特許拒絶査定不服審判
2023-013196
情報処理装置システム、情報処理装置システムの制御方法、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2023-013196
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-120043
- 請求日
- 2023年08月07日
- 審決日
- 2024年09月17日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】キヤノン株式会社
- 【請求人代理人】阿部 琢磨
- 【請求人代理人】高橋 佳子
- 【請求人代理人】中辻 七朗
- 【請求人代理人】冨田 一史
- 【請求人代理人】大朋 靖尚
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 北元 健太
- 審判官 村松 貴士
- 分類
- P18 .121-WY (G07B) / P18 .537-WY (G07B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-120043「情報処理装置システム、情報処理装置システムの制御方法、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年1月14日出願公開、特開2021-5316、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年6月27日(以下「出願日」という。)の出願であって、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。
令和4年6月13日 手続補正書の提出
令和5年2月 3日付け 拒絶理由通知書
令和5年4月 7日 意見書、手続補正書の提出
令和5年5月 9日付け 拒絶査定
令和5年8月 7日 審判請求書、手続補正書の提出
令和6年6月 4日付け 拒絶理由通知書
令和6年8月 7日 意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年5月9日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
1 理由1(明確性)
本願は、特許請求の範囲の記載が次の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項1-10
請求項1の「特定手段」について、実質的な主体が不明確であり、該「特定手段」が例えばコンピュータを道具として用いた人がマニュアル操作を行うことにより該特定を行うようなものであり得るのか不明確である。
請求項5の「要求手段」や請求項6の「通知手段」についても同様である。
したがって、請求項1,5-6及びその従属項である請求項2-4,7-10に係る発明は不明確である。
(2)請求項11
請求項11の「特定する」について、作用の主体が何であるのか不明確である。
したがって、請求項11に係る発明は不明確である。
2 理由2(サポート要件)
本願の発明の課題は、ユーザの入場駅及び降車駅に基づいて支払うべき料金を特定する構成を含む手段により解決されるものと認められるが、請求項1-15の記載では、該手段が十分に反映されていない。
したがって、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(以下「サポート要件」という。)を満たしていない。
3 理由3(進歩性)
本願の請求項1-5,8-15に係る発明は、引用文献A又はB及びCに基づいて、請求項6-10に係る発明は、引用文献A又はB及びC-Dに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
4 引用文献等一覧
A.中国特許出願公開第107798307号明細書
B.中国実用新案第208985236号明細書
C.国際公開第2017/146160号
D.特開2013-257663号公報
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年6月4日付けで当審において通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。
1 理由1(新規性)
本願の請求項11-12,14に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2 理由2(進歩性)
本願の請求項11-12,14に係る発明は、引用文献1に基づいて、請求項1-3,7-10,13に係る発明は、引用文献1-2に基づいて、請求項4-5に係る発明は、引用文献1-3に基づいて、請求項6に係る発明は、引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 引用文献等一覧
1.国際公開第2018/074975号
2.特開平8-329292号公報
3.中国実用新案第208985236号明細書(原査定の引用文献B)
4.特開2013-257663号公報(原査定の引用文献D)
第4 本願発明
本願の請求項1-14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明14」という。)は、令和6年8月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。
「 【請求項1】
第1の駅に設置された第1のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第1の領域を通過する第1の複数の人を同時に撮影する第1のカメラと、
第2の駅に設置された第2のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第2の領域を通過する第2の複数の人を同時に撮影する第2のカメラと、
第3の駅に設置された第3のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第3の領域を通過する第3の複数の人を同時に撮影する第3のカメラと、
前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記第2のカメラによって同時に撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人を特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金を要求するコンピュータとを有し、
前記コンピュータは、前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記第3のカメラによって同時に撮影された前記第3の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した人を特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第3の駅で降車したときに支払うべき料金を要求することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の領域を通過する前記第1の複数の人を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記第2のカメラによって同時に撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第2の領域を通過する前記第2の複数の人を特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人を特定し、前記コンピュータによって特定した人の口座の残高から、入場を示す情報と前記第1の駅を示す情報、出場を示す情報と前記第2の駅を示す情報に基づいて、前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金を減算するよう要求することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
人ごとに残高を記憶するメモリをさらに有し、
前記コンピュータによって減算するよう要求した料金が、前記コンピュータによって特定した人のために前記メモリに記憶された残高より多い場合に、所定の通知先にコンピュータが通知することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記所定の通知先は、前記コンピュータによって特定した人のために登録されたメールアドレスであることを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第1のカメラは、前記第1の領域を前記第1の駅のホームに向かうための方向に通過する前記第1の複数の人を同時に撮影し、
前記第2のカメラは、前記第2の領域を前記第2の駅のホームに向かうために通過するための方向とは逆の方向に通過する前記第2の複数の人を同時に撮影し、
前記第3のカメラは、前記第3の領域を前記第3の駅のホームに向かうために通過するための方向とは逆の方向に通過する前記第3の複数の人を同時に撮影することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1の領域は、双方向に通行可能な領域であり、
前記第1の領域を前記第1の駅のホームに向かうための方向とは逆の方向に通過する第4の複数の人を同時に撮影する第4のカメラと、
前記第2の領域を前記第2の駅のホームに向かうための方向に通過する第5の複数の人を同時に撮影する第5のカメラと、
前記第3の領域を前記第3の駅のホームに向かうための方向に通過する第6の複数の人を同時に撮影する第6のカメラをさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第1の領域は、隣り合う2つのパーティション間を少なくとも4人が同時に通過可能な領域であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第1の領域を通過する第1の複数の人を第1の駅に設置された第1のカメラで同時に撮影し、
隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第2の領域を通過する第2の複数の人を第2の駅に設置された第2のカメラで同時に撮影し、
隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第3の領域を通過する第3の複数の人を第3の駅に設置された第3のカメラで同時に撮影し、
前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記第2のカメラによって同時に撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人を、コンピュータが特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金を前記コンピュータが要求し、
前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記第3のカメラによって同時に撮影された前記第3の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した人を前記コンピュータが特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第3の駅で降車したときに支払うべき料金を前記コンピュータが要求することを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項11】
第1の駅に設置された第1のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第1の領域を通過する第1の複数の人を同時に撮影する第1のカメラで同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、第2の駅に設置された第2のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第2の領域を通過する第2の複数の人を同時に撮影する第2のカメラで同時に撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人を特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金を要求するコンピュータを有し、
前記コンピュータは、前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、第3の駅に設置された第3のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第3の領域を通過する第3の複数の人を同時に撮影する第3のカメラで同時に撮影された人ごとのそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した人を特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第3の駅で降車したときに支払うべき料金を要求することを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
第1の駅に設置された第1のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第1の領域を通過する第1の複数の人を同時に撮影する第1のカメラで同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、第2の駅に設置された第2のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第2の領域を通過する第2の複数の人を同時に撮影する第2のカメラで同時に撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人を、コンピュータが特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金を前記コンピュータが要求し、
前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、第3の駅に設置された第3のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第3の領域を通過する第3の複数の人を同時に撮影する第3のカメラで同時に撮影された人ごとのそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した人を前記コンピュータが特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第3の駅で降車したときに支払うべき料金を前記コンピュータが要求することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
請求項10に記載された制御方法を実行するための、コンピュータによって読取可能なプログラム。
【請求項14】
請求項12に記載された制御方法を実行するための、コンピュータによって読取可能なプログラム。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「[006] In one embodiment, the present invention provides a new hands-free, ticketless fare collection system. The hands-free, ticketless fare collection system comprises: a server running a software, which comprises a face recognition subroutine; a commuter ID database and a commuter account database are linked to the server; a gate for entry into or exit from a designated pay area delineated by the fare collection system; and a multifunctional kiosk for enrolment of a commuter, where a camera captures a portrait of the commuter and the face recognition subroutine associates unique facial characteristics of the commuter with the customer identity, and the fare collection system stores the commuter identity in the commuter ID database and commuter account database, so that after enrolment, the commuter can enter into or exit from within the designated pay area without having to carry a store value farecard.」
(当審仮訳:
[006]一実施形態では、本発明は、新しいハンズフリー、チケットレス運賃徴収システムを提供する。このハンズフリー、チケットレス運賃徴収システムは、顔認識サブルーチンを含むソフトウェアを実行するサーバと、サーバにリンクされた通勤客IDデータベースと通勤客口座データベースと、運賃徴収システムによって画定された指定された有料エリアに出入りするためのゲートと、カメラで通勤客の肖像を撮影し、顔認識サブルーチンが通勤客に固有の顔の特徴と顧客の識別情報を関連付け、運賃徴収システムが通勤客の識別情報を通勤客IDデータベースと通勤客口座データベースに保存し、登録後、通勤客はストアバリュー運賃カードを携帯することなく、指定された有料エリア内に出入りできるようになる多機能キオスク端末と、から構成される。)
イ 「[0016] FIG. 1 shows a hands-free ticketless fare collection system 100 according to an embodiment of the present invention. Broadly, the fare collection system 100 includes gates 110,110a, 110b separating a paid entry area from a public area, for eg., at a transit station; in addition, a plurality of multi-functional kiosks 120 for enrolling commuters/customers are located in the public area. The gates 110, 110a, 110b and kiosks 120 are linked to a server 140 via a gateway 10. The server 140 runs a software 142 and is connected to workstations 150 located at all the transit stations; in addition, some workstations 150 may be located in some backend control rooms. After enrolment, the commuters' identities are stored in an ID database 160, whilst commuters' accounts are stored in an account database 170. The commuter account database 170 is also linked by the software 142 to banks 180 associated with the commuters' accounts. The working of the fare collection system 100 becomes clearer as components of the system are described below; in this description, commuters, passengers, customers or patrons are used synonymously.
[0017] FIG. 2A shows a gate 110 according to one embodiment. The gate 110 includes an upright arch 112, which is dimensioned to a height and a width for passage of commuters, preferably, one at a time. A camera 114 is mounted on an overhead member of the arch and is directed to capture the faces of the commuters, such as the portrait shown in FIG. 4A and the face shown in FIG. 4B, before they enter through the gate 110. When the gate 110 is configured for bi-directional passage, another camera 114 is mounted on an opposite side of the overhead member to capture the faces of commuters who are going to exit through the gate. The gate 110 also includes a pair of green and red light indicators 116, 117. The green light indicator 116 is illuminated when a commuter entering or exiting the gate 110 is identified positively and the associated commuter account is time-stamped or logged for calculating the correct fare to pay. The red light indicator 117 is illuminated when the fare collection system 100 fails to identify positively a commuter identity as the commuter enters or exits the gate 110, or fails to log a charge for a correct fare from the commuter account; when the red light indicator is illuminated, the commuter can re-track and approach the gate again; in case of persistent failure, the commuter can approach a station controller to manually address the system fault. In another embodiment, the fare collection system includes a buzzer linked to the red light indicator 117 to give an additional audible warning in the event of a fare collection fault.
[0018] FIG. 2B shows two gates 110a according to another embodiment. Each gate 1 10a has two barrier flaps 118, 118a that are retractable or rotatable into their associated cabinets. Two cameras 114a are suspended from above each of the gates; one camera 114a is directed to capture the faces of commuters entering the gate 110a, while the other camera is directed to capture the faces of commuters exiting the gate 110a when the gate 110a is configured for bidirectional human traffic. When a commuter identity is found to match an identity enrolled in the ID database 160, the barrier flaps 118, 118a are actuated to retract/rotate and the commuter is allowed to pass through; the commuter account is logged during entry and a payment is deducted from the commuter account during exit, for eg., after completing a journey and, preferably, a green light indicator 116a is illuminated; when a commuter identity is not found in the commuter ID database 160 or an error in logging a fare charge or deducting payment from the commuter account occurs, the barrier flaps 118, 118a remain in the obstructed position and a red light indicator 117a becomes illuminated; an additional audible warning may be sounded, so that the commuter can be alerted to go to the station control to rectify the fare collection fault.
[0019] FIG. 2C shows a barrier-free gate 110b according to another embodiment of the present invention. The barrier-free gate 110b has a pair of dividing members 119 and a pair of cameras 114a suspended above the barrier-free gate 110b; preferably, the dividing members 119 define discrete lanes for passage through the barrier-free gate; it is also possible that the lanes for passage through the barrier-free gate 110b can alternatively be defined by markings on the ground. When a commuter approaches the barrier-free gate 110b for entering or exiting, one of the pair of camera 114a detects the commuter and a commuter photo is captured; the commuter photo, together with the entry or exit station IDs, are then relayed to the server 140, 140a and are matched with records in the ID database 160; once the commuter is positively identified by the fare collection system 100, the commuter account is time-stamped or logged for entering the pay/designated area; preferably, the commuter ID and/or commuter account is/are flagged or entered into entry records in the ID database 160 and/or a list of pending deductible fare stored in account database 170. In a similar manner, when a commuter is going to exit from the pay/designated area and comes within the range of the camera 114a, the commuter portrait is captured, relayed to the server 140, 140a and is matched with records in the ID database 160, entry records in the ID database 160; once the commuter is positively identified, a fare charge is then logged in and deducted from the commuter account. In case of a fare collection system failure, such as, failing to identify positively a commuter, logging a fare charge or deducting a fare from the commuter account, a red indicator light 117a may be illuminated, the commuter and a station controller are notified of a system error.」
(当審仮訳:
[0016]図1は、本発明の実施形態によるハンズフリーチケットレス運賃徴収システム100を示す。大まかに言えば、運賃徴収システム100は、例えば交通駅において、公共エリアから有料入場エリアを分離するゲート110、110a、110bを含み、さらに、公共エリアには、通勤客/顧客を登録するための複数の多機能キオスク120が配置されている。ゲート110、110a、110b及びキオスク120は、ゲートウェイ10を介してサーバ140にリンクされている。サーバ140は、ソフトウェア142を実行し、すべての交通駅に設置されたワークステーション150に接続されており、加えて、いくつかのワークステーション150はいくつかのバックエンドコントロールルームに置かれてもよい。登録後、通勤客のIDはIDデータベース160に保存され、通勤客口座は口座データベース170に保存される。通勤客口座データベース170は、ソフトウェア142によって、通勤客口座に関連する銀行180にもリンクされている。運賃徴収システム100の動作は、システムの構成要素を以下に説明するにつれて明らかになる。この説明では、通勤客、乗客、顧客または利用者は同義に使用される。
[0017]図2Aは、一実施形態によるゲート110を示す。ゲート110は、直立アーチ112を含み、この直立アーチ112は、好ましくは、一度に一人の通勤客の通過のために、高さ及び幅を寸法決めされている。カメラ114は、アーチの頭上部材に取り付けられ、図4Aに示す肖像や図4Bに示す顔のような通勤客の顔を、彼らがゲート110を通って入る前に捕捉するように向けられる。ゲート110が双方向通行のために構成されている場合、別のカメラ114が頭上部材の反対側に取り付けられ、ゲートを通って出ようとする通勤客の顔を撮影する。また、ゲート110には、一対の緑色及び赤色光インジケータ116、117が設けられている。緑色光インジケータ116は、ゲート110に出入りする通勤客が肯定的に識別され、支払うべき正しい運賃を計算するために関連する通勤客口座がタイムスタンプ又は記録されるときに点灯する。赤色灯インジケータ117は、運賃徴収システム100が、通勤客がゲート110に入場又は出場する際に通勤客の識別情報を肯定的に識別できなかった場合若しくは通勤客口座からの正しい運賃の請求を記録できなかった場合に点灯する。赤色灯インジケータが点灯した場合、通勤客は再度たどって再度ゲートに近づくことができる。不具合が続く場合、通勤客は駅管理者に近づき、手動でシステム障害に対処できる。別の実施形態では、料金徴収システムは、運賃徴収の不具合が発生した場合に追加の聴覚警告を与える、赤色光インジケータ117にリンクされたブザーを含む。
[0018]図2Bは、別の実施形態による2つのゲート110aを示す。各ゲート110aは、関連するキャビネットに後退可能又は回転可能な2つのバリアフラップ118、118aを有する。2つのカメラ114aは、各ゲートの上方から吊り下げられており、一方のカメラ114aは、ゲート110aに入る通勤客の顔を捕捉するように向けられ、他方のカメラは、ゲート110aが双方向の人の往来用に構成されている場合に、ゲート110aから出る通勤客の顔を捕捉するように向けられる。通勤客の識別情報がIDデータベース160に登録された識別情報と一致すると判明すると、バリアフラップ118、118aが作動して後退/回転し、通勤客が通過できるようになる。通勤客口座は入場時に記録され、支払いは、例えば旅程を完了した後の出場中に通勤客口座から引き落とされ、好ましくは、緑色光インジケータ116aが点灯する。通勤客IDデータベース160に通勤客の識別情報が見つからない場合若しくは運賃請求の記録又は通勤客口座からの支払いの引き落としでエラーが起きた場合、バリアフラップ11 8、118aは閉塞位置に留まり、赤色光インジケータ117aが点灯状態になる。運賃徴収の不具合を修正するため駅管理室に行くよう通勤客に注意を促せるように、追加の聴覚警告を鳴らしてもよい。
[0019]図2Cは、本発明の別の実施形態によるバリアフリーゲート110bを示す。バリアフリーゲート110bは、一対の仕切り部材119と、バリアフリーゲート110bの上方で吊り下げられた一対のカメラ114aとを有する。好ましくは、仕切り部材119は、バリアフリーゲートを通過するための個別のレーンを画定する。バリアフリーゲート110bを通過するためのレーンは、床面のマーキングによって定義することも可能である。通勤客が入場又は出場のためにバリアフリーゲート110bに近づくと、一対のカメラ114aのうちの1つが通勤客を検知し、通勤客の写真が撮影される。通勤客の写真は、入場又は出場駅のIDとともにサーバ140、140aに中継され、IDデータベース160の記録と照合される。通勤客が運賃徴収システム100によって肯定的に識別されると、有料/指定エリアに入ったとして通勤客口座がタイムスタンプ又は記録される。好ましくは、通勤客ID及び/又は通勤客口座が、IDデータベース160及び/又は口座データベース170に保存された控除対象運賃の保留リストにおいて、フラグ立てられ又はエントリレコードに入力される。同様に、通勤客が有料/指定エリアから出ようとしてカメラ114aの範囲内に入ると、通勤客の肖像が撮影されてサーバ140、140aに中継され、IDデータベース160内のレコード、IDデータベース160内のエントリレコードと照合される。通勤客が肯定的に識別されると、運賃が記録されて通勤客口座から引き落とされる。例えば、通勤客を肯定的に識別できなかったり、運賃を記録できなかったり、通勤客口座から運賃を引き落とせなかったりといった運賃徴収システム障害の場合、赤色表示灯117aが点灯し、通勤客と駅管理者にシステムエラーが通知される。)
ウ 「[0025] At the kiosk 120, a commuter can choose to perform a number of functions from the menu screen 130b. For example, a commuter can choose to enroll for a new account by entering one's name, then selecting a portrait already captured by the camera 124, tapping one's payment card at the near field card reader, entering the payment card personal identification number (PIN) on the electronic transaction terminal 126, and identifying oneself by entering one's gender, race, date of birth, height, category of travel, and so on, on the menu screen 130b. The category of travel may include student, national serviceman, disabled person, senior citizen, tourist or staff, who may enjoy special discounts, privileges or promotions. After enrolment, the commuter identity is stored in the commuter ID database 160 with the personal records being additionally stored under respective ID categories; with the personal records being additionally stored under different ID categories, a commuter identity can be located in the commuter ID database 160 very quickly and accurately, so that the time required for identifying a commuter from the commuter ID database and deducting a fare from the commuter in the account database 170 is substantially unnoticeable to the commuter. For commuters who have entered the pay area, a dynamic list of commuters are stored as a subset in the ID database 160, thus making identity matching in the ID database quicker; in other words, the ID database 160 is dynamically segregated into two subsets according to commuters inside or outside the pay area for quicker commuter identification; in the way, the account database 170 is dynamically segregated into two subsets according to commuters pending to pay a fare or those outside the pay area.」
(当審仮訳:
[0025]キオスク120では、通勤客はメニュー画面130bから多数の機能を実行することを選択できる。例えば、通勤客は、自分の名前を入力し、次にカメラ124によって既に撮影された肖像を選択し、近接場カードリーダで支払いカードをタップし、電子取引端末126で支払いカードの個人識別番号(PIN)を入力し、メニュー画面130bで性別、人種、生年月日、身長、移動のカテゴリなどを入力して自分を識別することによって、新しい口座を登録することを選択できる。移動のカテゴリには、学生、国家公務員、身体障害者、高齢者、観光客又は職員などを含むことができ、該当者は特別割引、特典又はプロモーションを受け得る。登録後、通勤客の識別情報は、それぞれのIDカテゴリの下に追加保存される個人記録とともに通勤客IDデータベース160に保存される。異なるIDカテゴリの下に追加保存される個人記録によって、通勤客IDデータベース160で通勤客の識別情報を非常に迅速かつ正確に突き止めることができるため、通勤客IDデータベースから通勤客を特定して口座データベース170で通勤客から運賃を引き落とすのに要する時間は、通勤客にとって実質的に気づかないものとなる。有料エリアに入った通勤客については、通勤客の動的リストがサブセットとしてIDデータベース160に格納されるため、IDデータベースにおける識別情報の照合がより迅速になる。言い換えれば、IDデータベース160は、より迅速な通勤客識別のために、通勤客が有料エリアの内か外かに応じて2つのサブセットに動的に分離される。同様に、口座データベース170は、通勤客が運賃の支払いを保留しているか有料エリア外かに応じて2つのサブセットに動的に分離される。)
エ 「[0028] As shown in FIG. 1, the system software 142 is hosted on a server 140. The server 140 is in turn connected to workstations 150 located remotely according to the fare collection system 100, for eg., at all the transit stations. In one embodiment, the server 140 comprises a master server and a plurality of slave servers 140a in order to distribute the computing workload and to respond as quickly as commuters enter into or exit from the designated pay area; the slave servers 140a may perform parallel computing with the master server 140. In another system, the server 140 comprises a plurality of slave servers 140a operating grid computing. It is also possible for the servers 140, 140a to operate a combination of parallel computing, grid computing and other forms of distributed computing. The system software 142 includes a face recognition subroutine 144. During enrolment, the face recognition subroutine 144 analyses unique characters of a commuter face from the portrait/photo (shown in FIGs. 4A-4B) selected by the commuter during enrolment; in one embodiment, the face recognition subroutine 144 is intelligent enough to distinguish a commuter wearing spectacles. It is also possible that the face recognition subroutine 144 analyses a commuter's mood, such as cheerful, sad, etc.; during use, the face recognition subroutine 144 is configured to interject a personalize greeting to each commuter when a commuter is identified positively in the commuter ID database 160; such personalized greetings may be "good morning, Mr ...", "Cheer up, Mr ...", "Smile, Mr ...", etc. Another feature of this fare collection system 100 is target marketing; for example, when a commuter is identified positively, the face recognition subroutine 144 may be configured with another subroutine to run an appropriate advertisement targeted at the commuter; for example, the advertisement may be gender specific, targeting those wearing spectacles, targeting children, etc. In another embodiment, the fare collection system 100 allows import of a wanted or missing person database 161. The wanted/missing person database 161 is useful when there is a need to locate and trace a wanted/missing person who may be present inside the pay area or in the public area outside the pay area.」
(当審仮訳:
[0028]図1に示すように、システムソフトウェア142はサーバ140上でホストされる。サーバ140は、例えばすべての交通駅に運賃徴収システム100に従って遠隔に配置されたワークステーション150に順に接続される。一実施形態では、サーバ140は、計算負荷を分散し、通勤客が指定された有料エリアに入場又は出場するたびに迅速に応答するために、マスターサーバと複数のスレーブサーバ140aとから構成される。スレーブサーバ140aは、マスターサーバ140と並列計算をすることができる。別のシステムでは、サーバ140は、グリッドコンピューティングを実行する複数のスレーブサーバ140aから構成される。サーバ140、140aは、並列コンピューティング、グリッドコンピューティング、及び他の形態の分散コンピューティングを組み合わせて行うこともできる。システムソフトウェア142は、顔認識サブルーチン144を含む。登録中、顔認識サブルーチン144は、登録中に通勤客が選択した肖像/写真(図4A-4Bに示す)から通勤客の顔に固有の特徴を分析する。一実施形態では、顔認識サブルーチン144は、眼鏡をかけている通勤客を識別できるほど賢い。顔認識サブルーチン144は、明るい、悲しい等の通勤客の気分を分析することも可能である。使用中、顔認識サブルーチン144は、通勤客が通勤客IDデータベース160において肯定的に識別されたとき、各通勤客にパーソナライズされた挨拶を挿入するように構成される。このようなパーソナライズされた挨拶は、「おはよう、○○さん」、「元気出して、○○さん」、「笑って、○○さん」等であり得る。この運賃徴収システム100のもう一つの特徴は、ターゲットマーケティングである。例えば、通勤客が肯定的に識別されたとき、顔認識サブルーチン144は、通勤客をターゲットとした適切な広告を掲載するために、別のサブルーチンとともに構成されてもよい。例えば、広告は、性別特有のもの、眼鏡をかけている人をターゲットにしたもの、子供をターゲットにしたものなどであり得る。別の実施形態では、運賃徴収システム100は、指名手配者又は行方不明者データベース161のインポートを可能にする。指名手配者/行方不明者データベース161は、有料エリア内または有料エリア外の公共エリアに存在し得る指名手配者/行方不明者の所在を突き止め追跡する必要がある場合に有用である。)
オ 「[0031] Another feature of the facial recognition subroutine 144 is the capability to identify faces from a crowd of people, as illustrated in FIG. 5A, using a camera 114b. This feature is useful when the fare collection system 100 is used on a bus 210, as shown in FIG. 5B, which application is similar to a barrier-free gate 200 but where people tend to move in a less orderly manner (as in a crowd). As in the above embodiment, when a passenger identity is not found in the commuter ID database or an error in logging a fare charge or deducting a fare from the respective commuter account occurs, the person is identified on a monitor screen, so that the system fault can be addressed. In another embodiment, a pair of RF detectors 119a may be deployed at the entrance door and exit door (as shown in FIG. 5C) on the bus 210 to augment the above face recognition, identification and monitoring.」
(当審仮訳:
[0031]顔認識サブルーチン144の別の特徴は、図5Aに示されるように、カメラ114bを使用して、人々の群衆から顔を識別する能力である。この機能は、図5Bに示されるように、運賃徴収システム100がバス210で使用される場合に有用であり、この用途は、バリアフリーゲート200に類似しているが、人々が(群衆のように)あまり整然と動かない傾向がある場合に有用である 。上記の実施形態と同様に、乗客の識別情報が通勤客IDデータベースで見つからない場合、または運賃請求の記録や各通勤客口座からの運賃の引き落としにエラーが発生した場合、システム障害に対処できるように、その人物がモニター画面上で識別される。別の実施形態では、上記の顔認識、識別及び監視を補強するために、バス210の入口ドアおよび出口ドアに(図5Cに示すように)一対のRF検出器119aを配備してもよい。)
カ 「
[図:0001414882000001.jpg]
」
キ 「
[図:0001414882000002.jpg]
」
ク 「
[図:0001414882000003.jpg]
」
ケ 「
[図:0001414882000004.jpg]
」
コ 上記キから、隣り合う2つの仕切り部材119間にレーンが画定され、レーンごとに一対のカメラ114aが備えられていることが見て取れる。
(2)引用発明
上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「駅において、公共エリアから有料エリアを分離するゲートを含み、公共エリアには、通勤客を登録するためのキオスク120が配置され、ゲート及びキオスク120は、サーバ140にリンクされ、サーバ140は、ソフトウェア142を実行し、
バリアフリーゲートは、一対の仕切り部材119と、一対のカメラ114aとを有し、仕切り部材119は、バリアフリーゲートを通過するための個別のレーンを画定し、通勤客が入場又は出場のためにバリアフリーゲートに近づくと、一対のカメラ114aのうちの1つが通勤客を検知し、通勤客の写真が撮影され、通勤客の写真は、入場又は出場駅のIDとともにサーバ140に中継され、IDデータベース160と照合され、通勤客が運賃徴収システム100によって肯定的に識別されると、有料エリアに入ったとして通勤客IDが、IDデータベース160においてエントリレコードに入力され、通勤客が有料エリアから出ようとしてカメラ114aの範囲内に入ると、通勤客の肖像が撮影されてサーバ140に中継され、IDデータベース160内のエントリレコードと照合され、通勤客が肯定的に識別されると、運賃が記録されて通勤客口座から引き落とされ、通勤客口座から運賃を引き落とせなかった場合、通勤客に通知され、
隣り合う2つの仕切り部材119間にレーンが画定され、レーンごとに一対のカメラ114aが備えられ、
支払うべき正しい運賃を計算するために通勤客口座が記録され、
2つのカメラ114aは、各ゲートの上方から吊り下げられており、一方のカメラ114aは、ゲートに入る通勤客の顔を捕捉するように向けられ、他方のカメラは、ゲートが双方向の人の往来用に構成されている場合に、ゲートから出る通勤客の顔を捕捉するように向けられ、
キオスク120では、通勤客は、カメラ124によって既に撮影された肖像を選択することによって、新しい口座を登録でき、登録後、通勤客の識別情報は、IDデータベース160に保存され、
ソフトウェア142は、顔認識サブルーチンを含み、登録中、顔認識サブルーチンは、登録中に通勤客が選択した肖像から通勤客の顔に固有の特徴を分析し、
顔認識サブルーチンが通勤客に固有の顔の特徴と顧客の識別情報を関連付け、
顔認識サブルーチンの特徴は、人々の群衆から顔を識別する能力である、
運賃徴収システム100。」
2 引用文献2-4,A,C
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 「【0027】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
(第1実施例)図1、図2、図3は本発明のゲート装置を駅務で用いられる自動改札機に適用した実施例を示し、図1において、この自動改札機11,11は乗車券の投入口12と、放出口13とを有する装置本体14に開閉扉としてのゲート15を備えている。
【0028】このゲート15は、上述の投入口12に乗車区間、有効期限などが有効な有効券が投入され、上述の投入口12に乗車区間、有効期限などが無効な無効券が投入された時、並びに無札進入時(投入口12に乗車券を投入することなく利用者が進入する時)に閉成されて利用者の通行を許可および禁止する。なお、利用者に対して返却が必要な乗車券および定期券は上述の放出口13から放出処理され、これらの制御は自動改札機11の内部装置により実行される。
【0029】上述の自動改札機11はラインLを介して制御回路16に接続され、この制御回路16は撮像手段としてのCCDカメラ17および表示手段としてのモニタテレビ18を駆動制御する。上述のCCDカメラ17は自動改札機11が設置された駅の天井面19に支持部材20を介して支持され、自動改札機11へ進入する利用者および自動改札機11を通過する利用者の例えば顔と対向する方向に指向支持されている。
【0030】また上述のモニタテレビ18は駅係員室もしくは鉄道公安室などの監視部位に配設される。図2は制御回路ブロック図を示し、上述の自動改札機11はラインLを介してメイン制御部21内のインタフェース22に接続され、このインタフェース22にライン23を介してCPU30が接続されている。
【0031】上述のCPU30はROM24に格納されたプログラムに従って、CCDカメラ制御部25および表示制御部26を駆動制御し、またRAM27は必要なデータを記憶する。ここで、上述の自動改札機11はその内部に備えたセンサで乗車券の有効、無効を判定して無札又は無効時にインタフェース22を介してCPU30に判定信号aを送る。
【0032】CPU30は判定信号aの入力を受けてCCDカメラ制御部25に撮影指令信号b(以下単に撮影信号と略記する)を出力すると共に、表示制御部26に表示指令信号c(以下単に表示信号と略記する)を出力する。また上述のCCDカメラ17はCCDカメラ制御部25により動作し、このCCDカメラ17で撮影した映像情報(画像情報)dを表示制御部26を介してモニタテレビ18へ送る。
【0033】さらに上述のモニタテレビ18は表示制御部26により駆動制御され、必要時に上述のCCDカメラ17が撮影した映像情報を可視表示する。このように構成した自動改札機(請求項1,8に対応する実施例)の作用を、図3に示すフローチャートを参照して以下に詳述する。
【0034】第1ステップS1で自動改札機11に利用者が図1に矢印方向へ進入すると、次の第2ステップS2で、自動改札機11内のCPU(図示せず)は投入口センサもしくは券データ判別センサの出力に基づいて無札もしくは無効券かを判定し、投入口12に投入された乗車券、定期券が有効で正当な場合には第10ステップS10にスキップする一方、無札進入時、並びに投入口12に投入された乗車券、定期券が無効で不正な場合には次の第3ステップS3に移行する。
【0035】この第3ステップS3で、自動改札機11はメイン制御部21のC PU30に判定信号aを送る。上述の判定信号aがインタフェース22を介してCPU30に入力されると、第4ステップS4で、CPU30はCCDカメラ制御部25に撮影信号bを出力する。
【0036】次に第5ステップS5で、CCDカメラ制御部25によりCCDカメラ17が制御され、このCCDカメラ17で不正利用者の撮影を開始する。次に第6ステップS6で、メイン制御部21のCPU30は表示制御部26に表示信号cを出力するので、次の第7ステップS7ではCCDカメラ17からの映像情報dによりモニタテレビ18による表示が開始される。
【0037】次に第8ステップS8で、利用客の操作やり直し又は係員によるリセットを待機した後、第9ステップS9でCCDカメラ17による撮影を終了すると共に、モニタテレビ18による表示を終了し、さらに次の第10ステップS10で、終了処理(有効券の放出処理その他)を実行する。
【0038】このように、上述の不正判別手段(図3のフローチャートにおける第2ステップS2参照)が利用者の不正通行を判別すると、撮像手段(CCDカメラ17参照)は該不正判別手段(第2ステップS2参照)の出力に基づいて不正通行時の利用者を撮像する。このため不正利用者を容易に特定することができる効果があり、不正防止効果の向上を図ることができる効果がある。また、駅務で使用される自動改札機11に適用したので、不正乗車客を撮像して、この不正乗車客を容易に特定することができる効果があり、加えて、不正乗車防止効果の向上を図ることができる。」
イ 「【0077】以上の各実施例においては1台のCCDカメラ17で、1台の自動改札機11の利用者を撮像すべく構成したが、1台のCCDカメラ17により複数台の自動改札機11を通過する複数人の利用者を同時に撮像すべく構成すると、自動改札機11台数に対する必要CCDカメラの数量(個数)を大幅に低減することができる効果がある。」
ウ 「【図1】
[図:0001414882000005.jpg]
」
(2)引用文献3の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献3(原査定の引用文献B)には、次の事項が記載されている。
ア 「
[図:0001414882000006.jpg]
」
(当審仮訳:
[0012] (1)利用者は事前に個人地下鉄アカウントを登録し、アカウント登録時に、顔情報を入力し、顔情報はリモートサーバに保存され、利用者は個人地下鉄アカウントに一定額の乗車料金を入金し、利用者が駅に入るとき、利用者が改札入口に到着すると、カメラは利用者の顔情報を識別し、マイクロプロセッサを介してリモートサーバに送信して比較し、比較に合格するとリモートサーバは利用者のアカウントと駅名情報を記録し、同時にリモートサーバはマイクロプロセッサに成功コマンドを送信し、マイクロプロセッサはディスプレイに利用者の名前と駅名を表示するよう命令し、マイクロプロセッサは電磁石に通電するように命令し、電磁石は磁界を発生させ、ロックピンの根元の磁石は吸引力を発生させ、吸引力の作用でロックピンが回収され、バネが圧縮されてゲート板が解放され、ねじりバネの作用の下でゲート板が改札の通路を開き、利用者が通過し、赤外線センサーが人体の赤外線信号を検出し、人体の赤外線信号が2秒間消えた後、マイクロプロセッサは電磁石の電源を切り、ロックピンが解放されてバネの弾性力で飛び出し、ロックピンの端がゲート板を押して閉じ、改札の通路を塞ぐと同時にねじりバネを圧縮する;利用者が駅を出るとき、改札に到着後、カメラは利用者の顔情報を識別し、マイクロプロセッサを介してリモートサーバに送信して比較し、比較に合格するとリモートサーバはアカウント情報を照合して検索し、入場駅名と到着駅名を組み合わせて対応する運賃を計算し、利用者の口座から情報を差し引き、リモートサーバは上記の情報をマイクロプロセッサに送信し、マイクロプロセッサはディスプレイに利用者の名前、到着駅名及び運賃情報を表示するよう指示する;出場駅におけるゲート板とロックピンの制御方法は到着駅と同じである;)
イ 「
[図:0001414882000007.jpg]
」
(3)引用文献4の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献4(原査定の引用文献D)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0051】
図2は、図1の料金精算用ICカード100および乗車駅の決済処理装置300を含む運賃決済システムにより実行される入場処理の一例を示すフローチャートである。入場処理は、利用者が乗車する駅に入場するため、乗車駅の自動改札機200を通過する際の一連の処理であり、利用者が料金精算用ICカード100を自動改札機200にかざした時を契機として開始する。
【0052】
ステップS101において、乗車駅の決済処理装置300の決済情報取得部311は自動改札機200を介して、料金精算用ICカード100に記憶されたカード番号と利用可能残高を取得する。
【0053】
ステップS102において、決済処理装置300の残高判定部312は、ステップS101で取得した利用可能残高が初乗り運賃未満であるか否かを判定する。すなわち、初乗り運賃が最低必要な残高として設定されている。
【0054】
残高判定部312により利用可能残高が初乗り運賃以上であると判定された場合、ステップS102においてNOと判定され、処理はステップS103に進む。
【0055】
ステップS103において、通過許可部314は入場許可と判定し、入場許可処理が実行される。具体的には、決済処理装置300の通過許可部314は、自動改札機200を介して、利用者がかざした料金精算用ICカード100に乗車駅の情報を書き込む。さらに通過許可部314は自動改札機200を制御して、自動改札機200の扉を開放する。利用者が自動改札機200を通過することにより、入場処理は正常終了する。
【0056】
一方、利用可能残高が初乗り運賃未満である場合、ステップS102においてYESと判定され、処理はステップS104に進む。ステップS104において、決済処理装置300の決済支援部315は、通信部301を介して鉄道会社サーバ400に、ステップS101で取得したカード番号を送信して、当該カード番号がカード会員DB402に登録されているか否かの照会を依頼し、照会結果を取得する。
【0057】
ステップS105において、決済処理装置300の決済支援部315は、ステップS104で取得した照会結果から、利用者がダイレクト契約を結んでいるか否かを判定する。ステップS104で送信したカード番がダイレクト契約を結んでいない(以後、「未登録」と呼ぶ)と判定された場合、ステップS105においてNOと判定され、処理はステップS106に進む。
【0058】
ステップS106において、決済処理装置300の通過許可部314は、入場不許可と判定し、入場不許可処理を実行する。ここで、入場不許可処理とは、自動改札機200を制御して扉を閉じ、自動改札機200の表示画面に「残高不足」等のメッセージを表示する等の一連の処理である。入場不許可処理の詳細については、公知の技術であるので省略する。これにより、利用者は自動改札機200を通過できないこととなり、入場処理は異常終了する。
【0059】
一方、ステップS104で送信したカード番号が登録済(ダイレクト契約有り)で、口座名義とログインIDが取得できた場合、ステップS105においてYESと判定され、処理はステップS107に進む。この時点で、決済処理装置300の決済支援部315により不足分については銀行サーバ500から鉄道会社サーバ400に入金を行うことが確定する。
【0060】
ステップS107において、決済処理装置300の通過許可部314は自動改札機200を制御して、自動改札機200の表示画面に「残高不足ですが、出場後にオンライン決済します」等のメッセージを表示する。その後、処理はステップS103に進み、自動改札機200での入場処理は正常終了する。」
イ 「【図2】
[図:0001414882000008.jpg]
」
ウ 「【0165】
上述の実施形態では、決済処理装置300を、入出場処理を実行する自動改札機200と同じ駅構内に設置されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。決済処理装置300は、例えば、鉄道会社サーバ400または銀行サーバ500と一体として設置してもよいし、自動改札機200、鉄道会社サーバ400、銀行サーバ500と独立して設置してもよい。また、上記の実施形態の入場処理において、残高不足が判明した段階で、利用者指定のメールアドレスに、残高不足の通知メールを送信してもよい。この機能は、利用者の安否確認にも利用することができる。」
(4)引用文献Aの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、次の事項が記載されている。
ア 「
[図:0001414882000009.jpg]
」
(当審仮訳:
[0100] 図3に示すように、本発明は、公共交通機関の料金を迅速に支払う方法を提供し、この方法は以下のステップを含む:
[0101] S101、ユーザの顔画像情報を収集する際に、前記顔画像情報をクラウドサーバに送信する;
[0102] 前記ユーザの顔画像情報を収集し、前記顔画像情報をクラウドサーバに送信するステップは、具体的には、以下を含む:
[0103] 乗車位置又は入場位置にカメラを設置し、利用者が前記乗車位置又は入場位置を通過する際に、利用者の顔画像情報を収集し、通信ネットワークを介してクラウドサーバに送信する。
[0104] S102、前記クラウドサーバには、顔認識データベースが予め設定されており、前記顔画像情報と前記顔認識データベースとを比較して、ユーザ識別情報を取得する;
[0105] S103、前記ユーザ識別情報と現在位置情報をユーザクライアントに送信し、前記ユーザクライアントで乗車区間を選択し、乗車料金を支払う。)
イ 「
[図:0001414882000010.jpg]
」
(5)引用文献Cの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Cには、次の事項が記載されている。
ア 「[0014] 本実施形態による顔照合システムは、施設の入場口において、入場チケットを利用して施設の場内に入場しようとする来場者を認証対象者として、顔照合により本人確認を行うものである。施設は、例えば、テーマパーク、イベント会場、競技場、コンサート会場等である。来場者が利用する入場チケットは、その種別が特に限定されるものではないが、例えば、年間パス、年間パスポート等と呼ばれる1年間等の特定の期間に何度でも入場可能な入場チケットである。入場チケットは、紙チケットであっても電子チケットであってもよく、その入場チケットを識別する識別情報が読み取り可能に記録されている媒体であればよい。以下では、来場者が年間パスを利用して施設の場内に入場しようとする際に、顔照合による本人確認を行う場合について説明する。」
イ 「[0132] 図11は、固定カメラ20により撮影された1フレームの画像の他の例を示している。図11に示すように、1フレームの画像Iには、ゲート装置10の前の場所にいる3人の来場者Vp、Vq、Vrが撮影されている。このように、固定カメラ20により撮影された1フレームの画像Iに、複数人の来場者が撮影されている場合がある。このような場合、顔検出部310は、固定カメラ20により撮影された画像Iから、図11中の検出枠316p、316q、316rで示すように、複数人の来場者Vp、Vq、Vrのそれぞれの顔画像を検出する。こうして1フレームの画像から検出された複数の検出顔画像は、それぞれ登録顔画像と照合すべき照合対象の画像として上記と同様に処理される。」
ウ 「[図11]
[図:0001414882000011.jpg]
」
第6 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「入場又は出場駅」のうち「入場駅」の任意の1つ(以下「駅A」という。)は、本願発明1の「第1の駅」に相当する。
引用発明の駅Aにおける「カメラ114a」は、本願発明1の「第1の駅に設置された第1のカメラ」に相当する。
イ 引用発明の「仕切り部材119」は、本願発明1の「パーティション」に相当する。
ウ 引用発明の駅Aにおける「隣り合う2つの仕切り部材119間に」「画定され」る「レーン」は、複数の通勤客が順次通過し得るものであることが明らかであるから、上記イを踏まえると、本願発明1の「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第1の領域」と、「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が」「通過可能な第1の領域」である点で共通する。
してみれば、引用発明の駅Aにおける「レーンごとに」「備えられ」た「一対のカメラ114a」は、当該レーンを順次通過する複数の通勤客を順次撮影することが明らかであるから、上記アを踏まえると、本願発明1の「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第1の領域を通過する第1の複数の人を同時に撮影する第1のカメラ」と、「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が」「通過可能な第1の領域を通過する第1の複数の人を」「撮影する第1のカメラ」である点で共通する。
エ 引用発明の「入場又は出場駅」のうち「出場駅」の任意の1つ(駅Aを除く。以下「駅B」という。)は、本願発明1の「第2の駅」に相当する。
引用発明の駅Bにおける「カメラ114a」は、本願発明1の「第2の駅に設置された第2のカメラ」に相当する。
オ 引用発明の駅Bにおける「隣り合う2つの仕切り部材119間に」「画定され」る「レーン」は、複数の通勤客が順次通過し得るものであることが明らかであるから、上記イを踏まえると、本願発明1の「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第2の領域」と、「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が」「通過可能な第2の領域」である点で共通する。
してみれば、引用発明の駅Bにおける「レーンごとに」「備えられ」た「一対のカメラ114a」は、当該レーンを順次通過する複数の通勤客を順次撮影することが明らかであるから、上記エを踏まえると、本願発明1の「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第2の領域を通過する第2の複数の人を同時に撮影する第2のカメラ」と、「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が」「通過可能な第2の領域を通過する第2の複数の人を」「撮影する第2のカメラ」である点で共通する。
カ 引用発明の「入場又は出場駅」のうち「出場駅」の任意の1つ(駅A及びBを除く。以下「駅C」という。)は、本願発明1の「第3の駅」に相当する。
引用発明の駅Cにおける「カメラ114a」は、本願発明1の「第3の駅に設置された第3のカメラ」に相当する。
キ 引用発明の駅Cにおける「隣り合う2つの仕切り部材119間に」「画定され」る「レーン」は、複数の通勤客が順次通過し得るものであることが明らかであるから、上記イを踏まえると、本願発明1の「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第3の領域」と、「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が」「通過可能な第3の領域」である点で共通する。
してみれば、引用発明の駅Cにおける「レーンごとに」「備えられ」た「一対のカメラ114a」は、当該レーンを順次通過する複数の通勤客を順次撮影することが明らかであるから、上記カを踏まえると、本願発明1の「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能な第3の領域を通過する第3の複数の人を同時に撮影する第3のカメラ」と、「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が」「通過可能な第3の領域を通過する第3の複数の人を」「撮影する第3のカメラ」である点で共通する。
ク 引用発明の駅Aにおいて「通勤客が入場」「のためにバリアフリーゲートに近づくと」「カメラ114a」「が通勤客を検知」して「撮影」した「通勤客の写真」は、上記ウを踏まえると、本願発明1の「前記第1のカメラによって同時に撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報」と、「前記第1のカメラによって」「撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報」である点で共通する。
ケ 引用発明の駅Bにおいて「通勤客が」「出場のためにバリアフリーゲートに近づくと」「カメラ114a」「が通勤客を検知」して「撮影」した「通勤客の写真」は、上記オを踏まえると、本願発明1の「前記第2のカメラによって同時に撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報」と、「前記第2のカメラによって」「撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報」である点で共通する。
コ 引用発明の「通勤客の顔に固有の特徴」は、通勤客が新しい口座を登録する際に選択した肖像から顔認識サブルーチンが分析して「顧客の識別情報」と関連付けたものであり、「顧客の識別情報」が登録後にIDデータベース160に保存される「通勤客の識別情報」を指すものであることは明らかであるから、本願発明1の「事前に登録された人ごとの顔の情報」に相当する。
サ 引用発明の「サーバ140」は、本願発明1の「コンピュータ」に相当する。
シ 引用発明の駅Aにおいて「撮影され」た「通勤客の写真」が「サーバ140に中継され、IDデータベース160と照合され」ることは、当該「通勤者の写真」と、IDデータベース160に保存された通勤客の識別情報と関連付けられた「通勤客の顔に固有の特徴」とを照合することを指すといえるから、上記ク、コ及びサを踏まえると、本願発明1の「コンピュータ」が「前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、」「事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域」「を通過した人を特定」することに相当する。
ス 引用発明の駅Bにおいて「撮影され」た「通勤客の写真」が「サーバ140に中継され、IDデータベース160内のエントリレコードと照合され」ることは、当該「通勤客の写真」と、上記シの「照合」後にIDデータベース160においてエントリレコードに入力された通勤客IDすなわち通勤客の識別情報と関連付けられた「通勤客の顔に固有の特徴」とを照合することを指すといえるから、上記ケ及びサを踏まえると、本願発明1の「コンピュータ」が「前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、」「前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人を特定」することに相当する。
セ 上記スの「照合」により通勤客が肯定的に識別された場合において、引用発明の「通勤客口座」は、本願発明1の「前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人」として「特定した人の口座」に相当する。
上記スの「照合」により通勤客が肯定的に識別された場合において、引用発明の「支払うべき正しい運賃」は、本願発明1の「前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金」に相当する。
したがって、上記スの「照合」により通勤客が肯定的に識別された場合において、引用発明における「運賃が記録されて通勤客口座から引き落とされ」ることは、本願発明1の「コンピュータ」が「前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した」と「特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金を要求する」ことに相当する。
ソ 引用発明の駅Cにおいて「通勤客が」「出場のためにバリアフリーゲートに近づくと」「カメラ114a」「が通勤客を検知」して「撮影」した「通勤客の写真」は、上記キを踏まえると、本願発明1の「前記第3のカメラによって同時に撮影された前記第3の複数の人のそれぞれの顔の情報」と、「前記第3のカメラによって」「撮影された前記第3の複数の人のそれぞれの顔の情報」である点で共通する。
タ 引用発明の駅Cにおいて「撮影され」た「通勤客の写真」が「サーバ140に中継され、IDデータベース160内のエントリレコードと照合され」ることは、当該「通勤客の写真」と、上記シの「照合」後にIDデータベース160においてエントリレコードに入力された通勤客IDすなわち通勤客の識別情報と関連付けられた「通勤客の顔に固有の特徴」とを照合することを指すといえるから、上記サ及びソを踏まえると、本願発明1の「コンピュータ」が「前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、」「前記第3の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した人を特定」することに相当する。
チ 上記タの「照合」により通勤客が肯定的に識別された場合において、引用発明の「通勤客口座」は、本願発明1の「前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した人」として「特定した人の口座」に相当する。
上記タの「照合」により通勤客が肯定的に識別された場合において、引用発明の「支払うべき正しい運賃」は、本願発明1の「前記第1の駅で乗車して前記第3の駅で降車したときに支払うべき料金」に相当する。
したがって、上記タの「照合」により通勤客が肯定的に識別された場合において、引用発明における「運賃が記録されて通勤客口座から引き落とされ」ることは、本願発明1の「コンピュータ」が「前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した」と「特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第3の駅で降車したときに支払うべき料金を要求する」ことに相当する。
ツ 引用発明の「運賃徴収システム100」は、本願発明1の「情報処理システム」に相当する。
(2)一致点及び相違点
上記(1)から、本願発明1と引用発明との間には、次のアのとおりの一致点及びイ-ウのとおりの相違点があるといえる。
ア 一致点
「第1の駅に設置された第1のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が通過可能な第1の領域を通過する第1の複数の人を撮影する第1のカメラと、
第2の駅に設置された第2のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が通過可能な第2の領域を通過する第2の複数の人を撮影する第2のカメラと、
第3の駅に設置された第3のカメラであって、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が通過可能な第3の領域を通過する第3の複数の人を撮影する第3のカメラと、
前記第1のカメラによって撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記第2のカメラによって撮影された前記第2の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第2の領域の両方を通過した人を特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第2の駅で降車したときに支払うべき料金を要求するコンピュータとを有し、
前記コンピュータは、前記第1のカメラによって撮影された前記第1の複数の人のそれぞれの顔の情報と、前記第3のカメラによって撮影された前記第3の複数の人のそれぞれの顔の情報と、事前に登録された人ごとの顔の情報に基づいて、前記第1の複数の人の中で前記第1の領域と前記第3の領域の両方を通過した人を特定し、特定した人の口座の残高から、前記第1の駅で乗車して前記第3の駅で降車したときに支払うべき料金を要求することを特徴とする情報処理システム。」
イ 相違点1
本願発明1では、第1の領域、第2の領域及び第3の領域が、隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能なものであるのに対し、引用発明では、隣り合う2つの仕切り部材119間に画定されるレーンについて、複数の人が同時に通過可能であることは特定されていない点。
ウ 相違点2
本願発明1では、第1のカメラ、第2のカメラ及び第3のカメラが、複数の人を同時に撮影しているのに対し、引用発明では、カメラ114aは複数の通勤客を同時に撮影していない点。
(3)相違点についての判断
まず、相違点1について検討する。
相違点1に係る本願発明1の、「駅」における「隣り合う2つのパーティション間」を「複数の人が同時に通過可能」とする構成(以下「相違点1構成」という。)は、上記引用文献2-4,A,Cに記載されたものでなく、出願日前における周知技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1は、相違点2について判断するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4,A,Cに記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-9について
本願発明2-9は、いずれも本願発明1を減縮したものであり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4,A,Cに記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明10について
本願発明10は、本願発明1に対応する方法の発明であり、相違点1構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4,A,Cに記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
4 本願発明11について
本願発明11は、本願発明1に対応する情報処理装置の発明であり、相違点1構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4,A,Cに記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
5 本願発明12について
本願発明12は、本願発明11に対応する方法の発明であり、相違点1構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明11と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4,A,Cに記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
6 本願発明13について
本願発明13は、本願発明10に対応するプログラムの発明であり、相違点1構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明10と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4,A,Cに記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
7 本願発明14について
本願発明14は、本願発明12に対応するプログラムの発明であり、相違点1構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明12と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4,A,Cに記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
1 理由1(明確性)について
本件補正後の請求項1-14は、「特定手段」、「要求手段」又は「通知手段」の記載を含まないものであり、これらの記載について不明確とされた点は解消した。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。
2 理由2(サポート要件)について
本願の発明は、「改札が情報を読み取れる範囲は狭いため、人は情報を読み取らせるために注意深く、カードや腕時計をかざさなければならない」こと(明細書段落【0006】を参照。以下「課題1」という。)及び「ゲートがあると、通行できるエリアが狭くなり、一度に通過できる人数が減ってしまい、ゲートを通るための人の行列ができやすくなってしまう」(明細書段落【0007】を参照。以下「課題2」という。)ことを課題としてなされたものと認められる。
してみれば、ユーザの入場駅及び降車駅に基づいて支払うべき料金を特定する構成は、課題1又は課題2のいずれを解決するものでもないから、本件補正後の請求項1-14に当該構成を含む手段が反映されていないとしても、本願の特許請求の範囲の記載がサポート要件を充足しないことにはならない。
そして、本件補正後の請求項1-14には、「隣り合う2つのパーティション間を複数の人が同時に通過可能」であること及び当該複数の人を「同時に撮影」することが記載されており、カードや腕時計をかざすことなく撮影により情報を取得することで課題1が解決され、複数の人を同時に通過可能とすることで課題2が解決されるから、本願発明1-14は、本願の発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものであり、本願の特許請求の範囲の記載はサポート要件を満たしている。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
3 理由3(進歩性)について
本件補正により、本願発明1-9は相違点1構成を備え、本願発明10-14は相違点1構成に対応する構成を備えるものとなっており、当業者であっても、原査定において引用された引用文献A-Dに基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由3を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-013196