スチール又はステンレススチールテープの代わりに使用」して、「銅テープ」が「温度限界の火災に曝された場合にそれ自体に結合し…(中略)…そのような自己結合」が「密封された銅チューブを外部導体42の周囲に作るように機能し、内部導体40に対して遠位の外部難燃性テープ32は、銅テープとの結合を形成して酸化第二銅の形成を遅らせるように機能」したり、「銅テープ36と外部導体42の間に設けられた内部難燃性テープ34」が「両銅層を結合し、内部導体40及び外部導体42の酸化を防止する密封状態を形成するように機能」することが、それぞれ対応するものといえる。 一方で、実施形態3では、「銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72」が「火災によって生成される熱を反射及び阻止するように機能」するものではあるが、「火災によって生成される熱を反射及び阻止」することが、構成要件Fにおける、「火災の場合に前記ケーブルへの空気の侵入を防止する」ことに、少なくとも直接関連するとはいえない。 (7)まとめ 以上、(1)~(6)の検討から、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 また、本件明細書段落【0021】、【0047】等を参酌しても、実施形態1~3を適宜組み合わせ得る旨の記載も示唆もない。しかして、同段落【0046】は、実施形態3が外部銅導体・2層の難燃性テープ・金属テープを用いるのではなく、銅クラッド層72a及びステンレススチールテープ層72bからなるテープ72を含む旨を明示する。したがって、置換対象である“外部銅導体・2層の難燃性テープ・金属テープ”という実施形態1及び2の当該一部構成を、実施形態3に採用することはできない。(もっとも、誘電体78については【0046】が併用を許容する旨を記載する限度で、この限りでない。) さらに、実施形態1~3の各構成を、任意に組み合わせることができる本件優先日前の技術常識があったともいえない。 5 意見書1及び意見書2について 上記第1に示したとおり、当審からは、2度の拒絶理由通知が発せられ、これに応答して請求人は意見書1及び意見書2を提出している。 それぞれの意見書において、請求人は次のように釈明している。(下線は、いずれも当審で付加したものである。) 「(2) 補正について 補正後の請求項1の「前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体であって、銅クラッド層およびステンレススチール層を含む多層構造で形成され、前記銅クラッド層が前記内部導体と対向するように配置された外部導体」は、本願明細書の段落[0046]および図7等に基づきます。 補正後の請求項1の「前記ステンレススチール層の周囲に環状に配置され、少なくとも1層のテープを含むテープ層であって、前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層はガラス織物またはマイカテープで形成されるテープ層」は本願明細書の段落[0027]および図2等に基づきます。」(意見書1) 「(2) 補正について 補正後の請求項1の「前記テープ層の前記ステンレススチール層に近接する層は、難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板またはガラス織物テープを備え」は、本願明細書の段落[0025]等に基づきます。本願明細書の段落[0025]には、「コーティングされたガラス織物基板」の例として「マイカテープ」が明示的に挙げられております。したがって、この補正は新規事項の追加に該当するものではありません。」(意見書2) 意見書1の主張によれば、構成要件C(外部導体)は、実施形態3のものである一方で、構成要件E(テープ層)は、実施形態1のものであることを主張するものと解されるところ、これらの実施形態を適宜組み合わせることができる旨の記載は、本件明細書及び図面等には一切無く、またこれらをどのように組み合わせることができるのかについての具体的な記載もみられない。 また、意見書2の主張は、構成要件Eについて、より一般的な材料の選択の可能性を列挙する明細書の記載を根拠としているものとも解されるが、実施形態1及び2はもとより、実施形態3における、不図示の「外部バリア」にそのような材料を用いることができる旨の記載は、本願明細書及び図面等には一切無く、またこれらをどのように組み合わせることができるのかについての具体的な記載もみられない。 したがって、これらの主張は採用することができない。 6 まとめ 以上を踏まえると、本願発明は、明細書の発明の詳細な説明に記載されたもののうち、実施形態1又は実施形態2に対応するものと解した場合は、構成要件C、Fが合致しないことから、明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえない。 また、本願発明が、明細書の発明の詳細な説明に記載されたもののうち、実施形態3のことを意味するものと解した場合は、主に構成要件E、Fが合致しないことから、明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえない。 したがって、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明である本願発明は、発明の詳細な説明の記載と対比した結果、明細書の発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。 また、本願発明は、本願明細書の発明の詳細な説明の記載及び図面(例えば【0027】~【0036】、【0046】、図2・図3・図7)や出願時の技術常識に照らし、当業者が当該発明の課題(上記2参照。少なくとも、火災時におけるケーブルへの空気侵入の防止とそれに伴う外部導体の酸化・劣化抑制など。)を解決し得るものと合理的に認識できる範囲のものとはいえない。 すなわち、実施形態1及び2は、外部銅導体と金属テープ(ステンレス又はスチール)との間に特定の難燃性テープを介在させて積層(例えば12・14と16、又は32・34と36)することにより密封・遮蔽機能を発現させるものであって(【0029】~【0031】、【0032】~【0035】)、本願発明が前提とする「外部導体」自体が「銅クラッド層及びステンレススチール層からなる多層構造」であり、その「ステンレススチール層」の周囲に「テープ層」を環状配置して空気侵入を防止するという作用機序(構成要件E・F)とは整合しない。したがって、本願発明の構成における空気遮断・密封効果が、実施形態1・2の開示から当業者により導かれるとは認められない。 また、実施形態3についての本願明細書の記載は、銅クラッド層/ステンレス層を有するテープ72を「外部導体」に相当する位置づけで設け、主として「火災によって生成される熱を反射及び阻止」する点が記載されるにとどまり(【0046】、図7)、ステンレス層の外側にどのような「外部バリア」を設けるのか、ましてやその直近層が「難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板又はガラス織物テープ」であることや、当該配置により火災時に空気侵入を防止し得る密封性が確保されることについての具体的な記載や示唆はない。(熱反射の機能は記載されていても、それ自体は空気遮断・密封(構成要件F)の発現に直結する技術的裏付けにはならず、当業者が効果発現を合理的に見通せるとはいえない。) さらに、実施形態間の選択的組合せ可能性についての明確な記載や技術的示唆はなく(上記4(3)、(5)、(6)、5参照。)、当該組合せが本願優先日前の技術常識として自明であったと認めるに足る客観的根拠も見いだせない。 以上より、本願発明は、発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえず、また、その記載や示唆、さらには出願時の技術常識を踏まえても、当業者が当該課題を解決できると合理的に認識し得る範囲に属するとは認められない。 したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしているとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-005196

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