特許拒絶査定不服審判
2023-017119
情報処理装置、情報処理方法、プログラム
- 審判番号
- 2023-017119
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-179332
- 請求日
- 2023年10月10日
- 審決日
- 2024年07月19日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
- 【請求人代理人】木村 友輔
- 【請求人代理人】中山 圭
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 山澤 宏
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-179332「情報処理装置、情報処理方法、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 5月13日出願公開、特開2022- 70323、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年10月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 7月 7日 :手続補正書の提出
令和5年 3月 8日付け:拒絶理由通知書
令和5年 5月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 7月 7日付け:拒絶査定
令和5年10月10日 :審判請求書の提出
令和6年 4月 1日付け:拒絶理由通知書
令和6年 5月29日 :意見書、手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年7月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 1-7
請求項1、6の「電子メールを受信する受信手段」、「制御結果を通知する電子メールである通知メールを送信するよう制御する制御手段」との記載に関し、発明の詳細な説明には、送信制御装置102は、通知メールを送信すること([0058])、送信制御装置102自身が生成して送信した電子メール(通知メール等)を受信すること([0035])は記載されているものの、送信制御装置102自身が送信した通知メールをどのように受信するのか記載されておらず、送信制御装置102が受信する通知メールは、送信した通知メールそのものなのかが不明である。
さらに、通知メールとは、送信制御装置102における送信制御結果を通知するための電子メールである([0037])から、メールの送信元端末101などの送信制御装置102以外の装置へ送られることが一般的であると解される。そのため、送信制御装置102が受信する通知メールが、送信した通知メールそのものであった場合、送信制御装置102以外の装置へ送られるはずの通知メールを送信制御装置102自身が受信するとはどういうことなのか、あるいは、なぜ送信制御装置102自身を宛先とした通知メールが送信されるのか、不明である。
よって、請求項1、6及び請求項1に従属する請求項2-5、7に係る発明は明確でない。
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和6年4月1日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2(明確性要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
●理由1(サポート要件)について
・請求項 1-7
・備考
本願発明の課題は、発明の詳細な説明の段落【0005】―【0008】によれば、メール送受信端末とメール配送装置との間に配される送信メール保留装置において、送信制御ルールが適用されメールの送信が保留されると、その旨を送信元やメール管理者に対して通知するが、この通知メールについても送信制御ルールが適用され、通知メール自身も送信が保留されると、通知メールを保留した旨の通知メールが送信されることになり、通知メールがループしてしまうという状況が生じることを解決することにあるものと認められる。
すなわち、メール送受信端末(送信元端末)と、メール配送装置(送信元メールサーバ)と、メール送受信端末とメール配送装置との間に配される送信メール保留装置(送信制御装置)からなる情報処理システムにおいて、送信メール保留装置(送信制御装置)における受信手段が、送信元端末及び送信制御装置自身から通知メールを受信することを前提するものである。
しかしながら、請求項1の記載では、「情報処理システム」は、「受信手段」、「ルール適用手段」、「制御手段」を備えるのみであって、通常の電子メールのシステムも含みうるものであり、このような通常のシステムにおいては自身が生成して送信した電子メールを自ら受信することは自明ではないから、そもそも上記課題は存在しない。そして、請求項1の記載は上記課題を解決するものではない。よって、請求項1の記載は、当業者が本願課題を解決できることを認識できる範囲を超えて特許を請求するものである。
また、請求項6にも、同様の記載があり、請求項6の記載は、当業者が本願課題を解決できることを認識できる範囲を超えて特許を請求するものである。
さらに、請求項2-5、7は、請求項1を引用するものであるから、同様の点で、請求項2-5、7の記載は、当業者が本願課題を解決できることを認識できる範囲を超えて特許を請求するものである。
(また、審判請求人の審判請求書における主張は、送信制御装置102が、送信端末101と送信元メールサーバ103の間にあるシステムを前提とするものと認められる。)
●理由2(明確性要件)について
・請求項 1-7
・備考
請求項1の記載に「電子メールを受信する受信手段」、「前記受信手段により受信した電子メールに対して送信制御ルールを適用するルール適用手段」、「前記ルール適用手段は、前記通知メールに対しても前記送信制御ルールを適用する」とあり、「ルール適用手段」が「送信制御ルールを適用する」「通知メール」は、「受信手段」によって受信されるものと認められる。また、請求項1には、「通知メール」は「前記ルール適用手段による送信制御ルール適用の結果である制御結果を通知する電子メール」「を送信」したものであると記載されている。
しかしながら、通常の電子メールの送信を行う情報処理システムにおいては、電子メール中で明示に指定する等しない限り自身が送信した電子メールを自身が受信することはなく、なぜ、このような送信した「通知メール」を「受信手段」が受信できるかが技術的に理解できず、請求項1の記載は不明確である。
また、請求項6にも、同様の記載があり、請求項6の記載は不明確である。
さらに、請求項2-5、7は、請求項1を引用するものであるから、同様の点で、請求項2-5、7の記載は不明確である。
第4 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-7は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
送信元端末、前記送信元端末が送信した電子メール及び当該送信制御装置自身が生成して送信した電子メールを受信する送信制御装置、及び、送信元メールサーバからなる情報処理システムにおいて、
前記送信制御装置は、
電子メールを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した電子メールに対して送信制御ルールを適用するルール適用手段と、
前記ルール適用手段による送信制御ルール適用の結果である制御結果を通知する電子メールである通知メールを送信するよう制御する制御手段と、
を備え、
前記ルール適用手段は、前記通知メールに対しても前記送信制御ルールを適用することを特徴とし、
前記制御手段は、前記通知メールに対する制御結果を通知する通知メールは送信しないよう制御することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記送信制御装置は、
前記送信制御ルールを複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された送信制御ルールのうち前記ルール適用手段により適用された送信制御ルールが所定の送信制御ルールである場合に前記通知メールを送信する通知メール送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記送信制御装置は、
前記制御結果が所定の結果である場合に前記通知メールを送信する通知メール送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記通知メール送信手段は、前記制御結果が送信を保留する旨の制御結果である場合に通知メールを送信することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記送信制御装置は、
前記電子メールが通知メールであるかを、当該電子メールのヘッダー情報を用いて判定する判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の情報処理システム。
【請求項6】
送信元端末、前記送信元端末が送信した電子メール及び当該送信制御装置自身が生成して送信した電子メールを受信する送信制御装置、及び、送信元メールサーバからなる情報処理システムにける情報処理方法であって、
前記送信制御装置の受信手段が、電子メールを受信する受信工程と、
前記送信制御装置のルール適用手段が、前記受信工程による受信した電子メールに対して送信制御ルールを適用するルール適用工程と、
前記送信制御装置の制御手段が、前記ルール適用工程による送信制御ルール適用の結果である制御結果を通知する電子メールである通知メールを送信するよう制御する制御工程と、
を備え、
前記ルール適用工程は、前記通知メールに対しても前記送信制御ルールを適用することを特徴とし、
前記制御工程は、前記通知メールに対する制御結果を通知する通知メールは送信しないよう制御することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の各手段として機能させるためのプログラム。」
第5 原査定についての判断
本件補正により、請求項1、6は、「送信元端末」、「送信制御装置」、「送信元メールサーバ」からなる「情報処理システム」において、「当該送信制御装置自身が生成して送信した電子メールを受信する送信制御装置」となり、「送信制御装置」は自身宛ての電子メールを生成し送信し受信することが明確になった。
よって、この拒絶の理由は解消した。
第6 当審拒絶理由についての判断
1 上記第3の1について、本件補正により、請求項1、6は、「送信元端末、前記送信元端末が送信した電子メール及び当該送信制御装置自身が生成して送信した電子メールを受信する送信制御装置、及び、送信元メールサーバからなる情報処理システム」を前提とすることが明確となった。
よって、この拒絶の理由は解消した。
2 上記第3の2について、本件補正により、請求項1、6は、、「送信元端末」、「送信制御装置」、「送信元メールサーバ」からなる「情報処理システム」において、「当該送信制御装置自身が生成して送信した電子メールを受信する送信制御装置」となり、「送信制御装置」は自身宛ての電子メールを生成し送信し受信することが明確になった。
よって、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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