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商標取消審判

2023-300856

アクアクイーン

審判番号
2023-300856
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願1998-096371
登録番号
4516419
請求日
2023年11月24日
審決日
2025年02月12日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アクアクイーン グループ,オールソー ノウン アズ アクアクイーン オーストラリアン スプリング ウォーター ピーティーワイ リミテッド
  • 【請求人代理人】本間 裕美
  • 【被請求人】株式会社ナウ
  • 【被請求人代理人】大谷 嘉一
  • 【被請求人代理人】西野 千明
審判長/審判官
  • 審判長 高橋 幸志
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T131 .1 -Y (Z03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第4516419号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第4516419号商標(以下「本件商標」という。)は、「AQUAQUEEN」の文字を標準文字で表してなり、平成10年11月9日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同13年10月26日に設定登録されたものである。 そして、本件審判請求の登録日は、令和5年(2023年)12月14日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)12月14日ないし同5年(2023年)12月13日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和6年2月19日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年4月16日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同年9月11日付け被請求人提出の審判事件回答書(以下「回答書」という。)に対する同年12月11日受付の審判事件上申書(以下「上申書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下、証拠の表記にあたっては、「甲(乙)第1号証」を「甲(乙)1」のように省略して表記する。)を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、第3類「全指定商品」(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)本件商標の使用に関する証拠について ア 乙1及び乙2 乙1及び乙2は、本件審判請求後に撮影されたものであり、証拠として考慮すべきではない。仮に乙1及び乙2で表されているラベルを容器に付したクリームを譲渡等したことがあったとしても、要証期間内に乙1及び乙2の写真にあるラベルの付されたクリームを販売したことを示す証拠は提出されていない。 商品又は商品の包装に標章を付したものを示す証拠として提出されているのは、乙1及び乙2を除けば、要証期間開始日の約2年前に印刷・納品されたカタログ(乙12)と、要証期間開始日の1年以上前に投稿された第三者によるブログ記事(乙14)のみである。 乙12および乙14に掲載された写真は小さくラベルの文字がはっきり見えないから、本件商標と同じ文字が付されているのか不明瞭である。 商品が入っている容器を背面から撮影した写真は、答弁書提出日の5日前に撮影されて提出された乙1の写真のみである。本件商標の登録時2001年10月26日頃から本件商標の使用が開始されているとした場合、乙1の写真撮影日までの間に多くのラベルが作成され、本件商標権者に納品されたものと推測する。その中から最も本件商標と似ている標章からなるラベルが1枚でも残っていれば、それを容器に貼り付けて乙1の撮影をすることは極めて容易である。 イ 乙3(ラベル)及び乙4ないし乙6(ラベルの発注書等) 乙3の左側ラベルの文字はすべて金色、右側ラベルの文字は黒と金色の2色である。一方、乙1、乙2、乙12、乙14及び乙15に掲載されている商品容器に貼り付けられているラベルの文字はすべて黒色であり、乙3とは色彩が相違する。 さらに、乙3のラベルには日付やロット番号等の記載がないため、それが発注書(乙4)に基づき作成され、納品書(乙5)とともに納品されたラベルであるか否かは証明されていない。また、乙3と同一のラベルを貼り付けた商品の販売状況を示す証拠はない。 なお、ラベルの発注・納品等についての書類の写しである乙4ないし乙6について、ラベルの発注は商標法第2条第3項各号に規定する「使用」には該当しない。 ラベルの発注者は、本件商標権者ではなく、第三者である株式会社ランブール(以下「ランブール社」ということがある。)が行っている(乙4)。 被請求人は「ランブール社は、本件商標権者の代表者と同一人とする本件商標の通常使用権者である」旨を主張しているが、ランブール社と本件商標権者の代表者が同一であることのみをもってランブール社に通常使用権が与えられているとはいえない。 株式会社レーベルエージェンシーからランブール社にラベルが発送されたのが令和3年3月30日だとすれば(乙5)、当該ラベルが到着したのは同月31日以降と推測される。本件商標権者が要証期間内に商品の販売を行ったと主張するように、注文ファックスの受信が同月30日19:07(乙8)であり、納品書(控)の日付が同年4月2日(乙9)だとすれば、同年3月31日以降に到着したと推測されるラベルを、商品容器に貼り付けて、その商品を2日後に発送するということは、通常の商品管理では想定しがたい。 そうすると、乙4ないし乙6により納品されたラベルが、要証期間内に販売された商品に貼り付けられていた訳ではなく、どのようなラベルが貼り付けられていたかを明らかにする証拠は提出されていない。 ラベルの納品書(乙5)及び請求書(乙6)には、「版代 一式」の費用として「11,000円」が記載されている。株式会社ウイル・コーポレーションのウェブサイトによると、「版代とは、印刷をするために必要な「版」の作成料金(初期費用)のことです。・・・、「版」と言って「印刷機にセットする大きなハンコ」のようなものが必要です。その作成に必要な版の作成代です。」「注意点 刷版の作成後に修正が発生すると、版を作り直すことになるので版代が再度必要になります。」(甲2)。 つまり、令和3年3月30日付けで納品されたラベル(乙5)は、ラベルの構成態様になんらかの修正がなされたものが発注・納品されたと考えるのが自然である。答弁書において、被請求人は、「2019年(令和元年)7月16日から乙1及び乙2の作成日(同6年2月14日)にかけて、本件商標権者がラベル及び容器を変更することなく商品の販売を継続していることが推認できる」と主張しているが、ラベルの変更がなされたことがあると推認するのが自然である。 よって、乙9の納品書(控)を同梱して「モイストパーフェクトクリーム」等が納品されたと仮定しても、どのような態様のラベルが商品に貼り付けられていたかは提出された証拠によっては証明されておらず、「乙9における納品日(同3年4月2日)においても、乙1及び乙2に示す商品が納品されている」とはいえない。 ウ 本件商標の使用の有無 答弁書において、クリームの背面(乙1、乙3)には「Aqua Queen」の文字を表した商標(以下「被請求人商標1」という。)が、クリームの正面(乙2、乙3)には「Aqua」と「Queen」の文字を2段に表した商標(以下「被請求人商標2」という。「被請求人商標1」及び「被請求人商標2」をまとめていうときは、「被請求人商標」という。)が表されており、これらは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用である旨の被請求人の主張は否認する。 本件商標は、「AQUAQUEEN」を標準文字により表してなる商標であり、大文字のみでスペースによる隙間なしで一連に表されているため、「AQUAQUEEN」全体をもって一体不可分の商標として把握、認識されるものとみるのが自然である。また、辞書等には載録されていない語であるため、特定の意味を有しない造語として認識される商標である。 他方、被請求人商標1は、前述のとおり、審判請求後に撮影された写真(乙1)と作成された時期が特定不可能なラベル(乙3)のみにしか表示されていない標章であるが、「Aqua」と「Queen」の2語をスペースで区切り、横書きされた標章である。これらの語は「水」と「女王」の意味を表す単語として容易に認識されるため、分離した2つの単語を並べた標章であると認識される。 被請求人商標2は、「Aqua」と「Queen」の2語を上下に2段書きで表した図形化した標章である。「Aqua」と「Queen」の各単語が同じ幅におさまるように配置されていることもあり、2つの単語を上下にまとまりよく配置させたロゴとして認識されるものである。 被請求人商標はどちらも、容易に意味を理解できる「Aqua」と「Queen」という2つの単語を組み合わせた構成よりなるため、それぞれの単語の意味により「水の女王」との観念を生じる。 そうすると、被請求人商標は、標準文字でスペースなく表された本件商標とは、外観において同視される範囲を超えたものである。また、観念についても、本件商標が特定の観念を想起しない造語であると認識されるのに対し、被請求人商標は「水の女王」との観念を有し相違する。 したがって、被請求人商標は、本件商標との関係において社会通念上同一の範囲を明らかに超えたものである。 (2)商標の使用者、使用時期及び使用場所に関する証拠について ア 使用の有無 乙7ないし乙11により、各商品が富山県高岡市の顧客A(以下、乙7ないし乙11に係る富山県高岡市所在の顧客を「顧客A」という。)に販売された事実があったとしても、譲渡又は引き渡しがされた商品又は商品の包装にいかなる態様の標章が付されていたか、とりわけ、商品の裏面については証明されておらず、商標法第2条第3項各号に規定するいずれの「使用」の事実も証明されていない。 (ア)乙7、乙9及び乙10は本件商標権者が作成した書類である。本件商標権者のみで作成できる書類であるため、審判請求後に記載内容を変更してあらたに作成することも極めて容易であり、信ぴょう性は低い。 (イ)顧客Aから受領した発注書(乙8)は、「クリアウォーター」、「モイストローション」、「モイストパーフェクトクリーム」、「ビューティーセラム」の注文がなされたことを示しているが、「Aqua Queen」の商品であることは特定されていない。また、これらの語は化粧品の内容・用途を表す語として他社でも使われている名称である。被請求人の提出した「AquaQueen」のカタログ(乙12)掲載の商品名・価格と一致してはいるが、乙8記載の汎用的な語から本件商標権者の「Aqua Queen」を指し示していると断定できるものではない。本件商標権者によるそれ以外の取扱いブランドの商品名・価格である可能性を否定できる証拠は提出されていない。 (ウ)乙9の納品書(控)は、記載されたコードが乙12のカタログ記載のコードと一致している旨の主張がなされているが、乙9は本件商標権者が作成した書類であり、いつでも新たに修正された書類を作成することができることから信ぴょう性は低い。 (エ)通帳の写し(乙11)は、印字された文字列に変形や乱れが見られ、マスキング以外にも何等かの加工がなされた写しのようにも推測されるものであり、証拠としての信ぴょう性は低い。 イ 第三者のブログ記事(乙14及び乙15) 第三者により要証期間外に投稿されたブログであり、証拠として考慮されるべきものではない。また、写真の画像は小さすぎるため、ボトル上の文字は判読不能である。 ウ 商品カタログ(乙12)及びその領収書(納品書、乙13) カタログが納品されたのは2018年12月22日であり、商品を販売したと主張する納品日は令和3年(2021年)4月2日で、2年以上前である。したがって、販売当時に商品の容器にどのような態様のラベルが付されていたのかについての証拠とはなりえない。 3 上申書 (1)回答書で提出された新たな証拠について ア フライヤー(乙16) 乙16のフライヤーは、乙17注文詳細に示された出荷日「2012/05/09」に出荷されたものとの被請求人の主張であるが、そうであれば、要証期間より約10年も前に作成されたものである。裏面には「30ml 10,290円 [本体価格9,800円]」との記載があり、消費税が5%の時代に配布されていたことは推測できるが、古い価格の表示されたフライヤーを、要証期間に配布等することは考えがたく、本件商標が要証期間内に使用されたか否かとは全く関係のない証拠である。 なお、被請求人は、「乙17は、印刷物である本件フライヤーの注文詳細であり」、「本件カタログ(乙12)と同様に、両面印刷されて半分に折られて」と説明しているが、本フライヤーの原本(乙16)は、A4サイズを半分に折られたサイズより明らかに小さく、乙17の注文内容により、2012年5月9日に納品されたものであるとはいえない。 イ 顧客B(以下、乙18ないし乙22に係る「福井県越前市所在の顧客」を「顧客B」という。)に対する納品書(控)(乙18) 顧客Bからの注文書(乙19)では、「■アクアクイーン」の商品として、「モイストパーフェクトクリーム」等、カタログ(乙12)掲載の商品だけでなく、「ハトムギハンドクリーム(ハンドクリーム)」といった、カタログに掲載されていない商品についても注文がなされている。 そうすると、本件商標権者がアクアクイーンのブランド名のもと販売している商品は、カタログが発行された2018年からは変化していると推測される。 さらに、乙22にて通帳の写しが提出されているが、ページ上部の項目欄の表示はなく、金額65,100円が顧客Bへの払戻金であるのか、顧客Bからの預り金額であるのかは不明である。 (2)回答書等について 被請求人は答弁書及び回答書において、顧客A及びBに対して納品された商品に付されたラベルは、フライヤー(乙16)やカタログ(乙12)が発行された時から全く変わっておらず、乙3に係るラベルが付されていたと主張している。 証拠として提出されたフライヤー(乙16)が2012年5月9日に納品されたかは、乙17の証拠との整合性がなく不明であり、消費税5%の価格が示されているから、消費税が5%の時代(1997年4月から2014年3月末まで)のいつかの時点において作成されたものと推測できるにすぎない。カタログ(乙12)は、平成30年(2018年)に納品されたものであり、フライヤーやカタログが作成されてから、顧客Aへの納品日の令和3年(2021年)及び顧客Bへの納品日の令和5年(2023年)までは、3年から最長で26年も経過している可能性がある。 フライヤーやカタログの発行後、3年から26年も経過した後に納品された商品なのであるから、それらの商品にどのようなラベルが付されていたのかについては、被請求人によって証明されたとはいうべきではない。3年から26年も前に発行されたカタログ等に掲載されている商品と、同じラベルの付された商品が今手元にあって、写真が撮れているのだから、その間のいつの時点かにかかわらず納品された商品には当然同じラベルが付されていたというのは、乱暴な説明である。令和3年4月2日付けの顧客Aへの納品(乙9)及び令和5年6月7日付けでの顧客Bへの納品(乙18)時に、どのようなラベルの付された商品が納品されたのかを示す証拠は提出されなかったというのが事実である。 (3)ラベル納品書(乙5)及びラベル請求書(乙6)での「版代」の請求について 被請求人は、「印刷会社に毎回「版代」を請求されることは、特異的なことではない」旨主張するが、被請求人が依頼した印刷会社が、「版」が経年劣化により使えなくなったために「版代」を請求したのか、それともラベルに変更があったため「版」を新しく作成しなおしたのか、いずれであるのかを証明していない。被請求人は上述のいずれであるのかについて、証明ができるにもかかわらず、それを怠っているのであるから、印刷会社が新しく版を作成したと推認すべきであり、新しいデザインのラベルを納品したというべきである。 (4)商標法第2条第3項第8号に係る使用について ア 被請求人が令和6年9月11日付け回答書で提出した証拠では、商標法第2条第3項第8号に基づく使用を証明する証拠は提出されていない。 乙16のフライヤーが展示又は頒布されたことを証する証拠は提出されていない。 乙19の顧客Bからの注文書には、「アクアクイーン」との記載があるが、注文書は顧客Bが発行したものであり、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者をまとめて「商標権者等」という場合がある。)のいずれかによる使用には該当しない。 乙20の顧客Bへのお見積書には、「名称」として「化粧品(アクアクイーン)」との記載があるが、作成日は平成29年2月3日であり、要証期間外である。 イ 令和6年2月19日付け答弁書で提出した証拠について (ア)乙4(ラベル発注書)、乙5(ラベル納品書)、乙6(ラベル請求書)においては、アクアクイーンとの記載があるが、商品に付するラベルの注文書並びにラベル製作会社が発行したラベルの納品書及び請求書であり、商品に関する取引書類ではないため、商標法第2条第3項第8号に規定する使用には該当しない。 (イ)乙7の御見積書においては、「件名」に「化粧品 アクアクイーン」との記載があるが、発行日は平成27年9月1日であり、要証期間外である。 (ウ)乙8のファックス文書において、「AquaQueen のカタログ5枚」、「ほど入れてほしいです」との記載があるが、当該ファックス文書は顧客Aが発行したものであるため、商標権者等の使用には該当しない。この注文依頼に基づき商品の納品がなされたとの主張がなされているが、乙9の納品書には、カタログを納品したとの記載はない。そうすると、カタログが納品されたか否かは明らかではないし、カタログが納品されたとしても、いつ、どのようなカタログが納品されたかは明らかではない。 商標法第2条第3項第8号に規定する標章を付した広告の「頒布」とは、「・・・標章を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれることをい」うものであるから(平成22年(行ケ)第10013号 審決取消請求事件)、「AQUAQUEEN」に関する何等かのカタログが5部、顧客Aに納品されたと仮定した場合であっても、一顧客に対して5部という極めて少ない数のカタログが送付されたことのみをもってしては、「展示」や「電磁的方法により提供する行為」と同視できる態様で、一般公衆により閲覧可能な状態には置かれていない。したがって、商品のカタログの一顧客への送付は、広告の「頒布」には該当せず、商標法第2条第3項第8号の要件を満たさない。 (エ)乙14のブログ記事においては、「Aqua Queen(アクアクイーン)」との記載があるが、第三者の運営するブログ記事であり、商標権者等による使用には該当しない。 以上のとおり、被請求人が答弁書及び回答書で提出した証拠によっては、要証期間内に本件商標を使用したことはいまだ証明されていない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を答弁書及び令和6年8月8日付け審尋に対する同年9月11日付け回答書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第23号証(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。また、枝番号は「乙○の○」のように記載する。)を提出した。 1 答弁書における主張 本件商標権者である被請求人は、化粧品、ボディファンデーションの企画、製造及び販売等を目的とする会社であり、要証期間内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を、請求に係る指定商品に使用している。 (1)本件商標の使用について ア 乙1及び乙2は、本件商標権者が本件商標と社会通念上同一の商標を付したラベルを容器に付し発売しているクリームの背面及び正面の写真である。 イ 乙3は、上記クリームの容器の背面及び正面に付したラベルである。 乙4は上記ラベルの発注書(令和3年3月23日)、乙5は納品書(同月30日)、乙6は請求書(同年4月20日)である。なお、発注書(乙4)に記載の「株式会社ランブール」は、本件商標権者と代表者を同一人とする通常使用権者である。 ウ クリームの背面(乙1、乙3)には「Aqua Queen」の文字を表した商標(被請求人商標1)が、クリームの正面(乙2、乙3)には「Aqua」と「Queen」の文字を2段に表した商標(被請求人商標2)が表されている。 エ 本件商標は「AQUAQUEEN」の文字を標準文字で表してなり、被請求人商標はいずれも本件商標と共通する文字構成よりなるもので、書体のみに変更を加えた同一の文字からなるから社会通念上同一の商標である。 また、被請求人商標の「Queen」の文字の右横には「R」(審決注:〇の中にRの文字を表したものである。)と記載され、登録商標としての使用であることを示している。 (2)使用に係る商品について クリームの背面(乙1、乙3)には、「Aqua Queen」の文字の下に、販売名として「モイストパーフェクトクリーム」が、さらにその下に、「クリーム」や「2プッシュを手のひらに取り、顔全体に丁寧になじませます。乾燥など気になる部分にはさらに重ねてください。」と記載があるから、被請求人商標が請求に係る指定商品「化粧品」に対して使用されていることが明らかである(以下、「モイストパーフェクトクリーム」とする商品を「使用商品」という。)。 (3)商標の使用者、使用時期及び使用場所について ア 乙7ないし乙11は、本件商標権者と富山県高岡市の顧客Aとの具体的な取引の一例であり、要証期間内に日本国内において被請求人商標を使用していることを示すものである。 イ 乙7は、平成27年9月1日付け「件名 化粧品 アクアクイーン」の御見積書であり、本件商標権者は、この御見積書に記載の単価で継続して顧客に販売している。 ウ 乙8は、顧客から本件商標権者に対するファクシミリ文書による注文書であり、2021年(令和3年)3月30日に顧客から「モイストパーフェクトクリーム」1セット(6本)を含んだ化粧品の注文を受けている。 エ 乙9は、令和3年4月2日に本件商標権者が顧客Aに「モイストパーフェクトクリーム」を含んだ化粧品を納品した際の納品書(控)である。納品書(控)の「コード・商品名」の欄に「AQG5030」と「モイストパーフェクトクリーム」が記載され、このコードは、乙12のカタログに記載された「モイストパーフェクトクリーム」のコード「AQG5030」と同じである。また、納品書(控)の「単価」の欄に記載された数字は、御見積書(乙7)の「単価」の欄に記載された数字と同じである。 オ 乙10は、令和3年5月1日付け請求書であり、「今回御請求額」の欄に記載された数字は納品書(控)(乙9)の「合計」の欄に記載された数字と同じである。 カ 乙11は、本件商標権者名義の銀行口座の通帳の写しであり、令和3年5月31日に、ファクシミリ文書(乙8)に記載された顧客の代表者名にて、請求書(乙10)の「今回御請求額」の欄に記載された金額が支払われたことを示している。 キ 御見積書(乙7)、ファクシミリ文書(乙8)、納品書(控)(乙9)に記載の商品は、それぞれ、Aqua Queenカタログ(乙12、以下「本件カタログ」という。)に記載された化粧品である。本件カタログの発行日(納品日)は、平成30年(2018年)12月22日(乙13)である。 ク 乙14及び乙15は、2019年(令和元年)7月16日に投稿されたウェブサイト「Ameba」の写しであり、写真とともに「金沢で作られている株式会社ナウ(本件商標権者)の「Aqua Queen(アクアクイーン)」」と記載がある。乙14が拡大された写真(乙15)のおよそ中央に「モイストパーフェクトクリーム」が位置している。これは、乙1及び乙2に示す商品と同等のラベル及び容器の商品の写真である。 したがって、2019年(令和元年)7月16日から乙1及び乙2の作成日(同6年2月14日)にかけて、本件商標権者がラベル及び容器を変更することなく商品の販売を継続していることが推測でき、乙9における納品日(同3年4月2日)においても、乙1及び乙2に示す商品が納品されているといえる。 2 審尋に対する回答書における主張 被請求人が提出した証拠からは、要証期間内における本件商標の使用の事実を確認できない旨の合議体からの審尋に対し、被請求人は要旨以下のとおり回答した。 (1)新たな証拠について ア 乙16は、使用商品に関するフライヤー「AQUAQUEEN GRACE クリームパンフ」(以下「本件フライヤー」という。)であり、乙16の1、乙16の2及び乙16の3には、商品名「モイストパーフェクトクリーム(Moist Perefect Cream)」の記載と使用商品と同じ商品の写真が掲載されており、乙16の4には、本件商標権者の記載がある。 イ 乙17は、印刷物である本件フライヤーの注文詳細である。 ウ 乙18は、顧客Bに対する納品書(控)、乙19は顧客Bから本件商標権者に対する注文書であり、乙18の商品名及び商品コードは本件カタログに記載の商品名及び商品コードと一致する。 また、納品書(控)と注文書の「モイストパーフェクトクリーム」の欄の記載は一致している。 エ 乙20は、顧客Bに対する御見積書であり、参考上代「1本@9,800円」の記載があり、これは本件カタログに記載の価格と同じである。さらに、オーダー数が6本の場合に「単価」が「¥2,940」「6本当たり卸価格」が「¥17,640」の記載があり、納品書(控)(乙18)及び注文書(乙19)に記載の本数、単価、金額と同じである。 オ すなわち、本件カタログ(乙12)と、顧客Bとの納品書(控)、注文書及び見積書(乙18~乙20)の商品名、本件カタログ及び顧客Bとの納品書(控)の「商品コード」、本件カタログと顧客Bへの御見積書の「販売価格」、顧客Bとの取引書類の「卸価格」がそれぞれ一致しており、本件カタログの商品が要証期間内に本件商標権者から顧客Bに納品されていることが分かる。 カ 乙21は請求書、乙22は本件商標権者の通帳の写しであり、納品書(控)(乙18)の合計欄及び請求書(乙21)の今回御請求額の欄は「65,260」で同じある。なお、乙22には、令和5年7月25日に顧客Bの名前で「65,100」が振込みにより支払われたことが示されているが、これは受取側の本件商標権者に振込手数料(160円)の支払が請求されたものである。 (2)被請求人の意見 本件フライヤーの出荷日、平成24年(2012年)5月9日(乙17)、本件カタログの納品日、平成30年(2018年)12月22日(乙13)、ウェブサイトAmebaの投稿日、令和元年(2019年)7月16日(乙14)、使用商品の撮影日、令和6年(2024年)2月14日(乙1、乙2)及び令和6年(2024年)8月30日(乙1の1、2、乙2の1、2)にかけて、本件商標権者は継続して、被請求人商標が印字されたラベルを容器に付した使用商品を販売しており、顧客Aに対する納品(乙9)の納品日令和3年(2021年)4月2日及び顧客Bに対する納品(乙18)の納品日令和5年(2023年)6月7日においても、使用商品が納品されていること、すなわち、商標法第2条第3項第2号に該当する使用を証するものである。 (3)合議体の暫定的見解に対して ア 乙1の1、2及び乙2の1、2から、使用商品の文字が明瞭に、特に乙1の2から製造販売者の名称「株式会社ナウ」(本件商標権者)と住所「石川県金沢市いなほ1-1 2」が確認できる。 イ 乙9の1は、本件商標権者から顧客Aへの納品書(控)であるが、乙18の顧客Bへの納品書(控)と同じく、「AQG5030/モイストパーフェクトクリーム 6本 2,940 17,640」と記載されている。 コード・商品名の「AQG5030/モイストパーフェクトクリーム」は、本件カタログ(乙12)の商品名及び商品コードと同じあり、「6本 2,940」「17,640」は、御見積書(乙7)の「モイストパーフェクトクリーム」欄に記載の「6個 2,940」「17,640」と同じ「卸価格」である。 そして、ファクシミリ文書の注文(乙8)に記載の「モイストパーフェクトクリーム(9800)×1セット」は、御見積書(乙7)及び本件カタログ(乙12)の「9, 800円【税抜き】」と同じ「販売価格」と、御見積書(乙7)の下側に記載の「発注単位は各アイテム6個単位となります。」から「6本」を示すことがわかる。 すなわち、御見積書(乙7)、ファクシミリ文書の注文(乙8)、納品書(控)(乙9)及び本件カタログ(乙12)において、「商品名」、「商品コード」、「販売価格」及び「卸価格」に矛盾はない。したがって、納品書(控)(乙9)が、使用商品にかかる顧客Aからのファクシミリ文書の注文(乙8)に対応した納品書(控)であり、納品書(控)(乙9)の商品が本件カタログ(乙12)の商品と同じで、本件カタログ(乙12)の商品及び本件フライヤー(乙16)の商品が、使用商品であることを確認できる。 (4)請求人提出の弁駁書の主張に対して ア 乙3(ラベル)は、ラベルの原本であるため、請求人の主張のとおり被請求人商標の文字が金色であることを明瞭に認識できる一方で、証拠によって金色が黒色っぽく見えてしまうのは、写真撮影時の光条件や背景色、拡大比率によるものであり、例えば乙1の2は、「【GRACE】/Aqua Queen」が金色であると認識しやすく、乙3と乙1、乙2、乙12、ウェブサイト(乙14、乙15)、乙16で、被請求人商標の色彩に相違はない。 本件商標権者は、提出した乙3ないし乙6のとおり、2種セットのラベルを継続して使用しており、これは、化粧品の表示に関する公正競争規約第4条の定め(邦文で外部から見やすい場所に、明瞭に表示しなければならない。)を遵守するため、「種類別名称」、「販売名」等を表示している。 なお、請求人は、株式会社ウィル・コーポレーションのウェブサイト(甲2)を提出して、「版代」の説明をしているが、本件商標権者は上記会社に印刷を依頼しているわけではない。そして、乙4ないし乙6に記載のとおり、本件商標権者は1回に「アクアクイーンモイストパーフェクトクリーム2種セット表裏」を「1,000枚(1,000セット)」依頼している。使用商品は、本件商標権者から直接又は個別に契約している顧客(例えば顧客A、B)が購入するもので、乙7や乙20に「注文単位は6本単位」と記載されているように、短期間に大量に販売するような商品ではない。一方、「版」は経年劣化によって使えなくなるもので、印刷会社は長期に渡って「版」を保管する義務はなく、本件商標権者のように一度に大量に印刷し、次の印刷依頼まで時間が空くような場合には、印刷会社に毎回「版代」を請求されることは、特異的なことではない。 イ 本件商標は「AQUAQUEEN」の文字を「標準文字」で表してなるもので、被請求人商標は、書体に変更はあるものの、いずれも本件商標と共通する構成文字よりなるもので、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなるのであり、同一の称呼を生じ、かつ、観念において相違することはない。 ウ 請求人は全体的に本件商標権者の証拠について信ぴょう性が低いと主張しているが、本件商標権者が提出した証拠は、証拠の作成年月日に現に存在していたものである。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。 (1)乙1及び乙2は、「Moist Perfect Cream」(モイストパーフェクトクリーム)とする商品(使用商品)の背面及び正面の写真であり、正面には、「GRACE」、縦に「Moist Perfect Cream」の文字を表し、下部には、「Aqua」「Queen」の文字を二段に表した商標(以下「使用商標1」という。別掲1)がある。背面には、「GRACE」の文字を一番上に、「Aqua Queen」の文字を横書きにした商標(以下「使用商標2」という。別掲2。また、「使用商標1」と「使用商標2」をまとめていうときは、「使用商標」という。)、その下に、「Moist Perfect Cream」「モイストパーフェクトクリーム」「クリーム」の文字を表してなり、「製造販売」として本件商標権者の名称及び住所の記載がある。 また、商品の容器は、透明のプラスチックの蓋と、その中に銀色の部分の上に白いポンプを有する部分があり、下部は、白色の円筒形である。 (2)乙12は、表紙に「AquaQueen」の文字及び「General Catalogue」の文字を表したカタログ(本件カタログ)であり、裏面には、本件商標権者の名称及び住所の記載がある。中面の左ページには、「「アクアクイーン」は自然のちからで、すこやかなお肌へと導くことを目指した自然派スキンケ化粧品です。」の記載、右ページには「AquaQueen」「フェイスケアシリーズ」を標題とし、その下部に、シリーズ商品の一つとして、「Moist Perfect Cream」「モイストパーフェクトクリーム」「【クリーム】」「[AQG5030]」「30ml」「9,800円[税抜き]」等の記載があり、その横に若干不鮮明ではあるものの、透明のプラスチックの蓋と、その中に銀色の部分の上に白いポンプを有する部分があり、下部は、白色の円筒形の商品容器の写真があり、その容器正面には「GRACE」の文字、「Moist Perfect Cream」を縦書きにし、下部に使用商標1が表示されている。 乙13は、本件カタログの印刷代等について、2018年12月22日に発行された株式会社プリントパックから本件商標権者宛ての「領収書(納品書)」である。 (3)ア 乙18は、本件商標権者から「福井県越前市」の顧客B宛の令和5年6月7日付けの、「納品書(控)」であり、「コード・商品名」として「AQG5030/モイストパーフェクトクリーム」等、「数量」として「6」等、「単位」として「本」等、「単価」として「2,940」等、2枚目の「納品書(控)」には「合計」として「65,260」の記載がある。 イ 乙19は顧客Bから本件商標権者宛ての2023年(令和5年)6月5日付けの「注文書」であり、「商品名」として「アクアクイーン」「モイストパーフェクトクリーム/(クリーム グレース)」等、「数量」として「6」等、「単位」として「本」、「単価」として「2,940」等、「合計」として「65,261」の記載がある。 ウ 乙20は、本件商標権者から顧客B宛ての平成29年2月3日付けの「御見積書」であり、「名称」として「化粧品(アクアクイーン)」「品名」として「Moist Perfect Cream」「モイストパーフェクトクリーム」「(クリーム)」等、「参考上代」として「1本@9,800円」等、「オーダー数」として「6本」等、「単価」として「¥2,940」及び、「※ご注文単位は、6本単位となります。」の記載がある。 エ 乙21は、本件商標権者から顧客B宛ての令和5年7月3日発行日の「合計請求書」であり、「今回御請求額」として「65260」、「(5年6月30日締切分)」の記載がある。 オ 乙22は、本件商標権者の通帳の写しであり、「05-07-25」「トウヨウプランニング(顧客Bの名称の片仮名表記)」「(カ 65,100」」の記載がある。なお、当該通帳に係る金融機関の振込手数料は160円(乙23)である。 2 上記1に基づき、以下判断する。 (1)使用商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「AQUAQUEEN」の文字を標準文字で表してなるものである。 他方、使用商標1は、別掲1のとおり、「Aqua」「Queen」と二段に表したものであって、大文字と小文字及び文字のデザインに差異はあるものの、本件商標と構成文字は同じであり、その文字態様及び段組等表記方法の相違のみにすぎないから、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。 また、使用商標2は、別掲2のとおり、「Aqua Queen」の文字を横書きした構成であり、大文字と小文字、文字のデザイン及び「Aqua」と「Queen」の文字間に少し空間があるといった差異はあるものの、本件商標と構成文字は同じであり、その文字態様の相違のみに過ぎないから、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。 そうとすると、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。 (2)使用商品について ア 上記1(1)及び(2)のとおり、乙1及び乙2の商品写真の商品(使用商品)と本件カタログの「モイストパーフェクトクリーム」とする商品は、その容器全体の外観、形状及び色彩、そして表示されている文字から同一の商品(使用商品)と推認できるものである。 イ 使用商標を包装に付した商品(使用商品)は、上記アのとおり、容器の背面にある「モイストパーフェクトクリーム」「クリーム」の文字及び本件カタログの「「アクアクイーン」は自然のちからで、すこやかなお肌へと導くことを目指した自然派スキンケ化粧品です。」の記載からすれば、「化粧品」の「クリーム」であると認められるものであるから、請求に係る指定商品「化粧品」の範ちゅうの商品である。 (3)商標の使用行為、使用時期、使用者について ア 上記1(3)によれば、福井県越前市所在の顧客Bは、2023年(令和5年)6月5日に、本件商標権者へ「商品名 アクアクイーン モイストパーフェクトクリーム」を「6本」注文し、本件商標権者は、令和5年6月7日に顧客Bへ「AQG5030 モイストパーフェクトクリーム」を6本納品し、同年7月3日に本件商標権者は、当該商品を含む商品の代金の請求を行い、同月25日に顧客Bから本件商標権者に当該代金の振込みがあったことが認められるところ、当該取引に不自然なところはない。 「注文書」及び「納品書(控)」に記載されている商品名の「アクアクイーン」、「AQG5030」「モイストパーフェクトクリーム」は、本件カタログに掲載された商品名及びコード番号と同一であること、「御見積書」に記載された商品についても、名称の「化粧品(アクアクイーン)」、品名の「モイストパーフェクトクリーム」及び参考上代との単価の記載が本件カタログに掲載された名称、商品名及び販売価格と同一であることから、当該「注文書」、「納品書(控)」及び「御見積書」に記載の商品は、本件カタログに掲載された商品と同一の商品と認められる。 そうすると、これらに記載された商品は使用商品である。 なお、本件カタログは、2018年12月22日に本件商標権者に納品されており、商品名及び商品コードは、当該日以降変更されていないと推認できる。 取引書類における金額は「御見積書」の「6本当り卸価格」と同一価格であって、当該価格は卸売価格と認められるから、本件カタログの料金と相違があっても不自然な点はない。 また、「合計請求書」の合計金額と通帳に記載された金額に齟齬があるが、本件商標権者が振込手数料を負担したものと推認できる。 イ そうとすれば、令和5年6月7日に使用商品が、本件商標権者から顧客Bに譲渡されたことが認められ、当該日は要証期間内である。また、使用商品の譲渡先は日本国内であること明らかである。 ウ なお、乙1の使用商品の背面には「製造販売」として本件商標権者の記載、乙12の本件カタログの裏面及び上記1(3)の取引書類にも本件商標権者の記載が認められるから、使用商標の使用者は本件商標権者であること明らかである。 エ 以上によれば、本件商標権者は、要証期間内である2023年(令和5年)6月7日に請求に係る指定商品に含まれる「クリーム」の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを日本国内の取引先に譲渡したものといえる。 そして、本件商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。 3 請求人の主張について 請求人は、弁駁書及び上申書において、乙1及び乙2は本件審判請求後に撮影されたものであり、要証期間内に乙1及び乙2の写真にあるラベルの付されたクリームを販売したことを示す証拠は提出されていない旨、また、乙9や乙18の納品日は本件カタログ(乙12)発行後3年以上も経過した後に納品された商品であるから、それらの商品にどのようなラベルが付されていたかについて被請求人によって証明されたとはいえない旨主張する。 しかしながら、乙1及び乙2の商品写真が審判請求後の撮影であったとしても、上記2(2)のとおり、乙1及び乙2に示された写真の商品外観と本件カタログ(乙12)に表示された使用商品の外観等は一致していることから同一の商品と認められるものであり、上記2(3)のとおり、本件カタログに表示された使用商品のコード及び商品名等が、乙18ないし乙21の顧客Bに係る取引書類の表示と一致していることからすれば、少なくとも乙18の「納品書(控)」に記載の納品日において、本件カタログの使用商品と同一の商品と認められる乙1及び乙2の写真の商品が取引の対象として存在していたと考えるのが自然である。 さらに乙18の「納品書(控)」及び乙19の「注文書」には、モイストパーフェクトクリームの他に、「アクアクイーン」のモイストエッセンスローション、ビューティセラム、ブランヴェールなどの商品名の記載があり、これらの商品名及びコードも本件カタログに表示されているものと同一である。 そうとすれば、本件カタログの発行日と納品書の日付けが離れていることをもって、使用商品が本件カタログのものではないということはできない。 以上のとおりであるから、上記2で判断したとおり、使用商標が付されたクリーム(化粧品)は要証期間内(2023年6月7日)に顧客Bに納品されたというのが相当である。 したがって、請求人の主張は採用できない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定商品中、第3類「化粧品」に含まれる商品「クリーム」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきではない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-300856

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