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商標取消審判

2023-300280

ダントツ

審判番号
2023-300280
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2017-103412
登録番号
6045843
請求日
2023年05月02日
審決日
2024年02月27日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 三枝知財研究所
  • 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
  • 【被請求人】株式会社 みどり商会
  • 【被請求人代理人】弁理士法人高橋特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 大山 健
  • 審判官 山田 啓之
分類
T132 .1 -Y (W11)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第56条、特許法第135条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第2条第3項第2号、商標法第2条第3項第8号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6045843号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6045843号商標(以下「本件商標」という。)は、「暖突」の文字を標準文字で書してなり、平成29年8月7日に登録出願、第11類「小動物飼育用暖房器具,小動物飼育用暖房器具を除く暖冷房装置,家庭用小動物飼育用電気式暖房器具を除く家庭用電熱用品類」を指定商品として、同30年5月25日に設定登録され、その後、令和4年4月5日に商標権一部取消し審判の請求がされ、同年8月10日に、指定商品中、第11類「小動物飼育用暖房器具を除く暖冷房装置,家庭用小動物飼育用電気式暖房器具を除く家庭用電熱用品類」について取り消すべき旨の審決がなされ、同年9月20日に同審決が確定し、同年10月14日にその確定登録がなされたものである。 そして、本件審判請求の登録日は、令和5年6月8日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和2年(2020年)6月8日ないし同5年(2023年)6月7日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第11類「業務用小動物飼育用暖房器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求の理由 請求人が調査したところによると、本件商標はその指定商品中、第11類「業務用小動物飼育用暖房器具」について、商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見いだせない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない(甲2)。 したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録をその指定商品中、第11類「業務用小動物飼育用暖房器具」について取り消すとの審決を求める。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対して、令和5年10月6日付け弁駁書で、以下のとおり主張した。 (1)被請求人の主張は、「類似商品・役務審査基準」の誤った理解に基づき、商品概念について取引の実情を無視した自論を展開するものであり、失当というほかない。 また、被請求人の提出する証拠方法には、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって本件商標が使用されていることが何ら具体的に示されていない。 よって、本件審判の請求は適法であり、被請求人は、「業務用小動物飼育用暖房器具」について、本件商標の使用を立証していないから、商標法第50条第2項により、本件商標の登録の取消しを免れないものである。 以下、被請求人の主張に理由がないことを詳述する。 (2)本件審判の請求が不滴法であるとの被請求人の主張について 現在の「類似商品・役務審査基準」に掲載されている指定商品表示は、平成4年4月1日に国際分類に即した分類が我が国で施行されることになった際、当時の国際分類の「アルファベット順一覧」又は「旧類似商品審査基準(第6版)」に掲載の商品から一部を例示したものを基礎としており、現在の「類似商品・役務審査基準」は、あくまで指定商品・指定役務の一部を例示するにすぎず、全ての指定商品を網羅しているものではない。このことは「類似商品・役務審査基準」にも明記されている(1~16頁)。それゆえ、例えば特許情報プラットフォームで確認できる「浴室暖房乾燥機」(類似群コード:09E11 11A06 20A02)の指定商品表示は、「類似商品・役務審査基準」に掲載されていないものの、「家庭用浴室暖房乾燥機」(類似群コード:11A06 20A02)と「業務用浴室暖房乾燥機」(類似群コード:09E11)の両方の商品概念を包含するように(甲3)、「類似商品・役務審査基準」に掲載のない指定商品の「包括概念表示」も当然に存在する。よって、被請求人の解釈は「類似商品・役務審査基準」の誤った理解に基づくものであり、成り立つものではない。 ここで、「業務用」とは、法人(企業や学校、官公庁)など、一般家庭以外の用途を前提として開発された製品をいう(甲4)。また、「小動物飼育用暖房器具」は、用途が「小動物飼育用」であるものの、「暖房機器」の一種であり、「暖房機器」は、一般家庭などにおける限られた空間を暖めるための「家庭用暖房機器」と、大空間を効率よく暖めるための「業務用暖房機器」で商品が区別される(甲5)。そして、小動物を飼育するケージとしては、一般家庭に設置可能な大きさのケージのほかに、養鶏場や動物園などの特別な施設に設置されるような、一般家庭には設置不可能な巨大なケージが存在する(甲6の1、2)。そうすると、基本的に「小動物飼育用暖房器具」は、一般家庭に設置可能な大きさのケージなどの限られた空間を暖めるために使用される「家庭用小動物飼育用暖房器具」と、一般家庭には設置不可能な巨大なケージなどの大空間を効率よく暖めるために一般家庭以外で使用される「業務用小動物飼育用暖房器具」に分けられると考えるのが取引の実情に合致した正しい解釈である。実際、例えば、養鶏場や養鶏用ケージの大空間を効率よく暖める製品として商品が流通している(甲7の1、2)。そして、特許情報プラットフォームにおいて、本件商標の指定商品「小動物飼育用暖房器具」には、「家庭用暖冷房装置」に付与される類似群コード(11A06 20A02)と、「業務用暖冷房装置」に付与される類似群コード(09E11)の両方が付与されており、単一の類似群コードが付与されていないことからも、「小動物飼育用暖房器具」が「家庭用小動物飼育用暖房器具」と「業務用小動物飼育用暖房器具」の両方の商品概念を包含する指定商品表示であることは明らかである。更に付言すれば、被請求人は、もともと本件商標の指定商品として「家庭用小動物飼育用電気式暖房器具を除く家庭用電熱用品類」を指定しており、「小動物飼育用電気式暖房器具」を「家庭用」と「非家庭用(業務用)」に分けて認識していたのであるから、被請求人が「小動物飼育用暖房器具」は「業務用」と「非業務用(家庭用)」に分割されないと主張することは出願時の手続と矛盾し、禁反言の原則により許されない。 以上より、本件審判の請求は適法なものである。 (3)本件商標の使用が立証されるとの被請求人の主張について 以下、被請求人の提出した各証拠について述べる。 ア 乙第3号証、乙第4号証及び乙第6号証について 本件審判の請求の対象は、本件商標の指定商品中「業務用小動物飼育用暖房器具」であるところ、乙第3号証に写る商品の包装用化粧箱は、「Sサイズ」、「Mサイズ」、「ロングサイズ」、「Lサイズ」の4種類であり、一番大きい「Lサイズ」の包装用化粧箱の裏面には、「90cm水槽に最も効果的です。」との記載がある。そして、「90cm水槽」とは、横幅90cmの水槽の総称であって、一般的に普及している水槽サイズの中では中間のサイズに当たるため(甲8)、一般家庭に設置可能な大きさである。そのため、乙第3号証に「小動物飼育用暖房器具」の「包装」が写っているとしても、それは「家庭用小動物飼育用暖房器具」の包装にすぎず、「業務用小動物飼育用暖房器具」の包装とは認められない。また、乙第4号証の見開き頁には、「《暖突》は、四方がガラスまたはプラスチック製、上部が金網になっている、いわゆる爬虫類ケージに使用します。」との注意書きが赤字で大きく記載されており、通常、「爬虫類ケージ」は一般家庭に設置可能な大きさであることからも、被請求人の商品は「家庭用小動物飼育用暖房器具」、ひいては「家庭用爬虫類飼育用暖房器具」であると理解できる。 なお、被請求人は、乙第4号証の見開き頁の右下に記載された「202011」の数字が発行年月を示す旨を主張するが、当該数字が発行年月を示すことを客観的に認めるに足りる証拠は提出されておらず、乙第4号証が要証期間に発行されたものとは認められない。 イ 乙第5号証について 乙第5号証では、「暖突」の名称の商品(以下「暖突商品」という場合がある。)が、「Sサイズ」、「Mサイズ」、「ロングサイズ」、「Lサイズ」、「特大サイズ」の5種類で紹介されている。このうち、「Sサイズ」、「Mサイズ」、「ロングサイズ」、「Lサイズ」の暖突商品は、一般家庭に設置可能な大きさのケージ用の商品であり、「家庭用小動物飼育用暖房器具」に当たる。 また、乙第5号証には、「特大サイズ」の暖突商品の説明として「大型ケージが適当」との記載があるものの、具体的にどれほどの大きさのケージに対応するのかは不明である。この点、乙第5号証には、「特大サイズ」の暖突商品の大きさとして「2.1×40.0×60.5cm」との記載があるところ、養鶏場や動物園などに設置される巨大なケージの大空間に比して明らかに小さく、同じく乙第5号証に記載されている消費電力も「280W±10%」と少ないことから、「特大サイズ」の暖突商品が、業務用として大空間を効率よく暖めるに足りる暖房出力を有しているとは考えられない。この点、実際にユーザーからは、暖突商品を使用しても「ケージがあまり暖かくならない」との報告が販売店に届いており(甲9)、業務用として高い暖房出力を有する商品ではないことは明らかである。そのため、「特大サイズ」の暖突商品であっても、あくまで一般家庭に設置可能な大きさのケージ用の商品である。 加えて、乙第5号証には、被請求人の名称は記載されているものの、住所の記載は確認できず、日本全国に「株式会社みどり商会」の名称の法人が少なくとも5つ存在することから(甲10)、乙第5号証が被請求人による広告であることも確認できない。 ウ 乙第7号証の1ないし乙第7号証の5について 乙第7号証の1ないし乙第7号証の5に記載の暖突商品は、「Sサイズ」、「Mサイズ」、「ロングサイズ」、「Lサイズ」、「特大サイズ」の5種類で紹介されており、これらはいずれも「家庭用小動物飼育用暖房器具」である。 なお、乙第7号証の1ないし乙第7号証の4については、被請求人に関する情報として、「株式会社みどり商会」の名称しか記載されておらず、日本全国に「株式会社みどり商会」の名称の法人が少なくとも5つ存在することから(甲10)、それらが被請求人による広告であることも確認できない。 エ 乙第8号証の1ないし乙第10号証の4について 被請求人は、被請求人の製造販売に係る商品(以下「被請求人商品」という場合がある。)の販売先が一般家庭でないことから、被請求人商品が「業務用」として販売されたことを主張しているようであるが、一般家庭ではない事業者であっても一般家庭用の商品を購入することはあるため、販売先が一般家庭でないからといって、商品が業務用の商品であるとは限らない。そして、「業務用小動物飼育用暖房器具」とは、基本的に、一般家庭には設置不可能な巨大なケージなどの大空間を効率よく暖めるために一般家庭以外で使用される商品であるところ、実際に被請求人の商品がそのような大空間を効率よく暖める機能を有することは確認できない。また、乙第8号証の1ないし乙第10号証の4からは、本件商標が使用された商品を確認することができず、納品書控(乙8の1、乙9の1、乙10の1、3)には納品先の受領印がなく、納品書に対する受領書も提出されていないことから、実際に被請求人が商品を納品したことも確認できない。 ここで、商標法第50条の適用上、「商品」とは、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物をいうものと解されるところ(平成13年2月28日 東京高裁平成12年(行ケ)109号判決参照。)、被請求人が「業務用小動物飼育用暖房器具」を市場において商取引の対象として流通に供したことを示す証左はない。そうすると、存在しない商品に商標を使用するということはあり得ないため、本件商標を使用したとの請求人の主張は、前提を欠くことになり、認めることはできない。 オ 乙第11号証ないし乙第18号証について 被請求人が認めるとおり、乙第11号証ないし乙第18号証は、「非業務用」の商品に関する証拠である。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求人の主張に対する反論 第一に、本件審判の請求は、本件商標の指定商品には存在しない指定商品「業務用小動物飼育用暖房器具」についての取消しを求めるものであって、補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により却下されるべきである。 第二に、本件商標の指定商品「小動物飼育用暖房器具」が、「業務用小動物飼育用暖房器具」と「非業務用小動物飼育用暖房器具」に分割されるとしても、被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標を「業務用小動物飼育用暖房器具」について使用している。 以下、証拠とともに理由を述べる。 (1)本件審判の請求の不適法性について 商標登録原簿(乙2)に記載のとおり、本件商標の現在の指定商品は「小動物飼育用暖房器具」のみであって、請求人が取消しを求める「業務用小動物飼育用暖房器具」ではないこと明らかである。 被請求人商品は、爬虫類等の小動物の飼育用途に特化して開発したオリジナル商品である。 乙第3号証は被請求人商品の「包装用の化粧箱」の画像、乙第4号証は被請求人商品の「取扱説明書」、乙第5号証は「広告用チラシ」である。 上記「取扱説明書」(乙4)及び「広告用チラシ」(乙5)は、被請求人商品とともに、「包装用の化粧箱」(乙3)内に収納されるものである。 乙第3号証ないし乙第5号証に示すとおり、被請求人商品は、四方がガラス又はプラスチック製、上部が金網になっている、いわゆる爬虫類ゲージの上部金網の下面に、付属のネジで固定して使用するヒーターであり、強力に下方に広がるワイド暖房効果を発揮できるものである。 また、被請求人商品は、Sサイズから特大サイズまで多数の商品サイズを揃えることにより、「業務用」及び「非業務用」の区別なく汎用的に使用できるものである。 被請求人は、被請求人商品の上記用途、汎用性に鑑み、「類似商品・役務審査基準」に掲載されていない指定商品表示である「小動物飼育用暖房器具」を考案し、採択して、本件商標を出願し、登録したものである。 したがって、本件商標の指定商品「小動物飼育用暖房器具」は、「類似商品・役務審査基準」の掲載商品で認められている「包括概念表示」ではなく、最小単位の指定商品表示であって、「業務用小動物飼育用暖房器具」と「非業務用小動物飼育用暖房器具」に分割できるものではない。 してみれば、本件審判の請求は、本件商標の指定商品には存在しない指定商品「業務用小動物飼育用暖房器具」についての取消しを求めるものであって、補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により却下されるべきである。 (2)本件商標の使用について 被請求人は、要証期間に日本国内において、本件商標を指定商品「小動物飼育用暖房器具」に使用し、「業務用」及び「非業務用」に販売している。 ア 乙第3号証、乙第4号証及び乙第6号証 乙第3号証は、被請求人商品の「包装用の化粧箱」の画像、乙第4号証は被請求人商品とともに「包装用の化粧箱」内に収納される「取扱説明書」であり、乙第6号証は「包装用の化粧箱の製造業者(杉並紙業株式会社)からの請求書」の写しである。 「包装用の化粧箱」(乙3)には、被請求人商品の商品画像、本件商標と同一文字及び同一称呼であって社会通念上同一の「暖突」の表示、及び被請求人の名称や電話番号が表示されている。 「取扱説明書」(乙4)には、被請求人商品の商品画像、本件商標と同一文字及び同一称呼であって社会通念上同一の「暖突」の表示、及び被請求人の名称、住所、電話番号が表示されている。また、3頁の右下に発行年月(2020年11月)を示す数字「202011」が表示されており、要証期間に発行されたものである。 「包装用の化粧箱の製造業者(杉並紙業株式会社)からの請求書」(乙6)の発行日(令和2年7月31日~同5年1月31日)はいずれも要証期間であり、要証期間に被請求人商品の「包装用の化粧箱」の発注及び納品が多数回行われたことを示すものである。 なお、「請求書」(乙6)において、被請求人住所が「静岡県伊東市・・・」となっているが、これは営業所の住所であり、かかる事実は、「請求書」(乙6)中に記載された電話番号と、「取扱説明書」(乙4)中において営業所として記載された電話番号が一致していることから明らかである。 上記乙第3号証、乙第4号証及び乙第6号証により、要証期間において、被請求人が、指定商品「小動物飼育用暖房器具」の「包装(包装用の化粧箱)」に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことが立証される。 イ 乙第5号証 乙第5号証は、被請求人商品とともに「包装用の化粧箱」内に収納される「広告用チラシ」である。 「広告用チラシ」(乙5)には、被請求人商品の商品画像、本件商標と同一文字及び同一称呼であって社会通念上同一の「暖突」の表示、及び被請求人の名称が表示されている。 また、右下に、「すべて消費税別の価格となっております(令和4年2月現在)」及び「すべて消費税別の価格となっております(令和5年1月現在)」と表示されており、要証期間のものである。 上記乙第5号証により、要証期間において、被請求人が、指定商品「小動物飼育用暖房器具」の「広告(広告用チラシ)」に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布していたことが立証される。 ウ 乙第7号証の1ないし乙第7号証の5 乙第7号証の1ないし乙第7号証の5は、雑誌「ビバリウムガイド」に掲載した被請求人商品の広告の写しである。 雑誌「ビバリウムガイド」は、株式会社エムピージェーが発行する季刊(年4回発行)の爬虫類・両生類の飼育情報雑誌である。 乙第7号証の1ないし乙第7号証の5により、要証期間において、被請求人が、指定商品「小動物飼育用暖房器具」の「広告(雑誌掲載広告)」に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布したことが立証される。 エ 乙第8号証の1ないし乙第10号証の4 乙第8号証の1ないし乙第10号証の4は、本件商標が使用された被請求人商品が、要証期間に「業務用」として販売されたことを示すものである。 すなわち、乙第8号証の1は、東京都の動物輸入業者「浅田鳥獣貿易株式会社」に被請求人商品が販売されたことを示す「納品書」(要証期間の令和3年12月20日、令和4年12月19日)の写しであり、乙第8号証の2は、浅田鳥獣貿易株式会社のウェブページの写しである。 乙第8号証の2に記載のとおり、浅田鳥獣貿易株式会社は、「国内卸専門の動物輸入業者であり、一般のお客様への販売は行っていない」ことから、販売された被請求人商品は入荷及び飼育している小動物の暖房用に使用されるとみるのが自然であり、要証期間に、「業務用」として販売されたことを示すものである。 乙第9号証の1は、埼玉県のオリジナル水槽デザイン・製造会社「株式会社プレココーポレーション」に、被請求人商品が販売されたことを示す「納品書」(要証期間の2020年12月4日、2020年12月16日)の写しであり、乙第9号証の2は、株式会社プレココーポレーションのウェブページの写しである。 乙第9号証の2に記載のとおり、株式会社プレココーポレーションは、オフィス・店舗・自宅用にオリジナルの水槽を設計・製造・販売している会社であることから、販売された被請求人商品は、小動物飼育用のオリジナル水槽の構成部材等として使用されるとみるのが自然であり、要証期間に、「業務用」として販売されたことを示すものである。 乙第10号証の1は、東京都の飼育器具等の卸問屋「株式会社クロコ」に、被請求人商品が販売されたことを示す「納品書」(要証期間の令和4年12月9日)であり、乙第10号証の2は、株式会社クロコのウェブページの写しであり、乙第10号証の3は、卸問屋「株式会社クロコ」から北海道の動物園「ノースサファリサッポロ」に、被請求人商品が販売されたことを示す「納品書」(要証期間の2022年12月23日)であり、乙第10号証の4は、ノースサファリサッポロのウェブページの写しである。被請求人商品は、卸問屋である株式会社クロコを介して動物園「ノースサファリサッポロ」に販売されたものである。 乙第10号証の4に記載のとおり、ノースサファリサッポロは動物園であることから、被請求人商品は動物園で飼育している小動物の暖房用に使用されるとみるのが自然であり、要証期間に、「業務用」として販売されたことを示すものである。 オ 乙第11号証~乙第18号証 乙第11号証ないし乙第18号証は、本件商標が使用された被請求人商品が、要証期間に「非業務用」として販売されたことを示すものである。 カ 以上のとおり、乙第3号証ないし乙第7号証の5により、要証期間において、被請求人が、指定商品「小動物飼育用暖房器具」に本件商標を使用していたことが立証され、乙第8号証の1ないし乙第10号証の4により、要証期間において、本件商標が使用された被請求人商品が「業務用」として販売されていたことが立証され、乙第11号証ないし乙第18号証により、要証期間において、本件商標が使用された被請求人商品が、「非業務用」として販売されていたことが立証される。 2 むすび 以上のとおり、本件審判の請求は、本件商標の指定商品に存在しない指定商品「業務用小動物飼育用暖房器具」についての取消しを求めるものであって、補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により却下されるべきである。 また、本件商標の指定商品「小動物飼育用暖房器具」が、「業務用小動物飼育用暖房器具」と「非業務用小動物飼育用暖房器具」とに分割されるとしても、被請求人は、要証期間において、本件商標を「業務用小動物飼育用暖房器具」について使用している。 第4 当審の判断 1 本件審判の請求に係る指定商品について 被請求人は、本件審判の請求は、本件商標の指定商品に存在しない指定商品「業務用小動物飼育用暖房器具」についての取消しを求めるものであって、補正をすることができないものであるから、商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により却下されるべきである旨を主張する。 ところで、「取消審判請求の審理の対象たる指定商品の範囲は、設定登録において表示された指定商品の記載に基づいて決められるのではなく、審判請求人が取消しを求めた審判請求書の「請求の趣旨」の記載に基づいて決められる」(知財高裁平成19年(行ケ)第10084号同年6月27日判決)。 そこで、本件審判の請求に係る指定商品について検討するに、器具や装置を、用途に応じて「家庭用」と「業務用」とに分けることは広く一般的に行われているところ、本件商標の指定商品である「小動物飼育用暖房器具」についても、観念上、その想定される用途によって「家庭用」と「業務用」とに分けることが可能であるから、指定商品「小動物飼育用暖房器具」には「業務用小動物飼育用暖房器具」が含まれると認められる。 そうすると、たとえ本件商標の指定商品が「小動物飼育用暖房器具」であるとしても、その指定商品には「業務用小動物飼育用暖房器具」が含まれるというべきであるから、「業務用小動物飼育用暖房器具」についての取消しを請求する本件審判が不適法であるということはできず、本件審判の請求を却下すべき理由はない。 2 本件商標の使用について (1)被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 商品「暖突」(Lサイズ)の包装の画像(乙3) 乙第3号証は、商品「暖突」の包装を写した画像であり、その1葉目の画像の右側には、商品「暖突」(Lサイズ)の包装の表面が写っており、2葉目の画像の右側には、同商品の包装の裏面が写っている。 そして、画像(乙3の1葉目)から、商品「暖突」(Lサイズ)の包装は薄型の直方体形状であり、その表面に、「Lサイズ」、「輻射型遠赤外線上部用ヒーター」、「強力に下方へ広がるワイド暖房」、「「ライトに巻き付きヤケドの恐れがある蛇やトカゲのためのヒーター」です。」などの記載及び蛇やトカゲなどが入った水槽の上部に設置し、熱を下方に放射する薄型のヒーターの挿絵とともに、「暖突/だんとつ」の表示(別掲1)が確認でき、側面にも、「輻射型遠赤外線上部用ヒーター 暖突 だんとつ」の表示がある。 また、画像(乙3の2葉目)から、商品「暖突」(Lサイズ)の包装の裏面の右下には、「57ワット/Lサイズ」、「発売元(株)みどり商会」の記載があり、中央には、「暖突の不思議」、「暖突57W(Lサイズ)は保温球の3倍程度の熱量を有していますので90cm水槽に最も効果的です。」などの記載がある。 イ 商品「暖突」の取扱説明書(乙4) 乙第4号証は、商品「暖突」の取扱説明書であり、その表紙には、「強力に下方へ広がるワイド暖房」、「輻射型遠赤外線上部用ヒーター」、「取扱説明書 保証書付」、「このたびは、みどり商会の<だんとつ/暖突>をお買い上げいただき、誠にありがとうございました。」、「なお、この取扱説明書には保証書がついておりますので、大切に保管してください。」及び「(株)みどり商会」などの記載とともに、「暖突/だんとつ」の表示(別掲2)がある。 また、裏表紙には、「保証書」と記載された枠内に、「品名 暖突(だんとつ)」及び「保証期間 お買い上げより6ヶ月」などの記載があり、その下に、「【発売・サポート元】(株)みどり商会」、「東京都練馬区南大泉・・・」の記載がある。 さらに、見開きには、「使用上のご注意」、「<必ずお守りください>」などの記載があり、右下には、「202011」の記載がある。 ウ 株式会社クロコ宛て納品書の控え(乙10の1、2、乙11) 乙第10号証の1、並びに乙第11号証の1葉目上部、3葉目下部、5葉目上部及び5葉目下部には、被請求人が株式会社クロコに宛てた納品書(控)の写しが写っている。 これらの納品書(控)から、被請求人が、株式会社クロコに、商品「暖突」(Lサイズ)を、令和4年(2022年)12月9日に15個84,600円で、2021年1月5日に30個169,200円で、令和3年(2021年)1月17日に75個423,000円で、2021年2月16日に30個169,200円で、同月19日に30個169,200円で販売し納品したといえる。 そして、乙第10号証の2は株式会社クロコのウェブサイトの写しであり、その2葉目には、株式会社クロコが「世界の様々な熱帯魚、水草、金魚、爬虫類及び飼育器具を販売する総合鑑賞魚卸問屋」であり、用品部門で、鑑賞魚に限らず爬虫類や小動物までを網羅した約20000を超えるアイテムを取り揃えていることが記載されている。 エ 商品「暖突」の用途を示す証拠(乙10の3、4) 乙第10号証の3は、株式会社クロコが、ノースサファリサッポロに宛てた、2022年12月23日付け納品書の写しであり、「品名」「数量」の項目に、「品名 上部ヒーター 暖突(ダントツ)L R5.1~」「数量 6」の記載がある。 また、乙第10号証の4は、ノースサファリサッポロのウェブサイトの出力物であり、その1葉目には「体験型ふれあい動物園【ノースサファリサッポロ】」などの記載があり、その2葉目には、「毎日のイベントスケジュール」のタイトル下に、「ワニの抱っこ体験」、「ヘビの首巻」、「アヒルのレース」などの記載がある。 (2)上記(1)から、以下の事項が理解できる。 ア 商品「暖突」(Lサイズ)(以下「使用商品」という。)は、蛇やトカゲなどのための水槽上部設置用の輻射型遠赤外線ヒーターであり、被請求人は、この使用商品を製造販売しており、これを、2021年から2022年にかけて、飼育器具などを販売する卸問屋である株式会社クロコに、少なくとも計5回にわたって180個販売し、引き渡した。 イ 使用商品(商品「暖突」(Lサイズ))は、「暖突/だんとつ」の文字からなる商標(別掲1。以下「使用商標1」という。)を付した薄型の直方体形状の包装(乙3)に収納されて、顧客に販売されるものである。 そして、保証書や使用上の注意書きが記載された取扱説明書は、当然に商品とともに購入者に引き渡されるものであるから、「暖突/だんとつ」の文字からなる商標(別掲2。以下「使用商標2」という。)が付された取扱説明書(乙4)についても、使用商品の包装内に、使用商品とともに収納されて、購入者に引き渡されたと理解できる。 ウ 使用商品(商品「暖突」(Lサイズ))は、小動物を対象とした「ヘビの首巻」などの体験型イベントを実施する動物園でも使用されるものである。 (3)上記(1)及び(2)によれば、以下のとおり判断できる。 ア 使用商品について 使用商品(商品「暖突」(Lサイズ))は、蛇やトカゲなどのための水槽上部設置用の輻射型遠赤外線ヒーターであり、動物園(ノースサファリサッポロ)でも使用されるものであるから、本件審判の請求に係る指定商品である「業務用小動物飼育用暖房器具」の範ちゅうに属する商品であるということができる。 請求人は、小動物を飼育するケージとしては、一般家庭に設置可能な大きさのケージのほかに、養鶏場や動物園などの特別な施設に設置されるような、一般家庭には設置不可能な巨大なケージが存在する(甲6の1、2)ことを論拠として、使用商品は家庭用の商品である旨主張する。 しかしながら、上述したとおり、使用商品(商品「暖突」(Lサイズ))は、動物園(ノースサファリサッポロ)でも使用されるもの、すなわち一般家庭以外の小動物の飼育環境でも使用されるものであるから、「業務用小動物飼育用暖房器具」の範ちゅうに属する商品であるといえる。 また、請求人は、一般家庭ではない事業者であっても一般家庭用の商品を購入することはあるため、販売先が一般家庭でないからといって、商品が業務用の商品であるとは限らないとか、納品書控には納品先の受領印がなく、納品書に対する受領書も提出されていないことから、実際に被請求人が商品を納品したことは確認できないとか主張するが、ノースサファリサッポロは、「ヘビの首巻」などの体験型イベントを実施する動物園であり(乙10の4)、ヘビなどの小動物の飼育がされていることは明らかであるから、使用商品が動物園(ノースサファリサッポロ)内で使用されると考えるのが自然であるし、株式会社クロコがノースサファリサッポロに宛てた納品書(乙10の3)に納品先の受領印がないとしても、株式会社クロコが飼育器具を販売する卸問屋で、小動物までを網羅した約20000を超えるアイテムを取り揃えていること(乙10の2)や、ノースサファリサッポロでヘビ、ワニ、アヒルなどの小動物の飼育がされていること(乙10の4)、さらには使用商品が「ライトに巻き付きヤケドの恐れがある蛇やトカゲのためのヒーター」であることを宣伝文句としていること(乙3)などを総合すれば、株式会社クロコが使用商品(商品「暖突」(Lサイズ))をノースサファリサッポロに販売し、使用商品がノースサファリサッポロ内で使用されたと解して差し支えない。 イ 使用商標について 使用商標1及び使用商標2(別掲1、2)において、下段の「だんとつ」は上段の漢字「暖突」の読みを記載したものといえるところ、使用商標1及び使用商標2は、本件商標と、「暖突」の文字部分で共通するから、社会通念上同一の商標であるといえる。 ウ 使用行為、使用時期、使用者について 上述のとおり、被請求人は、使用商品(商品「暖突」(Lサイズ))を、要証期間である2021年から2022年にかけて、株式会社クロコに、少なくとも計5回にわたって180個販売し、引き渡したといえるところ、使用商品は、本件商標と社会通念上同一の使用商標1が付された薄型の直方体形状の包装(乙3)に収納されて引き渡された(商標法第2条第3項第2号に該当。)といえるから、商標権者が、使用商品の包装に、本件商標と社会通念上同一の使用商標1を付して、要証期間に、株式会社クロコに引き渡して、商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為を行ったと認められる。 さらに、その引き渡しの際に、使用商品の包装内に、本件商標と社会通念上同一の使用商標2を付した取扱説明書(乙4)を使用商品とともに収納して、株式会社クロコに引き渡した、すなわち使用商標2を付した取引書類を頒布した(商標法第2条第3項第8号に該当。)といえるから、商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったともいえる。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判の請求に係る指定商品(第11類「業務用小動物飼育用暖房器具」)について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-300280

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