特許拒絶査定不服審判
2024-001981
モニターガラス周囲カバー
- 審判番号
- 2024-001981
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-047186外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年02月05日
- 審決日
- 2025年04月09日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】森下 賢樹
- 分類
- P18 .121-Z (G09F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 47186「モニターガラス周囲カバー」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月17日出願公開、特開2019-179238〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、平成31年3月14日の外国語書面出願(パリ条約による優先権主張、2018年3月14日、米国)であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
平成31年 4月 2日 :翻訳文の提出
令和 4年 6月28日付け:拒絶理由通知書(最初)
同年12月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和 5年 3月 1日付け:拒絶理由通知書(最初)
同年 8月 7日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月21日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(10月 3日 :原査定の謄本の送達)
令和 6年 2月 5日 :審判請求書の提出
以下、2018年3月14日を「優先日」という。
2 本願発明について
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年8月7日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
前面を覆うフィルムを有するガラススクリーンを含むビデオモニターと、
前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側に沿って連続して前記ガラススクリーン前面の外周に重なる枠部を有する、前記ビデオモニターに貼付された周囲カバーと、
を備え、
前記枠部は、前記ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シールによって前記覆うフィルムに接着されているとともに、前記連続シールは、前記ガラススクリーンの前方へのガラス片の脱落を防ぐために前記周囲カバーの前記枠部と前記覆うフィルムとの間に設けられ、
前記周囲カバーの枠部は、前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側のそれぞれに沿って、前記ガラススクリーン前面における縁から内側への横方向の範囲で計測された、前記ガラススクリーン前面の2.5mm以上の全外周に重なり、
前記周囲カバーの枠部が前記周囲カバーの第1の部分に設けられ、少なくとも一つの開口が前記周囲カバーの第2の部分に設けられ、前記少なくとも一つの開口を介して前記ビデオモニターの入出力へのアクセスを提供し、前記少なくとも一つの開口が前記ビデオモニターのガラススクリーンから離れた位置にあることを特徴とするビデオモニター組立体。」
(2) 本願発明の分説
検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Eまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】、【図10】、【図19】を元に部材名を記入したものを掲載する。
<本願発明の分説>
A 前面を覆うフィルムを有するガラススクリーンを含むビデオモニターと、
B 前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側に沿って連続して前記ガラススクリーン前面の外周に重なる枠部を有する、前記ビデオモニターに貼付された周囲カバーと、を備え、
C 前記枠部は、前記ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シールによって前記覆うフィルムに接着されているとともに、前記連続シールは、前記ガラススクリーンの前方へのガラス片の脱落を防ぐために前記周囲カバーの前記枠部と前記覆うフィルムとの間に設けられ、
D 前記周囲カバーの枠部は、前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側のそれぞれに沿って、前記ガラススクリーン前面における縁から内側への横方向の範囲で計測された、前記ガラススクリーン前面の2.5mm以上の全外周に重なり、
E 前記周囲カバーの枠部が前記周囲カバーの第1の部分に設けられ、少なくとも一つの開口が前記周囲カバーの第2の部分に設けられ、前記少なくとも一つの開口を介して前記ビデオモニターの入出力へのアクセスを提供し、前記少なくとも一つの開口が前記ビデオモニターのガラススクリーンから離れた位置にあることを特徴とする
X ビデオモニター組立体。
<参考図>
【図1】
[図:0001427419000001.jpg]
【図10】
[図:0001427419000002.jpg]
【図19】
[図:0001427419000003.jpg]
(3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、損傷したビデオモニターからのガラス片の脱落防止に関し、また特に、モニタースクリーンから前方向および横方向のうち一つ以上の方向へのガラス脱落を防ぐために、連続外周シールがモニター周囲カバーとガラススクリーンの間に設けられるよう、ガラスモニタースクリーンの枠として貼付され、接合され、もしくは取り付けられるよう適合されるモニター周囲カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、一般に飛行中の情報や乗客の利用状況を表示するためのビデオモニターを備える。ビデオモニターは、シートバック、パーティション、クラス間仕切り、頭上装備などに搭載され得る。本発明が特定の用途を見出すシートバックモニターは、急減速やその他の緊急事態において対向する乗客の頭部が衝突し得る範囲内にある。したがって、航空機に搭載されたビデオモニターのガラススクリーンは、粉砕されたガラスがモニターから放出して乗客や乗務員に当たるのを防ぐために保護フィルムで覆われる必要がある。
【0003】
適用されるスクリーンフィルムの種類にかかわらず、粉砕されたガラス片は必然的に従来のビデオモニター組立体の側方から、そして最終的には前方に脱落する。したがって、現在の航空機の衝突試験基準を満たすためには、放出されたガラス片がビデオモニターから前方および/または横方向外側に脱落するのを防ぐ封じ込めの解決策が必要である。
…(中略)…
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に開示される本発明の概念は、全体としては、ビデオモニターの粉砕されたガラススクリーンのガラス片が、ビデオモニターの少なくとも前方へ移動または脱落するのを防ぐための封じ込めシステムに関する。封じ込めシステムは、ガラス片がビデオモニターから横方向へ移動または脱落するのを防ぐための側方封じ込め機能をさらに含んでもよい。
【0021】
封じ込めシステムは、全体として、ガラススクリーン前面の外周を囲む所定の最小量の連続部に重なりながら、また、視聴が妨げられないように覆われていないガラススクリーンの大部分を残しながら、ガラススクリーンの枠となる周囲カバーを含む。周囲カバーは、ガラススクリーンまたは保護フィルムに対し、接合、接着、接着テープなどにより直接的に貼付され、それによって、保護フィルムと周囲カバーとの間の前面に連続外周シールを設けることで、ガラススクリーンから放出されて自由になったガラス片がすべてモニターカバーによって封じ込められる。
【0022】
モニターカバーは、OEM製造者によってビデオモニターの製造の際に設置でき、または、その後に既存のビデオモニターに対して適用できる。モニターカバーを貼付する適切な方法は、以下に限定はされないが、接合、接着剤、粘着剤、粘着テープ、熱などを含む。モニターカバーの外形は、例えば審美上の理由によって異なってよい一方、枠の少なくとも一部およびカバーの内部形状は、その下にあるビデオモニターの形状と、少なくとも枠とガラスに関して緊密な係合を形成するようにその形状に対応してもよい。
【0023】
ここで図面を参照すると、図19は、航空機乗客席のシートバック上部を覆い、または、閉鎖するように構成されたシートバックシュラウド100を説明する。シュラウド100は、成型プラスチックまたは他の耐久性材料で形成されてよい。ビデオモニター102は、図示する通り一般的にシュラウド100の中央に置かれる。ビデオモニター102を上方のシートバックシュラウド100に対して中央に置くことは、後方に着席する乗客にとって理想的で人間工学的な視聴位置にビデオモニター102を置くこととなって有利である一方、急減速の際に頭部が衝突する位置にビデオモニター102を置くこととなって不利である。
【0024】
ビデオモニター102は、電気部品、ガラススクリーン104、および、制御および/または入力を含むパネル106を含む筐体を一般に有する。特定の実施形態においては、ガラススクリーン104の前面が、耐摩耗性および/またはガラス片保持のためにPETまたはポリカーボネートフィルムのような保護フィルム108で覆われている。
【0025】
本明細書において「モニターカバー」または「モニター周囲カバー」ともいう周囲カバー110は、ビデオモニター102に貼付され、特に、周囲カバー110は、ガラススクリーン104の前面の少なくとも一部に貼付される。周囲カバー110は、筐体の一部にさらに貼付されてもよいし、または筐体に緊密に係合してもよい。周囲カバー110は、ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側に沿って連続して、ガラススクリーン104の前面114の外周に重なる枠部112を含む。このように、遊離したガラス片を封じ込めるために周囲カバー110の枠部112とガラススクリーン104の前面との間に連続シールが設けられ、これによりガラス片がガラススクリーンの少なくとも前方へ脱落するのを防ぐ。
【0026】
周囲カバー110の枠部112は、枠部112の内面とフィルムとの間でガラス片が移動するのを防げるように、ガラススクリーン104の前面114を覆うフィルム108に接合されてよい。特定の実施形態において、周囲カバー110の枠部112は、ガラススクリーン104の前面114のうち、その上、下、左側、右側のそれぞれに沿って前面における縁から内側への横方向の範囲で計測された2.5mm以上の全外周に重なる。前面114に加えて、周囲カバー110は、ビデオモニターから横方向にガラス片が脱落するのを防ぐためにガラススクリーンおよびビデオモニターの上、下、左側、右側のうち少なくともいずれかと重なってよく、これにより包括的なガラス片封じ込めシステムを提供できる。
【0027】
図1-9は、図19において設置状態が示される周囲カバー110の様々な正面図、背面図、平面図、底面図、側面図、および断面図を示す。周囲カバー110は、図示する通りガラススクリーンの視認可能部位を見るための第1の窓116およびパネル106にアクセスするための第2の窓118を含む。
【0028】
図10-18は、第2の実施形態に係る周囲カバー200の様々な正面図、背面図、平面図、底面図、側面図、および断面図を示す。第1の実施形態に係る周囲カバー110と比べて、第2の実施形態に係る周囲カバー200は、より複雑な形状を持つとともに、シートバックシュラウドまたは枠部材のようなシートバック構成部品に対して周囲カバー200を固定するための締結具を受け入れる孔204をそれぞれ有する複数の横タブ202を包含する。横タブ202は、周囲カバー200を所定位置に固定するために用いられてもよいし、周囲カバー200およびビデオモニターを所定位置に固定するために用いられてもよいし、あるいは、横タブ202をビデオモニターの同様のタブと位置合わせしてそれぞれの孔に一つの締結具を通すことでビデオモニターと周囲カバーの双方を所定位置に固定してもよい。」
3 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性)
本願発明は、その優先日前に発行された下記の引用文献1及び3に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2014-35544号公報(主たる引用文献)
引用文献3.特表2013-506596号公報
4 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特開2014-35544号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(3)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
ア 段落【0001】~【0004】
「【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は概して衝撃安全性に関し、特に、限定はしないが、衝撃を受けた後、透光性材料を予測可能に落下させることのできる、一またはそれ以上の易破断性(frangible)領域を備えた半透過性パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や航空機などの車両は、窓ガラスを含む客室内の領域を含むことが多い。窓ガラスはたとえば、車両のフロントガラスや窓に連携させることができる。
乗客娯楽システムを装備している場合、車両は、移動中の乗客に情報を表示したり、その他の娯楽を提供したりするためのビデオモニタを含むことが多い。様々な理由から、モニタはガラス製のフロントカバーを含むことが望ましい。しかしながら、ガラスは、当たった際に、粉砕して危険な破片に分解する可能性がある。車両が移動中に急に減速や方向転換をしたり、あるいは緊急事態が発生したりする場合、ガラスが乗客の頭やその他の部分にぶつかる可能性がある。乗客のけがの可能性に加えて、割れたガラスは清掃員が除去するのに困難で危険でもある。
【0003】
従来のビデオモニタは通常、ガラス製のフロントカバーを有する。これらのフロントカバーは、連邦航空局が定義した頭部傷害基準の安全設計検査中、安全かつ予測可能には落下しない。すなわち、ガラスの破片またはガラスカバー全体が、このような試験中に客室に落下する。ビデオモニタとガラス製のフロントカバーの一体化が望ましいことを認識し、航空会社もその供給業者も、安全かつ予測可能に落下するガラス製フロントカバーの設計を長年試行してきたが失敗に終わっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の点に鑑み、透光性材料と、輸送やその他の動作環境における衝撃安全性を促進するアセンブリとを提供するシステムおよび方法が必要とされている。」
イ 段落【0008】~【0010】、【図1】
「【0008】
図面は等縮尺ではなく、図面全体を通して説明のため、類似の構造または機能の構成要素には通常、類似の参照符号を付す。また、図面は好適な実施形態の説明を簡易化することのみを目的とする。図面は記載の実施形態の全ての側面を示しておらず、本開示の範囲を限定しない。
【0009】
現在入手可能なビデオモニタは、衝撃を受けたときに粉砕して危険な破片に分解する恐れのあるガラス製のフロントカバーを含むため、予測可能に割れる半透過性パネルが望ましいと実証されており、自動車や航空機などの車両に搭載して使用されるビデオモニタ用のフロントカバーや、スマートフォン、タブレット、およびテレビなどの携帯型または家庭/職場用装置など、幅広い用途の基盤を提供し得る。この結果は、本明細書に開示される一実施形態による、図1に示すようなパネル100によって実現することができる。」
「【図1】
[図:0001427419000004.jpg]
」
「【0010】
図1を参照すると、易破断性(frangible)領域120を有するパネル面110を備えるパネル100が示されている。易破断性領域120は好ましくは、通常時にはパネル面110の残余部分121と区別できないが、所定量の力が易破断性領域120に印加されると、パネル100が安全かつ予測可能に割れるように構成されている。幾分別の言い方をすると、パネル100は衝撃を受けたとき、粉砕しおよび/または鋭利な破片を形成して、近傍の人を傷つける恐れがない。その代わりに、易破断性領域120は好ましくは内部破砕のない無傷ユニットとしてパネル100の残余部分121から分離することができる。それにより、人に危害を及ぼすリスクを最小限に抑えることができる。都合のよいことに、鋭利な破片が存在しないことも、割れたパネル100の清掃および/または交換を容易にすることができる。」
ウ 段落【0014】、【図4】
「【0014】
図4Aは図3Aと同一である。しかしながら、図4Bを参照すると、パネル100の易破断性領域120のパネル面110への力(F)の印加後、境界122の領域が破片123状に分解して、易破断性領域120がパネル100の残余部分121から分離している。図4Bに示すように力(F)の印加後、易破断性領域120は、図4Cに示すように、無傷であり、パネル100の残余部分121から脱離している。図4Cに示すように、破片123の散乱は制御されていない。」
「【図4A】 【図4B】 【図4C】
[図:0001427419000005.jpg]
」
エ 段落【0015】、【図5】
「【0015】
図5Aは、フィルム230がパネル100のパネル面110に貼付されることを除き、図4Aと同一である。フィルム230は一またはそれ以上の層から成り、任意の従来の方法によってパネル面110に配置することができる。図5Bを参照すると、パネル100の易破断性領域120のパネル面110への力(F)の印加後、境界122の領域は破片123状に分解して、易破断性領域120はパネル100の残余部分121から分離し、フィルム領域231周囲のフィルム230を伸張させる。力(F)の印加後、図5Bに示すように易破断性領域120は無傷であり、図5Cに示すようにパネル100の残余部分121から分離される。図5Cにさらに示すように、破片123の散乱は、それ自体引き裂かれフィルム端232を形成しているフィルム230によって制御されている。」
「【図5A】 【図5B】 【図5C】
[図:0001427419000006.jpg]
」
オ 段落【0028】~【0031】、【図13】
「【0028】
図13Aを参照すると、易破断性パネルアセンブリ200の別の実施形態のハウジング210の一部は、明瞭化のためにパネル100から分離して図示されている。パネル100はパネル面110を有し、易破断性領域120を残余部分121から分離する境界122をさらに含む。フィルム230は、パネル100のパネル面110に貼付される。フィルム230は一またはそれ以上の層から成り任意の従来の方法によって、パネル面110に配置することができる。ハウジング210は壁212と、部分的に包囲可能であるチャンバ221を画定(および/または)形成する内面211とを有する。ハウジング210は、内面211を有する選択壁212Aと内面211を有する対向壁212Bとをさらに含む。選択壁212Aと対向壁212Bはいずれもそれぞれフェース壁212Cに接続される。フェース壁は、ハウジング210に開口部214を形成する。図13Aに示すように、ハウジング210は、パネル100のパネル面110を、上述したような任意の従来の方法によりハウジング210の選択壁212Aおよび対向壁212Bの内面211に接続することによって開口部214を閉鎖することができるように構成される。
【0029】
図13Bを参照すると、パネル100は、ハウジング210の選択壁212Aの内面211と対向壁212Bとに接続されることによって開口部214を閉鎖するように示されている。具体的には、パネル100の端面110Bは、選択壁212Aの内面211と対向壁212Bとに接続されるように示されている。また、パネル100の残余部分121を覆うフィルム230の部分は、フェース壁212Cの内面211に接続される。後述するように、フィルム230をフェース壁212Cの内面211に接続することによって、フィルム230がパネル100から剥離するのを防ぐことができる。
【0030】
パネル100の易破断性領域120のパネル面110への力(F)の印加後、図13Cに示すように、境界122は破片123状に分解して、易破断性領域120をパネル100の残余部分121から分離させ、フィルム領域231の周囲のフィルム230を伸張させる。上述したように、フィルム230をフェース壁212Cの内面211に接続することで、フィルム230がパネル100から剥離するのを防止することができる。力(F)の印加後、図13Cに示すように、易破断性領域120はチャンバ221内に後退し、図13Dに示すように無傷のままでパネル100の残余部分121から脱離する。図13Dにも示すように、破片123の散乱は、既に引き裂かれてフィルム端232を形成しているフィルム230によって制御されている。実際には、破片123はチャンバ221内に安全に落下する。
【0031】
衝撃を受けたときにパネルが粉砕しおよび/または鋭利な破片を形成して近傍の人を傷つける恐れのある従来技術の半透過性パネルハウジングと異なり、易破断性領域120が、好ましくは内部破砕なく無傷ユニットとしてパネル100から分離し、チャンバ221内に安全に後退することができる。さらに、フィルム230は破片123の散乱を制御し、チャンバ221内へ安全に落下させる。上記の衝撃安全性特徴を備えた半透過性パネルハウジングは予期不能であると同時に、特に航空業界のビデオモニタにおける長年の需要に応えるものである。」
「【図13A】
[図:0001427419000007.jpg]
」
「【図13B】 【図13C】 【図13D】
[図:0001427419000008.jpg]
」
カ 段落【0039】
「【0039】
図1のパネル100の別の実施形態を図18Aに示す。パネル100は不透明パネル材料を含む任意の従来のパネル材料から形成することができるが、本実施形態のパネル100はガラスやポリカーボネートなどの硬質の透光性材料からも有効に形成することができる。図18Aを参照すると、パネル100は、所定の寸法を有し、少なくとも1つの易破断性領域120を配置するように示されている。図18Aのパネル100は5つの易破断性領域120A~Eを有し、各易破断性領域は選択された形状、サイズおよび/または位置を有する。易破断性領域120A~Eは単に例示のために、様々な形状、サイズ、および位置を有するように図示されている。所望に応じて、選択易破断性領域120は選択された寸法および/または形状を与え、別の易破断性領域120と重複させることができる。図18Aに示すように、第一易破断性領域120A’は第二易破断性領域120C’と部分的に重複することによって、3つの易破断性領域120A~Cを画定するおよび/または境界を定める。図18Aにさらに示すように、易破断性領域120Dは同心円状に易破断性領域120Eに重複する。都合のよいことに、易破断性領域120A~Eの各々により、パネル100は十分な力で衝撃を受けたときに所定の形で破断することができる。たとえば、易破断性領域120Eによって、易破断性領域120Eのみに十分な力を印加された場合、パネル100の残余部分は無傷のままにすることが可能である。」
キ 段落【0053】、【図23A】
「【0053】
図23Aを参照すると、例示のLRUがビデオモニタアセンブリ300として提供されるように図示されている。図23Aに示すように、ビデオモニタアセンブリ300は、ハウジング210とカバーアセンブリ900とを備える。図示されるように、カバーアセンブリ900は、タッチセンサ310に接続されるパネル100に貼付されるフィルム230を含むことができる。ハウジング210は第一ハウジング部材210Aと第二ハウジング部材210Bを含むことができる。第一ハウジング部材210Aは、接着剤、留め具、止め金、または印加力(たとえば、磁石、吸着カップ、または摩擦)などの任意の従来の方法によって、カバーアセンブリ900に接続される。「止め金」という文言は、カバーアセンブリ900と第一ハウジング部材210Aとを相互に接続または分離するように選択的にまたは自動的に係合および/または解放させることのできるブロック、タブ、ポケット、スロット、隆起、係止ピン、片持ち部材、支持ピンなどの係合素子の任意の組み合わせを指す。第二ハウジング部材210Bはビデオディスプレイ320を含む。一実施形態では、ビデオディスプレイ320は、少なくともビデオグラフィックスアレイ(VGA)解像度を有する液晶ディスプレイ(LCD)またはアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイを備えることができる。しかしながら、任意の従来のビデオ技術を使用することができる。図23Aに示すように、ハウジング210は、第一ハウジング部材210Aが上述したような任意の従来の方法によって第二ハウジング部材210Bに接続されるとき、チャンバ221が画定(および/または)形成されるように構成される。さらに、第一ハウジング部材210Aが第二ハウジング部材210Bに接続されると、カバーアセンブリ900の露出面のみがフィルム230のフィルム面230Aとなる。」
「【図23A】
[図:0001427419000009.jpg]
」
ク 段落【0056】、【図24】
「【0056】
図24は、ビデオモニタアセンブリ300を含む例示のユーザシートアセンブリ400を示す。ユーザシートアセンブリ400は建物などの固定動作環境での使用に適するが、乗用車で使用するように設置することもできる。一実施形態では、たとえば、ユーザシートアセンブリ400は従来の旅客機に搭載して配置することができ、その場合、ビデオモニタアセンブリ300はカリフォルニア州レークフォレストのパナソニック・アビオニクス・コーポレーション(元マツシタ・アビオニクス・システムズ・コーポレーションとしても既知)製のシリーズ2000、3000、eFXおよび/またはeX2機内娯楽システムなどの機内娯楽システムの一部として提供することができる。ユーザシートアセンブリ400は、ビデオモニタアセンブリ300の背もたれ410に配置されるように図示されているが、肘掛け420などの、ユーザシートアセンブリ400の任意の従来の領域に配置することもできる。また、ビデオモニタアセンブリ300は、全地球測位システム(GPS)位置情報である高度などの飛行情報を表示する機器パネルの一部として提供することもできる。ガラスなどの半透過性パネルをビデオモニタフロントカバーとして安全に組み込めることは、特に航空業界において予測不能であると同時に、長年の需要に対応するものである。事実、航空会社もその供給業者も、安全かつ予測可能に落下するガラス製フロントカバーの設計を長年試行してきたが失敗に終わっている。」
「【図24】
[図:0001427419000010.jpg]
」
ケ 段落【0064】、【図30A】
「【0064】 図30A~Bは、ビデオモニタアセンブリ300を組み立てる例示の方法を示す。図30Aは、カバーアセンブリ900と、第一ハウジング部材210Aと、第二ハウジング部材210Bとを備えるビデオモニタアセンブリ300を組み立てる例示の方法800Aを示す。810で、第一ハウジング部材210Aを設けることができる。820で、第一ハウジング部材は有効となるように適切に配置することができる。830で、カバーアセンブリ900は、図29に示すように例示の方法700により組み立てることができる。「止め金」という文言は、カバーアセンブリ900と第一ハウジング部材210Aとを相互に接続または分離するように選択的にまたは自動的に係合および/または解放させることのできるブロック、タブ、ポケット、スロット、隆起、係止ピン、片持ち部材、支持ピンなどの係合素子の任意の組み合わせを指す。850で、第二ハウジング部材210Bを設けることができる。860で、ビデオディスプレイ320は、上述したような任意の従来の方法によって、第二ハウジング部材210Bに接続することができる。870で、第一ハウジング部材210Aは、上述したような任意の従来の方法によって、第二ハウジング部材210Bに接続することができる。」
「【図30A】
[図:0001427419000011.jpg]
」
(2) 引用文献1の記載から読み取れる事項
ア 図13の実施例と図23Aの実施例に共通する構成
(ア) 引用文献1の段落【0008】には、「図面は等縮尺ではなく、図面全体を通して説明のため、類似の構造または機能の構成要素には通常、類似の参照符号を付す。」と記載されている。
(イ) そして、引用文献1の図13の実施例(段落【0028】~【0030】)と図23Aの実施例(段落【0053】)は、共通の構成要素として「ハウジング210」、「パネル100」、「フィルム230」を備えている。
(ウ) 前記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用文献1の図23Aに記載されたものにおいても、次の構成を備えているものが認識できる。
「パネル100は、パネル面110を有し、易破断性領域120を残余部分121から分離する境界122を含み、(【0028】)
ハウジング210は、内面211を有する選択壁212Aと内面211を有する対向壁212Bとを含み、選択壁212Aと対向壁212Bはいずれもそれぞれフェース壁212Cに接続され、(【0028】)
フェース壁は、ハウジング210に開口部214を形成し、(【0028】)
ハウジング210は、パネル100のパネル面110を、ハウジング210に接続することによって開口部214を閉鎖し、(【0028】)
パネル100の残余部分121を覆うフィルム230の部分を、フェース壁212Cの内面211に接続することによって、フィルム230がパネル100から剥離するのを防ぎ、(【0029】)
パネル100の易破断性領域120のパネル面110への力(F)の印加後、境界122は破片123状に分解して、易破断性領域120をパネル100の残余部分121から分離させ、フィルム領域231の周囲のフィルム230を伸張させ、(【0030】)
パネル100の易破断性領域120のパネル面110への力(F)の印加後、易破断性領域120はチャンバ221内に後退し、無傷のままでパネル100の残余部分121から脱離し、(【0030】)
フィルム230は、破片123の散乱を制御し、チャンバ221内へ安全に落下させること。(【0030】)」
イ 図23Aから読み取れる事項
前記アを踏まえつつ、引用文献1の図23Aを参照すると、次の事項が見て取れる。
(ア) 認定事項1
「ハウジング210の第一ハウジング部材210Aは、選択壁212A、対向壁212B及びフェース壁212Cを有すること。」
(イ) 認定事項2
「カバーアセンブリ900がハウジング210の内面に接続し、フェース壁212Cはカバーアセンブリ900の前面の外周に一定の範囲で重なること。」
【図23A】(再掲)
[図:0001427419000012.jpg]
(3) 引用発明の認定
前記(2)において認定した事項及び前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、図23Aの実施例に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「ハウジング210とカバーアセンブリ900とを備えるビデオモニタアセンブリ300であって、(【0053】)
ハウジング210は、第一ハウジング部材210Aと第二ハウジング部材210Bを含み、(【0053】)
ハウジング210は、第一ハウジング部材210Aが第二ハウジング部材210Bに接続されるとき、チャンバ221が形成され、(【0053】)
ビデオモニタアセンブリ300は、カバーアセンブリ900と、第一ハウジング部材210Aと、第二ハウジング部材210Bとから組み立てられるものであり、(【0064】)
第二ハウジング部材210Bは、ビデオディスプレイ320を含み、(【0053】)
ハウジング210は、内面211を有する選択壁212Aと内面211を有する対向壁212Bとを含み、選択壁212Aと対向壁212Bはいずれもそれぞれフェース壁212Cに接続され、(【0028】)
ハウジング210の第一ハウジング部材210Aは、選択壁212A、対向壁212B及びフェース壁212Cを有し、(前記認定事項1)
第一ハウジング部材210Aは、接着剤によって、カバーアセンブリ900に接続され、(【0053】)
カバーアセンブリ900は、タッチセンサ310に接続されるパネル100に貼付されるフィルム230を含み、(【0053】)
パネル100は、ガラスから形成され、(【0039】)
パネル100は、パネル面110を有し、易破断性領域120を残余部分121から分離する境界122を含み、(【0028】)
第一ハウジング部材210Aが第二ハウジング部材210Bに接続されると、カバーアセンブリ900の露出面のみがフィルム230のフィルム面230Aとなり、(【0053】)
カバーアセンブリ900がハウジング210の内面に接続し、フェース壁212Cはカバーアセンブリ900の前面の外周に一定の範囲で重なり、(前記認定事項2)
フェース壁は、ハウジング210に開口部214を形成し、(【0028】)
ハウジング210は、パネル100のパネル面110を、ハウジング210に接続することによって開口部214を閉鎖し、(【0028】)
パネル100の残余部分121を覆うフィルム230の部分を、フェース壁212Cの内面211に接続することによって、フィルム230がパネル100から剥離するのを防ぎ、(【0029】)
パネル100の易破断性領域120のパネル面110への力(F)の印加をした場合、境界122は破片123状に分解して、易破断性領域120をパネル100の残余部分121から分離させ、フィルム領域231の周囲のフィルム230を伸張させ、易破断性領域120はチャンバ221内に後退し、無傷のままでパネル100の残余部分121から脱離し、フィルム230は、破片123の散乱を制御し、チャンバ221内へ安全に落下させることができるものであり、(【0030】)
旅客機に搭載されるユーザシートアセンブリ400に含まれるものとして、機内娯楽システムや、飛行情報を表示する機器パネルとして機能する、(【0056】)
ビデオモニタアセンブリ300。」
5 引用文献3の記載事項及び周知技術1の認定
(1) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である特表2013-506596号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
ア 段落【0001】
「【技術分野】
【0001】
本開示は全般的には統合電子システムに関し、さらに詳しくは、ただし限定ではなく、ユーザ座席における自由使用のための統合ユーザインターフェースシステムに関する。」
イ 段落【0038】~【0040】
「【0038】
統合システムモジュール360'は選ばれた情報システムの動作環境内の適切な場所に装着するに適切な、いずれの、形状、寸法及び/または構成も備えることができる。目的が(図10A~10Bに示される)旅客輸送用ビークル390への搭載装備であれば、統合システムモジュール360'は、(図12A~12Bに一括して示される)客室380内の、壁396,天井、フロア、隔壁及び/またはユーザ座席(または客席)382のような、適するいかなる場所にも装着することができる。したがって、システムコンポーネント361には、情報システムのユーザ(または乗客)インターフェース及び(図10A~10B及び図11に示される)配信システム320に付帯するその他のシステムコンポーネントを含めることができる。ユーザ(または乗客)インターフェースシステム360によって、配信システム320を介するビークル情報システム300の情報システムリソースとの、(図8Aに示される)ユーザ(または乗客)900の対話が可能になる。
…(中略)…
【0040】
ユーザインターフェースは、ビークル情報システム300から利用できる、コンテンツ及び、対話型ゲーム、対話型マップ及び/またはショッピングのような、その他のアプリケーションを誘導/案内するか、またはそれらにアクセスするための、グラフィカルユーザインターフェース及び/または階層メニュー構造を提供することができる。有利には、グラフィカルユーザインターフェース及び/または階層メニュー構造は、完全にプログラミング可能とすることができ、複数の言語及び/またはインターフェース/メニューのカスタム化をサポートすることができる。あるいは、及び/またはさらに、統合システムモジュール360'は、ヘッドフォン、パーソナルメディアプレイヤー、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュデバイスと、またはその他のいかなるタイプの通常の周辺デバイスとも、統合システムモジュール360'を接続するための1つ以上のフロントパネル接続を備えることができる。統合システムモジュール360'は、旅客輸送用ビークル390に搭載装備された場合、乗務員呼び寄せまたは、食べ物及び/または飲み物のサービスのような、サービスの要求を含む、ビークル固有コマンドもサポートすることができる。」
ウ 段落【0050】~【0052】、【図3】
「【0050】
統合システムモジュール360'の一実施形態が図3に示されている。図3に示される統合システムモジュール360'は、(図4A~4Bに示される)客席382の(図4A~4Bに示される)背もたれ386に装着するに適する。統合システムモジュール360'は、図2を参照して上でさらに詳細に述べた態様での(図8Aに示される)ユーザ900のビークル情報システム300の情報システムとの対話を可能にするためのユーザインターフェースシステム360をユーザに提供することができる。有利には、ユーザインターフェースシステム360はユーザ座席382の背もたれ386に完全に配置することができる。よって、コントロール及びその他のシステムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)をユーザ座席382の(図12A~12Bに示される)肘掛け388及びその他の領域から排除することができる。言い換えれば、ビークル情報システム300とのユーザの対話は統合システムモジュール360'の統合ユーザインターフェースシステム360だけを介して行うことができる。」
「【図3】
[図:0001427419000013.jpg]
」
「【0051】
統合システムモジュール360'は従来のユーザインターフェースシステムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)のいずれの組合せも備えることができる。例えば、図3のユーザインターフェースシステム360はビデオインターフェースシステム362を備えるとして示される。ビデオインターフェースシステム362は、視聴領域(及び/またはディスプレイ(スクリーン)の大きさ)362Dがあらかじめ定められている、薄型プロファイルの、軽量/低電力ビデオディスプレイシステムを有することが好ましい。ビデオインターフェースシステム362の例には、限定ではなく、液晶ディスプレイ(LCD)システム及び/または有機発光ダイオード(OLED)システムを含めることができる。一実施形態において、ビデオインターフェースシステム362は低電力発光ダイオード(LED)バックライトを備えることができる。ビデオインターフェースシステム362の視聴領域362Dは、いずれかの適するアスペクト比をもつ、いずれかの従来のディスプレイ寸法を含むことができる。例えば、視聴領域362Dは対角線で測って5インチ(12.7cm)と17インチ(43.2cm)の間の範囲にあることができる。視聴領域362Dの対角線測定値の例には7インチ(17.9cm)、9インチ(22.9cm)及び/または10.6(26.9cm)インチを含めることができ、代表的なアスペクト比には4:3のアスペクト比及び16:9のアスペクト比を含めることができる。
【0052】
ビデオインターフェースシステム362は、ビークル情報システム300から利用できる視聴コンテンツ210及びその他の情報の統合システムモジュール360'を介する表示を可能にすることができる。所望に応じて、ビデオインターフェースシステム362は前面パネル対話型コントロール及びその他のエレクトロニクスを備えることができる。言い換えれば、ユーザインターフェースシステム360のユーザ入力システム366は、少なくともある程度、ビデオインターフェースシステム362と統合することができる。」
エ 段落【0066】
「【0066】
統合システムモジュール360'は無モジュールハウジングでも提供され得るが、統合システムモジュール360'はモジュールハウジング367内に配置されることが好ましい。モジュールハウジング367は統合システムモジュール360'のための、温度/ヒートシンク機能及び/または電気遮蔽、例えば電磁干渉(EMI)抑制を提供することができる点で有利である。ユーザ座席382の背もたれ386内に配置するに適するいずれか所望の大きさ(及び/または形状及び/または寸法)のモジュールハウジング367が提供され得る。モジュールハウジング367は、背もたれ386の(図7B~7Cに示される)厚さT及び/またはユーザ座席382の全体の大きさ(及び/または形状及び/または寸法)を最小限に抑える目的のため、薄型プロファイルを備えることが好ましい。」
オ 段落【0069】
「【0069】
モジュールハウジング367はユーザインターフェースシステム360を構成するシステムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)へのユーザのアクセスを可能にすることが好ましい。例えば、モジュールハウジング367は、ビデオインターフェースシステム362によって提供される視聴コンテンツ210をモジュールハウジング367の外側から見えるようにするため、透明パネル領域367Cを有するフェースパネル367Bを備えることができる。透明パネル領域367Cは、所望に応じて、グレアを減じるため及び/または色合いを与えるために処理することができる、ガラスまたはプラスチックのような、いずれか適する透明材料で形成することができる。フェースパネル367Bの透明パネル領域367Cは、ビデオインターフェースシステム362の視聴領域362Dの大きさ(及び/または形状及び/または寸法)に等しい大きさ(及び/または形状及び/または寸法)に形成されることが好ましいが、ビデオインターフェースシステム362の視聴領域362Dの大きさ(及び/または形状及び/または寸法)より大きくするかまたは小さくすることができる、いずれかの所定の大きさ(及び/または形状及び/または寸法)で設けることができる。ビデオインターフェースシステム362が上でさらに詳細に論じた態様で近接センサシステムを含むタッチスクリーンディスプレイシステムを備えていれば、タッチスクリーンディスプレイシステムを、タッチスクリーンディスプレイシステムに実際の触れることなく、フェースパネル367Bを介して作動させ得る点で有利である。」
カ 段落【0070】~【0074】
「【0070】
所望に応じて、ユーザインターフェースシステム360の他のシステムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)へのユーザのアクセスをサポートするため、1つ以上のアパーチャ(及び/または切欠き及び/または開口)367Dをモジュールハウジング367に形成することができる。一実施形態において、図3に示されるように、少なくとも1つのアパーチャ367Dをフェースパネル367Bに形成することができる。図3は、統合システムモジュール360'のオーディオインターフェースシステム364がフェースパネル367Bに隣接して配置されることを示す。オーディオインターフェースシステム364が通常のオーディオコネクタ(及び/またはジャック)を備えていれば、第1のアパーチャ367Dをフェースパネル367Bに形成して、オーディオコネクタに対応させることができる。よって、第1のアパーチャ367Dは、ヘッドセットまたはその他の外部デバイスのオーディオプラグを、フェースパネル367Bを通して延ばし、オーディオインターフェースシステム364のオーディオジャックに着脱可能な態様で接続することが可能になり得る。
【0071】
図3に示されるように、統合システムモジュール360'のアクセスポイント368には、(図7A~7C及び12Bに示される)パーソナルメディアデバイス200を接続するための、ユニバーサルシリアルバス(USB)対応通信ポートのような、有線アクセスポイント368を含めることができる。アクセスポイント368をフェースパネル367Bに隣接して配置し、第2のアパーチャ367Dをフェースパネル367Bに形成して、オーディオコネクタに対応させることができる。例えば、パーソナルメディアデバイス200は(図7A~7Cに示される)通常の通信ケーブルアセンブリ369を介して統合システムモジュール360'と通信することができる。通信ケーブルアセンブリ369は、統合システムモジュール360'との接続のための(図7A~7Cに示される)モジュラー通信コネクタ369A及びパーソナルメディアデバイス200との接続のための(図7A~7Cに示される)デバイス通信コネクタ369Bによって終端された通信ケーブルを含む。第2のアパーチャ367Dにより、モジュラー通信コネクタ369Aを、フェースパネル367Bを通して延ばし、アクセスポイント368に着脱可能な態様で接続することが可能になり得る。
【0072】
同様に、統合システムモジュール360'のカードリーダーシステム361Bはフェースパネル367Bに隣接して配置されるとして示される。第3のアパーチャ367Dをフェースパネル367Bに形成して、カードリーダーシステム361Bに対応させることができる。第3のアパーチャ367Dはカードリーダーシステム361Bのカードスロット開口と位置が合わせられることが好ましい。よって、第3のアパーチャ367Dはユーザカードの該当部分を、ユーザカードからの取引情報及びその他のデータが通常の態様でカードリーダーシステム361Bによって読み込まれ得るように、フェースパネル367Bを通して延ばし、カードスロット開口に受け入れさせることを可能にする。カードスロット開口は、ユーザカードが、カードスロット開口に挿入されるときに、フェースパネル367Bに対して90°より大きな角度をなして延びるように傾けられることが好ましい。一実施形態において、ユーザカードは、120°と150°の間の、いずれかの5°角範囲のような、いずれかの適する角度範囲内でカードリーダーシステム361Bから延びることができる。アパーチャ367Dは、説明の目的のためだけにユーザインターフェースシステム360の選ばれたシステムコンポーネント361が付帯するとして図3に関して示され、説明されるが、所望に応じて、ユーザインターフェース360のいずれのシステムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)へのユーザのアクセスもサポートするためにモジュールハウジング367に形成することができる。
【0073】
ポートパネル領域367Fはモジュールハウジング367の一部を含み、オーディオインターフェースシステム364,アクセスポイント368及び/またはカードリーダーシステム361Bのような、選ばれたシステムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)に対応するポート(またはコネクタ)のためのアパーチャ367Dは、図3に示されるように統合されることが好ましいが、モジュールハウジング367のフェースパネル367Bから分離することができる。モジュールハウジング367及び/またはポートパネル領域367Fは、システムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)がユーザ900によって利用されているときの、周辺デバイス(及び/または、いずれのケーブル歪逃げも含む、周辺デバイスケーブルアセンブリ)の間の干渉を阻止するため、アパーチャ367Dの間の十分な転置を保証することが好ましい。
【0074】
ポートパネル領域367F及びフェースパネル367B(及び/または透明パネル領域367C)は、統合システムモジュール360'の選ばれたシステムコンポーネント361の使用の結果生じ得る物理的干渉を阻止するために、所定のパネル角αをなすことが有利である。パネル角αはいずれの適するパネル角もとることができ、46°または47°のパネル角を含む、35°と55°の間の、いずれかの5°パネル角範囲のような、パネル角範囲内のパネル角をとることが好ましい。よって、パネル角αは、システムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)がユーザ900によって利用されているときの、周辺デバイス間の干渉を阻止するに十分な空間が設けられることを保証するに役立ち得る。一実施形態において、パネル角αは、オーディオインターフェースシステム364,アクセスポイント368及び/またはカードリーダーシステム361Bのような、他の選ばれたシステムコンポーネント361(及び/またはシステムコンポーネントに付随する機能)が利用されているときの、タッチスクリーンビデオインターフェースシステム362及び/またはタッチポイントAの偶発的な作動を阻止する点で有利である。」
(2) 周知技術1の認定
前記(1)で摘記した引用文献3の記載事項に例示されるように、次の技術事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。
<周知技術1>
表示領域以外の前面又は側面に開口を介してビデオモニターの入出力へのアクセスを提供すること
6 引用文献4の記載事項及び技術常識1の認定
(1) 引用文献4に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2014-142379号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
ア 段落【0001】~【0006】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や有機EL表示装置、プラズマディスプレイなどの平面表示装置において、平面表示パネルとベゼルまたは面光源装置などの被接着部材とを接着する両面接着テープを改良した平面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、平面表示装置は薄型軽量化や低消費電力などの点からカラーテレビやパーソナルコンピュータ及び映像表示用モニターや携帯電話などに広く採用されている。このような平面表示装置においては、平面表示パネルを主体として、この平面表示パネルと当該平面表示パネルの前面に配置されるベゼルとの間、もしくは平面表示パネルと当該平面表示パネルを裏面から照射する面光源装置との間を両面接着テープによって接着し固定する構成が採用されており、この両面接着テープを用いた平面表示装置が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-60658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように平面表示パネルとベゼルとの間、もしくは平面表示パネルと面光源装置との間を隙間なく両面接着テープによって接着固定することによって、平面表示装置の内部に外部からの塵埃などが侵入しないように抑制している。
【0005】
しかしながら、この両面接着テープを使用して隙間なく両者を接着させるための構成が複雑化しており、また、接着作業にも多くの手間が掛かるという問題がある。
【0006】
実施形態の解決しようとする課題は、簡単な構成ながら隙間をなくし、もしくは隙間をより狭くなるように構成することにより、外部からの塵埃の侵入を阻止することが可能であり、且つ、作業性にも優れた平面表示装置を提供することにある。」
イ 段落【0010】~【0013】、【図1】、【図4】
「【0010】
実施形態の平面表示装置として、平面表示パネルに液晶表示パネルを採用した液晶表示装置に適用した場合について説明する。
【0011】
この液晶表示装置は、図1及び図4に示すように、表示領域10と、この表示領域10の外周に形成される額縁領域(非表示領域)11を備えた液晶表示パネル12を有し、この液晶表示パネル12の前面(視認側)に、表示領域10に対向する部分に開口部13を有し、額縁領域11に対向する部分に本体部14を有するベゼル(被接着体)15が配置されている。
【0012】
一方、液晶表示パネル12の背面側(非視認側)には、面光源装置(被接着体)16が配置されている。
【0013】
そして、これら液晶表示パネル12とベゼル15との間、即ち、額縁領域11と本体部14裏面との間、及び液晶表示パネル12の額縁領域11と面光源装置16との非照射領域との間には、夫々平面視矩形枠状の両面接着テープ17が介在されており、この両面接着テープ17によって、夫々液晶表示パネル12とベゼル15間、及び液晶表示パネル12と面光源装置16との間を接着固定している。」
「【図1】
[図:0001427419000014.jpg]
」
「【図4】
[図:0001427419000015.jpg]
」
ウ 段落【0061】
「【符号の説明】
【0061】
12…液晶表示パネル(平面表示パネル)
15…ベゼル(被接着体)
16…面光源装置(被接着体)
17…両面接着テープ
60(60-1,60-2)…テープ部材片
61(61-1,61-2)…薄肉部
62(62-1,62-2)…凹部面」
(2) 技術常識1の認定
前記(1)に示した引用文献4の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。
<技術常識1>
「表示装置において、表示パネルと枠部(ベゼル)とを接着固定する際に、外部からの塵埃などが侵入しないよう全周にわたって接着すること。」
7 本願発明と引用発明の対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成Xの観点(ビデオモニター組立体)
「ビデオモニター組立体」の発明である本願発明と、「カバーアセンブリ900と、第一ハウジング部材210Aと、第二ハウジング部材210Bとから組み立てられるものであ[る]」「ビデオモニタアセンブリ300」の発明である引用発明は、「ビデオモニター組立体」の発明である点において一致する。
イ 構成Aの観点(ビデオモニター)
(ア) 構成Aは、「前面を覆うフィルムを有するガラススクリーンを含むビデオモニター」を備えることである。
(イ)a 引用発明における「フィルム230」は、本願発明における「フィルム」に相当する。
b また、引用発明における「ガラスから形成され[る]」「パネル100」は、本願発明における「ガラススクリーン」に相当する。
c さらに、引用発明においては、「パネル100」に「フィルム230」が「貼付」され、「フィルム230」は「カバーアセンブリ900の露出面」となることから、引用発明における「パネル100」は、本願発明にいうところの「前面を覆うフィルムを有するガラススクリーン」であるといえる。
(ウ) そうすると、引用発明における、(i)「フィルム230」、(ii)「フィルム230」が「貼付」され、「フィルム230」は「カバーアセンブリ900の露出面」となる、「ガラスから形成され[る]」「パネル100」、及び、(iii)「ビデオディスプレイ320を含[む]」「第二ハウジング部材210B」は、全体として、本願発明における「前面を覆うフィルムを有するガラススクリーンを含むビデオモニター」に相当する。
(エ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前面を覆うフィルムを有するガラススクリーンを含むビデオモニター」を備える点。
ウ 構成Bの観点(周囲カバーについて)
(ア) 構成Bは、「前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側に沿って連続して前記ガラススクリーン前面の外周に重なる枠部を有する、前記ビデオモニターに貼付された周囲カバー」を備えることである。
(イ)a ここで、「ビデオモニターに貼付」という用語の意味について検討すると、本願明細書の【0021】、【0025】には次の記載がある。
「【0021】
封じ込めシステムは、全体として、ガラススクリーン前面の外周を囲む所定の最小量の連続部に重なりながら、また、視聴が妨げられないように覆われていないガラススクリーンの大部分を残しながら、ガラススクリーンの枠となる周囲カバーを含む。周囲カバーは、ガラススクリーンまたは保護フィルムに対し、接合、接着、接着テープなどにより直接的に貼付され、それによって、保護フィルムと周囲カバーとの間の前面に連続外周シールを設けることで、ガラススクリーンから放出されて自由になったガラス片がすべてモニターカバーによって封じ込められる。」
「【0025】
本明細書において「モニターカバー」または「モニター周囲カバー」ともいう周囲カバー110は、ビデオモニター102に貼付され、特に、周囲カバー110は、ガラススクリーン104の前面の少なくとも一部に貼付される。周囲カバー110は、筐体の一部にさらに貼付されてもよいし、または筐体に緊密に係合してもよい。(後略)」
b これらの記載によれば、構成Bにおける「ビデオモニターに貼付[すること]」は、「ビデオモニター」の「保護フィルム」に対して「貼付」することを含むと解釈するのが相当である。
(ウ) 引用発明の「第一ハウジング部材210A」の「フェース壁212C」は、「パネル100」を含む「カバーアセンブリ900の前面の外周に一定の範囲で重な[る]」ものであることから、本願発明の「ガラススクリーン前面の外周に重なる枠部」に相当する。
(エ) そして、前記(イ)bの解釈を踏まえると、引用発明において、「第一ハウジング部材210A」は、「フェース壁212C」を有し、「接着剤によって」「パネル100に貼付されるフィルム230を含[む]」「カバーアセンブリ900に接続され」ているから、引用発明における「第一ハウジング部材210A」は、本願発明における「枠部を有する、前記ビデオモニターに貼付された周囲カバー」に相当するといえる。
(オ) また、引用発明は「パネル100のパネル面110を、ハウジング210に接続することによって開口部214を閉鎖[する]」ものであるところ、「開口部214を閉鎖」するにあたって、「フェース壁212C」が「パネル100」前面の上下のみならず、左側、右側も含めて連続して「パネル100」の前面の全外周に重なっていることは明らかである。
(カ) 以上の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側に沿って連続して前記ガラススクリーン前面の外周に重なる枠部を有する、前記ビデオモニターに貼付された周囲カバー」を備える点。
エ 構成Cの観点(連続シールについて)
(ア) 構成Cは、「前記枠部は、前記ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シールによって前記覆うフィルムに接着されているとともに、前記連続シールは、前記ガラススクリーンの前方へのガラス片の脱落を防ぐために前記周囲カバーの前記枠部と前記覆うフィルムとの間に設けられ」ることである。
(イ)a 引用発明においては、「第一ハウジング部材210Aは、接着剤によって、カバーアセンブリ900に接続され」ており、また、「第一ハウジング部材210A」の「フェース壁212C」が「カバーアセンブリ900と接続し」ている。
b そして、「カバーアセンブリ900」の「フィルム230」が「カバーアセンブリ900の露出面」であることも踏まえると、引用発明における「フェース壁212C」が、「接着剤」によって「カバーアセンブリ900」の「フィルム230」に接続されていることは明らかである。
(ウ) また、引用発明の「フィルム230」は、「破片123の散乱を制御し、チャンバ221内へ安全に落下させ[る]」ものであることから、「パネル100」の前方へのガラス片の脱落を防ぐ機能を備えている。
(エ) そして、引用発明においては、「接着剤」によって「フェース壁212C」と「パネル100」との間に「フィルム230」を設けることによって、「フィルム230」が上記機能を発揮するのであるから、引用発明の「接着剤」は、「パネル100」の前方へのガラス片の脱落を防ぐために「フェース壁212C」と「フィルム230」との間に設けられているといえる。
(オ) 以上の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、構成Cの観点において次のaの点において一致し、後記bの点において相違する。
a 構成Cの観点での一致点
「前記枠部は、前記ガラススクリーンの前面に形成された接着手段によって前記覆うフィルムに接着されているとともに、前記接着手段は、前記ガラススクリーンの前方へのガラス片の脱落を防ぐために前記周囲カバーの前記枠部と前記覆うフィルムとの間に設けられ」る点。
b 構成Cの観点での相違点
「ガラススクリーンの前面に形成された接着手段」が、
本願発明においては、
「ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シール」であるのに対して、
引用発明においては、
「ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シール」であるのか否か不明である点。
オ 構成Dの観点(枠部について)
(ア) 構成Dは、「前記周囲カバーの枠部は、前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側のそれぞれに沿って、前記ガラススクリーン前面における縁から内側への横方向の範囲で計測された、前記ガラススクリーン前面の2.5mm以上の全外周に重な」ることである。
(イ) 前記ウ(オ)で検討したとおり、引用発明においては、「第一ハウジング部材210A」の「フェース壁212C」は、「パネル100」の前面の上、下、左側、右側のそれぞれに沿って「パネル100」前面の全外周と重なる位置にある。
(ウ) そうすると、本願発明と引用発明は、構成Dの観点において次のaの点において一致し、後記bの点において相違する。
a 構成Dの観点での一致点
「前記周囲カバーの枠部は、前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側のそれぞれに沿って、前記ガラススクリーン前面における縁から内側への横方向の所定の範囲、前記ガラススクリーン前面の全外周に重なる」点。
b 構成Dの観点での相違点
「周囲カバーの枠部」が「ガラススクリーン前面における縁から内側への横方向の範囲で計測された、前記ガラススクリーン前面の」「全外周に重な」る範囲が、
本願発明においては、
「2.5mm以上」であるのに対して、
引用発明においては、
重なる範囲の程度の限定がない点。
カ 構成Eの観点(開口について)
(ア) 構成Eは、「前記周囲カバーの枠部が前記周囲カバーの第1の部分に設けられ、少なくとも一つの開口が前記周囲カバーの第2の部分に設けられ、前記少なくとも一つの開口を介して前記ビデオモニターの入出力へのアクセスを提供し、前記少なくとも一つの開口が前記ビデオモニターのガラススクリーンから離れた位置にある」ことである。
(イ) 引用発明の「第一ハウジング部材210A」は「フェース壁212Cを有し」ているところ、前記ウ(エ)(オ)における検討結果も踏まえると、このことは、本願発明における「前記周囲カバーの枠部が前記周囲カバーの第1の部分に設けられ[ている]」ことに相当する。
(ウ) そうすると、本願発明と引用発明は、構成Eの観点において次のaの点において一致し、後記bの点において相違する。
a 構成Eの観点での一致点
「前記周囲カバーの枠部が前記周囲カバーの第1の部分に設けられ[る]」点。
b 構成Eの観点での相違点
本願発明においては、
「少なくとも一つの開口が前記周囲カバーの第2の部分に設けられ、前記少なくとも一つの開口を介して前記ビデオモニターの入出力へのアクセスを提供し、前記少なくとも一つの開口が前記ビデオモニターのガラススクリーンから離れた位置にある」のに対して、
引用発明においては、
このような構成を備えるのか不明である点。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。
ア 一致点
「前面を覆うフィルムを有するガラススクリーンを含むビデオモニターと、
前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側に沿って前記ガラススクリーン前面の外周に重なる枠部を有する、前記ビデオモニターに貼付された周囲カバーと、
を備え、
前記枠部は、前記ガラススクリーンの前面に形成された接着手段によって前記覆うフィルムに接着されているとともに、前記接着手段は、前記ガラススクリーンの前方へのガラス片の脱落を防ぐために前記周囲カバーの前記枠部と前記覆うフィルムとの間に設けられ、
前記周囲カバーの枠部は、前記ガラススクリーン前面の上、下、左側、右側のそれぞれに沿って、前記ガラススクリーン前面における縁から内側への横方向の所定の範囲、前記ガラススクリーン前面の全外周に重なり、
前記周囲カバーの枠部が前記周囲カバーの第1の部分に設けられる
ビデオモニター組立体」の発明である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1(連続シール、周囲カバーの枠部)
<部分相違点1A>
「周囲カバーの枠部」が「ガラススクリーン前面における縁から内側への横方向の範囲で計測された、前記ガラススクリーン前面の」「全外周に重な」る範囲が、
本願発明においては、
「2.5mm以上」であるのに対して、
引用発明においては、
重なる範囲の程度の限定がなく(以下「部分相違点1A」という。)、
<部分相違点1B>
「ガラススクリーンの前面に形成された接着手段」が、
本願発明においては、
「ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シール」であるのに対して、
引用発明においては、
「ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シール」であるのか否か不明である(以下「部分相違点1B」という。)点。
(イ) 相違点2(開口)
本願発明においては、
「少なくとも一つの開口が前記周囲カバーの第2の部分に設けられ、前記少なくとも一つの開口を介して前記ビデオモニターの入出力へのアクセスを提供し、前記少なくとも一つの開口が前記ビデオモニターのガラススクリーンから離れた位置にある」のに対して、
引用発明においては、
このような構成を備えるのか不明である点。
8 判断
(1) 相違点1(連続シール、周囲カバーの枠部)について
ア 引用発明は、「パネル100の易破断性領域120のパネル面110への力(F)を印加した場合、境界122は破片123状に分解して、易破断性領域120をパネル100の残余部分121から分離させ、フィルム領域231の周囲のフィルム230を伸張させ、易破断性領域120はチャンバ221内に後退し、無傷のままでパネル100の残余部分121から脱離[する]」ものである。
イ ここで、「力(F)の印加」時に、「フィルム230」が「ハウジング210」から分離することなく、「易破断性領域120」が「パネル100の残余部分121から分離」して「後退」するためには、「フィルム230」が「ハウジング210」に対して一定以上の強度の接着力によって固着される必要があることは明らかである。
ウ また、引用発明においては、「パネル100」に「タッチセンサ310」が接続されており、上記のような「パネル100」が「破片123状に分解」するような「力(F)の印加」のみならず、「タッチセンサ310」へ入力するための力の印加も想定されるところ、「パネル100に貼付されるフィルム230」を「ハウジング210」に固着するにあたり、このような観点からも一定以上の強度の接着力が要求されることは自明である。
エ そして、接着する面積が大きいほど接着力が高まることから、引用発明において、接着する面積が一定以上の大きさとなるよう、「ハウジング210のフェース壁212C」(周囲カバーの枠部)と「パネル100」(ガラススクリーン)の全面の外周の重なりを2.5mm以上とし、前記部分相違点1Aに係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって自明の設計事項にすぎない。
オ そして、接着する面積が大きいほど接着力が高まることから、前記部分相違点1Bの「ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シール」とすることは自明の設計上の事項であるし、「表示装置において、表示パネルと枠部(ベゼル)とを接着固定する際に、外部からの塵埃などが侵入しないよう全周にわたって接着すること」は技術常識である(前記技術常識1を参照)から、このような観点からも、前記部分相違点1Bの「ガラススクリーンの前面の上、下、左側、右側に沿って形成された連続シール」とすることは自明の設計上の事項である。
カ 以上のとおりであるから、引用発明において前記相違点1(前記部分相違点1A及び部分相違点1B)に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計上の事項にすぎない。
(2) 相違点2(開口)について
ア 「表示領域以外の前面又は側面に開口を介してビデオモニターの入出力へのアクセスを提供すること」は、当業者にとって周知技術である(前記周知技術1を参照)。
イ そうすると、引用発明において、ユーザの利便性を向上するために、引用発明の「第一ハウジング部材210A」に前記周知技術1を適用し、前記相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3) 総合評価
前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、前記相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
9 請求人の主張について
請求人の審判請求書における主張を、以下のとおり、「請求人の主張1」から「請求人の主張3」として、順次検討する。
(1) 請求人の主張1について
ア 請求人の主張1の内容
請求人の主張1は、次のとおりである。
(ア) 引用文献1の段落【0035】においては、パネル100とハウジング210とを相互に接続または分離するように選択的にまたは自動的に係合および/または解放させることができるように関連づけられている。引用文献1の段落【0035】においては、接着剤を使用して結合を達成できることに言及しているものの、言及されている接着結合はパネル100とハウジング210の間のものであり、フィルムの前面とハウジングの間のものではない。したがって、本開示に基づいて本願発明のような連続シールに想到することはできない。
(イ) さらに、図13Bおよび段落【0028】~【0030】は、壁とパネルとの間の結合が前面側の壁ではなく、上下で対向する複数の壁(選択壁212A、対向壁212B)との間でなされていることを明確に示している。引用文献1には、パネル100が前面の外周の全周に亘って結合することが記載されていないため、この教示から、連続的な連続シールが設けられていると推論することはできない。
イ 請求人の主張1についての検討
前記4(3)で認定したとおり、引用発明として認定しているのは、引用文献1の図23Aの実施例に係る発明である。請求人の主張1は、前提の異なる主張であるから、前記8(3)の結論を左右するものではない。
(2) 請求人の主張2について
ア 請求人の主張2の内容
請求人の主張2は、次のとおりである。
請求人は、頭の衝突発生時に必要な最小限のフィルム接着を決定するために、相当な時間と労力を費やしており、決して「当業者によって適宜なし得る設計的事項にすぎず、該数値範囲を採用したことによる当業者が予測し得ないような格別な効果も認められない」ということはなく、十分に臨界的意義を有する値である。本願発明における「2.5mm以上」という最小限の重なりは、単なる設計的事項ではなく、本発明の本質的事項である。
イ 請求人の主張2についての検討
(ア) 請求項1において記載されているのは、「周囲カバーの枠部」が「ガラススクリーン前面の2.5mm以上の全外周に重な[る]」ことであって、「枠部」と「フィルム」との間の「接着」の幅については請求項1に記載されていないことから、請求人の主張2は特許請求の範囲の記載に基づくものではない。
(イ) また、本願発明において「枠部」と「フィルム」との間の「接着」の幅が2.5mm以上であることが特定されていると善解したとしても、前記8(1)において検討したとおり、引用発明においても一定以上の強度の接着力が要求されることから、「ハウジング210のフェース壁212C」(周囲カバーの枠部)と「パネル100」(ガラススクリーン)の全面の外周の重なりを2.5mm以上とすることは、当業者にとって自明の設計事項にすぎない。
(ウ) さらに、請求人は「重なりが2.5mm以上」という数値範囲が臨界的意義を有する旨を主張しているが、かかる事実の存在を認めるに足る証拠等はないから、請求人の主張2を根拠として本願発明の進歩性を認めることはできない。
(エ) 仮に、請求人の行った試験・実験においては臨界的な意義を有していたとしても、かかる実験における実験条件(例えば材料など)がどのようなものか不明であるところ、この点の実験結果の開示がされたとしても、このような実験条件が請求項1に特定されているとは認められないから、請求人の主張2を根拠として本願発明の進歩性を認めることはできない。
(オ) また仮に、重なりが2.5mm以上である場合に、これが2.5mm未満である場合と比較して材料等によらずに効果上の臨界的な意義を有するとしても、このことは明細書には開示されておらず、このような臨界的な意義を認識できる技術常識も存在しないから、当該効果上の臨界的意義は、進歩性の評価において参酌することはできない。
(カ) 以上のとおりであるから、請求人の主張2は採用することができない。
(3) 請求人の主張3について
ア 請求人の主張3の内容
請求人の主張3は、次のとおりである。
(ア) 本願発明のスクリーンは引用発明のように設計された易破断性領域を備えていないため、スクリーン前面への衝撃は、引用発明の場合より大きな応力となってフィルム全体に加わることになる。したがって、枠部をフィルムに接着して剥離を防止するのに十分な表面積を確保するには、請求項1に記載した度合いの重なりが必要である。
(イ) 引用発明において、パネル100に加わる力は、易破断性領域に加わるのであって、ハウジング210とともに残る周囲の部分に加わるのではないことから、パネル100前面の全周を接着する必要性もなければ、請求項1に記載したような量の重なりも必要がない。
イ 請求人の主張3についての検討
(ア) 請求項1において「スクリーン」が「易破断性領域を備えていない」点は記載されておらず、本願発明の「スクリーン」には「易破断性領域」を備えるものも含まれることから、請求項1において「スクリーン」が「易破断性領域を備えていない」旨の主張3は特許請求の範囲の記載に基づくものではない。
(イ) 引用発明において「パネル100に貼付されるフィルム230」を「ハウジング210」に固着するにあたり、一定の接着力が要求されることは、前記8(1)イにおいて検討したとおりである。
また、引用発明の「パネル100」が「易破断性領域」を有することが、「外部からの塵埃などが侵入しないよう全周にわたって接着する」ことを阻害する理由とならないことは明らかである。
したがって、引用発明においても、パネル100前面の全周を接着する動機はあるというべきである。
(ウ) 以上のとおりであるから、請求人の主張3は採用することができない。
10 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-001981