特許異議申立
2023-701397
降雪装置、人工気象室及び降雪方法
- 審判番号
- 2023-701397
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-019917
- 登録番号
- 7312126
- 請求日
- 2023年12月28日
- 審決日
- 2024年09月30日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】エスペック株式会社
- 【権利者代理人】小谷 昌崇
- 【権利者代理人】玉串 幸久
- 【異議申立人】小松 純
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 鈴木 充
- 審判官 竹下 和志
- 分類
- P1651.121-YAA(F25C) / P1651.537-YAA(F25C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項、特許法第113条第4号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7312126号発明「降雪装置、人工気象室及び降雪方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7312126号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔4ないし8、10ないし15〕について訂正することを認める。
特許第7312126号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7312126号の請求項1ないし15に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和2年2月7日(優先権主張 令和元年8月27日)に出願され、令和5年7月11日に特許権の設定登録がされ、同年7月20日に特許掲載公報が発行された。
その後、特許異議申立人小松純(以下「申立人」という。)により請求項1ないし15に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年12月28日 特許異議の申立て
令和6年 2月 9日 申立人より手続補正書の提出
同年 3月15日付け 取消理由通知書
同年 4月30日 特許権者より訂正請求書の提出(以下、この訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。また、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)
なお、申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、申立人からの応答はなかった。
第2 訂正の適否について
本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項4ないし8、10ないし15について訂正することを求めるものである。
1 訂正の内容
(1)一群の請求項4ないし8、10ないし15についての訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4に記載された
「前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が主に上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含む降雪装置。」を
「前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が前記タンク内において上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含む降雪装置。」
に訂正する。
(2)明細書についての訂正
ア 訂正事項2
明細書の段落【0006】の
「また、本発明の一局面に係る降雪装置は、雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を備え、前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が主に上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含む。」を
「また、本発明の一局面に係る降雪装置は、雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を備え、前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が前記タンク内において上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含む。」
に訂正する。
2 訂正の適否についての判断
(1)一群の請求項4ないし8、10ないし15についての訂正
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項4の「前記蓄雪機能は、前記送風機の動作によって前記タンク内の雪が主に上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成」との記載が明確でなかったものを、「前記蓄雪機能は、前記送風機の動作によって前記タンク内の雪が前記タンク内において上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成」とすることにより明確化するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項4の「前記タンク内の雪が主に上から下に向かう空気に搬送されて」との記載が明確でなかったものを、「前記タンク内の雪が前記タンク内において上から下に向かう空気に搬送されて」とすることにより、「上から下に向かう空気」が「前記タンク内において」であることを限定するものであり、また、「主に」を削除したことにより、実質的な意味が変わるものではない。したがって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0053】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(エ)一群の請求項についての説明
訂正前の請求項1ないし15のうち、請求項5ないし8、10ないし15は、請求項4を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項4ないし8、10ないし15に対応する訂正後の請求項4ないし8、10ないし15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)明細書についての訂正
ア 訂正事項2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、上記訂正事項1による請求項4の訂正に伴って、願書に添付した明細書の段落【0006】の記載を訂正し、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
訂正事項2は、上記訂正事項1による請求項4の訂正に伴って、願書に添付した明細書の段落【0006】の記載を訂正するものであり、訂正事項1と同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0053】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(エ)明細書又は図面の訂正と関係する請求項
訂正事項2による明細書又は図面の訂正に係る請求項は、請求項4ないし8、10ないし15であり、本件訂正は、一群の請求項4ないし8、10ないし15全てについて訂正の請求がされているから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。
3 小括
以上のとおりであるから、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4ないし8、10ないし15〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1ないし15に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明15」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含み、
前記循環路は、前記タンクの中心線に対してずれた方向に向けて空気が流入するように前記タンクに接続されている降雪装置。
【請求項2】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含み、
前記タンクの内側の空間を、前記造雪機能を有する造雪空間と、前記蓄雪機能を有する蓄雪空間とに仕切る仕切部材を備え、
前記循環路は、前記蓄雪空間内の空気を雪を伴った状態で吸引するように構成される降雪装置。
【請求項3】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を備え、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含み、
前記循環路の一端は、前記タンクの底部に接続されて、前記タンク内の雪を伴った空気を前記底部から吸引する降雪装置。
【請求項4】
雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を備え、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が前記タンク内において上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含む降雪装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記送風機の作動により、前記タンク内において、雪を伴った空気が前記タンクの内面に沿って周回するように流動する降雪装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記タンク内において、雪を伴った空気が流動する部位の上方で前記造雪機能によって雪が生成される降雪装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記タンク内において、前記循環路の接続部よりも上方で、前記造雪機能により雪が生成される降雪装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記送風機は、前記タンク内の空気がその上方の造雪部位に流れるように雪を伴った空気を流動させる降雪装置。
【請求項9】
請求項2に記載された降雪装置において、
前記仕切部材は、前記造雪空間内で生成された雪を落下させて前記蓄雪空間に導入させる開口を有する降雪装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記蓄雪部から前記降雪部への雪の供給量を調整する調節部を備えている降雪装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記蓄雪部から前記降雪部への雪の供給量を調整する調節部を備え、
前記調節部は、前記循環路を流れる雪を伴った空気のうち前記降雪部に導入する空気の量を調整するように構成されている降雪装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記蓄雪部は、水を噴霧するノズルを有し、冷却された空気と前記ノズルから噴霧された水とによって生成された氷晶を用いて雪を作る降雪装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載された降雪装置において、
前記蓄雪部を振動させる励振部を備えている降雪装置。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載された降雪装置と、
供試体を配置する空間を有する試験室と、を備え、
前記降雪装置は、前記試験室内で雪を降らせるか又は供試体に雪を供給する、人工気象室。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1項に記載された降雪装置を用いる降雪方法であって、
前記降雪装置の前記蓄雪部内において雪を生成し、
前記蓄雪部内において、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜め、
前記蓄雪部内の雪を前記降雪部に導入し、
前記降雪部によって雪を降らせるか又は供試体に供給する降雪方法。」
第4 取消理由通知書に記載した取消理由
当審が令和6年3月15日付けで特許権者に通知した取消理由通知書に記載した取消理由の内容は、次のとおりである。
(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第2号の規定に適合しておらず、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その発明に係る特許は特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきである。
記
請求項4に記載された「前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が主に上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成」との事項は、以下で述べるように明確でない。
1. 上記事項における「主に上から下に向かう空気」とは、「上から下に向かう空気」の他、例えば、下に向かって旋回する空気など、他の方向に向かう空気を備えたものにおいて、「主」なものが「上から下に向かう空気」であると解される。こう解した場合、「主に」とは、「上から下に向かう空気」がどの程度のものを意味するのかが明確でない。
2. 上記事項は、「タンク内の雪」が「循環路」において「主に上から下に向かう空気に搬送されて」流れることを意味するのか、「タンク内」において「雪が主に上から下に向かう空気に搬送されて」流れることを意味するのか、いずれの意味であるかが明確でない。
したがって、請求項4並びに請求項4を直接又は間接的に引用する請求項5ないし8及び10ないし15に係る発明は明確でない。
第5 当審の判断
本件訂正請求により、訂正前の請求項4の「前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が主に上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含む降雪装置。」との記載は、「前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が前記タンク内において上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含む降雪装置。」に訂正され、その記載は明確となった。
したがって、取消理由通知書に記載した取消理由は解消した。
第6 採用しなかった特許異議申立理由について
1 採用しなかった特許異議申立理由の概要
申立人が、特許異議申立書で主張する取消理由のうち、取消理由通知で採用しなかった理由の概要は以下のとおりである。
(1)理由1(進歩性要件違反)
・請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第2、3号証に例示される周知技術及び甲第8ないし10号証に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第2、3号証に例示される周知技術及び甲第7、11ないし14号証に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2、3号証に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2、3号証に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第2、3号証に例示される周知技術及び甲第8ないし10号証に例示される周知技術に基いて、又は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第2、3号証に例示される周知技術及び甲第7、11ないし14号証に例示される周知技術に基いて、又は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2、3号証に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)理由2(サポート要件違反)
請求項1ないし15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
<証拠一覧>
甲第1号証:実願昭62-17907号(実開昭63-125763号)のマイクロフィルム(以下「甲1」という。)
甲第2号証:Stephan E bansmer 外9名、Design,construction and commissioning of the Braunschweig Icing Wind Tunnel、Atmospheric Measurement Techniques、The European Geosciences Union、2018年、p3234(以下「甲2」という。)
甲第3号証:特開2014-55755号公報(以下「甲3」という。)
甲第4号証:実願平3-40803号(実開平5-73478号)のCD-ROM(以下「甲4」という。)
甲第5号証:実願平3-48960号(実開平4-136481号)のマイクロフィルム(以下「甲5」という。)
甲第6号証:特開昭62-255770号公報(以下「甲6」という。)
甲第7号証:特開2018-115796号公報(以下「甲7」という。)
甲第8号証:特開2017-192615号公報(以下「甲8」という。)
甲第9号証:特開2011-218296号公報(以下「甲9」という。)
甲第10号証:特開2011-63644号公報(以下「甲10」という。)
甲第11号証:特開2016-6362号公報(以下「甲11」という。)
甲第12号証:特開2018-115793号公報(以下「甲12」という。)
甲第13号証:特開2018-115794号公報(以下「甲13」という。)
甲第14号証:特開2019-56551号公報(以下「甲14」という。)
2 甲号証に記載された事項等
(1)甲1
甲1には、次の記載事項及び図示事項がある。
「本考案は人工降雪装置の雪を成長させる内筒の内壁の着雪を除去して連続降雪を可能とする、人工降雪装置の着雪除去装置に関する。」(明細書2ページ3ないし5行)
「本考案の実施例を第1図にもとずいて詳細に説明する。
降雪室1の天井に設けた開口部3の上に直立する内筒12は冷却塔4によって囲まれている。冷却塔内の空気は冷却装置9によって冷却塔内を循環しながら冷却される。
内筒12内の空気は可変速度ブロワ14によって、内筒12内の上方より空気流速調整風路管13を通じて環流し、内筒内に上昇気流を与える。内筒12の温度はその外周の冷却塔4内空気の温度を調節することにより間接的に調節されその温度を-5℃~-20℃とする。内筒12には造雲装置36が直結され、雲を内筒に供給する。また、内筒12には雪種供給装置35が直結され、雪生成の核となる雪種(氷晶)が供給される。例えば内筒-15℃に冷却し、造雲装置36から供給の水蒸気を内筒に送ると内筒上方で雲となり、これに雪種供給装置35からの氷晶が入るとこの氷晶が核となって雪の成長が始まる。内筒12上方空間で浮遊しながら雪は成長していくが、ある大きさに達すると上昇気流による浮力では支えられず、降下を始め降雪となる。従って内筒内の上昇気流を遅くすれば、浮力が小さいので、細かい雪が降り、速くすれば、浮力大となるのでこれに逆って落下するに足る大きさまで雪は大きく成長する。」(明細書5ページ11行ないし6ページ16行)
「
[図:0001418234000001.jpg]
」(第1図)
上記「降雪室1の天井に設けた開口部3の上に直立する内筒12」及び「内筒12上方空間で浮遊しながら雪は成長していくが、ある大きさに達すると上昇気流による浮力では支えられず、降下を始め降雪となる。」との記載並びに第1図の図示事項から、雪は開口部3から降雪室1に降ることが把握できる。
以上より、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
〔甲1発明〕
「降雪室1の天井に設けた開口部3の上に、冷却塔4によって囲まれた内筒12を直立させ、
冷却塔4内の空気は冷却装置9によって冷却塔4内を循環しながら冷却され、
内筒12内の空気は可変速度ブロワ14によって、内筒12内の上方より空気流速調整風路管13を通じて環流し、内筒内に上昇気流を与え、
内筒12には造雲装置36が直結され、雲を内筒に供給し、
また、内筒12には雪種供給装置35が直結され、雪生成の核となる雪種(氷晶)が供給され、
造雲装置36から供給の水蒸気を内筒に送ると内筒上方で雲となり、これに雪種供給装置36からの氷晶が入るとこの氷晶が核となって雪の成長が始まり、内筒12上方空間で浮遊しながら雪は成長し、ある大きさに達すると上昇気流による浮力では支えられず、降下を始め降雪となり、開口部3から降雪室1に降る
人工降雪装置。」
(2)甲2
甲2には、次の記載事項及び図示事項がある。
「
[図:0001418234000002.jpg]
[図:0001418234000003.jpg]
」
〔訳〕
「3.2 雲チャンバー内での氷晶生成
自然状態に可能な限り近い氷晶の生成が企図されてきた。人工的雲内で自然の氷晶の成長が模擬されることから、雲チャンパー技術が適正であると認識されてきた。通常、雲チャンバー技術が気象学的科学において適用され、氷結の生成および成長メカニズムの探索がなされ、氷晶同士の相互作用について研究されている(Connolly その他、2012)。よって、雲チャンバーの生産性はかなり低いと評価されている。氷化用風洞研究にとって、大量の氷粒が必要とされる。Austrian Neuschnee GmbHとの提携において、2基の高い生産性の雲チャンバーが開発され、冷却室内に設置された。図4および図15はともに、雲チャンバーと付帯設備を示す。基本的に、極小液滴群が、加圧冷却空気の膨張により、チャンバーの外で冷凍される。所定の大きさに成長し、チャンバーの底部に停留するまで、空気の強力な循環により、粒子が浮遊状態に保たれる。雲チャンバーの生産速度は、氷晶の風洞への直接的な供給を可能にするのに十分でない。よって、粒子は、雲チャンバーに直接接続されたチェスト冷凍機内で収集される。チェスト冷凍磯は、-70℃で連転し、粒子の変質および焼結を最小化する。最近、雲チャンパーの生産速度は、約1kg/hに制限される。この生産速度は、1日当たり10ないし15の風洞試験を行うのに十分である。
雲チャンバー内で成長される氷晶の顕微鏡写真が、図15の上部右側に示される。主要な氷晶の特性は、冷却チャンパー内の周囲温度の変動により、調整可能である。以降の章においてさらに図示されるとおり、チェスト冷凍機内での貯蔵後、氷晶群は代表的には、個々の結晶の凝集として特徴付けられる。」
「
[図:0001418234000004.jpg]
」
〔訳〕
「図15 氷晶生成器 空気流(a)が流れを氷晶の成長を可能とする。結晶が十分大きくなると、チェスト冷凍機(b)の中に落下する。
雲チャンバー内の顕微鏡写真(c)。平面状および針状結晶が生成される。」
(3)甲3
甲3には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0016】
より詳細には、図2に示すように、サイクロン部66の内部には、上下方向に伸延して固気分離する固気分離空間68が形成されている。固気分離空間68は、内部で旋回流を発生しやすいように氷雪排出口72に向かって先細の、たとえば円錐形状をなし、サイクロン部66には、固気分離空間68が、搬送管17の搬送空間を搬送空気により圧送されてくる氷雪から、搬送空気等の気体を、氷雪等の固体粒子と、遠心力により分離し得るように、それら固体粒子が旋回流を形成し得るように形成されている。また、サイクロン部66の上方の側面には、搬送管17に接続した流入口70が形成されており、サイクロン部66には、流入口70が、搬送空気により圧送されてくる氷雪を搬送空気と共に、固気分離空間68に取込み得るように設けられている。
【0017】
サイクロン部66の下方には、氷雪排出口72が、下方(図中下方)に向けて開口する形で設けられており、即ち、サイクロン部66には、氷雪排出口72が、サイクロン部66により分離された氷雪等の固体粒子を外部に排出し得るように設けられている。サイクロン部66には、サイクロン部66により分離された搬送空気等の気体を取り出す空気取出管69が、サイクロン部66の上部を、サイクロン部66の中心を通って、貫通する形で設けられており、空気取出管69の端部には、抽出口71と給気口73がそれぞれ形成されている。このうち空気取出管69の抽出口71は、サイクロン部66の固気分離空間68において、下方(図中下方)に向けて開口しており、また、抽出口71は、サイクロン部66の流入口70よりも下方に形成されている。なお、空気取出管69がサイクロン部66を貫通した部分は、気密状態を保持する形で貫通して設けられている。
【0018】
特に、空気取出管69には、調整弁67が設けられ、調整弁67の開度を調整することにより、氷雪排出口72から排出される搬送空気の割合を調整し、氷雪排出口72から排出される氷粒と搬送空気とを一部分離することが可能となるようにしている。より詳細には、調整弁67を全開とすれば、氷粒と搬送空気とが完全分離されるところ、それでは、氷雪排出口72から排出される搬送空気を利用して、氷粒を積雪予定面11に供給することが困難となる一方、調整弁67を全閉とすれば、氷粒と搬送空気とがまったく分離されず、氷雪排出口72から排出される搬送空気により、積雪予定面11上の積雪が乱され、積雪面に凹凸が生じたりするところ、調整弁67の開度を適宜調整することにより、積雪予定面11上の積雪が乱されないようにしつつ、氷雪排出口72から排出される搬送空気を利用して、氷粒を積雪予定面11に供給することが可能となるように、氷粒と搬送空気とを一部分離するようにしている。
【0019】
搬送管17内で空気搬送により雪粒を搬送し、搬送管17の下流側に連通して接続されたサイクロン部66の流出開口を積雪予定面11から所定距離に配置して、雪粒 を流出口から搬送空気の噴流により、積雪予定面11まで到達させる。
雪粒が、乾き雪であり、粒径がたとえば、0.2ミリないし0.3ミリ(粒径分布において、重量割合での最頻度粒径)である場合、サイクロン部66の流出開口を積雪予定面11から1メートル以内に配置する。
雪粒の粒子の大きさ、およびサイクロン部66における雪粒の旋回流の最大径に応じて、搬送空気の搬送速度を調整することにより、サイクロン方式により、搬送空気と雪粒とを一部分離する。」
「【図2】
[図:0001418234000005.jpg]
」
(4)甲4
甲4には、次の記載事項及び図示事項がある。
「 【0010】
この造雪室3内の上部には、たとえば合成樹脂製の布材または網材からなる通気性の雪捕捉体7が設けられている。この雪捕捉体7は、図2に示すように上下の保持板8,9間に上下方向に張られており、雪捕捉体7間に雪発生室10が形成される。冷却器5で作られた氷点下の低温空気は、循環ファン6によってこの雪発生室10に送り込まれ、上昇しながら雪捕捉体7を通過して、冷却器5に戻り再び冷却されて送り出される。図中、矢印Pが冷却空気の流れを示す。
【0011】
上保持板8には、外部から水と加圧空気が送り込まれる配管11a,11bに接続されたノズル12が取り付けられており、霧発生装置を構成するこのノズル12から雪発生室10に微細な霧が噴出される。この霧は、雪発生室10の低温空気に触れて瞬時に氷結し、小粒子の氷晶となって雪捕捉体7内面に付着する。雪捕捉体7ではこの氷晶から人工雪が成長し、雪捕捉体7内面に雪層が形成される。
【0012】
雪捕捉体7の外面部には、モータ13によって駆動される回転ブラシなどから雪掻取り装置14が雪捕捉体7の幅方向に設置されており、この雪掻取り装置14が雪捕捉体7を叩きながら上下方向に往復動することにより、内面の雪層が下方の各風道2中に払い落とされる。
【0013】
雪発生室10に連通する各風道2は、装置本体1の下部を横方向に貫くように設けられ、空気取入れ口2a側には送風機15と送風量調整用のダンパ16がそれぞれ取り付けられている。また装置本体1の前面側に突出する風道2の吹出し口2bには、降雪量の調整および降雪をオン・オフするためのダンパ17が取り付けられている。これらダンパ15,17を開き、送風機15によって各風道2,2に空気が送り込まれると、雪発生室10,10より風道2,2中に落下する雪が、吹出し口2bから人工雪として外部に吹き出され、常温下に降雪する。」
」
「【図1】
[図:0001418234000006.jpg]
」
「【図2】
[図:0001418234000007.jpg]
」
(5)甲5
甲5には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0012】
この図で、断熱璧1aで囲われた装置本体1の下部に横方向に形成されている風道2の上方には、造雪室3が設けれており、この造雪室3内の側方には送風ファン4を備えた冷却器5が設置されている。この冷却器5から吹き出される冷却空気は、冷風循環ファン6によって装置本体1内を循環し、造雪室3がたとえば-5℃以下の低温度に保持される。
【0013】
この造雪室8内の上部には、たとえば合成樹脂製の布材または網材からなる通気性の雪捕捉体7A,7Bが設けられている。これら複数の雪補捉体7A,7Bは、図2に示すように上下の保持板8,9間に上下方向に張られており、雪捕捉体7A,7B間に雪発生室10がそれぞれ形成される。冷却器5で作られた氷点下の低温空気は、循環ファン6によってこれら雪発生室10に送り込まれ、上昇しながら雪捕捉体7A,7Bを通過して、冷却器5に戻り再び冷却されて送り出される。図中、矢印Pが冷却空気の流れを示す。
【0014】
上保持板8には、外部から水と加圧空気が送り込まれる配管11a,11bに接続された二流体ノズル12が取り付けられており、霧発生装置を構成するこのノズル12から雪発生室10内に微細な霧が噴出される。この霧は、雪発生室10の低温空気に触れて瞬時に氷結し、小粒子の氷晶となって雪捕捉体7A,7B内面に付着する。雪補捉体7A,7Bではこの氷晶から人工雪が成長し、雪捕捉体7A,7B内面に雪層が形成される。
【0015】
雪捕捉体7A,7Bの外面郭には、モータによって駆動される回転プランなどからなる雪掻取り装置14A,14Bが幅方向に渡って設置されており、これら雪掻取り装置14A,14Bが雪補捉体7A,7Bを叩きながら上下方向に往復動することにより、内面の雪層が下方の各風道2中に払い落とされる。
【0016】
ここで、雪掻取り装置14A,14Bをそれぞれ駆動するモータ13A,13Bは、図3に示すように端子INよりAC電源15の供給を受け、モータ13A,13Bに直列に接続きれるスイッチ16A,16Bがタイマ制御回路17A,17Bからの制御信号によりそれぞれ間欠的にオン・オフされる。このとき、一方のモータ13Aがオンのとき他方のモータ13Bがオフとなるように制御される。これにより雪掻取り装置14A,14Bがそれぞれ間欠的に作動され、一方の雪掻取り装置14Aが休止インターバルにあるときに他方の雪掻取り装置14Bが作動インターバルにあるように駆動される。」
「【図1】
[図:0001418234000008.jpg]
」
「【図2】
[図:0001418234000009.jpg]
」
(6)甲6
甲6には、次の記載事項がある。
「しかしながら、このような従来の人工降雪装置にあっては、内筒をその外面を流れる冷却空気により冷却して-15~-20℃程度に温度低下させるに過ぎず、しかも、送風器を用いたほぼ等速度の循環気流により、内筒内に上昇気流を発生させ、該気流をもって加湿器から送り込まれた雲を上昇させつつたねまきノズルから噴射されて生ずる氷晶とを結合させて雪の成長を図る方法を講じているためその成長に時間を要するので、内筒を長く、すなわち高くせざるを得ない。したがって、これに伴って外筒も12mの高さを必要とすることとなり、外筒を収容する建造物も巨大になるという難点がある。そのうえ等速循環気流を用いる結果、できた雪も一部が降流管へ回り無駄になることと、外部冷却に基づき着霜が発生するため長時間の運転に支障を生ずることとなるから、多量に雪を得ることができないという問題点を有している。」(2ページ左下欄7行ないし右下欄4行)
(7)甲7
甲7には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0019】
以下に本発明の降雪模擬システムの第1実施形態について、環境試験方法および環境試験装置に利用される場合を例として、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
まず、雪環境試験システムについて説明すれば、図1に示すように、雪環境試験システム10は、氷粒からなる人工雪を利用し、人工雪により試験供試体である車両Vに対して降雪を模擬するように構成され、そのために、雪環境試験システム10は、人工雪を造る造雪部と、造雪した雪粒を搬送する搬送部と、搬送される雪粒を拡散させる拡散部と、拡散した雪粒から雪片を生成する雪片生成部と、生成した雪片を降雪させる降雪部とを有し、このうち、搬送部の一部と、拡散部と、雪片生成部と、降雪部とが、車両Vが配置される試験室内に配置され、造雪部と搬送部とが試験室外に配置される。」
「【0033】
図10および図12に示すように、複数のローラー306が、試験室308内の上方において、試験室308を仕切るように配置され、それぞれのローラー306は、外周面312に植毛された回転ブラシ314を構成し、外周面312には、多数の貫通穴316が設けられ、剥離手段は、エアをそれぞれのローラー306の内部から貫通穴316を通じて噴出するのでもよい。・・・」(「・・・」は省略を示す。)
「【0037】
以上の構成を有する雪環境試験システム10について、雪片の生成方法を含め、その作用を以下に説明する。
まず、担体が配置される試験室308内の温度および/または湿度を所定に設定するとともに、複数のローラー306を連続的に回転させておく。回転数は、たとえば、10RPMである。
次いで、リーマ式製氷機22により、氷片を製造し、砕氷機26により、氷片を破砕し、氷粒を生成し、雪供給管40を通じて拡散装置34に圧送し、拡散プレート74と協働して、雪粒をローラー306の上面320に向けて下方に拡散する(図10のA参照)。
次いで、拡散装置により拡散した雪粒が、複数のローラー306の上部に積もる。」
【0038】
次いで、隣接するローラー306間において、1つおきに、下方への送り出しが行われ、生成された雪片は、ローラー306の回転により下方に送り出され、そのまま下方に落下し、降雪を模擬し、落下中に湿雪化され、試験体である車両Vの上部に積雪する(図10のB参照)。
なお、複数のローラー306による雪片の生成段階と、拡散装置34による雪粒の拡散段階とは、バッチ的に行ってもよい。すなわち、拡散装置による雪粒の拡散する際、駆動ローラー306を停止しておき、複数のローラー306を回転しない状態としておき、それにより、拡散する雪粒が複数のローラー306の上部に積雪する。次いで、所望高さまで積雪した段階で、駆動ローラー306を駆動し、複数のローラー306を回転させ、複数のローラー306の上部の積雪層がなくなるまで、雪片を生成して、降雪を模擬してもよい。
【0039】
以上の構成を有する人工雪による降雪模擬システムによれば、造雪部により造雪された人工雪を降雪部により降雪する際、造雪部内の温度領域と降雪部内の温度領域とを区分可能なように、造雪部と降雪部との間に仕切りを設けているので、造雪部は、たとえば、樹枝状結晶雪の場合は、-10℃前後の温度領域に設定する一方、降雪部は、たとえば、湿雪化する場合には、0℃以上の温度領域に設定することが可能であり、降雪部から造雪部に向かう上昇気流の発生により降雪自体が阻害されることなしに、所望雪質の人工雪を必要な時に必要な量について、所望の拡散範囲に亘って降雪可能である。
このように、造雪工程と降雪工程とを分離することが可能であるので、造雪工程において造雪した人工雪をいったん貯雪し、試験を行う際、貯雪中の雪を搬送して、降雪に利用することも可能である。」
「【図12】
[図:0001418234000010.jpg]
」
(8)甲8
甲8には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0023】
図5から図8において、集塵ユニット9は、旋回部16、集塵部17、流入管31及び排出管33を備えている。流入管31は含塵空気を取り込むためのユニット流入口30を備え、流入管31内の風路を経由して後述する流入口32に接続されて旋回部16内に含塵空気を導入する。排出管33は旋回部16の中央部に配置されており旋回部16の内部で旋回した含塵空気から塵埃を分離した後の清浄空気を排気する。矢印50は、この清浄空気の排気方向を模式的に示すものである。以下の説明では、旋回部16は旋回室20を、集塵部17は0次集塵室22と1次集塵室24をそれぞれの内部に配置されるものとして説明する。」
「【0028】
流入管31は、円筒部20aの上部の外周に接続される。上述した0次開口21は、流入口32より低い位置、即ち空気が旋回する方向の下流側に形成される。また、流入管31は、含塵空気が旋回室20に接線方向から流入するように、円筒部20aの側壁に接続される。
【0029】
集塵ユニット9に流入した含塵空気は、流入管31から旋回室20の接線方向に導入されることで、旋回室20の側壁に沿って旋回する。旋回することにより、遠心力で含塵空気からごみが分離される。そして、円筒部20aで比較的に体積の大きなごみが分離され、円筒部20aの側壁に形成された0次開口21を介して0次集塵室22に捕集される。その後、下方の円錐部20bで体積の小さなごみが分離され、1次開口23を介して下方の1次集塵室24に捕集される。」
「【図5】
[図:0001418234000011.jpg]
」
(9)甲9
甲9には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0041】
また、粉砕機22からの送風が送り込まれる第1流入口21bは、サポート部材60の上方の位置にて容器の内壁面に沿う方向に設けられている。第1流入口21bが容器21の内壁面に沿う方向に設けられているので、第1流入口21bから容器21の内部に送り込まれた循環気流は容器21の内壁面に沿って旋回するように上昇してゆく。
【0042】
また、粉砕機22へ循環する経路となる第1排出口21aが第2排出口21cの下方の位置にて容器21の内壁面に沿う方向に設けられている。第1排出口21aが容器21の内壁面に沿う方向に設けられているので、容器21内において内壁面に沿って旋回している循環気流が第1排出口21aから粉砕機22へ導かれやすいように構成されている。
【0043】
このように、容器21内において、第1排出口21aと第1流入口21bが容器21の内壁面に沿う方向に設けられていることにより、粉砕機22の送風力により第1循環路101を介して容器21内部に過熱蒸気の旋回流が形成されることとなる。」
「【図2】
[図:0001418234000012.jpg]
」
(10)甲10
甲10には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0145】
第2導入口154bを通る面に沿った断面図を示した図9Bより理解できるように、第2導入口154bは、第2導入口154bを通って容器150内に流入する加熱気体が容器本体151の内周面に沿って旋回するように設けられている。より詳細には、第2導入口154bは、円筒面である容器本体151の内周面の接線に沿って設けられている。」
「【図9B】
[図:0001418234000013.jpg]
」
(11)甲11
甲11には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0019】
以下に本発明の環境試験方法および環境試験装置の第1実施形態について、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
まず、雪環境試験システムについて説明すれば、図1に示すように、雪環境試験システム10は、氷粒からなる人工雪を利用し、人工雪により試験供試体である車両Vに対して降雪を模擬するように構成され、そのために、雪環境試験システム10は、人工雪を造る造雪部と、造雪した雪粒を搬送する搬送部と、搬送される雪粒を拡散させる拡散部と、拡散した雪粒から雪片を生成する雪片生成部と、生成した雪片を降雪させる降雪部とを有し、このうち、搬送部の一部と、拡散部と、雪片生成部と、降雪部とが、車両Vが配置される試験室内に配置され、造雪部と搬送部とが試験室外に配置される。」
「【0033】
次に、雪片生成部について説明すれば、図9および図10に示すように、担体手段は、互いに平行に外周面312を対向させて所定間隔を隔てて配置され、上方から隣接するローラー306の間の最狭部304に向かう向きに回転可能である複数のローラー306であって、最狭部304より上のスペースに、搬送される雪粒を受けることが可能なように配置された複数のローラー306を有する。隣接するローラー306により、最狭部304において、雪粒同士を圧密化することにより、雪片を形成し、剥離手段は、複数のローラー306の回転により、最狭部304において形成される雪片を下方に押し出すようにしている。
より詳細には、複数のローラー306は、試験室308内の上方において、試験室308を仕切るように配置される。より具体的には、複数のローラー306はそれぞれ、試験室308の矩形横断面(短辺X 長辺)において、ローラー306の回転軸が短辺に平行に延び、試験室308の一対の対向面(図示せず)それぞれに回転可能に支持され、長辺の長さをカバーするのに必要なローラー306が、互いに平行に配置され、試験室308内の上部と下部とを仕切るようにしている。」
「【0041】
以上の構成を有する雪片の生成方法によれば、造雪した雪粒をそのまま利用せずに、担体が配置される周囲温度および/周囲湿度を所定に設定したうえで、予め造雪された雪粒を担体に向かって搬送し、搬送された雪粒を担体の表面で捕捉して、雪粒同士を担体表面上で付着成長させることにより、雪片を生成し、生成した雪片を担体表面から剥離することにより、造雪した雪粒の雪片化を通じて、たとえば、担体表面から剥離する雪片を降雪させる場合において、降雪する雪粒の大きさを変えたり、造雪工程と降雪工程とを分離することにより、造雪環境と異なる環境(温度条件、湿度条件)で降雪させ、降雪中に湿雪化することも可能であり、総じて、雪質を所望に変えることが可能である。
また、造雪工程と降雪工程とを分離することが可能であるので、造雪工程において造雪した人工雪をいったん貯雪し、試験を行う際、貯雪中の雪を搬送して、降雪に利用することが可能である。」
「【図9】
[図:0001418234000014.jpg]
」
(12)甲12
甲12には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0017】
以下に本発明の湿雪化装置100の実施形態について、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
自動車の環境試験に用いられる降雪システムにおいて、水平方向に延びる仕切りにより上下に仕切られたスペース内において、上部には結晶雪製造部が、下部には結晶雪降雪部が設けられる。
結晶雪製造部は、氷点下で、氷飽和以上の水蒸気を含む湿り空気をメッシュ状膜面に供給することにより、メッシュ状膜面に霜を成長させることにより結晶雪を形成し、形成した結晶雪をスクレーパ等により物理的に脱落させる従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略する。
結晶雪降雪部において、結晶雪の降雪中に湿雪化をするべく、湿雪化装置100が設けられる。」
「【0029】
次いで、水平方向に延びる仕切りにより上下に仕切られたスペースの上部において、氷点下で、氷飽和以上の水蒸気を含む湿り空気により、メッシュ状膜体の外表面に霜状の結晶雪を生成し、生成された結晶雪を脱落させる。
結晶雪は、隣接するローラー306の間の最狭部より上のスペースで受けられ、大雪片化し、隣接するローラー306が隣接するローラー306の間の最狭部に向かう向きに回転することにより、大雪片化した結晶雪は最狭部を通過して下方に案内されるが、その際、大雪片化した結晶雪は、回転ブラシ314の先端で弾かれ、結晶自体がこわれることなく大雪片化した結晶雪が小雪片化される。
それとともに、隣接するローラー306の間の最狭部において、互いのブラシが重なり合うことにより、仕切りが形成されることにより、スペースの下部において、降雪中の結晶雪を湿雪化するのに下部スペースを温度上昇することにより、上昇気流がスペースの上部に及ぶことを防止可能であり、上昇気流により降雪が妨害されることなしに、造雪部において結晶の成長を阻害することがないようにすることが可能であり、以って、ミスト中に降雪を通過させることにより、大雪片化を防止しつつ、結晶雪を降雪中に湿雪化することが可能である。」
「【図2】
[図:0001418234000015.jpg]
」
(13)甲13
甲13には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0015】
以下に本発明の結晶雪の降雪システム100の第1実施形態について、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
結晶雪の降雪システム100において、水平方向に延びる仕切りにより上下に仕切られたスペース内において、上部には結晶雪製造部20が、下部には結晶雪降雪部22が設けられる。
図1の結晶雪製造部20は、断熱された造雪機械室1内に設置された冷却器2により、所定温度に冷却された空気を送風機3により加湿装置4に送る。」
「【0032】
以上の構成を有する結晶雪の降雪システム100について、その作用を以下に説明する。
まず、湿雪化装置と温湿度調整装置とにより、降雪スペースの準備を行う。より具体的には、降雪スペース内周囲温湿度を所定に設定するとともに、複数のローラー306を連続的に回転させておくとともに、結晶雪脱落体13とメッシュ状膜体12の外表面との間隔を回転通気膜装置10の回転速度に応じて、間隔調整しておく。
複数のローラー306の回転数は、たとえば、回転ブラシ314径が50φないし60φであれば、1RPMないし2RPMに設定し、回転ブラシ314の上に落下した結晶雪の上に、同じ回転通気膜装置10から次の結晶雪が落下し、結晶雪の樹枝同士が絡み合い、大雪片化するのを防止してもよい。
次いで、水平方向に延びる仕切りにより上下に仕切られたスペースの上部において、氷点下で、氷飽和以上の水蒸気を含む湿り空気により、回転通気膜装置10の回転中に、メッシュ状膜体12の外表面に霜状の結晶雪を生成し、回転体11bの近傍において、メッシュ状膜体12の外表面に生成された結晶雪を結晶雪脱落体13により脱落させる。
この場合、回転通気膜装置10の回転速度およびメッシュ状膜体12の外表面と結晶雪脱落体13の先端縁との間隔によっては、生成した結晶雪を結晶雪脱落体13により脱落する際、結晶雪が大雪片化した状態で脱落することがある。
大雪片化した結晶雪は、隣接するローラー306の間の最狭部より上のスペースで受けられ、さらに大雪片化し、隣接するローラー306が隣接するローラー306の間の最狭部に向かう向きに回転することにより、大雪片化した結晶雪は最狭部を通過して下方に案内されるが、その際、大雪片化した結晶雪は、回転ブラシ314の先端で弾かれ、結晶自体がこわれることなく大雪片化した結晶雪が小雪片化される。
それとともに、隣接するローラー306の間の最狭部において、互いのブラシが重なり合うことにより、仕切りが形成されることにより、スペースの下部において、降雪中の結晶雪を湿雪化するのに下部スペースを温度上昇することにより、上昇気流がスペースの上部に及ぶことを防止可能であり、上昇気流により降雪が妨害されることなしに、造雪部において結晶の成長を阻害することがないようにすることが可能であり、以って、大雪片化を防止しつつ、結晶雪を降雪中に湿雪化することが可能である。」
「【図1】
[図:0001418234000016.jpg]
」
(14)甲14
甲14には、次の記載事項及び図示事項がある。
「【0017】
以下に本発明の湿雪化装置100の実施形態について、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
自動車の環境試験に用いられる降雪システムにおいて、水平方向に延びる仕切りにより上下に仕切られたスペース内において、上部には結晶雪製造部が、下部には結晶雪降雪部が設けられる。
結晶雪製造部は、氷点下で、氷飽和以上の水蒸気を含む湿り空気をメッシュ状膜面に供給することにより、メッシュ状膜面に霜を成長させることにより結晶雪を形成し、形成した結晶雪をスクレーパ等により物理的に脱落させる従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略する。
結晶雪降雪部において、結晶雪の降雪中に湿雪化をするべく、湿雪化装置100が設けられる。」
「【0029】
次いで、水平方向に延びる仕切りにより上下に仕切られたスペースの上部において、氷点下で、氷飽和以上の水蒸気を含む湿り空気により、メッシュ状膜体の外表面に霜状の結晶雪を生成し、生成された結晶雪を脱落させる。
結晶雪は、隣接するローラー306の間の最狭部より上のスペースで受けられ、大雪片化し、隣接するローラー306が隣接するローラー306の間の最狭部に向かう向きに回転することにより、大雪片化した結晶雪は最狭部を通過して下方に案内されるが、その際、大雪片化した結晶雪は、回転ブラシ314の先端で弾かれ、結晶自体がこわれることなく大雪片化した結晶雪が小雪片化される。
それとともに、隣接するローラー306の間の最狭部において、互いのブラシが重なり合うことにより、仕切りが形成されることにより、スペースの下部において、降雪中の結晶雪を湿雪化するのに下部スペースを温度上昇することにより、上昇気流がスペースの上部に及ぶことを防止可能であり、上昇気流により降雪が妨害されることなしに、造雪部において結晶の成長を阻害することがないようにすることが可能であり、以って、ミスト中に降雪を通過させることにより、大雪片化を防止しつつ、結晶雪を降雪中に湿雪化することが可能である。」
「【図2】
[図:0001418234000017.jpg]
」
3 理由1(進歩性要件違反)についての当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の
「降雪室1の天井に設けた開口部3の上に、冷却塔4によって囲まれた内筒12を直立させ、
冷却塔4内の空気は冷却装置9によって冷却塔4内を循環しながら冷却され、
内筒12内の空気は可変速度ブロワ14によって、内筒12内の上方より空気流速調整風路管13を通じて環流し、内筒内に上昇気流を与え、
内筒12には造雲装置36が直結され、雲を内筒に供給し、
また、内筒12には雪種供給装置35が直結され、雪生成の核となる雪種(氷晶)が供給され、
造雲装置36から供給の水蒸気を内筒に送ると内筒上方で雲となり、これに雪種供給装置36からの氷晶が入るとこの氷晶が核となって雪の成長が始まり、内筒12上方空間で浮遊しながら雪は成長し、ある大きさに達すると上昇気流による浮力では支えられず、降下を始め降雪となる」ことは、氷晶を核として雪を成長させることで雪を生成しているといえるから、
本件発明1の「雪を生成する造雪機能」に相当する。
甲1発明の「開口部3」は、降雪室1に雪が導入され、降らせる開口部であるから、本件発明1の「雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は試供体に供給する降雪部」に相当する。
甲1発明の「人工降雪装置」は、本件発明1の「降雪装置」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
〔一致点〕
「雪を生成する造雪機能と
雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は試供体に供給する降雪部と、
を備えた降雪装置。」
〔相違点1〕
本件発明1は、
「生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入される降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含み、
前記循環路は、前記タンクの中心線に対してずれた方向に向けて空気が流入するように前記タンクに接続されている」のに対して、
甲1発明は、かかる事項を有していない点。
イ 判断
上記相違点1について検討する。
甲2ないし14の記載事項は、上記1(2)ないし(14)で摘記したとおりであって、いずれも、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項について記載ないし示唆するものではない。
したがって、甲1発明において甲2ないし14の記載事項を参照しても、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とはならない。
そして、本件発明1は、これにより「造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる」という、発明の詳細な説明に記載の作用効果を奏する。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし14に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると、本件発明1と甲1発明との対比における一致点と同じ一致点で一致し、次の相違点で相違する。
〔相違点2〕
本件発明2は、
「生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入される降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含み、
前記タンクの内側の空間を、前記造雪機能を有する造雪空間と、前記蓄雪機能を有する蓄雪空間とに仕切る仕切部材を備え、
前記循環路は、前記蓄雪空間内の空気を雪を伴った状態で吸引するように構成される」のに対して、
甲1発明は、かかる事項を有していない点。
イ 判断
上記相違点2について検討する。
甲2ないし14の記載事項は、上記1(2)ないし(14)で摘記したとおりであって、いずれも、上記相違点2に係る本件発明2の発明特定事項について記載ないし示唆するものではない。
したがって、甲1発明において甲2ないし14の記載事項を参照しても、上記相違点2に係る本件発明2の発明特定事項とはならない。
そして、本件発明2は、これにより「造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる」という、発明の詳細な説明に記載の作用効果を奏する。
したがって、本件発明2は、甲1発明及び甲2ないし14に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると、本件発明1と甲1発明との対比における一致点と同じ一致点で一致し、次の相違点で相違する。
〔相違点3〕
本件発明3は、
「生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入される降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含み、
前記循環路の一端は、前記タンクの底部に接続されて、前記タンク内の雪を伴った空気を前記底部から吸引する」のに対して、
甲1発明は、かかる事項を有していない点。
イ 判断
上記相違点3について検討する。
甲2ないし14の記載事項は、上記1(2)ないし(14)で摘記したとおりであって、いずれも、上記相違点3に係る本件発明3の発明特定事項について記載ないし示唆するものではない。
したがって、甲1発明において甲2ないし14の記載事項を参照しても、上記相違点3に係る本件発明3の発明特定事項とはならない。
そして、本件発明3は、これにより「造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる」という、発明の詳細な説明に記載の作用効果を奏する。
したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲2ないし14に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と甲1発明とを対比すると、本件発明1と甲1発明との対比における一致点と同じ一致点で一致し、次の相違点で相違する。
〔相違点4〕
本件発明4は、
「生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部と、
前記蓄雪部に溜められた雪が導入される降雪部と、を備え、
前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を含み、
前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、
前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が前記タンク内において上から下に向かう空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含」むのに対して、
甲1発明は、かかる事項を有していない点。
イ 判断
上記相違点4について検討する。
甲2ないし14の記載事項は、上記1(2)ないし(14)で摘記したとおりであって、いずれも、上記相違点4に係る本件発明4の発明特定事項について記載ないし示唆するものではない。
したがって、甲1発明において甲2ないし14の記載事項を参照しても、上記相違点4に係る本件発明4の発明特定事項とはならない。
そして、本件発明4は、これにより「造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる」という、発明の詳細な説明に記載の作用効果を奏する。
したがって、本件発明4は、甲1発明及び甲2ないし14に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明5ないし15について
本件発明5ないし15は、本件発明1ないし4のいずれかと同じ発明特定事項を有し、さらに、本件発明5ないし15で新たに特定される発明特定事項を備えるものである。
そうすると、本件発明1ないし4について述べたものと同様の理由により、甲1発明及び甲2ないし14に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書37ページにおいて次の主張をしている。
「甲第1号証に記載された発明は、内筒12内において、上昇する気流と共に雪を発生させ、雪が成長して自重が増し、上昇気流によって支えきれなくなったら雪が落下を始め、降雪室に雪を降らせるものであるから、雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に(上昇気流によって内筒12内に)保ちつつ、(雪が成長して自重によって落下するまでの間)溜める蓄雪機能とを備える構成であると解される。
したがって、甲第1号証には、雪を生成する造雪機能と、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部(甲第1号証の雪種供給装置35、造雲装置36、可変速ブロワー14、内筒12、空気流速調整風路管13、が相当。)と、前記蓄雪部に溜められた雪が導入されるとともに、導入された雪を降らせるか又は供試体(試料)に供給する降雪部(降雪室1)と、を備えている降雪装置についての発明が記載されているといえる。
さらに、できた雪の一部は一定流速の上昇気流と共に、空気流速調整風路管13へ回ってしまうと解される。したがって甲第1号証は、可変速ブロワー14によって生成される、内筒12から空気流速調整風路管13へと周回する空気にのって、できた雪の一部も周回するといえるから、送風機(可変速度ブロワー14)の動作により、タンク(内筒12)内において、雪を伴った空気がタンクの内面に沿って周回するように流動していると解される。」
上記主張ついて検討する。
「雪が成長して自重によって落下するまでの間」というのは雪が成長する過程であって、生成した雪を蓄積するものとはいえないと考えられるから、これをもって雪を溜める蓄雪機能ということはできない。また、「一定流速の上昇気流と共に、空気流速調整風路管13へ回ってしまう」「できた雪の一部」についても、偶々落下しなかった一部の雪が、空気流速調整風路管13へ回ってしまうということに過ぎず、蓄積を意図したものと解することはできず、これにより雪が溜まる機能を奏するともいえないから、これをもって雪を溜める蓄雪機能ということはできない。
したがって、甲第1号証に記載された発明は、生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能を備える構成である、という申立人の主張は当を得ない。
4 理由2(サポート要件違反)についての当審の判断
(1)本件発明1ないし15がサポート要件を満たすか否かの検討
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
以下、この規範に沿って、本件発明1ないし15がサポート要件を満たすか否かについて検討する。
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。
ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示された降雪装置では、雪を作りながら順次降らせる構成となっている。このため、降雪量又は雪の供給量は、造雪能力によって制限される。つまり、造雪能力以上の降雪量を得ることはできない。
【0005】
本発明の目的は、造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得るようにすることである。」
イ 「【0014】
蓄雪部14は、雪を生成するとともに、生成された雪が固まらないように溜めておく部位であり、タンク22と、両端部がタンク22に接続された循環路24と、循環路24から分岐する接続路26と、を有している。タンク22は、設定された試験時間等の所定時間で降らせる雪を一時に溜めることができる大きさに形成されている。
【0015】
循環路24は、一端部がタンク22の底部(下部)に接続され、他端部はタンク22の側部に接続されている。循環路24には送風機28が配置されている。送風機28が作動することにより、タンク22内の空気がタンク22の底部から吸引される。循環路24を流れた空気は、タンク22の側部からタンク22内に吹き出される。すなわち、循環路24において、タンク22の底部に接続された端部は吸入端となり、タンク22の側部に接続された端部は吹き出し端となる。」
ウ 「【0018】
タンク22は、雪を生成し成長させる空間を形成する。具体的に、タンク22内には低温の水滴を噴霧する複数のノズル32が配置されており、これらのノズル32は上に向けて水滴を霧状に噴射する。ノズル32は二流体ノズルによって構成されていてもよい。タンク22内は、冷却器30によって冷却された空気が導入されることにより、-20℃程度の温度に調整されている。このため、タンク22内の空間におけるノズル32よりも上方の部位では、氷晶生成部12で生成された氷晶とノズル32から噴射された霧状の水滴とが接触し、氷晶を核として雪片に成長する。すなわち、蓄雪部14は、造雪機能を有しており、タンク22内におけるノズル32よりも上側の空間が雪を生成し成長させる空間となっている。一方で、タンク22内におけるノズル32よりも下側の空間は、生成された雪が溜められる蓄雪空間となる。言い換えると、タンク22内においては、雪を伴った空気が流動する部位の上方で造雪機能によって雪が生成される。ノズル32が下から上に向かって水を噴射するように配置されているため、蓄雪空間内の雪に水滴が付着して湿雪になることを抑制することができる。」
エ 「【0021】
循環路24の前記他端部は、ノズル32よりも下の位置でタンク22の側部に接続されている。この他端部は、図2に示すように、タンク22の上下に延びる中心線22aに対して側方にずれた方向に向けて空気が流入するようにタンク22の側部に接続されている。具体的には、タンク22は、上面視で円形状に形成されていて、循環路24は、延長線がこの円の中心線22aからずれた位置を通るように、タンク22に接続されている。このため、送風機28が作動して空気が循環路24からタンク22内に吹き出されると、タンク22内では、雪を伴った空気がタンク22の内面に沿って周回するように、タンク22内におけるノズル32の下方において、雪を伴った空気の循環流れが生ずる。したがって、タンク22内で生成された雪及び循環路24からタンク22内に吹き出された雪が流動しつつタンク22内に溜められる。つまり、タンク22内では、雪が積もった状態で溜まっているのではなく、流動した状態で溜められる。したがって、蓄雪部14において雪は長時間固まることなく、雪の状態に保たれる。すなわち、蓄雪部14は、該蓄雪部14内の雪を、固まらない状態に保つ手段を有している。
【0022】
蓄雪部14では、送風機28の作動により、タンク22内の雪が空気に搬送されて、タンク22の底部から循環路24に吸引されるとともに、循環路24を流れた雪を伴った空気は、タンク22内に戻る。このような循環が繰り返される。また、循環路24を流れる空気の一部は接続路26に流入する。接続路26は、循環路24を流れる雪を伴った空気の一部をタンク22の天井部からタンク22内に流入させる。つまり、送風機28は、タンク22内に溜められている雪を、循環路24及び接続路26を通して、造雪部位に導く。」
オ 「【0033】
送風機28の作動により、タンク22内、特に、ノズル32よりも下方に溜められている雪は、タンク22の底部から循環路24に吸引されて循環路24を流れる。循環路24を流れる雪を伴った空気は、タンク22内にその側部から吹き込まれる。このとき、空気は、タンク22の中心線22aからずれた方向に向けてタンク22内に吹き出されるため、雪を伴った空気は、ノズル32の下方において、タンク22の側部の内面に沿って周回するように流動する。このように、蓄雪部14では、循環路24を通した雪を伴っての空気の循環が生じているとともに、タンク22内において雪の流動が生じている。このため、蓄雪部14において、雪が固まらない状態に保たれながら溜められる。つまり、蓄雪部14は蓄雪機能を有している。」
カ 「【0035】
蓄雪部14に雪を溜める動作は、降雪部20から雪を降らせる動作に先立って行われる。したがって、降雪量設定器36からの指令が調節部18に送られる前に予め雪を作って溜めておくことができる。このとき、第2ダンパ18bが閉じられ、第1ダンパ18aは全開となっている。このため、蓄雪部14においては、雪を伴った空気が降雪部20に送られることなく、タンク22と循環路24との間を循環している。」
キ 「【0038】
以上説明したように、本実施形態では、蓄雪部14において、雪を生成するとともに、生成した雪が固まらない状態に保ちつつ溜められる。そして、降雪装置10は、蓄雪部14に溜められている雪を降雪部20によって降らせる。すなわち、蓄雪部14から降雪部20に単位時間当たりに導入される雪の量は、蓄雪部14における単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよい。また、降雪部20によって所定時間内で降らせるトータルの量の雪を蓄雪部14に溜めておいてもよい。このため、雪を作りながら順次降らせる構成と異なり、造雪能力によって降雪量又は雪の供給量が制限されてしまうという事態が生じない。したがって、降雪装置10では、単位時間当たりの造雪能力に左右されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる。しかも、蓄雪部14においては、雪が固まらない状態に保たれるため、蓄雪部14に溜められた雪を降雪部20に導入すれば、降雪部20から雪を降らせることができる。なお、蓄雪部14において、雪が固まらないように雪が保持されるとはいえ、雪の全てが全く固まらないことまでも意味しているわけではなく、固まらない状態に保とうとした結果、部分的に雪が固まることがあってもよい。要は、降雪部20に雪が供給できる状態に蓄雪部14において雪が保たれていればよい。」
上記アから、発明が解決しようとする課題は、「造雪能力によって制限されない降雪量又は雪の供給量を得るようにすること」であると認められる。
上記イないしオから、「蓄雪部14は、雪を生成するとともに、生成された雪が固まらないように溜めておく部位であり、タンク22と、両端部がタンク22に接続された循環路24」を有していること、「タンク22内においては、雪を伴った空気が流動する部位の上方で造雪機能によって雪が生成される」こと、「循環路24には送風機28が配置されている」こと、「蓄雪部14では、送風機28の作動により、タンク22内の雪が空気に搬送されて、タンク22の底部から循環路24に吸引されるとともに、循環路24を流れた雪を伴った空気は、タンク22内に戻る」こと、「蓄雪部14では、循環路24を通した雪を伴っての空気の循環が生じているとともに、タンク22内において雪の流動が生じている」ため「蓄雪部14において、雪が固まらない状態に保たれながら溜められる」という事項が把握できる。
そして、上記カ及びキによれば、上記イないしオから把握される事項により「降雪装置10は、蓄雪部14に溜められている雪を降雪部20によって降らせる」ことができ、「蓄雪部14から降雪部20に単位時間当たりに導入される雪の量は、蓄雪部14における単位時間当たりの造雪能力を超えていてもよ」く、「雪を作りながら順次降らせる構成と異なり、造雪能力によって降雪量又は雪の供給量が制限されてしまうという事態が生じ」ることがなく、「降雪装置10では、単位時間当たりの造雪能力に左右されない降雪量又は雪の供給量を得ることができる」ということが把握できる。
そうすると、「生成された雪を固まらない状態に保ちつつ溜める蓄雪機能とを有する蓄雪部」(以下「手段A」という。)を備え、「前記蓄雪部は、前記造雪機能を有するタンクと、送風機と、前記タンクに両端が繋がり前記送風機が設けられた循環路と、を含み、前記送風機は、前記タンク内の雪を伴った空気を流動させるものであり、前記蓄雪機能は、前記送風機の作動によって前記タンク内の雪が空気に搬送されて前記循環路を流れた後再び前記タンク内に戻る構成を含」むこと(以下「手段B」という。)が課題を解決する手段であることは、当業者であれば理解することができ、手段A及びBは、本件発明1ないし4において、発明特定事項として特定されている。
よって、本件発明1ないし4及び本件発明1ないし4を引用する本件発明5ないし15は、発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるから、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。
(2)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書32ページ3行ないし35ページ16行において、本件発明1ないし15が、いわゆるサポート要件を満たしていない旨主張している。
しかしながら、上記規範に沿って、本件発明1ないし15のサポート要件について検討すると、上記(1)で述べたとおりとなる。
そうすると、申立人の主張は、採用できないといわざるを得ない。
第7 むすび
以上のとおり、請求項1ないし15に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議の申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に、請求項1ないし15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701397