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特許拒絶査定不服審判

2024-004718

繰出し容器

審判番号
2024-004718
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-080795外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年03月18日
審決日
2025年07月09日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A45D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 80795「繰出し容器」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月 1日出願公開、特開2021-171589〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願(以下、「本願」という。)は、令和2年4月30日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 令和5年 7月14日付け 拒絶理由通知書 令和5年 9月25日 意見書、手続補正書の提出 令和5年12月13日付け 拒絶査定 令和6年 3月18日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年3月18日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)について 1 本件補正の内容及び適否 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲における請求項1~10(以下、それぞれ「旧請求項1」~「旧請求項10」という。)のうち、旧請求項1を削除するとともに、該削除に伴い、旧請求項2を独立請求項として、本件補正後の請求項1としたものであり、また、旧請求項3~10について、項番の繰り上げとそれに伴う引用請求項の項番の変更、及び、前記削除された旧請求項1に対応する請求項に対する引用の削除を行ったものである。 したがって、本件補正は、請求項を削除する補正と、該削除に伴って必然的に生じる補正に該当するから、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる、同法第36条第5項に規定する請求項の削除を目的とする補正である。 よって、本件補正は適法になされたものである。 2 本願発明 前記1のとおり、本件補正は適法になされたものであり、本願の請求項1~9に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 一端が繰出し口となる円筒状のケース体と、 前記ケース体の内部に回り止めされた状態で軸線方向に摺動自在に配置された内容物支持部と、 外周面に雄ねじを備え、前記内容物支持部と一体に設けられた軸部と、 前記ケース体の他端に軸線を中心として相対回転自在に装着された操作体と、 前記雄ねじにねじ結合する雌ねじを内周面に備え、前記軸部の外側に配置されるとともに前記操作体と一体に設けられた螺合部と、 前記軸部の外側に設けられ、前記操作体の前記ケース体に対する軸線を中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線を中心とした他方側への相対回転を阻止するラチェット機構部と、を有し、 前記ラチェット機構部が、 前記操作体と一体に設けられ、前記軸部と前記ケース体との間で径方向に弾性変形自在の爪部と、 前記ケース体の内周面に一体に設けられ、前記操作体が前記ケース体に対して軸線を中心として他方側に相対回転したときに前記爪部を係止する係止面と、 前記ケース体の内周面に一体に設けられ、前記操作体が前記ケース体に対して軸線を中心として一方側に相対回転したときに、前記係止面を乗り越えるように前記爪部を案内する乗越え面と、を有することを特徴とする、繰出し容器。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定において、本願は令和5年7月14日付け拒絶理由通知書に記載した理由2によって拒絶すべきものであるとしたところ、理由2(進歩性)は、次の理由を含むものである。 本願発明(旧請求項2に係る発明)は、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2011-51593号公報 引用文献2:特開2004-441号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載及び引用発明1 (1)引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様である。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は繰出容器に関する。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 従来の繰出容器は、上記した如く、一般に棒状化粧品が上下動可能に収納されたものであり、突出した棒状化粧品を使用後に再び収納する如く構成しているが、棒状化粧品の中には一回の使用量が比較的多く、突出した部分を略使い切ってしまうものも存在する。従って、その様な場合には化粧品の昇降機構は必要なく、昇機構のみあれば足りることとなる。 【0006】 本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、棒状の収容物を少量ずつ必要に応じた量だけ突出することができて、一旦突出した先端部の内部への再収納が防止され、その結果、収容物に無駄な移動による亀裂等の損傷が起こることを確実に防止することができ、しかも構造が簡単である繰出容器を提案する。 【0007】 また、上記機能を発揮するとともに、収容物の量を極力多くすることができる繰出容器を提案する。更に、上記機能を発揮するとともに、収容物に対する気密性をより確実に発揮することができる繰出容器を提案する。」 ウ 「【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、容器が収容物Fを上昇させる方向にしか機能せず、特に一部を使用した使用途中の場合に中皿Cが下方へ下降して収容物Fが無用に下降したりすることがなく、その結果、収容物Fの無駄な動きを極力排除して不必要な動きから生じる不必要な摩擦から亀裂等が生じることを極力防止できる。また、筒状の把持部10を備えているため、回転体Aの回転が行い易い。更に、回転規制部材Dは、頂板部11裏面より装着する如く構成されているため、容器の組み付け操作の際に回転規制部材Dを装着しない状態では、ケース体Bに対する回転体Aの回転方向は特定されず、その結果、ケース体Bの上方から中皿Cを回転体Aとケース体Bとで構成する昇降機構により下降させることができ、その後回転規制部材Dを装着すればよく容器の組み付け操作が極めて容易に行える利点も兼ね備えている。 【0016】 上記回転規制部材Dを、頂板部11裏面に垂設した係止筒19に中央の透孔50を嵌合させて基板51を嵌着固定し、頂板部11に穿設した円弧状の挿通窓17を介してその上方まで起立した支柱53の上部に円弧状の腕部54を延設し、腕部54の自由端外面に係合爪55を突設して構成した場合には、挿通窓17に腕部54を位置併せして回転規制部材Dを頂板部11下方より押し上げるだけで簡単に装着でき、また、円弧状の腕部54は弾性変形し易く、係合爪55がラチェット歯30を乗り越える際に弾性変形して円滑な乗り越えが行え、その結果、回転体Aとケース体Bとの相互の回転をより円滑に行える利点もある。」 エ 「【0024】 図1乃至図11は繰出容器1の一例を示す。繰出容器1は、回転体Aと、ケース体Bと、中皿Cと、回転規制部材Dと、キャップEとを備えている。」 オ 「【0028】 中皿Cは、外筒40の内周下部より突設したフランジ状の底板41の内周縁より内筒42を起立し、内筒42の内周に雌螺子43を周設している。外筒40の下面には収容物係止用のリブ44を周方向複数突設している。また、外筒40の外面には、ケース体Bの内面に設けた案内凹溝32に摺動可能に嵌合して摺動上昇するための案内突条45を周方向4個所突設している。そして、雌螺子43を回転軸12の雄螺子15に螺合させるとともに、各案内突条45を案内凹溝32に係合し、図1に示す如く、下面を各係合突片31の上面に当接した状態で装着する。雌螺子43と雄螺子15とは、回転体Aを上から見て反時計廻りに相対回転することで、中皿Cが上昇する如き螺合形態をなしている。」 カ 「【0029】 回転規制部材Dは、回転体Aの底部に下方より嵌着固定するもので、ケース体Bのラチェット歯30とで、回転体Aのケース体Bに対する相対回転方向を、中皿Cの上昇方向のみに規制する回転規制機構を構成する。回転規制部材Dは、図3に示す斜め上方から見た斜視図及び図4に示す斜め下方から見た斜視図にある如く、中央に回転体Aの係止筒19を嵌着させるための透孔50を穿設したリング板状の基板51を備え、基板51の対向する所定位置に回転体の各廻止突部20を嵌合させる一対の廻止凹部52を凹設している。また、各廻止凹部52の近傍所定位置からは一対の支柱53を起立し、各支柱53の上端より基板51外周に沿った円弧状の腕部54を延設し、各腕部54の自由端外面からそれぞれ係合爪55を突設している。 【0030】 上記の如く構成された回転規制部材Dを嵌着する場合は、頂板部11の各挿通窓17より各腕部54を挿通し、回転体Aの各廻止突部20に各廻止凹部52を嵌合させるとともに、透孔50に回転体Aの係止筒19を嵌合させてその係止突条18を基板51下面に当接係止させる。この際各係合爪55は図10に示す如くラチェット歯30の間に嵌合する。 【0031】 各係合爪55は各ラチェット歯30に対して所定の回転方向のみに乗り越えることができる如く先端を係合しており、ここでいう所定の回転方向とは、中皿Cを上昇させる回転方向のことをいう。具体的には、図10に於いて、回転規制部材Dと一体動する回転体Aはケース体Bに対して上から見て反時計回りにしか相対的に回転せず、従って、ケース体Bは回転体Aに対して、上方からみて時計廻りにしか相対的に回転しない。これによる中皿Cの上昇に関しては後述する。」 キ 「【0036】 図12乃至図20は他の例を示す。本例に於ける繰出容器1は、回転体Aと、ケース体Bと補助ケース体B1と、中皿Cと、回転規制部材Dと、キャップEとを備えている。」 ク 「【0037】 回転体Aは、図13に斜視図で示す如く、筒状の把持部10の上端より頂板部11を延設し、頂板部11の中央より上方へ回転軸12を起立している。回転軸12は、外周下部に係止凹部13を周設し、係止凹部13の直上に一対の抜止突部14を突設している。また、抜止突部14の上方を横断面十字状に形成して放射状に4本の案内機構を構成する案内突条22を縦設している。更に、頂板部11の上面外周には環状凹部16を凹設しており環状凹部16の内側対向位置に一対の円弧状をなす挿通窓17を穿設し、頂板部11の裏面中央からは外周下部に係止突条18を周設した係止筒19を垂設している。また、把持部10の内周対向位置には、図16の回転規制部材Dを嵌着する前の底面図に明らかな如く、一対の廻止突部20を突設している。この挿通窓17,係止筒19,廻止突部20は回転規制部材Dの装着の際に使用する。更に、把持部10の外周にはローレット21を刻設している。 【0038】 ケース体Bは、上下端開口の円筒状をなし、下部内面には、図15で示す如く、回転方向 規制機構を構成するラチェット歯30を周方向複数突設している。各ラチェット歯30は一方が傾斜面を、他方垂直面をなす横断面三角形状に形成されている。また、内周下部の各ラチェット歯30上方位置には、フランジ34を介して下部内面に抜止用の突部35を突設した係止筒36を垂設している。また、内周面のフランジ34上方所定位置には、抜止用の突条37を周設し、その上方からケース体Bの略上下中間部に至る廻止用の凹溝38を、周方向等間隔に4個所にを縦設している。更に、外周上端部は上向き段部を介して外面を縮径しており、縮径部分の外面に係止用の突条33を周設している。 【0039】 補助ケース体B1は、ケース体B内に雌螺子74を形成するためのもので、ケース体B内面下部に嵌合させた筒状基部70の外面下部にケース体Bの抜止用の突条37に係合して上方への抜止を防止する抜止用の突条部71を周設し、抜止用の突条部71上方の外面にはケース体Bの廻止用の凹溝38に係合して相互の回転を防止する廻止用の突条72を周方向等間隔に4個所縦設している。また、内面上端部には断面L字状の環状支持突起73を介してその内面に雌螺子74を周設している。 【0040】 そして、補助ケース体B1を装着したケース体Bの下面を環状凹部16に嵌合させるととも、抜止用の突部35を回転軸12の係止凹部13に係合させて上方への抜け出しを防止し、ケース体Bと回転体Aとの相互の回転が可能に両者を組み付けている。 【0041】 中皿Cは、図12に示す如く、回転軸12外周に嵌合させた作用筒46を、回転軸12上の底板41裏面中央より垂設しており、底板41の周縁部より起立した周壁部47の上端より外方へ摺動突部48を突設し、摺動突部48をケース体B内面に液密摺動可能に嵌合させている。作用筒46の内周には回転軸12の各案内突条22と係合する周方向4か所の案内凹溝49を縦設しており、作用筒46の外周には補助ケース体B1の雌螺子74と螺合する雄螺子90を周設している。そして、雄螺子90を補助ケース体B1の雌螺子74に螺合させるとともに、各案内凹溝49を案内突条22に係合し、図1に示す如く、底板41下面を回転軸12の直上に位置させた状態で装着する。雌螺子74と雄螺子90とは、回転体Aを上から見て反時計廻りに相対回転することで、中皿Cが上昇する如き螺合形態をなしている。 【0042】 回転規制部材Dは、図1の例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。」 ケ 「【0044】 本例の場合の繰出容器1を組み付ける場合は、例えば図14に示す如く、補助ケース体B1を装着したケース体Bを回転体Aに装着した後、ケース体Bの上端に中皿Cを嵌合し、回転体Aをケース体Bに対して所定方向に相対回動させることで上方より中皿Cを下降させる。詳述すれば、ケース体B外周を固定して把持部10を回転させると回転軸12が回転し、その際案内突条22と案内凹溝49との係合により中皿Cと回転軸12との相対回転が防止されるため雄螺子90と雌螺子74との螺合作用で中皿Cが下降する。この際、回転規制部材Dを装着する前の状態であるため、回転体Aはケース体Bに対して上から見て時計廻り,反時計廻りのいずれの方向にも回動が可能であり、回転体Aを上から見て時計廻りに相対回転させると中皿Cは下降する。しかる後、上述した如く、回転体Aの下方より回転規制部材Dを嵌着して組み付け作業を行える。 【0045】 尚、収容物Fの充填はその後ケース体Bの上方より行うことができる。収容物Fは、図12に示す如く、中皿Cの底板41上面、周壁部47内面空間からその上方のケース体B内上部の空間に充填される。 【0046】 上記の如き繰出容器1を使用する場合について説明する。例えば、図12の状態からキャップEを外し、ケース体Bを把持して上記した所定方向に回転体Aを回転させると中皿Cが上昇する。この際、回転方向規制機構の働きで、回転体Aがケース体Bに対して上から見て反時計廻りにしか回転せず、時計廻りに回転させようとしても、回転方向規制機構の作用で相対回転が防止されるため、中皿Cは上昇するのみで下降することはない。 【0047】 尚、上記各例に於いて各部材は合成樹脂等により形成することができる。」 コ 引用文献1には、以下の図面が示されている。 「【図1】 [図:0001427496000001.jpg] 【図3】 【図4】 【図5】 [図:0001427496000002.jpg] 【図10】 【図11】 [図:0001427496000003.jpg] 【図12】 【図13】 [図:0001427496000004.jpg] 【図14】 【図17】 [図:0001427496000005.jpg] 【図15】 【図16】 [図:0001427496000006.jpg] 【図18】 【図19】 【図20】 [図:0001427496000007.jpg] 」 サ 上記クの段落0038及び図12の記載から、ケース体Bは上端が開口となる円筒状であることは明らかである。 シ 上記クの段落0041並びに図12及び14の記載から、中皿Cの底板41は、ケース体Bの内部に、回転する状態で繰出容器1の軸線方向に摺動自在に配置されていることは、明らかである。 ス 上記クの段落0041並びに図12及び14の記載から、中皿Cの底板41は、作用筒46と一体に設けられているといえる。 セ 上記クの段落0040及び図12の記載から、ケース体Bの下端に、回転体Aが、繰出容器1の軸線を中心として相互の回転が可能に組み付けられていることが理解できる。 ソ 上記カ及びク並びに図10及び19の記載から、回転方向規制機構により、回転体Aは、ケース体Bに対して上から見て反時計廻りにしか回転せず、上から見て時計廻りに回転しないようにしたといえる。 タ 上記クの段落0041及び図12~14の記載から、回転体Aと作用筒46は、回転体Aの案内突条22と作用筒46の案内凹溝49の係合により、一体に回転するといえる。 チ 上記図3、4、12及び17の記載から、係合爪55が、作用筒46の外側に配置されていること、また、ケース体Bの内側に配置されていることが看取され、係合爪55が作用筒46とケース体Bとの間に配置されているといえ、また、上記ウ及びカ並びに図10及び19の記載から、係合爪55は径方向に弾性変形自在であることは、明らかである。 ツ 上記クの段落0038並びに図5及び15の記載から、ラチェット歯30がケース体Bの内周面に一体に設けられていることは明らかである。 テ 上記ウ、カ及びク並びに図10及び19の記載から、ラチェット歯30が垂直面と傾斜面とを有することは明らかであり、また、ラチェット歯30の垂直面が係合爪55を係止し、一方、係合爪55がラチェット歯30の傾斜面に沿って案内されることで、ラチェット歯30の垂直面を乗り越えることができるものであるといえる。 (2)引用文献1の上記ア~テで示した内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「上端が開口となる円筒状のケース体Bと、 前記ケース体Bの内部に回転する状態で軸線方向に摺動自在に配置された底板41と、 外周に雄螺子90を周設し、前記底板41と一体に設けられた作用筒46と、 前記ケース体Bの下端に軸線を中心として相互の回転が可能に組み付けられた回転体Aと、 前記雄螺子90に螺合する雌螺子74を内周面に備え、前記作用筒46の外側に配置された補助ケース体B1と、 前記作用筒46の外側に設けられ、前記回転体Aが前記ケース体Bに対して上から見て反時計廻りにしか回転せず、上から見て時計廻りに回転しないようにした回転方向規制機構と、を有し、 前記回転体Aと前記作用筒46とは一体に回転し、 前記回転方向規制機構が、 前記回転体Aと一体動する回転規制部材Dに設けられ、前記作用筒46と前記ケース体Bとの間で径方向に弾性変形自在の係合爪55と、 前記ケース体Bの内周面に一体に設けられ、前記回転体Aが前記ケース体Bに対して軸線を中心として時計廻りに回転したときに前記係合爪55を係止するラチェット歯30の垂直面と、 前記ケース体Bの内周面に一体に設けられ、前記回転体Aが前記ケース体Bに対して軸線を中心として反時計廻りに回転したときに、前記ラチェット歯30の垂直面を乗り越えるように前記係合爪55を案内するラチェット歯30の傾斜面と、を有する、繰出容器。」 2.引用文献2の記載及び引用発明2 (1)引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。 ア 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明はアイライナー、アイブロウ、口紅等の棒状化粧材繰出容器に関する。特には部品点数を極力減らすだけではなく、高級感もあり、安全性も高い棒状化粧材繰出容器を提供する。」 イ 「【0014】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は以上の欠点を鑑み、最小部材で構成可能な繰出容器であって、前端に棒状化粧材を保持する保持部が形成され、なおかつこれに延設される竿体表面に螺旋部を配した芯チャック部材を内挿する棒状化粧材繰出容器でありながら、繰出の摺動が滑らかであるとともに、繰出の過剰回動負荷に対して保護機能を有する棒状化粧材繰出容器を提供することを目的とする。」 ウ 「【0034】 本実施例の棒状化粧材繰出容器1は、先筒10と本体筒20を、凹部13と凸部25で回動可能に連結した状態で芯チャック部材30を内挿したもので、芯チャック部材30は図3,図4に示される如く、先端に円筒部33が設けられており、これに穿設された腔部32に棒状化粧材Aが支持されることで、化粧材保持部31が設けられ、前記円筒部33より一対の回転止め突起34が配されて、前記先筒10内の摺動溝12に係合して、回転止め機構を構成している。 【0035】 また、前記円筒部33より竿体35が延設され、この表面に螺旋部36が多条螺旋37として形成されている(図3,図4にはこの多条螺旋37が、(A)8条螺旋(B)3条螺旋(C)4条螺旋として描かれているが、これ等に関しては、後述するものである)。」 エ 「【0036】 図5には棒状化粧材繰出容器1を構成する本体筒20が立体断面で示される。 【0037】 この本体筒20は、前端に一対のスリット24が配され、内径には前記芯チャック部材30の多条螺旋37と係合して螺合機構を構成する係合突起23が設けられているとともに、外周には先筒10の内周面14に係合する摺動突起26が設けられ、先筒10との摺動に重みをつけることで芯チャック部材30の化粧時によるカップダウンを防止している。 【0038】 前記螺合機構に使用される係合突起23及び摺動突起26は、スリット24の範囲内に設置される。 【0039】 また、本体筒20は、凸部25で前記先筒10と回動可能に連結され、本体筒20のスリット24を含む前端開口孔21より凸部25に至るまでは、前記先筒10内に収容される先筒嵌入部27となる。 【0040】 先筒嵌入部27以外は、摘み部28として、先筒10との相互回動に当てられるものである。 【0041】 つまり、使用者は、先筒10と摘み部28との回動をもって、棒状化粧材Aを繰り出して使用することとなる。 【0042】 棒状化粧材繰出容器1の作動は、先筒10と本体筒20の相互回動で行われる。 【0043】 先筒10内に位置する芯チャック部材30の化粧材保持部31を形成する円筒部33より突設された回転止め突起34は、先筒10内の摺動溝12に係合する事で回転止め機構を構成し、芯チャック部材30の本体筒20内に位置する竿体35には多条螺旋37の螺旋部36が、本体筒20の竿体摺動溝22前部に配された係合突起23に螺合することで、螺合機構を構成するため、化粧材保持部31に嵌着された棒状化粧材Aは、先筒10と同期の回動をしながら先筒10の先端開口孔11より突出を始め、化粧を施すことを可能とする。 【0044】 また、先筒10と本体筒20を上記とは逆に回動すれば、前記メカニズムによって、棒状化粧材Aは先筒10内に引き込まれることとなる。」 オ 「【0045】 本発明の特徴は、芯チャック部材30の竿体35の表面に形成されている螺旋部36が3条以上の多条螺旋37によって形成され、この多条螺旋37は、繰出ストロークよりも竿体35の軸方向に長く形成されるとともに、どの部位における断面においても、竿体35の中心軸よりほぼ同距離に螺旋の頂点部が配され、前記竿体35の中心軸より頂点までの寸法を半径とする円形に全ての螺旋頂点が内接可能な多条螺旋であることを特徴としている。 【0046】 また、本発明の目的は、最少部材で構成可能な繰出容器であって、芯チャック部材30の竿体35表面に螺旋部36を形成し、本体筒20内にこれに螺合する係合部を突設して螺合機構としながら、繰出の摺動が滑らかであるとともに、繰出の過剰回動負荷に対して、保護機能を有する繰出容器を提供することを目的としている。」 カ 「【0052】 そこで本発明においては、芯チャック部材30の竿体35表面に形成される螺旋部36は、3条以上の多条螺旋37とし、図4に示すごとくこの螺旋の頂点部は竿体35の中心軸35aよりほぼ同距離に設定して、この頂点までの中心軸からの寸法Xを半径とする円形に内接する多条螺旋としたもので、 (1)本体筒20の竿体摺動溝22内で芯チャック部材30の竿体35は、 最小の間隔をもって、前後左右にぶれることなく摺動することを可能とした。 【0053】 (2)本体筒20が、図6に示すようにエラストマー等の弾性体で製作される場合は、芯チャック部材30の竿体35は、その螺旋部36を本体筒20内の竿体摺動溝22の内径寸法Tに当接しながら摩擦を持って摺動することを可能とし、この摺動は常に一定であることを可能とした。 【0054】 (3)螺旋部36は3条以上の多条螺旋であって、螺旋頂点の中心軸からの寸法を半径とする円形に内接する多条螺旋は、螺旋部のどの部位における断面においても螺旋の頂点部と頂点部との距離が同寸法で分割されて、螺旋表面にパーティングラインを有さないため、本体筒20内の係合突起23との螺合においても、パーティングラインの引っかかりもなくスムーズに摺動する。 【0055】 この多条螺旋は図3,図4に示す如く多条になればなるほど、これに係合する突起23は小さくなるので、(A)8条(B)3条(C)4条の螺旋を選択しながら、これに係合する突起23を単数、もしくは複数設けて、確かな螺合方法が選択できる。 【0056】 もちろん本体筒20の係合部を螺旋溝としても良いが、係合突起23を単数もしくは複数設置することで、螺旋溝と同様なスムーズな摺動を係合突起23で得ることを可能とした。」 キ 引用文献2には以下の図が示されている。 「【図1】 【図2】 [図:0001427496000008.jpg] 【図3】 [図:0001427496000009.jpg] 【図4】 [図:0001427496000010.jpg] 【図5】 [図:0001427496000011.jpg] 」 ク 上記エ並びに図1及び2の記載から、先筒10が円筒状であること、また、先筒10の端部の一方には、棒状化粧材Aが繰り出される先端開口孔11が設けられ、端部の他方には、本体筒20が、棒状化粧材繰出容器1の軸線を中心として先筒10と相互回動可能に連結されることは、明らかである。 ケ 上記ウ及びエ並びに図1~3の記載から、円筒部33は、円筒部33から突設した回転止め突起34が、先筒10内の摺動溝12に係合して、先筒10内を回転せずに摺動するものであること、すなわち、円筒部33は、先筒10の内部に回り止めされた状態で軸線方向に摺動自在に配置されていることは、明らかである。 (2)引用文献2の上記ア~ケで示した内容を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「一端が先端開口孔11となる円筒状の先筒10と、 前記先筒10の内部に回り止めされた状態で軸線方向に摺動自在に配置された円筒部33と、 外周面に螺旋部36を備え、前記円筒部33と一体に設けられた竿体35と、 前記先筒10の端部の他方に軸線を中心として相互回動可能に連結された本体筒20と、 前記螺旋部36に螺合する係合突起23を内周面に備え、前記竿体35の外側に配置されるとともに前記本体筒20と一体に設けられた先筒嵌入部27と、を有した、棒状化粧材繰出容器。」 第5 対比・判断 1.対比 以下、本願発明と引用発明1とを対比する。 引用発明1の「上端」は、その作用、機能からみて、本願発明の「一端」に相当し、同様に、「開口」は「繰出し口」に、「ケース体B」は「ケース体」に、それぞれ相当する。そして、引用発明1の「上端が開口となる円筒状のケース体B」は、本願発明の「一端が繰出し口となる円筒状のケース体」に相当する。 また、引用発明1の「底板41」は、本願発明の「内容物支持部」に相当する。そして、引用発明1の「前記ケース体Bの内部に回転する状態で軸線方向に摺動自在に配置された底板41」と本願発明の「前記ケース体の内部に回り止めされた状態で軸線方向に摺動自在に配置された内容物支持部」は、「前記ケース体の内部に軸線方向に摺動自在に配置された内容物支持部」の点で共通する。 また、引用発明1の「外周」は、本願発明の「外周面」に相当し、同様に、「雄螺子90」は「雄ねじ」に、「周設し」は「備え」に、「作用筒46」は「軸部」に、それぞれ相当する。そして、引用発明1の「外周に雄螺子90を周設し、前記底板41と一体に設けられた作用筒46」は、本願発明の「外周面に雄ねじを備え、前記内容物支持部と一体に設けられた軸部」に相当する。 また、引用発明1の「下端」は、本願発明の「他端」に相当し、同様に、「相互の回転が可能」は「相対回転自在」に、「組み付けられた」は「装着された」に、「回転体A」は「操作体」に、それぞれ相当する。そして、引用発明1の「前記ケース体Bの下端に軸線を中心として相互の回転が可能に組み付けられ」「た回転体A」は、本願発明の「前記ケース体の他端に軸線を中心として相対回転自在に装着された操作体」に相当する。 また、引用発明1の「螺合」は、本願発明の「ねじ結合」に相当し、同様に、「雌螺子74」は「雌ねじ」に相当する。そして、引用発明1の「補助ケース体B1」は、雌螺子74を有したものであるから螺合部といえるところ、引用発明1の「前記雄螺子90に螺合する雌螺子74を内周面に備え、前記作用筒46の外側に配置された補助ケース体B1」と本願発明の「前記雄ねじにねじ結合する雌ねじを内周面に備え、前記軸部の外側に配置されるとともに前記操作体と一体に設けられた螺合部」とは、「前記雄ねじにねじ結合する雌ねじを内周面に備え、前記軸部の外側に配置された螺合部」の点で共通する。 また、引用発明1の「上から見て反時計廻りにしか回転せず」は、本願発明の「軸線を中心とした一方側への相対回転を許容し」に相当し、同様に、「上から見て時計廻りに回転しないようにした」は「軸線を中心とした他方側への相対回転を阻止する」に、「回転方向規制機構」は「ラチェット機構部」に、それぞれ相当する。そして、引用発明1の「前記作用筒46の外側に設けられ、前記回転体Aが前記ケース体Bに対して上から見て反時計廻りにしか回転せず、上から見て時計廻りに回転しないようにした回転方向規制機構」は、本願発明の「前記軸部の外側に設けられ、前記操作体の前記ケース体に対する軸線を中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線を中心とした他方側への相対回転を阻止するラチェット機構部」に相当する。 また、引用発明1の「係合爪55」は、本願発明の「爪部」に相当する。そして、引用発明1の「係合爪55」は回転体Aと一体動する回転規制部材Dに設けられていることから、回転規制部材Dに設けられた「係合爪55」は、回転体Aと一体動するように設けられているといえる。そうすると、引用発明1の「前記回転体Aと一体動する回転規制部材Dに設けられ、前記作用筒46と前記ケース体Bとの間で径方向に弾性変形自在の係合爪55」と本願発明の「前記操作体と一体に設けられ、前記軸部と前記ケース体との間で径方向に弾性変形自在の爪部」とは、「前記操作体と一体動するように設けられ、前記軸部と前記ケース体との間で径方向に弾性変形自在の爪部」の点で共通する。 また、引用発明1の「時計廻りに回転」は、本願発明の「他方側に相対回転」に相当し、同様に、「ラチェット歯30の垂直面」は「係止面」に相当する。そして、引用発明1の「前記ケース体Bの内周面に一体に設けられ、前記回転体Aが前記ケース体Bに対して軸線を中心として時計廻りに回転したときに前記係合爪55を係止するラチェット歯30の垂直面」は、本願発明の「前記ケース体の内周面に一体に設けられ、前記操作体が前記ケース体に対して軸線を中心として他方側に相対回転したときに前記爪部を係止する係止面」に相当する。 また、引用発明1の「反時計廻りに回転」は、本願発明の「一方側に相対回転」に相当し、同様に、「ラチェット歯30の傾斜面」は「乗越え面」に相当する。そして、引用発明1の「前記ケース体Bの内周面に一体に設けられ、前記回転体Aが前記ケース体Bに対して軸線を中心として反時計廻りに回転したときに、前記ラチェット歯30の垂直面を乗り越えるように前記係合爪55を案内するラチェット歯30の傾斜面」は、本願発明の「前記ケース体の内周面に一体に設けられ、前記操作体が前記ケース体に対して軸線を中心として一方側に相対回転したときに、前記係止面を乗り越えるように前記爪部を案内する乗越え面」に相当する。 また、引用発明1の「繰出容器」は、本願発明の「繰出し容器」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明1とは、 「一端が繰出し口となる円筒状のケース体と、 前記ケース体の内部に軸線方向に摺動自在に配置された内容物支持部と、 外周面に雄ねじを備え、前記内容物支持部と一体に設けられた軸部と、 前記ケース体の他端に軸線を中心として相対回転自在に装着された操作体と、 前記雄ねじにねじ結合する雌ねじを内周面に備え、前記軸部の外側に配置された螺合部と、 前記軸部の外側に設けられ、前記操作体の前記ケース体に対する軸線を中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線を中心とした他方側への相対回転を阻止するラチェット機構部と、を有し、 前記ラチェット機構部が、 前記操作体と一体動するように設けられ、前記軸部と前記ケース体との間で径方向に弾性変形自在の爪部と、 前記ケース体の内周面に一体に設けられ、前記操作体が前記ケース体に対して軸線を中心として他方側に相対回転したときに前記爪部を係止する係止面と、 前記ケース体の内周面に一体に設けられ、前記操作体が前記ケース体に対して軸線を中心として一方側に相対回転したときに、前記係止面を乗り越えるように前記爪部を案内する乗越え面と、を有する、繰出し容器。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明は、「前記ケース体の内部に回り止めされた状態で」配置された内容物支持部を有し、また、雌ねじを内周面に備えた螺合部が「前記操作体と一体に設けられ」ているのに対し、 引用発明1は、ケース体Bの内部に配置された底板41は、前記ケース体Bの内部に、回転する状態で配置されていて回り止めされた状態で配置されておらず、また、雌螺子74を内周面に備えた補助ケース体B1が回転体Aと一体に設けられていない点。 (相違点2) ラチェット機構部の爪部に関し、本願発明は、「前記操作体と一体に設けられ」ているのに対し、 引用発明1は、回転体Aと一体動するように設けられているものの、回転体Aと一体に設けられているといえるか明らかでない点。 2.判断 (1)相違点について 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 引用発明1の回転体Aは、外周に雄螺子90を周設し底板41と一体に設けられた作用筒46と一体に回転するものであり、すなわち、回転体Aは、雄螺子90を一体に回転させる構成を有したものである。そして、引用発明1は、この構成に起因して、ケース体Bの内部に配置された底板41が「前記ケース体Bの内部に回転する状態」で配置されていると解される。 また、引用文献1には、図12~20に示された実施例2に基づく引用発明1に加え、図1~11に示された実施例1に基づく繰出容器も示されているところ、実施例1に基づく操出容器には、底板41を有する中皿Cが、ケース体Bの内部に回り止めされた状態で配置された点が示されている(例えば、引用文献1の段落0028及び図1(前記第4の1(1)オ及びコ)を参照)。 そして、上記で示したとおり、引用文献1の実施例1に基づく操出容器には、底板41を有する中皿Cが、ケース体Bの内部に回り止めされた状態で配置された点が示されていることを踏まえると、引用発明1の、ケース体Bの内部に配置された底板41が「前記ケース体Bの内部に回転する状態」で配置された構成は、引用文献1の段落0006(前記第4の1(1)イを参照)に示される「一旦突出した先端部の内部への再収納が防止され、その結果、収容物に無駄な移動による亀裂等の損傷が起こることを確実に防止することができ、しかも構造が簡単である繰出容器を提案する」といった課題を解決するために、必須のものではない。 また、引用文献2には、前記第4の2(2)で示した、引用発明2が示されているところ、特に、「ケース体の内部に回り止めされた状態で」軸線方向に摺動自在に「配置された内容物支持部」を有し、また、雌ねじを内周面に備えた螺合部が「操作体と一体に設けられ」ている繰出し容器に対応する事項が示されているといえる。 そして、引用発明2は、最小部材で構成可能な繰出容器であることも課題としたものであるところ(前記第4の2(1)イを参照)、部品点数を少なくするといった課題は、繰出容器に限らず、種々の機器において、一般的な課題である。また、引用文献1には、「構造が簡単である繰出容器を提案する」(引用文献1の段落0006(前記第4の1(1)イ)を参照)といった課題も記載されている。そうすると、引用発明1においても、引用発明2と同様に部品点数を少なくするといった課題があることは明らかであるといえる。 また、雄ねじと雌ねじの相互回転により、繰出機構を構成する繰出容器において、雄ねじと雌ねじのいずれか一方を回転体と一体に回転させる必要があるところ、そのどちらを回転体と一体に回転させるように構成するかは、当業者が適宜選択し得た設計事項にすぎない。 以上によれば、引用発明1において、部品点数を少なくするといった課題を解決すべく、回転体Aにより、雄螺子90を一体に回転させる構成に代えて、引用発明2に示される構造に倣い、回転体Aを雌螺子74を内面に備えた補助ケース体B1と一体に設けて雌螺子94を回転させるように構成し、それに伴い、底板41をケース体Bの内部に回り止めされた状態で軸線方向に摺動自在に配置されるように構成することにより、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2について 本願明細書の発明の詳細な説明において、「一体」について特に定義がされていないところ、「一体」とは、一般に、一つの部品からなるものに限らず、別々のものが、一つにまとまっているもの、一つになって作用するものに対しても使用される字句である(例えば、「夫婦は一体」や「クラスが一体となる」等)から、一つになって作用する状態にあれば、「一体」であると理解される。 そして、引用文献1の記載をみると、段落0029に「回転規制部材Dは、回転体Aの底部に下方より嵌着固定するもので、ケース体Bのラチェット歯30とで、回転体Aのケース体Bに対する相対回転方向を、中皿Cの上昇方向のみに規制する回転規制機構を構成する。回転規制部材Dは、図3に示す斜め上方から見た斜視図及び図4に示す斜め下方から見た斜視図にある如く、中央に回転体Aの係止筒19を嵌着させるための透孔50を穿設したリング板状の基板51を備え、基板51の対向する所定位置に回転体の各廻止突部20を嵌合させる一対の廻止凹部52を凹設している。また、各廻止凹部52の近傍所定位置からは一対の支柱53を起立し、各支柱53の上端より基板51外周に沿った円弧状の腕部54を延設し、各腕部54の自由端外面からそれぞれ係合爪55を突設している。」と、また、段落0031に「回転規制部材Dと一体動する回転体Aはケース体Bに対して上から見て反時計回りにしか相対的に回転せず、従って、ケース体Bは回転体Aに対して、上方からみて時計廻りにしか相対的に回転しない。」と記載されている。 そうすると、引用発明1の「回転方向規制機構」を構成する「回転規制部材D」の「係合爪55」は、「回転体A」の「係止筒19」が、「回転規制部材D」の「基板51」に穿設した「透孔50」と嵌着し、また、「回転体A」の「各廻止突部20」を、「基板51」に凹設した「廻止凹部52」に嵌合させたことで、回転体Aと一体動する、すなわち、一つになって作用する状態にあるといえる。 つまり、「係合爪55」は「回転体A」と一体に設けられているといえるから、上記相違点2は実質的な相違点ではない。 また、本願発明の、「爪部」が「前記操作体と一体に設けられ」という事項が、爪部と操作体とが1つの部品から構成されていることを意味するものであるとしても、一体動する部材同士を1つの部品から構成することは、当業者にとって常套手段である。 さらに、引用文献1には、繰出容器1の各部材が、それぞれ合成樹脂により形成されるものであること(例えば、引用文献1の段落0047(前記第4の1(1)ケ)を参照。)も示されており、各部材を同じ合成樹脂材料で形成することも含むものであるところ、同じ材料で形成された各部品に対して、1つの部品から構成することは妨げられない。 そうすると、引用発明1において、回転体Aと一体動する爪部材55を1つの部品から構成し、本願発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2)請求人の主張に対して 請求人は審判請求書で、「主引用発明(審決注;「引用発明1」のこと。以下同様。)は、回転体Aと回転規制部材Dとを異なる部材とすることを必須の構成要件とするものであり、主引用発明には、操作体Aと回転規制部材Dとを一体に設けることを阻害する事情がある」(審判請求書の6頁3~5行)と、また、「主引用発明は、回転体Aと回転規制部材Dとを備えており、これらは、異なる部材です。そして、引用文献1の段落[0015]には、主引用発明の効果として、回転規制部材Dを回転体Aに装着するように構成されているため、回転規制部材Dを装着しない状態では、ケース体Bの上方から中皿Cを回転体Aとケース体Bとで構成する昇降機構により下降させることができることが記載されているとおり、主引用発明は、回転体Aと回転規制部材Dとを別部材とすることを必須の構成要件とします。」(審判請求書の6頁17行~7頁2行)と主張する。 しかし、上記(1)イで示したように、「一体」とは、一般に、一つの部品からなるものに限らず、別々のものが、一つにまとまっているもの、一つになって作用するものに対しても使用される字句であるから、一つになって作用する状態にあれば、「一体」であると理解される。 そうすると、本願発明の「爪部」が「前記操作体と一体に設けられ」という事項は、爪部と操作体とが一つになって作用する状態にあることを特定しているにすぎず、請求人の上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものではない。 また、仮に、本願発明の「爪部」が「前記操作体と一体に設けられ」という事項が、爪部と操作体とが1つの部品から構成されていることを意味するものであるとしても、引用発明1の課題は、上記(1)アでも示したように、「一旦突出した先端部の内部への再収納が防止され、その結果、収容物に無駄な移動による亀裂等の損傷が起こることを確実に防止することができ、しかも構造が簡単である繰出容器を提案する」ことであるところ、当該課題は、回転体Aに回転規制部材Dを備えることで解決される課題であり、当該課題を解決する上で、回転体Aと回転規制部材Dとを異なる部材とすることは、必須の構成要件ではない。 さらに、引用文献1の段落0031(前記第4の1(1)カ)に示されるように、回転体Aと回転規制部材Dとは、一体動するものであり、また、引用文献1の段落0047(前記第4の1(1)ケ)に示されるように、各部材の材料は、それぞれ合成樹脂により形成することができることも示されている。 そうすると、引用発明1に、回転体Aと回転規制部材Dとを1つの部品から構成することを阻害する事情があるとはいえず、また、引用発明1において、回転体Aと回転規制部材Dとを1つの部品から構成することは、当業者にとって困難性がないといえる。 以上によれば、請求人の上記主張は採用できない。 (3)本願発明の作用効果について 本願発明の作用効果は、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものではない。 3.まとめ したがって、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-004718

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