特許拒絶査定不服審判
2023-017213
取引制御装置、制御方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2023-017213
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-566697
- 請求日
- 2023年10月11日
- 審決日
- 2024年12月09日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本電気株式会社
- 【請求人代理人】速水 進治
- 【請求人】NECソリューションイノベータ株式会社
- 【請求人代理人】速水 進治
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 北元 健太
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .121-WZ (G07D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-566697「取引制御装置、制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年7月1日国際公開、WO2021/130979〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)12月26日を国際出願日とする出願であり、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。
令和4年 6月23日 手続補正書の提出
令和5年 1月13日付け 拒絶理由通知書
令和5年 3月27日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 7月 6日付け 拒絶査定
令和5年10月11日 審判請求書の提出
令和6年 6月10日付け 拒絶理由通知書
令和6年 8月 2日 意見書、手続補正書の提出
令和6年 8月23日付け 拒絶理由通知書
令和6年10月24日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年10月24日にされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項8に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。
「 【請求項8】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
ATM(Automated Teller Machine)の操作者を含む画像である操作者画像を用いて、前記操作者が、前記操作者が行う取引の対象となる対象アカウントに対応付けられている所定人物であるか否かを判定する判定ステップと、
前記操作者画像に含まれる前記操作者が前記所定人物でないことを示す場合に、取引の進行を遅延させる処理、及び取引が進行しているように見せかける処理の少なくとも一方を行う対処実行ステップと、を有する制御方法。」
第3 拒絶の理由
令和6年8月23日付けで当審において通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)は、次のとおりのものである。
本願の請求項1-2,4,6-9に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、請求項3に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、請求項5に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2015-72592号公報
2.特開2005-346174号公報
3.特開2004-220186号公報
4.特開2009-3630号公報
5.特開2005-242869号公報
6.特開2005-196516号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1及び引用発明1
(1)引用文献1の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「【0022】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。本発明に係る利用者特定方法を実施するシステムの一例は、ATM等の端末1と銀行のサーバ等の照合部2及び警備担当部署3から構成され、端末1と照合部2、照合部2と警備担当部署3は双方向通信可能に接続されて、端末1には入力可能な表示部4が設けられている。
【0023】
利用者が本発明に係る利用者特定方法を利用して、例えばATMからカードレスで現金を引き出す例を図2及び図3を参照して以下に説明する。
【0024】
先ず、入力可能な表示部4から自分の氏名を入力する。同姓同名の登録者が複数存在する場合でも、後述する利用者特定画像に当該複数の登録者の本人情報の全てと非本人情報とが混在する画像を表示すればよい。単一画面に表示するには同姓同名の数が多すぎる場には居住地域などで絞込みを行なえば問題は解消できるので、必ずしも生年月日や住所の入力を必須要件としなくてよい。
【0025】
端末1から氏名の情報の送信を受けた照合部2では、当該氏名がメモリ装置に記憶されているか否かを判断し、記憶されていない場合は、操作は終了する。当該氏名と生年月日がメモリ装置に記憶されている場合は、該当する登録者の予め登録してある本人情報と非本人情報を端末1へ送信する。ここで、本人情報は登録者本人の生活の一部になっているような固有の記憶と関係する既知の画像であり、非本人情報は登録者本人の記憶にはない既知ではない画像である。
【0026】
実施例では、図3に示すように、本人情報として自分のペット画像(写真)5aを選定している。そして本人の記憶にはない動物、人物、子供および景色の画像を非本人情報として混合し、前記本人情報とともに端末1へ送信し、入力可能な表示部4に表示する。
【0027】
ここで、画像の右上の番号3のネコ5aが自分の飼い猫であり、本人が固有に記憶している本人情報である。
【0028】
入力された情報が登録された情報と一致するか、具体的には、選択して入力した画像が本人情報、即ちネコ5aであるか否かを照合部2で判断し、本人情報であった場合には正規の利用者認証画面を表示し、本人認証ステップに移行する。尚、実施例では利用者特定ステップの次に本人認証ステップに移行する例を示しているが、利用者特定ステップまでで利用者の照会を終了してもよい。
【0029】
一方、利用者特定のステップにおいて、非本人情報が選択されたと照合部2で判断した場合には、擬似認証画面の表示に移行する。擬似認証画面表示は犯罪者を捕捉することを目的としているため、利用者には表示されている画面が正規の認証画面か擬似認証画面かは判断できない。
【0030】
擬似認証画面に表示する内容としては、認証方法が文字パスワードであれば文字パスワード入力を要求する画面、バイオメトリクス認証であれば生体特徴点の提示を要求する画面、画像型パスワードであれば画像群を表示して正解画像の選択を要求する画面など、正規の認証画面と同一の形式形態である。
【0031】
一方、擬似認証画面においても利用者が本人情報を選択できない場合、或いは擬似認証画面において、利用者の操作回数が所定回を超えるか、所定時間を経過した場合には、照合部2から警備担当部署3に警報を発し、警備担当部署3から当該ATMに警備員が急行する。」
イ 「【図2】
[図:0001418881000001.jpg]
」
ウ 「【図3】
[図:0001418881000002.jpg]
」
エ 上記イ及びウから、利用者が、表示された複数の画像から1つの画像をタップして入力していることが見て取れる。
(2)引用発明1
上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ATM等の端末1と銀行のサーバ等の照合部2及び警備担当部署3から構成され、端末1に入力可能な表示部4が設けられているシステムが実施する、利用者がATMから現金を引き出すのに利用する利用者特定方法であって、
入力可能な表示部4から氏名を入力し、
端末1から氏名の情報の送信を受けた照合部2は、該当する登録者の予め登録してある本人情報と非本人情報を端末1へ送信し、
利用者が、表示された複数の画像から1つの画像をタップして入力し、
入力された情報が登録された情報と一致するかを照合部2で判断し、本人情報であった場合には正規の利用者認証画面を表示し、本人認証ステップに移行し、非本人情報と判断した場合には、擬似認証画面の表示に移行し、
擬似認証画面表示は犯罪者を捕捉することを目的とし、
擬似認証画面に表示する内容は、文字パスワード入力を要求する画面など、正規の認証画面と同一の形式形態であり、
擬似認証画面において所定時間を経過した場合には、照合部2から警備担当部署3に警報を発し、警備担当部署3から当該ATMに警備員が急行する、
利用者特定方法。」
2 引用文献2及び引用発明2
(1)引用文献2の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 「【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る自動取引装置(たとえば、銀行の営業店に設置され、入金、出金、振込、振替、残高照会、通帳記入などの各種取引が可能な現金自動預出金機:ATM)の外観を示すものである。図1において、筐体1の前面には、略L字形状の接客操作部(操作部)2が形成されている。接客操作部2は、ほぼ垂直な面2a、ほぼ水平な面2b、および、垂直面2aと水平面2bとの間に上向き傾斜して設けられた傾斜面2cを有して構成されている。
【0010】
接客操作部2の垂直面2aには、取引媒体としての磁気通帳を受入れる取引媒体取込部としての通帳口3、暗証番号や口座番号などが記録されている取引媒体としての磁気カード、あるいは、振込取引時の振込券を受入れるとともに、取引内容を印字したレシート(明細票)を排出する取引媒体取込部としてのカード口4、および、利用者に対する音声案内のためのスピーカ5などが設けられている。
【0011】
接客操作部2の傾斜面2cには、預金、振込、振替すべき紙幣を多数枚一括して投入し得るとともに、放出された紙幣を一括して受取る、開閉可能な蓋体を有する紙幣口6、硬貨を多数枚一括して投入し得るとともに、放出された硬貨を一括して受取る、開閉可能な蓋体を有する硬貨口7、利用者の少なくとも顔画像を撮影して入力する画像取得手段としてのビデオカメラ(以降、単にカメラと略称する)8などが設けられている。
カメラ8は、接客操作部2を操作する利用者の少なくとも顔画像を含む画像を斜め下方から撮影して入力するものである。
【0012】
接客操作部2の水平面2bには、表面に指を接触することにより所定の情報が入力できる矩形状の透明なマトリクススイッチ式タッチパネル9が設けられているとともに、その下面に相対向して表示手段としてのカラー液晶表示装置10が設けられていてる。」
イ 「【0024】
次に、このような構成において、図3および図4に示すフローチャートを参照して動作を説明する。
待機状態において(ステップS1)、利用者が接客操作部2の前に位置すると、人感センサ12がそれを検知する(ステップS2)。また、このとき、カメラ8は、接客操作部2の前に位置する利用者の少なくとも顔画像を含む画像を斜め下方から撮影して入力する。ここに、ステップS2の処理が本発明における人物検知手段に対応している。
【0025】
人感センサ12が利用者を検知すると、主制御部24は、このときカメラ8で撮影された利用者の顔画像を含む画像を画像入力部20を介して取込み、この取込んだ画像内に人物(利用者)の顔が存在するか否かを検知する(ステップS3,S4)。この顔検知は、たとえば、入力画像から顔領域を切り出すことにより、顔の特徴情報として両目および両鼻孔を検出し、両目および両鼻孔が検出できたとき顔が存在すると判定する。ここで顔が検知できなかった場合はステップS1の待機状態に戻る。ここに、ステップS3,S4の処理が本発明における第1の顔検知手段に対応している。
【0026】
ステップS3,S4で顔が検知できた場合、主制御部24は、入力画像を用いた顔照合処理を実施する(ステップS5)。ここに、ステップS5の処理が本発明における照合手段に対応している。顔照合処理には、ID番号やパスワードの入力を必要とする1対1照合と、ID番号やパスワードの入力を必要としない1対N照合とがある。
【0027】
1対1照合の場合、あらかじめ利用者がタッチパネル9からID番号を入力しておくことにより、カメラ8が取込んだ顔画像から特徴情報を抽出するとともに、先に入力されたID番号に対応する辞書情報を辞書記憶部21から選択し、この選択した辞書情報と上記抽出した特徴情報とを照合することにより、当該利用者は本人であるか否かを判定し、その判定結果を主制御部24へ送る。
【0028】
1対N照合の場合、ID番号の入力は行なわず、上記同様、カメラ8が取込んだ顔画像から特徴情報を抽出し、この抽出した特徴情報を辞書記憶部21に登録されている全ての辞書情報と照合することにより、当該利用者は本人であるか否かを判定し、その判定結果を主制御部24へ送る。
【0029】
ステップS5における顔照合の結果、当該利用者は本人でないと判定された場合(ステップS6)、主制御部24は、当該取引は不許可(利用不許可)である旨を表示装置11およびスピーカ5によって当該利用者に案内する(ステップS7)。
次に、主制御部24は、このときのカメラ8から得られる入力画像などを履歴画像として記憶部22に記録(記憶)し(ステップS8)、ステップS1の待機状態に戻る。ここに、ステップS7,S8の処理が本発明における取引制御手段に対応している。
【0030】
ステップS5における顔照合の結果、当該利用者は本人であると判定された場合(ステップS6)、主制御部24は、固有の確認情報として暗証番号の入力を表示装置11およびスピーカ5によって当該利用者に案内する(ステップS9)。
この案内に基づき、利用者がタッチパネル9から暗証番号を入力すると(ステップS10)、主制御部24は、この入力された暗証番号の正当性をチェックすることにより、当該利用者は本人であるか否かを判定する(ステップS11)。ここに、ステップS9~S11の処理が本発明における本人確認手段に対応している。
【0031】
なお、ステップS9~S11における暗証番号による本人確認の処理は、さらにセキュリティレベルを高くするために行なっているが、その必要性がない場合は必ずしも行なう必要はなく、ステップS9~S11の処理を省略してもよい。
【0032】
ステップS11における判定の結果、当該利用者は本人でない場合、主制御部24はステップS7に進み、前記同様な動作を行なう。
ステップS11における判定の結果、当該利用者は本人である場合、主制御部24は、当該取引を許可(利用許可)し(ステップS12)、その旨を表示装置11およびスピーカ5によって当該利用者に案内し、利用者の操作に基づく取引動作を開始する(ステップS13)。ここに、ステップS13の処理が本発明における取引制御手段に対応している。
【0033】
なお、取引動作は、利用者が取引の種類(たとえば、入金、出金、振込など)を選択し、キャッシャカードや通帳等を挿入することにより、その選択された取引を自動的に実行するものであり、これは既に周知の技術であるので、これ以上の説明は省略する。」
ウ 「【図1】
[図:0001418881000003.jpg]
」
エ 「【図3】
[図:0001418881000004.jpg]
」
(2)引用発明2
上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「筐体1の前面に接客操作部2が形成され、
接客操作部2の傾斜面2cには、カメラ8が設けられ、
接客操作部2の水平面2bには、タッチパネル9が設けられ、
利用者が接客操作部2の前に位置すると、カメラ8は、接客操作部2の前に位置する利用者の顔画像を含む画像を撮影して入力し、
顔が検知できた場合、入力画像を用いた顔照合処理を実施し、
顔照合の結果、当該利用者は本人であると判定された場合、固有の確認情報として暗証番号の入力を当該利用者に案内し、
この案内に基づき、利用者がタッチパネル9から暗証番号を入力すると、この入力された暗証番号の正当性をチェックすることにより、当該利用者は本人であるか否かを判定する、
自動取引装置(現金自動預出金機:ATM)」
3 引用文献3及び4
(1)引用文献3の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 「【0002】
【従来の技術】
従来、顧客が金融機関の取引カ-ドを紛失した場合、顧客は金融機関の端末装置でその取引カ-ドの紛失の届出の操作を行い、紛失の届出がされたカ-ドの情報は端末装置から金融機関の上位装置に送信され、その取引カ-ドを使用した取引が中止される。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
【特許文献1】特開2002-150192号公報(第3頁【0010】-第4頁【0022】、第2図、第3図、第5図、第7図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の技術においては、紛失の届出が行われた取引カ-ド(以下、紛失届出カ-ドという。)の使用が中止されるため、紛失届出カ-ドの使用者が端末装置に紛失届出カ-ドを挿入すると取引不成立となって、使用者はその場に長居することなく立ち去ってしまい、紛失届出カ-ドが使用された履歴しか記録されないため、その使用者を特定することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、紛失届出カ-ドにより取引が行われたときに、使用者を特定することに寄与することができる端末装置を提供することを目的とする。」
イ 「【0013】
以下に、図1に示すフロ-チャ-トを用い、Sで示すステップに従って金融機関における紛失届出カ-ドによる出金取引の場合を例に説明する。
全ての現金自動取引装置3の主制御部4は始業時に、金融機関のセンタのホストコンピュ-タ1と通信回線を介して接続されている現金自動取引装置3の通信部5から、デ-タベ-ス2内の顧客情報ファイルに格納されている顧客情報を取得し、現金自動取引装置3の記憶部6に記憶する。
【0014】
S1、現金自動取引装置3の主制御部4は、表示画面に図3に示す取引選択画面を表示して、顧客操作待ち状態で待機している。
取引選択画面には、出金取引ための「お引き出し」ボタン、入金取引ための「お預け入れ」ボタン、未記入の取引の内容等を通帳に記入するための「通帳記入」ボタン、預金の残高を確認するための「残高照会」ボタン、振込み取引ための「お振り込み」ボタン、振替取引のための「お振り替え」ボタン、その他の取引のための「その他の取引」ボタン等が表示される。
【0015】
使用者は、取引選択画面から、「お引き出し」ボタンを選択する。
S2、使用者が現金引出しの取引選択をすると、この信号を検知した主制御部4は金融機関の取引カ-ドの挿入を促す画面を表示し、使用者は紛失届出カ-ドをカ-ド挿入部8より現金自動取引装置3に挿入する。
S3、主制御部4はカ-ド挿入部8に挿入された取引カ-ドのカ-ド番号と、記憶部6に記憶されている紛失届出カ-ドのカ-ド番号とを照合し、取引カ-ドが紛失届出カ-ドか否かの判定を行い、紛失届出カ-ドでなければ、通常の取引カ-ドとして取引処理が行なわれる。紛失届出カ-ドであれば、ステップS4へ移行する。
【0016】
S4、主制御部4は、紛失届出カ-ドが使用されている旨を金融機関の警備体制を統括する警備センタに通知し、警備センタに配置されている警備員は、紛失届出カ-ドが使用されている旨の情報を受取り、警備体制を整える。
また、同時に主制御部4は、現金自動取引装置3に設けられた専用の防犯カメラを起動し、使用者を撮影する。この画像デ-タは現金自動取引装置3内の記憶部6に格納される。
【0017】
なお、この画像デ-タは金融機関のセンタに送信してホストコンピュ-タ1のデ-タベ-ス2内に格納するようにしてもよい。
S5、主制御部4が警備センタに紛失届出カ-ドが使用された旨を通知し終わると、主制御部4は顧客操作部7の表示画面に図4に示す暗証番号入力画面を表示し、使用者に暗証番号の入力を促す。
【0018】
暗証番号入力画面には、暗証番号の入力を促す文言、暗証番号を入力するためのテンキ-、暗証番号表示欄、入力の間違いを訂正するための「訂正」ボタンが表示されている。使用者は、暗証番号をテンキ-によって入力する。
S6、暗証番号の入力が終わると、主制御部4は暗証番号の入力が正しく行われたか否かにかかわらず、再度、顧客操作部7の表示画面に図5に示す暗証番号入力画面を表示し、使用者に暗証番号の入力を促す。
【0019】
暗証番号入力画面には、暗証番号の入力を再度促す文言、テンキ-、暗証番号表示欄、「訂正」ボタンが表示されている。
使用者は、再度暗証番号をテンキ-によって入力する。これにより、使用者に違和感を与えることなく比較的長い時間、使用者を現金自動取引装置前に滞留させることができる。
【0020】
S7、再度暗証番号の入力が終わると、主制御部4は顧客操作部7の表示画面に図6に示す引出金額入力画面を表示し、使用者に引出金額の入力を促す。
引出金額入力画面には、引出金額の入力を促す文言、テンキ-、引出金額表示欄、「訂正」ボタンおよび入力終了を指示する「確認」ボタンが表示されている。
【0021】
使用者は、引出金額をテンキ-によって入力し、「確認」ボタンを押下する。
S8、引出金額の入力が終わると、主制御部4は引出金額の入力が正しく行われたか否かにかかわらず、再度、顧客操作部7の表示画面に図7に示す引出金額入力画面を表示し、使用者に引出金額の入力を促す。引出金額入力画面には、引出金額の入力を再度促す文言、テンキ-、引出金額表示欄、「訂正」ボタンおよび「確認」ボタンが表示されている。
【0022】
使用者は、再度引出金額をテンキ-によって入力し、「確認」ボタンを押下する。これにより、使用者に違和感を与えることなく比較的長い時間、使用者を現金自動取引装置前に滞留させることができる。
なお、引出金額入力画面には取引の取消しまたは打切りを行なうことが出来ないように、通常時の引出金額入力画面に表示される「取消」ボタンは表示されていない。
【0023】
S9、再度の引出金額の入力が終わると、主制御部4は表示画面に計算中であることを表す文言、例えば「計算中です。しばらくお待ちください。」、金融機関のセンタと交信中であることを表す文言、例えば「センタ交信中です。しばらくお待ちください。」、取引操作のやり直しを促す文言、例えば「最初からもう一度やり直してください。」等の、取引処理中の旨を表す文言をそれぞれ通常の取引の場合よりも長く表示する。
【0024】
S10、主制御部4は、表示画面に取引処理中の旨を通常の取引の場合よりも長く表示し終わると、紛失届出カ-ドは現金自動取引装置3のカ-ド挿入部8から排出されることなくステップ5へ戻り、表示画面に暗証番号入力画面を表示し、使用者に暗証番号の入力を促す。また、警備センタの警備員が金融機関に到着すると、繰返しの取引操作は停止され、取引は終了する。」
ウ 「【図1】
[図:0001418881000005.jpg]
」
(2)引用文献4の記載
当審拒絶理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。
ア 「【0007】
特許文献1のように顔画像を利用して自動取引装置の不正利用者を検知した場合、特にその人物が指名手配者又は犯罪者(以下特定人物という)であることが判明した場合、当該特定人物の逮捕につながる可能性を考慮すると、第1の対応方法である警備員等へ通報する方法は有効である。
【0008】
しかしながら、第2の対応方法である自動取引装置の動作方法(処理方法)を通常と異なる方法に変更することは、いずれも特定人物を逮捕するということにはならない。すなわち、特定人物の入金の場合は決定閾値を厳しくし偽札の投入を未然に防いだり、取引を停止させたり、カードを回収したりすることは、犯罪が未然に防げるだけであり、その場で特定人物を逮捕することにはならない。さらに、取引金額の訂正要求を行ったり、出金での紙幣搬送速度を遅くさせたりするのは、警備員等が到着する時間を稼ぐだけのものに過ぎず、所詮は特定人物による取引が完了してしまうことになり、取引が完了すれば当該特定人物は警備員等が到着する前にその場から逃走することは明らかである。そうなると、正規の顧客や金融機関に金銭的被害を及ぼすことになりかねない。
【0009】
第3の対応方法である事後のために情報収集を行なう方法は、事後に特定人物を逮捕することの可能性は高まるが、その場で当該特定人物を逮捕することにはならないことは前記第2の方法と同様である。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、前記特定人物が自動取引装置で取引をしようとする場合に、警備員等による特定人物の逮捕の可能性をより高めることにあり、同時に正規の顧客や金融機関に金銭的被害を与えないことにある。」
イ 「【0032】
図4は本発明に係る自動取引装置の動作フローである。先ず、利用者がATM1を利用するためにATM1の前に立つと、接近検知器6は利用者が近づいたことを検知する(S101)。その検知信号によって、制御部31は顧客操作表示部2の画面を図示しない待機中画面から図5(a)に示す取引中画面に切り替える(S102)。顧客操作表示部2がこの取引中画面に切り替わると、利用者は希望する取引ボタンである「お支払い」ボタン51を押下する。
【0033】
同時に制御部31は、カメラ7を制御し、利用者の顔画像を採取し、特定人物判定部33を制御し、特定人物データベース32に記憶している特定人物の顔画像と照合し、これらが一致するか識別する(S103)。特定人物でなかったら制御部31は、利用者が押下した取引ボタンの取引を通常通りに行なう(S105)。すなわち、図5(b)のように暗証番号の入力を促すとこから始めることになる。
【0034】
特定人物の顔画像と一致した場合(S104)、制御部31は、通報手段34を制御することにより、警備員等に、特定人物が現在ATM1の前にいることを直ちに通報する(S106)。
【0035】
その後、制御部31は顧客操作表示部2を制御し、図5(b)の暗証番号入力画面、図示しない金額入力画面等を表示するが、これらは通常の取引と同一の表示である。しかし、表示だけが同一であり、特定人物に対して、当該ATM1があたかも通常の取引をしているように見せるために、顧客操作表示部2の疑似動作を行なう(S107)。
【0036】
仮に、特定人物が前記「お支払」ボタン51を押下し、100万円の出金を希望したとすると、通常は、制御部31は紙幣入出金部3を制御して、万円券のカセット部14の分離手段14-2を駆動することにより、100万円の紙幣を一枚一枚分離して搬送路16へ送る。つぎに、制御部31は搬送路16を制御して、複数の搬送ローラ16-1を駆動し、一枚一枚分離した100万円の紙幣を順次入出金口12に搬送する。その後、制御部16は入出金口12を制御して、集積手段12-1を駆動し、一枚一枚搬送されてくる紙幣を入出金口12へ集積する。
【0037】
カセット部14から搬送路16を経由して入出金口12へ100万円移動するには、分離手段14-2、搬送ローラ16-1、集積手段12-1と、さらに搬送路内を振分ける図示しないブレードをも駆動させる。そのときの動作音又は振動(以下駆動音という)はATM1の前にいる利用者に充分聞こえるものであり、これら分離手段14-2、搬送ローラ16-1、集積手段12-1、図示しないブレードは駆動音発生源となる。したがって、通常、利用者はその駆動音を聞いて、ATM1が正常に動作していると思い込む。
【0038】
前記特定人物に対して、当該ATM1があたかも通常の動作をしているように聞かせるのが次のステップ108である。すなわち、制御部31の制御により、複数ある駆動音発生源のうち、紙幣の搬送に影響のない分離手段14-2、搬送ローラ16-1、集積手段12-1又は図示しないブレードを選択し、これら分離手段14-2、搬送ローラ16-1、集積手段12-1等を空転する(S108)。
【0039】
一方、特定人物は希望する現金がなかなか出金されないのに疑問を持つおそれがある。これに対し、図5(c)のように「出金中の紙幣が詰まりました。すぐに復旧しますのでこのままでお待ちください。」と表示する。あるいは、「紙幣の計数に誤りがありました。再度計数しますので、このままでお待ちください。」とか「現在動作を行っております。」というような動作継続中であるという表示をする。すなわち、顧客操作表示部2の疑似動作を行なう(S109)。
【0040】
このように所謂エラー表示であっても、たとえば「お取引できません」とか、「窓口にお越しください」のように取引が完了して特定人物がATM1の前から立ち去ってしまうようなガイダンスでは意味がない。そこで、「このままでお待ちください」というように、特定人物に少しでも期待を持たせてATMの前に留まらせるための動作継続中のガイダンスである必要がある。
【0041】
その後、制御部31は接近検知器6を制御し、特定人物がATM1の前から離れたことを検知すると動作を終了する(S110)。したがって、前記疑似動作(S108)や動作継続中画面の疑似動作(S109)は特定人物がATM1から離れるまで継続して行われる。
【0042】
なお、ステップ108の疑似動作において、駆動音発生源としての分離手段14-2、搬送ローラ16-1、集積手段12-1等を空転することを説明したが、これに限らず、これら分離手段14-2、搬送ローラ16-1、集積手段12-1等の駆動音に似せた音を発生させる図示しない駆動音発生部(例えばスピーカ)を別途設け、制御部31が当該駆動音発生部を制御し、当該駆動音発生部が疑似駆動音を発生するようにしてもよい。
【0043】
あるいは、実際に紙幣を搬送して、その駆動音を発生することにより疑似動作を行なってもよい。すなわち、前述の100万円の出金の希望があった場合のように、万円券のカセット部14から入出金口12へ100万円を移動し、出金準備をする。そうすることにより、分離手段14-2、搬送ローラ16-1および集積手段12-1等が駆動音を発生し、ATMがあたかも正常に動作をしているように聞かせることができる。
【0044】
ただし、この場合、制御部31は筐体シャッタ8および紙幣機シャッタ11は開けないように制御する。そして、入出金口12の分離手段12-2、搬送路16の搬送ローラ16-1、およびカセット部14の集積手段14-1を駆動して、カセット部14へ紙幣を戻す。このように、出金準備と戻しを繰り返し、ATM1内を循環して搬送する。
【0045】
さらに、万円券のカセット部14から、一旦一時保留部15へ100万円を搬送して、その駆動音を発生することにより疑似動作を行なってもよい。この場合は、分離手段14-2、搬送ローラ16-1および集積手段15-1等が駆動音発生源となり駆動音を発生する。」
ウ 「【図4】
[図:0001418881000006.jpg]
」
エ 「【図5】
[図:0001418881000007.jpg]
」
第5 対比及び判断
1 対比
本願発明と引用発明1を対比すると、次のことがいえる。
(1)引用発明1の「利用者特定方法」は、「ATM等の端末1と銀行のサーバ等の照合部2」「から構成され」るシステムが実施するものであるから、本願発明の「コンピュータによって実行される制御方法」に相当する。
(2)引用発明1の「ATM等の端末1」は、本願発明の「ATM(Automated Teller Machine)」に相当する。
引用発明1の「利用者」は、本願発明の「操作者」に相当する。
してみれば、引用発明1の「入力された情報」は、「利用者が」「タップして入力し」た「画像」であるから、本願発明の「操作者を含む画像である操作者画像」と、操作者に関連する画像である点で共通する。
(3)引用発明1の「登録者」は、利用者が「本人認証ステップ」により認証を受けるものであり、当該認証を受けた後に「ATMから現金を引き出す」ことが可能となることが明らかであるから、本願発明の「前記操作者が行う取引の対象となる対象アカウントに対応付けられている所定人物」に相当する。
したがって、引用発明1における「入力された情報が登録された情報と一致するかを照合部2で判断」することは、「入力された情報」が「予め登録してある本人情報」と「一致するか」によって「利用者」が「登録者」であるかを判定するものであるから、上記(2)を踏まえると、本願発明の「前記操作者が、前記操作者が行う取引の対象となる対象アカウントに対応付けられている所定人物であるか否かを判定する判定ステップ」に相当する。
(4)引用発明1の「非本人情報と判断した場合」は、上記(3)を踏まえると、本願発明の「前記操作者画像に含まれる前記操作者が前記所定人物でないことを示す場合」と、判定に用いる情報が、前記操作者が前記所定人物でないことを示す場合である点で共通する。
引用発明1の「擬似認証画面の表示」は、「犯罪者を捕捉することを目的とし」ているものであるから、本願発明の「取引の進行を遅延させる処理、及び取引が進行しているように見せかける処理の少なくとも一方」と、操作者を捕捉することを目的とする処理である点で共通する。
してみれば、引用発明1における「非本人情報が選択されたと照合部2で判断した場合には、擬似認証画面の表示に移行」することは、本願発明の「前記操作者画像に含まれる前記操作者が前記所定人物でないことを示す場合に、取引の進行を遅延させる処理、及び取引が進行しているように見せかける処理の少なくとも一方を行う対処実行ステップ」と、前記操作者が前記所定人物でないことを示す場合に前記操作者を捕捉することを目的とする処理を行う対処実行ステップである点で共通する。
2 一致点及び相違点
以上のことから、本願発明は、引用発明1と、次の(1)の点で一致し、次の(2)の点で相違する。
(1)一致点
「コンピュータによって実行される制御方法であって、
ATM(Automated Teller Machine)の操作者に関連する画像である操作者画像を用いて、前記操作者が、前記操作者が行う取引の対象となる対象アカウントに対応付けられている所定人物であるか否かを判定する判定ステップと、
判定に用いる情報が、前記操作者が前記所定人物でないことを示す場合に、前記操作者を捕捉することを目的とする処理を行う対処実行ステップと、を有する制御方法。」
(2)相違点
ア 相違点1
本願発明では、ATMの操作者を含む画像である操作者画像を用いて、前記操作者が所定人物であるか否かを判定しているのに対し、引用発明1では、照合部2の判断において利用者を含む画像を用いていない点。
イ 相違点2
判定に用いる情報が、本願発明では、前記操作者画像に含まれる前記操作者であるのに対し、引用発明1では、タップして入力された情報である点。
ウ 相違点3
前記操作者を捕捉することを目的とする処理が、本願発明では、取引の進行を遅延させる処理、及び取引が進行しているように見せかける処理の少なくとも一方であるのに対し、引用発明1では、擬似認証画面の表示である点。
3 判断
(1)相違点1及び2について
引用発明2は、上記第4の2(2)のとおりであり、これは要するに、ATMの利用者の顔画像を含む画像を撮影して入力し、入力画像を用いた顔照合を仮認証として行った結果、当該利用者が本人であると判定された場合に、最終認証としての暗証番号の入力を当該利用者に案内するものである。そして、入力画像を用いた顔照合は、タップして入力された情報が登録された情報と一致するかの判断よりも、利用者特定の精度が優れるとともに、利用者による操作が簡素であるといえる。
引用発明1と引用発明2は、ATMにおいて仮認証による利用者特定後に文字入力による最終認証を行うという機能において共通するものであるから、引用発明1における仮認証としての利用者特定の精度の向上や利用者による操作の簡素化のために引用発明2を適用して、氏名の入力、画像のタップ入力及び登録された情報との照合による利用者特定に代えて、端末1の前に位置する利用者の顔画像を含む画像の撮影及び顔照合により利用者特定を行うよう構成することは、当業者ならば容易に想到し得たことである。
(2)相違点3について
ATMの利用者の捕捉を目的として、通報の上、暗証番号入力画面の表示に続いて、引出金額入力画面の再表示、取引処理中の旨を表す文言の表示、駆動音発生源の空転、動作継続中であるという表示等の、取引が進行しているように見せかける処理を行うことは、上記第4の3における引用文献3及び4の記載から明らかなように、本願の出願前における周知技術にすぎない。
したがって、引用発明1に上記周知技術を適用して、犯罪者を捕捉することを目的として表示した擬似認証画面において所定時間を経過し、照合部2から警備担当部署3に警報を発した後に、疑似認証画面の表示に続いて、取引が進行しているように見せかける処理を行うよう構成することは、当業者ならば容易に想到し得たことである。
(3)総合検討
上記相違点1-3までを総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1、引用発明2及び引用文献3-4に記載の周知技術から予測される程度のものにすぎず、予測困難かつ格別顕著な効果を認めることはできない。
(4)小括
以上から、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び引用文献3-4に記載の周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものである。
4 請求人の主張について
令和6年10月24日提出の意見書の主張について検討する。
(1)引用発明1と本願発明の相違
請求人は、引用文献1に、擬似認証画面を表示するためのトリガーとしては人物が事前に登録した画像とは異なる画像を選択することしか開示されていないこと、及び、引用発明1において、利用者を認証するための処理は、人物が事前に登録した画像を選択する処理より後のタイミングで行われることから、引用発明2を引用発明1に組み合わせたとしても、引用発明1において、画像に写る人物が辞書に登録された人物と異なる人物であると判定した場合に、疑似認証画面を表示するように制御することは想到されない旨主張する。
当該主張は、引用発明1に引用発明2を適用しても、画像に写る人物が辞書に登録された人物と異なる人物であると判定した場合に、疑似認証画面を表示する構成には至らないことをいうものと解される。
しかしながら、上記3(1)のとおり、引用発明1における仮認証としての利用者特定の精度の向上や利用者による操作の簡素化のために引用発明2を適用することは、当業者ならば容易に想到し得たことであり、その場合、顔照合により非本人情報と判断した場合に擬似認証画面の表示に移行する構成に至ることは明らかである。
(2)阻害要因
請求人は、引用発明1における「画像」を「表示された複数の画像から選択」させる構成は、引用文献1の段落【0024】に記載されているように、カードレスの取引において問題となる、同姓同名の登録者が複数存在する場合について、利用者特定画像に複数の登録者の本人情報の全てと非本人情報とが混在する画像を表示して解決するためのもの、すなわち引用発明1に必須の構成であり、これを取り除くことには阻害要因がある旨主張している。
しかしながら、引用文献1に「カードレスでの決済は多くの人に強く実現が望まれているが、犯罪者にとってのハードルが低くて攻撃を受けやすい」ことを課題とし(段落【0016】)、「カードレス決済など手ぶらでの取引行為において予想される犯罪者からの攻撃を未然に防ぐことができ」ることを発明の効果とすること(段落【0020】)が記載されているところ、引用発明1に引用発明2を適用して、氏名の入力、画像のタップ入力及び登録された情報との照合による利用者特定に代えて、端末1の前に位置する利用者の顔画像を含む画像の撮影及び顔照合により利用者特定を行うよう構成した場合には、氏名の入力を要しないことから、同姓同名の登録者が複数存在することによる、請求人が主張する上記問題がそもそも生じないとともに、カードレスでの利用者特定を維持した上で、顔照合によってその精度が向上し、画像を選択させる構成と同等以上に、犯罪者からの攻撃を防ぐことができるといえるから、この場合においても上記の課題が解決され上記の効果が奏されることとなり、引用発明1の課題の解決や効果の発揮は妨げられない。
したがって、引用発明1に引用発明2を適用することに阻害要因があるとは認められない。
(3)小括
よって、請求人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-017213