特許拒絶査定不服審判
2024-000099
ドライヤー及びドライヤー用アタッチメント
- 審判番号
- 2024-000099
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-186590
- 請求日
- 2024年01月04日
- 審決日
- 2025年07月18日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヤーマン株式会社
- 【請求人代理人】新保 斉
- 審判長/審判官
- 審判長 北村 英隆
- 審判官 柿崎 拓
- 審判官 関口 哲生
- 分類
- P18 .121-WZ (A45D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-186590「ドライヤー及びドライヤー用アタッチメント」拒絶査定不服審判事件〔令和2年4月23日出願公開、特開2020-62401〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、令和元年10月10日(優先権主張 平成30年10月12日)の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和5年 4月20日付け 拒絶理由通知書
令和5年 8月24日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 9月20日付け 拒絶査定
令和6年 1月 4日 審判請求書の提出
令和6年12月25日付け 拒絶理由通知書
令和7年 3月10日 意見書、手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~9に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「外部から空気を吸入して送風口に向けて送風するブロワーと、
送風される該空気を加温するヒーターと、
該送風口の送風方向に付設され、使用者の頭皮又は頭髪に接触する櫛状又はブラシ状の複数のピンで構成され、該ピンの少なくとも一部が導電性材料で形成された導電性ブラシと、
帯電装置と、
を備え、
該導電性ブラシの該導電性材料により形成する電極部において第1電極及び第2電極を備えるか、
該導電性ブラシの該導電性材料により形成する電極部に第1電極、使用者がドライヤーを把持する把持部に第2電極を備えるか、のいずれかとし、
該導電性ブラシのピンの基部には、加温された空気を送風するための送風孔を開口し、
送風と同時に、該帯電装置が該第1電極及び該第2電極の間に通電することにより、使用者の頭皮又は頭髪に通電可能にした
ことを特徴とするドライヤー。」
第3 拒絶の理由の概要
令和6年12月25日付け拒絶理由通知書により当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)のうち、請求項1に係る発明(本願発明)に対して通知したものは、次の理由を含むものである。
本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2又は3に記載された技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:国際公開第2015/083632号
引用文献2:実願平5-25633号(実開平6-77751号)のCD-ROM
引用文献3:特開平9-262124号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1)当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様である。)。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、毛髪や頭皮を乾燥させるためのドライヤーに関し、特に振動機能及び温熱機能を備えたドライヤーに係る。」
イ 「背景技術
[0002] 毛髪や頭皮を内部から乾燥させるために赤外線を発するようにしたドライヤーが従来から提案されている。例えば、特許文献1のヘアードライヤーは、ロールブラシ、ブローブラシ、カールクリップ、櫛のいずれかを備え、それらに遠赤外線放射用セラミックを装備されている。温風によって該セラミックが加熱されて遠赤外線を毛髪に供給する、としている。同様の開示は特許文献2にも見られる。
[0003] 特許文献3では、ヘアーカーラーの発明において、毛髪を巻き付ける金属製の円筒からなるパンチングボビンに対し、表面にセラミックコーティングを施して遠赤外線を発するようにした構成を開示している。本構成により、パンチングボビンに毛髪を巻き付けてドライヤーを当てると、ドライヤーの温風によって毛髪を芯から温めてカールの付を良くすることができる、としている。
[0004] 一方、ドライヤーに頭皮のマッサージ機能を備えたものが提案されている。特許文献44のヘアドライヤー用吹出ノズルは、毛髪をほぐしたり毛元から立ち上げたり、毛流れを整えたりの施術を行いながらその施術部分にヘアドライヤーからの風を確実に吹き付けることができ、頭皮のマッサージ効果も得るものである。そのために、ヘアドライヤーの送気口に着脱可能に接続するノズル流入口からノズル吹出口に至るノズル流路が形成されたノズル本体と、複数本のピン体を備え、ピン体は先端が頭皮に接触可能になるようにノズル吹出口からの吹き出し方向に突出して設けられている。
[0005] また、特許文献5に記載の発明は、抜け毛予防として、ドライヤーで送風しながら、頭皮のマッサージやツボ刺激を可能にするものである。本文献によれば、ドライヤーノズル先端に回転自在なイボ状突起を有する車輪をつけることにより、温風を当てながらドライヤーを動かしマッサ-ジやツボ刺激ができるようにした。頭皮に当たるイボ状突起からドライヤー本体の吹出口の長さを10cm以上にすることにより、温風による頭皮のダメージを防止できるようにしている。」
ウ 「発明が解決しようとする課題
[0007] 上記従来技術は、ブラシ自体にセラミックを配してドライヤーからの温風を当てることで赤外線を発するように構成したものであり、赤外線の放射が十分に行えない問題があった。また、ドライヤーにピン体ないしイボ状突起を有する車輪を備える構成は提案されているが、これらの構成ではドライヤーを手で大きく動かす必要があり、十分なマッサージ効果を得にくい問題があった。
[0008] 本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、頭皮のマッサージを簡便かつ効果的に行うことのできるドライヤーを提供することを目的とする。」
エ 「課題を解決するための手段
[0009] 上記課題を解決するため、本発明は次のようなドライヤーを提供する。
請求項1に記載の発明によれば、ドライヤー本体に、外部から空気を吸入して送風口に向けて送風するブロワーと、送風される空気を加温するヒーターと、送風口の送風方向に付設される頭皮マッサージアタッチメントと、振動を発生して頭皮マッサージアタッチメントを振動させるバイブレータとを備え、乾燥及び頭皮への振動刺激を行うドライヤーを提供することができる。
[0010] 請求項2に記載の発明によれば、上記ドライヤー本体のヒーターとして、赤外線ヒーターを少なくとも備え、送風口から頭皮又は毛髪に赤外線を放射する構成でもよい。
[0011] 請求項3に記載の発明によれば、上記のドライヤー本体の頭皮マッサージアタッチメントの背面側に、頭皮マッサージアタッチメントを頭皮に向けて押圧する補助ハンドル部を付設する構成でもよい。
請求項4に記載の発明によれば、上記ドライヤー本体のヒーターとして、主として赤外線を放射するための出力400W以下のセラミックヒーターと、主として空気を加温するための出力1200W以下のニクロム線ヒーターとを共に備え、頭皮マッサージアタッチメントによる振動刺激時にはセラミックヒーターだけを用いる一方、乾燥時には、セラミックヒーター又はニクロム線ヒーターの少なくともいずれかを用いる構成でもよい。
[0012] 請求項5に記載の発明によれば、上記ドライヤー本体が、筒状部と、筒状部の筒側面から下方に延設されたハンドル部とから成り、この筒状部には先端から順に、頭皮マッサージアタッチメント、送風口、セラミックヒーター、ニクロム線ヒーター、ブロワーを配置すると共に、バイブレータとして振動モーターを用い、頭皮マッサージアタッチメントと振動モーターとを連結する振動伝動部を備える。本構成において、使用時には、使用者がハンドル部を把持しながら、送風口側を身体に向けて使用することを特徴とする。
[0013] 請求項6に記載の発明によれば、上記補助ハンドル部が、上記筒状部の筒側面から左右側方又は上方の少なくともいずれかに延設されると共に、その補助ハンドル部が、筒状部の径方向断面と平行な向きの押圧面を有する構成でもよい。
[0014] 請求項7に記載の発明によれば、上記のブロワー又はセラミックヒーターの少なくともいずれかの制御において、ニクロム線ヒーターに用いられるニクロム線の電気抵抗を用いる構成でもよい。
[0015] 請求項8に記載の発明によれば、上記の頭皮マッサージアタッチメントが、送風口近傍において脱着可能に構成してもよい。
[0016] 請求項9に記載の発明によれば、ドライヤー本体に装着する振動アタッチメントを提供することもできる。該振動アタッチメントには、ドライヤー本体の送風口に装着する装着部と、該送風口の送風方向に付設される頭皮マッサージアタッチメントと、振動を発生して該頭皮マッサージアタッチメントを振動させるバイブレータとを備えたことを特徴とする。」
オ 「発明の効果
[0017] 本発明は、上記構成を備えるので次の効果を奏する。
すなわち、振動する頭皮マッサージアタッチメントを備えたことにより、頭皮・乾燥と共に、頭皮への振動刺激を行うドライヤーを提供することができる。特に従来のようにドライヤーの送風口を大きく動かす必要がなく、当接させるだけでマッサージを実施することができる。
[0018] 赤外線ヒーターを備えることで乾燥時及び振動刺激時の温熱効果を奏する。従来技術のようにブラシを温風で暖め、ブラシに配したセラミックから間接的に赤外線を発する構成に比して格段に赤外線の放射効率を高めることができる。また、赤外線ヒーターの加温の際に、一般的なドライヤーより低温(50度以下)の温度にすることで、頭皮および毛髪への熱ダメージを軽減しながら、内部から乾燥させるドライヤーを提供することができる。
[0019] 本発明のドライヤーに補助ハンドル部を設けることで、頭皮マッサージアタッチメントを頭皮に当接させる際の向きや力加減を調整しやすく、適切に押圧することができる。
また、補助ハンドル部に筒状部の径方向断面と平行な向きの押圧面を備えれば、当該面を使用者が手で支持しやすく、快適な使用性を実現できる。」
カ 「[0025] 図1は本発明に係るドライヤーの斜視分解図である。また、図2、図3、図4はそれぞれ、正面図、正面図上のA-A矢視の右側面断面図、背面図である。
本実施例に係るドライヤーの形状は、一般的な手持ち式のドライヤーの形状と同様の外観を有している。使用者は使い慣れた形状で頭髪の乾燥に用いることができ、従前からの置き場所に収納することもできる。本発明はこれに加えて、赤外線ヒーター等を用いた温熱効果や、振動刺激機能を備えたドライヤーを提供するものである。
なお、ドライヤーの形状は本実施例に限定されず、請求項記載の範囲で任意に変更可能である。」
キ 「[0026] ドライヤー本体(1)は、外見形状において正面から背面に向かって円筒状をなす筒状部(10)と、該筒状部(10)の下側面から下方に延設されるハンドル部(20)とから構成される。筒状部(10)には、本発明に係る送風、加温、振動の各機能を内蔵する一方、ハンドル部(20)はドライヤーの機能を操作するスイッチ類と、ドライヤー本体(1)を把持するためのグリップとから成る。図示しないが、ハンドル部(20)下端に接続される電源コードにより電源供給される。なお、内部にバッテリーを備えてコードレス式のドライヤーとしてもよい。
[0027] 筒状部(10)は、先端(頭皮側)から順に頭皮マッサージアタッチメント(11)、送風口ケース(12)、振動機構(13)、セラミックヒーター(14)、ニクロム線ヒーター(15)、送風ファン(16)、フィルター(17)、給気口ケース(18)を配置し、全長の中途部分が前記ハンドル部(20)と一体的に形成されているハウジング(3)に保持されることで全体が構成されている。
本発明における頭皮マッサージアタッチメント(11)は、頭皮をマッサージする機能の他、一般的なブラシとして使用することもできる。また、用途に応じて脱着交換することもできる。例えば金属製のアタッチメントと樹脂製のアタッチメントを提供することもできる。」
ク 「[0028] 頭皮マッサージアタッチメント(11)は、図示されるように送風方向に向かって多数の突起(110)を備える。頭皮マッサージアタッチメント(11)の中央には加温された空気を送風するための中央送風孔(111)を開口して、送風と共に、正面図に視認されるようにセラミックヒーター(14)のヒーター面(140)から直接赤外線が放射されるように構成している。
また、中央送風孔(111)から外側に向かって順に、内周の突起(110)、スリット送風孔(112)、外周の突起(110)が配置されている。スリット送風孔(112)からも送風及び赤外線が放射される。
[0029] 各突起(110)はそれぞれ環状に多数配置されており、突起(110)の先端は中央に向かって傾斜しているので、頭皮の曲面に沿って均等に当接することができる。
各突起(110)はゴム製又は樹脂製で、可撓性を有する。可撓性を高くして柔らかな触感としてもよいし、可撓性を低くしてマッサージの際に力が加わりやすくしてもよい。
[0030] 頭皮マッサージアタッチメント(11)の左右には摘み部(113)を前面側に突出させており、該摘み部(113)の背面には凸部(114)が形成される。頭皮マッサージアタッチメント(11)の使用時には、この凸部(114)を、振動機構(13)のガード面(131)に設けた凹部(131a)に嵌合させることで装着する。不使用時には、摘み部(113)を前方に引くことで頭皮マッサージアタッチメント(11)を離脱させることもできる。
[0031] 頭皮マッサージアタッチメント(11)が装着される部位には、送風口ケース(12)が外装されている。送風口ケース(12)は略円筒状の部材(120)であって、内部に送風ファン(16)からの空気の流路を形成する。
送風口ケース(12)の上面と下面には排気孔(121)を3個ずつ設けている。該排気孔(121)は、頭皮マッサージアタッチメント(11)の突起(110)の基部付近に開口しているので、頭皮マッサージアタッチメント(11)の装着時には、中央送風孔(111)からの空気の送風量を適切に調整するように、余分な空気を排気することができる。」
ケ 「[0032] 頭皮マッサージアタッチメント(11)を離脱した状態では送風口ケース(12)の送風口から抵抗なく空気が抜けるので、本排気孔(121)は、頭皮マッサージアタッチメント(11)を装着した状態と離脱させた状態とでそれぞれ適切な風量が確保されるように作用する。
[0033] 送風口ケース(12)の先端縁の左右には、頭皮マッサージアタッチメント(11)の脱着の際に指を入れて摘み部(13)を摘まむために適当な後退部(122)を形成しており、脱着性を向上すると共に、外観の意匠性にも寄与している。
[0034] 送風口ケース(12)内の空気の流路上、すなわち送風口ケース(12)の全長部分には頭皮マッサージアタッチメント(11)から順に振動機構(13)のガード面(131)、セラミックヒーター(14)とニクロム線ヒーター(15)が内装される。」
コ 「[0035] 振動機構(13)は、公知の分銅モーターである振動モーター(130)をバイブレータとして備えており、該振動モーター(130)が発生した振動をガード面(131)に伝動し、さらに該ガード面(131)に装着した頭皮マッサージアタッチメント(11)を振動させている。
ガード面(131)は指がセラミックヒーター(14)やニクロム線ヒーター(15)等に触れないように保護している。
[0036] 振動機構(13)は、送風口ケース(12)と後端部において可撓性を有する金具(132)で連結されているので、振動モーター(130)からの振動が、セラミックヒーター(14)やニクロム線ヒーター(15)等に伝動しにくく構成されている。これにより、バイブレータを動作させた状態でもドライヤー本体(1)やハンドル部(20)には不快な振動が伝わりにくいようになっている。」
サ 「[0047] 以上の制御系により、本発明のドライヤー(1)では次のような動作モードを実現している。
(マッサージモード)
本モードではセラミックヒーター(14)を50W出力、ニクロム線ヒーター(15)は切とする。送風ファン(16)の風量は微風又は弱風として、振動機構(13)によって頭皮マッサージアタッチメント(11)を振動させる。
本モードは、頭皮マッサージアタッチメント(11)を頭皮に直付けして、じんわり温風を当てながら振動を伝え、頭皮マッサージを行うことを目的としたものである。
[0048](低温ヘアドライモード)
本モードではセラミックヒーター(14)を100W出力、ニクロム線ヒーター(15)は切とする。送風ファン(16)の風量は弱風とする。振動機構(13)は切である。
本モードは、送風口を頭皮から離した状態で地肌を60度以下に保ちながら毛髪を乾燥させることを目的としている。頭皮や毛髪への熱ダメージを防ぎつつ、ヘアドライを行うことができる。
[0049](高温ヘアドライモード)
本モードではセラミックヒーター(14)を100W出力、800Wのニクロム線ヒーター(15)も入とする。送風ファン(16)の風量は強風とする。振動機構(13)は切である。
本モードは、通常のヘアドライヤー機能で動作させるものであり、2つのヒーターによって高温に加温しながら赤外線も放射させる。十分な風量で素早くヘアドライを行うこと
を目的としている。」
シ 引用文献1には、以下の図面が示されている。
「[図1]
[図:0001427372000001.jpg]
[図2] [図3]
[図:0001427372000002.jpg]
」
ス 上記オ及びクの記載から、頭皮マッサージアタッチメント11は、送風口の送風方向に付設され、使用者の頭皮又は頭髪に当接するブラシ状の多数の突起110で構成されていることは明らかである。
セ 上記ク及び図1~3の記載から、頭皮マッサージアタッチメント11の突起110の基部には、加温された空気を送風するための中央送風孔111を開口していることは、明らかである。
ソ 上記サの記載から、引用文献1に示されるドライヤーが、送風と同時に、頭皮マッサージアタッチメント11を振動させる振動機構13に通電することにより、使用者の頭皮に振動を与え頭皮マッサージを行っていることは、明らかである。
(2)引用発明
引用文献1の前記(1)ア~ソの記載内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「外部から空気を吸入して送風口に向けて送風するブロワーと、
送風される該空気を加温するヒーターと、
該送風口の送風方向に付設され、使用者の頭皮又は頭髪に当接するブラシ状の多数の突起110で構成された頭皮マッサージアタッチメント11と、
バッテリーと、
を備え、
該頭皮マッサージアタッチメント11の突起110の基部には、加温された空気を送風するための中央送風孔111を開口し、
送風と同時に、頭皮マッサージアタッチメント11を振動させる振動機構13に通電することにより、使用者の頭皮に振動を与え頭皮マッサージを行う
ドライヤー。」
2 引用文献2の記載
当審拒絶理由で引用された前記引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、毛根部(頭髪や眉毛の毛の根元周囲)に電気的刺激を与えて頭皮の活性化・毛髪の養毛を行なう毛根刺激器に関する。」
(2)「【0002】
【従来の技術】
従来、頭皮に外的刺激を与えて養毛や育毛を行なう方法には、養毛剤と併用して軽い打撃を与えたり、冷却、温熱やスチーム付与、紫外線等の光線照射、磁力付与、振動マッサージ等の刺激が提案され、それに応じた装置が開発されている。
【0003】
【考案が解決しようとする問題点】
しかし、従来の各種刺激を用いる方法や装置には、次のような問題があった。
○1(審決注:「○1」は、「1」に○囲いを意味する。以下、同様。)頭皮への刺激が定型的固定的で、刺激を付与しているところが集中化すると皮膚炎やかゆみなどのトラブルが生じることがある。
○2頭皮の部分ごと、或は各人の頭皮の特徴に応じた刺激の使い分けが面倒である。」
(3)「【0004】
【問題点を解決するための手段】
本考案に係る毛根刺激器は、頭皮等に適正な電気的刺激を付与して、養毛・育毛に効果のある新規な毛髪器具を提供するものである。
電気的刺激=刺激電流を適正に選択することにより、亢進性頭皮でも減退性頭皮でも育毛刺激効果が達成できる。
なお、本件考案器具は、養毛剤と併用することもできる。
養毛剤は、電解質溶液が好ましく、本件考案の電気的刺激で電気分解しイオン化して頭皮内に導入浸透できる。
また表皮各層の電位差を調整して正常頭皮にする効果を有する。
このように、本考案は、各人の頭皮に応じた電気的刺激を手軽に行なえるようにして、家庭でも容易にセルフ育毛刺激を行なうことができる毛根刺激器の提供を目的とする。
【0005】
通常、頭皮の表面は、PH 5,0~6,0 前後で微酸性の保護膜でおおわれている。
その保護膜の下の表皮は、各層ごとに電位差を呈し、保護膜から角質層、顆粒層、有棘層、基底層、真皮層まで+-・+-と電位が陽と陰と交互に重なり合っている。
養毛・育毛には、油性等の亢進性頭皮の場合は+を、荒性等の減退性頭皮には-の刺激を与えて電位を等しくして正常頭皮の状態に安定させることが最適である。
【0006】
本考案は、前記のように毛根刺激効果を達成するために案出されたものであり、毛根部(頭皮)に接触する部位である複数本の櫛刃先端又はブラシのブリッスル(ここでは、豚等の剛毛の意味ではなく立毛状の部材の意味で使用する)に電極を設けるとともにグリップに導電部を露設し、前記電極と導電部とに電源に接続した刺激電流発生装置を接続し、前記櫛刃の先端の一部の範囲の電極と他の部分の電極を異極として接触毛根部に刺激電流を印加するか、或は前記露設されたグリップの導電部と前記櫛刃先端の電極等とを異極とし接触毛根部に刺激電流を印加する毛根刺激器である。
【0007】
刺激電流は、矩形波か棘状波のパルス平流(直流)電流か、トタンジスターかダイオードなどによって発振させる棘状波のパルス交番電流で周波数が1000Hz~3000Hzである。
【0008】
刺激電流としてパルス平流(直流)を使用して、前記櫛刃先端の一部の範囲の電極と他の部分の櫛刃先端の電極を異極とした構成の場合は、電極を電気的に切り替えるか、櫛刃の基部を機械的に回転自在のにすることにより、電極を切り替えることができる。
【0009】
このように本考案は、基本的には、低周波パルス電流等の刺激電流発生装置を内臓し導電部を露設したグリップに、複数本の櫛刃先端又はブリッスルの夫々に電極を有する櫛を設け、前記櫛と導電部との極性切替スイッチおよび出力調整ダイヤルを設けて、適正な電気的刺激を付与するものである。
【0010】
さらに毛根刺激のためには刺激の浸透性や深さが要請されるが、低周波の波形を深い微分形に設定するのが好ましいことが解り、本考案で使用する低周波は、パルス電流の棘状波で周波数が1000Hz~3000Hzであるであることを発見した特徴もある。
【0011】
なお櫛又は回転櫛の先端に設けた各櫛刃又はブリッスルの取付部は、頭皮にやわらかく接触するようにクッション材で構成するか、クッション材を介在させるのが好ましい。」
(4)「【0012】
【 作 用 】
本考案に係る毛根刺激器は、スイッチONにして手で持ち、導電部に手のひらを接触させて、同時に櫛刃を頭皮につけて髪をとかすと、毛根刺激器と手のひらと頭皮とに電気的回路が構成され、低周波パルス電流が頭皮に印加される。
【0013】
低周波パルス電流の刺激は、ピリピリと短い周期の刺激である。
電気的刺激の強弱はグリップ側面の出力調整ダイヤルで任意に調整し、頭皮内の各層(保護膜・角質層・顆粒層・有棘層・基底層・真皮層・皮下組織)のイオン移動は、櫛刃の極性切替スイッチ又は櫛刃基部の回転により切替えることで頭皮の特性に応じた対応ができる。
ブリッスルの部分部分で、極性切り替えができるので、部分的な刺激に好適であり、使い勝手がよい。
【0014】
このように頭皮・毛根の特性に応じて櫛刃からのパルス電流の出力調整と極性切替を行ない、頭皮毛根に適正な電気的刺激を与えて育毛刺激効果を得ることができる。
【0015】
また、櫛刃電極と頭皮の間に電解質溶液を介在させることにより、敏感な頭皮は保護膜を損傷することなく電気的刺激を受けると同時に、電解イオンが頭皮内に導入浸透できる。
養毛剤としての電解質溶液に低周波パルス電流が印加されると、電離した+イオンと-イオンは櫛刃の極性に応じて移動し頭皮に浸透してゆくという現象が生じるので、この現象を利用して頭皮に有効なある種ローションを電気分解してイオンの形に換え、頭皮質・頭皮状態に有効な成分を頭皮内に導入浸透させる作用を、前記電気的刺激と同時にすることができる。」
(5)「【0016】
【実 施 例】
次に本考案に係る毛根刺激器の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1の実施例は、刺激電流発生装置(プリント基盤)である低周波パルス電流発生装置1を内臓したグリップ2の端部に電池3を設け、先端に電極50を有する櫛刃4(又はブリッスル4)を設けた櫛体40を、ケース41にピン42で回転自在に取付けたものである。
【0017】
この実施例の櫛体40は平面状円形であり、略半分の範囲の櫛刃4の先端電極50と残りの半分の電極50とを異極とするように、櫛体40の底面に接続端子43・44を設けている。
接続端子43・44は、ケース41に形成した二つの端子45・46と夫々摺接して、回転させることで+・-を変換できる。
櫛体40は、櫛刃4が頭皮に柔らかく接触するようにクッション材47を介在させるのが好ましい。
【0018】
前記グリップ2には導電性金属で形成した導電部5を露設している。
本考案の毛根刺激器は、刺激電流発生装置1と導電部5と電極50とで人体を介して電気回路を形成し、刺激電流を付与することになる。
この電気回路は、前記櫛体40の二つの範囲の電極50の両範囲で、或は前記電極50の全部と導電部5との間で形成できる。
図1の実施例では、グリップ2の導電部5を使用せずに、櫛体40の略半分の範囲の櫛刃4の先端電極50と残りの半分の電極50とを異極として頭皮とで電気回路を形成して使用することもできる。
これらの電極50と導電部5とは、極性を切り換える極性切替スイッチ6を設けて切り替え自在であり、スイッチ兼用出力調整ダイヤル7を設けているので刺激強度の調整も任意にできる。
【0019】
出力調整ダイヤル7をスイッチONにすると、LEDランプ11が点灯して可使用状態を示す。
絶縁材製のグリップ2は、電源(電池または充電池)3が内蔵され、金属製の導電部5を露設している。
電源3は、電池の例を示しているが、充電池や、家庭用電源でも使用できるようにAC-DC変換器を設けてコードを接続してもよい。」
(6)「【0020】
さらに図2のように、交流電源を使用して、1000Hzの低周波パルス交番電流を発生する刺激電流発生装置1を設けて、交流の刺激電流を付与できる装置も提供する。
図2の電極50は、ブリッスル4に外周のリング状の電極50とその内部の電極50を異極とできるような回路に構成した毛根刺激器である。
一定範囲の頭皮に外周から求心方向に刺激電流を流すことができる。
図3は、本考案に係る毛根刺激器の基本構成を示すブロック図である。
【0021】
このような構成の本考案に係る毛根刺激器は、スイッチONにして手で持ち、導電部5に手のひらを接触させて、同時に櫛刃4を頭皮に接触させ髪をとかすと、毛根刺激器と手のひらと頭皮とに電気的回路が構成され、低周波パルス電流が頭皮に流れ印加されて刺激が浸透してゆく。
低周波パルス電流の刺激は、ピリピリと短い周期の刺激であり、電気的刺激の強弱はグリップ2側面の出力調整ダイヤル7で任意に調整することができる。
頭髪は、毛乳頭周辺の細胞群が分裂増殖して毛髪細胞が生育してゆくが、その周囲の細胞が、電流の刺激でマイクロマッサージが付与され、活性化し分裂増殖を促進することになる。
なお、図示の実施例はあくまでも一例であり、本考案はこれに限定されるものではなく、デザインや細部については種々の設計変更が可能である。」
(7)「【0022】
【考案の効果】
本考案に係る毛根刺激器は、前記の構成作用のものであり、次のような特有の技術的効果がある。
○1頭皮への刺激が動的で、刺激を付与するところを移動できるので、皮膚への刺激が調整できトラブルが生じることがない。
○2低周波パルス電流の刺激は、頭皮の血行が硬くなり減退性頭皮となって起きる抜け毛や薄毛に対し、組織の正常化を図り、活動期毛に働いてその寿命を延ばしつつ、血行を促進させ育毛の活性化を図るので、ヘアーサイクルが長くなり、活動期が延びることによって脱毛予防となる。
○3頭皮が、ドライスキン(減退性皮膚)であったり、オイリースキン(亢進性皮膚)であったりした場合、その特性に応じて刺激電流の極性を切り替えて、プラスの電位またはマイナスの電位を付与することができ、頭皮の新陳代謝を補助できる。
○4頭皮の特性は、個人ごとに異なることは当然であるが、季節や神経の高ぶりなどで頭の各部ごとに特性がある。
本考案では、櫛又はブリッスルの一部でも極性の切替ができるので、狭い部分への刺激が適正にできる。
以上のように本考案に係る毛根刺激器は、安全で各人の頭皮に応じた育毛刺激が手軽にでき、手間もかからず、きわめて実用的価値がある。」
(8)引用文献2には以下の図が示されている。
「【図1】
[図:0001427372000003.jpg]
【図2】
[図:0001427372000004.jpg]
【図3】
[図:0001427372000005.jpg]
」
3 引用文献3の記載
当審拒絶理由で引用された前記引用文献3には、図面とともに、次の記載がある。
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は活性酸素、過酸化脂質の除去、発生の防止を行うことで頭皮の育毛・養毛、ふけ・かゆみ止め、スキンケア、皮膚障害の治療を行うことができる皮膚処理方法とそれに用いる器具に関するものである。」
(2)「【0004】本発明は、上記のような従来の問題点を解決して、弊害を生じることなく還元作用を生じさせて活性酸素、過酸化脂質の除去や発生の防止を行うことによって頭皮の育毛・養毛、ふけ・かゆみ止め、スキンケア、皮膚障害の治療を行うことができる皮膚処理方法とそれに用いる器具を提供することを目的として完成されたものである。」
(3)「【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明の皮膚処理方法は、皮膚処理剤を塗布した皮膚に本発明の皮膚処理用の器具を用いて電流を流して電気的に還元作用を生じさせて、活性酸素、過酸化脂質の除去や発生を行い皮膚処理効果を与えることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の態様】本発明において用いられる皮膚処理剤を皮膚に塗布して電流を流して、電気的に還元力を生じさせ、活性酸素、過酸化脂質の除去や発生防止をして皮膚処理を行うものである。」
(4)「【0011】
【実施例】次に、本発明の図面を参照しつつ詳細に説明する。図1~図3は本発明に使用する器具の一例を示すもので、1は絶縁体よりなるブラシ形の皮膚処理器具本体、2は把手分、3は把手部内に装着された電源、4は電源3の陰極側に接続される炭素棒からなる陰極棒、5は陽極側に接続される炭素棒からなる陽極棒であり、これらが作用部となり8をベース部として多数ブラシ状に植設されている。6は炭素棒の破損防止用の保護棒であり、これは、炭素棒側面に対して外部から衝撃が加わるのを防ぐ。炭素棒の長さは図2に示すように陰極棒4の方が陽極棒5より長いものを用いれば、陰極棒4だけが皮膚に接触するようになっているため、より効果的である。なお、実施例では電極となる陰極棒4と陽極棒5を炭素棒としたが、その他の通電性、耐久性のあるものを用いてもよいことは勿論である。
【0012】図4~図6は、皮膚処理器具本体1をタワシを持つ要領で手に持つような形にしたもので内部に電源3が装着されており、電源3の陰極側に接続される炭素棒からなる陰極棒4と陽極側に接続される炭素棒からなる陽極棒5を多数ブラシ状に植設したものである。図5は、陰極棒4と陽極棒5の長さが同じものを示しており図6は、陰極棒4のほうが陽極棒より長いものを示している。6は、炭素棒の破損防止の保護棒である。
【0013】さらに、図7で示すように1は、絶縁体よりなるブラシ形の皮膚処理器具本体、2は把手部、3は把手部内に装着された電源、4は電源に接続される炭素棒からなる陰極棒4でこれが作用部となりベース部8に多数ブラシ状に植設されている。7は、電源3に接続される陽極であり把手部面に設置され電流の流れる回路は把手部をもった手から体を経由して陰極棒4の接する皮膚に至るようになっている。6は、炭素棒の破損防止用の保護棒である。」
(5)引用文献3には以下の図が示されている。
「【図1】 【図2】 【図3】
[図:0001427372000006.jpg]
【図4】 【図5】 【図6】
[図:0001427372000007.jpg]
【図7】
[図:0001427372000008.jpg]
」
第5 対比・判断
1 対比
以下、本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「当接」は、その作用、機能からみて、本願発明の「接触」に相当し、同様に、「突起110」は「ピン」に、「多数の突起110」は「複数のピン」に、それぞれ相当する。また、引用文献1の段落0027(上記第4の1(1)キを参照)の記載から、頭皮マッサージアタッチメント11は一般的なブラシとしても使用されるものであること、また、本願の発明の詳細な説明の段落0035~0037の記載から、本願発明の「導電性ブラシ」は「ブラシアタッチメント」であるものを含むことから、引用発明の「頭皮マッサージアタッチメント11」と本願発明の「導電性ブラシ」とは、「ブラシアタッチメント」の点で共通する。そうすると、引用発明の「該送風口の送風方向に付設され、使用者の頭皮又は頭髪に当接するブラシ状の多数の突起110で構成された頭皮マッサージアタッチメント11」と本願発明の「該送風口の送風方向に付設され、使用者の頭皮又は頭髪に接触する櫛状又はブラシ状の複数のピンで構成され、該ピンの少なくとも一部が導電性材料で形成された導電性ブラシ」とは、「該送風口の送風方向に付設され、使用者の頭皮又は頭髪に接触する櫛状又はブラシ状の複数のピンで構成されたブラシアタッチメント」の点で共通する。
また、本願発明の「帯電装置」は、本願明細書の発明の詳細な説明の段落0039の「頭皮や頭髪に電流を通電するために、本実施例では導電性ブラシ(11)を負極とし、図2に示すハンドル部(20)の電極面(21)を正極とすることで、使用者がハンドル部(20)を把持すると使用者の肌面が正極、ドライヤー側が負極として電位差を生じ通電することができる。電流を発生させるための公知の帯電装置は、ドライヤー本体(1)の内部に備えており、図示は省略する。」との記載によれば、電源の役割を果たすものであることが明らかであるから、引用発明の「バッテリー」と本願発明の「帯電装置」とは、「通電装置」である点で共通する。
また、引用発明の「中央送風孔111」は、本願発明の「送風孔」に相当する。そうすると、引用発明の「該頭皮マッサージアタッチメント11の突起110の基部には、加温された空気を送風するための中央送風孔111を開口し、」と本願発明の「該導電性ブラシのピンの基部には、加温された空気を送風するための送風孔を開口し、」とは、「該ブラシアタッチメントのピンの基部には、加温された空気を送風するための送風孔を開口し、」の点で共通する。
また、引用発明の「使用者の頭皮に振動を与え頭皮マッサージを行う」ことと、本願発明の「使用者の頭皮又は頭髪に通電可能にした」こととは、共に、頭皮又は頭髪に刺激を与えるものであるから、「使用者の頭皮又は頭髪に刺激を与える」点で共通する。そうすると、引用発明の「送風と同時に、頭皮マッサージアタッチメント11を振動させる振動機構13に通電することにより、使用者の頭皮に振動を与え頭皮マッサージを行う」と本願発明の「送風と同時に、該帯電装置が該第1電極及び該第2電極の間に通電することにより、使用者の頭皮又は頭髪に通電可能にした」とは、「送風と同時に、使用者の頭皮又は頭髪に刺激を与える」点で共通する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「外部から空気を吸入して送風口に向けて送風するブロワーと、
送風される該空気を加温するヒーターと、
該送風口の送風方向に付設され、使用者の頭皮又は頭髪に接触する櫛状又はブラシ状の複数のピンで構成されたブラシアタッチメントと、
通電装置と、
を備え、
該ブラシアタッチメントのピンの基部には、加温された空気を送風するための送風孔を開口し、
送風と同時に、使用者の頭皮又は頭髪に刺激を与える
ドライヤー」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明は、「帯電装置」を備え、また、ブラシアタッチメントは、「該ピンの少なくとも一部が導電性材料で形成された導電性ブラシ」であって、「該導電性ブラシの該導電性材料により形成する電極部において第1電極及び第2電極を備えるか、該導電性ブラシの該導電性材料により形成する電極部に第1電極、使用者がドライヤーを把持する把持部に第2電極を備えるか、のいずれかとし、」「該導電性ブラシの」ピンの基部に、送風孔を開口し、送風と同時に、「該帯電装置が該第1電極及び該第2電極の間に通電することにより、使用者の頭皮又は頭髪に通電可能にし」ているのに対し、
引用発明は、バッテリーを備え、また、ブラシアタッチメントは、頭皮マッサージアタッチメント11であって、突起110の一部が導電性材料で形成されているか明らかでなく、また、導電性材料で形成された電極部を有したものでなく、バッテリーが電極部に通電し使用者の頭皮又は頭髪に通電可能に構成されたものではない点。
2 判断
相違点について
(1)引用文献2には、頭皮に刺激を与えるブラシ状の器具に関して、ブラシのブリッスルに電極を設け、電極間に電流を流すための電源を設け、電極から接触毛根部に刺激電流を印加する毛根刺激器が記載されており(上記第4の2を参照)、すなわち、ブラシのピンの少なくとも一部が導電性材料で形成された電極部であって、帯電装置が導電性材料で形成された電極部の間に通電することにより、使用者の頭皮又は頭髪に通電可能に構成された導電性ブラシが開示されている。さらに、引用文献2には、導電性ブラシのピンに、正負いずれかの第1電極と、該第1電極と反対の極性の第2電極とを備えること(例えば、段落0006、0017(上記第4の2(3)、(5))を参照)が、また、導電性ブラシのピンが正負いずれかの第1電極であって、使用者がドライヤーを把持する把持部に該第1電極と反対の極性の第2電極を備えること(例えば、段落0006、0018(上記第4の2(3)、(5))を参照)が開示されている。
また、引用文献3にも、頭皮に刺激を与えるブラシ状の器具に関して、電極となる炭素棒が多数ブラシ状に植設され、電源の陰極側に接続される炭素棒からなる陰極棒を頭皮等の皮膚に接触するようにし、頭皮等の皮膚に電流を流す、ブラシ形の皮膚処理器具が記載されており(上記第4の3を参照)、すなわち、ブラシのピンの少なくとも一部が導電性材料で形成された電極部であって、帯電装置が導電性材料で形成された電極部の間に通電することにより、使用者の頭皮又は頭髪に通電可能に構成された導電性ブラシが開示されている。さらに、引用文献3にも、導電性ブラシのピンに、正負いずれかの第1電極と、該第1電極と反対の極性の第2電極とを備えること(例えば、0011~0012、図1~6(上記第4の3(4)、(5))を参照)が、また、導電性ブラシのピンが正負いずれかの第1電極であって、使用者がドライヤーを把持する把持部に該第1電極と反対の極性の第2電極を備えること(例えば、段落0013、図7(上記第4の3(4)、(5))を参照。)が開示されている。
なお、上記引用文献2又は3に開示されるように、頭皮に刺激を与えるブラシ状の器具に関して、ブラシのピンの少なくとも一部が導電性材料で形成された電極部であって、帯電装置が導電性材料で形成された電極部の間に通電することにより、使用者の頭皮又は頭髪に通電可能に構成された導電性ブラシは、当業者にとって従来周知の技術であるともいえる。同様に、通電可能に構成された導電性ブラシについて、ブラシの電極部において、正負いずれかの第1電極と、該第1電極と反対の極性の第2電極とを備えるようにするか、あるいは、ブラシの電極部が正負いずれかの第1電極であって、使用者がドライヤーを把持する把持部に該第1電極と反対の極性の第2電極を備えるようにするか、のいずれかとすることについても、当業者にとって従来周知の技術であるともいえる。
(2)さらに、引用発明は、「送風と同時に、頭皮マッサージアタッチメント11を振動させる振動機構13に通電することにより、使用者の頭皮に振動を与え頭皮マッサージを行う」ものであるところ、送風と同時に他の機能要素も動作させるように構成することは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。
(3)そして、引用発明と、引用文献2又は3に記載された技術とは、それぞれ、共に、頭皮に刺激を与えるブラシ状の器具という点で共通するものであり、また、多機能化は、機器一般において普通にある課題であり、引用発明にもそのような課題があることは明らかである。
そうすると、引用発明の頭皮マッサージアタッチメントに、引用文献2又は3に記載された技術を付加し、本願の相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、令和7年3月10日に提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)において、「明細書0022段落に「ドライヤーに導電性ブラシを備えることによって乾燥・送風機能と共に、イオン導入・導出などのイオン美容機能を付加することができる。ピンを導電性材料で構成することで容易かつ低コストで電極を形成することができ、頭皮や頭髪へのイオン作用を及ぼすことが可能」と述べているように、髪の乾燥を行いながらイオン美容を行うことは、時間の短縮だけでなく、ドライヤーとイオン美容器の器具の共通化による利便性、経済性など多面的な効果を有する。
さらに、ドライヤーによる乾燥時は毛髪、頭皮における静電気の発生が課題となっていることも周知であり、導電性ブラシによって静電気を回収し、格段に使用性が向上する。
このような作用効果は、引用文献1だけでも、引用文献2及び3だけでも全く想定できず、ドライヤーと本願発明の導電性ブラシを共に備えた構成で初めて達成されている。」(意見書5頁1~10行)と主張する。
しかし、上記2でも示したように、機器一般において、多機能化は、従来より普通にある課題であり、機器に様々な機能を付加して利便性や経済性を向上させることは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。そして、「ドライヤーとイオン美容器の器具の共通化による利便性、経済性など多面的な効果」は、引用発明及び引用文献2又は3に記載された事項から普通に導き得た効果にすぎない。
また、毛髪、頭皮における静電気の発生といったことは、本願発明のようなドライヤーと導電性ブラシを共に備えたことにより、はじめて生じたことではなく、ブラシにより毛髪等を梳かした際に普通に生じることであるところ、引用文献2又は3に開示される、導電性ブラシの構成を有していれば、静電気を回収することができることは明らかであり、導電性ブラシの構成により、静電気の発生といった課題は普通に解消される。
以上によれば、請求人が主張する作用効果は、引用文献1~3から、普通に想定される効果であり、上記請求人の主張は採用できない。
(2)また、請求人は意見書で、「導電性ブラシの電極部に第1電極を設けること、導電性ブラシの電極部か、ドライヤーの把持部のどちらかに第2電極を設けて、帯電装置が第1電極と第2電極の間に通電すること、を明示した。このような具体的な構成は、いずれの引用文献においても一切記載されていない事項である。」(意見書5頁12~15行)と主張する。
しかし、上記2でも示したように、「導電性ブラシの電極部に第1電極を設けること、導電性ブラシの電極部か、ドライヤーの把持部のどちらかに第2電極を設けて、帯電装置が第1電極と第2電極の間に通電すること」は、引用文献2又は3に開示されている。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
4 本願発明の作用効果について
本願発明の作用効果は、引用発明及び引用文献2又は3に記載された技術から、当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものではない。
5 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2又は3に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-000099