特許拒絶査定不服審判
2024-003509
情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム
- 審判番号
- 2024-003509
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-024491
- 請求日
- 2024年02月28日
- 審決日
- 2025年05月08日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】LINEヤフー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 山崎 慎一
- 審判官 脇岡 剛
- 分類
- P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F) / P18 .536-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 24491「情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 8月30日出願公開、特開2022-126427、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年2月18日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和5年 1月18日付け:拒絶理由通知書
令和5年 3月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 6月30日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和5年 9月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年11月16日付け:補正却下の決定、拒絶査定
令和6年 2月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年11月29日付け:補正却下の決定、拒絶理由通知書(当審)
令和7年 2月 3日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年11月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(新規性)この出願の請求項1、2、8、9に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1-9に係る発明は、引用文献1-6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
・請求項 3-7
請求項3には、「前記学習部は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに基づいて質問回答サービスから取得した関連する質問文の中から利用者が選択した質問文と、の関係を学習し、学習モデルを生成する」とあり、「前記学習部」が、「質問回答サービス」から取得した関連する質問文を用いて学習モデルを生成することが記載されている。一方、請求項3が引用する請求項1には、「学習部」が、「前記検索クエリと、前記検索クエリに対応する、複数の情報サービスから取得した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果との関係を予め学習し、当該関係に基づき、前記検索クエリを変換する学習モデルを生成する」とあり、「複数の情報サービス」から取得した検索結果を用いて学習モデルを生成することが記載されている。したがって、請求項3に記載された「質問回答サービス」に基づき生成した学習モデルと、請求項3が引用する請求項1に記載された「複数の情報サービス」に基づき生成した学習モデルとの関係が不明瞭である。
発明の詳細な説明には、学習処理に使用する検索クエリデータベースとして、複数の情報サービスに関する第2検索クエリデータベース(段落[0030]-[0032])と、質問回答サービスに関する第3検索クエリデータベース(段落[0026]-[0029])とが独立して存在していることから、それぞれから生成される学習モデルは独立したものとなると解される。しかしながら、請求項3の上記記載からは、そのように限定して理解することはできない。また、複数の学習モデルが存在する場合に、どのようにして使い分けるのか、その処理内容についても、請求項3の記載からは把握することができない。
よって、請求項3に係る発明は明確でない。
また、請求項3に従属する請求項4-7についても同様である。
引用文献等一覧
<引用文献等一覧>
1.特開2015-079349号公報
2.特開2018-194980号公報
3.特開2020-149366号公報
4.翠 輝久,質問応答・情報推薦機能を備えた音声による情報案内システム ,インタラクション2007予稿集 [online],一般社団法人情報処理学会,2007年03月16日,Internet<URL:http://www.interaction-ipsj.org/archives/paper2007/aural/0021/paper0021.pdf>
5.三津石 智巳,人と計算機を情報資源とする統合情報検索システムCySearchの提案,第73回(平成23年)全国大会講演論文集(1) アーキテクチャ ソフトウェア科学・工学 データベースとメディア,一般社団法人情報処理学会,2011年03月02日,pp.1-683~1-684,2N-3
6.飯塚 新司,ヘルプデスクの問合せデータを用いたFAQ抽出技術の研究,日立ソリューションズ東日本 技報,株式会社日立ソリューションズ東日本,2019年10月29日,第25号,pp.31~34
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
「1 (実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
●理由1(実施可能要件)について
(1)実施可能要件の判断手法
発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するというためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要すると解される。そして、この規定のいう「実施」とは、物の発明においては、当該発明にかかる物の生産、使用等をいうものであるから、実施可能要件を満たすといえるためには、明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が当該発明に係る物を生産し、使用することができる程度のものでなければならない。
以下、この観点に立って検討する。
(2)請求項1について
ア 請求項1に係る発明は、再掲すると以下のとおりのものである。
「利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得部と、
前記検索クエリと、前記検索クエリに対応する、複数の情報サービスから取得した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果との関係を予め学習し、
当該関係に基づき、前記検索クエリを変換する学習モデルを生成する学習部と、
前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを変換する変換部と、
を備える情報処理装置。」
イ 明細書の記載
本願明細書には、上記請求項1に関連して、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。以下、同様。)
(ア)「【0017】
例えば、図1に示す例では、情報処理装置10は、検索クエリと被選択検索結果の関係を学習モデルに学習させる(ステップS1)。情報処理装置10は、利用者から検索クエリの入力を受け付ける(ステップS2)。情報処理装置10は、入力された検索クエリを変換する(ステップS3)。情報処理装置10は、変換された検索クエリに基づいて、関連情報を取得する(ステップS4)。情報処理装置10は、取得した関連情報を利用者端末に表示させる(ステップS5)。
【0018】
〔1-2.情報処理装置の処理について〕
ここで、利用者が入力した検索クエリの形態によっては、利用者が求める情報が検索できない場合がある。その為、利用者が入力した検索クエリを、利用者が求める情報を検索できる検索クエリに変換することが求められる。
【0019】
そこで、情報処理装置10は、検索クエリを変換する学習モデルを生成し、生成された学習モデルを用いて利用者が入力した検索クエリを変換する。
【0020】
例えば、利用者が検索クエリとして、検索クエリA「メーカーAとメーカーBのテニスラケットの性能の違いはなんですか」を入力した場合の処理について説明する。この場合、情報処理装置10は、検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する。すなわち、情報処理装置10は、検索クエリAを「メーカーA」、「メーカーB」、「テニスラケット」、「性能」のキーワードの検索クエリに変換する。情報処理装置10は、検索クエリAがキーワードの検索クエリに変換されたら、キーワードの検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから関連情報を取得する。情報処理装置10は、関連情報を取得したら取得した関連情報を利用者の端末装置に表示させる。
【0021】
これにより、利用者が入力した検索クエリを利用者の検索意図に沿った情報を取得できる検索クエリに変換することができる。その為、利用者が検索クエリを入力することで得たいと考えた情報を利用者に提供することができる。
【0022】
〔1-3.第1検索クエリデータベースを用いた学習処理について〕
ここで、利用者が入力した検索クエリを変換する際に、検索クエリと、検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、利用者が選択した検索結果との関係を学習した学習モデルを用いて、検索クエリを変換できると、利用者の検索意図に沿った検索結果を取得できる検索クエリを得ることができると考えられる。
【0023】
そこで、情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに対応する検索結果の中から利用者が選択した検索結果と、の関係を学習し、学習モデルを生成する。
【0024】
例えば、情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに対応する検索結果の中から利用者が選択した検索結果を意味する被選択検索結果とを対応付けて登録した後述する第1検索クエリデータベース31を備える。情報処理装置10は、第1検索クエリデータベース31に登録されたデータを用いて、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに対応する検索結果の中から利用者が選択した検索結果と、の関係を学習し、学習モデルを生成する。情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリを取得し、取得した検索クエリを学習モデルに入力し、変換された検索クエリの出力を得る。情報処理装置10は、変換された検索クエリの出力を取得したら、変換された検索クエリを用いて、複数 の情報サービスから関連情報を取得する。情報処理装置10は、関連情報を取得したら取得した関連情報を利用者の端末装置に表示させる。
【0025】
これにより、利用者が入力した検索クエリを、利用者の検索意図に沿った情報を取得できる検索クエリに変換することができる。その為、利用者が検索クエリを入力することで得たいと考えた情報を利用者に提供することができる。」
(イ)「【0073】
学習部42は、検索クエリを変換する学習モデルを生成する。例えば、学習部42は、第1検索クエリデータベース31に登録された検索クエリと、被選択検索結果との関係を学習し、検索クエリを変換する学習モデルを生成する。この場合、例えば、被選択検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、利用者が入力した検索クエリを出力する学習モデルを生成してもよい。また、例えば、学習部42は、第2検索クエリデータベース32に登録された検索クエリと、被選択関連情報と、の関係を学習し、検索クエリを変換する学習モデルを生成する。この場合、例えば、被選択関連情報の文字情報に含まれる自然文を入力すると、利用者が入力した検索クエリを出力する学習モデルを生成してもよい。また、例えば、学習部42は、第3検索クエリデータベース33に登録された検索クエリと、被選択質問文と、の関係を学習し、検索クエリを変換する学習モデルを生成する。この場合、例えば、被選択質問文の文字情報に含まれる自然文を入力すると、利用者が入力した検索クエリを出力する学習モデルを生成してもよい。すなわち、学習モデルは、利用者が検索クエリを入力した後の行動に応じてその検索クエリを変換する。換言すれば、学習モデルは、利用者が検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じて、その検索クエリを変換するように学習が行われる。」
(ウ)「【0089】
〔5.効果〕
本開示に係る情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得部411と、検索クエリを変換する学習モデルを生成する学習部42と、学習モデルを用いて検索クエリを変換する変換部43と、を備える。
【0090】
この構成によれば、利用者が入力した検索クエリを、学習モデルを用いて変換することから、利用者に適切な情報を提供することができる。
【0091】
また、学習部42は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに対応する検索結果の中から利用者が選択した検索結果と、の関係を学習し、学習モデルを生成する。
【0092】
この構成によれば、利用者が入力した検索クエリを、利用者の検索意図に沿った検索結果を取得できる検索クエリに変換できる学習モデルを生成することができる。その為、利用者に適切な情報を提供することができる。」
ウ 当審の判断
上記イの記載によれば、本願は、「利用者が入力した検索クエリを変換する際に、検索クエリと、検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、利用者が選択した検索結果との関係を学習した学習モデルを用いて、検索クエリを変換できると、利用者の検索意図に沿った検索結果を取得できる検索クエリを得ることができると考えられる」との着想に基づいてなされたものであり(段落0022)、情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに対応する検索結果の中から利用者が選択した検索結果と、の関係を学習し、学習モデルを生成し(段落0023)、情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに対応する検索結果の中から利用者が選択した検索結果を意味する被選択検索結果とを対応付けて登録した第1検索クエリデータベース31を備えており、情報処理装置10は、第1検索クエリデータベース31に登録されたデータを用いて、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに対応する検索結果の中から利用者が選択した検索結果と、の関係を学習して、学習モデルを生成し、これにより、情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリを取得し、取得した検索クエリを学習モデルに入力し、変換された検索クエリの出力を得ることができるようになり、その結果、情報処理装置10は、変換された検索クエリを用いて、複数の情報サービスから関連情報を取得して、取得した関連情報を利用者の端末装置に表示させることができ(段落0024)、これにより、利用者が入力した検索クエリを、利用者の検索意図に沿った情報を取得できる検索クエリに変換することができる為、利用者が検索クエリを入力することで得たいと考えた情報を利用者に提供することができる(段落0025)という効果が得られるものと認められる。
しかしながら、「検索クエリ」と「検索結果」との関係を学習して得られた「学習モデル」に対して、「検索クエリ」を入力した場合に、当該「学習モデル」から出力されるのは「検索結果」であることが技術常識であり、当該「学習モデル」から「変換された検索クエリ」が出力されることは技術常識であるとはいえない。
そうすると、本願明細書に記載されている「検索クエリと検索結果の関係を学習して得られる学習モデル」は、技術常識から普通に想定される「学習モデル」とは異なる性質のものであるといえるところ、本願明細書には、「検索クエリと検索結果の関係を学習して得られる学習モデル」に関して、具体的にどのような「学習モデル」であるのか、また、当該「学習モデル」に対してどのような「検索クエリ」を入力すると、どのような「変換された検索クエリ」が出力されるのか、また、当該出力された「変換された検索クエリ」を用いて情報サービスから関連情報を取得すると、利用者が得たいと考えた情報を検索結果として取得することができることについての検証結果などについても、何も記載されていない。
また、本願明細書の段落0020には、「例えば、利用者が検索クエリとして、検索クエリA「メーカーAとメーカーBのテニスラケットの性能の違いはなんですか」を入力した場合の処理について説明する。この場合、情報処理装置10は、検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する。すなわち、情報処理装置10は、検索クエリAを「メーカーA」、「メーカーB」、「テニスラケット」、「性能」のキーワードの検索クエリに変換する。」との記載はあるものの、当該記載をみても、どのような「学習モデル」をどのように用いれば、そのような変換を実行できるのかが不明であるうえに、その内容は、単に「自然文の検索クエリ」を「キーワードの検索クエリ」に変換しただけとしか理解できないものである。
さらに、本願明細書の段落0073には、「例えば、学習部42は、第1検索クエリデータベース31に登録された検索クエリと、被選択検索結果との関係を学習し、検索クエリを変換する学習モデルを生成する。この場合、例えば、被選択検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、利用者が入力した検索クエリを出力する学習モデルを生成してもよい。」とも記載されているが、「被選択検索結果の文字情報に含まれる自然文」を入力して、「利用者が入力した検索クエリ」を出力するような「学習モデル」を生成することにどのような技術的意義があるのかが不明であり、また、当該「学習モデル」が、請求項1に係る発明における、「前記利用者が入力した検索クエリを変換する」ことに用いることができる「学習モデル」であるのか否かも不明である。
そうすると、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項1に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるとはいえないから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合するものとはいえない。
(3)請求項2について
ア 請求項2に係る発明は、再掲すると以下のとおりのものである。
「前記学習部は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに基づいて複数の情報サービスから取得した関連情報の中から利用者が選択した関連情報と、の関係を学習し、学習モデルを生成する、 請求項1に記載の情報処理装置。」
イ 明細書の記載
本願明細書には、上記請求項2に関連して、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0026】
〔1-4.第2検索クエリデータベースを用いた学習処理について〕
ここで、利用者が入力した検索クエリを変換する際に、検索クエリと検索クエリに基づいて複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、利用者が選択した関連情報を学習した学習モデルを用いて、検索クエリを変換できると、利用者の検索意図に沿った関連情報を複数の情報サービスから取得できる検索クエリを得ることができると考えられる。
【0027】
そこで、情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに基づいて複数の情報サービスから取得した関連情報の中から利用者が選択した関連情報と、の関係を学習し、学習モデルを生成する。
【0028】
例えば、情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに基づいて複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、利用者が選択した関連情報を意味する被選択関連情報と、を対応付けて登録した後述する第2検索クエリデータベース32を備える。情報処理装置10は、第2検索クエリデータベース32に登録されたデータを用いて、利用者が入力した検索クエリと、検索クエリに基づいて複数の情報サービスから取得した関連情報の中から利用者が選択した関連情報と、の関係を学習し、学習モデルを生成する。情報処理装置10は、利用者が入力した検索クエリを取得し、取得した検索クエリを学習モデルに入力し、変換された検索クエリの出力を得る。情報処理装置10は、変換された検索クエリの出力を取得したら、変換された検索クエリを用いて、複数の情報サービスから関連情報を取得する。情報処理装置10は、関連情報を取得したら取得した関連情報を利用者の端末装置に表示させる。
【0029】
これにより、利用者が入力した検索クエリを、利用者の検索意図に沿った関連情報を取得できる検索クエリに変換できる。その為、利用者が検索クエリを入力することで得たいと考えた情報を利用者に提供することができる。」
ウ 当審の判断
上記イで摘記した本願明細書の段落0026~0029の記載は、同明細書の段落0022~0026の記載に対して、「検索結果」を「情報サービスから取得した関連情報」に置き換えた程度の内容であり、これらの記載内容を参酌しても、「検索クエリ」と「利用者が選択した関連情報」との関係を学習すると、具体的にどのような「学習モデル」が生成できるのか、また、当該「学習モデル」を用いると、どのような理由で、「利用者が入力した検索クエリを、利用者の検索意図に沿った関連情報を取得できる検索クエリに変換できる」のか、さらに、どのような理由で、「利用者が検索クエリを入力することで得たいと考えた情報を利用者に提供することができる」のかが明らかであるとはいえない。
加えて、請求項2は請求項1を引用するものであるところ、請求項1で生成された「学習モデル」と請求項2で生成された「学習モデル」は異なる「学習モデル」であるところ、これら2つの異なる「学習モデル」がそれぞれどのようなものであるのか、また、両者をどのように用いて検索クエリを変換するのかについて、明細書には何も説明されていないから、本願明細書の発明の詳細な説明に基づいて、請求項2に係る発明を、当業者が過度の試行錯誤を要することなく実施できるとはいえない。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項2に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるとはいえないから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合するものとはいえない。
(4)請求項4について
ア 請求項4に係る発明は、再掲すると以下のとおりのものである。
「前記変換部は、前記学習モデルを用いて、自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。」
イ 当審の判断
本願明細書には、上記請求項4に関連して、段落0019~0020に、「そこで、情報処理装置10は、検索クエリを変換する学習モデルを生成し、生成された学習モデルを用いて利用者が入力した検索クエリを変換する。」(段落0019)、「例えば、利用者が検索クエリとして、検索クエリA「メーカーAとメーカーBのテニスラケットの性能の違いはなんですか」を入力した場合の処理について説明する。この場合、情報処理装置10は、検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する。すなわち、情報処理装置10は、検索クエリAを「メーカーA」、「メーカーB」、「テニスラケット」、「性能」のキーワードの検索クエリに変換する。情報処理装置10は、検索クエリAがキーワードの検索クエリに変換されたら、キーワードの検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから関連情報を取得する。」(段落0020)との記載があるものの、上記請求項1において判断したように、単に自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換しただけとしか理解できないものであるうえに、どのような「学習モデル」をどのように用いることで、自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換しているのかも不明である。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項4に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるとはいえないから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合するものとはいえない。
(5)請求項8、9について
請求項8は、請求項1を方法の発明として記載したものであり、請求項9は、請求項1をプログラムの発明として記載したものであるから、上記請求項1で指摘したことと同様のことがいえる。
(6)小括
以上のとおりであるから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
●理由2(明確性)について
・請求項1~9
請求項1には、「前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを変換する変換部」と記載されているが、当該記載では、「利用者が入力した検索クエリ」を“何”に「変換する」のかが特定されていないため、変換部がどのような変換動作を行っているのかが不明確である。
上記の点は、請求項1を直接または間接的に引用する請求項2~7、請求項1を方法の発明として記載した請求項8、及び請求項1をプログラムの発明として記載した請求項9についても同様である。」
第4 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」ともいう。)は、令和7年2月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-9は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得部と、
前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデルを生成する学習部と、
前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記学習部は、利用者が入力した検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、前記利用者が選択した関連情報の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデルを生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習部は、利用者が入力した検索クエリに基づいて、質問回答サービスから取得した関連する質問文の中から、前記利用者が選択した質問文の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデルを生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記変換部は、前記学習モデルを用いて、自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記変換部が変換した後の検索クエリに基づいて、複数の情報サービスの中から関連情報を取得する第2取得部と、を備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2取得部は、前記変換部が変換した後の検索クエリに基づいて、情報サービスとして質問回答サービスの中から関連情報として質問文を取得する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
文字情報に対応する分散表現を計算する計算部と、
質問文に対応する分散表現の類似度に基づいて質問文をクラスタリングする分類部と、
変換後の検索クエリの分散表現の計算結果に基づいて、前記検索クエリに関連する質問文のクラスタを選定し、選定されたクラスタに含まれる質問文を取得する第3取得部と、を備える、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得工程と、
前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデルを生成する学習工程と、
前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得手順と、
前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデルを生成する学習手順と、
前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換手順と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである。)
ア 「【0001】
本発明は、コンテンツを検索する検索装置等に関するものである。」
イ 「【0020】
図1は、本実施の形態における情報システムの概念図である。情報システムは、情報検索装置1、1または2以上の端末装置2、コンテンツ格納装置3を備える。端末装置2は、ユーザが使用する端末であり、例えば、いわゆるスマートフォン、ノートパソコンを含むパソコン、タブレット端末等である。」
ウ「【0025】
情報検索装置1を構成する選択ログ格納手段10は、1以上の選択ログを格納している。選択ログは、例えば、コンテンツのクリックログ、コンテンツの出力のログなどである。また、コンテンツは、例えば、広告やウェブページ等である。つまり、選択ログは、例えば、広告のクリックログ、ウェブページの出力ログなどである。なお、選択ログは、クリックログと言っても良い。なお、選択ログは、通常、選択のためのクエリの情報、選択されたコンテンツの情報を含む。また、選択ログは、例えば、1以上のクエリ情報である1以上の第一情報と、選択されたコンテンツに対応付いている1以上の第二情報とを有する。なお、ここでは、選択ログ格納手段10は、情報検索装置1が保持しているが、外部装置が選択ログ格納手段10を保持していても良い。
・・・(中略)・・・
【0028】
関連度情報格納手段11は、変換行列を格納していても良い。変換行列は、関連度情報を有する関連度行列である。また、変換行列は、1以上の各第一情報と1以上の各第二情報との関連度を示す関連度情報を要素として有する行列である。また、変換行列は、例えば、一軸が第一情報に対応し、他軸が第二情報に対応する行列である。
【0029】
受付手段12は、指示や情報等を受け付ける。受付手段12が受け付ける指示や情報等は、例えば、コンテンツを検索するためのクエリである。クエリは、コンテンツの検索に使用する1以上の情報である1以上のクエリ情報を含む。ここでの、情報は、通常、用語であるが、画像や音声等でも良い。用語とは、通常、単語であるが、連語、文の一部または全部等でも良い。また、クエリ情報は、例えば、ユーザが入力した情報(例えば、キーワード)またはユーザコンテキストである。ユーザコンテキストとは、ユーザに関する情報であり、例えば、ユーザの性別、年齢、年齢層、ユーザが居る位置を示す位置情報、受付手段12がクエリ等を受け付けた際の天気や季節や時刻、ユーザが使用している端末装置2の種類等である。端末装置2の種類は、例えば、スマートフォン、携帯電話、パソコン、またはタブレット端末等である。」
エ 「【0034】
クエリ変換手段13は、受付手段12が受け付けたクエリを用いて、検索に使用する1以上の第二情報を取得する。
【0035】
具体的には、クエリ変換手段13は、1以上の各クエリ情報に対応する1以上の第一情報と1以上の関連度情報とを用いて、予め決められた条件を満たすほど、1以上の第一情報に対する関連度が大きい1以上の第二情報を取得する。クエリ情報に対応する第一情報とは、通常、クエリ情報と同一の第一情報である。また、予め決められた条件とは、例えば、関連度が上位N(Nは1以上の自然す)の第二情報、関連度がXより大きい第二情報等である。クエリ変換手段13は、取得する各第二情報に対応付いた値も取得することは好適である。
【0036】
クエリ変換手段13は、例えば、受付手段12が受け付けた1以上のクエリ情報を用いたベクトルであるクエリベクトルと変換行列とを乗算し、1以上の各第二情報に対応する値を取得し、値が予め決められた条件を満たすほど大きい値に対応する1以上の第二情報を取得する。クエリベクトルとは、通常、クエリ情報に対応する要素が1、クエリ情報に対応しない要素が0のベクトルである。ここでの予め決められた条件も、関連度が上位N(Nは1以上の自然す)の第二情報、関連度がXより大きい第二情報等である。
【0037】
検索手段14は、クエリ変換手段13が取得した1以上の第二情報を用いて、コンテンツを検索する。検索手段14は、通常、1以上の第二情報を検索キーとして、コンテンツを検索する。ここで、コンテンツとは、例えば、広告、ウェブページ等である。また、検索手段14は、ここでは、コンテンツ格納装置3から1以上のコンテンツを取得するが、検索手段14は、情報検索装置1が保持しているコンテンツデータベースから、1以上のコンテンツを取得しても良い。なお、通常、コンテンツには、1以上の第二情報が対応付けられている。
・・・(中略)・・・
【0041】
また、関連度取得手段16は、1以上の選択ログから、1以上の各第一情報と1以上の各第二情報との関連度を示す関連度情報を要素として有する変換行列を取得する。
【0042】
さらに、関連度取得手段16は、1以上の各第一情報ごとに、1以上の各第二情報に対応するコンテンツの選択率である第一選択率と、1以上の各第一情報および1以上の各第二情報に対応するコンテンツの選択率である第二選択率とを、1以上の選択ログから取得することは好適である。そして、関連度取得手段16は、1以上の各第二情報ごとに、当該第一選択率と当該第二選択率との比を算出し、当該比が予め決められた条件を満たすほど大きい第一情報と第二情報との関連度情報のみを取得することは好適である。」
オ 「【0088】
今、情報検索装置1の関連度情報格納手段11は、図7に示す変換行列を保持している、とする。図7に示す変換行列の縦軸は、クエリの特徴空間であり、8つの第一情報を有する第一情報集合の例である。また、図7に示す変換行列の横軸は、広告のコンテンツ情報空間であり、8つの第二情報を有する第二情報集合の例である。」
カ 「【0100】
次に、情報検索装置1の関連度取得手段16が、関連度情報を取得するための具体的な動作について説明する。
【0101】
今、選択ログ格納手段10は、例えば、図9に示す多数のクリックログを格納している。クリックログは、クエリ特徴空間と広告の情報空間とを有する。クエリ特徴空間は、ユーザが検索に用いた用語であるクエリ用語とユーザコンテキストとを有する。ユーザコンテキストは、ここでは、性別、年代、位置(ユーザの位置)などを有する。また、広告の情報空間は、1以上の単語を有する。
【0102】
なお、クリックログは、ここでは、例えば、ユーザがウェブページに表示された広告をクリックした際に取得される情報である。クリックログの収集方法は公知技術であるので、詳細な説明は省略する。なお、クリックログは、選択ログの一例である。また、クエリ特徴空間が有するクエリ用語やユーザコンテキストは、第一情報の例である。さらに、広告の情報空間の各単語は、第二情報の例である。
【0103】
また、ここでの広告は、例えば、テキスト広告であり、広告と1以上の単語とが対応付いている、とする。なお、1以上の単語は、広告の特徴を良く示す単語であり、例えば、その広告において、tf-idf値が閾値より大きい1以上の単語である。なお、tf-idf値は公知技術であるので説明は省略する。
【0104】
かかる状況において、関連度取得手段16は、選択ログ格納手段10の多数のクリックログから、1以上の各第一情報と1以上の各第二情報と関連度情報を取得する。ここで、関連度取得手段16は、クエリ特徴空間を構成する情報であるクエリ特徴(qi)と、広告の情報空間を構成する情報である広告単語(aj)との関連度を示す関連度情報(wij)を算出する。具体的には、関連度取得手段16は、クエリ特徴(qi)と広告単語(aj)とが対応付いているクリックログが多いほど、大きな値となる関連度情報(wij)を算出する。
【0105】
さらに具体的には、関連度取得手段16は、例えば、以下の第一の方法、または第二の方法により、関連度情報(wi,j)を算出する。
(第一の方法)
【0106】
関連度取得手段16は、全クリックログの中で、クエリ特徴(qi)と広告単語(aj)とが対応付いている確率を、クエリ特徴(qi)と広告単語(aj)との組み合わせごとに取得する。そして、関連度取得手段16は、上記確率を要素とする変換行列を取得する。なお、対応付いている確率とは、クリックログの中で、クエリ特徴(qi)と広告単語(aj)の両方が出現する確率である。
(第二の方法)
【0107】
関連度取得手段16は、クエリ特徴(qi)と広告単語(aj)との組み合わせごとに、以下の数式1を用いて、mi,jを算出する。mi,jは関連度情報である。
[図:0001423168000001.jpg]
【0108】
数式1のctr(qi,aj)は、クリックログの中で、クエリ特徴(qi)と広告単語(aj)の両方が出現する確率である。なお、ctr(qi,aj)は、上述した第二選択率である。また、第二選択率は、1以上の各第一情報および1以上の各第二情報に対応するコンテンツの選択率である。
【0109】
また、数式1のctr(aj)は、広告単語(aj)が出現する確率である。なお、ctrは、「click-through rate」の略である。なお、ctr(aj)は、上述した第一選択率である。また、第一選択率は、1以上の各第二情報に対応するコンテンツの選択率である。
【0110】
そして、大きな値をとるmi,jは、「広告単語(aj)を含む広告は、クエリがクエリ特徴(qi)を含む場合、よりクリックされやすいこと」を示す。
【0111】
そして、関連度取得手段16は、mi,jが予め決められた条件を満たすほど大きい第一情報と第二情報との関連度情報(mi,j)のみを取得する。ここで、予め決められた条件は、例えば、1以上の各クエリ特徴(qi)ごとに、上位Mfilter個のmi,jのみを採用することである(数式2参照)。なお、Mfilterは、1以上の自然数である。また、Aiは採用されたmY,jである。
[図:0001423168000002.jpg]
(実験)
【0112】
以下、上記の第二の方法を用いた場合の実験結果について説明する。本実験において、ウェブページに出力される広告のクリックログを用いた。つまり、コンテンツは広告である。
【0113】
本実験において、6週間のクリックログを用いた。6週間のクリックログのうち、最初の4週間のクリックログを変換行列の学習のために使用した。次の1週間のクリックログを変換行列の検証のために使用した。そして、最後の1週間のクリックログをテストのために使用した。ここで検証とは、SVMのCのようなハイパーパラメータを交差検定により調整することをいう。
【0114】
また、ここでのクリックログの構造は、(q(r),a(r)i,y(r)i)である。ここで、「q(r)」は、リクエストrのクエリ特徴ベクトルである。また、「a(r)i」は、リクエストrのi番目の出力される広告の広告特徴ベクトルである。また、「y(r)i」は、出力値であり、ユーザが広告をクリックした場合は「1」、クリックしなかった場合は「0」を採り得る値である。」
上記ア~カの記載から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(2)引用発明
「 コンテンツを検索する情報検索装置(段落[0001]、[0020])であって、
受付手段12は、コンテンツの検索に使用するクエリ情報を受け付け(段落[0029])、
クエリ変換手段13は、受付手段12が受け付けたクエリと、変換行列とを用いて、検索に使用する1以上の第二情報を取得し(段落[0034]-[0036])、
検索手段14は、クエリ変換手段13が取得した1以上の第二情報を用いて、コンテンツを検索し(段落[0037])、
変換行列は、縦軸にクエリの特徴空間である第一情報を有し、横軸にコンテンツの情報空間である第二情報を有し(段落[0088]及び図7)、第一情報と第二情報との関連度を示す関連度情報を要素として有する行列であって(段落[0028])、関連度取得手段16は、選択のクエリの情報(第一情報)と、選択されたコンテンツの情報(第二情報)とを含む選択ログ(クリックログ)から変換行列を取得(学習)する(段落[0025]、[0041]-[0042]、[0100]-[0114])、
情報検索装置。」
2.引用文献2~6について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0044】
(その他の実施例)
上述の実施例1および2に限らず、事例検索装置10Aおよび事例検索装置10Bは、検索部11によるFAQデータベース11aの検索結果をスコアに基づいて取得する第1のアルゴリズムを適用して、受け付けた質問情報に応じて選択された第1の質問候補(例えば上位の所定数のFAQの検索結果)を抽出してもよい。そして、事例検索装置10Aおよび事例検索装置10Bは、入力された質問情報に対して正解となる質問ID(例えばFAQ)を対応付けた教師データを学習した学習モデルを用いる第2のアルゴリズムを適用して、受け付けた質問情報に応じて選択された第2の質問候補を抽出してもよい。そして、事例検索装置10Aおよび事例検索装置10Bは、抽出した第2の質問候補(例えばスコアが上位の所定数の質問ID)が、抽出した第1の質問候補に含まれる場合、受け付けた質問情報に応じて選択された質問情報を選択可能に出力し、抽出した第2の質問候補が、抽出した第1の質問候補に含まれない場合、受け付けた質問情報の内容を特定する情報の追加を促す情報を出力するとしてもよい。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0139】
また、コミュニケーションシステムは、AI(Artificial Intelligence)等を利用してもよい。すなわち、コミュニケーションシステムは、類似質問の検索、キーワードの抽出又は回答者の追加等の処理に機械学習等を用いてもよい。例えば、類似質問から選択質問を選んだ結果等を学習データとして、選択質問の抽出方法を学習してもよい。このように、コミュニケーションシステムは、各処理を学習した結果に基づいて処理してもよい。」
(3)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001423168000003.jpg]
」
(4)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、次の事項が記載されている。
「
[図:0001423168000004.jpg]
」
(5)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6の第1節、第3節、第4節には、“問い合わせ内容に近い質問が検索でヒットする確率の高いFAQデータベースを作成するために、分散表現によりテキストを数値ベクトルに変換してクラスタリングし、クラスタの中心点に最も近い分散表現を持つテキストをクラスタの代表テキストとすることで、代表テキストを対象に、分散表現による類似文書検索を行うこと”が記載されていると認められる。
第6 判断
1.当審で通知した拒絶理由について
(1)理由1(実施可能要件)について
ア 本願発明1について
本願発明1は再掲すると以下のとおりのものである。なお、A~Dの符号は、説明のために当審で付したものであり、以下、各符号が付された構成を「構成要件A」~「構成要件D」という。
「【請求項1】
A 利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得部と、
B 前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデルを生成する学習部と、
C 前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換部と、
D を備える情報処理装置。」
上記構成要件Bにおいて、学習モデルは、「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデル」と特定されているから、構成要件Bの学習モデルは、「自然文」を入力すると、「検索クエリ」を出力するものである。
一方、構成要件Cは、「前記学習モデル」、すなわち、構成要件Bの学習部において生成された「学習モデル」を用いることが特定されている一方で、当該「学習モデル」に入力されるものは、「検索クエリ」であり、「学習モデル」を用いて変換される結果、すなわち、「学習モデル」の出力は、「検索クエリ」である。
そうすると、構成要件Bの学習モデルは、「自然文」を入力すると「検索クエリ」を出力するものであるのに対して、構成要件Cの学習モデルは、「検索クエリ」を入力すると「検索クエリ」を出力するものであるから、一見すると両者は整合していない。
しかしながら、「検索クエリ」は、キーワードの検索クエリも、自然文の検索クエリも、どちらも普通に使用されるものであることが技術常識であり、この技術常識を踏まえると、構成要件Bの「自然文」を入力すると「検索クエリ」を出力する学習モデルと同じ「学習モデル」を用いる構成要件Cの学習モデルは、「検索クエリとしての自然文」を入力すると「検索クエリ」を出力する学習モデルであると解さざるを得ない。
そうすると、構成要件Cの「変換部」は、構成要件Bの「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデル」を用いて「検索クエリとしての自然文」を「検索クエリ」に変換するものであるといえるから、そのような「学習モデル」は、“技術常識から普通に想定される「学習モデル」とは異なる性質のものである”とはいえない。
そして、本願明細書の段落0073には、「学習部42は、第1検索クエリデータベース31に登録された検索クエリと、被選択検索結果との関係を学習し、検索クエリを変換する学習モデルを生成する。この場合、例えば、被選択検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、利用者が入力した検索クエリを出力する学習モデルを生成してもよい」と記載されているから、「自然文」を入力すると「検索クエリ」を出力する学習モデルを生成することが実施可能に記載されているといえ、また、そのようにして生成された学習モデルを用いれば、「検索クエリとしての自然文」を「検索クエリ」に変換することができることも明らかである。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項1に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるといえるから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合しないとはいえない。
イ 本願発明2について
本願発明2は再掲すると以下のとおりのものである。
「 【請求項2】
前記学習部は、利用者が入力した検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、前記利用者が選択した関連情報の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデルを生成する
請求項1に記載の情報処理装置。」
本願発明2における「学習モデル」は、「利用者が入力した検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、前記利用者が選択した関連情報の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデル」であるから、上記アで検討したことと同様のことがいえる。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項2に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるといえるから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合しないとはいえない。
ウ 本願発明3について
本願発明3は再掲すると以下のとおりのものである。
「 【請求項3】
前記学習部は、利用者が入力した検索クエリに基づいて、質問回答サービスから取得した関連する質問文の中から、前記利用者が選択した質問文の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデルを生成する
請求項1に記載の情報処理装置。」
本願発明3における「学習モデル」は、「利用者が入力した検索クエリに基づいて、質問回答サービスから取得した関連する質問文の中から、前記利用者が選択した質問文の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデル」であるから、上記アで検討したことと同様のことがいえる。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項3に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるといえるから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合しないとはいえない。
エ 本願発明4について
本願発明4は再掲すると以下のとおりのものである。
「 【請求項4】
前記変換部は、前記学習モデルを用いて、自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。」
本願発明4は、本願発明1~3を引用するものであるから、本願発明4における「学習モデル」は、本願発明1の「利用者が入力した検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、前記利用者が選択した関連情報の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデル」、本願発明2の「利用者が入力した検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、前記利用者が選択した関連情報の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデル」、または本願発明3の「利用者が入力した検索クエリに基づいて、質問回答サービスから取得した関連する質問文の中から、前記利用者が選択した質問文の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデル」のいずれかであるところ、これらの学習モデルを用いて、「自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する」ことができることは明らかである。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項4に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるといえるから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合しないとはいえない。
オ 本願発明5~7について
本願発明5は、本願発明1~3を引用するものであり、本願発明6は、本願発明5を引用するものであり、本願発明7は、本願発明1~6を引用するものであるところ、これらの発明が本願明細書に実施可能に記載されていないとはいえない。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明は、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、請求項5~7に係る発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があるといえるから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件に適合しないとはいえない。
カ 本願発明8、9について
本願発明8は、本願発明1を方法の発明として記載したものであり、本願発明9は、本願発明1をプログラムの発明として記載したものであるから、上記アで検討したことと同様のことがいえる。
(2)理由2(明確性)について
当審では、「請求項1には、「前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを変換する変換部」と記載されているが、当該記載では、「利用者が入力した検索クエリ」を“何”に「変換する」のかが特定されていないため、変換部がどのような変換動作を行っているのかが不明確である」との拒絶理由を通知しているが、令和7年2月3日提出の補正書において、請求項1の変換部が、「前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換部」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
2.原査定の拒絶理由について
(1)理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「コンテンツの検索に使用するクエリ情報を受け付け」る「受付手段12」は、本願発明1の「利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得部」に相当する。
b 引用発明の「変換行列」は、「縦軸にクエリの特徴空間である第一情報を有し、横軸にコンテンツの情報空間である第二情報を有し」、「第一情報と第二情報との関連度を示す関連度情報を要素として有する行列であって」、「関連度取得手段16は、選択のクエリの情報(第一情報)と、選択されたコンテンツの情報(第二情報)とを含む選択ログ(クリックログ)から」「取得(学習)」されるものであるから、“学習モデル”といえるものである。
そうすると、引用発明の「選択のクエリの情報(第一情報)と、選択されたコンテンツの情報(第二情報)とを含む選択ログ(クリックログ)から変換行列を取得(学習)する」「関連度取得手段16」と、本願発明1の「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデルを生成する学習部」とは、“学習モデルを生成する学習部”である点で共通する。
c 引用発明の「第二情報」は、「受付手段12が受け付けたクエリと、変換行列とを用いて」、「クエリ変換手段13」によって「取得」されるものであって「検索に使用」されるものであるから、“検索クエリ”と言いうるものである。
引用発明の「変換行列」は、「選択のクエリの情報(第一情報)と、選択されたコンテンツの情報(第二情報)とを含む選択ログ(クリックログ)から」「取得(学習)」されるものであり、“利用者が検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図”を反映した“学習モデル”といえるから、引用発明の「受付手段12が受け付けたクエリと、変換行列とを用いて、検索に使用する1以上の第二情報を取得」する「クエリ変換手段13」と、本願発明1の「前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換部」とは、後記する点で相違するものの、“前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換部”である点で共通する。
d 上記a~cの検討を踏まえれば、引用発明の「情報検索装置」は、本願発明1の「情報処理装置」に対応する。
上記a~dの検討から、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「 利用者が入力した検索クエリを取得する第1取得部と、
学習モデルを生成する学習部と、
前記学習モデルを用いて、前記利用者が入力した検索クエリを、前記利用者が当該検索クエリを入力した後の行動から推定される検索意図に応じた検索クエリに変換する変換部と、
を備える情報処理装置。」
<相違点1>
学習モデルが、本願発明1では、「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデル」であるのに対して、引用発明では、「縦軸にクエリの特徴空間である第一情報を有し、横軸にコンテンツの情報空間である第二情報を有し、第一情報と第二情報との関連度を示す関連度情報を要素として有する行列」である点。
(イ)判断
相違点1に係る本願発明1の「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデル」という構成は、上記引用文献1-6には記載も示唆もされておらず、また、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
イ 本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであって、本願発明1の「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデル」の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
ウ 本願発明8、9について
本願発明8は、本願発明1を方法の発明として記載したものであり、本願発明9は、本願発明1をプログラムの発明として記載したものであり、本願発明1の「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデル」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
(2)理由3(明確性)について
本願発明1の学習モデルは、「前記検索クエリに基づいて検索した検索結果の中から、前記利用者が選択した検索結果の文字情報に含まれる自然文を入力すると、前記検索クエリを出力する学習モデル」であり、本願発明2の学習モデルは、「利用者が入力した検索クエリに基づいて、複数の情報サービスから取得した関連情報の中から、前記利用者が選択した関連情報の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデル」であり、本願発明3の学習モデルは、「利用者が入力した検索クエリに基づいて、質問回答サービスから取得した関連する質問文の中から、前記利用者が選択した質問文の文字情報に含まれる自然文を入力すると、当該検索クエリを出力する学習モデル」であるから、本願発明1~3の学習モデルが異なる学習モデルであることは明らかである。また、本願発明4には、「前記変換部は、前記学習モデルを用いて、自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換する」と記載されているところ、本願発明4の変換部は、本願発明1~3の学習モデルの何れかを用いて、自然文の検索クエリをキーワードの検索クエリに変換することができることは明らかである。
したがって、「請求項3に記載された「質問回答サービス」に基づき生成した学習モデルと、請求項3が引用する請求項1に記載された「複数の情報サービス」に基づき生成した学習モデルとの関係が不明瞭である」とはいえず、本願発明3-7の記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-003509