商標取消審判
2023-300603
エラボ
- 審判番号
- 2023-300603
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1993-071860
- 登録番号
- 3134991
- 請求日
- 2023年08月25日
- 審決日
- 2025年06月03日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】青島百洋易美科技有限公司
- 【請求人代理人】▲吉▼川 俊雄
- 【被請求人】玉理化学 株式会社
- 【被請求人代理人】藤本 英夫
- 【被請求人代理人】西村 幸城
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 分類
- T131 .1 -Y (003)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第2号、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3134991号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第3134991号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成5年7月2日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリ―ム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同8年3月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和5年9月14日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の同2年9月14日から同5年9月13日までを以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を答弁書及び令和6年11月7日付けの審尋に対する同年12月3日付け回答書において、要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番号を含む。以下、枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。)を提出した。
1 乙第1号証ないし乙第4号証について
(1)商標権者は化粧品を製造及び販売する会社であり、本件商標を使用した商品には、乙第1号証の写真(以下「乙1写真」という場合がある。)の左側のヘアスプレー(以下「赤缶」という。)と右側のヘアスプレー(以下「緑缶」という。)がある。
被請求人は、この2種類のヘアスプレー(赤缶、緑缶)を製造してタマリス販売株式会社(以下「タマリス社」という。)に販売(譲渡、納品)しており、タマリス社は美容院などの得意先に販売している。
乙1写真の正面には「elabo」が筆記体で表され、後面には「エラボ」アンセンティッドヘアスプレーと表され、かつ製造者「玉理化学株式会社」が表示されている。
なお、「アンセンティッドヘアスプレー」は無香性のヘアスプレーであることを示す単なる説明語句である。
そして、この写真の商品に付された「elabo」及び「エラボ」が本件商標と同一性を有することは明らかである。
(2)乙第2号証ないし乙第4号証は、それぞれ前記商品の2021年ないし2023年4月における出荷実績一覧、受注伝票、納品書のそれぞれ一部分である。
(3)乙第1号証ないし乙第4号証により、上記写真に示す商品が、少なくとも2021年ないし2023年4月間に商標権者からタマリス社を通じて有限会社BIBI(以下「BIBI社」という。)や各美容院などのお得意先へ、あるいは商標権者からBIBI社や各美容院などのお得意先へと販売されたことが示されている。
そして、乙第2号証において矢印a部分は2023年4月6日に前記商品が出荷されたことを示し、乙第3号証において矢印b部分は2023年4月6日に前記商品が受注されたことを示し、乙第4号証において矢印c部分は2023年4月6日に前記商品が納品されたことを示している。
なお、商標権者はヘアスプレーなどを製造するメーカー、タマリス社は商標権者のグループ会社であり、商標権者の製品の販売を行っている。
また、乙第2号証ないし乙第4号証において、黒のベタ塗り部分があるのは、請求人が本商標権者の直接のコンペティターである可能性があり、顧客先の情報や価格をできるだけ知られたくないという配慮による。
さらに、乙第2号証ないし乙第4号証において、「BIBI本店」とあるのは、BIBI社の本店に対し商標権者が用いている略称である。そして、乙第1号証ないし乙第4号証からして、前記写真に示されたように商標「elabo」、「エラボ」が付されたヘアスプレーが少なくとも2021年ないし2023年4月間に販売されていたことが明白である。
2 乙第5号証及び乙第6号証について
商標権者の代表取締役及び執行役員常務の陳述書であり、それぞれに添付された写真に示すように、商標「e1abo」、「エラボ」を付したヘアスプレーが少なくとも2021年ないし2023年4月には、タマリス社を介して、あるいは直接にBIBI社及びその他の美容院などのお得意先に販売されたことを示している。
3 乙第7号証及び乙第8号証について
タマリス社の代表取締役及び同社販売営業本部長による陳述書であり、これにより同号証に添付された写真に示すように商標「e1abo」、「エラボ」を付したヘアスプレーを少なくとも2021年ないし2023年4月にタマリス社が商標権者より仕入れて、BIBI社や美容院などのお得意先に販売していたことが分かる。
4 乙第9号証ないし乙第11号証について
タマリス社代表取締役及び同社販売営業本部長、BIBI社代表取締役による証明書であり、乙第2号証ないし乙第4号証の出荷実績一覧、受注伝票、納品書と合わせると、乙第9号証ないし乙第11号証の写真に示すように商標「e1abo」、「エラボ」を付したヘアスプレーが少なくとも2021年ないし2023年4月には、商標権者によりタマリス社を経てBIBI社あるいは美容院などのお得意先に販売されたことが明らかである。
5 乙第12号証及び乙第14号証について
乙第12号証は、令和5年10月18日に「玉理化学エラボ」をGoogle検索した結果を、乙第13号証は、同月5日に「タマリスエラボ」をGoogle検索した結果を示す(なお、「TAMARIS/タマリス」は商標権者のハウスマーク(商標登録第536042号)である。)。
乙第14号証は、乙第13号証中に(1)ないし(5)(※審決注:丸括弧に数字は丸数字を表す。)の番号を付したものであり、玉理化学株式会社製で商標「elabo」「エラボ」を付した商品が多数掲載されており、本件審判請求の登録日までには既に本件商標が使用されていたことの証左となるものである。すなわち、審判請求の登録日以降に、これら大量の商品を製造し上記検索した日までに市場に出すことは物理的に不可能であるからである。
6 商標権者とタマリス社との関係(乙15、乙16)
商標権者の代表取締役は、タマリス社の代表取締役を兼任している。
また、商標権者は、「タマリス」及び「TAMARIS」の文字をハウスマークとして使用しており、このことは業界では著名であって、標章「TAMARIs/タマリス」につき、被請求人は指定商品を化粧品等として登録を受けている(登録第536042号)。
つまり、タマリス社の社名に含まれる「タマリス」の文字は商標権者のハウスマークでもあり、このことが、商標権者とタマリス社との営業の同一性を表すこととなっている。
こうした実態から、本件商標について、商標権者がタマリス社に黙示の通常使用権を許諾していると解される余地がある点を否定するものではないが、タマリス社は本件商標を使用した商品の販売(譲渡)先であり、商標権者とタマリス社との間で、本件商標についての使用許諾契約を締結した事実はない。
7 赤缶、緑缶の販売名と商品名について(乙17)
赤缶、緑缶の販売名は、乙1写真の第2葉目に写っている背面の中央部に記載されている「エラボ アンセンティッドヘアスプレー <エキストラ>」、「エラボ アンセンティッドヘアスプレー <ノーマル>」である。
赤缶、緑缶の商品名は、乙第4号証の「商品名 規格」欄に記載されている「エラボヘアスプレー エキストラ 200」、「エラボヘアスプレー ノーマル 200」である。
商標権者は、販売名を「エラボ アンセンティッドヘアスプレー <エキストラ>」とする赤缶の商品名を「エラボヘアスプレー エキストラ 200」として紐づけて管理し、販売名を「エラボ アンセンティッド ヘアスプレー <ノーマル>」とする緑缶の商品名を「エラボヘアスプレー ノーマル 200」として紐づけて管理している。
このことは、乙第17号証の第1葉目及び第2葉目のそれぞれの商品名欄、販売名欄の記載から明らかである。また、乙第17号証の第1葉目及び第2葉目のそれぞれの左上部の「登録日 2006.03.24」の記載から、こうした管理が、少なくとも2006年3月24日から行われていることも明らかなものと思料する。
付言すると、ヘアスプレー商品等を含む化粧品の分野では、容器への表示義務(薬機法第61条)のある販売名(名称)と、そうした義務のない商品名との使い分けは広く行われており、商標権者が上記のような使い分けを行っているのは、商品を販売する上で社内伝票等に使用できる商品名について文字数の制限があり、判別し易い名称にする必要がある、といった理由からである。
8 商標権者からタマリス社への赤缶、緑缶の販売(譲渡、出荷)(乙18)
(1)具体的な説明
商標権者はタマリス社に商品を販売(譲渡)する際、出荷案内(納品書)を発行する。
乙第18号証は、商標権者が「タマリス社 京都販売」に商品を販売(譲渡)した際に発行した出荷案内である。
同号証の「商品名/摘要」欄に「エラボヘアスプレー エキストラ 200」と記載されているのが赤缶の商品名であり、「エラボヘアスプレー ノーマル 200」と記載されているのが緑缶の商品名に該当するのは、上記したとおりである。
赤缶、緑缶は乙1写真等から明らかなように、ヘアスプレーであり、化粧品に該当するのは自明である。
乙第18号証の「商品名/摘要」欄に記載されている商品名「エラボヘアスプレー エキストラ 200」、「エラボヘアスプレー ノーマル 200」につき、それぞれ「エラボ」の文字に続く「ヘアスプレー」の文字は使用商品の一般名称を表しているにすぎず、識別力を発揮しない部分であって、先頭にあって特に目立っている「エラボ」の文字が独立した標識部分として看取されるものであるのは明らかであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることも自明である。
また、乙1写真の赤缶、緑缶の正面(前面)中央やや上側には、「e1abo」の文字が筆記体で右肩上がりに、かつ、他の文字よりもかなり大きなサイズで目立つように表されている。そして、上記「e1abo」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることも自明である。
さらに、乙1写真の赤缶、緑缶の背面中央には、販売名が「エラボ アンセンティッドヘアスプレー/<エキストラ>」、「エラボ アンセンティッドヘアスプレー/<ノーマル>」というように横書きで二段に表され、この販売名の上側には他の文字が連なっておらず、この販売名の下側には販売名を表す文字より細く小さな文字が並んでいるのであって、販売名が目立つように表されている。
そして、この販売名中の「エラボ」は、その後に続く「アンセンティッド」の文字との間にスペースが設けられているので他の文字と一体化していない上、上段かつ先頭にあるので特に目立っていることから、この文字が独立した標識部分として看取されるものであるのは明らかであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることも自明である。
乙第18号証の上部中央の「出荷案内」の文字のすぐ下の日付は出荷案内の発行日を示し、記載されている日付は、2021年1月27日、4月5日、8月27日、2022年1月26日、6月10日、12月6日、2023年1月7日ある。
乙第18号証の上部右側及び上部左側の記載より、「京都府京都市伏見区淀新町607」にある「玉理化学株式会社」(商標権者)から、「京都市中京区東堀川通り3条上ル1F」にあるタマリス社京都販売に出荷が行われたことが理解される。
(2)上記販売(譲渡)が商標法第2条第3項第2号に定める要件事実を満たすこと
上記(1)より、要証期間に日本国内で商標権者が請求に係る指定商品中「化粧品」に登録商標(社会通念上同一と認められる商標も含む)を付して譲渡若しくは引き渡しをしたことは明らかである。
すなわち、被請求人が主張する本件商標の使用行為は乙第18号証に示される販売(譲渡、出荷)であり、この販売(譲渡、出荷)は商標法第2条第3項第2号に定める要件事実を満たす。
9 商標権者による赤缶の製造(乙19、乙20)
(1)具体的な説明
商標権者は赤缶、緑缶の製造を株式会社ダイゾー(以下「ダイゾー社」という。)エアゾール事業部に外注委託している。
乙第19号証は、ダイゾー社が赤缶を商標権者に納品する際に発行した納品書である。
同号証の「品名」欄に記載されている「エラボアンセンティッドHS(エキストラ)」の文字列は、この文字列に含まれる「HS」が「ヘアスプレー(HAIRSPRAY)」の略称であり、つまりはこの文字列が赤缶の販売名「エラボ アンセンティッドヘアスプレー<エキストラ>」を指しているのは明らかである。なお、「エラボ アンセンティッドヘアスプレー<エキストラ>」が赤缶の販売名であることは、上記のとおりである。
赤缶は乙1写真等から明らかなようにヘアスプレーであり、化粧品に該当するのは自明である。
乙第19号証の「数量」欄の「5040」の記載から、赤缶が5,040本納品されたことが理解される。
乙1写真の赤缶の正面(前面)中央やや上側には、「e1abo」の文字が筆記体で右肩上がりに、かつ、他の文字よりもかなり大きなサイズで目立つように表されている。
そして、上記「e1abo」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることも自明である。
また、乙1写真の赤缶の背面中央には、販売名が「エラボ アンセンティッドヘアスプレー/<エキストラ>」というように横書きで2段に表され、この販売名の上側には他の文字が連なっておらず、この販売名の下側には販売名を表す文字より細く小さな文字が並んでいるのであって、販売名が目立つように表されている。
そして、この販売名中の「エラボ」は、その後に続く「アンセンティッド」の文字との間にスペースが設けられているので他の文字と一体化していない上、上段かつ先頭にあるので特に目立っていることから、この文字が独立した標識部分として看取されるものであるのは明らかであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることも自明である。
乙第19号証の上部中央の「納品書」の文字のすぐ下の日付は納品書の発行日を示し、実際に記載されている日付は22年9月30日であり、これが2022年9月30日を示すのは明らかである。
乙第19号証の上部右側及び上部左側の記載より、「大阪市港区福崎3丁目1番201号」にあるダイゾー社エアゾール事業部から、「京都府京都市伏見区淀新町607」にある商標権者に納品が行われたことが理解される。
乙第20号証は、乙第19号証と同時に、あるいはこれより少し前に発行されたと考えられる製造収支報告書である。
乙第20号証が乙第19号証に対応するものであることは、乙第20号証の「色名及びロット」欄に記載のロット番号である「VI28」が、乙第19号証の「備考」欄に記載されていること、乙第20号証の上から2段目に記載の製品名と乙第19号証の「品名」欄とに「エラボアンセンティッドHS(エキストラ)」と記載されていること、乙第20号証の「完成数」欄に記載の「5040」が、乙第19号証の「数量」欄に記載されていることから確認される。
乙第20号証の上部右側及び上部左側の記載より、ダイゾー社から商標権者に製造収支報告書が発行されたことが理解される。
(2)上記製造が商標法第2条第3項第1号に定める要件事実を満たすこと
上記(1)より、要証期間に日本国内で商標権者が請求に係る指定商品中「化粧品」に登録商標(社会通念上同一と認められる商標も含む)を付したことは明らかである。
すなわち、被請求人が主張する本件商標の使用行為は乙第19号証及び乙第20号証に示される製造であり、この製造は商標法第2条第3項第1号に定める要件事実を満たす。
10 その他
商標権者が乙1写真の赤缶、緑缶を製造販売していることは、乙1写真の第2葉目に表れている背面最下段に「玉理化学株式会社 京都市伏見区淀新町607」と記載されていること、乙1写真の第1葉目に表れている前面下部に商標権者のハウスマークである「TAMARIS」の文字が記載されていること、乙第17号証の「製造販売業者」欄に「玉理化学株式会社」と記載されていること、乙第14号証の1ないし5に示されるように、商標権者のハウスマークである「タマリス」や「TAMARIS」の文字が赤缶、緑缶の販売ページで多数使用されていることからも理解される。
また、乙第14号証の2の第1葉目には、赤缶の正面写真や、赤缶の販売名と実質的に同一といえる名称「エラボ アンセンテッドヘアスプレーエキストラ200g」が掲載されていて、同第2葉目の中央あたりの「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日:2012/10/23」の記載、及び、各ページの左上の「2023/10/05」の記載から、少なくとも赤缶が2012年10月23日から2023年10月5日まで継続して市場に流通していたことも明らかである。
実際、商標権者は、現在も、赤缶のみならず緑缶も製造販売を継続している。
このように、商標権者は、要証期間を含む長期間にわたって赤缶、緑缶を製造して市場に流通させている。
第4 当審の判断
1 請求人及び被請求人の提出に係る証拠並びに同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第2号証は、本件商標の商標登録原簿であるところ、権利者名として「玉理化学株式会社」及び住所の記載がある。
(2)乙第1号証の写真第1葉目は、2本のスプレー缶の表面であるところ、左側には赤色のスプレー缶(赤缶)が、右側には緑色のスプレー缶(緑缶)が写っており、赤缶の表面上部には、欧文字筆記体の「elabo」及び欧文字ゴシック体の「UNSCENTED HAIR SPRAY」を二段書きで右上がりに表し、その下方に「〈EXTRA〉」と記載されている。
また、緑缶の表面上部には、欧文字筆記体の「elabo」及び欧文字ゴシック体の「UNSCENTED HAIR SPRAY」を二段書きで右上がりに表し、その下方に「〈NORMAL〉」と記載されている。
さらに、赤缶及び緑缶の表面下部には「TAMARIS」等と記載されている。
同号証の写真第2葉目は、2本のスプレー缶の裏面であるところ、赤缶には、「エラボ アンセンティッド ヘアスプレー/〈エキストラ〉」(※審決注:「/」は二段書きを表す。)と記載されており、緑缶には、「エラボ アンセンティッド ヘアスプレー/〈ノーマル〉」(※審決注:「/」は二段書きを表す。)と記載されている。また、赤缶及び緑缶の裏面下部には「玉理化学株式会社」等と記載されている。
(3)乙第2号証は、「エラボスプレー2021年~2023年出荷実績一覧」をタイトルとする書証であり、「売上伝票日付」欄に「20230406」、「得意先名称」欄に「BIBI本店 店販用」、「商品コード」欄に「000052460」、「商品名1」欄に「エラボヘアスプレー エキストラ 200」とされる商品については売上数量として「2」の記載が、また、「売上伝票日付」欄に「20230406」、「得意先名称」欄に「BIBI本店 店販用」、「商品コード」欄に「000052461」、「商品名1」欄に「エラボヘアスプレー ノーマル 200」とされる商品については売上数量として「2」の記載がある。
(4)乙第3号証の第1葉目は、「受注日付 2023/04/06」、「得意先 BIBI本店 店販用」と記載された受注伝票とされるものであり、「商品」欄に「000052460」、「品名」欄に「エラボヘアスプレー エキストラ 200」とされる商品については数量「2」の記載が、また、「商品」欄に「000052461」、「品名」欄に「エラボヘアスプレー ノーマル 200」とされる商品については数量として「2」の記載がある。
(5)乙第4号証は、タマリス社から「BIBI本店 店販用」に宛てた「納品書」をタイトルとする書証であり、第1葉目は日付を「2023年04月06日」とし、「商品名 規格」欄に「000052460 エラボヘアスプレー エキストラ 200」とされる商品については数量として「2」の記載が、また、「商品名 規格」欄に「000052461 エラボヘアスプレー ノーマル 200」とされる商品については数量として「2」の記載がある。
(6)乙第14号証は、2023年(令和5年)10月5日を出力日とする楽天市場等のECサイトにおける商品の販売ページと認められるところ、表面に欧文字筆記体の「elabo」の文字が付された赤色のスプレー缶及び緑色のスプレー缶の写真と共に、「エラボ アンセンティッドヘアスプレー」、「ブランド:タマリス」等の記載がある。
(7)乙第17号証は「商品登録書」をタイトルとする書証であり、第1葉目には、「商品名 エラボヘアスプレー エキストラ 200」、「販売名 エラボ アンセンティッド ヘアスプレー〈エキストラ〉」、「製造販売業者 玉理化学株式会社」等の記載があり、第2葉目には、「商品名 エラボヘアスプレー ノーマル 200」、「販売名 エラボ アンセンティッド ヘアスプレー〈ノーマル〉」等の記載がある。
(8)乙第18号証は、2021年1月27日、同年4月5日、同年8月27日、2022年1月26日、同年6月10日、同年12月6日及び2023年1月7日に、「玉理化学株式会社」から「タマリス販売株式会社」に宛てた「出荷案内」をタイトルとする書証であり、「商品名/摘要」欄に「エラボヘアスプレー エキストラ 200」、「エラボヘアスプレー ノーマル 200」の記載がある。
2 判断
上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
本件商標の商標登録原簿に記載の権利者名及び住所は、乙第18号証の書証の作成者の名称及びその作成者の住所と一致するものであり、また、赤缶及び緑缶に記載の製造者の名称は、この権利者名及び作成者の名称と一致することからすれば、本件商標の使用者である玉理化学株式会社は、商標権者である。
(2)使用商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「エラボ」の片仮名を上段に、「ELABO」の欧文字を下段に二段に横書きしてなるものであるところ、「エラボ」の文字は、「ELABO」の読みを片仮名で表したものと理解されるから、本件商標全体からは「エラボ」の称呼を生じ、「エラボ」及び「ELABO」の文字は一般の辞書等に載録がない造語であることから、特定の観念は生じない。
他方、被請求人が本件商標について使用すると主張する商標は、赤缶及び緑缶の表面に表示された「elabo」、「UNSCENTED HAIR SPRAY」及び「<EXTRA>(<NORMAL>)」の欧文字(以下「使用商標1」という。別掲2。)及び裏面に表示された「エラボ アンセンティッド ヘアスプレー/<エキストラ>(<ノーマル>)」(※審決注:「/」は二段書きを表す。)の片仮名(以下「使用商標2」(別掲3)といい、使用商標1及び使用商標2をまとめて「使用商標」という。)である。
そして、使用商標の構成中「UNSCENTED HAIR SPRAY」及び「アンセンティッド ヘアスプレー」は「無香性のヘアスプレー」を意味し、また、「<EXTRA>(<NORMAL>)」及び「<エキストラ>(<ノーマル>)」は、「特別な(標準の)」を意味する語であり、それぞれ平易な英語(外来語)であることから、請求に係る指定商品中「化粧品」との関係においては、商品の品質を表す語といい得るものであり、識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであることから、使用商標においては、「elabo」及び「エラボ」の文字部分が識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえる。
してみれば、使用商標からはそれぞれの構成文字に相応して「エラボ」の称呼を生じ、「elabo」及び「エラボ」の文字は一般の辞書等に載録がない造語であることから、特定の観念は生じない。
そうすると、本件商標と使用商標とは、書体が異なるものの、いずれも「エラボ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼を生ずる商標)と認められる。
(3)使用商品について
赤缶及び緑缶(乙1)、商品登録書(乙17)及び出荷案内(乙18)に記載された「HAIR SPRAY」「ヘアスプレー」が表す商品「ヘアスプレー」は、請求に係る指定商品中の「化粧品」の範ちゅうに属するものである。
(4)使用行為について
商標権者である玉理化学株式会社は、商品名を「エラボヘアスプレー エキストラ 200」、販売名を「エラボ アンセンティッド ヘアスプレー<エキストラ>」とする商品及び商品名を「エラボヘアスプレー ノーマル 200」、販売名を「エラボ アンセンティッド ヘアスプレー<ノーマル>」とする商品を、それぞれタマリス社に販売した。
そして、このことは、2023年(令和5年)4月6日に、タマリス社は、商品コードを「000052460」とする商品「エラボヘアスプレー エキストラ 200」及び商品コード「000052461」とする商品「エラボヘアスプレー ノーマル 200」について、「BIBI本店 店販用」からの発注を受け、当該商品は同日にタマリス社からBIBI社に納品されたこと、また、要証期間から約3週間経過後のECサイト(乙14)において、タマリス社のものと推認し得るブランド「タマリス」から、乙第1号証における赤缶及び緑缶を包装とする商品写真と同一視し得る商品が多数掲載されていることからも裏付けられるところである。
そうすると、商標権者である玉理化学株式会社は、使用商標を包装に付した商品ヘアスプレーを、顧客(タマリス社)に販売(譲渡)したといえるから、商標権者による当該行為は、「商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当するとみるのが相当である。
(5)使用時期及び場所について
上記1(8)の出荷案内における日付は、いずれも要証期間内であり、また、当該出荷案内は、我が国の需要者に向けて作成されたことは明らかである。
(6)小括
上記(1)ないし(5)によれば、商標権者である玉理化学株式会社は、要証期間内に、日本国内において、請求に係る指定商品の範ちゅうに属する「ヘアスプレー」の包装に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡したと認めることができ、これは商標法第2条第3項第2号に該当する商標の使用ということができる。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていることを証明したといえる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-300603