商標取消審判
2023-300073
エフエイエス、ファス
- 審判番号
- 2023-300073
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1992-144553
- 登録番号
- 3196036
- 請求日
- 2023年02月01日
- 審決日
- 2024年07月08日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】青木 幾雄
- 【請求人代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
- 【被請求人】株式会社 ファスコーポレーション
- 【被請求人代理人】田村 善光
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T132 .1 -Y (030)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第2条第1項第1号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3196036号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第3196036号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年7月22日に登録出願、「コーヒー及びココア,茶,みそ,食品香料(精油のものを除く。)」を含む第30類の商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同8年9月30日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年2月15日であり、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、同2年(2020年)2月15日ないし同5年(2023年)2月14日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第30類「コーヒー及びココア,茶,みそ,食品香料(精油のものを除く。)」(以下「請求に係る指定商品」という。)の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁書に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
なお、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して記載する場合がある。
1 請求の理由
本件商標は、請求に係る指定商品について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁書による主張
本件商標権者の行為は、卸売又は小売サービスに該当するものであり、本件商標はそのサービスの出所を示しているにすぎないから、本件商標は請求に係る指定商品について使用されているとはいえない。
(1)乙第1号証ないし乙第6号証は納品書(控)であるところ、乙第1号証は、商品「料理用抹茶」を「矢掛屋」に納品したとしている。商品「茶」と本件商標との関連性が伺えるが、納品書の右上に本件商標が印字されている態様からすれば、単にこの商品が納品された事実を示すものであり、これは商品を納入するという卸売又は小売サービスの出所を示しているにすぎず、商品「茶」についての使用とみる余地はない。
(2)乙第2号証は、商品「豆赤出し味噌(田舎味噌)」を「味処蔵(玉島)」に納品、乙第3号証は、商品「当たりくるみ」及び商品「胡蝶味噌」を「株式会社セレマ アルジェント」に納品、乙第4号証は、商品「石野味噌、白/特選 樽入り」を「株式会社因島観光開発ホテルいんのしま」に納品、乙第5号証は、商品「当たり落花生」及び商品「松茸エッセンス」を「慈恩精舎」に納品、乙第6号証は、商品「昆布茶」を「郷土味かけはし」に納品したとしているが、上記(1)と同様に、本件商標の使用態様からすれば、購入を希望した商品を購入者に納品した事実を証明しているにすぎないのであるから、卸売又は小売サービスの出所としてのみ、本件商標はその機能を発揮しているとみることが至当である。
また「当たりくるみ」、「当たり落花生」及び「松茸エッセンス」は「食品香料(精油に該当するものを除く。)」には該当しない。
(3)乙第7号証は、本件商標が付されている商品カタログであり、被請求人は、412ページに「上白味噌」(乙7の6)、413及び414ページに「特醸白粒味噌、・・・ひしほみそ、金山寺みそ」(乙7の7、乙7の8)が掲載され、420ページに「緑茶[粉末]、烏龍茶[粉末]」(乙7の9)が掲載され、421ページに「紀州南高梅ペースト、梅肉赤」(乙7の10)が掲載されている旨主張するが、本件商標権者が仕入れた商品が掲載されているカタログから希望するものを選択し、それが本件商標権者から納品されるということは、卸売又は小売サービスであって、カタログの裏表紙の本件商標は、卸売又は小売サービスの出所を示しているにすぎず、取消請求に係る商品についての使用ではない。
(4)また、乙第7号証に掲載されている白味噌は、株式会社石野味噌が製造販売している商品である(甲3)。加えて、「ひしほみそ」の包装は、株式会社丸福味噌本舗が製造販売している商品と同一である(甲4)。
これらを考慮すれば、本件商標権者が他社商品を取り扱っていることは明らかであり、本件商標権者は他社商品を仕入れ、商品カタログを通じて、需要者に納品しているのであり、これは卸売又は小売サービスに他ならない。
そして、「紀州南高梅ペースト、梅肉赤」は「食品香料(精油に該当するものを除く。)」には該当しない。
(5)乙第8号証について
本件商標が付されている商品カタログ「味百華」(乙8)の86ページ(乙8の6)にて「(石野)特撰上粒白味噌(20kg)、・・・(石野)京桜味噌(20kg)」が掲載され、87ページ(乙8の7)にて「(桜井)超特撰白味噌(8kg)、・・・もろみ味噌(17kg)」が掲載され、90ページ(乙8の8)にて「極上アーモンドペースト、・・・、当たり胡麻(ゴマヤ)(小缶)」が掲載され、95ページ(乙8の9)に「料理用抹茶」が掲載されている旨を被請求人は主張しているが、上記(4)と同様に、本件商標がカタログの裏表紙にのみ使用されている態様からすれば、他社の製品を取り扱い、このカタログを通じて、需要者に販売しているのであるから、これはまさに卸売又は小売サービスに該当する。被請求人は取消請求に係る商品について、本件商標の使用を証明していない。
なお、乙第8号証の6の上部に商品「みそ」が多数掲載されているが、これらの商品には「(石野)」の記載があり、これらの商品は前述の株式会社石野味噌が製造・販売している商品と見ることが至当である。
また、被請求人は、乙第8号証の8に掲載されている「極上アーモンドペースト、胡麻酢、純ごま」他が「食品香料(精油に該当するものを除く。)」に該当していると主張しているが、文字通り解釈すれば、「極上アーモンドペースト」は加工品「アーモンドペースト」に該当し、「胡麻酢」は調味料「酢」に該当し、「純ごま」他はペースト状に加工されているが、調味料としての「ごま」に属するものであり、これらは食品香料とは性質及び用途を異にする。
(6)乙第9号証及び乙第11号証について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証の商品カタログが複数の取引企業に受領されたことを証明するものとして、陳述書(乙9)を提出しているが、乙第7号証及び乙第8号証の商品カタログは卸売又は小売サービスのために用いられるものであり、このサービスに関して本件商標を使用していることの証拠にはなっても、取消請求に係る指定商品について、本件商標が使用されていることを証明するものではない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。なお、枝番号の全てを記載する場合は、枝番号を省略する。)を提出した。
1 本件商標の使用者について
本件商標権者は、個人客ではなく、食堂がある病院やホテル、料亭又は飲食店に飲食料品を販売する事業を行っている。
2 本件商標の使用について
(1)乙第1号証
発行日が令和4年5月17日、登録商標、本件商標権者、「料理用抹茶」(指定商品は茶)、納品先が矢掛屋(岡山県小田郡矢掛町)と記載の納品書(控)である。納品時に「納品書(控)、納品書、請求書」の3枚綴りを持参し納品先から受領したサインが納品書(控)の検印欄に記載されている。
乙第11号証に示すように、一番上に「納品書(控)」(乙11の1)、真ん中に「納品書」(乙11の2)、一番下に「請求書」(乙11の3)の3枚綴りでできており、「納品先様、得意先コード、日付、伝票No、区分、品名/規格、数量、単価、金額、摘要、合計金額」をパソコンで3枚綴りの状態で印字するので、3枚とも同一の取引内容が印字される。
そして、納入する商品とともに3枚綴りを納入先に持って行き、納品先に3枚綴りを商品と共に渡して、一番上の「納品書(控)」に納入先からの受領のサインをもらったら、切り離した「納品書(控)」を納入先から本件商標権者が受け取り、保管している。このとき「納品書」と「請求書」は納品先が所有する。よって、「納品書(控)」は「納品書」又は「請求書」と同じように取引書類に該当する。
(2)乙第2号証
発行日が令和4年10月4日、上記(1)と同様の記載と「豆赤出し味噌(田舎味噌)」(指定商品はみそ)、納品先が「味処蔵(玉島)」(岡山県倉敷市)の納品書(控)である。納品時に納品先から受領したサインが記載されている。
(3)乙第3号証
発行日が令和4年9月2日、上記(1)と同様の記載と「当たりくるみ」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))、「胡蝶味噌」(指定商品はみそ)、納入先が「株式会社セレマ アルジェント」(広島県福山市)の納品書(控)である。納品時に納品先から受領したサインが検印欄に記載されている。
「当たりくるみ」は、乙第10号証に「濃厚なコクと旨みが味わえます」、「和え物、かくし味、製菓、中華、洋食に用いて下さい」の記載があるように「食品香料(精油のものを除く。)」である。
(4)乙第4号証
発行日が令和4年9月27日、上記(1)と同様の記載と「石野味噌、白/特選 樽入り」(指定商品はみそ)、納品先が「(株)因島観光開発ホテルいんのしま」(広島県尾道市因島土生町)の納品書(控)である。納品時に納品先から受領したサインが検印欄に記載されている。
(5)乙第5号証
発行日が令和4年10月13日、上記(1)と同様の記載と「当たり落花生」、「松茸エッセンス」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))、納品先が「慈恩精舎」(岡山県岡山市)の納品書(控)である。納品時に納品先から受領したサインが検印欄に記載されている。
(6)乙第6号証
発行日が令和4年9月24日、上記(1)と同様の記載と「昆布茶」(指定商品は茶)、納品先が「郷土味かけはし」(広島県尾道市)の納品書(控)である。納品時に納品先から受領したサインが検印欄に記載されている。
(7)乙第7号証
乙第7号証の1(表紙)、乙第7号証の2(裏表紙)、乙第7号証の3(背表紙)、乙第7号証の4(背表紙と表紙、背表紙と裏表紙の写真)及び乙第7号証の5(420~421ページの見開きの写真)は、年度を意味する「2021」、登録商標、本件商標権者の表示があるカタログ「日本の味 雅」である。
そして、乙第7号証のカタログには、412ページに「上白味噌」が掲載され(乙7の6)、413ページに「特醸白粒味噌、・・・ひしほみそ、金山寺みそ」(指定商品はみそ)が掲載され(乙7の7~乙7の8)、420ページに「緑茶[粉末]、黒ウーロン茶[粉末]、烏龍茶[粉末]」(指定商品は茶)が掲載され(乙7の9)、421ページに「紀州南高梅ペースト、梅肉赤」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))が掲載されている(乙7の10)。
(8)乙第8号証
乙第8号証の1(表紙)、乙第8号証の2(裏表紙)、乙第8号証の3(背表紙)、乙第8号証の4(背表紙と表紙、背表紙と裏表紙の写真)及び乙第8号証の5(86~87ページの見開きの写真)は、年度を意味する「2020-2022」、登録商標、本件商標権者の表示があるカタログ「味百華」であり、乙第8号証のカタログには、86ページに「(石野)特撰白粒味噌(20kg)、・・・(石野)京桜味噌(20kg)」(指定商品はみそ)が掲載され(乙8の6)、87ページに「(桜井)超特撰白味噌(8kg)、・・・もろみ味噌(17kg)」(指定商品はみそ)が掲載され(乙8の7)、90ページに「極上アーモンドペースト、胡麻酢、純ごま、・・・当り胡麻(ゴマヤ)(小缶)」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))が掲載され(乙8の8)、95ページに「料理用抹茶」(指定商品は茶)が掲載されている(乙8の9)。
(9)乙第9号証
本件商標が掲載された商品カタログ「日本の味 雅」(乙7)及び「味百華」(乙8)を、要証期間に頒布した証明として、個室居酒屋ichi(広島県福山市)(乙9の1)、よりしま多幸半(広島県福山市)(乙9の2)、季節料理衣笠(広島県福山市)(乙9の3)、株式会社川長(広島県福山市)(乙9の4)、有限会社照栄(広島県福山市)(乙9の5)の5社のから陳述書がある。
3 本件商標の使用の証明
(1)日本国内で使用している証明について
乙第1号証ないし乙第6号証の納品書(控)に記載の納品先会社は上記2(1)から(6)のとおり、全て日本国内の事業体である。また、乙第7号証と乙第8号証のカタログの頒布先は、上記2(9)のとおり、いずれも日本国内の事業体であるから、本願商標は日本国内で使用されている。
(2)使用者は本件商標権者であることの証明について
乙第1号証ないし乙第6号証の納品書(控)、乙第7号証又は乙第8号証のカタログには、本件商標権者と本件商標、「茶,みそ,食品香料(精油のものを除く。)」に該当する商品名が記載されている。よって、本件商標の使用者は本件商標権者である。
(3)使用した指定商品について
納品書と同一の内容の納品書(控)の乙第1号証に「料理用抹茶」(指定商品は茶)、乙第2号証に「豆赤出し味噌(田舎味噌)」(指定商品はみそ)、乙第3号証に「当たりくるみ」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))、「胡蝶味噌」(指定商品はみそ)、乙第4号証に「石野味噌、白/特選 樽入り」(指定商品はみそ)、乙第5号証に「当たり落花生」、「松茸エッセンス」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))、乙第6号証に「昆布茶」(指定商品は茶)の記録があり、使用した指定商品は「茶、みそ、食品香料(精油のものを除く。)」である。
また、カタログの乙第7号証の6に「上白味噌」(指定商品はみそ)、乙第7号証の7及び8に「特醸白粒味噌・・・、ひしほみそ、金山寺みそ」(指定商品はみそ)、乙第7号証の9に「緑茶[粉末]、・・・烏龍茶[粉末]」(指定商品は茶)、乙第7号証の10に「紀州南高梅ペースト、梅肉赤」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))が掲載され、乙第8号証の6に「(石野)特撰白粒味噌(20kg)、・・・(石野)京桜味噌(20kg)」(指定商品はみそ)、乙第8号証の7に「(桜井)超特撰白味噌(8kg)、・・・もろみ味噌(17kg)」(指定商品はみそ)、乙第8号証の8に「極上アーモンドペースト、・・・当り胡麻(ゴマヤ)(小缶)」(指定商品は食品香料(精油のものを除く。))、乙第8号証の9に「料理用抹茶」(指定商品は茶)が掲載されている。
よって、納品書(控)(乙1~乙6)から、又は、カタログ(乙7、乙8)から、本件商標は指定商品「茶,みそ,食品香料(精油のものを除く。)」に使用されている。
(4)使用した商標は登録商標であることの証明について
納品書(控)(乙1~乙6)、あるいは、カタログ(乙7、乙8)には、本件商標と同一の商標が記載されており、登録商標と同一の商標が使用されている。
(5)商標法第2条第3項の使用について
納品書(控)(乙1~乙6)は、「納品書」及び「請求書」と取引内容を同時に3枚綴りで印字し、納品時に3枚綴りを持参して、納品先から「納品書(控)」に受領のサインをもらった後に、納品書(控)を受け取って保管しているから、「商品に関する取引書類に標章を付して取引先に頒布する」に該当する。
また、カタログ(乙7、乙8)は、本件商標権者の販売先のターゲット層である「食堂がある病院やホテル、料亭又は飲食店」に頒布しているので、「商品に関する広告を取引先やこれから新規に取引を開始したい企業体に頒布する」に該当する。
カタログを見て商品を発注してくれるお客様である取引先やこれから新規に取引を開始したい企業体をターゲット層として頒布することは、本件商標権者の事業形態に照らし合わせると商標法第2条第3項第8号の頒布に該当する。
よって、本件商標は同法第2条第3項8号に規定された使用に該当する。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標権者は、個人客ではなく、食堂がある病院やホテル、料亭又は飲食店に飲食料品を販売する事業を行っており(被請求人主張)、「みそ,茶」等の商品を、カタログを通じて販売している(乙1~乙9)。
(2)本件商標権者と顧客との取引について
ア 乙第1号証は、本件商標権者が、岡山県小田郡矢掛町の矢掛屋に対し、令和4年5月17日に発行したとされる「納品書(控)」であるところ、項番「7」に、「品名 規格」として「料理用抹茶 80G×20カン」、数量「2缶」、金額「2,600」の記載があり、検印の欄に納品先の顧客のものと推認されるサインが記載されている。
イ 乙第4号証は、本件商標権者が、広島県尾道市因島土生町の株式会社因島観光開発ホテルいんのしまに対し、令和4年9月27日に発行したとされる「納品書(控)」であるところ、「品名 規格」として「石野味噌)白/特選 樽入り 4kg×4チョウ」、数量「1丁」、金額「3,700」の記載があり、検印の欄に納品先の顧客のものと推認されるサインが記載されている。
ウ 上記ア及びイの「納品書(控)」は、上から「納品書」「請求書」「納品書(控)」(乙11)の順からなる3枚綴りであり、当該3枚綴りの右上には、図案化された「FAS」の文字(別掲2、以下「使用商標1」という。)が表され、その下段に、「Food’s Artist Sakuma」の文字を表し、さらにその下に「株式会社ファスコーポレーション」「広島県福山市南町13-8」の記載がある。また、当該3枚綴りの「納品先、得意先コード、日付、伝票No、区分、品名/規格、数量、単価、金額、摘要、合計金額」については3枚綴りの状態で印字し、納入する商品とともに3枚綴りを納品先に渡して、一番上の「納品書(控)」に納入先からの受領のサインをもらい、切り離した「納品書(控)」を本件商標権者が受け取り、保管している(被請求人主張)。
(3)カタログ「味百華」(乙8)について
ア 商品カタログ「味百華」の写しには、年度とみられる「2020-2022」の数字、本件商標権者の名称及び住所、図案化された「FAS」の文字(別掲3、以下「使用商標2」という。使用商標1と使用商標2をまとめていうときは単に「使用商標」という。)が表され、その下段に、「Food’s Artist Sakuma」の文字が表されている。
イ カタログの86ページ(乙8の6)には、上記(2)イに係る商品と同じ商品と推認される「(石野)特撰白味噌 4kg樽×4丁入」の記載と商品写真、カタログの95ページ(乙8の9)には、上記(2)アに係る商品と同じ商品と推認される「料理用抹茶 80g×20缶入」の記載と商品写真が掲載されている。
ウ 乙第9号証によれば、当該カタログ「味百華」は、2020年5月頃に、広島県福山市の料亭又は飲食店等の会社5社に頒布されていることが推認できる。
2 上記1に基づき、以下判断する。
(1)本件商標の使用者について
乙第1号証及び乙第4号証の「納品書(控)」及び当該「納品書(控)」に綴られている「納品書」及び「請求書」には右上に使用商標、本件商標権者の名称及び住所があり、乙第8号証のカタログ「味百華」の裏表紙には使用商標、本件商標権者の名称及び住所が表示されており、当該納品書(控)、納品書、請求書及びカタログの作成者は、本件商標権者と認められるから、使用商標の使用者は本件商標権者である。
(2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
ア 本件商標は、別掲1のとおり「FAS」の文字を図案化して表してなるものである。
イ 他方、使用商標は、別掲2及び別掲3のとおり、図案化した「FAS」の文字から表されるものであって本件商標とほぼ同一のものである。
ウ そうとすると、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用商品について
ア 上記1(2)ア及び1(3)イに係る商品名「料理用抹茶」(以下「使用商品1」という。)は、商品名中に「抹茶」の文字があり、その商品写真からも「茶」に含まれる商品といえるものであるから、請求に係る指定商品「茶」の範ちゅうの商品といえる。
イ 上記1(2)イ及び1(3)イに係る商品名「石野味噌」(以下「使用商品2」という。)は、商品名に「味噌」の文字があり、その商品写真からも、請求に係る指定商品「みそ」の範ちゅうの商品である。
(4)商標の使用及び使用時期について
ア 上記1(3)によれば、使用商標2を付したカタログ「味百華」は、本件商標権者が「2020-2022」年に取り扱う商品を掲載したものであり、本件商標権者はこれを2020年5月頃に広島県福山市内の料亭又は飲食店等に配布したことが推認され、当該日付は要証期間内である。
イ 上記1(2)アによれば、本件商標権者は、岡山県小田郡矢掛町の矢掛屋に対し、令和4年(2022年)5月17日に、使用商品1を納品した際に、納品書、請求書及び納品書(控)からなる3枚綴りのうち、納品書及び請求書を納入先に頒布したことが推認される。そして、商品の納品において、3枚つづりにした納品書、請求書及び納品書(控)のうち、納品書及び請求書を取引先に頒布し、受領のサインをもらった納品書(控)を取引元が受け取ることは、一般的といえるから、当該納品行為(取引)自体に不自然なところはない。
そうすると、本件商標権者は、岡山県小田郡矢掛町の矢掛屋に頒布した、使用商品1に関する納品書及び請求書に使用商標1を付したものと推認される。
ウ 上記1(2)イによれば、本件商標権者は、広島県尾道市因島土生町の株式会社因島観光開発ホテルいんのしまに対し、令和4年(2022年)9月27日に、使用商品2を納品した際に、納品書、請求書及び納品書(控)からなる3枚綴りのうち、納品書及び請求書を納入先に頒布したことが推認される。そして、当該行為は、上記イと同様に、一般的といえるから、当該納品行為(取引)自体に不自然なところはない。
そうすると、本件商標権者は、広島県尾道市因島土生町の株式会社因島観光開発ホテルいんのしまに頒布した、使用商品2に関する納品書及び請求書に使用商標1を付したものと推認される。
エ 以上のとおり、本件商標権者は、要証期間に含まれる2022年(令和4年)5月17日及び同年9月27日に、上記岡山県小田郡矢掛町及び広島県尾道市因島土生町の顧客に対し、請求に係る指定商品「茶,みそ」の範ちゅうである使用商品1及び使用商品2に係る取引書類(納品書及び請求書)に、使用商標1を付してそれぞれ頒布したものと推認することができ、当該日付は要証期間内である。
(5)小括
以上によれば、本件商標権者は、要証期間内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中、茶の範ちゅうの商品である使用商品1(料理用抹茶)及びみその範ちゅうの商品である使用商品2(石野味噌)のカタログ並びに納品書及び請求書に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものと推認できる。
本件商標権者による上記使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品の取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、本件商標権者の行為は、他社製品を仕入れ、商品カタログを通じて、需要者に納品しているのであるから、これは卸売又は小売りサービスに該当し、取消請求に係る指定商品について、本件商標が使用されていることを証明するものではない旨主張する。
しかしながら、商標の使用とは、商品又は商品の包装に標章を付する行為にのみ限られず、商品の取引書類(納品書等)に商標を付して、需要者、取引先等に頒布する行為も、商品又は役務に関する広告等に標章を付して頒布する行為に含まれる商標の使用と認められるものである。
本件においては、上記2のとおり、本件商標権者が、顧客より注文を受け、商品についての3枚綴りの「納品書、納品書(控)、請求書」を発行し、注文した商品を顧客に納品するとともに納品書及び請求書を頒布したものといえるから、実際に商品の譲渡を伴う商取引が行われ、当該商品に係る取引書類も頒布したものと認め得る。
また、本件商標は、平成19年4月1日に施行された小売等役務商標制度導入前に登録出願され設定登録されたものであるところ、商品に係る商標の使用は、「業として商品を・・・譲渡する者がその商品について使用をするもの」と定められ(商標法第2条第1項第1号)、その規定は、小売等役務商標制度導入前後において変更はない。そして、本件商標の使用について、小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供についての使用の側面があるとしても、上記のとおり、商品の譲渡がなされ、その際の取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付しているのだから、商品に係る商標の使用に当たらないということはできない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「みそ」及び「茶」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-300073