特許拒絶査定不服審判
2023-019984
駆動装置、及び、駆動装置の制御方法
- 審判番号
- 2023-019984
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-060257
- 請求日
- 2023年11月27日
- 審決日
- 2024年10月29日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】新電元工業株式会社
- 【請求人代理人】出口 智也
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 山崎 慎一
- 審判官 脇岡 剛
- 分類
- P18 .121-WY (H02M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第50条の2、特許法第164条、特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 60257「駆動装置、及び、駆動装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月14日出願公開、特開2022- 88606、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)9月6日を国際出願日とする特願2019-567837号(パリ条約による優先権主張2018年1月23日(以下、「優先日」という。)、日本)の一部を令和4年3月31日に新たな特許出願としたものであって、令和4年4月1日に上申書が提出され、令和5年2月20日付けで特許法50条の2の通知付きの拒絶の理由が通知されたところ、出願人からの応答が無く、同年8月24日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。謄本送達日同年8月29日。)がなされ、これに対して同年11月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、令和6年2月27日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1-6、9
・引用文献等1-3
・請求項7
・引用文献等1-3、6-8
・請求項8
・引用文献等1-8
<引用文献等一覧>
1.特表2017-509293号公報
2.特開平6-98560号公報
3.特開平5-122923号公報
4.特開2009-219269号公報
5.特開2010-35387号公報
6.実願昭55-42699号(実開昭56-145382号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
7.実願昭61-21177号(実開昭62-132687号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム
8.特開2005-150934号公報
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(以下、「本件補正」という。)は、特許法17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
本件補正によって、請求項1に、
「第2の電圧を出力する第2の直流電源と、
アノードに前記第2の電圧が印加され且つカソードが前記第2の正電源配線に接続された第2のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記接地端子に接続された第2のブートストラップ用コンデンサを有する第2のブートストラップ回路と、
一端が前記接地端子に接続され、他端が第2の負電源配線に接続された第3の安定化用コンデンサと、
一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の負電源配線に接続された第4の安定化用コンデンサと、
前記第2の制御信号に基づいて、前記接地端子の電位を基準として前記第2の正電源電圧とは反対の極性の前記第2の負電源電圧を生成して前記第2の負電源配線に印加する第2のチャージポンプ回路と、を備え、
前記第1のゲートドライバ回路は、
前記第1の制御信号により、前記第1のトランジスタの動作をPWM制御し、
前記第2のゲートドライバ回路は、
前記第2の制御信号により、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相
補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作をPWM制御する
」という事項(以下、「追加事項」という。)を追加する補正は、本件補正前の請求項1に本件補正前の請求項2及び本件補正前の請求項5の内容を付加して減縮するものであって、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
また、本件補正前の請求項9に上記追加事項を追加して本件補正後の請求項7とする補正は、請求項1と同様、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
また、本件補正により追加された、上記追加事項は、当初特許請求の範囲の請求項2及び7に記載されているから、当該補正は新規事項を追加するものとはいえない。
そして、以下、第4~第6に示すように、補正後の請求項1~7に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1~7に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明7」という。)は、令和5年11月27日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~7に記載された、次のとおりのものと認める。なお、請求項1において、「A」~「S」の記号は、請求項1に特定される各構成要件を識別するために当審で付加したものであり、それぞれ、「構成要件A」~「構成要件S」などという。
「【請求項1】
A 直流電圧が印加される電源端子と、
B 接地された接地端子と、
C 一端が前記電源端子に接続され、他端が出力端子に接続された第1のトランジスタと、D 一端が前記出力端子に接続され、他端が前記接地端子に接続された第2のトランジスタと、
E 第1の電圧を出力する第1の直流電源と、
F アノードに前記第1の電圧が印加され且つカソードが第1の正電源配線に接続された第1のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第1のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続された第1のブートストラップ用コンデンサを有する第1のブートストラップ回路と、
G 一端が前記出力端子に接続され、他端が第1の負電源配線に接続された第1の安定化用コンデンサと、
H 前記第1の正電源配線の第1の正電源電圧と前記第1の負電源配線の第1の負電源電圧とから生成した第1の制御信号を、前記第1のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタの動作を制御する第1のゲートドライバ回路と、
I 第2の正電源配線の第2の正電源電圧と第2の負電源配線の第2の負電源電圧とから生成した第2の制御信号を、前記第2のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作を制御する第2のゲートドライバ回路と、
J 前記第1の制御信号に基づいて、前記出力端子の電位を基準として前記第1の正電源電圧とは反対の極性の前記第1の負電源電圧を生成して前記第1の負電源配線に印加する第1のチャージポンプ回路と、
K 第2の電圧を出力する第2の直流電源と、
L アノードに前記第2の電圧が印加され且つカソードが前記第2の正電源配線に接続された第2のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記接地端子に接続された第2のブートストラップ用コンデンサを有する第2のブートストラップ回路と、
M 一端が前記接地端子に接続され、他端が第2の負電源配線に接続された第3の安定化用コンデンサと、
N 一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の負電源配線に接続された第4の安定化用コンデンサと、
O 前記第2の制御信号に基づいて、前記接地端子の電位を基準として前記第2の正電源電圧とは反対の極性の前記第2の負電源電圧を生成して前記第2の負電源配線に印加する第2のチャージポンプ回路と、を備え、
P 前記第1のゲートドライバ回路は、
Q 前記第1の制御信号により、前記第1のトランジスタの動作をPWM制御し、
R 前記第2のゲートドライバ回路は、
S 前記第2の制御信号により、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作をPWM制御する
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1のチャージポンプ回路は、
前記第1の正電源配線、前記第1の負電源配線、前記第1のトランジスタの前記制御端子、及び、前記出力端子に、接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第2のチャージポンプ回路は、
前記第2の正電源配線、前記第2の負電源配線、前記第2のトランジスタの前記制御端子、及び、前記接地端子に、接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1の制御信号による前記第1のトランジスタのPWM制御と、前記第2の制御信号による前記第2のトランジスタのPWM制御との関係においては、両方のトランジスタがオフするデットタイムが設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1のチャージポンプ回路は、
一端が前記第1のトランジスタの前記制御端子に接続された第1のポンプ用抵抗と、
コレクタが前記第1の正電源配線に接続され、ベースが前記第1のポンプ用抵抗の他端に接続された第1のポンプ用バイポーラトランジスタと、
コレクタが前記第1のポンプ用バイポーラトランジスタのエミッタに接続され、ベースが前記第1のポンプ用抵抗の他端に接続され、エミッタが前記出力端子に接続された第2のポンプ用バイポーラトランジスタと、
一端が前記第1のポンプ用バイポーラトランジスタのエミッタに接続された第2のポンプ用抵抗と、
一端が前記第2のポンプ用抵抗の他端に接続された第1のポンプ用コンデンサと、
アノードが前記第1のポンプ用コンデンサの他端に接続され、カソードが前記出力端子に接続された第1のポンプ用ダイオードと、
カソードが前記第1のポンプ用コンデンサの他端に接続された第2のポンプ用ダイオードと、
一端が第2のポンプ用ダイオードのアノードに接続され、他端が前記出力端子に接続されたに接続された第2のポンプ用コンデンサと、
一端が前記第2のポンプ用ダイオードのアノードに接続され、他端が前記第1の負電源配線に接続された第3のポンプ用抵抗と、
アノードが前記第1の負電源配線に接続され、カソードが前記出力端子に接続された第1のポンプ用ツェナーダイオードと、
一端が前記第1の負電源配線に接続され、他端が前記出力端子に接続された第3のポンプ用コンデンサと、を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2のチャージポンプ回路は、
一端が前記第2のトランジスタの前記制御端子に接続された第4のポンプ用抵抗と、
コレクタが前記第2の正電源配線に接続され、ベースが前記第4のポンプ用抵抗の他端に接続された第3のポンプ用バイポーラトランジスタと、
コレクタが前記第3のポンプ用バイポーラトランジスタのエミッタに接続され、ベースが前記第4のポンプ用抵抗の他端に接続され、エミッタが前記接地端子に接続された第4のポンプ用バイポーラトランジスタと、
一端が前記第3のポンプ用バイポーラトランジスタのエミッタに接続された第5のポンプ用抵抗と、
一端が前記第5のポンプ用抵抗の他端に接続された第4のポンプ用コンデンサと、
アノードが前記第4のポンプ用コンデンサの他端に接続され、カソードが前記接地端子に接続された第3のポンプ用ダイオードと、
カソードが前記第4のポンプ用コンデンサの他端に接続された第4のポンプ用ダイオードと、
一端が第4のポンプ用ダイオードのアノードに接続され、他端が前記接地端子に接続された第5のポンプ用コンデンサと、
一端が前記第4のポンプ用ダイオードのアノードに接続され、他端が前記第2の負電源配線に接続された第6のポンプ用抵抗と、
アノードが前記第6のポンプ用抵抗の他端に接続され、カソードが前記接地端子に接続された第2のポンプ用ツェナーダイオードと、
一端が前記第2の負電源配線に接続され、他端が前記接地端子に接続された第6のポンプ用コンデンサと、を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項7】
直流電圧が印加される電源端子と、接地された接地端子と、一端が前記電源端子に接続され、他端が出力端子に接続された第1のトランジスタと、一端が前記出力端子に接続され、他端が前記接地端子に接続された第2のトランジスタと、第1の電圧を出力する第1の直流電源と、アノードに前記第1の電圧が印加され且つカソードが第1の正電源配線に接続された第1のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第1のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続された第1のブートストラップ用コンデンサを有する第1のブートストラップ回路と、一端が前記出力端子に接続され、他端が第1の負電源配線に接続された第1の安定化用コンデンサと、前記第1の正電源配線の第1の正電源電圧と前記第1の負電源配線の第1の負電源電圧とから生成した第1の制御信号を、前記第1のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタの動作を制御する第1のゲートドライバ回路と、第2の正電源配線の第2の正電源電圧と第2の負電源配線の第2の負電源電圧とから生成した第2の制御信号を、前記第2のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作を制御する第2のゲートドライバ回路と、前記第1の制御信号に基づいて、前記出力端子の電位を基準として前記第1の正電源電圧とは反対の極性の前記第1の負電源電圧を生成して前記第1の負電源配線に印加する第1のチャージポンプ回路と、第2の電圧を出力する第2の直流電源と、アノードに前記第2の電圧が印加され且つカソードが前記第2の正電源配線に接続された第2のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記接地端子に接続された第2のブートストラップ用コンデンサを有する第2のブートストラップ回路と、一端が前記接地端子に接続され、他端が第2の負電源配線に接続された第3の安定化用コンデンサと、一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の負電源配線に接続された第4の安定化用コンデンサと、前記第2の制御信号に基づいて、前記接地端子の電位を基準として前記第2の正電源電圧とは反対の極性の前記第2の負電源電圧を生成して前記第2の負電源配線に印加する第2のチャージポンプ回路と、を備える駆動装置の制御方法であって、
前記第1のゲートドライバ回路により、前記第1の正電源配線の第1の正電源電圧と前記第1の負電源配線の第1の負電源電圧とから生成した前記第1の制御信号を、前記第1のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタの動作を制御し、
前記第2のゲートドライバ回路により、前記第2の正電源配線の第2の正電源電圧と第2の負電源配線の第2の負電源電圧とから生成した前記第2の制御信号を、前記第2のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作を制御し、
前記第1のチャージポンプ回路により、前記第1の制御信号に基づいて、前記出力端子の電位を基準として前記第1の正電源電圧とは反対の極性の前記第1の負電源電圧を生成して前記第1の負電源配線に印加するものであり、
前記第1のゲートドライバ回路により、前記第1の制御信号により、前記第1のトランジスタの動作をPWM制御し、
前記第2のゲートドライバ回路により、前記第2の制御信号により、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作をPWM制御する
ことを特徴とする駆動装置の制御方法。」
第5 引用例
1 引用例1に記載された事項及び引用発明
(1)引用例1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、特表2017-509293号公報(平成29年3月30日公表。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
ア 「【0001】
本発明は概してゲートドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートドライバはコントローラからの低電力入力を受け取り、絶縁ゲートバイポーラトランシーバ(IGBT)又は金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのトランジスタのゲートのための高電流駆動入力を発生する電力増幅器である。ゲートドライバはハーフ/フルブリッジインバータ及びハーフ/フルコンバータなどの電力変換装置用に広く使用されている。」
イ 「【0020】
図2はバイポーラゲートドライバ200のブロック図である。バイポーラゲートドライバ200は、ハイ及びローサイドドライバチップ206、ディジタルレベルシフタ回路202、制御グランド204、チップグランド205、ハイサイド+12V電源208、ローサイド-5V電源210(当審注:「ハイサイド-5V電源210」の誤記と認める。)、ローサイド+12V電源212、及びローサイド-5V電源214を含む。一実施形態によれば、ハイ及びローサイドドライバチップ206は、カリフォルニア州サンノゼ所在のフェアチャイルド社製のFAN7390MXゲートドライバICである。別の実施形態では、ハイ及びローサイドドライバチップ206は、カリフォルニア州エルセガンド所在のインターナショナルレクティフィア社製のIRS2001(S)PbFハイアンドローサイドドライバである。他の実施形態では、別のタイプのハイ及びローサイドドライバチップを利用してよい。
【0021】
ディジタルレベルシフタ回路202はPWMハイサイド制御ライン201及びPWMローサイド制御ライン203を介してPWMコントローラに結合されるよう構成される。ディジタルレベルシフタ回路202は制御グランド204及びチップグランド205にも結合される。ドライバチップ206のハイサイド入力及びローサイド入力はディジタルレベルシフタ回路202に結合される。ドライバチップ206のハイサイドドライバ216の出力はコントローラ/インバータレグの半導体デバイス(Q1)220のゲート端子に結合される。ドライバチップ206のローサイドドライバ218の出力はコントローラ/インバータレグの半導体デバイス(Q2)222のゲート端子に結合される。
【0022】
ハイサイド+12V電源208の正端子はドライバチップ206のハイサイドドライバ216の電源入力に結合され.その電源入力に+12Vを供給する。ハイサイド-5V電源の負端子はハイサイドドライバ216のグランド入力に結合され、そのグランド入力に-5Vを供給する。ハイサイド+12V電源208の負端子及びハイサイド-5V電源の正端子は半導体デバイス(Q1)220のソース端子に結合される。ローサイド+12V電源212の正端子はドライバチップ206のローサイドドライバ218の電源入力に結合され、その電源入力に+12Vを供給する。ローサイド-5V電源214の負端子はローサイドドライバ218のグランド入力に結合され、そのグランド入力に-5Vを供給する。ローサイド+12V電源212の負端子及びローサイド-5V電源214の正端子は半導体デバイス(Q2)222のソース端子に結合される。
【0023】
図1のコモンゲートドライバトランジスタ異なり、ゲートドライバ200のチップグランド205は制御グランド204に接続されないで、ローサイド-5V電源214に接続される。一実施形態によれば、ハイサイド+12V電源208、ハイサイド-5V電源210、ローサイド+12V電源212、及び/又はローサイド-5V電源214は別個の電源であるが、他の実施形態では、ハイサイド及び/又はローサイド電源は以下で詳細に説明されるように発生させることができる。
【0024】
PWMコントローラ224は、ゲートドライバ200の出力(及び対応するコントローラ/インバータの出力)を制御するために、PWM制御信号(制御グランド204(例えば0V)に対して決定される)をPWMハイサイド制御ライン201及びPWMローサイド制御ライン203に供給する。ディジタルレベルシフタ回路202がPWMコントローラ224からのPWM制御信号を受信し、PWM制御信号をチップグランド205(例えば-5V)に対して再設定し、再設定したPWM制御信号をドライバチップ206に供給する。
…中略…
【0026】
ドライバチップ206は、所望の制御パルスを各半導体デバイス220、222のゲート端子に供給するために、ディジタルレベルシフタ回路202から受信される再設定されたPWM制御信号に基づいてハイサイドドライバ216及びローサイドドライバ218を動作させる。ドライバチップ206をチップグランド205に対して再設定されたPWM制御信号で動作させると、ドライバチップ206(典型的にはユニポーラパルス(+12V/0V)を供給する)は代わりにバイポーラパルス(+12V/-5V)を各半導体デバイス(Q1)220及び(Q2)222のゲート及びソース端子間に供給するように駆動される。例えば、ディジタルレベルシフタ回路202から受信される再設定されたPWM制御信号(PWMコントローラ224から受信された原PWM制御信号に基づく)に応答して、ドライバチップ206は、+12Vを半導体デバイス220、222のゲート端子に供給して半導体デバイス220、222をターンオンするように、又は-5Vを半導体デバイス220、222のゲート端子に供給して半導体デバイス220、222をターンオフ(及びキープオフ)するようにドライバ216、218を動作させる。
【0027】
半導体デバイス220、222を(+12V及び-5Vで)ターンオン及びオフすることによって、ドライバチップ206はコンバータ/インバータの出力を制御する。半導体デバイス220、222の状態を制御するためにバイポーラゲート電圧を利用することによって、ドライバチップ206は半導体デバイスのゲート電圧の振動に起因してコンバータ/インバータのオフレグに生じる短絡障害を防止することができる。オフ半導体デバイスのゲート電圧は-5Vに維持されるため、半導体デバイスのゲート電圧の振動がゲート閾値電圧(例えば、2V)を超えることはあり得ない。
【0028】
上述したように、一実施形態では、ハイ及び/又はローサイド-5V電源210、214は別個の電源であるが、他の実施形態では、これらの-5V電源電圧は別の電源から発生させてもよい。例えば、図3は、-5V電源電圧を少なくとも一つの実施形態で使用される+12V電源から発生するように構成されたチャージポンプ回路300のブロック図である。
【0029】
チャージポンプ回路300は、抵抗302、第1ダイオード304、第2ダイオード306、第3ダイオード308、スイッチ310、第1キャパシタ312、及び第2キャパシタ314を含む。抵抗302はハイ又はローサイドドライバチップのハイ又はローサイドドライバ(例えば、図2について上述したハイ及びローサイドドライブチップ206のハイサイドドライバ216)の出力301に結合される。ドライバ216の出力301は半導体デバイス(例えば、図2について上述した半導体デバイス(Q1)220)のゲート端子303にも結合される。
…中略…
【0031】
チャージポンプ回路300は、+12V電源208により供給される利用可能な+12Vから第2キャパシタ314の両端間に-5V電源電圧を発生する。最初に、PWMコントローラ224からのPWM制御信号(従ってディジタルレベルシフト回路202からの再設定されたPWM制御信号)がない場合、第2キャパシタの電圧はゼロであり、ドライバチップ206に対する実効バイアス電圧は+12V(例えば、+12V電源208からの)である。PWMコントローラ224からのPWM制御信号はディジタルレベルシフタ回路202に供給され、再設定されたPWM制御信号がディジタルレベルシフタ回路202からドライバチップ206(従ってハイサイドドライバ216)に供給されるので、ハイサイドドライバ216は出力301から、半導体デバイス220のゲート端子303にユニポーラPWMパルスを供給するように動作する。」
ウ 「【0041】
チャージポンプ回路300、400は+12V電源から-5V電源電圧を発生させるために利用し得る。同じ+12V電源から-5V電源電圧と+12V電源電圧の両方を発生させることによって、このようなチャージポンプ回路を使用するゲートドライバ(例えば、ゲートドライバ200)のコストは、1つのサイドにつき1つの電源(例えば、ドライバチップ206のハイサイドにつき1つ及びローサイドにつき1つ)が必要とされるだけであるので、低減することができる。
【0042】
上述したように、チャージポンプ回路(例えば、図3及び図4につき記載されている)を含むゲートドライバは、ハイサイド電源を含み、その電源から正及び負のハイサイド電源電圧を発生するとともに、ローサイド電源を含み、その電源から正及び負のローサイド電源電圧を発生するようにできる。少なくとも一つの他の実施形態では、ゲートドライバは、単一の正の電源からバイポーラハイサイド電源電圧とバイポーラローサイド電源電圧の両方を発生するようにできる。例えば、図5及び図6は単一電源バイポーラゲートドライバ500のブロック図である。
【0043】
単一電源のバイポーラゲートドライバ500は、図2について上述したバイポーラゲートドライバ200と、単一電源のバイポーラドライバ500では、ハイサイド+12V電源208、ハイサイド-5V電源210、及びローサイド-5V電源214が、ハイサイドチャージポンプ回路502(例えば、図3及び図4について上述したチャージポンプ回路300、400の一つ)、ローサイドチャージポンプ回路504(例えば、図3及び図4について上述したチャージポンプ回路300、400の一つ)、ブートストラップダイオード508、及びブートストラップキャパシタ510と置き換えられている点を除いて、ほぼ同じである。
【0044】
ローサイドチャージポンプ回路504はローサイド+12V電源212の正及び負端子、チップグランド205、及びハイ及びローサイドドライバチップ206のローサイドドライバ218の出力507に結合される。ローサイド+12V電源212の正端子はブートストラップダイオード508を経てハイサイドドライバ216の電源入力に結合される。ハイサイドドライバ216の電源入力はブートストラップキャパシタ510を経てハイサイドチャージポンプ回路502にも結合される。ハイサイドチャージポンプ回路502はハイサイドドライバの電源入力、ハイサイドドライバ216の出力506、及びハイサイドドライバ216のグランド入力にも結合される。
【0045】
ローサイド+12V電源212は+12V電源電圧をローサイドドライバ218に供給する。ローサイドチャージポンプ回路504は(図3及び図4について上述したように)ローサイド+12V電源212により供給される+12Vから-5Vの負電源電圧を発生し、-5V電源電圧をチップグランド205に(従ってローサイドドライバ218のグランド入力に)供給する。
【0046】
ハイサイドドライバ216の電源入力に供給される+12V電源電圧は、ローサイド+12V電源212から、ブートストラップダイオード508によるブートストラップ技術を用いてブートストラップキャパシタ510の両端間に発生される。ハイサイドチャージポンプ回路502は、(図3及び図4について上述したように)ブートストラップキャパシタ510の両端間に発生される+12V電源電圧から-5Vの負電源電圧を発生し、その-5V電源電圧をハイサイドドライバ216のグランド入力に供給する。各ゲートドライバ216、218はバイポーラゲート駆動電圧(例えば+12V正駆動電圧及び-5V負駆動電圧)をそれぞれの半導体デバイス220、222に供給する。
【0047】
バイポーラハイサイド電源電圧及びバイポーラローサイド電源電圧を単一の正電源から発生させることによって、一つの電源を使用するのみとなるので、ゲートドライバのコストを低減することができる。」
エ 「図2
[図:0001416219000001.jpg]
」
オ 「図3
[図:0001416219000002.jpg]
」
カ 「図5
[図:0001416219000003.jpg]
」
(2)引用発明
ア 上記(1)エ(図2)、(1)オ(図3)及び(1)カ(図5)、並びに、(1)ウの段落【0043】の記載を参照すると、図5の回路(「バイポーラゲートドライバ500」(上記(1)ウ【0042】参照。)は、図2の回路において、「ハイサイド+12V電源208」を、図3に示される「チャージポンプ回路300」(上記(1)ア【0028】参照。))を用いるとともに、「ローサイド+12V電源212」を図3に示される「チャージポンプ回路300」を用いたものであることを読み取ることができる。
イ 上記(1)エ(図2)には、「半導体デバイス220」及び「半導体デバイス222」との間に、右に伸びる信号線が記載されていることを読み取ることができ、また、上記(1)アの「本発明は概してゲートドライバに関する」(【0001】)、「ゲートドライバはハーフ/フルブリッジインバータ及びハーフ/フルコンバータなどの電力変換装置用に広く使用されている」(【0002】)との記載に照らせば、当該信号線は、「ハーフ/フルブリッジインバータ及びハーフ/フルコンバータなどの電力変換装置」に出力される信号線であると理解される。
そして、当該信号線が接続される端子が存在することは自明であって、当該端子は、“出力端子”であるといえる。
ウ 上記(1)カ(図5)から、引用例1には、“「+200V」(図5)を供給する端子と、制御グランド204と、一端が前記「+200V」を供給する端子に接続され、他端が出力端子に接続された半導体デバイス220と、一端が前記出力端子に接続され、他端が前記制御グランド204に接続された半導体デバイス222と、「+12V_H」(図5)を出力するローサイド+12V電源212と”を備える、“バイポーラゲートドライバ500”が記載されているといえる。
エ 上記(1)ウ【0044】及び【0046】の記載並びに(1)カ(図5)から、及び上記ウの認定を踏まえると、引用例1には、“アノードに前記ローサイド+12V電源212の「+12V_L」(図5)が印加され且つカソードが「+12V_H」(図5)に接続されたブートストラップダイオード508、及び、一端が前記ブートストラップダイオード508のカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続されたブートストラップキャパシタ510を有する回路”が記載されているといえる。
オ 上記(1)ウ【0044】及び【0046】の記載並びに(1)カ(図5)から、「ハイサイドドライバ216」には、「前記「+12V_H」(図5)」と「ハイサイドチャージポンプ回路502(図3の回路)」から出力される「「-5V_H」(図5)」が入力され、「ハイサイドドライバ216の出力301(図3)」は、「半導体デバイス220の制御端子に入力」されることを読み取ることができるから、引用例1には、“前記「+12V_H」(図5)と「-5V_H」(図5)とから生成したドライバ216の出力301(図3)を、前記半導体デバイス220の制御端子に入力して、前記半導体デバイス220の動作を制御するハイサイドドライバ216”が記載されているといえる。
カ 上記(1)ウ【0044】及び【0045】の記載並びに(1)カ(図5)から、「ローサイドドライバ218」には、「ローサイド+12V電源212」から出力される「「+12V_L」(図5)」と、「ローサイドチャージポンプ回路504(CPC-L)」から出力される「-5V_L」とが入力され、「ローサイドドライバ218の出力507」は、「半導体デバイス222のゲート端子に入力」されることを読み取ることができるから、引用例1には、“ローサイド+12V電源212から出力される「+12V_L」(図5)とローサイドチャージポンプ回路504(CPC-L)から出力される「-5V_L」(図5)とから生成したローサイドドライバ218の出力507を、前記半導体デバイス222のゲート端子に入力して、前記半導体デバイス222の動作を制御するローサイドドライバ218”が記載されているといえる。
キ 上記(1)ウ【0044】及び【0046】の記載並びに(1)オ(図3)及び(1)カ(図5)から、「ハイサイドチャージポンプ回路502」は、「ハイサイドドライバ216の出力301(図3)に基づいて、前記「+12V_H」(図5)とは反対の極性の前記「-5V_H」(図5)を生成」することを読み取ることができるから、上記オの認定を踏まえると、引用例1には、“前記ハイサイドドライバ216の出力301(図3)に基づいて、前記「+12V_H」(図5)とは反対の極性の前記「-5V_H」(図5)を生成するハイサイドチャージポンプ回路502”が記載されているといえる。
ク 上記(1)ウ【0044】及び【0045】の記載並びに(1)カ(図5)から、図5における、「ローサイドチャージポンプ回路504」は、具体的には、図3で参照される「チャージポンプ回路300」と同等のものが用いられるものと解されるところ、「ローサイドドライバ218の出力507」から出力される信号に基づいて、制御グランド204の電位を基準としてローサイド+12V電源212(「+12V_L」)とは反対の極性の「-5V_L」を生成し、当該「-5V_L」は、さらに「ローサイドドライバ218」の「GND_L」に印加されているといえるから、引用例1には、“前記ローサイドドライバ218の出力507から出力される信号に基づいて、前記制御グランド204の電位を基準として前記ローサイド+12V電源212の「+12V_L」とは反対の極性の「-5V_L」を生成してローサイドドライバ218の「GND_L」に印加するローサイドチャージポンプ回路504”が記載されているといえる。
ケ 上記オの認定、上記(1)イ【0021】及び【0024】の記載、並びに(1)カ(図5)から、引用例1には、“前記ハイサイドドライバ216は、前記ハイサイドドライバ216の出力301(図3)により、前記半導体デバイス220の動作をPWM制御する”ことが記載されているといえる。
コ 以上、ア~ケの認定から、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「「+200V」(図5)を供給する端子と、
制御グランド204と、
一端が前記「+200V」を供給する端子に接続され、他端が出力端子に接続された半導体デバイス220と、
一端が前記出力端子に接続され、他端が前記制御グランド204に接続された半導体デバイス222と、
「+12V_H」(図5)を出力するローサイド+12V電源212と、
アノードに前記ローサイド+12V電源212の「+12V_L」(図5)が印加され且つカソードが「+12V_H」(図5)に接続されたブートストラップダイオード508、及び、一端が前記ブートストラップダイオード508のカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続されたブートストラップキャパシタ510を有する回路と、
前記「+12V_H」(図5)と「-5V_H」(図5)とから生成したドライバ216の出力301(図3)を、前記半導体デバイス220の制御端子に入力して、前記半導体デバイス220の動作を制御するハイサイドドライバ216と、
ローサイド+12V電源212から出力される「+12V_L」(図5)とローサイドチャージポンプ回路504(CPC-L)から出力される「-5V_L」(図5)とから生成したローサイドドライバ218の出力507を、前記半導体デバイス222のゲート端子に入力して、前記半導体デバイス222の動作を制御するローサイドドライバ218と、
前記ハイサイドドライバ216の出力301(図3)に基づいて、前記「+12V_H」(図5)とは反対の極性の前記「-5V_H」(図5)を生成するハイサイドチャージポンプ回路502と、
前記ローサイドドライバ218の出力507から出力される信号に基づいて、前記制御グランド204の電位を基準として前記ローサイド+12V電源212の「+12V_L」(図5)とは反対の極性の「-5V_L」(図5)を生成してローサイドドライバ218の「GND_L」に印加するローサイドチャージポンプ回路504とを備え、
前記ハイサイドドライバ216は、
前記ハイサイドドライバ216の出力301(図3)により、前記半導体デバイス220の動作をPWM制御する
ことを特徴とするバイポーラゲートドライバ500。」
2 引用例2に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、特開平6-98560号公報(平成6年4月8日公開。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インバータ装置に係り、特に交流電動機等の誘導性負荷を駆動する場合における、インバータ正側直流母線に接続された主スイッチング素子を駆動する回路への電圧電源供給するIGBT等のMOSゲートを有する主スイッチング素子を用いた電力用電圧型のインバータ装置に関する。」
イ 「【0012】図1において、33は負電圧保持用コンデンサで、図4における出力コンデンサ33である。34は主スイッチング素子4を駆動する回路であり、35は主スイッチング素子4のゲート指令信号である。、主スイッチング素子4を駆動する回路34は、例えば、TLP250(東芝製)等の集積回路や、これに相当する回路で実現できる。
…中略…
【0014】電圧形インバータでは、通常PWM制御を行っているため、U相正側主スイッチング素子4とU相負側主スイッチング素子5とは相補的にオン/オフを繰り返す。このため、U相負側主スイッチング素子5がオンしている状態ではU相出力端子16の電位は、ほぼ負側直流母線N2の電位に一致しており、この時、直流電源線19から電力供給用ダイオード20→電圧保持用コンデンサ21→正側主端子のエミッタ線24→主スイッチング素子5→負側直流母線2のように電流が流れ、電圧保持用コンデンサ21を充電する。電圧保持用コンデンサ21は、U相負側主スイッチング素子5がオフし、再びU相負側主スイッチング素子5がオンするまでの間、U相正側主スイッチング素子4を駆動するエネルギーを蓄積する働きがある。このエネルギーを蓄積する働きは、電圧降下式定電圧回路22の出力側に配置されたコンデンサによっても行うことができる。これらの動作は、他のV相及びW相でも全く同様に行われるため、各相の電圧保持用のコンデンサ21の電圧はほぼ直流電源線19の電圧となり、相ごとばらつきは発生しない。一般に、U出力端子16から供給される電流は正負いずれの場合もありうるため、U出力端子16から負荷側へ電流が流出する場合には、スイッチング端子5をオンさせてもフリーホイールダイオード11が導通する。この時、電圧保持用コンデンサ21に充電される電圧はU出力端子16へ負荷側から電流が流入してスイッチング素子5が導通する場合よりも、スイッチング素子5のオン時の電圧降下分とフリーホイールダイオード11の順電圧降下分の合計値だけ高くなる。電圧降下式定電圧回路22は、この分の電圧の過大分を吸収する働きをする。この電圧の過大分は非常に小さい値なので、電圧降下式定電圧回路22で発生する損失は小さい値となる。また、図2に示される簡単な回路を用いた場合には定電圧線23の電位は多少変動するが、主スイッチング素子のゲート電圧の許容最大定格を越えない範囲や、主スイッチング素子のスイッチオン時の電圧降下の増大による発熱が許容できる範囲や、負荷電流の直流分がモータにトルク脈動を発生させたりしない範囲で、ばらつくのは問題ない。チャージポンプ回路26は定電圧線23から、主スイッチング素子4のエミッタ電位よりさらに低い電位である負電圧線27へ電力の供給を行い、共通線24と負電圧線27との電位差を、ほぼ定電圧線23と共通線24との電位差に等しく保つように働く。定電圧線23と負電圧線27を主スイッチング素子4を駆動する回路34に供給することで、主スイッチング素子4を駆動する回路34は、安定して、主スイッチング素子4を駆動することができる。」
ウ 「図4
[図:0001416219000004.jpg]
」
3 引用例3に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、特開2009-219269号公報(平成21年9月24日公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数個のMOSゲート駆動型半導体素子を直列或いは直並列接続した高電圧大電流の半導体スイッチに係り、特にゲ―ト回路の制御電源供給回路の簡素化を図ったMOSゲート駆動型半導体スイッチに関する。」
イ 「【0007】
【実施例】以下本発明の一実施例を図1を参照して説明する。本発明は複数個の半導体素子を直列接続或いは直並列接続して構成する半導体スイッチに関するものであるが、各段同じ構成であるため1段の構成のみを示して説明する。
【0008】半導体スイッチは複数個のIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor)により構成される。ゲ―ト回路GUの負電源端子には小型電池10の正極端子が接続され、ゲ―ト回路GUのコモン端子には小型電池10の負極端子が接続され更に、小型電池10には平滑コンデンサCn が並列に接続される。一方、正電源端子とコモン端子間には平滑コンデンサCp が接続され更に、正電源端子にダイオ―ドDのカソ―ドを接続し、ダイオ―ドDのアソ―ドを図示極性のツェナ―ダイオ―ドZDを介してコモン端子に接続する。ツェナ―ダイオ―ドZDのカソ―ドは限流抵抗Rd を介してIGBTのコレクタに接続し、ここでツェナ―ダイオ―ドZDのツェナ―電圧はゲ―ト回路の正電源電圧に適合するものを選定する。」
ウ 「図1
[図:0001416219000005.jpg]
」
4 引用例4に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、特開2009-219269号公報(平成21年9月24日公開。以下、これを「引用例4」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、スイッチング素子を有した電力変換装置に関するものである。」
イ 「【0106】
《発明の実施形態4》
図7は、本発明の実施形態4に係る電力変換装置の構成を示す図である。この図では、1つの直列回路(150)のみを示してあり、他は図示を省略している。この電力変換装置は、下アーム側駆動回路と上アーム側駆動回路との電圧のアンバランスを防ぐようになっている。
【0107】
具体的には、図7に示すように、下アーム用電源(110)と下アーム側駆動回路(162)との間に、ブートストラップ回路のダイオード(180)と同等の電圧降下を生じさせる素子(電圧降下素子)として電圧降下用ダイオード(220)を設置する。なお、ここではダイオードとしているが、ツェナーダイオードなどでも良い。
【0108】
上アーム側コンデンサ(170)の電圧は、
(下アーム用電源(110)の電圧)-(ブートストラップ回路のダイオード(180)の順方向電圧)-(下アーム側スイッチング素子での電圧降下)
となる。
【0109】
例えば、ブートストラップ回路のダイオード(180)としてSiC pnダイオードを使用し、下アーム側のスイッチング素子(140)での電圧降下が2Vとすると、上アーム側コンデンサ(170)の電圧は、おおよそ(下アーム用電源(110)の電圧-5)Vとなる。
【0110】
上下アームを駆動する駆動回路に供給される電圧値でアンバランスが生じると、上アーム側の駆動回路やスイッチング素子の電圧不足や、下アーム側の駆動回路やスイッチング素子の過電圧といった問題が起こる。本実施形態では、ブートストラップ回路のダイオード(180)と同等の電圧降下を生じさせる素子(電圧降下用ダイオード(220))により、下アーム側駆動回路(162)に掛かる電圧値を下げることができる。これにより、上下アームを駆動する駆動回路に供給される電圧値のアンバランスを防ぐことができる。」
ウ 「図7
[図:0001416219000006.jpg]
」
5 引用例5に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、特開2010-35387号公報(平成22年2月12日公開。以下、これを「引用例5」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、一つの直流電源で上下アームのスイッチング素子を駆動する電圧形駆動素子のゲート駆動装置に関するものである。
【0002】
従来より、空気調和装置の圧縮機を駆動するモータの運転状態を制御するインバータ回路等では、上アーム及び下アームの各スイッチング素子をオン/オフさせるためのゲート駆動装置が用いられている。例えば特許文献1には、一つの直流電源で上下アームの電圧形駆動素子をそれぞれ駆動するゲート駆動装置(いわゆるブートストラップ回路)が開示されている。
…中略…
【0005】
上記の特許文献1に開示のゲート駆動装置では、上述の如く、直流電源とブートコンデンサの間にダイオードを設ける必要がある。このため、直流電源からブートコンデンサへ電圧が供給される際には、ダイオードで電圧降下が生じてしまう。その結果、この電圧降下に起因してブートコンデンサの充電電圧が低くなり、上アーム側ドライブ回路の駆動電圧が低くなってしまう。その結果、上アーム側のスイッチング素子のオン抵抗が増大し、ひいてはオン損失が増大してしまうという問題が生じる。
…中略…
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、1つの直流電源でスイッチング素子を駆動するゲート駆動装置において、上下アームのドライブ回路に最適な駆動電圧を供給できるようにすることである。」
イ 「【0024】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係るゲート駆動装置(10)は、電力変換装置(1)に搭載されている。電力変換装置(1)は、空気調和装置や冷凍装置等の冷媒回路に接続される圧縮機の電動機(多相モータ)等の負荷を駆動するために用いられる。
【0025】
図1に示すように、電力変換装置(1)は、整流回路(2)とインバータ回路(3)と制御回路(4)とを備えている。整流回路(2)は、交流電源である商用電源(5)に接続されている。整流回路(2)は、商用電源(5)の交流電圧を整流して直流電圧に変換する。
【0026】
インバータ回路(3)は、整流回路(2)から供給される直流電圧を三相交流電圧に変換し、電動機(6)へ供給する。インバータ回路(3)は、電圧形駆動素子を構成する6つのスイッチング素子(11、21)が三相ブリッジ結線されている。即ち、インバータ回路(3)には、3組のアームが設けられ、各アームには上アーム側スイッチング素子(11)と下アーム側スイッチング素子(21)が直列に接続されている。インバータ回路(3)では、U、V、Wの各相のスイッチング素子(11、21)に対応するように3つのゲート駆動装置(10)が設けられている。
【0027】
制御回路(4)は、設定された周波数に応じて、各スイッチング素子(11、21)をオン/オフさせるための信号を各ゲート駆動装置(10)へ出力する。
【0028】
図2に示すゲート駆動装置(10)は、単電源で上下アームのスイッチング素子(11、21)を駆動する、いわゆるブートストラップ回路を構成している。ゲート駆動装置(10)の上アームには、上述した上アーム側スイッチング素子(11)、上アーム側ドライブ回路(12)、ブートコンデンサ(C1)、ダイオード(D1)、及び抵抗(R1)が設けられている。また、ゲート駆動装置(10)下アームには、上述した下アーム側スイッチング素子(21)、下アーム側ドライブ回路(22)、直流電源(23)、コンデンサ(C2)、ダイオード(D2)、及び抵抗(R2)が設けられている。」
ウ 「図1
[図:0001416219000007.jpg]
」
エ 「図2
[図:0001416219000008.jpg]
」
6 引用例6に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、実願昭55-42699号(実開昭56-145382号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和56年11月12日公開。以下、これを「引用例6」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「3.考案の詳細な説明
この考案は、増幅器、発振器などの高周波回路に負のバイアス電圧を供給できるようにした高周波装置用電源回路に関する。」(1ページ13~16行)
イ 「第4図
[図:0001416219000009.jpg]
」
ウ 「第6図
[図:0001416219000010.jpg]
」
7 引用例7に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、実願昭61-21177号(実開昭62-132687号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和62年8月21日公開。以下、これを「引用例7」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「<産業上の利用分野>
本考案は負電圧発生回路に係り、特に正電圧から負電圧を発生する負電圧発生回路に関する。」(2ページ1~3行)
イ 「図
[図:0001416219000011.jpg]
」
8 引用例8に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由において引用した、優先日前に既に公知である、特開2005-150934号公報(平成17年6月9日公開。以下、これを「引用例8」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0008】
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1はモータ駆動回路に適用した実施例を示す図であり、図2は各部の電圧波形を示す図である。
発振波形を出力する発振回路10が、微分回路20およびチャージポンプ回路30に接続される。発振波形は図2に示すように、LレベルとHレベルとを所定周期で繰り返す。
チャージポンプ回路30は、抵抗32、NPN型トランジスタ33、PNP型トランジスタ34、コンデンサ36、ダイオード35および電源31で構成される。」
イ 「図1
[図:0001416219000012.jpg]
」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 構成要件A及びBについて
引用発明の「「+200V」を供給する端子」及び「制御グランド204」は、それぞれ構成要件A及びBの「直流電圧が印加される電源端子」及び「接地された接地端子」に相当する。
引用発明の「バイポーラゲートドライバ500」は、「半導体デバイス220」及び「半導体デバイス222」を駆動する装置といえるから、引用発明と本願発明1とは、構成要件A及びBの「直流電圧が印加される電源端子」と、「接地された接地端子」とを備える「駆動装置」である点で一致する。
イ 構成要件C及びDについて
引用発明の「半導体デバイス220」及び「半導体デバイス222」は、それぞれ構成要件C及びDの「第1のトランジスタ」及び「第2のトランジスタ」に相当するから、引用発明は、構成要件Cの「一端が前記電源端子に接続され、他端が出力端子に接続された第1のトランジスタ」及び構成要件Dの「一端が前記出力端子に接続され、他端が前記接地端子に接続された第2のトランジスタ」との構成を有する。
ウ 構成要件Eについて
引用発明の「「+12V_H」を出力するローサイド+12V電源212」は、構成要件Eの「第1の電圧を出力する第1の直流電源」に相当する。
エ 構成要件Fについて
引用発明の「ブートストラップダイオード508」及び「ブートストラップキャパシタ510」は、それぞれ構成要件Fの「第1のブートストラップ用ダイオード」及び「第1のブートストラップ用コンデンサ」に相当する。
引用発明の「ブートストラップダイオード508」は、「アノードに前記ローサイド+12V電源212の「+12V_L」(図5)が印加され且つカソードが「+12V_H」(図5)に接続され」るとともに、「ブートストラップキャパシタ510」は、「一端が前記ブートストラップダイオード508のカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続され」るものであるから、当該「ブートストラップダイオード508」及び「ブートストラップキャパシタ510」からなる「回路」は、構成要件Fの「第1のブートストラップ回路」に相当するといえる。
したがって、引用発明の「アノードに前記ローサイド+12V電源212の「+12V_L」(図5)が印加され且つカソードが「+12V_H」(図5)に接続されたブートストラップダイオード508、及び、一端が前記ブートストラップダイオード508のカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続されたブートストラップキャパシタ510を有する回路」は、構成要件Fの「アノードに前記第1の電圧が印加され且つカソードが第1の正電源配線に接続された第1のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第1のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続された第1のブートストラップ用コンデンサを有する第1のブートストラップ回路」に相当する。
オ 構成要件Gについて
引用発明は、構成要件Gの「一端が前記出力端子に接続され、他端が第1の負電源配線に接続された第1の安定化用コンデンサ」に対応する構成を有しない。(相違点1)
カ 構成要件Hについて
上記イの「第1のトランジスタ」の認定、及びエの対比を踏まえると、引用発明の「前記「+12V_H」(図5)と「-5V_H」(図5)とから生成したドライバ216の出力301(図3)を、前記半導体デバイス220の制御端子に入力して、前記半導体デバイス220の動作を制御するハイサイドドライバ216」は、構成要件Hの「前記第1の正電源配線の第1の正電源電圧と前記第1の負電源配線の第1の負電源電圧とから生成した第1の制御信号を、前記第1のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタの動作を制御する第1のゲートドライバ回路」に相当する。
キ 構成要件Iについて
引用発明の「ローサイドドライバ218」は、構成要件Iの「第2のゲートドライバ回路」に対し、上記イの「第2のトランジスタ」の認定を踏まえると、“前記第2のトランジスタの動作を制御する”点で共通するといえる。
そして、引用発明の「ローサイド+12V電源212から出力される「+12V_L」(図5)とローサイドチャージポンプ回路504(CPC-L)から出力される「-5V_L」(図5)とから生成したローサイドドライバ218の出力507を、前記半導体デバイス222のゲート端子に入力して、前記半導体デバイス222の動作を制御するローサイドドライバ218」と構成要件Iの「第2の正電源配線の第2の正電源電圧と第2の負電源配線の第2の負電源電圧とから生成した第2の制御信号を、前記第2のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作を制御する第2のゲートドライバ回路」とは、下記の点(相違点2)を除き、“第2の正電源配線の第2の正電源電圧と第2の負電源配線の第2の負電源電圧とから生成した第2の制御信号を、前記第2のトランジスタの制御端子に出力して、前記第2のトランジスタの動作を制御する第2のゲートドライバ回路”である点で共通する。
ク 構成要件Jについて
引用発明の「ハイサイドチャージポンプ回路502」は、構成要件Jの「第1のチャージポンプ回路」に相当する。
上記カの「第1の制御信号」の認定を踏まえると、引用発明の「前記ハイサイドドライバ216の出力301(図3)に基づいて、前記「+12V_H」(図5)とは反対の極性の前記「-5V_H」(図5)を生成するハイサイドチャージポンプ回路502」は、構成要件Jの「前記第1の制御信号に基づいて、前記出力端子の電位を基準として前記第1の正電源電圧とは反対の極性の前記第1の負電源電圧を生成して前記第1の負電源配線に印加する第1のチャージポンプ回路」に相当する。
ケ 構成要件K~Nについて
引用発明は、構成要件Kの「第2の電圧を出力する第2の直流電源」、構成要件Lの「アノードに前記第2の電圧が印加され且つカソードが前記第2の正電源配線に接続された第2のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記接地端子に接続された第2のブートストラップ用コンデンサを有する第2のブートストラップ回路」、構成要件Mの「一端が前記接地端子に接続され、他端が第2の負電源配線に接続された第3の安定化用コンデンサ」及び構成要件Nの「一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の負電源配線に接続された第4の安定化用コンデンサ」に対応する構成を有しない。(相違点3)
コ 構成要件Oについて
引用発明の「ローサイドチャージポンプ回路504」は、構成要件Oの「第2のチャージポンプ回路」に相当するといえるから、引用発明の「前記ローサイドドライバ218の出力507から出力される信号に基づいて、前記制御グランド204の電位を基準として前記ローサイド+12V電源212の「+12V_L」(図5)とは反対の極性の「-5V_L」(図5)を生成してローサイドドライバ218の「GND_L」に印加するローサイドチャージポンプ回路504」は、構成要件Oの「前記第2の制御信号に基づいて、前記接地端子の電位を基準として前記第2の正電源電圧とは反対の極性の前記第2の負電源電圧を生成して前記第2の負電源配線に印加する第2のチャージポンプ回路」に相当する。
サ 構成要件P及びQについて
上記カの「第1のゲートドライバ回路」の認定を踏まえると、引用発明の「前記ハイサイドドライバ216は、前記ハイサイドドライバ216の出力301(図3)により、前記半導体デバイス220の動作をPWM制御する」との構成は、構成要件P及びQの「前記第1のゲートドライバ回路は、前記第1の制御信号により、前記第1のトランジスタの動作をPWM制御」するとの構成に相当する。
シ 構成要件R、Sについて
引用発明は、構成要件R及びSの「前記第2のゲートドライバ回路は、」「前記第2の制御信号により、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作をPWM制御する」に対応する構成を有しない。(相違点2)
ス 以上、ア~シの検討から、引用発明と本願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
A 直流電圧が印加される電源端子と、
B 接地された接地端子と、
C 一端が前記電源端子に接続され、他端が出力端子に接続された第1のトランジスタと、D 一端が前記出力端子に接続され、他端が前記接地端子に接続された第2のトランジスタと、
E 第1の電圧を出力する第1の直流電源と、
F アノードに前記第1の電圧が印加され且つカソードが第1の正電源配線に接続された第1のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第1のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記出力端子に接続された第1のブートストラップ用コンデンサを有する第1のブートストラップ回路と、
H 前記第1の正電源配線の第1の正電源電圧と前記第1の負電源配線の第1の負電源電圧とから生成した第1の制御信号を、前記第1のトランジスタの制御端子に出力して、前記第1のトランジスタの動作を制御する第1のゲートドライバ回路と、
I’第2の正電源配線の第2の正電源電圧と第2の負電源配線の第2の負電源電圧とから生成した第2の制御信号を、前記第2のトランジスタの制御端子に出力して、前記第2のトランジスタの動作を制御する第2のゲートドライバ回路と、
J 前記第1の制御信号に基づいて、前記出力端子の電位を基準として前記第1の正電源電圧とは反対の極性の前記第1の負電源電圧を生成して前記第1の負電源配線に印加する第1のチャージポンプ回路と、
O 前記第2の制御信号に基づいて、前記接地端子の電位を基準として前記第2の正電源電圧とは反対の極性の前記第2の負電源電圧を生成して前記第2の負電源配線に印加する第2のチャージポンプ回路と、を備え、
P 前記第1のゲートドライバ回路は、
Q 前記第1の制御信号により、前記第1のトランジスタの動作をPWM制御する
ことを特徴とする駆動装置。
〈相違点1〉
本願発明1が、「一端が前記出力端子に接続され、他端が第1の負電源配線に接続された第1の安定化用コンデンサ」(構成要件G)を備えるのに対し、引用発明はそのことが特定されていない点。
〈相違点2〉
本願発明1の「第2のゲートドライバ回路」が、「前記第2の制御信号により、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとが相補的にオン/オフするように、前記第2のトランジスタの動作をPWM制御する」のに対し、引用発明の「ローサイドドライバ218」が、「半導体デバイス220」と「半導体デバイス222」とを相補的にオン/オフするように動作を制御することが特定されていない点。
〈相違点3〉
本願発明1は、「第2の電圧を出力する第2の直流電源」(構成要件K)、「アノードに前記第2の電圧が印加され且つカソードが前記第2の正電源配線に接続された第2のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記接地端子に接続された第2のブートストラップ用コンデンサを有する第2のブートストラップ回路」(構成要件L)、「一端が前記接地端子に接続され、他端が第2の負電源配線に接続された第3の安定化用コンデンサ」(構成要件M)及び「一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の負電源配線に接続された第4の安定化用コンデンサ」(構成要件N)を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えることが特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、先に相違点1及び3について検討する。
相違点1及び3に係る構成、すなわち、「一端が前記出力端子に接続され、他端が第1の負電源配線に接続された第1の安定化用コンデンサ」(構成要件G)、「第2の電圧を出力する第2の直流電源」(構成要件K)、「アノードに前記第2の電圧が印加され且つカソードが前記第2の正電源配線に接続された第2のブートストラップ用ダイオード、及び、一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され且つ他端が前記接地端子に接続された第2のブートストラップ用コンデンサを有する第2のブートストラップ回路」(構成要件L)、「一端が前記接地端子に接続され、他端が第2の負電源配線に接続された第3の安定化用コンデンサ」(構成要件M)及び「一端が前記第2のブートストラップ用ダイオードのカソードに接続され、他端が前記第2の負電源配線に接続された第4の安定化用コンデンサ」(構成要件N)については、上記第5の2~3に示した引用例2~3には記載も示唆もされていない。
また、上記相違点1及び3に係る構成は、その他上記第5の4~8に示した引用例4~8にも記載も示唆もされておらず、また、本願優先日前の周知技術であったということもできない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用例2~3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとまではいえず、その他引用例4~8に記載された技術的事項に基づいたとしても、引用発明において、当業者といえども上記相違点1及び3に係る構成を想到することは容易とはいえない。
したがって、上記その余の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2~8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~6について
本願発明2~6は、本願発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2~8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明7について
本願発明7は、本願発明1と概ねカテゴリー表現のみ異なるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2~8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定について
<特許法第29条第2項について>
上記第6に示したとおり、本願発明1~7は、原査定において引用された引用文献1~8(上記第5の引用例1~8)に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-019984