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特許拒絶査定不服審判

2024-003749

DC/DCコンバータシステム、動作指示回路、及び、DC/DCコンバータシステムの制御方法

審判番号
2024-003749
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-133795
請求日
2024年03月04日
審決日
2025年03月27日
公報発行日
2025年04月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】新電元工業株式会社
  • 【請求人代理人】出口 智也
  • 【請求人代理人】宮嶋 学
  • 【請求人代理人】関根 毅
審判長/審判官
  • 審判長 林 毅
  • 審判官 吉田 美彦
  • 審判官 山崎 慎一
分類
P18 .113-WY (H02M) / P18 .121-WY (H02M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-133795「DC/DCコンバータシステム、動作指示回路、及び、DC/DCコンバータシステムの制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月15日出願公開、特開2021- 19431、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年7月19日の出願であって、令和5年4月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月4日に意見書とともに手続補正書が提出され、令和5年12月11日付けで拒絶査定(謄本送達日同年同月19日。以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和6年3月4日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに手続補正がされ、同年12月10日付けで当審により拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和7年2月10日に意見書とともに手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 理由1(実施可能要件) この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(明確性) この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(特許法36条4項1号)について 発明の詳細な説明には、「第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に対して必要な出力電流である負荷要求」の意味・定義についての説明が何等記載されていない。 よって、この出願の発明の詳細な説明は、依然として、当業者が請求項1-14に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 ●理由3(特許法36条6項2号)について 発明の詳細な説明には、「第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に対して必要な出力電流である負荷要求」の意味・定義についての説明が何等記載されていない。 よって、請求項1-14に係る発明は、依然として、明確でない。 第3 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について ・請求項 1~4、13~14 ・引用文献等 1 ●理由2(進歩性)について ・請求項 5~12 ・引用文献等 1~3 <引用文献等一覧> 1.特開2018-196234号公報 2.特開2015-149850号公報 3.特開2010-206858号公報 第4 本願発明 本願請求項1~12に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明12」という。)は、令和7年2月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~12に記載された、次のとおりのものと認める。(なお、請求項1において、「A」~「G」の各記号は、本願発明1の各構成要件を指し示す記号として当審が付加したものであり、それぞれ、「構成要件A」~「構成要件G」などという。また、下線は補正箇所を示すために、審判請求人が付加したものである。) 「 【請求項1】 A 電源用バッテリから電源電圧が供給され、第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に供給される出力電流に応じて、前記複数の負荷に対して電力を供給するDC/DCコンバータシステムであって、 B 前記第1の負荷が接続された第1の出力電圧端子に接続された第1出力部を有し、第1の電圧を前記第1出力部から出力する第1のDC/DCコンバータと、 C 前記第2の負荷が接続された第2の出力電圧端子に接続された第2出力部を有し、第2の電圧を前記第2出力部から出力する第2のDC/DCコンバータと、 D 前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間に接続され、オンすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を導通し、オフすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を遮断する第1のバイパス用スイッチと、 E 前記出力電流に応じて、前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータから前記第1の負荷及び前記第2の負荷への電力の供給を制御するとともに、前記第1のバイパス用スイッチのオン/オフを制御する動作指示部と、を備えるものであり、 F 前記動作指示部は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記出力電流の増加に伴って、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちいずれか一方を駆動させた後、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちの他方をさらに駆動させるシーケンシャル制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させ、 又は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータを同時に駆動させるバランス制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させるものであり、 前記動作指示部による前記シーケンシャル制御と前記バランス制御とは、前記出力電流に応じて、選択される G ことを特徴とするDC/DCコンバータシステム。 【請求項2】 前記動作指示部は、 前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちいずれか一方に異常が発生した場合には、前記第1のバイパス用スイッチをオンして、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうち正常な他方から、前記第1の出力電圧端子及び前記第2の出力電圧端子に電力を供給させる ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項3】 前記動作指示部は、 前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータとが正常である場合には、前記第1のバイパス用スイッチをオフして、前記第1のDC/DCコンバータから前記第1の出力電圧端子に電力を供給させるとともに、前記第2のDC/DCコンバータから前記第2の出力電圧端子に電力を供給させる ことを特徴とする請求項1又は2に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項4】 前記動作指示部は、 前記出力電流に応じて、前記第1のバイパス用スイッチをオンして、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータから、前記第1の出力電圧端子及び前記第2の出力電圧端子に電力を供給させる ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項5】 前記動作指示部は、前記シーケンシャル制御において、 前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちの前記一方をダイオード整流させた後に同期整流させ、その後、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちの前記他方をダイオード整流させた後に同期整流させる ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項6】 前記動作指示部は、前記バランス制御において、 前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータを同時にダイオード整流させた後に、同時に同期整流させる ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項7】 前記第1のDC/DCコンバータは、前記第2のDC/DCコンバータと同じ電流供給能力を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項8】 前記第1のDC/DCコンバータは、前記第2のDC/DCコンバータとは電流供給能力が異なる ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項9】 前記複数の負荷に含まれる第3の負荷が接続された第3の出力電圧端子に接続された第3出力部を有し、第3の電圧を前記第3出力部から出力する第3のDC/DCコンバータと、 前記第2の出力電圧端子と前記第3の出力電圧端子との間に接続され、オンすることにより前記第2の出力電圧端子と前記第3の出力電圧端子との間を導通し、オフすることにより前記第2の出力電圧端子と前記第3の出力電圧端子との間を遮断する第2のバイパス用スイッチと、を備え、 前記動作指示部は、前記出力電流に応じて、前記第1のDC/DCコンバータ、前記第2のDC/DCコンバータ及び前記第3のDC/DCコンバータから前記第1ないし第3の負荷への電力の供給を制御するとともに、前記第1及び第2のバイパス用スイッチのオン/オフを制御する ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のDC/DCコンバータシステム。 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれか一項に記載のDC/DCコンバータシステムを積載する、自動運転機能を備えた自動車。 【請求項11】 電源用バッテリから電源電圧が供給され、第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に供給される出力電流に応じて電力を供給するDC/DCコンバータシステムであって、前記第1の負荷が接続された第1の出力電圧端子に接続された第1出力部を有し、第1の電圧を出力部から出力する第1のDC/DCコンバータと、第2の電圧を出力部から出力する第2のDC/DCコンバータと、前記第1の負荷が接続された第1の出力電圧端子と前記第2の負荷が接続された第2の出力電圧端子との間に接続され、オンすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を導通し、オフすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を遮断する第1のバイパス用スイッチと、動作指示部と、を備えたDC/DCコンバータシステムの制御方法であって、 前記動作指示部は、前記出力電流に応じて、前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータから前記第1の負荷及び前記第2の負荷への電力の供給を制御するとともに、前記第1のバイパス用スイッチのオン/オフを制御するものであり、 前記動作指示部は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記出力電流の増加に伴って、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちいずれか一方を駆動させた後、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちの他方をさらに駆動させるシーケンシャル制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させ、 又は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータを同時に駆動させるバランス制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させるものであり、 前記動作指示部による前記シーケンシャル制御と前記バランス制御とは、前記出力電流に応じて、選択される ことを特徴とするDC/DCコンバータシステムの制御方法。 【請求項12】 電源用バッテリから電源電圧が供給され、第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に供給される出力電流に応じて電力を供給するDC/DCコンバータシステムであって、前記第1の負荷が接続された第1の出力電圧端子に接続された第1出力部を有し、第1の電圧を前記第1出力部から出力する第1のDC/DCコンバータと、前記第2の負荷が接続された第2の出力電圧端子に接続された第2出力部を有し、第2の電圧を前記第2出力部から出力する第2のDC/DCコンバータと、前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間に接続され、オンすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を導通し、オフすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を遮断する第1のバイパス用スイッチと、を備えたDC/DCコンバータシステムに適用される動作指示回路であって、 前記出力電流に応じて、前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータから前記第1の負荷及び前記第2の負荷への電力の供給を制御するとともに、前記第1のバイパス用スイッチのオン/オフを制御するものであり、 前記動作指示回路は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記出力電流の増加に伴って、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちいずれか一方を駆動させた後、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちの他方をさらに駆動させるシーケンシャル制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させ、 又は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータを同時に駆動させるバランス制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させるものであり、 前記動作指示回路による前記シーケンシャル制御と前記バランス制御とは、前記出力電流に応じて、選択される ことを特徴とする動作指示回路。」 第5 引用例 当審拒絶理由通知で引用された引用例1~3には、次のとおりの記載が認められる。 1 引用例1(特開2018-196234号公報) (1)引用例1の記載事項 引用例1には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。) ア 「【0022】 <実施例1> 以下、本発明を具体化した実施例1について説明する。 図1で示す車両用電源システム100(以下、単に電源システム100ともいう)は、車両用蓄電部として構成される第1蓄電部91と、第1蓄電部91とは異なる第2蓄電部92と、車両用電源装置1(以下、単に電源装置1ともいう)と、配線部71,72,73A,73Nとを備え、車両に搭載された第1負荷81や第2負荷82A,82Nに電力を供給し得るシステムとして構成されている。 【0023】 第1蓄電部91は、車両用蓄電部の一例に相当し、例えば、リチウムイオン電池、或いは電気二重層キャパシタ等の蓄電手段によって構成され、第1の所定電圧を発生させるものである。例えば、第1蓄電部91の高電位側端子の電位は48Vに保たれ、低電位側端子はグラウンド電位(0V)に保たれる。第1蓄電部91の高電位側端子は、車両内に設けられた配線部71に電気的に接続されており、第1蓄電部91は、配線部71に対して所定電圧を印加する。第1蓄電部91の低電位側端子は、車両内のグラウンド部に電気的に接続されている。配線部71は、電源装置1の入力側端子P1に接続されており、入力側端子P1を介して第1導電路41と導通している。 【0024】 第2蓄電部92は、例えば、鉛蓄電池等の蓄電手段によって構成され、第1蓄電部91で発生する第1の所定電圧よりも低い第2の所定電圧を発生させるものである。例えば、第2蓄電部92の高電位側端子は12Vに保たれ、低電位側端子はグラウンド電位(0V)に保たれている。第2蓄電部92の高電位側端子は、車両内に設けられた配線部72に電気的に接続されており、第2蓄電部92は、配線部72に対して所定電圧を印加する。第2蓄電部92の低電位側端子は車両内のグラウンド部に電気的に接続されている。配線部72は、電源装置1の出力側端子P2に接続されており、出力側端子P2を介して第2導電路42と導通している。 【0025】 第1負荷81は、配線部72に電気的に接続された負荷であり、配線部72を介して電源装置1又は第2蓄電部92から電力供給を受ける負荷である。第1負荷81としては、公知の様々な車両用負荷を用い得る。 【0026】 第2負荷82A,82Nは、第2蓄電部92に接続された配線部72ではなく、他の配線部73A,73Nに電気的に接続された負荷であり、これら配線部73A,73Nを介して電力供給を受ける負荷である。第2負荷82A,82Nとしては、公知の様々な車両用負荷を用い得る。第2負荷82A,82Nは、第1負荷81と異なる種類の負荷となっている。第2負荷82Aに接続される配線部73Aは、出力側端子P3を介して後述する第3導電路43Aに電気的に接続されており、第2負荷82Aは、第2電源回路20Aから第3導電路43A及び配線部73Aを介して電力供給を受け得る。第2負荷82Nに接続される配線部73Nは、出力側端子P4を介して後述する第3導電路43Nに電気的に接続されており、第2負荷82Nは、第2電源回路20Nから第3導電路43N及び配線部73Nを介して電力供給を受け得る。 【0027】 電源装置1は、第1導電路41と、第2導電路42と、複数の第3導電路43A,43Nと、基準導電路3と、第1電源回路10と、複数の第2電源回路20A,20Nと、複数のリレー部Ra,Rnとを備える。 …中略… 【0032】 図2は、電源装置1の構成を具体的に示す回路図であり、一部の回路(第2電源回路20Nなど)は省略して示している。図2のように、第1電源回路10は、車両に搭載されて使用される車両用降圧型DCDCコンバータとして構成され、主として、電圧変換部11、駆動部15、電圧検出部18、電流検出部19などを備える。第1電源回路10は、第1導電路41に印加された直流電圧(入力電圧)を降圧し、第2導電路42に所望の直流電圧(出力電圧)を印加するように動作する。第1導電路41に印加される電圧とは、第1導電路41と基準導電路3との電位差を意味する。第2導電路42に印加される電圧とは、第2導電路42と基準導電路3との電位差を意味する。 …中略… 【0049】 このように、電源装置1には、複数の第2電源回路20A,20Nが並列に設けられ、いずれも、同期整流方式の降圧型DCDCコンバータとして機能し、第1導電路41に印加された電圧を変換し、対応する第3導電路に所望の電圧を印加するように動作する。第2電源回路20Aは、ローサイド側の第2素子23Aのオン動作とオフ動作との切り替えを、ハイサイド側の第1素子22Aの動作と同期させて行うことで、第1導電路41に印加された直流電圧(入力電圧)を降圧し、第3導電路43Aに所望の直流電圧(出力電圧)を印加する。同様に、第2電源回路20Nは、ローサイド側の第2素子23Nのオン動作とオフ動作との切り替えを、ハイサイド側の第1素子22Nの動作と同期させて行うことで、第1導電路41に印加された直流電圧(入力電圧)を降圧し、第3導電路43Nに所望の直流電圧(出力電圧)を印加する。 …中略… 【0050】 図1のように、電源装置1では、第1電源回路10が第2導電路42に接続されており、複数の第2電源回路20A,20Nの各々が、複数の第3導電路43A,43Nにそれぞれ接続されている。そして、複数設けられた第3導電路43A,43Nの各々と第2導電路42との間の各経路には、リレー部Ra,Rnがそれぞれ設けられ、各経路においてスイッチ部51A,51Nがそれぞれ介在している。 【0051】 リレー部Raは、一部がスイッチ部51Aとして機能するMOSFET50Aと、一部が第2スイッチ部62Aとして機能するMOSFET60Aと、を備え、これらMOSFET50A及びMOSFET60Aが第2導電路42と第3導電路43Aとの間に直列に接続されている。 【0052】 MOSFET50Aは、Nチャネル型のMOSFETとして構成され、ソースが第2導電路42に電気的に接続され、ドレインがMOSFET60Aのドレインに電気的に接続されている。ダイオード53Aは、MOSFET50Aのボディダイオードであり、アノードが第2導電路42に電気的に接続され、カソードがMOSFET60Aのドレイン及びダイオード63Aのカソードに電気的に接続されている。MOSFET50Aのうち、ダイオード53Aを除く部分がスイッチ部51Aである。スイッチ部51Aは、第3導電路43Aと第2導電路42との間に設けられ、第3導電路43A側から第2導電路42側への電力供給を遮断するオフ状態と、許容するオン状態とに切り替わる。 …中略… 【0056】 図4で示す例では、外部から電源装置1に与えられる信号がオフ信号からオン信号に切り替わったことを開始条件として第1電源回路10の駆動部15が電圧変換部11の駆動を開始し、電圧変換動作を行わせる。第1電源回路10は、同期整流方式の降圧型DCDCコンバータとして機能し、駆動部15の制御により、ローサイド側の第2素子13のオン動作とオフ動作との切り替えを、ハイサイド側の第1素子12の動作と同期させて行うことで、第1導電路41に印加された直流電圧(入力電圧)を降圧し、第2導電路42に所望の直流電圧(出力電圧)を印加する。第2導電路42に印加される直流電圧(出力電圧)の大きさは、第1素子12のゲートに与えるPWM信号のデューティ比に応じて定まる。図1の例では、電源装置1の外部に設けられた外部ECU102(制御ECU)から駆動部15に対して目標電圧及び目標電流の各指示値が入力されるようになっている。駆動部15は、所定の通常状態のとき、電圧検出部18、電流検出部19、及び制御回路16によって監視される第2導電路42の電圧値及び電流値に基づき、第2導電路42の電圧値及び電流値を外部ECU102から指示された目標電圧値及び目標電流値に近づけるように、フィードバック演算を繰り返してPWM信号のデューティを調整しつつ電圧変換部11に降圧動作を行わせる。なお、出力側導電路(第2導電路42)で検出される電圧値及び電流値に基づいて電圧変換部11の出力電圧値及び出力電流値を目標電圧値及び目標電流値に近づける制御は、公知の様々な制御を採用し得る。 …中略… 【0058】 このように、駆動部15は、通常時には、目標電圧値及び目標電流値を外部ECU102(制御ECU)から指示された値に設定し、所定条件の成立時には、目標電圧値及び目標電流値のいずれか一方又は両方を、外部ECU102から指示された値よりも小さくするように制限する。いずれの場合でも、目標電圧値及び目標電流値が設定され、電圧検出部18、電流検出部19、及び制御回路16によって検出される第2導電路42の電圧値(実際の電圧値)及び電流値(実際の電流値)に基づき、第2導電路42の電圧値及び電流値を目標電圧値及び目標電流値に近づけるように駆動部15によって制御がなされる。 【0059】 同様に、各第2電源回路20A,20Nの各制御部25A,25Nも、外部から電源装置1に与えられる信号がオフ信号からオン信号に切り替わったことを開始条件として電圧変換部21A,21Nの駆動を開始し、電圧変換動作を行わせる。第2電源回路20A,20Nの各々も、同期整流方式の降圧型DCDCコンバータとして機能する。図2で示す第2電源回路20Aは、制御部25Aの制御により、第1導電路41に印加された直流電圧(入力電圧)を降圧し、第3導電路43Aに所望の直流電圧(出力電圧)を印加する。第3導電路43Aに印加される直流電圧(出力電圧)の大きさは、第1素子22Aのゲートに与えるPWM信号のデューティ比に応じて定まる。図3で示す第2電源回路20Nは、制御部25Nの制御により、第1導電路41に印加された直流電圧(入力電圧)を降圧し、第3導電路43Nに所望の直流電圧(出力電圧)を印加する。第3導電路43Nに印加される直流電圧(出力電圧)の大きさは、第1素子22Nのゲートに与えるPWM信号のデューティ比に応じて定まる。 【0060】 図2で示す駆動部15の制御回路16は、電圧検出部18によって検出される第2導電路42の電圧値(実際の電圧値)と設定中の目標電圧値との差が所定の第1値未満であり、且つ、電流検出部19によって検出される第2導電路42の電流値(実際の電流値)と設定中の目標電流値との差が所定の第2値未満である場合、正常状態であるとして、第2電源回路20Aの制御回路26A及び第2電源回路20Nの制御回路26Nに所定の正常信号を出力するようになっている。一方、制御回路16は、電圧検出部18によって検出される第2導電路42の電圧値(実際の電圧値)が設定中の目標電圧値よりも低く、それらの差が上記第1値以上である場合、又は、電流検出部19によって検出される第2導電路42の電流値(実際の電流値)が設定中の目標電流値よりも低く、それらの差が上記第2値以上である場合、第2電源回路20Aの制御回路26A及び第2電源回路20Nの制御回路26Nに第1の異常信号を出力するようになっている。図4の例では、何らかの理由によって時間t2で第1電源回路10の出力が停止しており、時間t3で第1の異常信号が出力されている。また、制御回路16は、電圧検出部18によって検出される第2導電路42の電圧値(実際の電圧値)が、所定の電圧閾値以上である場合(第2の異常状態である場合)、第2電源回路20Aの制御回路26A及び第2電源回路20Nの制御回路26Nに第2の異常信号を出力するようになっている。 【0061】 第2電源回路20Aの制御部25Aは、電圧変換部21Aの駆動開始後、制御回路16から正常信号が出力されている場合(即ち、第1電源回路10及び第2導電路42が所定の正常状態である場合)、スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオフ状態とするとともに第2スイッチ部62Aをオン状態とする。図4の例では、時間t1から時間t3までの間は、スイッチ部51A(第1スイッチ部)がオフ状態とされ、第2スイッチ部62Aがオン状態とされるため、第3導電路43A側から第2導電路42側へ電流が流れることが遮断される。また、第3導電路43Aの電位が第2導電路42の電位よりも一定程度低くなった場合には、ダイオード53A及び第2スイッチ部62Aを介して電流が流れ、第3導電路43Aの電位の低下が抑えられる。また、第2電源回路20Nの制御部25Nも同様に動作し、電圧変換部21Nの駆動開始後、制御回路16から正常信号が出力されている場合、スイッチ部51N(第1スイッチ部)をオフ状態とするとともに第2スイッチ部62Nをオン状態とし、第3導電路43N側から第2導電路42側へ電流が流れることを遮断しつつ、第3導電路43Nの電位が第2導電路42の電位よりも一定程度低くなった場合には、ダイオード53N及び第2スイッチ部62Nを介して電流が流れる。 【0062】 第2電源回路20Aの制御部25Aは、電圧変換部21Aの駆動開始後、制御回路16から第1の異常信号が出力されている場合(即ち、検出部5が検出する第2導電路42の電圧値が目標電圧値よりも第1値以上低い場合、又は検出部5が検出する第2導電路42の電流値が目標電流値よりも第2値以上低い場合)に、スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオン状態とし、第2スイッチ部62Aもオン状態で維持する。同様に、第2電源回路20Nの制御部25Nは、電圧変換部21Nの駆動開始後、制御回路16から第1の異常信号が出力されている場合に、スイッチ部51N(第1スイッチ部)をオン状態とし、第2スイッチ部62Nもオン状態で維持する。このように、第2導電路42に対する出力が低下した場合にスイッチ部51A,51Nがオン状態に切り替えられるため、第2電源回路20A,20Nから供給される電力の一部が、第2導電路42に補充されることになる。なお、図4の例では、時間t3から時間t4までの期間に制御回路16から第1の異常信号が出力されている。また、時間t4の後には、第1の異常信号が解除され、時間t4から時間t5までの間は、正常信号が出力されている。 【0063】 第2電源回路20Aの制御部25Aは、電圧変換部21Aの駆動開始後、制御回路16から第2の異常信号が出力されている場合(即ち、検出部5が検出する第2導電路42の電圧値が所定の電圧閾値以上である場合(第2の異常状態である場合))に、スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオフ状態とし、第2スイッチ部62Aもオフ状態とする。同様に、第2電源回路20Nの制御部25Nは、電圧変換部21Nの駆動開始後、制御回路16から第2の異常信号が出力されている場合に、スイッチ部51N(第1スイッチ部)をオフ状態とし、第2スイッチ部62Nもオフ状態とする。このように、第2導電路42が過電圧状態となった場合に第2スイッチ部62A,62Nがオフ状態に切り替えられるため、第2導電路42の過電圧の影響が第3導電路43A,43Nに及ばなくなり、第3導電路43A,43Nが過電圧となることを防ぐことができる。なお、図4の例では、時間t5から時間t6までの期間に制御回路16から第2の異常信号が出力されている。」 イ 「図1 」 ウ 「図2 」 (2)引用発明 上記(1)の記載(特に下線部)から、下記引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「第1蓄電部91と、電源装置1と、配線部71,72,73A,73Nとを備え、車両に搭載された第1負荷81や第2負荷82A,82Nに電力を供給し得る電源システム100であって(【0022】)、 第1蓄電部91は、車両用蓄電部の一例に相当し(【0023】)、配線部72は、電源装置1の出力側端子P2に接続されており、出力側端子P2を介して第2導電路42と導通しており(【0024】)、 第1負荷81は、配線部72に電気的に接続された負荷であり、配線部72を介して電源装置1から電力供給を受け(【0025】)、 第2負荷82A,82Nは、他の配線部73A,73Nに電気的に接続された負荷であって、これら配線部73A,73Nを介して電力供給を受ける負荷であり、第2負荷82Aに接続される配線部73Aは、出力側端子P3を介して第3導電路43Aに電気的に接続されており、第2負荷82Aは、第2電源回路20Aから第3導電路43A及び配線部73Aを介して電力供給を受け(【0026】)、 電源装置1は、第1電源回路10と、複数の第2電源回路20A,20Nと、複数のリレー部Ra,Rnとを備え(【0027】)、 第1電源回路10は、車両に搭載されて使用される車両用降圧型DCDCコンバータとして構成され、電圧変換部11、駆動部15、電圧検出部18、電流検出部19などを備え(【0032】、図2)、 電源装置1には、複数の第2電源回路20A,20Nが並列に設けられ、いずれも、同期整流方式の降圧型DCDCコンバータとして機能し(【0049】)、 複数設けられた第3導電路43A,43Nの各々と第2導電路42との間の各経路には、リレー部Ra,Rnがそれぞれ設けられ、各経路においてスイッチ部51A,51Nがそれぞれ介在し(【0050】)、 リレー部Raは、一部がスイッチ部51Aとして機能するMOSFET50Aと、一部が第2スイッチ部62Aとして機能するMOSFET60Aと、を備え、これらMOSFET50A及びMOSFET60Aが第2導電路42と第3導電路43Aとの間に直列に接続され(【0051】)、 スイッチ部51Aは、第3導電路43Aと第2導電路42との間に設けられ、第3導電路43A側から第2導電路42側への電力供給を遮断するオフ状態と、許容するオン状態とに切り替わり(【0052】)、 第2導電路42に印加される直流電圧(出力電圧)の大きさは、第1素子12のゲートに与えるPWM信号のデューティ比に応じて定まり、電源装置1の外部に設けられた外部ECU102(制御ECU)から駆動部15に対して目標電圧及び目標電流の各指示値が入力されるようになっていて、所定の通常状態のとき、電圧検出部18、電流検出部19、及び制御回路16によって監視される第2導電路42の電圧値及び電流値に基づき、第2導電路42の電圧値及び電流値を外部ECU102から指示された目標電圧値及び目標電流値に近づけるように、フィードバック演算を繰り返してPWM信号のデューティを調整しつつ電圧変換部11に降圧動作を行わせ(【0056】、図1)、 駆動部15は、通常時には、目標電圧値及び目標電流値を外部ECU102(制御ECU)から指示された値に設定し、所定条件の成立時には、目標電圧値及び目標電流値のいずれか一方又は両方を、外部ECU102から指示された値よりも小さくするように制限し(【0058】)、同様に、各第2電源回路20A,20Nの各制御部25A,25Nも、電圧変換部21A,21Nの駆動を開始し、電圧変換動作を行わせ(【0059】)、 駆動部15の制御回路16は、電流検出部19によって検出される第2導電路42の電流値(実際の電流値)と設定中の目標電流値との差が所定の第2値未満である場合、正常状態であるとして正常信号を出力する一方、制御回路16は、電流検出部19によって検出される第2導電路42の電流値(実際の電流値)が設定中の目標電流値よりも低く、それらの差が上記第2値以上である場合、異常信号を出力し(【0060】、図2)、 第2電源回路20Aの制御部25Aは、第1電源回路10及び第2導電路42が所定の正常状態である場合、スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオフ状態とするとともに第2スイッチ部62Aをオン状態とし(【0061】)、 第2電源回路20Aの制御部25Aは、異常信号が出力されている場合に、スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオン状態とし、第2スイッチ部62Aもオン状態で維持し、第2導電路42に対する出力が低下した場合にスイッチ部51A,51Nがオン状態に切り替えられるため、第2電源回路20A,20Nから供給される電力の一部が、第2導電路42に補充され(【0062】)、 第2電源回路20Aの制御部25Aは、電圧変換部21Aの駆動開始後、制御回路16から第2の異常信号が出力されている場合に、スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオフ状態とし、第2スイッチ部62Aもオフ状態とする(【0063】) 電源システム100。」 2 引用例2(特開2015-149850号公報) 引用例2には、次の事項が記載されている。 (1)「【0054】 また、本実施形態の構成においては、制御回路41は、単独出力モードにて、出力電流Io(すなわち取得値Is)が所定の第二閾値電流(例えば40A程度)未満である場合には、第一コンバータ21における二次側回路32に備えられたスイッチング素子321a及び322aの動作を停止させる(制御端子入力信号すなわちゲート信号をオフ状態とする)。これにより、第一コンバータ21はダイオード整流動作する。 【0055】 また、本実施形態の構成においては、制御回路41は、単独出力モードにて、出力電流Io(すなわち取得値Is)が上述の第二閾値電流以上である場合には、第一コンバータ21における二次側回路32に備えられたスイッチング素子321a及び322aを動作させる。これにより、第一コンバータ21は同期整流動作する。」 3 引用例3(特開2010-206858号公報) 引用例3には、次の事項が記載されている。 (1)「【0033】 切換部8は、トランス811,812と、平滑回路821,822と、バッファ831,832と、抵抗器R81,R82と、リファレンス電源84と、比較器(コンパレータ)85と、SW駆動部86とを有している。この切換部8は、電流検出回路22により検出された検出信号S(Iin1)と、電圧検出回路21により検出された検出信号S(Vin1)とに基づいて、整流回路5における整流モードの切換動作を行うものである。具体的には、出力端子T3,T4の負荷(図示せず)が小さい軽負荷時には、整流ダイオードD51,D52のみを用いて整流動作を行う第1の整流モードとなると共に、上記軽負荷時よりも負荷が大きい重負荷時には、整流ダイオードD51,D52とスイッチング素子SW51,SW52とを用いて同期整流動作を行う第2の整流モードとなるように、整流回路5における整流モードを切り換えるようになっている。なお、このような整流モードの切換動作の詳細については、後述する。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 構成要件Aについて 引用発明の「第1蓄電部91」及び「第1負荷81や第2負荷82A,82N」はそれぞれ、構成要件Aの「電源用バッテリ」及び「第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷」に相当する。 引用発明の「電源システム100」は、「第1電源回路10と、複数の第2電源回路20A,20N」を備える「電源装置1」を備え、当該「第1電源回路10」や「複数の第2電源回路20A,20N」は「いずれも、同期整流方式の降圧型DCDCコンバータとして機能」することからして、構成要件Aの「前記複数の負荷に対して電力を供給するDC/DCコンバータシステム」であるといえる。 また、引用発明の「電源装置1」を含む「電源システム100」は、「電流検出部19…によって監視される…電流値に基づき、第2導電路42の電圧値及び電流値を…中略…電圧変換部11に降圧動作を行わせ」て「第2導電路42に印加される直流電圧(出力電圧)の大きさ」に応じて電力を供給するものといえるところ、構成要件Aの「複数の負荷に供給される出力電流に応じて、前記複数の負荷に対して電力を供給するDC/DCコンバータシステム」であるといえる。 したがって、引用発明の「第1蓄電部91と、電源装置1と、配線部71,72,73A,73Nとを備え、車両に搭載された第1負荷81や第2負荷82A,82Nに電力を供給し得る電源システム100」は、構成要件Aの「電源用バッテリから電源電圧が供給され、第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に供給される出力電流に応じて、前記複数の負荷に対して電力を供給するDC/DCコンバータシステム」に相当する。 イ 構成要件B、Cについて 引用発明の「降圧型DCDCコンバータ」である「第1電源回路10」及び「第2電源回路20A」はそれぞれ、構成要件Bの「第1のDC/DCコンバータ」及び構成要件Cの「第2のDC/DCコンバータ」に相当する。 引用発明の「出力側端子P2」及び「出力側端子P3」はそれぞれ、構成要件Bの「第1の出力電圧端子」及び構成要件Cの「第2の出力電圧端子」に相当する。 引用発明の「第1電源回路10」の出力部及び「第2電源回路20A」の出力部はそれぞれ、構成要件Bの「第1出力部」及び構成要件Cの「第2出力部」に相当する。 そして、引用発明の「第1電源回路10」及び「第2電源回路20A」の出力電圧をそれぞれ“第1の電圧”、“第2の電圧”と称することは任意であるから、引用発明の「第1電源回路10」及び「第2電源回路20A」はそれぞれ、構成要件Bの「前記第1の負荷が接続された第1の出力電圧端子に接続された第1出力部を有し、第1の電圧を前記第1出力部から出力する第1のDC/DCコンバータ」及び構成要件Cの「前記第2の負荷が接続された第2の出力電圧端子に接続された第2出力部を有し、第2の電圧を前記第2出力部から出力する第2のDC/DCコンバータ」に相当する。 ウ 構成要件Dについて 引用発明の「第2導電路42と第3導電路43Aとの間に直列に接続され」る「リレー部Ra」は、オンすることにより「第2導電路42と第3導電路43Aと」が導通し、オフすることによって「第2導電路42と第3導電路43Aと」が遮断することになるから、上記イの認定を踏まえると、構成要件Dの「前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間に接続され、オンすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を導通し、オフすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を遮断する第1のバイパス用スイッチ」に相当する。 エ 構成要件Eについて 引用発明において、「外部ECU102(制御ECU)から」入力された「目標電圧及び目標電流の各指示値」によって、「駆動部15」が、「第2導電路42の電圧値及び電流値を外部ECU102から指示された目標電圧値及び目標電流値に近づけるように、フィードバック演算を繰り返してPWM信号のデューティを調整しつつ電圧変換部11に降圧動作を行わせ」る処理及び「第2電源回路20A」の「制御部25A」が「電圧変換動作を行わせ」る処理は、本願発明1における、「前記出力電流に応じて、前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータから前記第1の負荷及び前記第2の負荷への電力の供給を制御する」との処理に相当し、引用発明において、「第2電源回路20Aの制御部25A」による「スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオフ状態とするとともに第2スイッチ部62Aをオン状態とし」たり「スイッチ部51A(第1スイッチ部)をオフ状態とし、第2スイッチ部62Aもオフ状態と」したりする処理は、本願発明1における「前記出力電流に応じて、」「前記第1のバイパス用スイッチのオン/オフを制御する」との処理に相当する。 よって、引用発明の「外部ECU102(制御ECU)」、「駆動部15」及び「第2電源回路20Aの制御部25A」は、構成要件Eの「前記出力電流に応じて、前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータから前記第1の負荷及び前記第2の負荷への電力の供給を制御するとともに、前記第1のバイパス用スイッチのオン/オフを制御する動作指示部」に相当する。 オ 構成要件Fについて 引用発明は、本願発明1の、構成要件Fに係る構成を有しない。(相違点1) カ 構成要件Gについて 上記ア~エの認定を踏まえると、引用発明の「電源システム100」と、本願発明1の構成要件A~Fを備えることを特徴とする「DC/DCコンバータシステム」(構成要件G)とは、構成要件A~Eを備えることを特徴とする「DC/DCコンバータシステム」である点において共通する。 キ むすび 以上、ア~カの検討から、本願発明1と引用発明とは次の点で一致ないし相違する。 〈一致点〉 電源用バッテリから電源電圧が供給され、第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に供給される出力電流に応じて、前記複数の負荷に対して電力を供給するDC/DCコンバータシステムであって、 前記第1の負荷が接続された第1の出力電圧端子に接続された第1出力部を有し、第1の電圧を前記第1出力部から出力する第1のDC/DCコンバータと、 前記第2の負荷が接続された第2の出力電圧端子に接続された第2出力部を有し、第2の電圧を前記第2出力部から出力する第2のDC/DCコンバータと、 前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間に接続され、オンすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を導通し、オフすることにより前記第1の出力電圧端子と前記第2の出力電圧端子との間を遮断する第1のバイパス用スイッチと、 前記出力電流に応じて、前記第1のDC/DCコンバータ及び前記第2のDC/DCコンバータから前記第1の負荷及び前記第2の負荷への電力の供給を制御するとともに、前記第1のバイパス用スイッチのオン/オフを制御する動作指示部と、を備える ことを特徴とするDC/DCコンバータシステム。 〈相違点1〉 本願発明1は、「前記動作指示部は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記出力電流の増加に伴って、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちいずれか一方を駆動させた後、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちの他方をさらに駆動させるシーケンシャル制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させ、 又は、 前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合には、 前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータを同時に駆動させるバランス制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させるものであり、 前記動作指示部による前記シーケンシャル制御と前記バランス制御とは、前記出力電流に応じて、選択される」(構成要件F)との構成を有するのに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。 (2)相違点1についての判断 本願発明1は、上記相違点1に係る構成、すなわち、「動作指示部」が、「前記第1のバイパス用スイッチをオンに制御している場合」に、「前記出力電流の増加に伴って、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちいずれか一方を駆動させた後、前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータのうちの他方をさらに駆動させるシーケンシャル制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させ」るか、「又は」、「前記第1のDC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータを同時に駆動させるバランス制御により前記複数の負荷に対して電力を供給させる」ものであって、さらに、当該「動作指示部」による「前記シーケンシャル制御と前記バランス制御とは、前記出力電流に応じて、選択される」ものであるところ、そのような制御を行うことは、上記第5の2及び3に示した引用例2及び3にも記載も示唆もされておらず、また、本願出願時の技術常識ともいえない。 したがって、当業者が、引用例1に記載された引用発明において、上記相違点1に係る構成を容易に想到することができたとまではいえないから、本願発明1は、当業者といえども、引用例1に記載された発明並びに引用例2及び3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明11及び12について 本願発明11は、本願発明1と概ねカテゴリー表現が異なる発明であり、本願発明12は、DC/DCコンバータシステムに適用される動作指示回路に係る発明であって、本願発明1と同様の構成を有するものであり、共に、本願発明1の上記相違点1に係る構成を有することから、本願発明1と同じ理由により、当業者といえども、引用例1に記載された発明並びに引用例2及び3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 本願発明2~10について 本願発明2~10は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者といえども、引用例1に記載された発明並びに引用例2及び3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 原査定において指摘された、「第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に対して必要な出力電流である負荷要求」は、本願明細書段落【0074】及び【0096】に記載の「負荷要求の増加(出力電流の増加)」などの記載に基づいて「第1の負荷及び第2の負荷を含む複数の負荷に供給される出力電流」と補正された結果、本願発明1~12は明確となり、かつ、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明1~12を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものとなったといえる。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、当審拒絶理由通知の理由及び原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-003749

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