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特許拒絶査定不服審判

2022-014241

エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するための装置、エアロゾル化可能媒体の物品、及びエアロゾル生成装置を動作させる方法

審判番号
2022-014241
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-551825外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月09日
審決日
2023年10月30日
公報発行日
2024年04月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (A24F) / P18 .121-WZ (A24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-551825「エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するための装置、エアロゾル化可能媒体の物品、及びエアロゾル生成装置を動作させる方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日国際公開、WO2019/185749、令和 3年 9月 9日国内公表、特表2021-523683〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本件に係る特許出願(以下「本願」という。)は、2019年(平成31年)3月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年3月29日、英国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。 令和3年9月15日付けで拒絶の理由の通知 令和3年12月20日に意見書及び手続補正書の提出 令和4年5月2日付けで拒絶査定 令和4年9月9日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提出 令和4年9月30日に手続補正書(方式)の提出 令和5年3月10日付けで当審における拒絶の理由の通知(以下「当審拒絶理由通知」という。) 令和5年6月14日に意見書及び手続補正書の提出 2 本願発明 本願の請求項1~17に係る発明は、令和5年6月14日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 (本願発明) 「【請求項1】 エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するための装置であって、 ハウジングと、 物品を受け入れるためのチャンバであって、前記物品が、エアロゾル化可能媒体、並びに、所定の距離だけ互いから離間した第1のマーカー及び第2のマーカーを備えるマーカー構成体を備える、チャンバと、 前記第1のマーカーを検知するための第1のセンサ、及び前記第2のマーカーを検知するための第2のセンサを備えるセンサ構成体と を具備し、 前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記所定の距離とほぼ同じ距離だけ互いから離間し、 前記第1のセンサが前記第1のマーカーを検知することができる第1の検知範囲を前記第1のセンサが有し、 前記第2のセンサが前記第2のマーカーを検知することができる第2の検知範囲を前記第2のセンサが有し、 前記第1の検知範囲の1点及び前記第2の検知範囲の1点が、前記所定の距離だけ互いから離間するように、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが互いから離間している、装置。」 3 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由通知の理由1及び理由2の概要は、以下のとおりのものである。 理由1(新規性) 本願の請求項1~3、5~8、11~13、16~18に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性) 本願の請求項1~3、5~18に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献については引用文献等一覧を参照) ●理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について ・請求項 1~3、5~8、11~13、16~18 ・引用文献等 1 ●理由2(進歩性)について ・請求項 9~18 ・引用文献等 1、2 <引用文献等一覧> 1.特表2012-513750号公報(新たに引用する文献) 2.特表2013-534163号公報(原査定の引用文献1) 4 引用文献に記載された事項及び引用発明 (1) 引用文献1について ア 引用文献1の記載 当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献1には、「電気加熱式喫煙システムに使用するための識別情報を有する物品」に関し、以下の記載がある。 (なお、下線は、理解の一助のために当審において付したものである。以下同様。)。 「【0003】 電気加熱式喫煙システムは、典型的にはエーロゾル形成基体を加熱して喫煙者に提供されるエーロゾルを形成するために、加熱器に接続されたバッテリのような電源を含む。作動中に、これらの電気加熱式喫煙システムは、典型的には加熱器に高電力パルスを供給し、作動に必要な温度範囲を提供して揮発性化合物を放出させる。電気加熱式喫煙システムは、再利用可能にし、エーロゾルを形成するためにエーロゾル形成基体を収容する使い捨て喫煙物品を受け取るように配置することができる。」 「【0007】 本発明の第1の態様により、識別情報が上に印刷された喫煙物品と、喫煙物品を少なくとも部分的に受け取るための空洞と、少なくとも1つの加熱要素と、少なくとも1つの加熱要素に電力を供給するための電源と、電源及び少なくとも1つの加熱要素に接続された電気的ハードウエアと、空洞内の喫煙物品の存在を検出し、かつ喫煙物品上に印刷された識別情報に基づいて喫煙システムと共に使用するように構成された他の物品から喫煙物品を区別することが可能な検出器とを含む電気加熱式喫煙システムを提供する。」 「【0009】 検出器は、空洞内の喫煙物品の存在を検出するだけでなく、1つの物品と他の物品間を区別することができる。これは、物品上の識別情報に基づいて行われる。好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、再利用可能である。好ましくは、各喫煙物品は、使い捨て可能である。」 「【0091】 図1は、本発明による電気加熱式喫煙システム101の一例示的実施形態の斜視図である。喫煙システム101は、前部ハウジング部分105と後部ハウジング部分107とを有するハウジング103を含む。前部ハウジング部分105は、喫煙物品又は清浄化物品のような物品を受け取ることができる空洞111を有する前部端部部分109を含む。図1では、喫煙物品101がシガレット115の形態の喫煙物品と共に示されている。この実施形態では、前部ハウジング部分105はまた、ディスプレイ113を含む。ディスプレイ113は、詳細には示されていないが、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又はプラズマディスプレイパネルのようなあらゆる適切な形態のディスプレイを含むことができる。更に、ディスプレイは、喫煙物品又は清浄化物品などに関連するあらゆる必要な情報を表示するように配置することができる。 【0092】 電気加熱式喫煙システム101はまた、空洞に又はそれに隣接して配置された検出器(図1には図示せず)を含む。検出器は、空洞内の物品の存在を検出し、かつシステムと共に使用される様々な物品間を区別することができる。これは、図2を参照して以下に更に説明する。 【0093】 図2は、本発明の実施形態である電気加熱式喫煙システム101と共に使用することができる本発明による喫煙物品115、115’、115’’、115’’’の4つの例示的実施形態を示している。」 「【0109】 図2dは、シガレット115’’’の形態をした喫煙物品を示す。図2aのように、シガレットタイプに関連する情報は、複数の円形線215を使用して符号化される。円形線215は、空洞111内に受け取られるシガレット115’’’の部分に設けられ、喫煙体験中に線が損傷することになる可能性を低くするために加熱端部からできるだけ遠くに設けられる。更に、シガレット上に付加的な円形線217が設けられる。線217は、加熱端部の近くに設けられ、かつ喫煙体験に伴う加熱中に変更されるように設計される。線の変更は、シガレットが喫煙されたことを示すことになる。 【0110】 図2a及び2bに示すように、円形線215は、赤外線(IR)、紫外線(UV)、又は可視インクを用いて、又は燐光性又は蛍光性マーク付けを使用して喫煙物品上に印刷することができる。円形線217は、空洞内部が高温になった時に変わるか又は消えるように配置された熱感応性インクを用いて印刷することができる。あるいは、別の機構の使用により、加熱中に線の外観を変えることが可能になる。 【0111】 図2dでは、検出器は、219で概略で示されている。検出器は、図2a及び2bに関連して上述したように、あらゆる適切な種類のセンサとすることができる。検出器は、シガレットの存在を検出してシガレットを区別し、円形線217を使用してシガレットが喫煙されたか否かを判断するために円形線215を使用するように配置される。図2dでは1つの検出器が示されているが、線215及び217に対して別々の検出器を設けることができる。喫煙物品が喫煙されたか又は喫煙されなかったかは、線217が簡単に表示することができる。代替的に、線217は、シガレットがどの位喫煙されたかを表示することができる。そのような情報は、シガレットから更に別の吸煙が可能か否か及び他の同様な情報を表示することができる。そのような情報は、ハードウエアに格納することができる。そのような情報はまた、ユーザに対して表示することができる。 【0112】 図2dの実施形態では、情報の1つのセット(線215)が使用されてシガレットが識別され、情報の別のセット(線217)が使用されてシガレットが吸煙されたか否か、及び任意的にシガレットがどの位吸煙されたかが識別される。しかし、シガレットのタイプ及びそれが喫煙されたか否かの両方を表示する情報の単一のセットの表示が同様に可能である。例えば、線の1つのセットが、加熱中に変わるように配置されると同時に、シガレット上に符号化された情報を提供することができるであろう。シガレット上の線の位置は、線の目的に応じて適切であることになる。」 「【0116】 本発明の説明した実施形態は、いくつかの利点を提供する。第1に、システムは、シガレット寸法の妥当な製造公差を考慮している。」 「【図1】 [図:0001408439000001.jpg] 」 「【図2a】 [図:0001408439000002.jpg] 」 「【図2d】 [図:0001408439000003.jpg] 」 イ 上記アから認められること (ア)上記アの段落【0007】、【0009】及び【0109】~【0112】に記載された事項並びに図2dの図示事項によると、喫煙物品115’’’が、所定の距離だけ互いから離間した情報の1つのセットである線215及び情報の別のセットである線217を備える印刷された識別情報を備えることが認められる。ここで、線215と線217とが所定の距離だけ互いに離間していることは、図2dから看て取れる。 (イ)上記アの段落【0111】及び【0112】に記載された事項並びに図2dの図示事項によると、電気加熱式喫煙システムは、情報の1つのセットである線215を検知するための第1の検出器、及び情報の別のセットである線217を検知するための第2の検出器を備える検出器を備えることが認められる。 ウ 引用発明 上記ア及びイから、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「エーロゾル形成基体からエーロゾルを形成するための電気加熱式喫煙システム101であって、 ハウジング103と、 喫煙物品115’’’を受け入れるための空洞111であって、前記喫煙物品115’’’が、エーロゾル形成基体、並びに、所定の距離だけ互いから離間した情報の1つのセットである線215及び情報の別のセットである線217を備える印刷された識別情報を備える、空洞111と、 前記情報の1つのセットである線215を検知するための第1の検出器、及び前記情報の別のセットである線217を検知するための第2の検出器を備える検出器と を具備している、電気加熱式喫煙システム101。」 5 対比 本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (1)後者の「エーロゾル形成基体」は、前者の「エアロゾル化可能媒体」に相当し、同様に、「エーロゾル」は「エアロゾル」に、「形成する」は「生成する」に、「電気加熱式喫煙システム101」は「装置」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「エーロゾル形成基体からエーロゾルを形成するための電気加熱式喫煙システム」は、前者の「エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するための装置」に相当する。 (2)後者の「ハウジング103」は、前者の「ハウジング」に相当する。 (3)後者の「喫煙物品115’’’」は、前者の「物品」に相当し、同様に、「空洞111」は「チャンバ」に、「情報の1つのセットである線215」は「第1のマーカー」に、「情報の別のセットである線217」は「第2のマーカー」に、「印刷された識別情報」は「マーカー構成体」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「喫煙物品115’’’を受け入れるための空洞111であって、前記喫煙物品115’’’が、エーロゾル形成基体、並びに、所定の距離だけ互いから離間した情報の1つのセットである線215及び情報の別のセットである線217を備える印刷された識別情報を備える、空洞111」は、前者の「物品を受け入れるためのチャンバであって、前記物品が、エアロゾル化可能媒体、並びに、所定の距離だけ互いから離間した第1のマーカー及び第2のマーカーを備えるマーカー構成体を備える、チャンバ」に相当する。 (4)後者の「第1の検出器」は、前者の「第1のセンサ」に相当し、同様に、「第2の検出器」は「第2のセンサ」に、「検出器」は「センサ構成体」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「前記情報の1つのセットである線215を検知するための第1の検出器、及び前記情報の別のセットである線217を検知するための第2の検出器を備える検出器」は、前者の「前記第1のマーカーを検知するための第1のセンサ、及び前記第2のマーカーを検知するための第2のセンサを備えるセンサ構成体」に相当する。 (5)センサが検知対象を検知するにあたって、固有の検知範囲を有することが技術常識であることを勘案すると、後者の「第1の検出器」も、情報の1つのセットである線215を検知するために、所定の検知範囲を有することが明らかであるから、前者の「前記第1のセンサが前記第1のマーカーを検知することができる第1の検知範囲を前記第1のセンサが有」することに相当する構成を有しているといえる。 (6)同様に、後者の「第2の検出器」も、情報の別のセットである線217を検知するために、所定の検知範囲を有することが明らかであるから、前者の「前記第2のセンサが前記第2のマーカーを検知することができる第2の検知範囲を前記第2のセンサが有」することに相当する構成を有しているといえる。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するための装置であって、 ハウジングと、 物品を受け入れるためのチャンバであって、前記物品が、エアロゾル化可能媒体、並びに、所定の距離だけ互いから離間した第1のマーカー及び第2のマーカーを備えるマーカー構成体を備える、チャンバと、 前記第1のマーカーを検知するための第1のセンサ、及び前記第2のマーカーを検知するための第2のセンサを備えるセンサ構成体と を具備し、 前記第1のセンサが前記第1のマーカーを検知することができる第1の検知範囲を前記第1のセンサが有し、 前記第2のセンサが前記第2のマーカーを検知することができる第2の検知範囲を前記第2のセンサが有している、装置。」 [相違点1] 本願発明では、「前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記所定の距離とほぼ同じ距離だけ互いから離間し」、「前記第1の検知範囲の1点及び前記第2の検知範囲の1点が、前記所定の距離だけ互いから離間するように、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが互いから離間している」のに対して、引用発明では、そのような特定がされていない点。 6 判断 (1)相違点1の検討 引用発明の「検出器」についても、空洞111内に喫煙物品115’’’が受け取られた状態で、「第1の検出器」が、その検知範囲において対応する位置にある「情報の1つのセットである線215を検知」し、「第2の検出器」が、その検知範囲において対応する位置にある「情報の別のセットである線217を検知」するものであり、「第1の検出器」及び「第2の検出器」がそれぞれの検知範囲において、「線215」及び「線217」をそれぞれ検知可能なように、「第1の検出器」と「第2の検出器」とが離間して配置されていると解するのが合理的である。 そして、情報であるマーカーをセンサにより検出する際に、センサがマーカーを確実に検出するため、マーカーがセンサの検出範囲にあるようにセンサの位置をマーカーの位置に近接するように配置することは、技術常識であるから(当該技術常識を、以下「センサの配置についての技術常識」という。)、引用発明についても、第1の検出器(第1のセンサ)の位置を情報の1つのセットである線215(第1のマーカー)の位置に近接して配置されると共に、第2の検出器(第2のセンサ)の位置を情報の別のセットである線217(第2のマーカー)の位置に近接して配置されるものと解するのが合理的である。 そうすると、引用発明の第1の検出器及び第2の検出器も、情報の1つのセットである線215と情報の別のセットである線217とが離間した所定の距離とほぼ同じ距離だけ互いから離間し、第1の検出器の検知範囲(第1の検知範囲)及び第2の検出器の検知範囲(第2の検知範囲)は、第1の検出器の検知範囲の1点及び第2の検出器の検知範囲の1点が、前記所定の距離だけ互いから離間するものと認められる。 ここで、本願発明において、「前記第1の検知範囲の1点及び前記第2の検知範囲の1点が、前記所定の距離だけ互いから離間するように、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが互いから離間している」ことについては、物品間で第1のマーカー及び第2のマーカーの配置が異なって、所定の距離に許容する差があっても、エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するための装置のチャンバに物品を受け入れた状態で、第1のセンサ及び第2のセンサにより、所定の距離だけ互いから離間した第1のマーカー及び第2のマーカーが検出されるという作用機序(本願明細書の段落【0035】及び【0036】)を有するところ、引用発明においても、喫煙物品115’’’(物品)間で情報の1つのセットである線215及び情報の別のセットである線217の配置が異なって、所定の距離に許容する差があっても、電気加熱式喫煙システム101(装置)の空洞111(チャンバ)に喫煙物品115’’’を受け入れた状態で、第1の検出器及び第2の検出器により、所定の距離だけ互いから離間した情報の1つのセットである線215及び情報の別のセットである線217が検出されることから、本願発明と同様の作用機序を有するものといえる。 したがって、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。 仮に相違点1が実質的な相違点であるとしても、引用発明において、第1の検出器及び第2の検出器が、情報の1つのセットである線215と情報の別のセットである線217とが離間した所定の距離とほぼ同じ距離だけ互いから離間し、第1の検出器の検知範囲の1点及び第2の検出器の検知範囲の1点が、前記所定の距離だけ互いから離間するものとして、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、上記センサの配置についての技術常識を考慮することにより当業者が適宜なし得た設計的事項にすぎないというほかない。 そして、本願発明を全体としてみても、その奏する効果は、引用発明から、当業者が予測し得る範囲のものである。 (2)請求人の主張について 請求人の主張について以下に検討する。 ア 請求人は、令和5年6月14日に提出された意見書の(2-2)において、本願発明と引用文献1に記載された発明とは、次の相違点1~相違点3で相違する旨を主張する(2頁下から2行~3頁10行)。 「相違点1:引用発明1は、「前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが、前記所定の距離とほぼ同じ距離だけ互いから離間」している構成を有していない点」 「相違点2:引用発明1は、「前記第1のセンサが前記第1のマーカーを検知することができる第1の検知範囲を前記第1のセンサが有し、前記第2のセンサが前記第2のマーカーを検知することができる第2の検知範囲を前記第2のセンサが有する」という構成を有していない点」 「相違点3:引用発明1は、「前記第1の検知範囲の1点及び前記第2の検知範囲の1点が、前記所定の距離だけ互いから離間するように、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサが互いから離間している」という構成を有していない点」 そして、同意見書の(2-3)において、 「(c)実際的に、引用文献1における別々の検出器は、おそらく、無数の異なる方法にて配置することができるものと思われる。例えば、別個の検出器は、互いに隣接して配置されてもよく(すなわち検出器間の間隔がほぼ、あるいは全くない状態)、このような状態であっても、喫煙物品115```が空洞211に挿入されたときに線215及び線217を読み取ることは問題無くできる。相違点1に係る構成は、本願発明における特徴であるが、引用文献1に記載された内容程度では、相違点1に係る構成を開示した事にはならない。よって、引用文献1には相違点1に係る構成は記載されていない。」(3頁27行~同頁33行)と主張し、 同意見書の(2-4)において、 「相違点2に関し、引用文献1は、別個の検出器の視野に関する情報を何ら開示していない。引用文献1に触れた当業者にとって、別個の検出器は、例えば、「検知範囲」を有さない点センサなどであってもよいものである。従って、引用文献1は、相違点2における第1の検知範囲を有する第1のセンサ、及び第2の検知範囲を有する第2のセンサを何ら開示していない。以上より、引用文献1には相違点2に係る構成は記載されていない。」(3頁下から7行~同頁下から3行)と主張し、 さらに、同意見書の(2-5)において、 「引用文献1は、第1及び第2のセンサ間の距離と、第1及び第2のマーカー間の距離と、をマッチングさせることについて、いかなる開示もしておらず、第1及び第2のセンサのそれぞれの検知範囲に関してもいかなる開示もしていないことを考えると、引用文献1は、相違点3に関し、第1の検知範囲の1点及び第2の検知範囲の1点が、所定の距離だけ互いから離間ことを開示しているとは、到底言うことはできない。以上より、引用文献1には相違点3に係る構成は記載されていない。」(3頁下から2行~4頁5行)と主張する。 しかしながら、上記5(5)及び(6)で述べたとおり、センサが検知対象を検知するにあたって、固有の検知範囲を有することが技術常識であることを勘案すると、引用発明において、「第1の検出器」は、情報の1つのセットである線215を検知するために、検知範囲を有することが明らかであり、また、「第2の検出器」は、情報の別のセットである線217を検知するために、検知範囲を有することが明らかであり、請求人が相違点2として主張する本願発明の構成に相当する構成を有しているといえる。 また、上記(1)で検討したとおり、上記センサの配置についての技術常識を勘案すると、引用発明の第1の検出器及び第2の検出器も、情報の1つのセットである線215と情報の別のセットである線217とが離間した所定の距離とほぼ同じ距離だけ互いから離間し、第1の検出器の検知範囲及び第2の検出器の検知範囲は、第1の検出器の検知範囲の1点及び第2の検出器の検知範囲の1点が、前記所定の距離だけ互いから離間するものと認められ、請求人が相違点1及び相違点3として主張する本願発明の構成に相当する構成を有しているといえるから、請求人の上記主張は、採用することができない。 イ 請求人は、令和5年6月14日に提出された意見書の(3-2)において、相違点1~相違点3と主張する構成が奏する効果に関し、 「(c)本願発明は、セキュリティに妥協することなく、この問題を解決することができる。特に、第1のセンサと第2のセンサとを第1のマーカーと第2のマーカーとの間の距離(所定の距離)とほぼ同じ距離だけ離して配置し、第1の検知範囲内の点と第2の検知範囲内の点とを所定の距離だけ離して配置することにより、間隔を比較し、間隔が一致しているか否かを判定して真正性をチェックすることができる(例えば、本願明細書の段落0034参照)。 (d)本願の請求項1に係る発明の技術的効果は、装置が、装置と共に使用するために、物品上のマーカー間の間隔にある程度の公差を許容することである。従って、本願発明によって解決される技術的課題は、エアロゾル化可能媒体からエアロゾルを生成するための装置を提供することであると考えることができ、この装置は、セキュリティを損なうことなく、装置と共に使用するための物品の幾何学的変動の許容範囲を可能にすることである。」(4頁29行~同頁40行)と主張すると共に、 同意見書の(3-3)において、 「(a)・・・これらの教示は、シガレット寸法の製造ばらつきによる検出の問題を克服するのに役立つ可能性があるが、これらの教示は、本願発明に係る相違点1~3の構成については沈黙している。実際、本願発明は、「所定の距離」(相違点1~3)を比較し、一致させることができるので、本願発明は、引用発明1に対して追加されたセキュリティ層を提供する。 (b)相違点1~3は、審判官が主張するような「当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない」とはいえない。 上述したように、相違点1~3は、上記の技術的効果を提供し、上記の技術的課題を解決するものであり、引用文献1は、このような技術的課題に対する解決手段(相違点1~3)については全く言及していない。」(4頁下から2行~5頁12行)と主張する。 しかしながら、本願発明が奏すると主張する「装置が、装置と共に使用するために、物品上のマーカー間の間隔にある程度の公差を許容すること」という効果については、上記(1)の相違点1の検討によれば、引用発明においても同様に奏することができるものである。 また、「真正性をチェックすることができる」という効果については、第1のマーカー及び第2のマーカーの互いが離間する所定距離について、真正性をチェックすることができるように設定された距離であることや、真正性をチェックするのに必要な、第1のマーカー及び第2のマーカーの互いが離間する所定距離の間隔と、第1のセンサと第2のセンサとの間隔を比較し、間隔が一致しているか否かを判定する構成が、本願発明においては特定されておらず、本願発明が奏する効果とは認めることができないから、請求人の上記主張は、採用することができない。 (3)まとめ したがって、本願発明は、引用発明である。 また、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。 また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-014241

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