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商標取消審判

2020-300912

ハイドラフェイシャル、ハイドラフェーシャル、ヒドラフェーシャル、ハイドラ、ヒドラ、フェーシャル

審判番号
2020-300912
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2016-070612
登録番号
5913254
請求日
2020年12月16日
審決日
2022年11月18日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】エッジ システムズ エルエルシー
  • 【請求人代理人】矢口 太郎
  • 【被請求人】株式会社 WAARMラボラトリー
  • 【被請求人代理人】岡田 英夫
  • 【被請求人代理人】上原 孝太
  • 【被請求人代理人】杉浦 達也
審判長/審判官
  • 審判長 小松 里美
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 小林 裕子
分類
T131 .1 -Z (W1144)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法2条3項商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項、商標法第50条、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5913254号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5913254号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5913254号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「Hydra Facial」の欧文字及び「ハイドラフェイシャル」の片仮名を二段に表してなり、平成28年6月29日に登録出願、第11類「業務用電気式美容機械器具」及び第44類「美容,理容,マッサージ」を指定商品及び指定役務として、同29年1月13日に設定登録されたものであり、その後、令和3年4月12日を受付日として権利者の住所を「東京都渋谷区広尾5-1-40」から「東京都渋谷区神宮前3-38-14 アンジェラ神宮前1階」とする、登録名義人の表示の変更が登録されている。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年1月7日である。 なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年(2018年)1月7日ないし令和3年(2021年)1月6日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。 1 請求の理由 請求人の調査によれば、本件商標が、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件取消請求に係る指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において使用されていないことは明らかであり、その不使用について正当な理由も存在しないため、商標法第50条の規定によって取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙第1号証及び乙第3号証は、被請求人が要証期間に本件商標を使用していたことを立証するものではない 商標法第50条第2項によれば、要証期間に本件商標の使用をしていたことの立証責任は、被請求人にある。被請求人は、乙第1号証のパンフレット及び乙第3号証のウェブページを示し本審判請求時に登録商標を使用していたと主張しているが、乙第1号証にはその公開日付に関する情報が含まれておらず、乙第3号証は令和3年3月26日に印刷したと判別できるが、公開日付に関する情報が示されていない。したがって、乙第1号証及び乙第3号証はいずれも要証期間における登録商標の使用を証明するものではない。 なお、請求人の調査によれば、本審判請求時に被請求人が公開していた当該登録商標の使用に係る被請求人商品を示すウェブページ(以下「旧ページ」という。)(甲2)は、被請求人が乙第3号証で示したもの(以下「新ページ」という。)とは異なるものであった。旧ページのURLアドレスは「https://waarm-lab.com/product/aquaella」であったが、現在このURLアドレスにアクセスすると自動的に新ページ(URLアドレス:https://waarm-lab.com/product/aquaella2)にリダイレクトされ、乙第3号証に示す表示がされるようになっており、旧ページを表示することはできない。 旧ページと新ページとを比較すると、旧ページでは、新ページにおいて「Hydra Facial」と表示されている位置に「Keana clean peel」(毛穴クリーンピール)と表示されていたものであり、被請求人は何らかの理由で旧表記である「Keana clean peel」を新表記である「Hydra Facial」に変更したことは明らかである。また、ウェブ上を検索しても、審判請求前に公開されていたウェブページとして検索結果に表示されるのは、「Hydra Facial」の代わりに「Keana c1ean peel」若しくは「毛穴クリーンピール」の語を使用しているものばかりであり、乙第1号証や乙第3号証のような表示のものを見つけることはできない。 (2)乙第2号証は、本件商標を指定商品又は指定役務について使用することを証明するものではない ア 乙第2号証の広告文における登録商標の使用態様は、他人の登録商標を参照する記述的使用にとどまる。 乙第2号証に係る雑誌「自費研Plus」は、自費診療・経営に関する様々な情報を提供する、医師及び歯科医師を含む医療従事者を対象にした情報誌である。ここで被請求人が示した広告文においては、「ハイドラフェイシャル」という語は登録商標を示す(R)マーク(審決注:(R)は〇で囲まれた「R」を表す。以下同じ。)とともに使用されているが、「ハリウッドセレブから火が付いた」との枕詞と一緒に使用されていることから、米国における他人の登録商標を示しているものと解釈するのが妥当である。一般に、文章中において登録商標を使用する場合には、それが一般名称であるとの誤解を与えることを避けるために、例えば「ウィンドウズ(R)」や「ウィンドウズ(登録商標)」等というように、登録商標であることを示す注記を付けることは常識であるから、登録商標を示す(R)マークがついていたからといって、上記広告文に接した読者や取引需要者は必ずしも被請求人の商標とは考えない。 なお、この広告に係る商品の取引需要者は美容医療に携わる「医師」や「歯科医師」その他の医療関係者であると想定できるところ、医師や歯科医師が執筆する医療論文を掲載する医学専門雑誌のほとんどで「投稿規定」中で上記のような登録商標の注記を求めており、これらの医療従事者は上記の(R)マークを理解する意識が一般的消費者よりもかなり高いと考えることができる。 また、当時から「ハイドラフェイシャル」は広く知られていたこと(被請求人自身が「ハリウッドセレブから火が付いた」と述べ、「ハイドラフェイシャル(R)」が有名であることを自認しアピールしている。)からすると、この広告文に接した美容医療関係者は米国での当該「ハイドラフェイシャル(R)」の施術法を知っているべきと考えることができ、当該米国登録商標に係るサービスが被請求人とは異なる他人により提供されていると認識していたと解することが妥当である。 さらに、参考情報であるが、乙第2号証に示された「ハリウッドセレブから火が付いたハイドラフェイシャル(R)」の米国における商標権者は、請求人本人である。請求人による米国での商標登録の事実、及び使用の実績を明らかにするために参考資料を提出する(甲3~甲5)。被請求人は、米国における「HydraFacial」の商標権者が請求人であること、あるいは少なくとも自社(被請求人)ではないことを承知の上で上記広告の記載をしているものと推察される。 したがって、乙第2号証に示す本件商標の使用は、他人の登録商標を参照する記述的使用にとどまるものであり、商標法第50条第1項に規定する本件商標の使用には当たらないものである。 イ 乙第2号証に示された広告文によれば、「ハイドラフェイシャル」は、美容医療サービスに関連して使用されているものであり、本件商標に係る指定商品・指定役務に関連して使用されたものではない。 上述したように、乙第2号証に示される広告文における「ハイドラフェイシャル(R)」は、米国で有名な美容医療施術であることをアピールするために使用しているのである。美容医療施術は、医療サービスに属するものであるから、本件商標の指定商品である第11類「美容機械器具」について使用されたものではない。そして、乙第2号証が医療業関係者向けの雑誌であることを考えれば、上記広告における「ハイドラフェイシャル(R)」の使用は、本件商標の指定役務である第44類「美容」についての使用でもない。 したがって、乙第2号証に示す本件商標の使用は、美容医療サービスに関連する使用を示すものであり、本件商標に係る指定商品・指定役務について使用されたものではない。 (3)結語 被請求人は、本件商標の登録を得ながらも、登録から3年以上の間、何らかの理由で本件商標そのものを指定商品若しくはサービスを表示する商標的な使用態様で使用するのは問題があると考え、被請求人の商品名自体はあくまでも「アクアエラ」(乙1~乙3)とし、この「アクアエラ」を宣伝若しくは説明する中で、米国で有名な施術法である「ハイドラフェイシャル」に言及するという方策をとるとともに、自己の商品を用いた施術方法については「Keana clean peel/毛穴クリーンピール」(甲2)と表示してきたものと推察される。被請求人が示した証拠はいずれも、要証期間における本件商標の指定商品及び指定役務の使用を立証するものではない。 3 口頭審理陳述要領書(令和4年3月10日付け) (1)乙第4号証ないし乙第6号証について 乙第4号証ないし乙第6号証は、乙第1号証のパンフレットの発行日や配布の事実を立証するために提出されたものであるが、乙第1号証のパンフレットと新たに提出された乙第4号証及び乙第5号証に示されたパンフレットは同一ではない。このことは、乙第1号証(第4頁)に示された機械のフロントパネルは白色であるのに対して、乙第4号証及び乙第5号証に示された機械のフロントパネルは黒色であることからも明らかである。他にも、両パンフレットに表示されている被請求人の住所も、乙第1号証に表示のもの(乙1の最終頁【本社】の欄)は被請求人の2020年12月21日以降の新住所(甲6)であるのに対して、乙第4号証及び乙第5号証に表示されたものは旧住所であり、かつそれらの表示位置も互いに異なる。したがって、乙第4号証及び乙第5号証は、乙第1号証に関する証拠たり得ない。 乙第4号証及び乙第5号証に示されるのは、アドビ社のグラフィックソフトウェア「イラストレータ2022」で開かれた「表紙OL2017.ai」の内容と、この「表紙OL2017.ai」の最終更新日「2017年6月20日」である。乙第6号証に示されるのは被請求人がパンフレットや取扱説明書などの印刷を依頼したことを示す印刷発注履歴である。 しかしながら、「表紙OL2017.ai」の最終更新日「2017年6月20日」は、要証期間外であり(乙4、乙5)、かつ、乙第6号証を参照しても当該「表紙OL2017.ai」が実際に印刷業者に発注されたかや、実際に配布したかの事実は確認することができない。さらに、乙第4号証中の「最後に開いた日」の項目を参照すると、「表紙OL2017.ai」を最後に開いたのは「2022年2月8日」であるところ、「イラストレータ」中当該「表紙OL2017.ai」のファイル名が表示されたタブには、ファイル名の後にアスタリスクマーク「*」が「表紙OL2017.ai*」のように表示されており、現在編集中であり保存されていないものであることが明らかである。乙第4号証において、被請求人が、当該ファイルのどの部分を修正中なのかは定かではないが、このファイルが「2022年2月8日」以降に修正され保存されていないことが明らかである以上、乙第4号証及び乙第5号証は「表紙OL2017.ai」の内容が「2017年6月20日」に保存されたものと同一であることを証明するものではない。 なお、乙第4号証及び乙第5号証に示された当該「表紙OL2017.ai」は、「AQUA ELLA」の上に「Hydra Facial」の表示があるが、この「Hydra Facial」の付されたパンフレットは、乙第1号証の白色の機械のパンフレット以前には確認できていない。むしろ、要証期間後の2021年3月に新規開業しその際に被請求人の機械を導入した個人サロンのオーナー(甲7の1)がインスタグラムにアップロードしたパンフレットの写真(甲7の2)を見ると、2021年3月に個人サロンを開いた個人オーナーによる製品の販売に「Keana clean peel」の文字が入ったパンフレットが使用されていたことは明らかである。このため、乙第4号証及び乙第5号証の「Hydra Facial」の表示については元のファイルには「Keana Clean Peel」とあったものを被請求人は陳述要領書の提出に合わせて修正したのではないかという疑義が生じる。 以上より、乙第4号証ないし乙第6号証は、乙第1号証のパンフレットの発行日や配布の事実を立証するものではない。 (2)乙第7号証について 乙第7号証は、乙第3号証のウェブサイト(URLアドレス:https://waarm-lab.com/product/aquaella2/)が要証期間に存在していたことを示すために提出されたものであり、被請求人は「_index.php20180227」というファイルとその保存日「2017年1月30日」を示して、乙第3号証に示すホームページが2017年1月30日ないし2018年2月27日の間に存在していたことを示すが、乙第3号証のウェブサイトに示される被請求人の住所が2020年12月末に引っ越した新住所であることから、乙第3号証が2017年1月30日ないし2018年2月27日の間に存在していたことはあり得ない。むしろ、乙第7号証のファイルシステムに示される親フォルダ名が「aquaella」であることに鑑みれば、当該ウェブサイトは、甲第2号証に示した被請求人の旧ウェブサイト(URLアドレス:https://waarm-lab.com/product/aquaella)である可能性が高い。 被請求人は、乙第7号証によれば、「-index.php20180227」のファイル名に含まれる「20180227」の文字列をもって、当該ファイルが2018年2月27日まで公開されていたと主張するが、ファイル名は、ファイルの保存日を更新することなく後から自由に変更することができる情報であり、日付としての証拠力はない。また、乙第7号証中、「aquaella」のフォルダの日付が「今日」となっており、これは、当該ファイルに何らかの変更、例えば、ファイル名の変更がなされたことを示している。さらに、乙第7号証に示される「ae1.png」などの画像ファイルについて、画像のサイズが小さくて詳細は判別することはできないが、「ae1.png」のサムネイル(乙7)からは、辛うじて黒色の機械が確認されるので、甲第2号証に示される最初のイメージと同一であると思われる。少なくとも、乙第3号証には似たような画像ファイルは含まれていない。そうすると、このファイルには「Hydra Facial」の語は含まれておらず、代わりに「Keana clean peel」が表示されていると思われる。 (3)乙第8号証について 乙第8号証は、被請求人商品の売買契約書であるが、登録商標がどこにも表示されていない。 (4)乙第9号証について 乙第9号証は、e-mailの日付から明らかに要証期間外の広告に関するものであり、証拠たり得ない。 4 上申書(令和4年5月6日付け) (1)乙第1号証のパンフレットについて 被請求人は、乙第6号証中、乙第1号証(パンフレット)の印刷発注がなされた箇所についての指摘を行っているが、指摘した印刷発注のほとんどが要証期間外のものである上に、かかる指摘のみでは各印刷発注に使用されたファイルが乙第1号証のパンフレットに対応するものであるかが不明である。例えば、被請求人は「ポスター」の表示を配布方法などと主張するが、乙第6号証によれば「ポスター」のサイズはA2と記載されておりパンフレットのサイズに対応しない。また、「取説」の表示もパンフレットではなく取扱説明書であると推察される。また、そもそも、印刷発注した事実のみでは、乙第1号証のパンフレットが要証期間に実際に配布されたことの立証にはなり得ない。また、乙第8号証の売買契約書(口頭審理調書中の項目7)について、取引された商品がパンフレットに掲載された商品であることに関する釈明はない。 (2)乙第3号証のウェブページについて 乙第3号証のウェブページが要証期間に存在していたことについて一切釈明がない。 (3)新たな証拠及び主張について 新たな証拠をみると、「アクアエラ」(被請求人の実際の商品名)に係る商品を「顧客に説明し、取引を行い、顧客に渡していたこと」はうかがえるが、要証期間に被請求人が「登録商標を付した商品」を扱っていたこと自体の立証がされていない。 ア 乙第10号証ないし乙第12号証について 乙第10号証ないし乙第12号証は、被請求人ではない第三者のウェブページであり、かつ、いつから公開されていたか不明である。 イ 乙第13号証について 乙第13号証のビデオは、ビデオのタイトルに「ハイドラフェイシャル」と記載されているのみであり、ビデオ中には「ハイドラフェイシャル」を指定商品又は指定役務に使用していたことを示す内容が一切含まれていない。また、当該ビデオの公開日は要証期間外であり、かつ、ビデオのタイトルの変更はビデオの公開日後に自由に修正できるものであるにもかかわらず、いつこのタイトルが設定されたかの立証がない。 ウ 乙第14号証について 乙第14号証の前半は、被請求人の顧客のホームページを示すことによって、被請求人が登録商標を付した商品を顧客に販売していたことを立証しようとするものと思料するが、そもそも、乙第1号証のパンフレット及び乙第3号証のウェブページにおける要証期間の登録商標の使用が立証されていないので、仮に販売の際に「ハイドラフェイシャル」の語を使用していたとしても、商標法第2条第3項各号に定める登録商標の使用には該当しないことは明らかであり、さらに、乙第14号証に示された各種資料の作成日のほとんどは要証期間外である。 エ 乙第15号証について 乙第15号証は、顧客に対するアンケートであるが、アンケート中の各質問が商標法第2条第3項に規定された使用にどのように対応するのか不明であり、各顧客が質問の趣旨を理解して回答しているかも疑わしい。請求人はアンケートに含まれる顧客のホームページ等を確認したが、中にはアクセスできないものが含まれており(mako.infoやインスタグラムのアカウント@mako)、それらがいつから公開されていたかも不明である。したがって、当該アンケートによる使用の調査は信頼に足るものとはいえない。 オ 乙第16号証について 乙第16号証は、乙第15号証にアンケートを行った顧客との商品売買契約書であるが、商品に登録商標が付されていることが立証されておらず、当該商品の販売は使用に該当しない。 カ 乙第17号証について 乙第17号証は、被請求人と第三者との間の電子メール通信の内容を示すが、要証期間外のものであり、また、被請求人の商品「アクアエラ」に関するやりとりであるが、商品に登録商標が付されていることが立証されていない上、商標法第2条第3項各号に定める「使用」の定義にどのように合致するのか主張がなされていない。 キ 乙第18号証について 乙第18号証は、被請求人と第三者との間の「ライン」通信の内容を示すが、当該通信における使用が商標法第2条第3項各号に定める「使用」の定義にどのように合致するのか主張がなく、また、上述したように、取引に係る商品に登録商標が付されていないことは明らかである。 ク 乙第19号証について 乙第19号証は、ユーザのインスタグラム投稿を示すが、どのような事実を立証しようとしているのか不明であるし、インスタグラムにおいて第三者が「ハイドラフェイシャル」の語句を単に使用することは「使用」に該当しない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、審判答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第19号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。 1 被請求人の主張 (1)被請求人による本件商標使用の事実 被請求人は、エステ器具を販売等する会社であり、「Hydra Facial AQUA ELLA」として実際に商品を販売し(乙1)、本件商標について「「ハイドラフェイシャル(R)」の施術を行える機械です。」と、被請求人の商品の広告を行っていた(乙2)。加えて、被請求人のホームページ上に、商品の販売に際し、本件商標の記載がされている(乙3)。 (2)被請求人が本件商標を本審判請求時に使用している事実 被請求人は、商品パンフレットが示すとおり(乙1)、本審判請求時点において本件商標を使用して商品を販売している。 (3)被請求人による本件商標使用の期間 被請求人は、本件商標の登録後、本件商標を使用し続けていたことは、2018年5月発行の広告(乙2の1)、2019年6月発行の広告(乙2の2)及びそれ以後の広告(乙2の3~8)が示すとおりである。 (4)指定商品及び指定役務に関する使用であること 被請求人による前述の本件商標の使用は、業務用美容機械器具に関するものであるため(乙1、乙2)、指定商品及び指定役務に関する使用がされていることは明らかである。 (5)使用方法の問題もないこと 被請求人による本件商標の使用は、商標法第2条第3項第1号、同項第2号、同項第8号等に定める行為に該当するため、登録商標の使用方法として問題となるものではない。また、商標登録取消事由か否かで問題となる商標権の使用とは、当該商品がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではない(知財高裁平成27年11月26日判決)。被請求人による本件での本件商標の使用方法は、出所表示機能を果たす態様で使用されているものであるが、仮にこの点を別にしても商標法第50条1項にいう使用の方法として問題とならないことは明らかである。 よって本件商標の使用方法は、商標登録取消事由に当たる不使用と評価されるものではない。 2 口頭審理陳述要領書(2022年(令和4年)2月25日付け) (1)本件商標使用の事実 ア 商品パンフレット(乙1)の発行日 被請求人は、本件商標を付した「Hydra Facial AQUA ELLA」の広告を2016年10月21日より準備し、本件商標として登録された後の2017年1月30日以後からパンフレットとして使用していた(乙4、乙5)。 イ 商品パンフレット(乙1)の頒布の事実 被請求人は、商品パンフレット(乙1)を大量印刷し頒布していた(乙6)。 ウ 商品を掲載したホームページ存在の事実 被請求人のホームページの更新ログより本件商標を使用した商品パンフレットが掲載されたホームページが商標登録後に存在したことは明らかである(乙4、乙7)。 エ 商品パンフレット(乙1)記載の商品取引の事実 被請求人は、本件商標を付した「Hydra Facial AQUA ELLA」(乙1)について、実際に売買契約を締結し、取引を行っている(乙8)。 オ 検索サイトへの広告 被請求人は、本件商標について、検索サイト(Google)に「業務用高速脱毛器」と入れた場合に上位に出てくるよう、リスティング広告を出していた(乙9)。 (2)自己の商標としての使用の事実 登録商標の使用について、当該商品がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではない(知財高裁平成27年11月26日判決)という判例法理上、問題となるものではない。それゆえ、本件商標を被請求人が自己の商標として使用していたことは明らかである。 3 上申書(2022年(令和4年)4月18日付け) (1)提出する新証拠 乙第10号証ないし乙第19号証を提出する。これらによれば、被請求人が、要証期間に、登録商標を付した商品を広告に出し、顧客に説明し、取引を行い、顧客に渡していたことは明らかである。 (2)乙第6号証について乙第1号証の印刷が発注したとする箇所 被請求人は、「ハイドラフェイシャル AQUA ELLA」との名称で商品を取引していたところ(乙1)、そのアルファベット部分を意味する「AE」が含まれているファイル名を付したものが印刷依頼をしたものになる(乙6)。すなわち、「AEパンフ 日本美容器様分」(乙6、3葉目)、「AEパンフレット」(同)、「AEポスター」(同6葉目)、「AE 取説新2021白」(同8葉目)、「AEパンフ新住所」(同)、「AEパンフ5000」(同19葉目)、「AE取説新200」(同20葉目)、「AE ellvision」(同26葉目)、「AE増刷3000」(同28葉目)、「AEポスター」(同30葉目)、「AEパンフ増刷2000」(同30葉目)、「AE取説」(同31葉目)がこれに当たる。なお、AEの略語の後の記載は、配布先を意味するもの(「日本美容器様」)、印刷数を意味するもの(「新200」等)、配布方法を意味するもの「ポスター」)等であり、乙第1号証のパンフレット自体の内容に差異が生じる意味ではない。 (3)その余については、既に提出した証拠及び今般提出した証拠で明らかであり、以上により本件において被請求人が本件商標を使用していた事実は立証十分である。 第4 当審の判断 1 不使用取消審判について 商標法第50条第1項の規定に基づく商標登録の取消しの審判が請求された場合には、同条第2項において、その審判の請求の登録前3年以内(要証期間)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。 2 事実認定 (1)被請求人及び請求人提出の証拠並びに各人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 商品パンフレットについて (ア)乙第1号証 乙第1号証は、「商品パンフレット」(全3葉)であり、1葉目ないし3葉目には、頁の下部又は上部に、別掲2のとおり、「Hydra Facial」の文字と「AQUA ELLA(R)」(「(R)」は〇で囲まれた「R」が下付き文字で表示されている。以下同じ。)の文字が二段に表示されている(上段の文字は下段に比べて小さく表されている。)。 また、2葉目には、「AQUA ELLA(R)は、水を一切使わず、美容液で毛穴を洗う新発想の美容施術「ハイドラフェイシャル(R)」により、毛穴洗浄効果だけでなく、ソフトピーリングによる美肌効果も同時にかなえる、新発想のエステ機器です。」の記載があり、3葉目には、白色の筐体に「AQUA ELLA」の文字が付された機器の画像(機器はやや斜めに表されている。)とともに「定格・仕様」欄に「AQUA ELLA(R)<アクアエラ>」の記載がある。また、3葉目の末尾には、「株式会社WAARMラボラトリー」「[本社]・・・東京都渋谷区神宮前3-38-14 アンジェラ神宮前1F」「※「AQUA ELLA」「HYDRA FACIAL」は株式会社WAARMラボラトリーの登録商標です。」の記載がある。 しかし、乙第1号証には、当該商品パンフレットの発行日を示す記載はない。 (イ)乙第4号証 乙第4号証は、「Hydra Facial AQUA ELLAの作成ログ」(全3葉)であり、1葉目には、「表紙OL2017.ai 565KB/変更日:2017年6月20日 火曜日 11:01」の記載の下、「一般情報」及び「詳細情報」として「種類:Adobe Illustrator 書類」「サイズ:565,294バイト(ディスク上の569KB)」「場所:Macintosh HD・ユーザ・・・」「作成日:2017年6月20日 火曜日 11:01/変更日:2017年6月20日 火曜日 11:01」「最後に開いた日:2022年2月8日 火曜日 11:29」の記載があり、また、その右側に画像が表示され、当該画像中には左上及び右下に、別掲2と同様に、「Hydra Facial」の文字と「AQUA ELLA(R)」の文字が二段に表示(上段の文字は下段に比べて小さく表されている。)され、黒色の筐体に「AQUA ELLA」の文字が表された機器「AQUA ELLA(R)<アクアエラ>」の画像(機器は正面を向いて表されている。)があり、その下には「発売元 株式会社WAARMラボラトリー」「・・・東京都渋谷区広尾5-1-40」の記載がある。 (ウ)乙第5号証 乙第5号証は、「Hydra Facial AQUA ELLAの作成ログ」であり、上部には、乙第4号証の右側にある画像と同様の画像が表示され、下部には、「AEパンフレットhydra」の記載の下、右下に「表紙OL2017.ai」「Adobe Illustrator 書類 - 565KB」「作成日 2017年6月20日 火曜日 11:01/変更日:2017年6月20日 火曜日 11:01」「最後に開いた日 今日 9:54」等の記載がある。 (エ)乙第6号証 乙第6号証は、「注文履歴内容」(「印刷通販プリントパック」:全31葉)であり、3葉目には「ご注文日2021/10/29・・・AEパンフ 日本美容器様分」(一段目)、「ご注文日2021/10/18・・・AEパンフレット」(二段目)、6葉目には「ご注文日2021/5/17・・・AEポスター」(二段目)、8葉目には「ご注文日2021/3/4・・・AE取説新2021白」(一段目)、「ご注文日2020/12/14・・・AEパンフ新住所」(最下段)、19葉目には「ご注文日2018/1/11・・・AEパンフ5000」(三段目)、20葉目には「ご注文日2017/11/24・・・AE取説新200」(一段目)、26葉目には「ご注文日2017/5/25・・・AE ellvision」(一段目)、28葉目には「ご注文日2017/4/27・・・AE増刷3000」(四段目)、30葉目には「ご注文日2016/10/26・・・AEポスター」(一段目)、「ご注文日2016/10/4・・・AEパンフ増刷2000」(三段目)、31葉目には「ご注文日2016/8/26・・・AE取説」(三段目)の各記載がある。 イ 「自費研plus」における広告について 乙第2号証の1ないし8は、「自費診療で経営を強くする自費研plus vol.17、20~26」(株式会社エスエス・ファシリティーズ)の抜粋であり、各1葉目(表紙)には、「May 2018」、「June 2019」ないし「January 2021」の表示があり、各2葉目には、「機器 ピーリング」(又は「イーリング」)の広告に「AQUA ELLA」又は「AQUA ELLA/アクアエラ(WAE-300)」及び「株式会社WAARMラボラトリー」の見出しの下、「ハリウッドセレブから火が付いた「ハイドラフェイシャル(R)」の施術を行える機械です。」の記載とともに、黒色の筐体に「AQUA ELLA」の文字が表された機器の画像がある。 ウ ホームページについて (ア)乙第3号証 乙第3号証は、「Hydra Facial AQUA ELLA(HP抜粋)」(全9頁)であり、各頁の上部には「AQUA ELLA| アクアエラ | ハイドラフェイシャル」の文字の記載があり、下部には、「https://waarm-lab.cpm/product/aquaella2/」の記載がある。そして、第1頁及び第2頁には、別掲2と同様に、「Hydra Facial」の文字と「AQUA ELLA(R)」の文字が二段に表示され(上段の文字は下段に比べて小さく表されている。)、第1頁には、白色の筐体に「AQUA ELLA」の文字が表された機器の画像があり、第2頁には、「AQUA ELLA(R)の特徴」として「美容液によるトルネード水流で毛穴洗浄×ソフトピーリングのダブル効果」の記載がある。また、第9頁(末尾)には、「株式会社WAARMラボラトリー」「[本社]・・・東京都渋谷区神宮前3-38-14 アンジェラ神宮前1F」の記載がある。 しかし、当該ホームページには、掲載日が表示されていない。 (イ)乙第7号証 乙第7号証は、「AQUA ELLA WEBサイトのデータログ」であり、「ローカルデータ」とされる画像には、「aquaella 今日 11:24」の記載の下、「_index.php20180227 2017年1月30日 11:44 6KB」、「images 今日 11:25」、「ae1.png 2016年10月21日 14:35 863KB」等の記載がある。また、「HTMLソース」とされる画像には、「ファイル file://Users/・・・/waarm-lab.com/product/aquaella/_index.php2...」の記載の下、「<title>AQUA ELLA|アクアエラ|ハイドラフェイシャル</title>」、「<meta name=“keywords” content=“ハイドラフェイシャル,毛穴洗浄,ソフトピーリング・・・”>」等の記載がある。 エ パンフレット及びホームページに係る商品の取引について (ア)乙第8号証 乙第8号証の1ないし9は、契約日を「2017年6月21日」ないし「2021年11月30日」とし、納入期限を「2017年6月26日」ないし「2021年12月末」とし、売主を「株式会社WAARMラボラトリー」とする計9通の「売買契約書」であり、いずれも「商品名・型式(品番)」の項に「AQUA ELLA[WAE-300]」の記載がある。 (イ)乙第16号証 乙第16号証の1ないし5は、契約日を「2018年7月6日」ないし「2019年9月13日」とし、納入期限を「2018年7月16日」ないし「2019年9月14日」とし、売主を「株式会社WAARMラボラトリー」とする計5通の「売買契約書」であり、いずれも「商品名・型式(品番)」の項に「AQUA ELLA[WAE-300]」の記載がある。 オ その他の乙号証について (ア)乙第10号証 乙第10号証は、「Baciami-Hair&Spa-肌悩みをまとめて解決!エステ級の美肌メニュー・ハイドラフェイシャルとは?(HP抜粋)」(全10頁)であり、第1頁及び第2頁には、「肌悩みをまとめて解決!エステ級の美肌メニュー・ハイドラフェイシャルとは?」(2018-9-26)のタイトルの下、「・・・「ハイドラフェイシャル」は複合的なお肌の悩みにアプローチしてくれる画期的な美肌メニュー。・・・エステ級のフェイシャルメニューが施術できる魅力について詳しくお伝えしていきます」「海外セレブも大絶賛のハイドラフェイシャルは、1回施術しただけでも効果を実感していただけます!」の記載があり、第7頁及び第8頁には「ハイドラフェイシャル料金詳細/美容液によるトルネード水流が生み出す毛穴洗浄+ソフトピーリングのW効果で、美肌へと導く最新鋭のフェイシャルメニューです!/使用時間約90分/施術の流れ 1.クレンジング 2.洗顔 3.ハイドラフェイシャル 4.エレクトロポレーション 5.マッサージ 6.パック 7.お仕上げ/料金/・初回:8,640円・・・」の記載がある。 (イ)乙第11号証 乙第11号証は、「Brazilian wax VENUS 群馬県初のアクアエラ導入店、話題のハイドラフェイシャル (HP抜粋)」(全5頁)であり、第1頁及び第2頁には、「群馬県初のアクアエラ導入店、話題のハイドラフェイシャル」(2020/06/29)のタイトルの下、「話題のハイドラフェイシャル知っていますか?・・・様々な肌トラブルにアプローチ出来ます!! 二週間に一度のペースを続けていくことで肌が見違えるほど変わります。施術後の肌のハリや毛穴の汚れなど一度でも実感できるのです!施術後にご自身の汚れをチェックできます!」の記載がある。 (ウ)乙第12号証 乙第12号証は、「おちあい皮膚科クリニック ハイドラフェイシャル (HP抜粋)」(全14頁)であり、第1頁及び第2頁には、「ハイドラフェイシャル」のタイトルの下、「ハリウッドセレブの常識、ハイドラフェイシャル当院にて行えます。ハリウッドセレブは毎日行っているほどの、心地よい美容施術。・・・」の記載がある。 (エ)乙第13号証 乙第13号証は、「YouTube動画(DVD-R)ハイドラフェイシャル AQUA ELLA (株)WAARMラボラトリー」(乙13の1)及び「(乙第13号証の1の)YouTubeページ印刷」(乙13の2)であり、動画(乙13の1)には、タイトル及び画面右上に「AQUA ELLA(R)」と表示され、「AQUA ELLA(R)」の文字が付された機器を用いたフェイシャル施術の様子や効果等が紹介されており、また、「ページ印刷」(乙13の2)には「ハイドラフェイシャル AQUA ELLA (株)WAARMラボラトリー 25,072回視聴・2016/10/21」の記載がある。 (オ)乙第15号証 乙第15号証の1ないし18は、「ハイドラフェイシャル機器「AQUA ELLA [WAE-300]」に関する調査」であり、いずれも2018年1月7日ないし2021年1月7日の間に「AQUA ELLA」を購入した顧客に対する調査及び回答である。その内容は「ハイドラフェイシャル」という語句に関する4つの質問(「「AQUA ELLA」の商品提案及び購入・導入研修時に、弊社スタッフが「ハイドラフェイシャル」という語句を使用し、施術や機器の説明をされましたか?」「「ハイドララフェイシャル」という語句を使用した広告をみて購入、導入を検討されましたか?」等)であって、それらの質問に顧客が個別に回答(「はい」又は「いいえ」のチェックボックスの選択式)を記入している(回答日は2022年4月8日ないし同月13日である。)。 (カ)乙第17号証 乙第17号証の1ないし10は、「メール内容」とされるものであり、「株式会社WAARMラボラトリー」と第三者との間で2017年2月1日ないし2020年10月23日に送受信したメール10件を出力したものであって、それらのメールの文中には「ハイドラフェイシャル」の語句が含まれている。 (キ)乙第18号証 乙第18号証は、「LINEトーク内容(抜粋)」(全6葉)とされるものであり、LINEを使用して文言のやりとりをした画面40件分を出力した書面及び注文書である。 1葉目ないし4葉目のLINEのやりとりの文章中には「ハイドラフェイシャル」の語句が含まれている。 また、5葉目の「注文書」(平成30年5月1日付け)には、顧客から「株式会社WAARMラボラトリー」に宛てて品名「AQUA ELLA[WAEー300]」を注文する旨の記載がある。 (ク)乙第19号証 乙第19号証の1ないし8は、「Instagram投稿」とされるものであり、「Instagram」とおぼしき画面中に「Hydra Facial」の文字と「AQUA ELLA(R)」の文字を二段に表示(上段の文字は下段に比べて小さく表されている。)したポスターを含む写真画像や文章「ハイドラフェイシャル」の語句の記載がある。 (2)上記(1)から、以下の事実が認められる。 ア 被請求人について 被請求人(商標権者)は、エステ器具を販売等する会社であり、商品名「AQUA ELLA[WAE-300]」なるピーリング機能を有するエステの施術に用いる機械器具(以下「本件商品」という。)を販売している(乙1、乙2、乙8、乙16、被請求人の主張)。 イ 商品パンフレットについて 乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証に係る本件商品のパンフレットには、小さく表された「Hydra Facial」の文字と大きく表された「AQUA ELLA(R)」の文字が二段に表された表示(別掲2:以下「使用商標」という。)がある。 また、商品の説明として、「AQUA ELLA(R)は、水を一切使わず、美容液で毛穴を洗う新発想の美容施術「ハイドラフェイシャル(R)」により、毛穴洗浄効果だけでなく、ソフトピーリングによる美肌効果も同時にかなえる、新発想のエステ機器です。」と記載されていることからすれば、「AQUA ELLA(R)」は、エステ機器の名称であること、「ハイドラフェイシャル(R)」は美容液で毛穴を洗う美容施術についての名称(商標)を指す語であることが認められる。 しかしながら、乙第1号証に係る商品パンフレットには、発行日を示す記載はなく、「作成ログ」によれば、2017年6月20日に画像データのログが作成されたことはうかがえるものの、乙第1号証に係る商品パンフレットに掲載された商品とは機器の向き(斜めか正面か)や筐体の色彩(白か黒)が異なり、画面の構成も相違することに加え、住所の記載も異なる(乙4、乙5)から、乙第1号証に係る商品パンフレット画像が2017年6月20日に作成されたものということはできない。 さらに、「プリントパック」の注文履歴によれば、2016年8月26日から2021年10月20日にかけて、「AEパンフ」「AEポスター」「AE取説新」等の名称で13回ほど印刷の注文がなされたことがうかがえるものの(乙6)、これらの注文に係る印刷物と乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証に係る商品パンフレットの内容の同一性を裏付ける事実を確認することはできない。 ウ 雑誌広告について 雑誌「自費診療で経営を強くする自費研plus vol.17、20~26」(株式会社エスエス・ファシリティーズ)において、「ピーリング機器」の広告に「AQUA ELLA/アクアエラ(WAE-300)」なる名称の本件商品が掲載されているものの、「ハリウッドセレブから火が付いたハイドラフェイシャル(R)」の施術を行える機械です。」との記載からすれば、「ハイドラフェイシャル(R)」の記載は、本件商品の名称ではなく、米国由来の施術の名称である。 エ ホームページ上の広告について 「Hydra Facial AQUA ELLA」のホームページ(乙3)には、広告を掲載した日付がなく、要証期間に当該ホームページが存在したことが確認できないところ、「AQUA ELLA WEBサイトのデータログ」によれば、「ローカルデータ」とされる画像に、「aquaella」「_index.php20180227」「2017年1月30日 11:44」「6KB」「ae1.png」「2016年10月21日 14:35」「863KB」等の記載があり、また、「HTMLソース」とされる画像に、「ファイル file://Users/・・・/waarm-lab.com/product/aquaella/_index.php2...」、「<title>AQUA ELLA アクアエラ ハイドラフェイシャル</title>」「<meta name=”keywords” content=”ハイドラフェイシャル,毛穴洗浄,ソフトピーリング・・・>」等の記載があるものの、これらの記載を総合しても当該データログに係るホームページの具体的な内容は不明といわざるを得ず、乙第3号証に係る「Hydra Facial AQUA ELLA」のホームページと同一内容のホームページが、「2017年1月30日」及び「2016年10月21日」の日付はもとより、要証期間に存在した事実を確認することはできない。 オ 本件商品の取引について 乙第8号証及び乙第16号証によれば、契約日を「2017年6月21日」ないし「2021年11月30日」又は「2018年7月6日」ないし「2019年9月13日」とし、「株式会社WAARMラボラトリー」と第三者の間で「商品名・型式(品番)」を「AQUA ELLA[WAE-300]とする本件商品について、「売買契約書」を交わしたことがうかがえるものの、本件商品が「Hydra Facial」の文字及び「ハイドラフェイシャル」の片仮名を使用して、本件商品が取引された事実を確認することはできない。 カ その他の乙各号証について (ア)第三者のウェブサイト 第三者のウェブサイト(乙10~乙12)には、「ハイドラフェイシャル」の記載があるものの、「海外セレブも大絶賛のハイドラフェイシャルは、1回施術しただけでも効果を実感していただけます!」(乙10)、「話題のハイドラフェイシャル知っていますか?・・・二週間に一度のペースを続けていくことで肌が見違えるほど変わります。施術後の肌のハリや毛穴の汚れなど一度でも実感できるのです!施術後にご自身の汚れをチェックできます!」(乙11)、「ハリウッドセレブの常識、ハイドラフェイシャル当院にて行えます。ハリウッドセレブは毎日行っているほどの、心地よい美容施術。」(乙12)のように、いずれも、「ハイドラフェイシャル」の文字は、(米国由来の)施術の名称として使用するものであって、本件商品に使用した事実を確認することはできない。 (イ)YouTube動画(乙13) YouTube動画(乙13)には、本件商品を用いた施術の様子等が含まれているが、「Hydra Facial」の文字及び「ハイドラフェイシャル」の片仮名が本件商品に使用していたことを示す具体的な内容は含まれておらず、要証期間に「Hydra Facial」の文字及び「ハイドラフェイシャル」の片仮名を本件商品に使用した事実を確認することはできない。 (ウ)本件商品に関する調査(乙15) 本件商品に関する調査(乙15)には、「AQUA ELLA」を購入した顧客に対する「ハイドラフェイシャル」という語句に関する4つの問い及びその回答が記載されているが、回答は、「はい」と「いいえ」の選択式であり、商標の使用行為があったことを具体的に示す情報が含まれておらず、要証期間に「Hydra Facial」の文字及び「ハイドラフェイシャル」の片仮名を本件商品に使用した具体的、客観的事実を確認することはできない。 (エ)その他 メール内容(乙17)、LINEトーク内容(乙18)、Instagram投稿(乙19)の記載内容をみても、「ハイドラフェイシャル」を含む語句の記載は見受けられるものの、要証期間に「Hydra Facial」の文字及び「ハイドラフェイシャル」の片仮名を本件商品に使用した具体的、客観的事実を確認することはできない。 3 判断 上記2の事実認定を総合すれば、以下のように判断できる。 (1)本件商品について 本件商標権者の業務に係る本件商品は、ピーリング機能を有するエステの施術に用いる機械器具であり、本件商標の指定商品及び指定役務中、第11類「業務用電気式美容機械器具」の範ちゅうの商品といい得るものである(上記2(2)ア)。 (2)本件商標の使用について 本件商標は、別掲1のとおり、「Hydra Facial」の欧文字と「ハイドラフェイシャル」の片仮名を二段に表してなるものである。一方、使用商標は、別掲2のとおり、小さく表された「Hydra Facial」と、大きく表された「AQUA ELLA(R)」の欧文字を二段に書してなるものである。 そうすると、使用商標は、本件商標とは「AQUA ELLA(R)」の文字の有無など、その構成が大きく相違するものであるから、社会通念上同一のものとみることはできない。 そして、使用商標の上段に「Hydra Facial」の欧文字が、また、商品パンフレット(乙1)、雑誌広告(乙2)、ホームページ(乙3)等において、「ハイドラフェイシャル」の片仮名又は「ハイドラフェイシャル(R)」の文字がそれぞれ表示又は記載がされていたとしても、当該表示又は当該文字は、(米国由来の)美容施術の名称(商標)を表す語であって、エステ機器の名称は「AQUA ELLA」又は「アクアエラ」であるとみるべきであるから、当該「Hydra Facial」の欧文字、「ハイドラフェイシャル」の片仮名又は「ハイドラフェイシャル(R)」の表記をもってしても、本件商標と社会通念上同一の商標を本件商標権者の業務に係るエステ機器である本件商品について使用したということはできない。 (3)本件商標の使用行為について ア 被請求人が提出した証拠に基づいて、乙第1号証に係る商品パンフレットが要証期間に頒布されたことを具体的、客観的に示す事実を確認することはできない(上記2(2)イ)ことから、当該商品パンフレットが、本件商標を付した広告として要証期間に本件商標権者によって頒布された事実を認めることはできない。 イ 被請求人が提出した証拠に基づいて、乙第3号証に係るホームページの内容が要証期間に存在したことを具体的、客観的に示す事実を確認することはできない(上記2(2)エ)ことから、当該ホームページが、本件商標を付した広告を内容とする情報として要証期間に本件商標権者によって電磁的方法により提供された事実を認めることはできない。 ウ その他、被請求人が提出した売買契約書(乙8、乙16)、YouTube動画(乙13)、本件商品に関する調査(乙15)、メール内容(乙17)、LINEトーク内容(乙18)、Instagram投稿(乙19)によっても、本件商標を付した本件商品について具体的な使用行為は確認することができず(上記2(2)オ、カ)、要証期間に商標権者によって商標法第2条第3項各号の使用行為が行われた事実を認めることはできない。 (4)小括 以上を踏まえると、被請求人提出の証拠は、本件商標の商標権者が、要証期間に本件商標を付した本件商品について使用行為を行った事実を認めるに足りない。 その他、被請求人からは、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に、本件商標をその指定商品又は指定役務について使用したことを認めるに足りる証拠の提出はない。 (5)結論 上記のとおり、被請求人は、その提出証拠によって、要証期間に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定商品又は指定役務について、本件商標を使用していることを証明したということができない。 また、被請求人は、本件指定商品又は指定役務について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-300912

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