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特許拒絶査定不服審判

2023-021432

薬物の特性化及び/又は最適化に適用される計算モデル化及びシミュレーションのための方法及びシステム

審判番号
2023-021432
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-501121
請求日
2023年12月18日
審決日
2025年02月06日
公報発行日
2025年07月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】インシリコトライアルズ・テクノロジーズ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
  • 【請求人代理人】山尾 憲人
  • 【請求人代理人】岡部 英隆
  • 【請求人代理人】北出 英敏
審判長/審判官
  • 審判長 相崎 裕恒
  • 審判官 間野 裕一
  • 審判官 伏本 正典
分類
P18 .536-Z (G16C) / P18 .537-Z (G16C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-501121「薬物の特性化及び/又は最適化に適用される計算モデル化及びシミュレーションのための方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日国際公開、WO2019/186398、令和 3年 8月10日国内公表、特表2021-519485〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(平成31年)3月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年3月28日 イタリア)を国際出願日とする出願であって、令和5年1月5日付け拒絶理由通知に応答して同年7月14日に意見書が提出されたが、同年8月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~13に係る発明は、令和5年12月18日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも1つの薬物の特性化及び最適化に適用される計算モデル化及びシミュレーションのための方法であって、以下のステップ、即ち、 少なくとも1つの薬物が相互作用することが意図されている個人の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す現実及び/又は仮想の個人の、化学的、化学物理学的、生物学的、薬理学的、生理学的、遺伝学的、薬物動態学的、薬力学的、及び臨床学的データ、並びに/又は、そのような相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む、デジタルモデル化データの第1のセット(D1)を、コンピュータプラットフォーム(1)上に格納するステップと、 前記少なくとも1つの薬物が試験されることが意図される動物の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す1つ以上の現実及び/又は仮想の動物の、生物学的、薬理学的、遺伝学的、生理学的、薬物動態学的、薬力学的データ、並びに/又は、試験相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む、デジタルモデル化データの第2のセット(D2)を、前記コンピュータプラットフォーム(1)上に格納するステップと、 前記少なくとも1つの薬物の研究及び開発のために選択される化学的化合物及び/又は生物学的化合物及び/又は薬物の化学物理学的特性及び/又は機能及び/又は構造及び/又は挙動の指標となる、デジタルモデル化データの第3のセット(D3)を、前記コンピュータプラットフォーム(1)上に格納するステップと、 前記少なくとも1つの薬物の研究及び開発のために選択される生物学的対象の化学物理学的特性及び/又は機能及び/又は構造及び/又は挙動の指標となる、デジタルモデル化データの第4のセット(D4)を、前記コンピュータプラットフォーム(1)上に格納するステップと、 前記少なくとも1つの薬物が指向される1つ以上の疾患及び/又は治療領域に関する化学的、化学物理学的、生物学的、遺伝学的、生理学的、臨床学的、薬理学的、薬力学的、及び薬物動態学的データの指標となる、デジタルモデル化データの第5のセット(D5)を、前記コンピュータプラットフォーム(1)上に格納するステップと、 前記コンピュータプラットフォーム(1)により、インターネットに接続可能でありユーザが計算プラットフォーム(1)及びそれに含まれる1つ以上のソフトウェアプログラムに接続して相互作用することを可能にするように構成されたユーザインタフェース(4)を提供するステップと、 前記ユーザインタフェース(4)を用いてユーザ入力可能な選択及び/又は定義及び/又は設定情報(I)を受け取るステップであって、前記選択及び/又は設定情報は、以下の(ア)~(オ)を含む、即ち、 (ア)薬理学的及び/又は生理学的モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I1)であって、前記デジタルモデル化データの第1の格納されたセット(D1)に基づく個人の薬理学的及び/又は生理学的モデルを含み、並びに/又は、前記デジタルモデル化データの第2の格納されたセット(D2)に基づく動物の薬理学的及び/又は生理学的モデルに関する、薬理学的及び/又は生理学的モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I1)、 (イ)デジタルモデル化データの前記第1の格納されたセット(D1)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第2の格納されたセット(D2)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)に基づく、化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I2)であって、前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムの化学的、化学物理学的、薬理学的、生物学的、遺伝学的、生理学的特性の指標となる、情報、 (ウ)スクリーニング及び/又は最適化モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I3)、 (エ)シミュレーションタイプの選択及び設定に関する情報(I4)、並びに/又は、1つ以上の入力シミュレーションパラメータの選択及び設定に関する情報(I5)、並びに、1つ以上の出力シミュレーションパラメータに関する情報(I6)、並びに、 (オ)前記薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)の定義及び/又は精緻化のためのパラメータと、前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的及び/又は治療学的システムモデル(M2)の定義及び/又は精緻化のためのパラメータと、人工知能を用いる前記計算モデル(M3)の定義及び/又はカスタマイズのためのパラメータ を含む、ステップと、 前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記薬理学的及び/又は生理学的モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報を処理して、前記デジタルモデル化データの第1の格納されたセット(D1)及び/又は前記デジタルモデル化データの第2の格納されたセット(D2)に基づいて、薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)を開発するステップと、 前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I2)を処理して、デジタルモデル化データの前記第1の格納されたセット(D1)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第2の格納されたセット(D2)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)に基づく、化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)を開発するステップと、 前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記スクリーニング及び/又は最適化モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I3)を処理して、デジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)に基づく、スクリーニング及び/又は最適化モデル(M3)を開発するステップであって、前記スクリーニング及び/又は最適化モデル(M3)は、前記少なくとも1つの薬物の前記開発に関連する化学的化合物及び/又は生物学的化合物及び/又は薬物及び/又は生物学的対象及び/又は疾患の機能及び/又は構造及び/又は挙動を識別及び接続するのに適した検索アルゴリズム及び/又は人工知能アルゴリズムを含む、ステップと、 前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記計算プラットフォーム(1)に含まれる1つ以上の計算シミュレーションソフトウェアプログラムのための入力設定データ(Din)を定義するために前記ユーザ入力の前記選択及び/又は設定情報(I)を処理するステップと、 前記1つ以上の計算シミュレーションソフトウェアプログラム(S5)を用いて、前記入力設定データ(Din)に基づき、前記薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)に基づき、前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)に基づき、並びに、前記スクリーニング及び/又は最適化モデル(M3)に基づいて、1つ以上のシミュレーションを実行して、前記計算モデル化及び/又はシミュレーションの出力データ(Dout)を獲得するステップと、 1つ以上の出力モデル化及び/又はシミュレーションパラメータの選択及び設定に関する情報(I6)に基づいて、前記計算モデル化及び/又はシミュレーションの前記出力データ(Dout)を処理して、前記ユーザにより選択されたフォーマットで、要求されたモデル化及び/又はシミュレーション結果(R)を報告するステップであって、前記シミュレーション結果(R)は、前記少なくとも1つの薬物の前記開発に関連する化学的化合物及び/又は生物学的化合物及び/又は薬物及び/又は生物学的対象及び/又は疾患の機能及び/又は構造及び/又は挙動を識別及び/又は特性化及び/又は接続する傾向がある情報を含む、ステップと、 前記ユーザインタフェース(4)を用いて、前記要求されたモデル化及び/又はシミュレーション結果を提供するステップと、 を含む、 方法。」 第3 原査定の拒絶の理由 拒絶査定の理由である、令和5年1月5日付け拒絶理由通知の理由は、概略、次のとおりのものである。 1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。(以下「理由1」という。) 2.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。(以下「理由2」という。) 記 ●理由1(サポート要件)、理由2(実施可能要件)について (1)請求項1には、「前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記薬理学的及び/又は生理学的モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報を処理して、前記デジタルモデル化データの第1の格納されたセット(D1)及び/又は前記デジタルモデル化データの第2の格納されたセット(D2)に基づいて、薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)を開発する」と記載されている。 そして、発明の詳細な説明の段落[0023]-[0026]にはD1の具体例が、段落[0027]-[0028]にはD2の具体例が開示されており、段落[0041]-[0042]にはM1の具体例が開示されている。 しかしながら、発明の詳細な説明には、D1やD2に基づいてM1を開発するための具体的な処理が記載も示唆もされていない。 また、この出願の発明の詳細な説明には、D1やD2に基づいてM1を開発するための具体的な処理について、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 (2)請求項1の「前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I2)を処理して、デジタルモデル化データの前記第1の格納されたセット(D1)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第2の格納されたセット(D2)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)に基づく、化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)を開発する」なる記載についても同様の点が指摘される。 すなわち、D1~D5に基づいてM2を開発するための具体的な処理が発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。また、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 (3)請求項1の「前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記スクリーニング及び/又は最適化モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I3)を処理して、デジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)に基づく、スクリーニング及び/又は最適化モデル(M3)を開発するステップ」なる記載についても同様の点が指摘される。 すなわち、D3~D5に基づいてM3を開発するための具体的な処理が発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。また、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 第4 当審の判断(理由1(特許法36条6項1号違反)について) 1 理由1の(1)について (1)請求項1の記載 請求項1の「少なくとも1つの薬物の特性化及び最適化に適用される計算モデル化及びシミュレーションのための方法」におけるステップとして、請求項1は、「前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記薬理学的及び/又は生理学的モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報を処理して、前記デジタルモデル化データの第1の格納されたセット(D1)及び/又は前記デジタルモデル化データの第2の格納されたセット(D2)に基づいて、薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)を開発するステップ」を記載している。 この記載は、(ア)「前記計算プラットフォーム(1)を用い」て「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」を「開発」すること、(イ)その際、「前記薬理学的及び/又は生理学的モデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報を処理し」て「開発」すること、(ウ)「前記デジタルモデル化データの第1の格納されたセット(D1)及び/又は前記デジタルモデル化データの第2の格納されたセット(D2)に基づ」いて「開発」することを特定する記載となっている。(以下「前記デジタルモデル化データの第1の格納されたセット(D1)」、「前記デジタルモデル化データの第2の格納されたセット(D2)」をそれぞれ単に「D1」、「D2」と表記する。) そして、(ア)の「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」の記載と(ウ)のD1~D2についての記載は、いずれも「及び/又は」の接続詞により接続されたものとなっていることから、請求項1の記載は、「計算プラットフォームを用い」た「開発」の態様として、(a)「薬理学的モデル」をD1に基づいて開発するもの、(b)「生理学的モデル」をD1に基づいて開発するもの、(c)「薬理学的モデル」及び「生理学的モデル」をD1に基づいて開発するもの、(d)「薬理学的モデル」をD2に基づいて開発するもの、(e)「生理学的モデル」をD2に基づいて開発するもの、(f)「薬理学的モデル」及び「生理学的モデル」をD2に基づいて開発するもの、(g)「薬理学的モデル」をD1及びD2に基づいて開発するもの、(h)「生理学的モデル」をD1及びD2に基づいて開発するもの、(i)「薬理学的モデル」及び「生理学的モデル」をD1及びD2に基づいて開発するもののいずれかのものを示す記載となっている。 (2)発明の詳細な説明の記載 ア 本願発明が解決しようとする課題について 発明の詳細な説明の段落【0010】~【0014】の記載によれば、本願発明が解決しようとする課題は、「薬物の特性化及び/又は最適化に関する「インシリコ試験」の技術分野において、「実験活動を可能な限り代替し、より広く、より良い形で支援するために、より広く、より統合的に薬物の研究及び開発を取り扱うことができる」計算モデル化及びシミュレーションのツールが必要(段落【0010】)であることから、「考慮された技術分野において特に感じられる上述の要件を満たす」、計算モデル化及びシミュレーションのための方法を提供することである。 なお、段落【0014】には、「先行技術を参照して上述した欠点を少なくとも部分的に回避することを可能とし」との記載があるが、この記載は、課題に係る一般論を抽象的に述べたものにすぎないから、発明の技術上の意義を理解するために必要な事項や本願発明が解決しようとする課題を示す記載でないことが明らかである。 イ 開発される「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」について、発明の詳細な説明には、次のとおりの記載がある。 【0041】 いくつかの可能な実施形態の方法によると、薬学的モデルM1は、パターンが標的介在性である薬物の分布及びクリアランスを記述するモデルから構成されるか、又は、全身循環中の鎮痛薬のレベルと、癌患者の集団における慢性疼痛の低減に対するそれらの効果との間の関係を同定するモデルから構成され得る。 【0042】 本方法のいくつかの可能な実施形態のオプションによると、生理学的モデルM1は、全身循環中の薬物の濃度を代謝酵素の発現レベル及び器官の発達の関数として記述して年齢、体重及び性別の特定の特徴を有する小児患者に投与されるべきそのような薬物の投与量を計算するモデル、又は、特定の薬物の分布及びパターンに対するP-糖タンパク質トランスポータの遮断の薬理学的効果を記述するモデルから構成され得る。」 これらの記載においては、「薬学的モデル」は「パターンが標的介在性である薬物の分布及びクリアランスを記述するモデル」(以下「薬学的モデル1」という。)と「全身循環中の鎮痛薬のレベルと、癌患者の集団における慢性疼痛の低減に対するそれらの効果との間の関係を同定するモデル」(以下「薬学的モデル2」という。)のいずれかにより構成され得るものであり、また、「生理学的モデル」は、「全身循環中の薬物の濃度を代謝酵素の発現レベル及び器官の発達の関数として記述して年齢、体重及び性別の特定の特徴を有する小児患者に投与されるべきそのような薬物の投与量を計算するモデル」(以下「生理学的モデル1」という。)と「特定の薬物の分布及びパターンに対するP-糖タンパク質トランスポータの遮断の薬理学的効果を記述するモデル」(以下「生理学的モデル2」という。)のいずれかにより構成され得るものである。 ウ(ア)D1は、請求項1の「少なくとも1つの薬物が相互作用することが意図されている個人の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す現実及び/又は仮想の個人の、化学的、化学物理学的、生物学的、薬理学的、生理学的、遺伝学的、薬物動態学的、薬力学的、及び臨床学的データ、並びに/又は、そのような相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む、デジタルモデル化データの第1のセット(D1)」を「格納するステップ」の記載に示されたものであるところ、D1について、発明の詳細な説明においては、次のとおりの記載がある。 「【0023】 デジタルモデル化データの第1のセットD1は、少なくとも1つの薬物が相互作用することが意図されている個人の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す現実及び/又は仮想の個人の、化学的、化学物理学的、生物学的、薬理学的、生理学的、遺伝学的、薬物動態学的、薬力学的、及び臨床学的特徴の指標となるデータ、並びに/又は、前記相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む。 【0024】 例えば、デジタルモデル化データの第1のセットD1は、少なくとも1つの薬物が相互作用することが意図されている個人の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す現実及び/又は仮想の個人の、化学的及び/又は化学物理学的及び/又は生物学的及び/又は薬理学的及び/又は生理学的及び/又は遺伝学的及び/又は薬物動態学的及び/又は薬力学的及び/又は臨床学的データ、並びに/又は、そのような相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む。 【0025】 そのようなデータ(「モーダルデータ」とも呼ぶ)は、例えば、薬物の1つ以上の分子と個人との間の相互作用の結果として得られる。 【0026】 本方法の様々な可能な実施形態によると、上記の生物学的モーダルデータは、例えば、ワクチンに対して作用する抗体の炎症過程又は運動過程に関するインターロイキン-6タンパク質の阻害データを含み得る。上記薬理学的モーダルデータは、生物学的対象に対する化学的又は生物学的化合物の反発的又は阻害的親和性データ、又は、特定の集団における薬物-薬物間相互作用データ若しくは用量反応関係データを含み得る。上記生理学的モーダルデータは、薬物投与後の血圧又はクレアチニンレベル又は心電図データを含み得る。上記遺伝学的モーダルデータは、酵素CYP450 2D6の遺伝的多型により、又はP-糖タンパク質排出ポンプにより、又は特定のモノヌクレオチドにより引き起こされる効果のデータを含み得る。上記薬力学的モーダルデータは、全身循環内又は組織内又は器官内の化学物質又は生物学的化合物の濃度データを含み得る。上記薬力学的及び臨床学的モーダルデータは、HERG2(Human Epidermal Growth Factor Receptor 2、ヒト上皮成長因子受容体2)疾患バイオマーカデータ、又は、NPS(Neuropathic Pain Scale、神経障害性疼痛尺度)スコアデータ、又は、ADAS-Cog(Alzheimer’s Disease Assessment Scale - Cognitive、アルツハイマー病評価尺度-認知行動)スコアデータを含み得る。」 (イ)D2は、請求項1の「前記少なくとも1つの薬物が試験されることが意図される動物の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す1つ以上の現実及び/又は仮想の動物の、生物学的、薬理学的、遺伝学的、生理学的、薬物動態学的、薬力学的データ、並びに/又は、試験相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む、デジタルモデル化データの第2のセット(D2)」を「格納するステップ」の記載に示されたものであるところ、D2について、発明の詳細な説明においては、次のとおりの記載がある。 「【0027】 デジタルモデル化データの第2のセットD2は、少なくとも1つの薬物が試験されることが意図される動物の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す1つ以上の現実及び/又は仮想の動物の、化学的、化学物理学的、生物学的、薬理学的、生理学的、遺伝学的、薬物動態学的、薬力学的特徴の指標となるデータ、並びに/又は、そのような相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む。 【0028】 例えば、デジタルモデル化データの第2のセットD2は、少なくとも1つの薬物が試験されることが意図される動物の1つ以上の生物学的及び/又は有機的及び/又は機能的部分を指す1つ以上の現実及び/又は仮想の動物の、生物学的、薬理学的、生理学的、遺伝学的、薬物動態学的、薬力学的データ、並びに/又は、そのような相互作用から生じる1つ以上の効果を指すデータを含む。 【0029】 そのようなデータ(「モーダルデータ」とも呼ぶ)は、例えば、薬物の1つ以上の分子と動物との間の相互作用の結果として得られる。 【0030】 個人を指す上で言及した例はまた、動物における薬物の特性化及び最適化のために得られる生物学的、薬理学的、生理学的、遺伝学的及び薬物動態学的モーダルデータの例をも提供する。 【0031】 上述の動物における薬力学的モーダルデータに関して、例えば、ヒト上皮成長因子受容体2(HER-2/neu)のトランスジェニックマウスにおける乳癌の進行に関する生存データ、フリックテールテストにおいて評価される疼痛に対する薬物の有効性データ、又は、化学的若しくは生物学的化合物の投与によるイオンチャネル阻害によるイヌのQT延長データを含み得る。」 (3)判断 (1)の請求項1の記載と(2)の発明の詳細な説明の記載を対比する。 ア 請求項1の記載が示す上記(1)の(a)~(i)の態様のうち、(a)は、上記(2)ウ(ア)のD1の具体例のいずれかのみにより上記(2)イの「薬学的モデル1」又は「薬学的モデル2」のいずれかのみを開発するものであるところ、これらは、D1のデータの単独の態様による薬学的モデル単独のモデルの開発を行う旨を示すものとなっている。これに対し、本願発明が解決しようとする課題は上記(2)アに記載のとおりであり、いうなれば、本願発明が解決しようとする課題は、従来技術における、単独態様及び単独モデルによるインシリコ試験によって達成することができなかった、実験活動を可能な限り代替することによる、「より広く、より良い形で支援するために、より広く、より統合的に薬物の研究及び開発を取り扱うことができる」計算モデル化及びシミュレーションの方法の提供であるから、D1のデータの単独の態様による薬学的モデル単独のモデルの開発を行うことが可能であるとしても、これによっては、上記(2)アに示した本願発明の課題の解決手段にならないことが明らかである。 例えば、仮に、D1として適切な「現実の個人」の「薬理学的データ」を選択することによって「薬学的モデル1」を「計算プラットフォームを用い」て「開発」することが可能であることが技術常識であるとしても、請求項1の記載が含むこの「開発」のみを行う(a)の態様によっては、これ以外の「計算プラットフォームを用い」た「開発」は可能とならないことから、上記(2)アの課題の解決手段にならない。 この点は、(b)(d)(e)の態様についても同様であり、これらの態様を含む点において、請求項1の記載は、課題の解決手段にならないもの(課題を解決しない従来技術に相当するもの)を含むものとなっている。 イ (a)の態様は、D1に基づいて「薬学的モデル1」(「パターンが標的介在性である薬物の分布及びクリアランスを記述するモデル」)を「開発」する態様を含むところ、D1が(2)ウ(ア)のいずれであるかについては請求項1に記載がなく、請求項1は、これがいずれであってもかまわないものとなっており、D1は、「現実及び/又は仮想の個人」についての、「化学的データ」、「化学物理学的データ」、「生物学的データ」、「薬理学的データ」、「生理学的データ」、「遺伝学的データ」、「薬物動態学的データ」、「薬力学的データ」及び「臨床学的データ」のうちの単独のものとこれらのいくつかを組み合わせたものを含むものとなっている。 これに対し、発明の詳細な説明は、D1に含まれる「現実及び/又は仮想の個人」についての、「化学的データ」、「化学物理学的データ」、「生物学的データ」、「薬理学的データ」、「生理学的データ」、「遺伝学的データ」、「薬物動態学的データ」、「薬力学的データ」及び「臨床学的データ」のうちの単独のものとこれらのいくつかを組み合わせたものに基づいて、「薬学的モデル1」を「開発」することが可能であることを示すものとなっていない。また、このような「開発」を可能とするために必要な技術的事項が技術常識であるとも認められない。 例えば、「仮想の個人」の「化学的データ」や「現実の個人」の「化学的データ」と「遺伝学的データ」の組み合わせを含むものであるから、(a)の態様は、例えば、「仮想の個人」の「化学的データ」に基づいて「薬学的モデル1」を「開発」するものや「現実の個人」の「化学的データ」と「遺伝学的データ」の組み合わせに基づいて「薬学的モデル1」を「開発」するものを含むところ、発明の詳細な説明においては、このような「開発」について何ら記載されておらず、また、このような「開発」を可能とするために必要となる事項が技術常識であるとも認められない。 (a)の態様に着目したD1による「薬学的モデル1」の「開発」についてのみならず、(a)~(i)の態様における、D1とD2のいずれかまたは両方による「薬理学的モデル」(「薬学的モデル1」又は「薬学的モデル2」)と「生理学的モデル」(「生理学的モデル1」又は「生理学的モデル2」)いずれか又は両方の「開発」についても同様であって、発明の詳細な説明は、それぞれの態様に含まれる「開発」を可能とするために必要となる事項を開示したものとなっていない。 なお、D1のうち、「化学的データ」については、段落【0026】の記載において、その例も示されていない。 ウ 請求項1では「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」が何かを特定していないのに対し、発明の詳細な説明においては、「薬学的モデル1」、「薬学的モデル2」、「生理学的モデル1」及び「生理学的モデル2」を開示する一方で、他の「薬理学的モデル」や他の「生理学的モデル」を開示していない。そして、「薬学的モデル1」及び「薬学的モデル2」以外の「薬理学的モデル」や「生理学的モデル1」及び「生理学的モデル2」以外の「生理学的モデル」にはどのようなものがあるか、どのようなものであれば、D1とD2のいずれか又はその両方に基づいて「開発」することができるのかを示す記載が見当たらない。 エ (f)の態様と(i)の態様は、D1とD2の同じデータから「薬理学的モデル」と「生理学的モデル」の両方を「開発」するものを含むのに対し、発明の詳細な説明は、D1とD2の同じデータから「薬理学的モデル」と「生理学的モデル」の両方を「開発」することについて何ら記載されておらず、また、このような「開発」を可能とするために必要となる技術的事項が技術常識であるとも認められない。 オ 請求項1のD1及びD2は、「遺伝学的データ」や「臨床学的データ」を含むところ、これらを用いて「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」を「開発」することが可能とするために必要な技術的事項が技術常識であるとも認められない。 そして、上記アと関連して、請求項1のD1及びD2を特定する記載は、「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」の「開発」に係る技術常識が存在しないようなデータをも含むものとなっており、オプションの束が「開発」に係る一定の機能を表現しているといえないことも明らかである。そのことを踏まえれば、仮にM1の開発に係る技術常識が束に含まれるいくつかのオプションについて示されても、そのことによって束全体についてサポート要件が満たされることにならない。 2 理由1の(2)について (1)請求項1の記載 請求項1の「少なくとも1つの薬物の特性化及び最適化に適用される計算モデル化及びシミュレーションのための方法」におけるステップとして、請求項1は、「前記計算プラットフォーム(1)を用いて、前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I2)を処理して、デジタルモデル化データの前記第1の格納されたセット(D1)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第2の格納されたセット(D2)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)に基づく、化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)を開発するステップ」を記載している。 この記載は、(ア)「前記計算プラットフォーム(1)を用い」て「化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)」を「開発」すること、(イ)その際、「前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報(I2)を処理し」て「開発」すること、(ウ)「デジタルモデル化データの前記第1の格納されたセット(D1)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第2の格納されたセット(D2)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)に基づき、及び/又はデジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)に基づ」いて「開発」すること、を特定する記載となっている。 (以下「前記デジタルモデル化データの第1の格納されたセット(D1)」、「前記デジタルモデル化データの第2の格納されたセット(D2)」、「デジタルモデル化データの前記第3の格納されたセット(D3)」、「デジタルモデル化データの前記第4の格納されたセット(D4)」、「デジタルモデル化データの前記第5の格納されたセット(D5)」をそれぞれ単に「D1」、「D2」、「D3」、「D4」、「D5」と表記する。) そして、(ア)の「化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)」の記載と(ウ)のD1~D5についての記載は、いずれも「及び/又は」の接続詞により接続されたものとなっていることから、請求項1の記載は、「計算プラットフォームを用い」た「開発」の態様として、(a)「化学的システムモデル」をD1~D5のいずれかに基づいて「開発」するもの、(b)「化学的システムモデル」をD1~D5のうちのいくつかの組み合わせに基づいて「開発」するもの、(c)「薬理学的システムモデル」をD1~D5のいずれかに基づいて「開発」するもの、(d)「薬理学的システムモデル」をD1~D5のうちのいくつかの組み合わせに基づいて「開発」するもの、(e)「生物学的システムモデル」をD1~D5のいずれかに基づいて「開発」するもの、(f)「生物学的システムモデル」をD1~D5のうちのいくつかの組み合わせに基づいて「開発」するもの、(g)「化学的システムモデル」、「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」のうちのいくつかの組み合わせをD1~D5のいずれかに基づいて「開発」するもの、(h)「化学的システムモデル」、「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」のうちのいくつかの組み合わせをD1~D5のうちのいくつかの組み合わせに基づいて「開発」するもの、のいずれかのものを示す記載となっている。 (2)発明の詳細な説明の記載 ア 本願発明の課題について 発明の詳細な説明の段落【0010】~【0014】には、本願発明が解決しようとする課題について、上記1(2)アに示したとおり、記載されている。 イ 開発される「化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)」について、発明の詳細な説明には、次のとおりの記載がある。 「【0043】 本方法は次に、上述のデジタルモデル化データの第1の格納されたセットD1及び/又は第2の格納されたセットD2及び/又は第3の格納されたセットD3及び/又は第4の格納されたセットD4及び/又は第5の格納されたセットD5に基づく化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的及び/又は治療学的システムモデルM2を開発するための、化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的及び/又は治療学的システムモデルの選択及び/又は定義及び/又は設定に関する情報I3を、計算プラットフォーム1により処理するステップを含む。 【0044】 本方法の異なる可能な実施形態のオプションによると、化学的及び/又は薬学的及び/又は生物学的及び/又は治療学的システムの上述のモデルM2は、分子振動円二色性スペクトルの分析に基づいてキラル化合物の絶対配置を割り当てる化学的システムを指し、並びに/又は、血液及び/又は血漿、脳脊髄液及び中枢神経系の間の薬物の分布を記述する薬理学的システムを指し、並びに/又は、免疫系(B細胞及び血漿細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、マクロファージ、抗体、サイトカイン)及び腫瘍細胞及び/又はワクチンとの可能な相互作用を表す生物学的システムを指し、並びに/又は、除脂肪筋量、病歴、QoLアンケートの結果、及び栄養勧告を統合した患者の栄養状態に関する治療学的システムを指し得る。」 これらの記載においては、「化学的システムモデル」は「分子振動円二色性スペクトルの分析に基づいてキラル化合物の絶対配置を割り当てる化学的システム」を指すものであり、「薬理学的システムモデル」は、「血液及び/又は血漿、脳脊髄液及び中枢神経系の間の薬物の分布を記述する薬理学的システム」を指すものであり、「生物学的システムモデル」は、「免疫系(B細胞及び血漿細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、マクロファージ、抗体、サイトカイン)及び腫瘍細胞及び/又はワクチンとの可能な相互作用を表す生物学的システム」を指すものである。 ウ(ア)D1、D2についての発明の詳細な説明の記載は、上記1(2)ウ(ア)及び(イ)のとおりである。 (イ)D3は、請求項1の「前記少なくとも1つの薬物の研究及び開発のために選択される化学的化合物及び/又は生物学的化合物及び/又は薬物の化学物理学的特性及び/又は機能及び/又は構造及び/又は挙動の指標となる、デジタルモデル化データの第3のセット(D3)」を「格納するステップ」の記載に示されたものであるところ、D3について、発明の詳細な説明においては、次のとおりの記載がある。 「【0032】 デジタルモデル化データの第3のセットD3は、少なくとも1つの薬物の研究及び開発のために選択される化学的化合物及び/又は生物学的化合物及び/又は薬物の化学物理学的特性及び/又は機能及び/又は構造及び/又は挙動の指標となるデータを含む。」 (ウ)D4は、請求項1の「前記少なくとも1つの薬物の研究及び開発のために選択される生物学的対象の化学物理学的特性及び/又は機能及び/又は構造及び/又は挙動の指標となる、デジタルモデル化データの第4のセット(D4)」を「格納するステップ」の記載に示されたものであるところ、D4について、発明の詳細な説明においては、次のとおりの記載がある。 「【0033】 デジタルモデル化データの第4のセットD4は、少なくとも1つの薬物の開発のために選択される生物学的対象の化学物理学的特性及び/又は機能及び/又は構造及び/又は挙動の指標となるデータを含む。」 (エ)D5は、請求項1の「前記少なくとも1つの薬物が指向される1つ以上の疾患及び/又は治療領域に関する化学的、化学物理学的、生物学的、遺伝学的、生理学的、臨床学的、薬理学的、薬力学的、及び薬物動態学的データの指標となる、デジタルモデル化データの第5のセット(D5)」を「格納するステップ」の記載に示されたものであるところ、D5について、発明の詳細な説明においては、次のとおりの記載がある。 「【0034】 デジタルモデル化データの第5のセットD5は、薬物が指向される1つ以上の疾患及び/又は治療領域に関する化学的、化学物理学的、生物学的、遺伝学的、生理学的、臨床学的、薬理学的、薬力学的、及び薬物動態学的データの指標となるデータを含む。 【0035】 本方法の異なる可能な実施形態によると、データの第5のセットD5の上述のデータを参照して、化学的データは、例えば、特定の変異原性又は遺伝毒性の特性を有する分子官能基のデータを含み得る。化学物理学的データは、急性炎症状態における血管透過性のデータ、又は胃腸障害における胃酸値のデータを含み得る。生物学的データは、乳腺マイクロバイオーム及びマラリアの間の相互関係に関するデータ、又は、乾癬の病態における腫瘍壊死因子α(TNF-α)の役割に関するデータを含み得る。遺伝学的データは、卵巣及び乳房以外の臓器の癌の形態に関するBRCA1及びBRCA2遺伝子の特定の変異に関するデータを含み得る。生理学的データは、肥満につながる環境成分に関するデータを含み得る。薬理学的データは、肝臓癌患者を含む異種移植試験からのデータを含み得る。薬力学的データは、サルコペニック患者におけるCT画像のセグメンテーションから得られる除脂肪筋肉のデータを含み得る。薬物動態学的データは、リウマチ疾患における血中及び尿中のコルチゾールレベルに関するデータ、又はうつ病障害における神経伝達物質セロトニンの変換率に関するデータを含み得る。」 (3)判断 (1)の請求項1の記載と(2)の発明の詳細な説明の記載を対比する。 ア 請求項1の記載が示す上記(1)の(a)~(h)の態様のうち、(a)は、上記ウ(ア)(上記1(2)のウ(ア))のD1の具体例のいずれかのみにより上記(2)イの「化学的システムモデル」のみを開発するものを含むところ、これらは、D1のデータの単独の態様による化学的システムモデル単独のモデルの開発を行う旨を示すものとなっている。これに対し、本願発明が解決しようとする課題は(2)ア(上記1(2)ア)に示したとおりであり、いうなれば、本願発明が解決しようとする課題は、従来技術における、単独態様及び単独モデルによるインシリコ試験によって達成することができなかった、実験活動を可能な限り代替することによる、「より広く、より良い形で支援するために、より広く、より統合的に薬物の研究及び開発を取り扱うことができる」計算モデル化及びシミュレーションの方法の提供であるから、D1のデータの単独の態様による化学的システムモデル単独のモデルの開発を行うことが可能であるとしても、これによっては、上記(2)アに示した課題の解決手段にならないことが明らかである。 例えば、仮に、D1として適切な「現実の個人」の「化学的データ」を選択することによって「化学的システムモデル」を「計算プラットフォームを用い」て「開発」することが可能であることが技術常識であるとしても、請求項1の記載が含むこの「開発」のみを行う(a)の態様における、D1のみに基づいて「化学的システムモデル」を「開発する」ものによっては、これ以外の「計算プラットフォームを用い」た「開発」は可能とならないことから、本願発明の課題の解決手段にならない。 この点は、(a)(c)(e)の態様のうち、D1~D5の単独のものを用いるものについても同様であり、これらを含む点において、請求項1の記載は、課題の解決手段にならないもの(課題を解決しない従来技術に相当するもの)を含むものとなっている。 イ (a)の態様は、D1に基づいて「化学的システムモデル」(「分子振動円二色性スペクトルの分析に基づいてキラル化合物の絶対配置を割り当てる化学的システム」を指すモデル)を「開発」する態様を含むところ、D1が1(2)ウ(ア)のいずれであるかについては請求項1に記載がなく、請求項1は、これがいずれであってもかまわないものとなっており、D1は、「現実及び/又は仮想の個人」についての、「化学的データ」、「化学物理学的データ」、「生物学的データ」、「薬理学的データ」、「生理学的データ」、「遺伝学的データ」、「薬物動態学的データ」、「薬力学的データ」及び「臨床学的データ」のうちの単独のものとこれらのいくつかを組み合わせたものを含むものとなっている。 これに対し、発明の詳細な説明は、D1に含まれる「現実及び/又は仮想の個人」についての、「化学的データ」、「化学物理学的データ」、「生物学的データ」、「薬理学的データ」、「生理学的データ」、「遺伝学的データ」、「薬物動態学的データ」、「薬力学的データ」及び「臨床学的データ」のうちの単独のものとこれらのいくつかを組み合わせたものに基づいて、「化学的システムモデル」を「開発」することが可能であることを示すものとなっていない。また、このような「開発」を可能とするために必要な技術的事項が技術常識であるとも認められない。 例えば、「仮想の個人」の「生物学的データ」や「現実の個人」の「生物学的データ」と「遺伝学的データ」の組み合わせを含むものであるから、(a)の態様は、例えば、「仮想の個人」の「生物学的データ」に基づいて「化学的システムモデル」を「開発」するものや「現実の個人」の「生物学的データ」と「遺伝学的データ」の組み合わせに基づいて「化学的システムモデル」を「開発」するものを含むところ、発明の詳細な説明においては、このような「開発」について何ら記載されておらず、また、このような「開発」を可能とするために必要となる事項が技術常識であるとも認められない。 (a)の態様に着目したD1による「化学的システムモデル」の「開発」についてのみならず、(a)~(h)の態様における、D1~D5のいずれかまたはそれらの組み合わせによる「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」のいずれかやこれらの組み合わせについての「開発」についても同様であって、発明の詳細な説明は、それぞれの態様に含まれる「開発」を可能とするために必要となる事項を開示したものとなっていない。 ウ (g)の態様及び(h)の態様は、D1~D5の同じデータから「化学的システムモデル」、「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」のうちのいくつかの組み合わせを「開発」するものを含むのに対し、発明の詳細な説明は、D1~D5の同じデータから「化学的システムモデル」、「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」のうちのいくつかの組み合わせを「開発」することについて何ら記載されておらず、また、このような「開発」を可能とするために必要となる技術的事項が技術常識であるとも認められない。 エ 請求項1のD1及びD2は、「遺伝学的データ」や「臨床学的データ」を含むところ、これらを用いて「化学的システムモデル」、「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」を「開発」することが可能とするために必要な技術的事項が技術常識であるとも認められない。 そして、上記アと関連して、請求項1のD1及びD2を特定する記載は、「化学的システムモデル」、「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」の「開発」に係る技術常識が存在しないようなデータをも含むものとなっており、オプションの束が「開発」に係る一定の機能を表現しているといえないことも明らかである。そのことを踏まえれば、仮にM2の開発に係る技術常識が束に含まれるいくつかのオプションについて示されても、そのことによって束全体についてサポート要件が満たされることにならない。 3 小括 上記1(3)及び2(3)によれば、請求項1に記載された発明は、上記1(1)及び2(1)の記載について、発明の詳細な説明に記載された発明でなく、また、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲や発明の詳細な説明にその記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでもない。 よって、特許請求の範囲(請求項1)の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。 第5 当審の判断(理由2(特許法36条4項1号違反)について) 1 理由2の(1)について 上記第4に示したとおり、発明の詳細な説明には、「デジタルモデル化データの第1のセット(D1)」、「デジタルモデル化データの第2のセット(D2)」及び「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」がどのようなものであるのかが記載されているものの、前記「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」をどのように開発するのかについて具体的には記載されておらず、本願出願時の技術常識に鑑みても、当業者が、「デジタルモデル化データの第1のセット(D1)」及び「デジタルモデル化データの第2のセット(D2)」に基づいて「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」を開発できたとはいえない。 また、例えば、発明の詳細な説明の段落【0023】の記載から「デジタルモデル化データの第1のセット(D1)」として「少なくとも1つの薬物が相互作用することが意図されている個人の1つ以上の生物学的部分を指す現実の個人の、化学的特徴の指標となるデータ」を選択し、同【0027】の記載から「デジタルモデル化データの第2のセット(D2)」として「少なくとも1つの薬物が試験されることが意図される動物の1つ以上の機能的部分を指す1つ以上の仮想の動物の、薬力学的特徴の指標となるデータ」を選択した場合のように、互いの対応関係が不明な2つのデータを選択した場合に、本願出願時の技術常識に鑑みても、当業者が、それらに基づいて「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」を開発できたとはいえない。 なお、第4の1(3)オに示したとおり、請求項1のD1及びD2を特定する記載は、「薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)」の「開発」に係る技術常識が存在しないようなデータをも含むものとなっており、オプションの束が「開発」に係る一定の機能を表現しているともいえない。本件は、「開発」のためのデータに係る記載が示す束に含まれる特定のオプションについて実施可能であることによって他のオプションを含めた束全体について実施可能であるとすべき事案ではない。 したがって、発明の詳細な説明の記載は、本願発明の全体について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 2 理由2の(2)について 上記第4に示したとおり、発明の詳細な説明には、「デジタルモデル化データの第1のセット(D1)」、「デジタルモデル化データの第2のセット(D2)」、「デジタルモデル化データの第3のセット(D3)」、「デジタルモデル化データの第4のセット(D4)」、「デジタルモデル化データの第5のセット(D5)」及び「化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)」がどのようなものであるのかが記載されているものの、前記「化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)」をどのように開発するのかについて具体的には記載されておらず、本願出願時の技術常識に鑑みても、当業者が、「デジタルモデル化データの第1のセット(D1)」、「デジタルモデル化データの第2のセット(D2)」、「デジタルモデル化データの第3のセット(D3)」、「デジタルモデル化データの第4のセット(D4)」及び「デジタルモデル化データの第5のセット(D5)」に基づいて「化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)」を開発できたとはいえない。 また、例えば、発明の詳細な説明の段落【0023】の記載から「デジタルモデル化データの第1のセット(D1)」として「少なくとも1つの薬物が相互作用することが意図されている個人の1つ以上の生物学的部分を指す現実の個人の、化学的特徴の指標となるデータ」を選択し、同【0027】の記載から「デジタルモデル化データの第2のセット(D2)」として「少なくとも1つの薬物が試験されることが意図される動物の1つ以上の機能的部分を指す1つ以上の仮想の動物の、薬力学的特徴の指標となるデータ」を選択した場合のように、互いの対応関係が不明な2つのデータを選択した場合に、本願出願時の技術常識に鑑みても、当業者が、それらに基づいて「化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)」を開発できたとはいえない。 なお、第4の1(3)オに示したとおり、請求項1のD1及びD2を特定する記載は、「化学的システムモデル」、「薬理学的システムモデル」、「生物学的システムモデル」の「開発」に係る技術常識が存在しないようなデータをも含むものとなっており、オプションの束が「開発」に係る一定の機能を表現しているともいえない。本件は、「開発」のためのデータに係る記載が示す束に含まれる特定のオプションについて実施可能であることによって他のオプションを含めた束全体について実施可能であるとすべき事案ではない。 3 小括 以上を踏まえれば、発明の詳細な説明の記載は、請求項1に記載された発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 よって、発明の詳細な説明は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 第6 請求人の主張について 1 請求人の主張の概要 (1)薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)については、本願の発明の詳細な説明の段落[0040]~[0042]に記載されている。モデル(M1)に用いるD1~D2については、本願の発明の詳細な説明の段落[0024]~[0031]に記載されている。 化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)については、本願の発明の詳細な説明の段落[0043]~[0044]に記載されている。モデル(M2)に用いるD1~D5については、本願の発明の詳細な説明の段落[0024]-[0035]に記載されている。 本願の発明の詳細な説明の段落[0052」、[0053]の記載によれば、本願の発明の詳細な説明には、M1を開発するにあたって、「例えばNONMEM(登録商標)、Monolix、PK-SIM、MATLAB(登録商標)等、それ自体知られている計算シミュレーションソフトウェアプログラム又はパッケージ」を利用することが、具体的に特定されている。 例えばNONMEM(登録商標)、Monolix、PK-SIM、MATLAB(登録商標)等、それ自体知られている計算シミュレーションソフトウェアプログラム又はパッケージを利用してモデルの開発を行う当業者であれば、D1及び/又はD2からM1の開発を行うことができることは明らかである。 したがって、D1やD2に基づいてM1を開発するための具体的な処理が発明の詳細な説明に記載され、また、この出願の発明の詳細な説明には、D1やD2に基づいてM1を開発するための具体的な処理について、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。 (2)特許請求の範囲に記載された発明は、そもそも、薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)、化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)、スクリーニング及び/又は最適化モデル(M3)といった、特別なモデルの設定、又は、特別な予測アルゴリズムの定義、又は、特別な疾患のための特別な薬の開発又は試験を目的としたものではない。つまり、モデルM1~M3それ自体が重要なのではなく、これらをどのように使用するかという点に重きが置かれたものである。特許請求の範囲に記載された発明の目的は、その記載及び明細書の内容から明らかなように、前臨床試験又は臨床試験において薬剤の有効性及び/又は安全性を予測することを目的としたモデル化及び計算シミュレーション方法を提供することである。特許請求の範囲に記載された発明は、複数の疾患に対する広範な複数の薬剤に適用可能であり、複数の可能なモデルを使用する。 (3)一般に、モデルは、入出力関係を表現するものであって、多数のデータに基づいて入力と出力との相関関係を定量的に同定して、出力となる変数の精度を向上させる手法と考えるのが技術常識である。このようなモデルを利用する当業者は、利用しようとするモデルの使用方法を理解していればよく、モデルにおいて実際に実行される具体的な情報処理の内容を把握している必要がないのは、いうまでもないことである。 2 以下のとおり、上記1の請求人の主張は、いずれも採用することができない。 (1)本願発明において、「計算シミュレーションソフトウェアプログラム又はパッケージ」を利用するのは、「前記1つ以上の計算シミュレーションソフトウェアプログラム(S5)を用いて、前記入力設定データ(Din)に基づき、前記薬理学的及び/又は生理学的モデル(M1)に基づき、前記化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的システムモデル(M2)に基づき、並びに、前記スクリーニング及び/又は最適化モデル(M3)に基づいて、1つ以上のシミュレーションを実行して、前記計算モデル化及び/又はシミュレーションの出力データ(Dout)を獲得するステップ」であって、M1及びM2について「開発するステップ」ではない。 これは、発明の詳細な説明の段落【0049】の「・・・と、上述の薬理学的及び/又は生理学的モデルM1と、化学的及び/又は薬理学的及び/又は生物学的及び/又は治療学的システムモデルM2と、・・・とに基づいて、1つ以上の計算モデル化及び/又はシミュレーションソフトウェアプログラムにより計算モデル化及びシミュレーションを実行して、計算シミュレーションの出力データDoutを獲得するステップ」の記載及び同【0052】の「上述の「デジタルモデル」M1,M2,M3は、例えば、上述の示されたそれぞれのエンティティをデジタル的に表現するために適した構造化されたデジタルデータセットを含み得る。これらの構造化されたデジタルデータセットは、計算シミュレーションソフトウェアプログラム又はパッケージによって取り扱われ、又は処理される。」の記載から明らかである。 請求人が主張において参照する段落【0040】~【0042】、【0024】~【0031】、【0052】【0053】を含め、発明の詳細な説明の他の箇所においても、「計算シミュレーションソフトウェアプログラム又はパッケージ」を利用してM1及びM2を開発することは記載されていない。 したがって、M1及びM2を開発するにあたって、それ自体知られている計算シミュレーションソフトウェアプログラム又はパッケージを利用することが具体的に特定されており、この出願の発明の詳細な説明には、D1やD2に基づいてM1を開発するための具体的な処理やD1~D5に基づいてM2を開発するための具体的な処理について、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとの請求人の主張は採用できない。 (2)本願発明において、モデルM1~M3は、「それ自体知られている計算シミュレーションソフトウェアプログラム又はパッケージ」による計算モデル化及びシミュレーションの入力にあたるものとして、特許請求の範囲においてこれらを「開発するステップ」を含む旨が明示されていることから、モデルM1~M3自体が重要か否かはともかく、これらを「開発するステップ」についての記載についても、記載要件に適合することを要する。その意味で、モデルM1~M3それ自体が重要なのではない旨をいう請求人の主張は、採用できない。 (3)「モデルにおいて実際に実行される具体的な情報処理の内容」とは、前記モデルを入力として実行される計算モデル化及びシミュレーションにおける情報処理の内容であって、前記モデルを開発するための情報処理の内容ではない。 そして、発明の詳細な説明には、前記モデルを開発する情報処理について具体的には記載されておらず、また、本願出願時の技術常識に鑑みても、当業者が前記モデル自体を開発することができる程度に明確かつ十分に記載されているともいえない。 第7 むすび 以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が同条6項1号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載が特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-021432

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    共通の審決分類: 537・G16C
  • 2023-021218拒絶査定不服審判 / 2024-04-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)化合物の環境・生体有害性の評価方法及び設計方法、化学物質の製造方法、化合物並びに…
    共通の審決分類: 537・G16C
  • 2022-700278異議申立 / 2023-10-23 / 訂正認容材料設計システム、材料設計方法、及び材料設計プログラム
    共通の審決分類: 537・G16C

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