特許拒絶査定不服審判
2023-018780
呼吸回路用の区域加熱
- 審判番号
- 2023-018780
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-115304
- 請求日
- 2023年11月06日
- 審決日
- 2024年12月17日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】赤岡 明
- 【請求人代理人】吉元 弘
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 正章
- 審判官 井上 哲男
- 審判官 小河 了一
- 分類
- P18 .57 -Z (A61M) / P18 .121-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-115304「呼吸回路用の区域加熱」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月21日出願公開、特開2021-166795〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)11月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年11月14日(US)アメリカ合衆国 2013年 3月14日(US)アメリカ合衆国 2013年 9月13日(US)アメリカ合衆国 外3件)を国際出願日とする出願である特願2015-542993号の一部を、令和 元年10月18日に新たな特許出願とした特願2018-196883号の一部を、令和 3年 7月12日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯は,概略以下のとおりである。
令和 3年12月10日提出 手続補正書
令和 4年 4月13日付け 拒絶理由通知
令和 4年 9月16日提出 意見書及び手続補正書
令和 5年 1月25日付け 拒絶理由通知
令和 5年 4月25日提出 意見書及び手続補正書
令和 5年 6月30日付け 拒絶査定
令和 5年11月 6日提出 審判請求書及び手続補正書
令和 6年 2月 9日提出 上申書
第2 令和 5年11月 6日提出の手続補正書による手続補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和 5年11月6日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲は次のとおり補正された(下線は、補正箇所を示す。)。
「 【請求項1】
二肢回路であって、
第1の加熱ワイヤ回路を備える第1の区分と、
第2の加熱ワイヤ回路を備える前記二肢回路の第2の区分と、
を含む吸気肢と、
呼気ガスを患者から運び出すように構成され、呼気加熱ワイヤ回路を備える呼気肢と、
を備え、
第1のモードでは、前記第1の加熱ワイヤ回路と、前記呼気加熱ワイヤ回路の加熱ワイヤの全長に電力が提供され、前記第2の加熱ワイヤ回路には電力が供給されず、
第2のモードでは、前記第1の加熱ワイヤ回路、前記第2の加熱ワイヤ回路、及び前記呼気加熱ワイヤ回路の前記加熱ワイヤの全長に電力が供給されるように、
前記第1の加熱ワイヤ回路、前記第2の加熱ワイヤ回路、及び前記呼気加熱ワイヤ回路が、前記加熱ワイヤ回路に供給される電力を制御する少なくとも一つの制御装置に使用中に接続されるように構成されていることを特徴とする二肢回路。
【請求項2】
前記第1の区分と前記第2の区分のそれぞれは、
螺旋状に巻かれた細長い中空体を含む第1の細長い部材と、
前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に螺旋状に巻かれた第2の細長い部材と、
を備え、
前記第1の細長い部材は、長手方向軸と、前記長手方向軸に沿って延びる内腔とを有する細長い管を少なくとも部分的に形成し、前記第2の細長い部材は前記内腔の少なくとも一部を形成し、前記第1の細長い部材に支持又は補強を提供することを特徴とする請求項1に記載の二肢回路。
【請求項3】
前記第1の加熱ワイヤ回路の一つ又は二つ以上の加熱ワイヤは、前記第1の区分の前記第2の細長い部材の内部に埋め込まれた又はカプセル化され、
前記第2の加熱ワイヤ回路の一つ又は二つ以上の加熱ワイヤは、前記第2の区分の前記第2の細長い部材の内部に埋め込まれた又はカプセル化されたことを特徴とする請求項2に記載の二肢回路。
【請求項4】
前記内腔は、呼吸回路内にガスを搬送するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の二肢回路。
【請求項5】
前記第1の区分の前記第2の細長い部材及び/又は前記第2の区分の前記第2の細長い部材の内部に、一つ又は二つ以上のセンサワイヤが埋め込まれていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項6】
前記一つ又は二つ以上のセンサワイヤが、温度センサ、流量センサ、酸素濃度センサ、又は湿度センサの1つに接続されるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の二肢回路。
【請求項7】
前記第1の区分の長さと前記第2の区分の長さとは異なることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項8】
前記第1の区分と前記第2の区分を結合するための中間部分をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項9】
前記第1の区分と前記第2の区分とは、前記中間部分によって機械的及び電気的に結合されていることを特徴とする請求項8に記載の二肢回路。
【請求項10】
前記二肢回路は、保育器と連結されて使用されるように構成されており、前記二肢回路の一部分が前記保育器の内部に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項11】
前記第1の区分は、前記保育器の外側に位置するように構成され、前記第2の区分は、前記保育器の内部に挿入されるように構成された前記二肢回路の前記一部分に対応することを特徴とする請求項10に記載の二肢回路。
【請求項12】
前記細長い中空体がガスで満たされていることを特徴とする請求項2乃至6、又は、少なくとも請求項2に従属する場合は請求項7乃至11のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項13】
前記吸気肢は、軟性(フレキシブル)であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項14】
前記細長い中空体は、穿孔されていることを特徴とする請求項2乃至6、又は、少なくとも請求項2に従属する場合は請求項7乃至13のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項15】
前記第2の細長い部材が、前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に結合されており、前記第1の細長い部材の前記細長い中空体が、長手方向断面で、複数の中空気泡体を形成することを特徴とする請求項2乃至6、又は、少なくとも請求項2に従属する場合は請求項7乃至14のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項16】
前記中空気泡体の幅が前記中空気泡体の高さより大きく、及び/又は、前記中空気泡体は、前記細長い中空体の隣接する一巻き同士の間の長手方向断面内の隙間によって離隔されることを特徴とする請求項15に記載の二肢回路。
【請求項17】
請求項3、又は、少なくとも請求項3に従属する場合は、請求項4乃至16のいずれか一項に記載の二肢回路であって、前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤは、前記第2の細長い部材内で相互に離間していることを特徴とする二肢回路。
【請求項18】
二つ又は三つ以上の部分が、前記第2の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に位置するように、及び/又は、二つ又は三つ以上の中空気泡体が長手方向断面内に形成されるように、前記第1の細長い部材の前記細長い中空体は、前記二つ又は三つ以上の部分を備えることを特徴とする請求項2乃至6、又は、少なくとも請求項2に従属する場合は請求項7乃至17のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項19】
前記第2の細長い部材は、より広い基部とより狭い上部とを備え、及び/又は、前記第2の細長い部材は前記第1の細長い部材よりも堅いことを特徴とする請求項2乃至6、又は、少なくとも請求項2に従属する場合は請求項7乃至18のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項20】
第1の極性の電力が前記加熱ワイヤ回路に供給されるとき、前記二肢回路は前記第1のモードにあり、及び/又は、前記第1の極性と反対の第2の極性の電力が前記加熱ワイヤ回路に供給されるとき、前記二肢回路は前記第2のモードにあることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項21】
前記吸気肢は、使用中において吸気ガスを患者に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の二肢回路。
【請求項22】
前記第2のセグメントの患者側及び/又は保育器内に位置された温度センサを備え、前記温度センサは前記少なくとも一つの制御装置と通信するように構成されており、前記少なくとも一つの制御装置は、前記温度センサからの入力に基づいて、第1のモードと第2のモードとの間で選択的に切り替えるように適合されていることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の二肢回路。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和 5年 4月25日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
医療用管であって、
一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備える第1の区分と、
一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備える第2の区分と、
を備え、
第1のモードでは、前記第1の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに電力が提供され、前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤには電力が提供されないように、前記第1の区分及び前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤが、少なくとも一つの制御装置に使用中に接続されるように構成されており、
前記第1の区分及び前記第2の区分のそれぞれが、
螺旋状に巻かれた細長い中空体を有する第1の細長い部材と、
前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に螺旋状に巻かれた第2の細長い部材と、を備え、
前記第1の細長い部材が、少なくとも一部分に、長手方向軸を有する細長い管と、前記長手方向軸に沿って延在する内腔とを形成し、前記第2の細長い部材が前記内腔の少なくとも一部分を形成し、前記第2の細長い部材は、前記第1の細長い部材のための支持又は補強を提供することを特徴とする医療用管。
【請求項2】
前記第1の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤは、前記第1の区分の前記第2の細長い部材の内部に埋め込まれた又はカプセル化され、
前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤは、前記第2の区分の前記第2の細長い部材の内部に埋め込まれた又はカプセル化されたことを特徴とする請求項1に記載の医療用管。
【請求項3】
前記内腔は、呼吸回路内にガスを搬送するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用管。
【請求項4】
前記第1の区分の前記第2の細長い部材及び/又は前記第2の区分の前記第2の細長い部材の内部に、一つ又は二つ以上のセンサワイヤが埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項5】
前記一つ又は二つ以上のセンサワイヤが、温度センサ、流量センサ、酸素濃度センサ、又は湿度センサの1つに接続されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の医療用管。
【請求項6】
前記第1の区分の長さと前記第2の区分の長さとは異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項7】
前記第1の区分と前記第2の区分を結合するための中間部分をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項8】
前記第1の区分と前記第2の区分とは、前記中間部分によって機械的及び電気的に結合されていることを特徴とする請求項7に記載の医療用管。
【請求項9】
前記医療用管は、保育器と連結されて使用されるように構成されており、前記医療用管の一部分が前記保育器の内部に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項10】
前記第1の区分は、前記保育器の外側に位置するように構成され、前記第2の区分は、前記保育器の内部に挿入されるように構成された前記医療用管の前記一部分に対応することを特徴とする請求項9に記載の医療用管。
【請求項11】
前記細長い中空体がガスで満たされていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項12】
前記医療用管は、軟性(フレキシブル)であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項13】
前記細長い中空体は、穿孔されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項14】
前記第2の細長い部材が、前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に結合されており、前記第1の細長い部材の前記細長い中空体が、長手方向断面で、複数の中空気泡体を形成することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項15】
前記中空気泡体の幅が前記中空気泡体の高さより大きく、及び/又は、前記中空気泡体は、前記細長い中空体の隣接する一巻き同士の間の長手方向断面内の隙間によって離隔されることを特徴とする請求項14に記載の医療用管。
【請求項16】
請求項2又は請求項3乃至15のいずれか一項に記載の医療用管であって、請求項2に従属する場合は、前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤは、前記第2の細長い部材内で相互に離間していることを特徴とする医療用管。
【請求項17】
二つ又は三つ以上の部分が、前記第2の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に位置するように、及び/又は、二つ又は三つ以上の中空気泡体が長手方向断面内に形成されるように、前記第1の細長い部材の前記細長い中空体は、前記二つ又は三つ以上の部分を備えることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項18】
前記第2の細長い部材は、より広い基部とより狭い上部とを備え、及び/又は、前記第2の細長い部材は前記第1の細長い部材よりも堅いことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項19】
第2のモードにおいて、前記第1の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに電力が提供され、前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに電力が提供されるように、前記第1の区分及び前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤが、少なくとも一つの制御装置に使用中に接続されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項20】
第1の極性の電力が前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに供給されるとき、前記医療用管は前記第1のモードにあり、及び/又は、前記第1の極性と反対の第2の極性の電力が前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに供給されるとき、前記医療用管は前記第2のモードにあることを特徴とする請求項19に記載の医療用管。
【請求項21】
前記医療用管は、使用中において吸気ガスを患者に供給するように構成された吸気肢であることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項22】
前記第1の区分及び前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤは、使用中において前記患者から離れてガスを輸送する他の管を加熱するように構成された加熱ワイヤ回路から独立していることを特徴とする請求項21に記載の医療用管。」
2 補正の適否
本件補正は、概略以下のア~カの補正事項(以下、それぞれ「補正事項ア」~「補正事項カ」という。)からなる。
ア 補正前の請求項19,22を削除。
イ 請求項1の「医療用管」を、「吸気肢」及び「呼気肢」を備える「二肢回路」に特定すると共に、「一つ又は二つ以上の加熱ワイヤ」を、「第1の加熱ワイヤ回路」、「第2の加熱ワイヤ回路」及び「呼気加熱ワイヤ回路」に特定し、「第1のモード」及び「第2のモード」で上記「第1の加熱ワイヤ回路」、「第2の加熱ワイヤ回路」及び「呼気加熱ワイヤ回路」のうち、いずれのワイヤ回路に電力が供給されるかを特定。
ウ 請求項1の「前記第1の区分及び前記第2の区分のそれぞれが、螺旋状に巻かれた細長い中空体を有する第1の細長い部材と、前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に螺旋状に巻かれた第2の細長い部材と、を備え、前記第1の細長い部材が、少なくとも一部分に、長手方向軸を有する細長い管と、前記長手方向軸に沿って延在する内腔とを形成し、前記第2の細長い部材が前記内腔の少なくとも一部分を形成し、前記第2の細長い部材は、前記第1の細長い部材のための支持又は補強を提供する」点を削除。
エ 上記ウに係る点を請求項2として加入。
オ 上記イ及びウに係る請求項1の補正と整合させるための補正前の請求項2~18、20、21の補正及び上記エに係る請求項2の加入に伴う補正前の請求項2~18の繰り下げ。
カ 補正後の請求項22の加入。
ここで、拒絶査定不服審判の請求と同時に行う補正は、(1)請求項の削除、(2)特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項限定するもの・・・・に限る。)、(3)誤記の訂正、(4)明瞭でない記載の釈明を目的とするものに限り認められる(特許法第17条の2第5項第1~4号参照。)ところ、補正事項ウ、エ、カが上記(1)、(3)、(4)に該当しないことは明らかであるから、以下、補正事項ウ、エ、カが、上記(2)を目的とする補正であるかについて検討する。
上記(2)を目的とする補正であるためには、(A)特許請求の範囲の減縮であること、(B)補正前に請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであること、(C)補正前の当該請求項に記載した発明と補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることが必要である(知的財産高等裁判所 平成26年(行ケ)第10057号判決)ところ、補正事項ウは、補正前の請求項1の構成要件の一部を削除するものであるから、上記(A)の要件を満たさない。
また、補正事項カは、補正前の請求項1~22で特定されていなかった、「温度センサ」に係る構成を新たに加入し、当該温度センサからの入力に基いて制御装置が第1のモードと第2のモードとの切り替えを行うことを特定するものであり、本件補正前に特定されていなかった「温度センサ」による特定を新たに加入するものであるから、上記(B)の要件を充足しない。
なお、出願人は請求項22に係る補正の根拠として原出願の請求項6、17を掲げている(審判請求書4頁10~13行参照。)が、本件補正前の特許請求の範囲(令和 5年 4月25日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲)には当該請求項6、17に対応する請求項の記載はない。
よって、本件補正の補正事項ウ及びカは、上記(2)を目的とする補正にあたらない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものではない補正を含み、同条同項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~22に係る発明は、令和 5年 4月25日提出の手続補正書による補正された特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「医療用管であって、
一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備える第1の区分と、
一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備える第2の区分と、
を備え、
第1のモードでは、前記第1の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに電力が提供され、前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤには電力が提供されないように、前記第1の区分及び前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤが、少なくとも一つの制御装置に使用中に接続されるように構成されており、
前記第1の区分及び前記第2の区分のそれぞれが、
螺旋状に巻かれた細長い中空体を有する第1の細長い部材と、
前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に螺旋状に巻かれた第2の細長い部材と、を備え、
前記第1の細長い部材が、少なくとも一部分に、長手方向軸を有する細長い管と、前記長手方向軸に沿って延在する内腔とを形成し、前記第2の細長い部材が前記内腔の少なくとも一部分を形成し、前記第2の細長い部材は、前記第1の細長い部材のための支持又は補強を提供することを特徴とする医療用管。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、拒絶の理由として概略次の理由を含むものである。
本願発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:国際公開第2012/164407号
引用文献2:独国特許出願公開第102007003454号明細書
3 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献1には、次の記載がある(訳は、引用文献1のファミリー出願に係る特表2014-518727号公報による。)
ア「Breathing Circuit Comprising One Or More Medical Tubes
[0047] For a more detailed understanding of the disclosure, reference is first made to FIG. 1, which shows a breathing circuit according to at least one embodiment, which includes one or more medical tubes. Tube is a broad term and is to be given its ordinary and customary meaning to a person of ordinary skill in the art (that is, it is not to be limited to a special or customized meaning) and includes, without limitation, non-cylindrical passageways. Certain embodiments may incorporate a composite tube, which may generally be defined as a tube comprising two or more portions, or, specifically, in some embodiments, two or more components, as described in greater detail below. Such a breathing circuit can be a continuous, variable, or bi-level positive airway pressure (PAP) system or other form of respiratory therapy.
[0048] Gases can be transported in the circuit of FIG. 1 as follows. Dry gases pass from a ventilator/blower 105 to a humidifier 107, which humidifies the dry gases. The humidifier 107 connects to the inlet 109 (the end for receiving humidified gases) of the inspiratory tube 103 via a port 111, thereby supplying humidified gases to the
inspiratory tube 103. An inspiratory tube is a tube that is configured to deliver breathing gases to a patient, and may be made from a composite tube as described in further detail below. The gases flow through the inspiratory tube 103 to the outlet 113 (the end for expelling humidified gases), and then to the patient 101 through a patient interface 115 connected to the outlet 113.」
(訳:1つまたは複数の医療用チューブを備える呼吸回路
[0047]本開示をより詳細に理解するために、最初に図1を参照する。図1は、1つまたは複数の医療用チューブを含む、少なくとも1つの実施形態による呼吸回路を示す。チューブは、広範な用語であり、それには、当業者に対してその通常のかつ慣例の意味が与えられるべきであり(すなわち、特別な意味または特化された意味に限定されるべきではなく)、限定なしに非円柱状通路を含む。いくつかの実施形態は、後により詳細に説明するように、概して2つ以上の部分、または、特に、いくつかの実施形態では、2つ以上の構成要素を備えるチューブとして定義することができる複合チューブを組み込むことができる。こうした呼吸回路は、持続気道陽圧(PAP)システム、可変PAPシステムあるいは二段階PAPシステムまたは他の形態の呼吸療法であり得る。
[0048]以下のように、図1の回路にガスを搬送することができる。乾燥ガスは、ベンチレータ/ブロワ105から、乾燥ガスを加湿する加湿器107まで進む。加湿器107は、吸気チューブ103の入口109(加湿ガスを受け入れる端部)にポート111を介して連結し、それにより、加湿ガスを吸気チューブ103に供給する。吸気チューブは、呼吸ガスを患者に送達するように構成されるチューブであり、後により詳細に説明するように複合チューブから作製され得る。ガスは、吸気チューブ103を通って出口113(加湿ガスを排出する端部)まで、その後、出口113に接続された患者インタフェース115を通って患者101まで流れる。)
イ「[0053] Any suitable patient interface 115 can be incorporated. Patient interface is a broad term and is to be given its ordinary and customary meaning to a person of ordinary skill in the art (that is, it is not to be limited to a special or customized meaning) and includes, without limitation, masks (such as tracheal mask, face masks and nasal masks), cannulas, and nasal pillows. A temperature probe 135 can connect to the inspiratory tube 103 near the patient interface 115, or to the patient interface 115. The temperature probe 135 monitors the temperature near or at the patient interface 115. A heating filament (not shown) associated with the temperature probe can be used to adjust the temperature of the patient interface 115 and/or inspiratory tube 103 to raise the temperature of the inspiratory tube 103 and/or patient interface 115 above the saturation temperature, thereby reducing the opportunity for unwanted condensation.」
(訳:[0053]あらゆる好適な患者インタフェース115を組み込むことができる。患者インタフェースは、広範な用語であり、それには、当業者に対してその通常のかつ慣例の意味が与えられるべきであり(すなわち、特別の意味または特化された意味に限定されるべきではなく)、限定なしにマスク(気管マスク、フェイスマスクおよび鼻マスク等)、カニューレおよび鼻枕を含む。温度プローブ135は、患者インタフェース115近くで吸気チューブ103にまたは患者インタフェース115に連結することができる。温度プローブ135は、患者インタフェース115の近くまたは患者インタフェース115における温度をモニタリングする。温度プローブに関連する加熱フィラメント(図示せず)を用いて、吸気チューブ103および/または患者インタフェース115の温度を、飽和温度を超えて上昇させるように、患者インタフェース115および/または吸気チューブ103の温度を調整することができ、それにより望ましくない凝結に対する可能性が低減する。)
ウ「[0054] In FIG. 1, exhaled humidified gases are returned from the patient interface 115 to the ventilator/blower 105 via the expiratory tube 117. The expiratory tube 117 can also be a composite tube, as described in greater detail below. However, the expiratory tube 117 can also be a medical tube as previously known in the art. In either case, the expiratory tube 117 can have a temperature probe and/or heating filament, as described above with respect to the inspiratory tube 103, integrated with it to reduce the opportunity for condensation. Furthermore, the expiratory tube 117 need not return exhaled gases to the ventilator/blower 105. Alternatively, exhaled humidified gases can be passed directly to ambient surroundings or to other ancillary equipment, such as an air scrubber/filter (not shown). In certain embodiments, the expiratory tube is omitted altogether.
Composite Tubes
[0055] FIG. 2A shows a side-plan view of a section of example composite tube 201. In general, the composite tube 201 comprises a first elongate member 203 and a second elongate member 205. Member is a broad term and is to be given its ordinary and customary meaning to a person of ordinary skill in the art (i.e., it is not to be limited to a special or customized meaning) and includes, without limitation, integral portions, integral components, and distinct components. Thus, although FIG. 2A illustrates an embodiment made of two distinct components, it will be appreciated that in other embodiments (such as described in FIGS. 5A-5D below), the first elongate member 203 and second elongate member 205 can also represent regions in a tube formed from a single material. Thus, the first elongate member 203 can represent a hollow portion of a tube, while the second elongate member 205 represents a structural supporting or reinforcement portion of the tube which adds structural support to the hollow portion. The hollow portion and the structural supporting portion can have a spiral configuration, as described herein. The composite tube 201 may be used to form the inspiratory tube 103 and/or the expiratory tube 117 as described above, a coaxial tube as described below, or any other tubes as described elsewhere in this disclosure.
[0056] In this example, the first elongate member 203 comprises a hollow body spirally wound to form, at least in part, an elongate tube having a longitudinal axis LA-LA and a lumen 207 extending along the longitudinal axis LA-LA. In at least one embodiment, the first elongate member 203 is a tube. Preferably, the first elongate member 203 is flexible. Furthermore, the first elongate member 203 is preferably transparent or, at least, semi-transparent or semi-opaque. A degree of optical transparency allows a caregiver or user to inspect the lumen 207 for blockage or contaminants or to confirm the presence of moisture. A variety of plastics, including medical grade plastics, are suitable for the body of the first elongate member 203. Examples of suitable materials include Polyolefin elastomers, Polyether block amides, Thermoplastic co-polyester elastomers, EPDM-Polypropylene mixtures, and Thermoplastic polyurethanes.」
(訳:[0054]図1において、吐出された加湿ガスは、患者インタフェース115から呼気チューブ117を介してベンチレータ/ブロワ105まで戻される。呼気チューブ117を、後により詳細に説明するように複合チューブとすることも可能である。しかしながら、呼気チューブ117を、本技術分野において以前から既知であるように、医療用チューブとすることも可能である。いずれの場合も、吸気チューブ103に関して上述したように、凝結の可能性を低減するように、呼気チューブ117に温度プローブおよび/または加熱フィラメントを組み込むことができる。さらに、呼気チューブ117は、吐出ガスをベンチレータ/ブロワ105に戻す必要はない。別法として、吐出された加湿ガスを、周囲環境に直接、または空気スクラバ/フィルタ(図示せず)等の他の補助機器に送ることができる。いくつかの実施形態では、呼気チューブは完全に省略される。
複合チューブ
[0055]図2Aは、例としての複合チューブ201の一部の側面図を示す。概して、複合チューブ201は、第1細長部材203および第2細長部材205を備えている。部材は、広範な用語であり、それには、当業者に対してその通常のかつ慣例の意味が与えられるべきであり(すなわち、特別の意味または特化された意味に限定されるべきではなく)、限定なしに一体化された部品、一体化された構成要素および別個の構成要素を含む。したがって、図2Aは2つの別個の構成要素から作製された実施形態を示すが、(後に図5A~図5Dに記載するような)他の実施形態では、第1細長部材203および第2細長部材205はまた、単一材料から形成されたチューブ内の領域を表すことも可能であることが理解されよう。したがって、第1細長部材203はチューブの中空部分を表すことができ、第2細長部材205は、中空部分に構造的支持を加える、チューブの構造的支持部分または補強部分を表す。中空部分および構造的支持部分は、本明細書に記載するように、らせん構造を有することができる。複合チューブ201を用いて、上述したように吸気チューブ103および/または呼気チューブ117、後述するように同軸チューブまたは本開示の別の場所で記載されるようなあらゆる他のチューブを形成することができる。
[0056]この例では、第1細長部材203は、らせん状に巻回されて、長手方向軸LA-LAおよび長手方向軸LA-LAに沿って延在する内腔207を有する細長いチューブを少なくとも部分的に形成する、中空体を含む。少なくとも1つの実施形態では、第1細長部材203はチューブである。好ましくは、第1細長部材203は可撓性がある。さらに、第1細長部材203は、好ましくは透明であるか、または少なくとも半透明あるいは半不透明である。ある程度の光透過性により、介護者または使用者が、内腔207に閉塞あるいは汚染物質がないか検査するか、または湿気の存在を確認することができる。第1細長部材203の本体に対して、医療用プラスチックを含む種々のプラスチックが好適である。好適な材料の例としては、ポリオレフィンエラストマー、ポリエーテルブロックアミド、熱可塑性コポリエステルエラストマー、EPDM-ポリプロピレン混合物および熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。)
エ「[0059] The second elongate member 205 is also spirally wound and joined to the first elongate member 203 between adjacent turns of the first elongate member 203. The second elongate member 205 forms at least a portion of the lumen 207 of the elongate tube. The second elongate member 205 acts as structural support for the first elongate member 203.」
(訳:[0059]第2細長部材205もまた、らせん状に巻回され、第1細長部材203の隣接する巻きの間で第1細長部材203に接合される。第2細長部材205は、細長いチューブの内腔207の少なくとも一部を形成する。第2細長部材205は、第1細長部材203用の構造的支持として作用する。
オ「[0061] Preferably, the second elongate member 205 is flexible, to facilitate bending of the tube. Desirably; the second elongate member 205 is less flexible than the first elongate member 203. This improves the ability of the second elongate member 205 to structurally support the first elongate member 203. For example, the modulus of the second elongate member 205 is preferably 30 - 50MPa (or about 30 - 50 MPa). The modulus of the first elongate member 203 is less than the modulus of the second elongate member 205. The second elongate member 205 can be solid or mostly solid. In addition, the second elongate member 205 can encapsulate or house conductive material, such as filaments, and specifically heating filaments or sensors (not shown). Heating filaments can minimize the cold surfaces onto which condensate from moisture-laden air can form. Heating filaments can also be used to alter the temperature profile of gases in the lumen 207 of composite tube 201. A variety of polymers and plastics, including medical grade plastics, are suitable for the body of the second elongate member 205. Examples of suitable materials include Polyolefin elastomers, Polyether block amides, Thermoplastic co-polyester elastomers, EPDM-Polypropylene mixtures and Thermoplastic polyurethanes. In certain embodiments, the first elongate member 203 and the second elongate member 205 may be made from the same material. The second elongate member 205 may also be made of a different color material from the first elongate member 203, and may be transparent, translucent or opaque. For example, in one embodiment the first elongate member 203 may be made from a clear plastic, and the second elongate member 205 may be made from an opaque blue (or other color ) plastic.
」
(訳:[0061]好ましくは、第2細長部材205は、チューブの曲げを容易にするように可撓性がある。望ましくは、第2細長部材205は第1細長部材203より可撓性がない。これにより、第2細長部材205の第1細長部材203を構造的に支持する能力が向上する。たとえば、第2細長部材205の弾性率は好ましくは30MPa~50MPa(または約30MPa~50MPa)である。第1細長部材203の弾性率は、第2細長部材205の弾性率より低い。第2細長部材205を、中実または概して中実とすることができる。さらに、第2細長部材205は、フィラメント、特に加熱フィラメントまたはセンサ(図示せず)等、導電性材料を封入するかまたは収容することができる。加熱フィラメントは、湿気を含む空気からの凝縮液が発生する可能性がある低温表面を最小限にすることができる。加熱フィラメントを使用して、複合チューブ201の内腔207内のガスの温度プロファイルを変更することも可能である。第2細長部材205の本体に対して、医療用プラスチックを含む種々のポリマーおよびプラスチックが好適である。好適な材料の例としては、ポリオレフィンエラストマー、ポリエーテルブロックアミド、熱可塑性コポリエステルエラストマー、EPDM-ポリプロピレン混合物および熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、第1細長部材203および第2細長部材205を、同じ材料から作製することができる。第2細長部材205を、第1細長部材203とは異なる色の材料から作製することも可能であり、第2細長部材205は透明、半透明または不透明であり得る。たとえば、一実施形態では、第1細長部材203を透明プラスチックから作製することができ、第2細長部材205を不透明な青色(または他の色)のプラスチックから作製することができる。)
カ「[0063] As explained above, the composite tube 201 can be used as an expiratory tube and/or an inspiratory tube in a breathing circuit, or a portion of a breathing circuit. Preferably, the composite tube 201 is used at least as an inspiratory tube.
[0064] FIG. 2B shows a longitudinal cross-section of a top portion of the example composite tube 201 of FIG. 2A. FIG. 2B has the same orientation as FIG. 2A. This example further illustrates the hollow-body shape of the first elongate member 203. As seen in this example, the first elongate member 203 forms in longitudinal cross-section a plurality of hollow bubbles. Portions 209 of the first elongate member 203 overlap adjacent wraps of the second elongate member 205. A portion 211 of the first elongate member 203 forms the wall of the lumen (tube bore).」
(訳:[0063]上で説明したように、複合チューブ201を、呼吸回路における呼気チューブおよび/または吸気チューブ、または呼吸回路の一部として使用することができる。好ましくは、複合チューブ201は、少なくとも吸気チューブとして使用される。
[0064]図2Bは、図2Aの例としての複合チューブ201の頂部の縦断面を示す。図2Bは、図2Aと同じ向きを有している。この例は、第1細長部材203の中空体形状をさらに示す。この例で分かるように、第1細長部材203は、縦断面において複数の中空半球状体を形成している。第1細長部材203のいくつかの部分209は、第2細長部材205の隣接する巻付け部にオーバラップする。第1細長部材203の一部分211は内腔(チューブボア)の壁を形成する。)
キ「[0066] One or more conductive materials can be disposed in the second elongate member 205 for heating or sensing the gas flow. In this example, two heating filaments 215 are encapsulated in the second elongate member 205, one on either side of the vertical portion of the "T." The heating filaments 215 comprise conductive material, such as alloys of Aluminum (Al) and/or Copper (Cu), or conductive polymer. Preferably, the material forming the second elongate member 205 is selected to be non-reactive with the metal in the heating filaments 215 when the heating filaments 215 reach their operating temperature. The filaments 215 may be spaced away from lumen 207 so that the filaments are not exposed to the lumen 207. At one end of the composite tube, pairs of filaments can be formed into a connecting loop.」
(訳:[0066]ガス流を加熱するかまたは検知するために、第2細長部材205内に1つまたは複数の導電性材料を配置することができる。この例では、第2細長部材205内に2つの加熱フィラメント215が、「T」の垂直部分の各側に1つ、封入されている。加熱フィラメント215は、アルミニウム(Al)および/または銅(Cu)の合金または導電性ポリマー等の導電性材料を含む。好ましくは、第2細長部材205を形成する材料は、加熱フィラメント215がそれらの動作温度に達した時に加熱フィラメント215内の金属と非反応性であるように選択される。フィラメント215を、内腔207に露出しないように内腔207から間隔を空けて配置することができる。複合チューブの一端において、フィラメントの対を接続ループにすることができる。)
ク「【図1】
[図:0001423038000001.jpg]
」
ケ「【図2A】
[図:0001423038000002.jpg]
」
コ「【図2B】
[図:0001423038000003.jpg]
」
サ「【図2C】
[図:0001423038000004.jpg]
」
シ 上記イ、オ、キの記載からすれば、引用文献1記載の加熱フィラメント215は、ガス流を加熱するため、複合チューブ201の温度を調整するものであるから、使用中に加熱温度を調整する制御装置に接続されている。
(2)引用発明
上記ア、ウ、エ、カ、キの特に下線部の記載、上記ク~サの図面の記載及び上記シの事項に基づけば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複合チューブ201を組み込むことができる吸気チューブ103であって、
加熱フィラメント215を備え、
前記加熱フィラメント215が、制御装置に使用中に接続されており、
前記複合チューブ201は、第1の細長部材203及び第2の細長部材205を備え、第1の細長部材203はチューブの中空部分を表すことができ、らせん状に巻回されて、長手方向軸LA-LAに沿って延在する内腔207を有する細長いチューブを形成し、第2の細長部材205は、中空部分に構造的支持を加える、チューブの構造的支持部分又は補強部分を表し、中空部分および構造的支持部分は、らせん構造を有し、第1の細長部材203のいくつかの部分209は、第2の細長部材205の隣接する巻付け部にオーバラップする吸気チューブ103。」
(3)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献2には、次の記載がある(訳は、当審で付与した。)
ア「
[図:0001423038000005.jpg]
」
(訳:[0003]気道の乾燥を回避するために、呼吸ガスは、通常、加熱制御部と吸気管の開始部との間に配置された活性呼吸ガス加湿器によって加湿される。
[0004]しかし、予防措置が講じられていない場合、呼吸ガス中に含まれる水蒸気の一部が呼吸管内に凝縮する。このことは、水の蓄積をもたらし、患者に供給される呼吸ガスの有効湿度の減少をもたらす。
[0005]この理由から、従来技術によれば少なくとも吸気管が電気的に加熱されるが、呼気管も電気的に加熱される。この加熱のために、いくつかの変形が知られている:)
イ「
[図:0001423038000006.jpg]
」
(訳:[0010]全ての可能な使用事例をカバーすることができるようにするために、呼吸管の加熱は、互いに無関係に存在する2の加熱区間から成っていなければならず、これらの加熱区間のうち一方の加熱区間は、保育器の外側に配置されており(第1の加熱区間)、他方の加熱区間は、保育器の内側に位置している(第2の加熱区間)。この場合、保育器に比較して周囲温度が低いために、第1の加熱区間が第2の加熱区間よりも大きな熱出力を調達しなければならず、第1の加熱区間がスイッチオンされ、第2の加熱区間が遮断されている場合がある。このことは、第2加熱区間に依存しない第1加熱区間の制御を必要とする。)
ウ「
[図:0001423038000007.jpg]
」
(訳:[0013]本発明の課題は、各加熱区間内のただ一つの案内される加熱線と、第1の加熱区間の独立した加熱とを、第2の加熱区間から可能にする、呼吸管のための加熱装置を提供することである。)
エ「
[図:0001423038000008.jpg]
」
(訳:[0042]図1には、吸気管5と呼気管6とから成る呼吸管が示されており、この吸気管は、Y字形部材13に空気的に互いに結合されている。吸気管5は、往路加熱線1を有し、呼気管6は、外方に配置された加熱線の形態の電熱線2を有する。両ホースは二分割されており、破線で示されたスリーブ12に、空気圧的にも電気的にも互いに接続されている。
[0043]第1の吸気加熱区間14は第1の加熱区間3に属し、第2の吸気加熱区間15は第2の加熱区間4に属し、接触部16を介して第1の吸気加熱区間14、第2の吸気加熱区間15、および第1の電気接続部10の第1の接続部が互いに接続されている。接触部16の近傍には、吸気管5内に第1の温度センサ7を導入するための開口が設けられており、第2の吸気加熱区間15の端部の直後には、第2の温度センサ8を導入するための開口が設けられている。)
オ「
[図:0001423038000009.jpg]
」
(訳:[0048]動作モードは次の通りである。第1の温度センサ7の温度が目標温度より低いとき、制御装置9は、正極性の端子20に加熱電圧を発生し、第1の電気接続部10のダイオードは導電性であり、第1の吸気加熱区間14と第1の呼気加熱区間17だけが加熱される。0.6Vだけのダイオード電圧のために、第2の加熱区間4に供給される電力は無視できる。
[0049]第1の温度センサ7の温度が目標温度を超えると、制御装置9は、負の極性の端子20に加熱電圧を発生し、ダイオードは遮断し、回路は両方の吸気加熱区間14、15、第2の電気接続11、および両方の呼気加熱区間17、18を閉じる。)
カ「図1
[図:0001423038000010.jpg]
」
4 対比
以下、本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「複合チューブ201を組み込むことができる吸気チューブ103」は、機能及び構造上、本願発明の「医療用管」に相当する。
(2)引用発明の「加熱フィラメント215を備え」ることと、本願発明の「一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備える第1の区分と、一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備える第2の区分と、を備え」ることとは、一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備えることの限りで一致する。
(3)引用発明の「第1の細長部材203」が「らせん状に巻回されて」「チューブの中空部分を表すこと」は、図2A~Dを参照すれば、本願発明の「少なくとも一部分に、長手方向軸を有する細長い管」を形成することに相当する。また同様に、「長手方向軸LA-LAに沿って延在する内腔207を有する」ことは、「長手方向軸に沿って延在する内腔とを形成」することに相当する。
また、引用発明の「第2の細長い部材205」は、「らせん構造を有し、第1の細長い部材203のいくつかの部分209は、第2の細長い部材205の隣接する巻き付け部にオーバーラップする」から、図2A~Dを合わせて参照すれば、第1の細長部材203の「隣接する一巻き同士の間にらせん状に巻かれ」ており、「内腔の少なくとも一部分を形成」するものであって、第1の細長い部材203の「中空部分に構造的支持を加える、チューブの構造的支持部分又は補強部分を表」すのであるから、第1の細長部材203「のための支持又は補強を提供する」ものに相当する。
してみれば、引用発明の「前記複合チューブは、第1の細長部材203及び第2の細長部材205を備え、第1の細長部材は203は中部の中空部分を表すことができ、らせん状に巻回されて、長手方向軸LA-LAに沿って延在する内腔207を有する細長いチューブを形成し、第2の細長部材205は、中空部分に構造的支持を加える、チューブの構造的支持部分又は補強部分を表し、中空部分および構造的支持部分は、らせん構造を有し、第1の細長部材203のいくつかの部分209は、第2の細長部材205の隣接する巻付け部にオーバラップする」点と、
本願発明の「前記第1の区分及び前記第2の区分のそれぞれが、螺旋状に巻かれた細長い中空体を有する第1の細長い部材と、前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に螺旋状に巻かれた第2の細長い部材と、を備え、前記第1の細長い部材が、少なくとも一部分に、長手方向軸を有する細長い管と、前記長手方向軸に沿って延在する内腔とを形成し、前記第2の細長い部材が前記内腔の少なくとも一部分を形成し、前記第2の細長い部材は、前記第1の細長い部材のための支持又は補強を提供する」点は、
「螺旋状に巻かれた細長い中空体を有する第1の細長い部材と、前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に螺旋状に巻かれた第2の細長い部材と、を備え、前記第1の細長い部材が、少なくとも一部分に、長手方向軸を有する細長い管と、前記長手方向軸に沿って延在する内腔とを形成し、前記第2の細長い部材が前記内腔の少なくとも一部分を形成し、前記第2の細長い部材は、前記第1の細長い部材のための支持又は補強を提供する」点で一致する。
以上のことからすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
医療用管であって、
一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを備え、
螺旋状に巻かれた細長い中空体を有する第1の細長い部材と、
前記第1の細長い部材の隣接する一巻き同士の間に螺旋状に巻かれた第2の細長い部材と、を備え、
前記第1の細長い部材が、少なくとも一部分に、長手方向軸を有する細長い管と、前記長手方向軸に沿って延在する内腔とを形成し、前記第2の細長い部材が前記内腔の少なくとも一部分を形成し、前記第2の細長い部材は、前記第1の細長い部材のための支持又は補強を提供する医療用管。
【相違点】
医療用管が、本願発明では、一つ又は二つ以上の加熱ワイヤを「第1の区分」と「第2の区分」とが備え、「第1のモードでは、前記第1の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに電力が提供され、前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤには電力が提供されないように、前記第1の区分及び前記第2の区分の前記一つ又は二つ以上の加熱ワイヤが、少なくとも一つの制御装置に使用中に接続されるように構成されて」いるのに対し、引用発明では、一つ又は二つ以上の加熱ワイヤに第1の区分と第2の区分の区別がなく、制御装置との関係も特定されていない点。
5 判断
上記相違点について検討すると、上記3(3)ア~オの特に下線部の記載及びカの図面の記載からすれば、引用文献2には、加湿システムと共に使用される呼吸管の加熱に際して、保育器の内外を区分して、当該区分ごとに加熱ワイヤへの電力の提供をオンオフするような制御装置9を設け、結露や過熱を防止する点(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されている。
そして、加湿システムを伴う呼吸回路に用いられる医療用管が、保育器内外のような温度差のある環境で利用されることは通常の態様であることに鑑みれば、引用発明を保育器に用いるに際して、当該引用文献2記載の技術事項を適用して、上記相違点に係る本願発明の事項とすることは当業者にとって容易である。
そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2記載の技術事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-018780